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○周産期医療対策事業等実施要綱の一部改正について

(平成26年4月1日)

(医政発0401第3号)

(各都道府県知事あて厚生労働省医政局長通知)

(公印省略)

周産期医療対策事業等については、平成21年3月30日医政発第0330011号厚生労働省医政局長通知「周産期医療対策事業等の実施について」により行われているところであるが、今般、同通知の別添「周産期医療対策事業等実施要綱」の一部を別紙「新旧対照表」のとおり改正し、平成26年4月1日より適用することとしたので通知する。

また、貴管下関係者に対しては、貴職からこの旨通知されたい。

別紙

別添

○周産期医療対策事業等実施要綱

(平成21年3月30日)

(医政発第0330011号)

改正 平成22年 3月24日医政発0324第20号

同 23年 3月29日医政発0329第 7号

同 26年 4月 1日医政発0401第 3号

第1 周産期医療対策事業

1 目的

この事業は、診療体制の整備された分娩環境や未熟児に対する最善の対応など、充実した周産期医療に対する需要の増加に応えるため、地域において妊娠、出産から新生児に至る高度専門的な医療を効果的に提供する、総合的な周産期医療体制を整備し、安心して子どもを生み育てることができる環境づくりの推進を図ることを目的とする。

2 事業の実施主体

この事業の実施主体は、都道府県とする。

3 事業内容

(1) 周産期医療協議会の設置

ア 都道府県は、関係行政機関、医療関係団体等をもって構成する周産期医療協議会を設置するものとする。

イ 周産期医療協議会においては、次に掲げる事項に関し、地域の実情に応じて検討及び協議を行うものとする。

(ア) 周産期医療体制に係る調査分析に係る事項

(イ) 周産期医療体制整備計画に関する事項

(ウ) 母体及び新生児の搬送及び受入れ(県域を越えた搬送及び受入れを含む。)に関する事項

(エ) 総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターに関する事項

(オ) 周産期医療情報センター(周産期救急情報システムを含む。)に関する事項

(カ) 搬送コーディネーターに関する事項

(キ) 地域周産期母子医療センターその他の地域における周産期医療に関連する病院、診療所及び助産所(以下、「地域周産期医療関連施設」という。)等の周産期医療関係者に対する研修に関する事項

(ク) その他周産期医療体制の整備に関し必要な事項

なお、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターについては、次の「4 周産期医療体制整備に係る基本方針」においてこれを定める。

(2) 周産期救急情報システム事業

ア 都道府県は、周産期医療の運営に必要な情報の収集を行い、周産期医療体制整備の効果的な推進を図る。また、総合周産期母子医療センター等に、周産期医療情報センターを設置し、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターその他の地域周産期医療関連施設等と通信回線等を接続し、周産期救急情報システムを運営するものとする。

イ 周産期医療情報センターは、次に掲げる情報を収集し、関係者に提供するものとする。

(ア) 周産期医療に関する診療科別医師の存否及び勤務状況

(イ) 病床の空床状況

(ウ) 手術、検査及び処置の可否

(エ) 重症例や産科合併症以外の合併症による母体救急患者の受入れ可能状況

(オ) 救急搬送に同行する医師の存否(迎え搬送の可否等)

(カ) その他地域の周産期医療の提供に関し必要な事項

ウ 情報収集・提供の方法

電話、FAX、コンピューター等適切な方法により情報を収集し、関係者に提供するものとする。

エ 地域周産期医療関連施設等からの問い合わせに対して医療技術並びに適切な受入施設の選定、確認及び回答等の情報提供を行う。

オ 救急医療情報システムとの連携

周産期救急情報システムについては、救急医療情報システムとの一体的運用や相互の情報参照等により、救急医療情報システムと連携を図るものとする。また、周産期救急情報システムと救急医療情報システムを連携させることにより、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センターその他の地域周産期医療関連施設、救命救急センター、消防機関等が情報を共有できる体制を整備することが望ましい。

(3) 相談事業

都道府県は、周産期医療情報センター等に専門相談員を配置し、地域周産期医療関連施設等からの相談に応じるとともに、医療専門情報誌やパンフレット等を用いた普及啓発を図るものとする。

(4) 周産期医療関係者研修事業

ア 都道府県は、地域周産期医療関連施設等の医師、助産師、看護師、搬送コーディネーター、NICU入院児支援コーディネーター(以下、「支援コーディネーター」という。)等に対し、地域の保健医療関係機関・団体等と連携し、総合周産期母子医療センター等において必要な専門的・基礎的知識及び技術を習得させるため、到達目標を定め研修を行うものとする。

イ 到達目標の例

(ア) 周産期医療に必要とされる基本的な知識及び技術の習得

(イ) 緊急を要する母体及び新生児に対する的確な判断力及び高度な技術の習得

ウ 研修の内容の例

(ア) 産科

a 胎児及び母体の状況の適切な把握と迅速な対応

b 産科ショックとその対策

c 妊産婦死亡とその防止対策

d 帝王切開の問題点

(イ) 新生児医療

a ハイリスク新生児の医療提供体制

b 新生児関連統計・疫学データ

c 新生児搬送の適応

d 新生児蘇生法

e ハイリスク新生児の迅速な判断

f 新生児管理の実際

g 退院後の保健指導、フォローアップ実施方法等

(ウ) その他

a 救急患者の緊急度の判断、救急患者の搬送及び受入ルール等

b 他の診療科との合同の症例検討会等

(5) 周産期医療調査・研究事業

ア 都道府県は、イに掲げる事項について調査し、この調査結果に基づきウに掲げる事項について研究を行うものとする。また、この調査及び研究の結果について、都道府県は、住民に公表するとともに、周産期医療協議会に報告し、周産期医療体制の整備に係る検討に活用するものとする。

イ 調査事項

(ア) 母子保健関連指標(必要に応じて妊娠週数別)

(イ) 医療資源・連携等に関する情報

(ウ) その他周産期医療体制の整備に関し必要な事項

ウ 研究事項

(ア) 母体及び新生児の搬送及び受入れ(県域を越えた搬送及び受入を含む。)に関する現在の問題点並びに改善策

(イ) 周産期救急情報システムの効果的な活用方法及び周産期救急情報システムと救急医療情報システムとの連携方法

(ウ) 産科合併症以外の合併症を有する母体への救急医療等における周産期医療に関する診療科間の連携体制

(エ) 周産期医療に関する医療圏間の連携体制(県域を越えた広域の連携体制を含む。)

(オ) 地域周産期医療関連施設等の周産期医療関係者に対する効果的な研修

(カ) その他周産期医療体制の整備に関する必要な事項

(6) NICU入院児支援事業

ア 都道府県は、新生児集中治療室(以下「NICU」という。)、NICUに併設された回復期治療室(以下「GCU」という。)等に長期入院している児童について、その状態に応じた望ましい療養・療育環境への円滑な移行を図るため、支援コーディネーターを配置する。

イ 支援コーディネーターの業務は以下のとおりとする。

(ア) 必須の業務

NICU、GCU等の長期入院児の状況把握及び現在入院中の医療機関と望ましい移行先(他医療施設、療育施設・福祉施設、在宅等)との連携・調整、在宅等への移行に際する個々の家族のニードに合わせた支援プログラムの作成並びに医療的・福祉的環境の調整及び支援、その他望ましい療育・療養環境への移行に必要な事項を行う。

(イ) 支援コーディネーターは、必要に応じ、移行後の緊急時に備えた救急医療機関・専門的医療機関との連携を行う。

ウ 支援コーディネーターは、新生児医療、地域の医療施設、訪問看護ステーション、療育施設・福祉施設、在宅医療・福祉サービス等に精通した看護師、社会福祉士等が行うものとする。

(7) 搬送コーディネーター事業

ア 都道府県は、医療機関相互の連携を強化するため、受入妊婦・新生児の病状に応じた専門病院等の搬送先を調整・確保するため「搬送コーディネーター」を総合周産期母子医療センター、周産期医療情報センター、救急医療情報センター等に配置する。

イ 搬送コーディネーターの業務は以下のとおりとする。

(ア) 医療施設又は消防機関から、母体又は新生児の受入施設の調整の要請を受け、受入医療施設の選定、確認及び回答を行うこと。

(イ) 医療施設から情報を積極的に収集し、情報を更新するなど、周産期救急情報システムの活用推進に努めること。

(ウ) 必要に応じて住民に医療施設の情報提供を行うこと。

(エ) その他母体及び新生児の搬送及び受入れに関し必要な事項

4 周産期医療体制整備に係る基本方針

都道府県における周産期医療体制の整備に当たっては、平成22年1月26日医政発0126第1号厚生労働省医政局長通知「周産期医療の確保について」の別添2「周産期医療体制整備指針」(以下「整備指針」という。)に従い、周産期医療供給体制の現状、今後の周産期医療需要の推移等地域の実情を十分勘案しつつ、関係者の意見を十分踏まえた上で作成される周産期医療体制整備計画に基づき行うものとする。

第2 小児医療施設整備事業

1 目的

この事業は、小児疾患、新生児疾患の診断、治療を行う医療施設を整備し、地域における小児医療水準の向上に資することを目的とする。

2 事業の実施主体

本事業の実施主体は、都道府県の医療計画等に基づき、都道府県知事の要請を受けた病院の開設者とする(ただし、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)。

3 整備基準

(1) 施設

小児医療施設として診療棟、小児専用病棟、NICU等必要な部門を設けるものとする。

(2) 設備

ア 小児医療施設として必要な医療機器等を整えるものとする。

イ NICUを設置する場合には、同室について24時間診療体制を確保するとともに、必要な職員を配置するほか、次の設備を整えるものとする。

(ア) 新生児用呼吸循環監視装置

(イ) 新生児用人工換気装置

(ウ) 保育器

(エ) その他新生児集中治療に必要な設備

(3) 小児総合病院

ア 小児専用病棟の病床数は、おおむね100床以上とすること。

イ 小児科、小児外科又は外科のほか、小児の総合的な診療に必要な診療科を設置するとともに次の設備等を原則として備えるものとする。

(ア) プレイルーム、学習室及び家族の控え室の設置。

(イ) 病棟への保育士の配置。

ウ 上記のほか、病室について1人当たりの充分な面積を確保するなど児童の療養環境の整備に努めること。

第3 周産期医療施設整備事業

1 目的

この事業は、妊婦のうち特に危険度の高い者を対象として、出産前後の母体、胎児及び新生児の一環した管理を行う母体・胎児集中治療管理室(以下「MFICU」という。)を整備することにより、専門的な周産期医療体制の整備を図ることを目的とする。

2 事業の実施主体

本事業の実施主体は、都道府県の医療計画等に基づき、都道府県知事の要請を受けた病院の開設者とする(ただし、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)。

3 運営方針

(1) 周産期医療施設は、産科医療施設等からの転送患者を受け入れるものとする。

(2) 周産期医療施設は、原則としてNICUを併設するものとする。

4 整備基準

(1) 周産期医療施設は、切迫早産、前期破水等母体疾患又は胎児疾患等により搬送された母体、胎児の集中治療を行うために必要な診療機能とともに、収容のための病床を有するものとする。

(2) 周産期医療施設は、24時間診療体制を確保し、MFICUを運営するために必要な職員を配置するものとする。

(3) 施設及び設備

ア 施設

周産期医療施設として必要な周産期専用病棟(MFICUを含む。)を設けるものとする。

イ 設備

(ア) 周産期医療施設として必要な医療機器等を整えるものとする。

(イ) MFICUには、次の設備を整えるものとする。

a 分娩監視装置

b 呼吸循環監視装置

c 超音波診断装置

d その他母体・胎児集中治療に必要な設備

(ウ) 医師の管理のもとに母体又は新生児を搬送するために必要な患者監視装置、人工呼吸装置等の医療器械を搭載したドクターカーを、整備することができるものとする。

第4 周産期母子医療センター運営事業

1 目的

(1) この事業は、周産期母子医療センターへの補助として、整備指針に従い作成される周産期医療体制整備計画に記載された周産期母子医療センターの診療機能、病床数及び過酷な勤務状況にある医師、看護師等の確保や処遇改善等に必要な周産期母子医療センターの充実強化について迅速かつ着実に推進することを目的とする。

(2) 周産期母子医療センターにおいて、産科、小児科、麻酔科、救急医療の関連診療科(脳神経外科、循環器内科、心臓血管外科等)を有し、救命救急センターを併設し、必要な設備人員を備え、24時間体制で受け入れる体制を整えることにより、産科合併症以外の合併症に対する対応の強化を目的とする。

(3) 搬送受入促進事業は、妊婦・新生児の受入れを促進するため、総合周産期母子医療センター及び地域周産期母子医療センターにおいて、開業医等の協力を得て、夜間、休日等に近隣の医師等が勤務し、妊婦・新生児の受入の促進を図ることを目的とする。

(4) 必要に応じ、麻酔科医を確保するものとする。

(5) 必要に応じ、臨床心理士等の臨床心理技術者を確保するものとする。

2 実施主体

この事業の実施主体は、整備指針に従い策定される周産期医療体制整備計画に基づき指定又は認定された周産期母子医療センターを対象とする(ただし、独立行政法人地域医療機能推進機構以外の独立行政法人及び国立大学法人を除く。)。

なお、MFICU、NICU、GCUのいずれかの病床が実質稼働または稼働を予定をしている場合に限る。

3 運営方針

整備指針及び周産期医療体制整備計画に定めるところによる。

4 整備基準

整備指針及び周産期医療体制整備計画に定めるところによる。

第5 地域療育支援施設

1 目的

この事業は、NICUやGCUに長期入院している又は同等の病状を有する気管切開以上の呼吸管理を必要とする小児(以下、「NICU等長期入院児」という。)について、在宅療養等との間に中間施設として地域療育支援施設を設置することにより、NICU等の満床の解消を図るとともに在宅療養等への円滑な移行を促進することを目的とする。

2 実施主体

地域療育支援施設運営事業の実施主体は、都道府県、市町村、公的団体及び厚生労働大臣が適当と認める者を対象とする。

地域療育支援施設整備事業の実施主体は、公的団体及び厚生労働大臣が適当と認める者を対象とする。

3 運営方針

(1) 地域療育支援施設は、NICU等長期入院児が円滑に在宅医療等へ移行し、家族とともに生活をしていく上で必要な知識・技術を取得するための訓練等を行うものとする。

(2) 地域療育支援施設は、人工呼吸管理、栄養管理、呼吸理学療法を含むリハビリテーション、必要に応じて感染・輸液管理を行うために必要な診療機能を有するものとする。

(3) NICU等長期入院児の在宅医療等への移行及びその後又は同等の援助が必要な小児が自宅等で急性増悪したときに常時受け入れる体制を整備するものとする。

4 整備基準

(1) 地域療育支援施設は、原則として以下の常勤職種から構成される医療チームを設けること。

ア 小児科医師(小児神経科医師が望ましい。)

イ 看護師

ウ 理学療法士(小児専任が望ましい。)

エ 社会福祉士(ソーシャルワーカー)

オ 臨床心理士等の臨床心理技術者

カ 臨床工学技士

ただし、看護師は当該施設内専従とするが、その他は院内兼務でも可とする。また臨床心理士等の臨床心理技術者は非常勤でも可とする。

(2) 呼吸管理に習熟した小児科医が常時院内にいること。

(3) 施設責任者は日本小児科学会指導医等であること。

(4) 訪問看護施設と連携ができていること。

(5) 施設・設備

専用病床を2床以上(10床以内)有すること

地域療育支援施設として必要な呼吸管理を行うための医療機器(病床分の人工呼吸器、呼吸・循環モニター及び酸素・空気・吸引の中央配管)等及び家族がスムーズに在宅医療等へ移行できるように家族同室で指導できる個室を備えるものとする。

第6 日中一時支援事業

1 目的

この事業は、NICU等長期入院児の在宅医療中の定期的医学管理及び保護者の労力の一時支援を目的とする。

2 実施主体

この事業の実施主体は、都道府県、市町村、公的団体及び厚生労働大臣が適当と認める者を対象とする。

3 運営方針

(1) 在宅等に移行したNICU等長期入院児等を保護者の要請に応じて、一時的に受け入れるものとする。

(2) 人工呼吸管理、栄養管理、呼吸理学療法を含むリハビリテーション、必要に応じて感染・輸液管理を行うために必要な診療機能を有するものとする。

4 整備基準

(1) 以下の常勤職種から構成される医療チームを有すること。

ア 小児科医師(呼吸管理に習熟した小児科医を含む)

イ 看護師

ウ 小児に精通した理学療法士

エ 臨床工学技士

ただし、院内兼務でも可とする。

(2) 訪問看護施設と連携ができていること。

(3) 施設・設備

呼吸管理を行うために医療機器(病床分の人工呼吸器、呼吸・循環モニター及び酸素・空気・吸引の中央配管)等を備えるものとする。