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○理容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習の基準等の運用について

(平成27年3月31日)

(健発0331第13号)

(各都道府県知事あて厚生労働省健康局長通知)

(公印省略)

地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(平成26年法律第51号)が平成26年6月4日に、地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係政令等の整備等に関する政令(平成27年政令第128号)及び地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律の施行に伴う厚生労働省関係省令の整備に関する省令(平成27年厚生労働省令第55号)が平成27年3月31日に公布され、一部を除いて平成27年4月1日から施行されることとなった。

これに伴い、理容師法(昭和22年法律第234号)及び理容師養成施設指定規則(平成10年厚生労働省令第5号)の一部が改正され、理容師養成施設の指導等に係る事務については、都道府県知事が行うこととなった。

ついては、標記に関する理容師養成施設への指導等に当たっては、別紙により取り扱われたい。

(別紙)

理容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習の基準の運用

1 総則

理容師法及び美容師法の一部を改正する法律(平成7年法律第109号。以下「改正法」という。)附則第5条第1項の規定に基づき、学校教育法(昭和22年法律第26号)第57条に規定する者(改正法附則第5条第2項に規定する者を含む。以下「中学校卒業者等」という。)であって、「理容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習の基準等」(平成20年厚生労働省告示第41号。以下「中卒者等の講習の基準」という。)で定める講習の課程を修了し、かつ、理容師になるのに必要な知識及び技能を修得したものは、理容師試験を受験することができること。

2 入所試験

(1) 目的

中学校卒業者等に対する入所試験は、理容師養成施設における学習に支障のない程度の学力を有する者を選抜するために行うこと。

(2) 試験課目

中学校卒業者等に対する入所試験は、中学校の必修教科のうち、理容師養成施設における教科課目の内容を勘案し、理容師養成施設において必要と認めた課目について行うこと。

(3) 試験の方法

理容師養成施設において、適切な方法を定めること。

(4) 入所の判定

理容師養成施設において、入所後に行う講習との関連を考慮の上、入所試験の結果からみて適当な学力を有すると認められる者を入所させること。

3 講習

(1) 目的

講習は、学校教育法第90条に規定する者に該当しない生徒(以下「講習対象生徒」という。)に対し、理容師養成施設における教科課目の学習を補助するために実施すること。

(2) 講習の内容

ア 講習は、「中卒者等の講習の基準」に基づき、それぞれの講習課目ごとに適切に行うこと。

イ 授業の1単位時間は50分を標準とし、講習課目の特質等に応じて、授業の実施形態を工夫することができること。

ウ 各講習課目の内容は、別添「理容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習課目の内容の基準」によること。

(3) 講師

理容師養成施設においては、それぞれの講習課目ごとに、専門的な知識及び技能を有する者を講師として選任すること。

(4) 講習の方法

ア 講習は、理容師養成施設における教科課目の学習との関連を考慮し、計画的に行うこと。

イ 講習は、原則として各養成課程ごとに設ける。ただし、講習対象生徒の負担等を勘案し、当該養成施設における他の養成課程の講習の履修を認めることができること。

ウ 講習は、理容師養成施設において、講習対象生徒の負担等を勘案し、適当と認められるときは、通信授業及び添削指導により行うことができること。この場合においては、「理容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準」(平成20年厚生労働省告示第42号)第二の二及び「理容師養成施設の通信課程における授業方法等の基準の運用について」(平成27年3月31日健発0331第15号厚生労働省健康局長通知)1((1)ア、イ及び(2)を除く。)及び5に定めるもののほか、次の方法によるものとすること。

(ア) 教材は、別添「理容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習課目の内容の基準」に従って構成されるものであること。

(イ) 添削による指導は、それぞれの講習課目について3回以上行うこと。

4 講習の免除

(1) 美容師養成施設に入学し、「美容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習の基準等」(平成20年厚生労働省告示第46号)に基づき、当該養成施設が講習課程の修了を認定した者については、講習を免除することができること。

(2) 理容師養成施設は、講習対象生徒に対し、個別の入所資格審査を行い、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者については、講習課目の区分ごとに、その課目の履修を免除し、又は時間を減ずることができるものとすること。

この場合において、その入所資格審査の実施に当たっては、「保健医療分野及び福祉分野における各資格の養成所の入所資格等の見直しについて」(平成15年10月7日医政発第1007001号・健発第1007001号・社援発第1007003号厚生労働省医政局長・厚生労働省健康局長・厚生労働省社会・援護局長通知。以下「各資格の養成所の入所資格等の見直しについて」という。)2((1)イ(イ)を除く。)に基づくほか、高等学校等を途中で退学した者にあっては、当該高等学校等での在学中における学習歴を踏まえた上で行うこと。

(3) 理容師養成施設は、講習対象生徒が既に18歳に達している場合は、個別の入所資格審査を行い、高等学校を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者については、講習を免除することができるものとすること。この場合において、その入所資格審査の実施に当たっては、「各資格の養成所の入所資格等の見直しについて」に基づき、適切に行わなければならないこと。

5 その他

(1) 理容師養成施設においては、改正法附則第5条第1項及び第2項の規定が設けられた趣旨にかんがみ、入所資格の設定に当たって、中学校卒業者等の志望の動向に十分留意しなければならないこと。

(2) 中学校卒業者等に入所を認める理容師養成施設においては、入所試験及び講習の実施に当たって、中学校卒業者等の負担加重とならないよう、十分配慮しなければならないこと。

(3) 理容師養成施設の長は、講習の課程を修了していない講習対象生徒に対しては、理容師養成施設指定規則第10条(平成10年厚生労働省令第5号)に規定する卒業証書を授与してはならないこと。

(別添)

理容師養成施設における中学校卒業者等に対する講習課目の内容の基準

第1 現代社会

1 実施方針

人間の尊重と科学的な探究の精神に基づいて、広い視野に立って、現代の社会と人間についての理解を深めさせ、現代社会の基本的な問題について主体的に考え公正に判断するとともに自ら人間としての在り方生き方について考える力の基礎を養い、良識ある公民として必要な能力と態度を育てる。

2 各項目の内容

(1) 現代に生きる私たちの課題

現代社会の諸問題について自己とのかかわりに着目して課題を設け、倫理、社会、文化、政治、経済など様々な観点から追究する学習を通して、現代社会に対する関心を高め,いかに生きるかを主体的に考えることの大切さを自覚させる。

(2) 現代の社会と人間としての在り方生き方

現代社会について多様な角度から理解させるとともに、青年期の意義、経済活動の在り方、政治参加、民主社会の倫理、国際社会における日本の果たすべき役割などについて自己とのかかわりに着目して考えさせる。

ア 現代の社会生活と青年

大衆化、少子高齢化、高度情報化、国際化など現代社会の特質と社会生活の変化について理解させる。また、生涯における青年期の意義と自己形成の課題について考えさせるとともに、自己実現と職業生活、社会参加に触れながら、現代社会における青年の生き方について自覚を深めさせる。

イ 現代の経済社会と経済活動の在り方

現代の経済社会における技術革新と産業構造の変化、企業の働き、公的部門の役割と租税、金融機関の働き、雇用と労働問題、公害の防止と環境保全について理解させるとともに、個人と企業の経済活動における社会的責任について考えさせる。

ウ 現代の民主政治と民主社会の倫理

基本的人権の保障と法の支配、国民主権と議会制民主主義、平和主義と我が国の安全について理解を深めさせ、日本国憲法の基本的原則について国民生活とのかかわりから認識を深めさせるとともに、世論形成と政治参加の意義について理解させ、民主政治における個人と国家について考えさせる。また、生命の尊重、自由・権利と責任・義務、人間の尊厳と平等、法と規範などについて考えさせ、民主社会において自ら生きる倫理について自覚を深めさせる。

エ 国際社会の動向と日本の果たすべき役割

世界の主な国の政治や経済の動向に触れながら、人権、国家主権、領土に関する国際法の意義、人種・民族問題、核兵器と軍縮問題、我が国の安全保障と防衛、資本主義経済と社会主義経済の変容、貿易の拡大と経済摩擦、南北問題について理解させ、国際平和や国際協力の必要性及び国際組織の役割について認識させるとともに、国際社会における日本の果たすべき役割及び日本人の生き方について考えさせる。

3 学習指導上の留意事項

(1) 必修の教科課目、特に、関係法規・制度、理容文化論、理容運営管理との関連を考慮するとともに、細かな事象や高度な事項・事柄には深入りしないようにすること。

(2) 生徒が主体的に自己の生き方にかかわって考えるよう学習指導の展開を工夫すること。

(3) 的確な資料に基づいて、社会的事象に対する客観的かつ公正なものの見方や考え方を育成するとともに、統計などの資料の見方やその意味、情報の検索や処理の仕方などについて指導すること。

第2 化学

1 実施方針

自然の物事・現象に関する観察、実験などを通じて、エネルギーと物質の成り立ちを中心に、自然の物事・現象について理解させるとともに、人間と自然とのかかわりについて考察させ、自然に対する総合的な見方や考え方を養う。

2 各項目の内容

(1) 物質の構成と変化

ア 物質の構成単位

原子、分子、イオンとその結合についての基礎を理解させる。

イ 物質の変化

物質の状態変化及び化学変化における原子、分子、イオンの状態をエネルギーと関連させて理解させる。

(2) 物質の利用

ア 日常生活と物質

人間生活とかかわりの深い物質の特性と利用及び物質の製造にエネルギーが必要であることを理解させる。

イ 生物のつくる物質

生物が有用な物質をつくること及び生物体内の化学反応の精妙さについて理解させる。

3 学習指導上の留意事項

(1) 必修の教科課目、特に、理容の物理・化学、理容技術理論及び理容実習との関連を考慮するとともに、詳細で羅列的な扱いはせず、高度な事項・事柄には深入りしないようにすること。

(2) 生徒が興味、関心をもって学習できるよう教材や学習方法を工夫すること。

第3 保健

1 実施方針

個人及び社会生活における健康・安全について理解を深めるようにし、生涯を通じて自らの健康を適切に管理し、改善していく資質や能力を育てる。

2 各項目の内容

(1) 現代社会と健康

我が国の疾病構造や社会の変化に対応して、健康を保持増進するためには、ヘルスプロモーションの考え方を生かし、人々が適切な生活行動を選択し実践すること及び環境を改善していく努力が重要であることを理解できるようにする。

ア 健康の考え方

健康の考え方やその保持増進の方法は、国民の健康水準の向上や疾病構造の変化に伴って変わってきており、健康に関する個人の適切な意志決定や行動選択が重要となっていること。また、我が国や世界では、様々な保健活動や対策などが行われていること。

イ 健康の保持増進と疾病の予防

健康を保持増進するとともに、生活習慣病を予防するためには、食事、運動、休養及び睡眠の調和のとれた生活の実践及び喫煙、飲酒に関する適切な意志決定や行動選択が必要であること。

薬物乱用は心身の健康などに深刻な影響を与えることから行ってはならないこと。

また、医薬品は正しく使用する必要があること。

感染症の予防には、適切な対策が必要であること。

ウ 精神の健康

人間の欲求と適応機制には様々な種類があること及び精神と身体には密接な関連があること。また、精神の健康を保持増進するためには、欲求やストレスに適切に対処するとともに、自己実現を図るよう努力していくことが重要であること。

エ 交通安全

交通事故を防止するためには、車両の特性の理解,安全な運転や歩行など適切な行動,自他の生命を尊重する態度及び交通環境の整備などが重要であること。また、交通事故には責任や補償問題が生じること。

オ 応急手当

傷害や疾病に際しては、心肺蘇(そ)生法などの応急手当を行うことが重要であること。また、応急手当には正しい手順や方法があること。

(2) 生涯を通じる健康

生涯の各段階において健康についての課題があり、自らこれに適切に対応する必要があること及び我が国の保健・医療制度や機関を適切に活用することの重要性が理解できるようにする。

ア 生涯の各段階における健康

生涯にわたって健康を保持増進するためには、生涯の各段階の健康課題に応じた自己の健康管理を行う必要があること。

イ 保健・医療制度及び地域の保健・医療機関生涯を通じて健康を保持増進するためには、我が国の保健・医療制度や機関について知り、地域の保健所、保健センター、医療機関などを適切に活用することが重要であること。

(3) 社会生活と健康

社会生活における健康の保持増進には,環境などが深くかかわっていることから、環境と健康、環境と食品の保健、労働と健康について理解できるようにする。

ア 環境と健康

人間の生活や産業活動は、自然環境を汚染し健康に影響を及ぼすこともあること。このため、様々な対策がとられていること。

イ 環境と食品の保健

学校や地域の環境を健康に適したものとするよう基準が設定され、環境衛生活動が行われていること。また、食品の安全性を確保するための基準が設定され、食品衛生活動が行われていること。

ウ 労働と健康

職業病や労働災害の防止には、作業形態や作業環境の変化を踏まえた健康管理及び安全管理を行うことが必要であること。

3 学習指導上の留意事項

必修の教科課目、特に、衛生管理及び理容保健との関連を考慮するとともに、具体的事例をあげることによって生徒の理解を高めるようにすること。