添付一覧
○戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正について(通知)
(平成27年4月1日)
(社援援発0401第2号)
(各都道府県民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局援護・業務課長通知)
(公印省略)
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律(平成27年法律第11号)の施行については、平成27年4月1日社援発0401第5号をもって社会・援護局長から通知したところであるが、更に下記事項に留意し、その施行に遺憾のないよう取り扱われたく通知する。
なお、この通知において、次の表の左欄に掲げる法令はそれぞれ右欄のとおり略称する。
戦傷病者戦没者遺族等援護法(昭和27年法律第127号) |
遺族援護法 |
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法(昭和40年法律第100号) |
特別弔慰金支給法 |
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法の一部を改正する法律(平成27年法律第11号) |
改正法 |
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法施行規則(昭和40年厚生省令第27号) |
施行規則 |
戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法施行規則等の一部を改正する省令(平成27年厚生労働省令第74号) |
改正省令 |
記
第1 改正内容に関する事項
1 支給対象者
改正法による改正後の特別弔慰金支給法に基づく特別弔慰金(以下「今回の特別弔慰金」という。)のうち、平成27年4月1日施行分の支給対象者は次に掲げる者であって、平成27年4月1日(以下「基準日」という。)において戦没者等の死亡に関し遺族援護法に基づく遺族年金、恩給法(大正12年法律第48号)に基づく公務扶助料等の別紙に掲げる給付(以下「年金給付」という。)を受ける権利を有する者がいないものであること。
(1) 弔慰金の受給権を取得した者
ア 基準日までに遺族援護法に基づく弔慰金(以下「弔慰金」という。)の受給権を取得した者
イ 昭和12年7月7日から昭和16年12月7日までの間(日華事変間)に公務傷病又は勤務関連傷病にかかり、これにより同期間内に死亡した軍人、軍属又は準軍属の遺族で、仮に死亡した者が昭和16年12月8日以後に死亡したとしたならば、弔慰金の受給権を取得したこととなる者
ウ 昭和6年9月18日から昭和12年7月6日までの間(満洲事変間)に公務傷病にかかり、これにより死亡した遺族援護法第2条第1項第1号に規定する軍人の遺族で、仮に死亡した者が昭和12年7月7日以後に公務傷病にかかり、昭和16年12月8日以後に死亡したとしたならば、弔慰金の受給権を取得したこととなる者
エ 旧恩給法の特例に関する件(昭和21年勅令第68号)第1条に規定する内閣総理大臣の定める者に該当した軍人軍属(もとの陸海軍部内の判任文官等)で、当該死亡した者につき公務扶助料の受給権を有する者があったことにより弔慰金の支給を受けることができなかった者
(2) 転給遺族
(1)に掲げる者が、基準日において死亡、国籍喪失又は離縁により戦没者等との親族関係が終了している場合等における改正法による改正後の特別弔慰金支給法第2条第3項又は同法第2条の2の規定に該当する者
2 支給順位
今回の特別弔慰金は、次に列記した順序による先順位者に支給するものであること。
ただし、すべての場合について、基準日において死亡、国籍喪失又は離縁により戦没者等との親族関係が終了しているときは、今回の特別弔慰金の受給権者とはならないものであること。
(1) 基準日までに弔慰金の受給権を取得した者(取得したとみなされる者(第1の(1)のイからエまでの者)を含む。)
ただし、配偶者については、次のいずれかに該当したときは、今回の特別弔慰金の受給権者とはならないものであること。
ア 戦没者等の死亡の日以後弔慰金の受給権を取得するまでの間に遺族以外の者と事実上の婚姻をしたにもかかわらず、遺族援護法第36条第1項第1号の遺族として弔慰金の受給権を取得した配偶者で、その権利を取得した当時戦没者等の子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹がいたとき
イ 弔慰金の受給権を取得後基準日までに遺族以外の者と婚姻(事実上の婚姻を含み、氏を改めない法律上の婚姻を除く。)したとき
(2) 戦没者等の子
(3) 戦没者等の死亡当時戦没者等と生計関係を有していた戦没者等の父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順序による先順位者
ただし、基準日において次のいずれかに該当したときは、(4)の順位となるものであること。
ア 戦没者等の死亡の日以後に養子縁組したことにより、遺族以外の者の養子となっているとき
イ 戦没者等の死亡の日以後に遺族以外の者と婚姻(氏を改めない法律上の婚姻を除く。)をしたことにより、戦没者等の死亡当時称していた氏に復していないとき
なお、「戦没者等の死亡当時称していた氏」とは、戦没者等の氏と同じかどうかは問わないものであること。
(4) 戦没者等の死亡当時戦没者等と生計関係を有していなかった者又は生計関係を有していたが(3)のア若しくはイに該当した者のうち、戦没者等の父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順序による先順位者
(5) 戦没者等の配偶者、子、父母、孫、祖父母及び兄弟姉妹以外の三親等内の親族(以下「三親等内親族」という。)で、戦没者等の死亡の日まで引き続き1年以上戦没者等と生計関係のあった者のうち、死亡した者の葬祭を行った者、それ以外の者の順序による先順位者
なお、三親等内親族の主なものは次のとおりであること。
ア 戦没者等の伯叔父母、甥姪、曾祖父母及び曾孫(血族)
イ 戦没者等の三親等内の血族の配偶者(姻族)
ウ 戦没者等の配偶者(事実上の配偶者は含まない。)の父母、祖父母、曾祖父母、兄弟姉妹、伯叔父母及び甥姪(姻族)
3 特別弔慰金の額
今回の特別弔慰金の額は、戦没者等1人につき25万円で、5年償還、無利子の記名国債をもって支給するものであること。
4 国債の名称
第十回特別弔慰金国庫債券「い号」であること。
5 国債の発行日等
国債の発行日は平成27年10月1日であり、償還金の支払は平成28年から平成32年までの毎年4月15日であること。
6 留意事項
改正内容に関し留意すべき点は次のとおりであること。
(1) 今回の改正法は、戦後70周年に当たり、国として改めて弔慰の意を表するため特別弔慰金を支給するという趣旨に基づくものであるので、改正法による改正前の特別弔慰金(以下「従前の特別弔慰金」という。)を受給した者の大部分は今回の特別弔慰金の受給権を取得することとなるものの、従前の特別弔慰金の受給者が、基準日において死亡、国籍喪失又は離縁により戦没者等との親族関係が終了していないとしても、今回の特別弔慰金の受給権者とならない場合もあるので、支給対象者及び順位の認定に過誤なきを期すること。
なお、今回の特別弔慰金の支給対象者は、概ね次のとおりとなること。
ア 平成17年法律第10号又は平成21年法律第15号による改正後の特別弔慰金支給法の規定による特別弔慰金(第八回特別弔慰金又は第九回特別弔慰金)の受給権を取得した者(時効により受給権を失った者を含む。)であって、基準日において戦没者等の死亡に関し年金給付の受給権者がいないもの
イ 平成21年4月1日までに弔慰金の受給権を取得した者であって、戦没者等の死亡に関し年金給付の受給権を有する者が平成21年4月1日以降平成27年3月31日までの間にすべて失権したことにより、基準日において年金給付の受給権者がいないもの
ウ 平成21年4月2日以降基準日までに弔慰金の受給権を取得した者であって、戦没者等の死亡に関し年金給付の受給権を有する者がいなかった又は平成27年3月31日までにすべて失権したことにより、基準日において年金給付の受給権者がいないもの
エ アからウの転給遺族
(2) 弔慰金の受給権を取得した者とは、弔慰金の裁定を受けた者のほか、弔慰金の受給権を有している者が弔慰金を未請求の場合、時効により弔慰金の受給権が消滅している場合及び弔慰金の受給権を取得したとみなされる場合を含むものであること。
なお、弔慰金の受給権を取得する日は次のとおりであること。
ア 制定当初の遺族援護法により受給権を取得した者については、昭和27年4月1日(戦没者等の死亡が同日後であるときは、死亡の日)
イ 遺族援護法の改正各法により受給権を取得した者については、当該各法の適用の日(戦没者等の死亡が同日後であるときは、死亡の日)
ウ 日華事変間における戦没者等の遺族(1の(1)のイ)については、仮に戦没者等が昭和16年12月8日以降に死亡したならば弔慰金の受給権を取得する日
エ 満洲事変間における戦没者等の遺族及びもとの陸海軍部内の判任文官等の遺族(1の(1)のウ及びエ)については、昭和27年4月1日
(3) 年金給付の受給権を有する者とは、年金給付を受けている者のほか、年金給付の受給権を有している者が年金給付を未請求の場合を含むものであること。
(4) 今回の特別弔慰金の受給権者が特別弔慰金の請求をしないまま基準日以降に死亡したときは、当該受給権者の相続人が特別弔慰金の請求をすることができるものであること。(特別弔慰金支給法第7条第1項関係)
(5) 今回の特別弔慰金の受給権者が基準日において生死不明であり、かつ、同日以降引き続き2年以上生死不明であるときは、当該受給権者の次順位者が厚生労働大臣に対して支給順位の変更の申請を行うことができるものであること。(特別弔慰金支給法第2条の3関係)
7 広報等による周知徹底
特別弔慰金を受ける権利は、基準日から3年間行使しないときは時効により消滅するので、積極的な広報等により今回の特別弔慰金の受給権者、支給内容、請求期間等の周知徹底を図り、時効による受給権の消滅防止に努めること。
第2 請求書類に関する事項
1 請求書及び印鑑等届出書
今回の特別弔慰金を受けようとする者(以下「請求者」という。)は、改正省令による改正後の施行規則第1条第1項に規定する戦没者等の遺族に対する特別弔慰金請求書(以下「特別弔慰金請求書」という。)を裁定機関に提出するものであること。
その場合、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法第5条第2項の規定により発行する国債の発行交付等に関する省令(昭和40年大蔵省令第41号)に定める「印鑑等届出書」を添付するものであること。
2 添付書類
前記1以外の提出書類(改正省令による改正後の施行規則第1条第2項から第5項に定める書類等)は、概ね次のとおりであること。
(1) 弔慰金の受給権を取得した者(特別弔慰金支給法第2条第1項関係)
ア 請求者の平成27年4月1日における戸籍の抄本
イ 戦没者等の死亡の当時における戦没者等と請求者との続柄が確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本
ウ 戦没者等の遺族の現況等についての申立書(以下「現況申立書」という。)(様式第1号)
エ 年金給付を受けた者が失権しているときは、その事実が確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本等
オ 請求者が戦没者等の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)であるときは、戦没者等の死亡の日から平成27年3月31日までの間における請求者の身分関係の異動が確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本及び「戦没者等の遺族に対する特別弔慰金失権事由非該当申立書(配偶者用)」(様式第2号)
(2) 日華事変間又は満洲事変間における戦没者等の遺族(特別弔慰金支給法第2条第2項関係)
ア (1)に掲げる書類
イ 請求者が弔慰金の受給権を取得したものとみなすことができる戦没者等の身分及び死因の公務性又は勤務関連性が確認できる資料
ウ 請求者が戦没者等の死亡の当時戦没者等と事実上婚姻関係にあった者であるときは、その事実が確認できる申立書及びその資料
エ 請求者が三親等内親族であるときは、戦没者等の死亡の当時戦没者等と生計関係を有していたことが確認できる資料
さらに、戦没者等の葬祭を行った者であるときは、その事実が確認できる資料
(3) もとの陸海軍部内の判任文官等の遺族(特別弔慰金支給法附則第3項関係)
ア (1)に掲げる書類
イ 戦没者等の死亡に関し、公務扶助料の受給権を有する遺族があったことが確認できる資料(当該資料が提出できない場合は申立書)
(4) 転給遺族(特別弔慰金支給法第2条第3項及び第2条の2関係)
ア (1)に掲げる書類(オを除く。)
イ 弔慰金の受給権を取得した者が特別弔慰金支給法第2条第2項又は同法附則第3項の規定により弔慰金の受給権を取得したとみなされる者であるときは、(2)のイ、ウ及びエ又は(3)のイの書類
ウ 戦没者等の死亡の当時における戦没者等と弔慰金の受給権を取得した者との続柄が確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本
エ 弔慰金の受給権を取得した者が死亡、国籍喪失又は離縁により戦没者等との親族関係が終了していることが確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本
オ 弔慰金の受給権を取得した者が戦没者等の配偶者で第1の2の(1)のア又はイのいずれかに該当する者であるときは、当該事項を確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本
カ 請求者より先順位の転給遺族がいないことが確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本(特別弔慰金支給法第2条の2該当者に限る。)
キ 請求者が戦没者等の死亡の当時戦没者等と生計関係を有していたものであるとき(特別弔慰金支給法第2条の2第1項該当者)は、戦没者等の死亡の日から平成27年3月31日までの間における請求者の身分関係の異動が確認できる戸(除)籍の謄本又は抄本及び戦没者等の死亡の当時戦没者等と生計関係を有していたことが確認できる申立書その他の資料
ク 請求者が三親等内親族であるときは、請求者が戦没者等の死亡の日まで引き続き1年以上戦没者等と生計関係を有していたことが確認できる申立書及び資料
さらに、戦没者等の葬祭を行った者であるときは、その事実が確認できる資料
(5) 従前の特別弔慰金の受給者
(1)から(4)の場合において、請求者が従前の特別弔慰金の受給者であるときは、原則として(1)のア、ウ及びオの書類を提出すれば足りるものであること。ただし、オについては「戦没者等の死亡の日」を「従前の特別弔慰金の受給権を取得した日」とする。なお、請求者と同順位の遺族が従前の特別弔慰金の受給者であるときは、原則として(1)のア、イ及びウ及び(4)のキ及びクの書類を提出すれば足りるものであること。
また、(4)の場合において、請求者より先順位の遺族が従前の特別弔慰金の受給者であるときは、原則として(4)のア、カ、キ及びクの書類を提出すれば足りるものであること。
なお、いずれの場合においても、特別弔慰金の受給権に疑義がある場合はこの限りではないこと。
(6) 相続人
請求者が戦没者等の遺族の相続人であるときは、(1)から(5)の書類のほか、相続人であることが確認できる戸籍の謄本又は抄本
なお、この場合において、請求者は被相続人(戦没者等の遺族)の資格で被相続人に代わって特別弔慰金を請求するものであるから、(1)から(5)までの書類は、被相続人が請求したならば必要とされるものを添付すること。
(7) 成年後見人等
請求者が戦没者等の遺族の成年後見人等(成年後見人、保佐人、補助人、任意後見契約における任意後見人又は未成年後見人)であるときは、(1)から(5)の書類のほか、成年後見人等であることが確認できる登記事項証明書
(8) 請求同意書
特別弔慰金の受給権を有する同順位の遺族(相続人を含む。)が数人ある場合は、(1)から(5)の書類のほか、「特別弔慰金請求同意書」(様式第3号)
請求同意書の提出は、特別弔慰金の受給に関する遺族間の調整を図ることを目的としているので、遺族間で極力調整の上、同順位者本人の署名を得て提出するよう、請求者に対し十分な指導に努めること。
なお、同順位の遺族が次のいずれかに該当することにより請求同意書に署名ができないときは、請求同意書に代えて「請求同意書を提出することができない旨の申立書」(様式第4号)を提出させるものとすること。
① 連絡先不明の場合
② 同意を拒否された場合
③ 重い病気や高齢等により意思表示できない又は請求同意書に自署できない場合
④ その他
また、④に該当するときは、請求同意書を提出できない理由(①、②又は③と同程度にやむを得ないと認められる事情。)について具体的に記載させるものとすること。
(9) 戸籍書類
ア 戸籍書類については、そのいずれかによって、他に戸籍書類により確認すべき事項が同時に確認できるときは、その添付を省略して差し支えないこと。
イ 戸籍簿の電算化による戸籍の全部又は一部事項証明書が提出されたときは、戸籍の謄本又は抄本に代えて取り扱って差し支えないこと。
ただし、当該証明書では必要とする事項を明らかにできないときは、これを明らかにできる戸籍の謄本又は抄本を提出させるものとすること。
ウ 戦災等により戸籍書類が滅失し、戦没者等に係る戸籍書類が提出できないときは、当該事実を記した市区町村長の証明書のほか、戸籍書類により証明すべき事項に係る請求者の申立書及び親族の証明書等の資料を提出させるものとすること。
第3 裁定事務等に関する事項
1 市区町村から請求書類の送付を受けた居住地都道府県は、速やかに受付処理を行うとともに、特別弔慰金請求書、印鑑等届出書及び必要な提出書類に添付漏れがないことを確認の上、遅滞なくこれを裁定都道府県に送付するものであること。
2 戸籍の謄本又は抄本の認証年月日が、平成27年4月1日以降であることを確認すること。
3 戦没者等の遺族が平成27年4月1日までに弔慰金の受給権を取得した者であることの確認については、次の方法によること。
(1) 特別弔慰金請求書の「弔慰金(遺族国庫債券)の受給者」又は「前回の特別弔慰金受給者」の欄に受給者の氏名等が記載されているときは、その裁定の事実につき都道府県の保管資料により確認すること。
確認した結果、弔慰金の請求について却下処分がなされていても、その後に改正された遺族援護法の適用により、弔慰金の受給権を取得している場合があること、また、特別弔慰金が裁定されていても、その裁定が取り消されている場合があるので留意すること。
なお、受給者の氏名等が記載されていないとしても、弔慰金又は特別弔慰金の裁定の有無の確認は審査上基本となる事項であるから、十分な調査が必要であること。
(2) (1)の調査により弔慰金又は特別弔慰金の裁定の事実がないときは、更に次によること。
ア 太平洋戦争における戦没者等の遺族
(ア) 日華事変以降に公務傷病又は勤務関連傷病にかかり、これにより昭和16年12月8日以降に死亡した軍人、軍属又は準軍属の遺族で、年金給付の受給権を有する者が平成27年3月31日までにすべて失権しているときは、年金給付の裁定の事実を都道府県の保管資料等により確認すること。
(イ) (ア)により年金給付の裁定の事実がないときは、死亡した者が日華事変以降における在職期間内に公務傷病又は勤務関連傷病にかかり、これにより昭和16年12月8日以降に死亡したことを都道府県、市区町村の保管資料及び請求者の提出資料により確認すること。
なお、死亡した者の身分が明らかな場合で、死亡した者の除籍謄本に「戦死」、「戦傷死」又は「戦病死」の記載があるときは、原則として公務上傷病にかかりこれにより死亡したものとして取り扱って差し支えないこと。
(ウ) 死亡した者の身分について明らかでないときは、もとの陸軍又は海軍関係の資料が移管された機関に文書をもって照会すること。
(エ) 死亡した者の身分又は死因の公務性等について調査した結果、判断が困難なときは、問題点に関係する資料の写しに調査結果を明らかにした文書を添えて当職に照会すること。
イ 日華事変間における戦没者等の遺族
(ア) 日華事変間に公務傷病又は勤務関連傷病にかかり、これにより同期間内に死亡した軍人、軍属又は準軍属の遺族で、年金給付の受給権を有する者が平成27年3月31日までにすべて失権しているときは、年金給付の裁定の事実を都道府県の保管資料等により確認すること。
(イ) (ア)により年金給付の裁定の事実がないときは、アの(イ)から(エ)に準じて取り扱うこと。
ウ 満洲事変間における戦没者等の場合
(ア) 満洲事変間に公務傷病にかかり、これにより死亡した軍人の遺族で、年金給付の受給権を有する者が平成27年3月31日までにすべて失権しているときは、年金給付の裁定の事実を都道府県の保管資料等により確認すること。
(イ) (ア)により年金給付の裁定の事実がないときは、アの(イ)から(エ)に準じて取り扱うこと。
エ もとの陸海軍部内の判任文官等の遺族
(ア) もとの陸海軍部内の判任文官等の遺族で、公務扶助料の受給権を有する者が平成27年3月31日までにすべて失権しているときは、公務扶助料の裁定の事実を都道府県の保管資料等により確認すること。
(イ) (ア)により公務扶助料の裁定の事実がないときは、アの(イ)から(エ)に準じて取り扱うこと。
4 今回の特別弔慰金の支給要件である、平成27年4月1日において年金給付の受給権を有する遺族がいないことを、提出された戸籍書類や現況申立書、年金給付の請求及び裁定等に関する都道府県の保管資料等により確認すること。
なお、年金給付の受給権を有する者であっても、請求又は裁定が行われていない場合もあるので、特に慎重を期すること。
5 今回の特別弔慰金の受給権を取得する者の順位の確認に当たっては、すべての場合について、基準日において死亡、国籍喪失又は離縁により戦没者等との親族関係が終了していないことを戸籍書類及び現況申立書等により確認すること。
なお、その他の留意点は次のとおりであること。
(1) 請求者が弔慰金の受給権を取得した(取得したとみなされる者を含む。以下同じ。)配偶者の場合
今回の特別弔慰金の受給権を取得する配偶者とは、戦没者等の死亡後弔慰金の受給権を取得するまでの間に、戦没者等の遺族と婚姻をした者、遺族以外の者と氏を改めない法律上の婚姻をした者又は遺族以外の者と氏を改める婚姻若しくは事実上の婚姻をしたが、弔慰金の受給権取得時において戦没者等の子、父母、孫、祖父母若しくは兄弟姉妹がいなかった者のいずれかであって、かつ、弔慰金の受給権を取得後基準日までの間に、遺族以外の者と婚姻(氏を改めない法律上の婚姻を除く。以下同じ。)をしていない場合に限られるものであること。
したがって、事実関係の確認に当たっては、弔慰金の裁定時の資料、提出された戸籍書類及び戦没者等の遺族に対する特別弔慰金失権事由非該当申立書(配偶者用)等により十分注意を払うものであること。
ただし、請求者が従前の特別弔慰金の受給者であるときは、当該受給権の取得後基準日までの間に遺族以外の者と婚姻等をしていないことを、戸籍書類及び戦没者等の遺族に対する特別弔慰金失権事由非該当申立書(配偶者用)等により確認すれば足りるものであること。
(2) 請求者が転給遺族の場合
ア 請求者が戦没者等の子であるときは、たとえ基準日において遺族以外の者の養子になっていても、同日において国籍喪失又は離縁により戦没者等との親族関係が終了していない限り、今回の特別弔慰金の受給権を取得するものであること。
イ 請求者が戦没者等と生計関係を有していた父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であるときは、戦没者等の死亡当時戦没者等と生計関係を有していたことについて、現況申立書及び戸籍書類により総合的に判断すること。
なお、現況申立書により、戦没者等の死亡当時戦没者等と生計関係を有していたと申し立てている者であって、戦没者等の死亡当時戦没者等と同一戸籍内にあった者については、特に疑義を生ずる資料がない場合に限り、生計関係を有していたものとして取り扱って差し支えないが、これ以外の者については、「生計関係についての申立書」(様式適宜)及び事実関係を確認することができる資料の提出を求めた上で事実を確認すること。
また、請求者が、基準日において遺族以外の者の養子になっていないこと及び戦没者等の死亡当時の氏を称していることを、戸籍書類及び現況申立書等により確認すること。
ただし、請求者が従前の特別弔慰金の受給者であるときは、原則として戦没者等との生計関係の有無については確認の必要はないものであること。
ウ 請求者が三親等内親族であるときは、戦没者等との続柄及び戦没者等の死亡の日まで引き続き1年以上戦没者等と生計関係を有していたことを、現況申立書及び戸籍書類により総合的に判断すること。
なお、現況申立書により、戦没者等の死亡当時戦没者等と生計関係を有していたと申し立てている者であって、戦没者等の死亡当時戦没者等と同一戸籍内にあった者については、特に疑義を生ずる資料がない場合に限り、生計関係を有していたものとして取り扱って差し支えないが、これ以外の者については、「生計関係についての申立書」(様式適宜)及び事実関係を確認することができる資料の提出を求めた上で事実を確認すること。
また、葬祭を行った者とは、一般的に喪主(喪主の配偶者を含む。)をいうが、喪主を特定することができる資料(香典帳、通信文等)がない場合は、現況申立書のほか、戦没者等との続柄、家族構成、地方の慣習等を勘案し、社会通念上妥当な者を葬祭を行った者とみなして差し支えないこと。
ただし、請求者が従前の特別弔慰金の受給者であるときは、原則として今回の特別弔慰金の受給権を有するものと認めて差し支えないものであること。
第4 裁定報告等に関する事項
受給権の確認後は、裁定に係る機械処理を速やかに行うとともに、可決裁定については、厚生労働省に裁定の報告を行うこと。
なお、第十回特別弔慰金国庫債券の発行日は平成27年10月1日であるが、国債の記名加工等の処理に時間を要するため、国債の交付時期は、裁定報告から概ね3か月半後となることをあらかじめ請求者に説明し、理解を得るよう取り計らわれたいこと。
第5 請求手続等の委任について
1 病気等の理由により請求者本人が市区町村窓口に出向いて手続を行うことができない場合には、所定の委任状(様式第5号)により、請求者本人に代わって代理人が請求手続を行うことができること。市区町村の窓口においては、代理人が本人であることを健康保険証等により確認すること。
また、国債の交付等について、請求者本人に代わって代理人に対して行う場合には、改めて委任状(様式適宜)の提出を求め、市区町村窓口において代理人が本人であることを健康保険証等により確認すること。
2 請求者が国外に居住している場合には、所定の委任状(様式第6号)により、請求者本人に代わって国内居住の代理人が請求手続及び国債の償還金等の受領を行うことができること。市区町村の窓口においては、代理人が本人であることを健康保険証等により確認すること。
別紙
1 もとの軍人又は準軍人が、公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、その遺族に支給される公務扶助料
2 軍人又は準軍人以外のもとの陸軍又は海軍部内の公務員(文官、警察監獄職員等)又は公務員に準ずべき者(準文官等)が、これらの身分を有していた間に公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、その遺族に支給される公務扶助料
3 もとの陸軍又は海軍の部外の文官たる身分を保有したまま、「戦時又は事変に際し臨時特設の部局又は陸海軍の部隊に配属せしめたる文官補闕の件(明治38年勅令第43号)」の規定により、戦時又は事変に際して臨時特設の部局又はもとの陸軍若しくは海軍の部隊に配属されていた者が、その配属されていた間に公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、その遺族に支給される公務扶助料
4 公務員又は公務員に準ずべき者が、連合国最高司令官により抑留又は逮捕され、その拘禁中に自己の責に帰することができない事由により負傷し、又は疾病にかかった場合において、これを裁定庁が公務のため負傷し、又は疾病にかかったものとみなし、これに起因して死亡したときに、その遺族に支給される公務扶助料
5 軍人軍属(遺族援護法第2条第1項に規定する軍人軍属をいう。以下同じ。)又は軍人軍属であった者が、今次の終戦に関連する非常事態にあたり責任自殺等によって死亡した場合に、その遺族に対し公務扶助料の年額に相当する年額をもって支給される扶助料
6 公務員又は公務員に準ずべき者が、日本国との平和条約第11条に掲げる裁判により拘禁され、その拘禁中に死亡した場合で、厚生労働大臣がその死亡を公務上の負傷又は疾病による死亡と同視することを相当と認めたときに、その遺族に対し公務扶助料の年額に相当する年額をもって支給される扶助料
7 もとの軍人又は準軍人が昭和16年12月8日以後昭和20年11月30日までの間に内地等で職務に関連して負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、その遺族に支給される特例扶助料
8 もとの軍人軍属又は軍人軍属であった者が、在職期間中公務上の負傷又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、遺族援護法によりその遺族に支給される遺族年金
9 日本国との平和条約第11条に掲げる裁判により拘禁され、その拘禁中に死亡した場合で、厚生労働大臣がその死亡を公務上の負傷又は疾病による死亡と同視することを相当と認めたときに、遺族援護法によりその遺族に支給される遺族年金
10 もとの軍人軍属又は軍人軍属であった者が、今次の終戦に関連する非常事態にあたり責任自殺等によって死亡した場合に、遺族援護法によりその遺族に支給される遺族年金
11 旧軍人等の遺族に対する恩給等の特例に関する法律(昭和31年法律第177号)第2条第1項の規定により、遺族援護法第23条第1項第1号に掲げる遺族とみなされた遺族に、同号の規定により支給されるいわゆる特例遺族年金
12 本邦その他の政令で定める地域(遺族援護法第4条第2項に規定する事変地を除く。)における在職期間内に次に掲げる負傷又は疾病により、在職期間内又は在職期間経過後に死亡した軍人軍属又は軍人軍属であった者(改正前の恩給法第21条に規定する軍人及び準軍人並びにこれらの者であった者を除く。)の遺族に支給される遺族年金
(1) 昭和12年7月7日から昭和16年12月7日までの間における事変に関する勤務に関連する負傷又は疾病
(2) 昭和16年12月8日以後における戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病
(3) 昭和20年9月2日以後における負傷又は疾病で、厚生労働大臣が戦争に関する勤務に関連する負傷又は疾病と同視することを相当と認めるもの
13 軍人軍属が遺族援護法第4条第5項に規定する事変地若しくは戦地における在職期間内に死亡し、又は軍人軍属であった者が当該事変地若しくは戦地における在職期間内の行為に関連して当該事変地若しくは戦地において死亡した場合に、その遺族に支給される遺族年金
ただし、当該死亡が大赦令(昭和20年勅令第579号)第1条各号、大赦令(昭和21年勅令第511号)第1条各号及び大赦令(昭和27年政令第117号)第1条各号に掲げる罪以外の罪に当たる行為に関連するものであることが明らかでないと援護審査会が議決した場合に限る。
14 軍人軍属が昭和20年9月2日以後遺族援護法第4条第2項に規定する戦地であった地域において在職期間内に軍人軍属たる特別の事情に関連して死亡し、又は軍人軍属であった者が同項に規定する事変地若しくは戦地若しくは同項に規定する戦地であった地域における在職期間内の行為に関連して同日以後当該地域において死亡した者の遺族に支給される遺族年金
ただし、前号と同様に援護審査会の議決が必要である。
15 遺族援護法第2条第3項に規定する準軍属又は準軍属であった者が、公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、同法第23条第2項第1号に掲げる遺族に支給される遺族給与金
16 昭和12年7月7日以後に準軍属としての勤務に関連して負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した準軍属又は準軍属であった者の遺族に支給される遺族給与金
17 もとの陸軍又は海軍部内の有給の嘱託員、雇員、傭人、工員若しくは鉱員又はこれらの者であったものが公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、旧令共済組合等からの年金受給者のための特別措置法により国家公務員共済組合連合会から支給されるいわゆる旧令共済殉職年金
18 もとの逓信省、鉄道省等の有給の嘱託員、雇員、傭人等がそれらの身分を保有したまま、もとの陸軍又は海軍に配属され、戦地又は事変地における勤務に従事し、その間に公務上負傷し、又は疾病にかかり、これにより死亡した場合に、逓信共済組合又は国有鉄道共済組合の権利義務を継承した郵政省共済組合若しくは日本電信電話共済組合又は日本鉄道共済組合からその遺族に支給される各省共済殉職年金