○水質基準に関する省令の一部改正等について(施行通知)
(平成26年3月31日)
(健発0331第30号)
(各都道府県知事・各市長・各特別区長あて厚生労働省健康局長通知)
(公印省略)
今般、「水質基準に関する省令等の一部を改正する省令」(平成26年厚生労働省令第15号)及び「水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法等の一部を改正する件」(平成26年厚生労働省告示第147号)が公布され、いずれも平成26年4月1日から施行されることとなった。また、本改正のほか、水質基準を補完する項目として定めている水質管理目標設定項目の一部を改正することとしたので、下記について御了知の上、貴管下水道事業者、関係機関及び関係団体等に対する周知指導につき特段の御配意をお願いする。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)に規定する技術的助言であること並びに厚生労働大臣認可の水道事業者等、国設置専用水道の設置者及び登録水質検査機関には別途通知していることを申し添える。
記
第1 改正の概要
平成25年7月22日付けで食品安全委員会より通知された、水道により供給される水の水質基準改正に係る食品健康影響評価(亜硝酸態窒素)に基づき、「水質基準に関する省令」(平成15年厚生労働省令第101号)の一部を改正し、亜硝酸態窒素に係る基準を追加するとともに、以下の省令及び告示について、所要の改正を行ったものであること。
・水道法施行規則(昭和32年厚生省令第45号)
・水道施設の技術的基準を定める省令(平成12年厚生省令第15号)
・給水装置の構造及び材質の基準に関する省令(平成9年厚生省令第14号)
・建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第2号)
・水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法(平成15年厚生労働省告示第261号)
・給水装置の構造及び材質の基準に係る試験(平成9年厚生省告示第111号)
・資機材等の材質に関する試験(平成12年厚生省告示第45号)
また、本職通知「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」(平成15年10月10日付け健発第1010004号)別添1に定めた水質管理目標設定項目についても、食品安全委員会における食品健康影響評価等を踏まえ、アンチモン及びその化合物並びにニッケル及びその化合物の目標値を見直すとともに、別添2に定めた農薬類(水質管理目標設定項目 15)の対象農薬リスト中の目標値の見直しを行ったものであること。加えて、厚生省生活衛生局長通知「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」(昭和62年1月29日付け衛水第12号)及び本職通知「建築物における衛生的環境の維持管理について」(平成20年1月25日付け健発第0125001号)について、所要の改正を行ったものであること。
第2 水質基準に関する省令の一部改正について
同省令の表について、9の項から50の項までを1項ずつ繰り下げ、新たに9の項として亜硝酸態窒素に係る基準値(0.04mg/L)を追加する改正を行ったものであること。
第3 水道法施行規則の一部改正について
同規則第15条に定める定期及び臨時の水質検査について、「亜硝酸態窒素」の項目を追加し、試料の採取の場所(同条第1項第2号)及び検査の回数(同条第1項第3号ハ)について「硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素」の項目と同様に、その定期検査の頻度をおおむね3か月に1回以上とするとともに、過去3年間における検査結果により、検査回数を減じることを可能とする等の改正を行ったものであること。
なお、過去3年間における検査結果については、同規則の施行前に実施されたものを含むことができるが、採水時に検水の残留塩素を消去する検査方法によって得られたものに限ることに留意されたいこと。
第4 給水装置の構造及び材質の基準に関する省令の一部改正について
同省令別表第1に定める給水装置の浸出液に係る基準について、亜硝酸態窒素に係る水栓その他給水装置の末端に設置されている給水用具の浸出液に係る基準値(0.004mg/L)、給水装置の末端以外に設置されている給水用具の浸出液又は給水管の浸出液に係る基準値(0.04mg/L)を追加するとともに、別表第1中の項目を、水質基準項目、水質管理目標設定項目、要検討項目の順に並べ替える改正を行ったものであること。
第5 水道施設の技術的基準を定める省令の一部改正について
同省令別表第1に定める薬品等基準及び別表第2に定める資機材等材質基準について、それぞれ、亜硝酸態窒素に係る基準値(0.004mg/L)を追加するとともに、別表第1及び別表第2中の項目を、水質基準項目、水質管理目標設定項目、要検討項目の順に並べ替える改正を行ったものであること。
第6 建築物における衛生的環境の確保に関する法律施行規則の一部改正について
同規則第4条に定める飲料水の水質検査項目に、「亜硝酸態窒素」の項目を追加し、その定期検査の頻度を6月以内ごとに1回としたこと。
第7 水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣が定める方法の一部改正について
下記の各事項について改正を行ったものであること。
1.水質基準項目の追加に係る検査方法の設定等
亜硝酸態窒素に係る分析方法にイオンクロマトグラフ(陰イオン)による一斉分析法(別表第13)を設定する。
併せて、別表第13の「3 試料の採取及び保存」の項にて、試料に残留塩素が含まれている場合には、試料1Lにつきエチレンジアミン溶液(50mg/ml)1mlを加えることとする。ただし、亜硝酸態窒素の検査を行わない場合は、エチレンジアミン溶液の添加を省略することができることとする。
また、表1に掲げる亜硝酸態窒素の濃度範囲を0.004~0.4mg/Lとする。
2.その他の事項
(1) ガスクロマトグラフ―質量分析計に用いることができるキャリアーガスの種類の拡大
同告示別表第14において、キャリアーガスとして「純度99.999v/v%以上のヘリウムガスと同程度の感度が得られるキャリアーガス」を追加する。
(2) 試薬、精製水等の追加等
同告示の別表において使用する試薬及び精製水等の明示並びにその要件を明確化するための所要の改正を行う。
第8 給水装置の構造及び材質の基準に係る試験の一部改正について
同告示第2の「3 分析方法」について、亜硝酸態窒素に係る分析方法としてイオンクロマトグラフ法を追加する改正を行ったものであること。
第9 資機材等の材質に関する試験の一部改正について
同告示「3 分析方法」について、亜硝酸態窒素に係る分析方法としてイオンクロマトグラフ法を追加する改正を行ったものであること。
第10 水質管理目標設定項目の一部改正について
「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」(平成15年10月10日付け健発第1010004号)本文並びに別添1及び別添2を、別紙1新旧対照表のとおり改正したこと。
第11 飲用井戸等衛生対策要領の一部改正について
「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」(昭和62年1月29日付け衛水第12号)の別紙「飲用井戸等衛生対策要領」のうち、四(二)に掲げる「②飲用井戸等の検査」について、別紙2新旧対照表のとおり改正したこと。
第12 建築物環境衛生維持管理要領の一部改正について
「建築物における衛生的環境の維持管理について」(平成20年1月25日付け健発第0125001号)の別添「建築物環境衛生維持管理要領」の一部を次のように改正したこと。
1 第2の6の(1)のイ中「表中第6の項、31の項、33の項、34の項及び39の項」を「表中第6の項、32の項、34の項、35の項及び 40の項」に改めること。
2 第2の6の(1)のウ中「表中9の項、20の項から30の項」を「表中10の項、21の項から31の項」に改めること。
第13 留意事項
第2から第12までの改正事項については、いずれも平成26年4月1日から施行されること。
別紙1
別紙2