添付一覧
○医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準等に係る質疑応答集(Q&A)について(その3)
(平成27年9月1日)
(薬食監麻発0901第5号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)
(公印省略)
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号)における医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準への適合性に係る調査の運用等については、平成26年8月27日付け薬食監麻発0827第4号厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知「薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の改正について」その他の関係通知によりお示ししたところですが、その円滑な運用に資するため、別添のとおり「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準等に係る質疑応答集(その3)」を取りまとめましたので、貴管下関係業者に対して周知願います。
なお、本通知の写しを各地方厚生局長、独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、一般社団法人日本医療機器産業連合会会長、日本製薬団体連合会会長、一般社団法人日本臨床検査薬協会会長、米国医療機器・IVD工業会会長、欧州ビジネス協会医療機器委員会委員長、欧州ビジネス協会臨床検査機器・試薬(体外診断)委員会委員長及び医薬品医療機器等法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付することとしています。
医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準等に係る質疑応答集(その3)
※ 本質疑応答集においては、次のとおり略語を用いるものとし、その他の関係通知において定義されている用語については、本質疑応答集においては定義せずに用いている場合があることに留意すること。
「法」 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号) 「施行規則」 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和36年厚生省令第1号) 「QMS省令」 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第169号) 「GQP省令」 医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号) 「GMP省令」 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第179号) 「製品群省令」 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の5第7項第1号に規定する医療機器又は体外診断用医薬品の区分を定める省令(平成26年厚生労働省令第95号) 「QMS省令施行課長通知」 平成26年8月27日付け薬食監麻発0827第4号監視指導・麻薬対策課長通知「薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の改正について」 「調査要領通知」 平成26年10月24日付け薬食監麻発1024第10号監視指導・麻薬対策課長通知「QMS調査要領の制定について」 「製造業Q&A通知」 平成26年10月20日付け薬食機参発1020第4号大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)通知「医療機器及び体外診断用医薬品の製造業の取扱いに関する質疑応答集(Q&A)について」 「調査申請通知」 平成26年11月19日付け薬食監麻発1119第7号、薬食機参発1119第3号監視指導・麻薬対策課長・大臣官房参事官(医療機器・再生医療等製品審査管理担当)連名通知「基準適合証及びQMS適合性調査申請の取扱いについて」 「Q&A通知(その2)」 平成27年3月13日付け薬食監麻発0313第8号監視指導・麻薬対策課長通知「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準等に係る質疑応答集(Q&A)について(その2)」 |
(国内品質業務運営責任者の要件関係)
Q1 QMS省令施行課長通知72.(3)カ.の「製品の製造販売又は製造を行うもの」は、具体的にどのような業種を指すのか。 |
A1 原則として、日本標準産業分類における製造業に含まれるものを指す。
主として管理事務を行う本社、本店等はこれに含まれるが、製造行為を伴わない単に修理のみを行う事業所は含まれない。
Q2 QMS省令施行課長通知72.(3)カ.の「品質マネジメントシステムの継続的改善又は維持に係る業務に従事した者」には、どのようなものが含まれるか。 |
A2 品質マネジメントシステムの維持等に係る責任及び権限を付与された管理責任者、その指示のもとこれらの実務を行う部門(品質保証部門等)に所属する者、内部監査員(単に社内資格を有するだけでなく、実際に品質マネジメントシステムを広く監査している者に限る。)等がこれに該当すると考えられるが、医療機器又は体外診断用医薬品(以下「医療機器等」という。)の製造管理及び品質管理を適切に行うためには、QMS省令、ISO 9001及びISO 13485による品質管理の基本的考え方であるプロセスアプローチに基づく製造管理及び品質管理についての十分な知識及び経験を有していることが必要であることから、国内品質業務運営責任者の設置に当たっては、これらの要件を十分に考慮すること。
Q3 QMS省令施行課長通知72.(3)エ.及びオ.に掲げる者には、医療機器等のほか、医薬品の製造販売業又は製造業に係る製造管理又は品質管理に係る業務に従事した者が含まれると解してよいか。 |
A3 国内品質業務運営責任者は、QMS省令第72条第2項各号に基づく品質管理業務(GQP省令に基づく業務を含む。)及びISO 9001、QMS省令等に基づくプロセスアプローチに基づく製造管理及び品質管理について、それぞれの知識及び経験を十分に有していることが求められるものであり、特に、第一種医療機器製造販売業者の国内品質業務運営責任者の要件たるQMS省令施行課長通知72.(3)ア.からオ.までの者については、原則として法に基づく医療機器等に係る製造販売業又は製造業に係る責任者等を指すものである。ただし、従前からのGQP省令との関係等を踏まえ、当面の間、医薬品又は医薬部外品(GMP省令の適用を受けるものに限る。)に係る製造販売業者における品質管理業務の経験については、これを同エ.又はオ.の者とみなすものとする。この場合にあっては、ISO 13485に係る内部監査員研修等ISO 13485又はQMS省令に基づく品質管理等に係る十分な教育訓練をこの者に受けさせること。
Q4 QMS省令施行課長通知72.(3)ア.、イ.、オ.及びカ.に掲げる者について、その業務を行う施設が海外に所在する場合においても、従事経験年数に算定することとしてよいか。 |
A4 差し支えない。なお、国内における品質管理業務を適切に行う上で語学等の教育訓練が必要な場合は、実施しておくこと。
Q5 高度管理医療機器を欧州等海外において製造販売している事業者が、当該医療機器について国内流通を行うために、第一種医療機器製造販売業許可を取得の上、製造販売承認を取得しようとする場合において、海外の医療機器に係る規制に基づき医療機器の品質管理に係る業務を3年以上行っていた者を国内品質業務運営責任者として任命することは可能か。 |
A5 調査要領通知別紙1の2.(1)ア.に掲げる国(EUを含む。)の規制に基づく品質管理に係る3年以上の従事経験を有する者について、当該規制と法の相違点その他国内における品質管理業務に必要な教育訓練を受けさせており、QMS省令第72条第1項第3号に規定する国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力があると認めうる場合においては、QMS省令施行課長通知72.(3)オ.に該当する者とみなして差し支えない。
Q6 限定第三種医療機器製造販売業者又は限定第三種医療機器製造業者等に係る製造管理及び品質管理に従事した経験は、それ以外の医療機器等の製造販売業に係る国内品質業務運営責任者の従事経験として算定可能か。 |
A6 これらの者については、QMS省令第2章の規定の多くが適用されておらず、その品質管理に係る従事経験は他の製造販売業に必要なQMS省令第72条第1項第3号の国内の品質管理業務を適正かつ円滑に遂行しうる能力に資するものであるものとは認められないため、原則として、限定第三種医療機器製造販売業者に係る国内品質業務運営責任者に必要な従事経験としてのみ算定可能である。ただし、その品質管理業務が限定第三種医療機器製造販売業に適用されない規定を含む品質マネジメントシステムとして運用されている場合についてはこの限りでない。また、その事業について、別途、ISO 9001又はISO 13485の認証を取得している場合には、その品質マネジメントシステムの継続的改善又は維持に係る業務を行う者は、QMS省令施行課長通知72.(3)カ.に掲げる者として、その従事経験を算定することが可能である。
Q7 医療機器修理業の責任技術者としての経験は、国内品質業務運営責任者の要件としての従事経験年数に算定することは可能か。 |
A7 認められない。
(出荷判定施設関係)
Q8 ある製品について、医療機器に係る主たる組立てその他の主たる製造工程又は体外診断用医薬品に係る反応に関与する成分の最終容器への充填工程に係る登録製造所(以下「主たる組立て等製造所」という。)がそれ以降の国内における最終製品の保管に係る登録製造所(以下「保管製造所」という。)を直接購買管理している場合等、主たる組立て等製造所において製造管理及び品質管理の結果に係る情報を適切に入手できる場合においては、製造販売業者が当該製品に係る品質、有効性及び安全性に関する情報等を提供することにより、当該主たる組立て等製造所の構成員に市場への出荷の決定(以下「出荷判定」という。)を行わせることとしてよいか。 |
A8 QMS省令第72条第3項のとおり出荷判定は、品質保証部門の者又は出荷を行う登録製造所の構成員であって、適切な能力を有する者に行わせることができるものである。ただし、問のように出荷判定を行う製品を直接取扱う国内の主たる組立て等製造所の品質保証に係る部門に属する者が、当該製品について適切に出荷判定に必要な情報等の提供を受け、これを評価しうる場合にあっては、適切に取決め等を行った上で、その者に当該製品に係る出荷判定を行わせることは差し支えない。なお、製造販売業者の品質管理監督システムの管理下にある主たる組立等製造所の構成員に出荷判定を行わせる場合においては、その者が品質保証部門の者であり、必要な責任及び権限を与えられていることを規定しておくことでよい。
(医療機関等でのバージョンアップ関係)
Q9 製造業Q&A通知のQA30においては、医療機関等で使用されている医療機器について、承認等の変更に合わせ、医療機関等において変更後の仕様にバージョンアップすること(以下「現地バージョンアップ」という。)は可能とされているが、この行為は、QMS省令上どのように管理するべきか。 |
A9 市場出荷の後、医療機関等の所有物たる製品に対して行う作業であり、QMS省令第43条の附帯サービス業務と位置付け、当該業務の実施及びあらかじめ定めた要求事項への適合状況に係る検証のための手順及び作業指図に係る体系及び必要な場合は参照する試料並びに測定の手順を確立し、これを文書化するとともに、実施した記録を作成し、保管すること。
Q10 現地バージョンアップを行う場合は、「これらの手続きや出荷判定の記録などの文書については、QMS調査等の際に調査実施者等の求めがあった場合には、直ちに提出できるようにしておくこと。」とされている。具体的には、どのような文書、記録を作成、保管しておくことが適当か。 |
A10 現地バージョンアップは、製造販売業者、外国製造医療機器等特例承認取得者又は外国指定高度管理医療機器製造等事業者(以下「製造販売業者等」という。)が承認した作業手順書等に基づいて実施するものとし、この文書において作業後の確認方法等も定めておくこと。また、追加する機能や作業の内容等に応じて作業を行わせる組織、部門等や作業者に求められる力量等についても規定しておくこと。なお、製造販売業者等は、これらの作業条件等の設定根拠について説明できるようにしておくこと。また、作業及び作業後の確認等が適正に実施されたことを示す記録を作成させ、これを製造販売業者等が保管すること。
Q11 現地バージョンアップについては、誰に現地における作業を実施させることができるか。例えば、インストーラによるソフトウェアのアップデート等の軽易な作業である場合、医療機器販売業者のメンテナンス部門に行わせることは可能か。 |
A11 軽易な作業について、製造販売業者等の責任において、必要な力量を有した製造販売業者のメンテナンス部門の者に行わせることが品質管理上可能であると判断した場合にあっては差し支えない。その判断の根拠については調査実施者等に説明できるようにしておくこと。なお、品質管理監督システムに含まれる部門以外の者に当該作業を行わせる場合は、QMS省令第5条第4項に基づき外部委託工程として適切に管理を行うこと。
Q12 前問において、メンテナンス部門の者に現地バージョンアップを行わせた場合においても、製造販売業者等として作業が適切に行われたことを検証した後に医療機関に引き渡す(使用を許可する)ことが必要か。 |
A12 適切にバージョンアップされたことを製造販売業者等が保証できる状態で引き渡すことが必要である。なお、設計開発工程における検討やリスクマネジメント等において、医療機関等における使用状況も考慮の上、適切な力量を持つ者が適切に作業を行うことにより確実にバージョンアップが可能であることをあらかじめ検証し、作業記録等を事前に確認することなく当該作業が確実に実施されたことを製造販売業者等が保証しうる場合にあっては、医療機関への引渡し後、作業者の記録を製造販売業者等が確認することとしても差し支えない。
(適合性調査関係)
Q13 第30条から第36条の設計開発管理に係る適合性調査について、製品群省令附則第2条第1項第2号の一般品目又は薬事法等の一部を改正する法律(平成25年法律第84号)による改正後の法に基づく承認等に係る製品についての適合性調査申請時に添付する当該調査による基準適合証により調査を省略する予定の品目のリストに同項第1号の経過措置対象品目を含めて記載することとしてよいか。 |
A13 差し支えない。なお、申請者は、経過措置対象品目が他の製品と区別できるようリストを作成すること。また、この場合、調査実施者は、設計開発管理に係る工程について経過措置対象品目以外から選択して調査すること。
Q14 Q&A通知(その2)QA4において、承継後、直ちに承認等から5年目の日(以下「調査期日」という。)を迎える製品について、承継と同時に適合性調査申請を行えば、調査期日に基準適合証の交付が受けられなくてもやむを得ないとされているが、当該調査により交付される基準適合証はいつまで有効か。 |
A14 次の調査期日の前日まで有効である。本来、調査期日に交付を受けているべき基準適合証であること、また、この製品に係る次回の定期適合性調査が本基準適合証により省略されるべきでないことから、調査実施者は、交付日から5年間の有効期間として交付しないこと。
Q15 専門的調査又は追加的調査が必要な場合について、施行規則第114条の33第1項第1号ホでは、「当該医療機器の全てが、最終的に人体に吸収されることが想定されるもの(ロに掲げるものを除く。)」とある。例えば、ハイドロキシアパタイト粒子をコラーゲン溶液に混合させたコラーゲン使用人工骨について、ハイドロキシアパタイト粒子は人体に吸収されないが、コラーゲンについてはその全てが吸収されることを想定しているものであり、当該要件に該当すると考えて良いか。 |
A15 貴見のとおり。施行規則の趣旨は、その一部が意図せず吸収される医療機器を除外するものであり、GHTFのクラス分類ルールにおいても、「全体的にまたは主に吸収されるように意図した場合」はクラスが上がることを規定していることから、当該ルールの適用を受けるものについては、専門的調査又は追加的調査が必要である。
ただし、調査申請通知第1.1.(1)イ.②の組合せ医療機器であって、既承認の吸収性医療機器を構成品に含むものとして単に組み合わせたもの(これを滅菌したものを含む。)のみを管理している場合については、この限りでない。