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○子ども・子育て支援新制度における事業所内保育事業所の運用上の取扱いについて(通知)

(平成26年12月25日)

(/府政共生第1208号/雇児発1225第9号/)

(各都道府県知事・各指定都市長・各中核市長あて内閣府政策統括官(共生社会政策担当)、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

(印影印刷)

事業所内保育事業については、子ども・子育て支援新制度において、改正後の児童福祉法(昭和22年法律第164号。以下「法」という。)に市町村認可事業として位置付けられ、子ども・子育て支援法(平成24年法律第65号)第29条第1項に基づく確認を受けた事業所内保育事業については、地域型保育給付の対象とされたところである。

事業所内保育事業の運用については、「家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準の運用上の取扱いについて(平成26年雇児発0905第2号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)」などにおいてお示ししているところであるが、それらに加え事業所内保育事業の従業員枠については、当該事業所の従業員等に対する福利厚生等の側面があり、当該事業所内保育事業所所在地以外の複数の市町村から常態的に保育利用されることが考えられるなど、他の保育利用と異なる取扱いが想定されるため、その運用上の取扱いを下記のとおり示すこととしたので、貴管内の関係者に対して、これを周知し、その運用に遺漏なきよう御配意願いたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言であることを申し添える。

1.通常の保育利用と事業所内保育事業所の従業員枠に係る保育利用について

子ども・子育て支援新制度における事業所内保育事業については、他の家庭的保育事業等(法第24条第2項に規定する家庭的保育事業等をいう。以下同じ。)と同様、原則的には、子ども・子育て支援法第20条第1項の規定による認定であって同法第19条第1項第3号に掲げる小学校就学前子どもに係るものを受けた子ども(以下「3号認定子ども」という。)の利用を対象としている。

保育所、認定こども園、家庭的保育事業等(事業所内保育事業所の従業員枠に係る利用を除く。)(以下「保育所等」という。)の保育を利用するに当たっては、子ども・子育て支援法第20条第1項の規定に基づく認定であって同法第19条第1項第2号に掲げる小学校就学前子どもに係るもの又は同法第19条第1項第3号に掲げる小学校就学前子どもに係るもの(以下「保育認定」という。)を受けた上で、市町村が法第24条第3項及び附則第73条第1項に規定する利用調整を行い、実際の保育利用を行うこととなる。

他方、事業所内保育事業の利用定員のうち法第6条の3第12項第1号イに規定する「事業主がその雇用する労働者」又は「事業主から委託を受けて当該事業主が雇用する労働者」、同号ロに規定する「事業主団体がその構成員である事業主の雇用する労働者」又は「事業主団体から委託を受けてその構成員である事業主の雇用する労働者」及び同号ハに規定する「地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)の規定に基づく共済組合その他の厚生労働省令で定める組合(以下ハにおいて「共済組合等」という。)が当該共済組合等の構成員として厚生労働省令で定める者(以下ハにおいて「共済組合等の構成員」という。)」又は「共済組合等から委託を受けて当該共済組合等の構成員」(以下「従業員等」という。)の監護する乳児又は幼児が利用する定員枠(以下「従業員枠」という。以下同じ。)を利用希望する当該事業所の従業員等については、事業者が従業員等のための福利厚生等の観点などから設置する性質上、他の保育所等と同様の利用調整は行わず、当該従業員枠の利用を希望する保育認定を受けた従業員等につき、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準(平成26年内閣府令第39号)第39条第2項及び第3項を踏まえ、当該事業所内保育事業所が利用者を選定することとしている。

2.保育認定に係る申請について

(1) 基本的な考え方

1のとおり、事業所内保育事業所の従業員枠を利用する者についても、他の保育認定を受けた子どもが保育所等を利用する際の手続と同様に、居住する市町村に対して保育認定に係る申請を行い、市町村から保育認定を受け、その上で当該事業所内保育事業所の利用の申込みを行うことが必要となる。なお、他の保育利用と同様、市町村が保育認定に係る申請と事業所内保育事業所の利用の申込み(以下「保育認定に係る申請等」という。)を同時に取り扱うことは差し支えないものとする。

その上で、事業所内保育事業所の従業員枠を利用しようとする従業員等については、

① 当該事業所に勤務する従業員等であって、「就労」事由に該当することがほぼ確実であること

② 事業所内保育事業所の従業員枠に係る利用は、他の保育所等と同様の利用調整を行わないこと

③ 従業員の利用に当たっては、募集手続が各事業所等において行われていることが想定されること

といったことに鑑み、保育認定に係る申請等に当たっては、事業所内保育事業者を通じて、それぞれの従業員等の居住地市町村に提出する仕組みを基本とする。

(2) 具体的な事務の流れについて

事業所内保育事業所の従業員枠と保育所等に係る保育利用を併願する場合については、(i)事業所内保育事業所の従業員枠を利用するための保育認定及び利用申請が、保育所等の利用に係るものと比較して先行する場合、(ii)事業所内保育事業所の従業員枠を利用するための保育認定及び利用申請が、保育所等に係るものと同じタイミングとなる場合、(iii)事業所内保育事業の従業員枠を利用するための保育認定及び利用申請が、保育所等に係るものよりも後になる場合、の3通りが考えられる。

このうち、(i)(ii)の場合については、保育認定の手続が重複する可能性があるほか、保護者が事業所内保育事業及び保育所等の利用を併願した結果、他の保育所等の利用が可能となるため、当該事業所内保育事業の安定的な運営に影響が生じかねないことから、以下のように保育認定及び利用申請を行うこととする。

① 事業所内保育事業所の利用を希望する従業員等である保護者は、当該企業における事業所内保育事業の利用募集に申し込み、当該企業から内定を得る。

② 保護者は、当該事業所内保育事業所に対し、各市町村において提出を求める保育認定に係る事由に該当する旨を証明する書類(就労証明書等)及び利用者負担区分の算定に当たって必要な書類(源泉徴収票等)等子ども・子育て支援法施行規則(平成26年内閣府令第44号)第2条第1項及び第2項を踏まえ、市町村が必要とする書類を添付した上で、支給認定申請書を提出することとする。なお、当該申請書等については、事業所内保育事業所は、今後の必要な手続を保護者に説明することとした上で、保護者がその居住する市町村(以下「居住地市町村」という。)への申請に必要な書類を用意することを基本とする。

③ 事業所内保育事業所は、②において提出を受けた申請書を、保護者の居住地市町村に対して送付することとする。同時に事業所内保育事業所は、その所在する市町村(以下「所在地市町村」という。)以外に居住する従業員等のそれぞれの居住地市町村に対し、子ども・子育て支援法第29条第1項に基づく確認を求める申請書類を提出するものとする。なお、事業所内保育事業所が当該市町村より既に確認を受けている場合については、この限りでない。

④ それぞれの従業員等の居住地市町村(当該事業所内保育事業所の所在地市町村以外の市町村。以下同じ。)は、子ども・子育て支援法第43条第4項に基づき、所在地市町村と協議し、同意を得た上で、確認を行う。(又は、行うことが確実であることを確定させる。)

⑤ その上で、各市町村は、支給認定申請書を基に、支給認定要件に該当するか審査し、認定を行う。その際、利用者負担区分についても決定するものとする。

⑥ 市町村は、事業所内保育事業所を経由して、支給認定証を保護者に支給することも可能とする。

⑦ 各市町村の支給認定証の交付を受けた保護者と事業所内保育事業所の間で利用契約を締結し、当該事業所内保育事業所の利用を開始する。

なお、(iii)のように既に保育認定を受け、保育所等に係る利用の申込みを行ったにもかかわらず、保育所等の利用が決まらなかったため、事業所内保育事業所の従業員枠の利用を希望する場合は、当該事業所内保育事業所の内定を得た上で、保護者は各市町村に対し、当該事業所内保育事業の利用を希望する旨について利用申請の変更を行うことを基本とする。

なお、当該利用申請の変更については、事業所内保育事業所を通じて行うことも可能な取扱いとする。

(3) 従業員枠の利用のみを希望する場合の取扱いについて

事業所内保育事業所の従業員枠のみを希望する場合については、(2)の取扱いを基本とする。

なお、4月から従業員枠の利用のみを希望し、各市町村における保育認定の事務が事業所内保育事業所の従業員枠の募集よりも早いときは、例えば、①保育認定を行う時期を他の保育所等と異なる時期であっても可能とする取扱いや、②保護者は市町村に対し保育認定のみを先行して申請し、従業員枠の募集が開始された後、内定を得た上で、市町村に対し当該事業所内保育事業所の利用希望を追加登録する方法など、が考えられるが、各地方自治体において利用者が不利益を被ることのないよう適切に対応すること。

(4) 従業員枠への応募と通常の保育の利用を併願する際の利用調整の取扱い等について

従業員枠については、(2)(i)(ii)の場合、事業所からまとめて保育認定に係る申請を行うことを想定しているため、当該保護者が、他の保育所等の利用も併せて希望(併願)している場合、市町村の認定事務が二重になりかねないほか、当該事業所内保育事業所が、他の保育所等との併願により事業の安定的な運営に影響が生じかねないことから、以下のように取扱うこととする。

(i) 利用調整の考え方について

従業員等が事業所内保育事業保所の従業員枠の保育利用と通常の保育利用を併願している場合、本来は、居住地における他の保育利用を希望していることも想定されることから、市町村は、事業所内保育事業所の内定を有している場合であっても、事業所内保育事業所の従業員枠を利用しない者と区分することなく利用調整を行うこと。

(ii) 申請手続について

各保護者の支給認定を行うに当たり、市町村による支給認定の重複を避けるために、事業所内保育事業所は、従業員枠の利用を希望する(2)(i)(ii)の場合、事業所内保育事業所は、事業所内保育事業所の従業員枠に係る保育利用と通常の保育利用を併願した保護者に対し、当該通常の保育利用に係る保育の必要性の認定申請及び当該利用申請を行う際に、利用調整の希望先に当該事業所内保育事業所を含めた形で提出することを求めること。

(iii) 利用調整の方法について

提出されたものを基に、各居住地市町村は、従業員枠の利用を希望しない他の保護者とともに、希望順位・必要度を踏まえながら、利用調整を行うこととする。

① 事業所内保育事業所の希望順位の方が高い場合

支給認定申請書を市町村が受領した後、当該保護者が事業所内保育事業所の従業員枠の内定を得た際には、その旨の届出を求めた上で、市町村は当該保護者を利用調整の対象から外すことも可能とする。

また、市町村の利用調整の結果、事業所内保育事業所よりも下位の希望順位である保育所等へのあっせんが決定される場合、改めて保護者にいずれの施設・事業を利用するのかその意向を確認し、あっせんされた希望順位が低い保育所等の利用を希望する場合については、保護者は事業所内保育所側に対し、速やかに内定辞退に伴う説明を行うものとする。

② 事業所内保育事業所の希望順位の方が低い場合

市町村の利用調整の結果、希望する保育所等の利用が決まった従業員等については、保護者は、通常の保育所等と当該事業所内保育事業所のいずれを利用するか選択した上で、通常の保育所等を選択する場合については、当該事業所内保育事業所側に対し、保護者が速やかに内定辞退に伴う説明を行うものとする。

(5) 従業員枠への応募が利用定員を超える場合の取扱いについて

事業所内保育事業所の従業員枠を利用する保護者については、(2)(i)(ii)の場合、事業所からまとめて必要性の認定申請を行うことを想定している。その場合、事業所内保育事業所の利用定員のうち、法第6条の3第12項第1号イ、ロ又はハに規定するその他の乳児又は幼児が利用する定員枠(以下「地域枠」という。以下同じ。)の保育利用に係る市町村の利用調整より先行して利用者が決まることも考えられる。

事業所内保育所の地域枠については、他の保育所等と同様に、市町村が利用調整の上、利用者が決定されるため、従業員枠の定員超過分を地域枠の利用定員を活用して受け入れることとすると、まだ市町村による利用調整を終えていないにも関わらず、地域枠が利用できないことになりかねず、適当ではないため、従業員枠の利用定員数を超える応募があった場合、まずは、地域枠の定員を確保した上で、以下の①②のいずれかの取扱いを行うものとする。

① 従業員枠の利用定員弾力化による対応

従業員枠の利用定員弾力化による対応については、当該利用定員と超過して受け入れる子どもの数を合計してもなお認可基準を満たした上で、従業員枠の利用定員を弾力化することで超過分を受け入れることとする。

その後、市町村による地域枠に対する利用調整の結果、地域枠の定員に空きがあれば、当該事業所内に係る超過分について、地域枠を活用した弾力的な受入を可能とする。

② 施設における選考による対応

従業員枠の利用定員を超えた募集がある場合、従業員に対して事前に選考方法を周知した上で、特定教育・保育施設及び特定地域型保育事業の運営に関する基準第39条第2項及び第3項を踏まえて、保育を受ける必要性が高いと認められる子どもが優先的に利用できるよう、従業員等に対して事前に選考方法を周知した上で、選考を行うものとする。

なお、選考に漏れた場合、当該保護者である従業員等に対して速やかにその旨を通知し、通常の保育利用の申込みに移行できるよう配慮するよう取扱うこと。

3 事業所内保育事業に係る確認について

(1) 定員の設定について

子ども・子育て支援法第43条第2項に基づき、地域型保育給付に係る確認の効力は、当該確認をした市町村の区域内に限られるため、事業所の所在地市町村のみならず、従業員等の居住地市町村もそれぞれ確認することが必要とされている。

従業員枠の利用については、市町村域を超えた広域利用も想定されるが、各市町村が給付するに当たって、施設全体の定員規模に応じた単価に基づき給付を支払うことが必要であることから、事業所内保育事業の施設全体の利用定員数を把握しておく必要がある。

このため、事業所は当該事業所内保育事業所のある所在地市町村に対して、確認申請を行い、所在地市町村は、当該事業所内保育事業の施設全体の定員設定を行うこととする。

その上で、事業所内保育事業所は、それぞれの従業員に係る各居住地市町村への確認申請を行い、各居住地市町村は当該申請に基づき確認(または、下記3(2)に規定のとおり、子ども・子育て支援法第43条第5項に基づく確認があったものとみなす)を行うこととなるが、その際、従業員枠に係る利用定員は、原則として、各居住地市町村では設定しない取扱いとする。

(2) 所在地市町村と居住地市町村の間の協議・同意について

子ども・子育て支援法第43条の規定によれば、事業所内保育事業所の従業員枠を利用する従業員等に係る居住地市町村については、事業所内保育事業所の所在地市町村と協議し、同意を得た上で、確認することが求められるが、可能な限り、簡素で効率的な仕組みとするため、以下のような取扱いを行うことが可能な取扱いとする。

(i) 所在地市町村において一括して送付する方法

子ども・子育て支援法第43条第4項ただし書き及び第5項によれば、所在地市町村と居住地市町村の協議により、所在地市町村の同意を不要とする同意がある場合には、所在地市町村の確認をもって居住地市町村の確認があったものとみなすことが可能とされている。

そのため、所在地市町村は、事業所内保育事業所から、当該従業員枠を利用する従業員が居住する居住地市町村の市町村名一覧を受け取り、当該所在地市町村から各居住地市町村に対して、「子ども・子育て支援法第43条4項ただし書に基づき、確認の際の同意を不要とすることに同意する」旨の文書を送付する方法を可能な取扱いとする。

あるいは、それと同様に、以下の①②のような方法によることも可能であることとする。

① 所在地市町村は、事業所内保育事業所から、居住地市町村に居住する従業員に係る確認申請書・居住地市町村の一覧を受け取り、所在地市町村から居住地市町村に対して、当該確認申請書とともに確認の際の同意を不要とする旨の文書を添えて送付する方法

② 所在地市町村から事業所内保育事業所に対して居住地市町村による確認について同意する旨の文書を交付し、事業所内保育事業所から確認申請書に添付して送付させる方法

(ii) 都道府県内の各市町村において事前に同意を得たこととする方法

事業所内保育事業の従業員枠の利用については、複数の市町村間での相互利用が想定されるため、都道府県子ども・子育て支援事業支援計画の中で、広域利用を調整する過程等において、都道府県単位で、事業所内保育事業所の従業員枠について、複数の市町村が相互に子ども・子育て支援法第43条第4項及び第5項に基づき、確認に当たり事前に居住地市町村が確認を行うに当たって所在地市町村の同意を不要とする同意する旨を取りまとめ、所在地市町村による確認が得られれば、各居住地市町村においても確認を得られたものとみなすこと。

この場合、複数の市町村間の調整が必要となるため、都道府県が積極的な役割を果たすことが望ましい。

なお、都道府県域を超える利用の取扱いも想定される場合については、各都道府県間で更に調整を行うか、又は(i)(ii)を併用すること等が考えられる。