アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定地域相談支援の事業の人員及び運営に関する基準について

(平成24年3月30日)

(障発0330第21号)

(各都道府県知事・指定都市市長・中核市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

障害者自立支援法(平成17年法律第123号。平成25年4月から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律。以下「法」という。)第51条の23第1項及び第2項の規定に基づく「障害者自立支援法に基づく指定地域相談支援の事業の人員及び運営に関する基準」(平成25年4月から障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定地域相談支援の事業の人員及び運営に関する基準。以下「基準」という。)については、平成24年3月13日厚生労働省令第27号をもって公布され、平成24年4月1日より施行されるところであるが、基準の趣旨及び内容は左記のとおりであるので、御了知の上、貴管内市町村、関係機関等に周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾のないようにされたい。

なお、これに伴い、「障害者自立支援法に基づく指定相談支援の事業の人員及び運営に関する基準について」(平成19年1月9日障発第0109002号当職通知)は廃止する。

第一 基準の性格

1 基準は、指定地域相談支援の事業がその目的を達成するため、必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定一般相談支援事業者は、常にその事業の運営の向上に努めなければならないこと。

2 指定一般相談支援事業者が満たすべき基準を満たさない場合には、指定一般相談支援事業者の指定を受けられず、また、運営開始後、基準に違反することが明らかになった場合は、都道府県知事の指導等の対象となり、この指導等に従わない場合には、当該指定を取り消すことができるものであること。

3 指定一般相談支援事業者が運営に関する基準に従って事業の運営をすることができなくなったことを理由として指定が取り消され、法に定める期間の経過後に再度当該事業者から指定一般相談支援事業所についての指定の申請がなされた場合には、当該事業者が運営に関する基準を遵守することを確保することに特段の注意が必要であり、その改善状況等が確認されない限り指定を行わないものとすること。

第二 指定地域移行支援に関する基準

1 人員に関する基準

(1) 従業者(基準第3条)

基準第3条第1項は、指定地域移行支援事業者が、事業所ごとに必ず1人以上の指定地域移行支援従事者を置くことを定めたものである。

指定地域移行支援事業所に置くべき指定地域移行支援従事者は、原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事させてはならない。この場合のサービス提供時間帯とは、指定地域移行支援従事者の当該事業所における勤務時間をいうものであり、当該指定地域移行支援従事者の常勤・非常勤の別を問わない。

ただし、指定地域移行支援の業務に支障がない場合においては、指定地域移行支援従事者を当該指定地域移行支援事業所の他の業務又は他の事業所・施設等の業務に従事させることができる。

これは、例えば、指定地域移行支援のサービス提供時間帯において、指定地域移行支援の業務に支障がない場合は、当該指定地域移行支援事業所の管理者や、併設する事業所の業務等に従事することができることをいう。なお、指定特定相談支援事業所又は指定障害児相談支援事業所の業務と兼務する場合については、業務に支障がない場合として認めるものとする。

同条第2項は、第1項の指定地域移行支援従事者のうち1人以上は、相談支援専門員でなければならないことを定めたものである。

(2) 管理者(基準第4条)

指定地域移行支援事業所の管理者は、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、当該事業所の管理業務に支障がないときは、当該指定地域移行支援事業所の他の業務や、併設する事業所の業務等を兼ねることができるものとする。また、指定特定相談支援事業所又は指定障害児相談支援事業所の業務と兼務する場合については、管理業務に支障がない場合として認めるものとする。なお、管理者は、指定地域移行支援の従業者である必要はないものである。

2 運営に関する基準

(1) 内容及び手続の説明及び同意(基準第5条)

指定地域移行支援事業者は、利用者に対し適切な指定地域移行支援を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者に対し、当該指定地域移行支援事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、利用者の障害の特性に応じ、適切に配慮されたわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定地域移行支援の提供を受けることにつき、当該利用申込者の同意を得なければならないこととしたものである。

なお、利用者及び指定地域移行支援事業所双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

また、利用者との間で当該指定地域移行支援の提供に係る契約が成立したときは、利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をもって、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第77条第1項の規定に基づき、

① 当該事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地

② 当該事業の経営者が提供する指定地域移行支援の内容

③ 当該指定地域移行支援の提供につき利用者が支払うべき額に関する事項

④ 指定地域移行支援の提供開始年月日

⑤ 指定地域移行支援に係る苦情を受け付けるための窓口

を記載した書面を交付すること。

なお、利用者の承諾を得た場合には当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により提供することができる。

(2) 契約内容の報告等(基準第6条)

指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に係る契約が成立した時は、遅滞なく市町村に対し契約成立の旨を報告しなければならないこととしたものである。

(3) 提供拒否の禁止(基準第7条)

指定地域移行支援事業者は、原則として、利用申込みに対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、障害支援区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由が有る場合とは、

① 当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合

② 利用申込者の入所、入院等する障害者支援施設等(基準第1条第2号に規定する障害者支援施設等をいう。以下同じ。)、精神科病院、救護施設等(同条第3号に規定する救護施設等をいう。以下同じ。)又は刑事施設等(同条第4号に規定する刑事施設等をいう。以下同じ。)が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合

③ 当該事業所の運営規程において主たる対象とする障害の種類を定めている場合であって、これに該当しない者から利用申込みがあった場合

④ その他利用申込者に対し自ら適切な指定地域移行支援を提供することが困難な場合等である。

(4) 連絡調整に対する協力(基準第8条)

指定地域移行支援事業者は、市町村又は指定特定相談支援事業者が行う利用者の紹介、地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定地域移行支援の円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこととしたものである。

(5) サービス提供困難時の対応(基準第9条)

指定地域移行支援事業者は、基準第7条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定地域移行支援を提供することが困難であると認めた場合には、基準第9条の規定により、適当な他の指定地域移行支援事業者の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。

(6) 受給資格の確認(基準第10条)

指定地域移行支援の利用に係る地域相談支援給付費の支給を受けることができるのは、地域相談支援給付決定障害者であるため、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に際し、地域相談支援給付決定障害者の提示する地域相談支援受給者証によって、地域相談支援給付決定障害者であること、地域相談支援給付決定の有無及び地域相談支援給付決定の有効期間、地域相談支援給付量等を確かめなければならないこととしたものである。

(7) 地域相談支援給付決定の申請に係る援助(基準第11条)

基準第11条第1項は、地域相談支援給付決定を受けていない者から利用の申込みを受けた場合には、その者の意向を踏まえて速やかに地域相談支援給付費の支給申請に必要な援助を行うこととするものである。

同条第2項は、利用者の地域相談支援給付決定に係る支給期間の終了に伴い、引き続き当該利用者がサービスを利用する意向がある場合には、市町村の標準処理期間を勘案し、あらかじめ余裕をもって当該利用者が支給申請を行うことができるよう申請勧奨等の必要な援助を行うことを定めたものである。

(8) 身分を証する書類の携行(基準第14条)

利用者が安心して指定地域移行支援の提供を受けられるよう、指定地域移行支援事業者は、当該指定地域移行支援事業所の指定地域移行支援従事者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。

なお、この証書等には、当該指定地域移行支援事業所の名称、当該従業者の氏名を記載するものとし、当該従業者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。

(9) サービスの提供の記録(基準第15条)

① 記録の時期

基準第15条第1項は、利用者及び指定地域移行支援事業者が、その時点での指定地域移行支援の利用状況等を把握できるようにするため、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援を提供した際には、当該指定地域移行支援の提供日、提供したサービスの具体的内容等の利用者へ伝達すべき必要な事項を、後日一括して記録するのではなく、サービスの提供の都度記録しなければならないこととしたものである。

② 利用者の確認

同条第2項は、同条第1項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。

(10) 指定地域移行支援事業者が地域相談支援給付決定障害者に求めることのできる金銭の支払の範囲等(基準第16条)

指定地域移行支援事業者は、基準第17条第1項及び第2項に規定する額の他、曖昧な名目による不適切な費用の徴収を行うことはできないこととしたものであるが、利用者の直接便益を向上させるものについては、次の要件を満たす場合に、利用者に金銭の支払を求めることは差し支えないものである。

① 指定地域移行支援のサービス提供の一環として行われるものではないサービスの提供に要する費用であること。

② 利用者に求める金額、その使途及び金銭の支払を求める理由について記載した書面を利用者に交付し、説明を行うとともに、当該利用者の同意を得ていること。

(11) 地域相談支援給付費の額等の受領(基準第17条)

① 法定代理受領を行わない場合

基準第17条第1項は、指定地域移行支援事業者が、法定代理受領を行わない指定地域移行支援を提供した際には、地域相談支援給付決定障害者から法第51条の14第3項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した地域相談支援給付費の額の支払を受けることとしたものである。

② 交通費の受領

同条第2項は、指定地域移行支援の提供に関して、前項の支払を受ける額のほか、地域相談支援給付決定障害者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の利用者を訪問して指定地域移行支援を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を地域相談支援給付決定障害者から受けることができることとしたものである。

③ 領収証の交付

同条第3項は、前2項の規定による額の支払を受けた場合には、地域相談支援給付決定障害者に対して領収証を交付することとしたものである。

④ 利用者の事前の同意

同条第4項は、同条第2項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、地域相談支援給付決定障害者に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、地域相談支援給付決定障害者の同意を得ることとしたものである。

(12) 地域相談支援給付費の額に係る通知等(基準第18条)

① 利用者への通知

基準第18条第1項は、指定地域移行支援事業者は、市町村から法定代理受領により指定地域移行支援に係る地域相談支援給付費の支給を受けた場合には、地域相談支援給付決定障害者に対し、当該地域相談支援給付決定障害者に係る地域相談支援給付費の額を通知することとしたものである。

② サービス提供証明書の利用者への交付

同条第2項は、基準第17条第1項の規定による額の支払を受けた場合には、提供した指定地域移行支援の内容、費用の額その他地域相談支援給付決定障害者が市町村に対し地域相談支援給付費を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を交付しなければならないこととしたものである。

(13) 指定地域移行支援の具体的取扱方針(基準第19条)

① 指定地域移行支援従事者による地域移行支援計画の作成等(第1号)

指定地域移行支援事業所の管理者は、基本相談支援に関する業務及び地域移行支援計画の作成に関する業務その他指定地域移行支援に関する業務を指定地域移行支援従事者に担当させることとしたものである。

② 相談支援専門員による技術的指導及び助言(第2号)

指定地域移行支援事業所の管理者は、相談支援専門員に、相談支援専門員以外の指定地域移行支援従事者に対して、利用者の状況に応じた適切かつ効果的な支援を行うための技術的指導及び助言を行わせることとしたものである。

③ 指定地域移行支援の基本的留意点(第4号)

指定地域移行支援は、利用者及びその家族の主体的な参加及び自らの課題の解決に向けての意欲の醸成と相まって行われることが重要である。このためには、指定地域移行支援について利用者及びその家族の十分な理解が求められるものであり、指定地域移行支援の提供に当たっては、利用者の立場に立って懇切丁寧に行うことを旨とし、サービスの提供方法等について理解しやすいように説明を行うことが肝要である。また、必要に応じて、同じ障害を有する者による支援等適切な手法を通じて行うこととする。

(14) 地域移行支援計画の作成等(基準第20条)

① 地域移行支援計画

基準第20条においては、指定地域移行支援従事者が作成すべき地域移行支援計画について規定している。

地域移行支援計画は、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、指定地域移行支援の目標及びその達成時期、指定地域移行支援を提供する上での留意事項等を記載した書面である。

また、地域移行支援計画は、利用者の心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握(アセスメント)を行い、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上での適切な支援内容の検討に基づいて立案されるものである。

なお、地域移行支援計画の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。

② 指定地域移行支援従事者の役割

地域移行支援従事者は、指定特定相談支援事業者が作成したサービス等利用計画を踏まえて、当該指定地域移行支援事業所以外の保健医療サービス又はその他の福祉サービス等との連携も含めて、地域移行支援計画の原案を作成し、以下の手順により地域移行支援計画に基づく支援を実施するものである。

ア 利用者に係る障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センターにおける担当者を招集して行う会議(計画作成会議)を開催し、地域移行支援計画の原案について意見を求めること

イ 当該地域移行支援計画の原案の内容について、利用者及びその家族に対して説明し、文書により当該利用者の同意を得ること

ウ 利用者に対して地域移行支援計画を交付すること

エ 適宜、当該地域移行支援計画の実施状況の把握及び当該地域移行支援計画を見直すべきかどうかについての検討を行い、必要に応じて地域移行支援計画の変更を行うこと

(15) 地域における生活に移行するための活動に関する支援(基準第21条)

① 基準第21条第1項は、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に当たっては、利用者の心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等に応じた適切かつ効果的な支援ができるよう、利用者の状況の的確な把握に努めなければならないこととしたものである。

② 同条第2項は、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に当たっては、一定の期間の中で地域移行に向けた目標を設定して集中的に支援することが望ましいことから、おおむね週1回以上、利用者との対面による支援を行わなければならないこととしたものである。

なお、利用者との対面による支援とは、利用者が入所、入院等する障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等又は刑事施設等や体験宿泊場所への訪問による相談支援や地域生活への移行のための外出時の同行による支援をいう。

また、指定地域移行支援事業者は、地域移行支援の提供に当たっては、障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センターにおける担当者との役割分担を明確にするとともに、継続的に連絡調整や支援方針の協議等を行い、障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センターの担当者と緊密に連携して、利用者の地域生活への移行に向けた支援を一体的に行うよう努めること。

(16) 障害福祉サービスの体験的な利用支援(基準第22条)

指定地域移行支援事業者は、利用者に対し、障害福祉サービスの体験的な利用支援を提供する場合は、指定障害福祉サービス事業者等への委託により行うことを規定したものである。

なお、障害福祉サービスの体験的な利用支援の提供に当たっては、委託先の指定障害福祉サービス事業者等の担当者との連絡調整や利用者に対する相談援助の支援が必要となるため、原則として、指定地域移行支援従事者が利用者に同行による支援を行うこと。

また、指定地域移行支援従事者は、障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センター等及び委託先の指定障害福祉サービス事業者等の担当職員と、体験的な利用に当たっての事前の連絡調整や留意点等の情報共有、当該支援を行った際の状況や当該状況を踏まえた今後の支援方針等の情報共有を行うなど、緊密な連携を図ること。

(17) 体験的な宿泊支援(基準第23条)

① 基準第23条第1項は、体験的な宿泊支援を行う場所について、最低限必要となる要件を定めたものである。

なお、体験的な宿泊支援については、地域生活と同様の環境で実施すること。

② 基準第23条第2項は、体験的な宿泊支援について、指定地域移行支援事業者が自らアパート等を確保して実施する他、指定障害福祉サービス事業者等への委託により共同生活援助の共同生活住居や短期入所事業所等の空室を活用して行うことができることを規定したものである。

③ なお、指定地域移行支援事業者は、体験的な宿泊支援の提供に当たっては、委託先の指定障害福祉サービス事業者等の担当者との連絡調整や利用者に対する相談援助の支援が必要となるため、原則として、指定地域移行支援従事者が利用者に同行又は宿泊場所への訪問による支援を行うこと。

また、指定地域移行支援従事者は、障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センター等及び委託先の指定障害福祉サービス事業者等の担当職員と、体験的な宿泊に当たっての事前の連絡調整や留意点等の情報共有、緊急時の連絡体制の確保、当該支援を行った際の状況や当該状況を踏まえた今後の支援方針等の情報共有を行うなど、緊密な連携を図ること。

(18) 関係機関との連絡調整等(基準第24条)

基準第24条は、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に当たっては、利用者が地域生活に移行する上で必要な市町村や保健所等の行政機関、指定障害福祉サービス事業者等との連絡調整を行うとともに、住居の確保や行政機関の手続等について、当該利用者又はその家族が行うことが困難な場合は、当該利用者の同意を得て代行するなど必要な支援を行うこととしたものである。

(19) 地域相談支援給付決定障害者に関する市町村への通知(基準第25条)

法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって自立支援給付の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることに鑑み、指定地域移行支援事業者は、その地域相談支援給付決定障害者が偽りその他不正な手段によって地域相談支援給付費の支給を受け、又は受けようとしたときは、遅滞なく、意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。

(20) 管理者の責務(基準第26条)

指定地域移行支援事業所の管理者は、指定地域移行支援従事者その他の従業者及び業務の一元的管理並びに指定地域移行支援従事者に基準第2章第3節(運営に関する基準)を遵守させるための指揮命令を行うことを規定したものである。

(21) 運営規程(基準第27条)

指定地域移行支援の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定地域移行支援の提供を確保するため、基準第27条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定地域移行支援事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

① 従業者の職種、員数及び職務内容(第2号)

従業者については、指定地域移行支援従事者とその他の従業者に区分し、員数及び職務内容を記載することとする。

② 指定地域移行支援の提供方法及び内容並びに地域相談支援給付決定障害者から受領する費用及びその額(第4号)

指定地域移行支援の提供方法及び内容については、サービスの内容及び地域相談支援給付決定障害者から相談を受ける場所、課題分析の手順等を記載するものとする。

地域相談支援給付決定障害者から受領する費用及びその額については、地域相談支援給付費(法定代理受領を行わない場合に限る。)のほかに、基準第17条第2項に規定する額を指すものである。

③ 通常の事業の実施地域(第5号)

通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込みに係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること。

④ 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類(第6号)

指定地域移行支援事業者は、障害の種類にかかわらず利用者を受け入れることを基本とするが、サービスの専門性を確保するためやむを得ないと認められる場合においては、事業の主たる対象とする障害の種類を特定して事業を実施することも可能であること。

⑤ 虐待の防止のための措置に関する事項(第7号)

「虐待の防止のための措置」については、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成23年法律第79号)において、障害者虐待を未然に防止するための対策及び虐待が発生した場合の対応について規定しているところであるが、より実効性を担保する観点から、指定地域移行支援事業者は、利用者に対する虐待を早期に発見して迅速かつ適切な対応が図られるための必要な措置について、あらかじめ運営規程に定めることとしたものである。

具体的には、

ア 虐待の防止に関する責任者の選定

イ 成年後見制度の利用支援

ウ 苦情解決体制の整備

エ 従業者に対する虐待の防止を啓発・普及するための研修の実施(研修方法や研修計画など)

等を指すものであること。

(22) 勤務体制の確保等(基準第28条)

利用者に対する適切な指定地域移行支援の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。

① 基準第28条第1項は、指定地域移行支援事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、指定地域移行支援従事者その他の従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。

② 同条第2項は、当該指定地域移行支援事業所の指定地域移行支援従事者によって指定地域移行支援を提供するべきことを規定したものであるが、指定地域移行支援事業所の従業者とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある従業者を指すものであること。ただし、基準第22条及び第23条第2項の規定により、指定障害福祉サービス事業者等への委託により行われる障害福祉サービスの体験的な利用支援及び体験的な宿泊支援並びに指定地域移行支援事業者の事業所所在地と利用者の退院、退所等した後の居住予定地が遠隔地にある場合における他の指定地域移行支援事業者への委託により行われる住居の確保、利用者が地域生活に移行する上で必要な市町村や保健所等の行政機関及び指定障害福祉サービス事業者等との連絡調整・手続等については、この限りでない。

③ 同条第3項は、当該委託を行う指定地域移行支援事業者は、当該委託業務の受託者の業務の実施状況を定期的に確認、記録しなければならないことを定めたものである。

④ 同条第4項は、当該指定地域移行支援事業所の指定地域移行支援従事者の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。

(23) 設備及び備品等(基準第29条)

① 事務室

指定地域移行支援事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。

なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定地域移行支援の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。

② 受付等のスペースの確保

事務室又は指定地域移行支援の事業を行うための区画については、利用申込みの受付、相談、計画作成会議等に対応するのに適切なスペースを確保するものとし、相談のためのスペース等は利用者が直接出入りできるなど利用しやすい構造とする。

③ 設備及び備品等

指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定地域移行支援の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

なお、事務室又は区画、設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。

(24) 衛生管理等(基準第30条)

指定地域移行支援事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定地域移行支援事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。

(25) 掲示等(第31条)

① 基準第31条第1項は、基準第5条の規定により指定地域移行支援の提供開始時に、重要事項(その内容については(1)参照)を利用者に対して説明を行った上で同意を得ることに加え、指定地域移行支援事業所への当該重要事項の掲示を義務づけることにより、サービス提供が開始された後、継続的にサービスが行われている段階においても利用者の保護を図る趣旨である。

② 同条第2項は、基本相談支援及び地域移行支援の実施状況等を公表することにより、利用者のサービスの選択に資することから、第1項に加え、当該重要事項の公表に努めるべき旨を規定したものである。

なお、公表の方法については、ホームページによる掲載等、適宜工夫すること。

(26) 秘密保持等(基準第32条)

① 基準第32条第1項は、指定地域移行支援事業所の従業者及び管理者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。

② 同条第2項は、指定地域移行支援事業者に対して、過去に当該指定地域移行支援事業所の従業者及び管理者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定地域移行支援事業者は、当該指定地域移行支援事業所の従業者等が、従業者等でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者の雇用時等に取り決め、例えば違約金についての定めを置くなどの措置を講ずべきこととするものである。

③ 同条第3項は、指定地域移行支援従事者及び利用者に係る障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センターにおける担当者が、計画作成会議において利用者又はその家族の個人情報を用いる場合は、指定地域移行支援事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。

(27) 利益供与等の禁止(基準第34条)

① 基準第34条第1項は、指定特定相談支援事業者若しくは指定障害福祉サービス事業者等による指定地域移行支援事業者の紹介が公正中立に行われるよう、指定地域移行支援事業者は、指定特定相談支援事業者又は障害福祉サービス事業者等に対し、利用者に対して当該指定地域移行支援事業者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。

② 同条第2項は、利用者による指定特定相談支援事業者、指定障害福祉サービス事業者等の選択が公正中立に行われるよう、指定地域移行支援事業者は、指定特定相談支援事業者又は障害福祉サービス事業者等から、当該事業所を利用する利用者やサービス提供が終了した利用者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。

(28) 苦情解決(基準第35条)

① 基準第35条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情解決の体制及び手順等当該事業所における苦情を解決するための措置を講ずることをいうものである。当該措置の概要については、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に記載し、事業所に掲示することが望ましい。

② 同条第2項は、苦情に対し指定地域移行支援事業者が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定地域移行支援事業所が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務付けたものである。また、指定地域移行支援事業者は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。

なお、基準第38条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、5年間保存しなければならない。

③ 同条第3項から第6項までの規定は、住民に最も身近な行政庁である市町村及び市町村の総括的立場にある都道府県が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村及び都道府県が、指定地域移行支援事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言及び報告命令を行えることを運営基準上、明確にしたものである。

④ 同条第7項は、社会福祉法上、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が福祉サービスに関する苦情の解決について相談等を行うこととされたことを受けて、運営適正化委員会が行う同法第85条に規定する調査又はあっせんにできるだけ協力することとしたものである。

(29) 事故発生時の対応(基準第36条)

利用者が安心して指定地域移行支援の提供を受けられるよう、指定地域移行支援事業者は、利用者に対する指定地域移行支援の提供により事故が発生した場合は、都道府県、市町村、当該利用者の家族等に対して連絡を行うとともに、必要な措置を講じ、また、利用者に対する指定地域移行支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。

なお、基準第38条第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録は、5年間保存しなければならない。

このほか、以下の点に留意するものとする。

① 利用者に対する指定地域移行支援の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定地域移行支援事業者が定めておくことが望ましいこと。

② 指定地域移行支援事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくことが望ましいこと。

③ 指定地域移行支援事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。

なお、「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(平成14年3月28日福祉サービスにおける危機管理に関する検討会)が示されているので、参考にされたい。

(30) 会計の区分(基準第37条)

指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援事業所ごとに経理を区分するとともに、指定地域移行支援の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものである。

(31) 記録の整備(基準第38条)

基準第38条第2項により、指定地域移行支援事業者は、少なくとも次に掲げる記録をその完結の日から5年間備えておかなければならないこととしたものであること。

① 第15条第1項に規定する指定地域移行支援の提供に係る記録

② 地域移行支援計画

③ 第25条の規定による市町村への通知に係る記録

④ 第35条第2項に規定する苦情の内容等の記録

⑤ 第36条第2項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

第三 指定地域定着支援に関する基準

1 人員に関する基準

準用(基準第40条)

基準第3条及び第4条の規定は、指定地域定着支援の事業について準用することから、第二の1を参照されたい。

2 運営に関する基準

(1) 指定地域定着支援の具体的取扱方針(基準第41条)

① 指定地域定着支援従事者による地域定着支援台帳の作成(第1号)

指定地域定着支援事業所の管理者は、基本相談支援に関する業務及び地域定着支援台帳の作成に関する業務その他指定地域定着支援に関する業務を指定地域定着支援従事者に担当させることとしたものである。

② 相談支援専門員による技術的指導及び助言(第2号)

指定地域定着支援事業所の管理者は、相談支援専門員に、相談支援専門員以外の指定地域定着支援従事者に対して、利用者の状況に応じた適切な支援を行うための技術的指導及び助言を行わせることとしたものである。

③ 指定地域定着支援の基本的留意点(第4号)

指定地域定着支援は、緊急時等に利用者の家族の協力が必要となる場合が想定されること等から、指定地域定着支援について利用者及びその家族の十分な理解が求められるものであり、指定地域定着支援の提供に当たっては、利用者の立場に立って懇切丁寧に行うことを旨とし、サービスの提供方法等について理解しやすいように説明を行うことが肝要である。また、必要に応じて、同じ障害を有する者による支援等適切な手法を通じて行うこととする。

(2) 地域定着支援台帳の作成等(基準第42条)

① 地域定着支援台帳

基準第42条においては、指定地域定着支援従事者が作成すべき地域定着支援台帳について規定している。

地域定着支援台帳は、利用者の心身の状況、その置かれている環境、緊急時において必要となる当該利用者の家族等及び当該利用者が利用する指定障害福祉サービス事業者等、医療機関その他の関係機関の連絡先その他の利用者に関する情報を記載した書面である。

また、地域定着支援台帳は、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握(アセスメント)を行い、緊急時等に適切な対応を行うために作成するものである。

なお、地域定着支援台帳の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。

また、指定地域定着支援従事者は、常に利用者の状況の変化に留意し、その把握に努め、当該地域定着支援台帳を見直し、必要に応じて当該地域定着支援台帳の変更を行うこと。

(3) 常時の連絡体制の確保等(基準第43条)

常時の連絡体制については、当該指定地域定着支援事業所が直接利用者又はその家族との連絡体制を確保することが必要である。

なお、常時の連絡体制の確保は、夜間等に職員を配置する他、携帯電話等により利用者又はその家族との常時の連絡体制を確保する方法によることも可能である。

利用者の状況把握については、居宅訪問等の見守りによる支援により利用者の状況及び利用者の緊急時等に適切に対応するための情報を把握することを趣旨としたものである。

(4) 緊急の事態における支援等(基準第44条)

① 基準第44条第1項及び第2項は、緊急に支援が必要な事態が生じた場合に、速やかに利用者の居宅訪問や電話等による状況把握を行い、利用者の状況に応じて必要な措置を適切に講ずべき旨を規定したものである。

なお、一時的な滞在による支援については、利用者への付添いによる見守り等の支援を適切に行うこと。

② 同条第3項は、一時的な滞在による支援を行う場所について、最低限必要となる要件を定めたものである。

③ 同条第4項は、一時的な滞在による支援について、指定地域定着支援事業者が当該指定地域定着支援事業所の宿直室等を確保して実施する他、指定障害福祉サービス事業者等への委託により障害者支援施設や短期入所事業所等の空室を活用して行うことができることを規定したものである。

(5) 準用(基準第45条)

基準第5条から第18条まで及び第25条から第38条までの規定は、指定地域定着支援の事業について準用することから、第二の2の(1)から(12)まで及び(19)から(31)までを参照されたい。

第四 附則

従業者の経過措置(基準附則第2条)

基準附則第2条は、平成24年4月1日前に、「精神障害者地域移行・地域定着支援事業実施要綱」(平成20年5月30日障発第0530001号当職通知別紙)により「精神障害者地域移行・地域定着支援事業」を実施していた事業所であって、直ちに相談支援専門員を配置することが困難な事業所について、サービスの提供体制を確保する観点から、指定地域移行支援の事業を実施することができるよう経過措置として規定したものである。

なお、当該事業所については、できる限り速やかに相談支援専門員を配置することが望ましい。