○災害拠点病院への傷病者受入れ体制の確保に関する調査結果について
(平成27年3月24日)
(医政地発0324第2号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)
(公印省略)
標記については、平成26年10月15日医政地発1015第1号当職通知「災害拠点病院への傷病者受入れ体制の確保について(通知)」により各都道府県において実施された調査結果を集計し、今般、別添のとおり全国の災害拠点病院の状況を取りまとめたところである。
貴職におかれては、当該調査結果により判明した、管内の災害拠点病院における被災想定に対する抜本的対策を可及的速やかに講ずるよう再度依頼する。
なお、本件については、ハザードマップ等における被災が想定された災害拠点病院における具体的対策の検討・実施状況について、今後もフォローアップ調査を行う予定であるので、適宜状況を把握し、必要な指導をお願いする。
また、「災害時における医療体制の充実強化について」(平成24年3月21日医政発0321第2号厚生労働省医政局長通知)の別紙に定める災害拠点病院指定要件が遵守されるよう、災害拠点病院を指導することにより、引き続き、管内における災害時の診療体制の充実強化を図られたい。
(都道府県からの照会先) 厚生労働省医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室 生駒 電話03―5253―1111(内線)2558 E―mail:ikoma-takayasu@mhlw.go.jp |
災害拠点病院への傷病者受入れ体制の確保に関する調査結果について
【調査対象】
平成26年4月1日現在の全国の災害拠点病院(676病院)を対象。(回答率100%)
【調査趣旨】
平成26年8月に京都府福知山市での豪雨により、市街地が広範囲にわたり冠水し、同市内にある災害拠点病院への救急車の乗り入れが10時間にわたり困難な状況が発生した。この事案を受け、全国の災害拠点病院の立地場所について、ハザードマップ等における被災想定を確認し、被災が想定された場合には具体的対策の有無についての実態の把握及び災害時における救急車等の病院へのアクセス支障の有無やそれに対する具体的対策の有無についての実態を把握することを目的として調査を実施した。
【調査内容】
ハザードマップ等による災害拠点病院の被災想定とその対策及び周辺道路冠水によるアクセス支障に関する調査を実施。
【調査結果の概要】
○洪水・内水において、「浸水なし」が全体の64.2%で、「浸水あり」が全体の34.0%で、このうち「対策有」が全体の17.6%、「対策無」が全体の16.4%。具体的対策としては、排水ポンプの設置、土嚢整備、止水板や防潮板の設置、盛土や嵩上げの実施などが挙げられている。また、対策を講じることが出来ない主な理由としては、対策を講じるための自己資金確保が課題であることや地域全体において浸水被害が想定されており、病院単独での解決が困難であることなどが挙げられている。
○土砂災害において、「危険なし」が全体の91.1%で、「土砂災害危険箇所等」が全体の7.0%で、このうち「対策有」が全体の3.7%、「対策無」が全体の3.3%。具体的対策としては、建物構造の強化、傾斜地工事の実施、避難計画の策定などが挙げられている。また、対策を講じることが出来ない主な理由としては、警戒区域内などには病棟が立地しておらず、診療に影響がないためであることや土砂災害危険箇所などの土地所有者が病院以外の者であるため、病院として対策を講じることが出来ないことなどが挙げられている。
○救急車等の車両などの病院へのアクセスについて、「被害なし」が全体の41.1%、「代替路でアクセス可能」が全体の32.4%、「代替路の確保困難」が全体の26.5%。「代替路の確保困難」のうち、「対策有」が3.7%、「対策無」が22.8%。具体的な対策としては、ヘリポートの整備、ゴムボートや水陸両用車で搬送、職員宿舎を隣接するなどが挙げられている。また、地元消防や市町村と協議を進めているとの回答もあった。
○詳細は別紙のとおり。
【調査結果に基づき都道府県に対応をお願いする事項】
○各種災害による被災が見込まれるものの、具体的対策を講じていない災害拠点病院が存在する。このような災害拠点病院においては、早急な対策を講じることが必要であるが、地域全体が浸水する被害が想定されるなど、災害拠点病院単独では解決できない課題であることから、都道府県を中心に対応策の検討をお願いしたい。
○病院周辺道路の冠水想定による病院へのアクセス確保の状況については、代替路の確保が困難で、対策を講じていない災害拠点病院が154病院(22.8%)であった。これは災害拠点病院単独で解決できる課題ではないため、今後は消防機関、市区町村の防災部署と連携し、その対応策の検討をお願いしたい。
○被害想定を不明と回答する病院が多かった。これは、市区町村においてハザードマップが作成されていないためであり、災害のリスクに応じて、関係部局と連携してハザードマップの作成を検討されたい。
(別紙)【調査結果】全国計:災害拠点病院の立地場所等について