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○「浄水処理対応困難物質」の設定について
(平成27年3月6日)
(健水発0306第1号)
(各都道府県・各市・各特別区水道行政担当部(局)長あて厚生労働省健康局水道課長通知)
(公印省略)
水道行政の推進につきましては、日頃からご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
さて、厚生労働省では、平成24年5月に利根川水系で発生したホルムアルデヒドによる水質事故の再発防止の観点から、同年7月に「水道水源における消毒副生成物前駆物質汚染対応方策検討会」を設置し、原因となり得る化学物質の抽出、生成メカニズム及び水道施設における低減方策等の検証、水道水源におけるリスクに応じた監視方法、施設整備及び管理のあり方の検討を行い、平成25年3月28日付け健水発0328第1号厚生労働省健康局水道課長通知「水道水源における水質事故への対応の強化について」により、水道事業者等による水道水源における水質事故に備えた対策が実施されるよう、同検討会の報告書を添えて、各都道府県、保健所設置市及び特別区水道行政担当部(局)長宛に通知したところです。
その後、「水質基準逐次改正検討会」及び「厚生科学審議会生活環境水道部会」において、事故等により原水に流入した場合に通常の浄水処理では対応が困難な物質への対応について更なる検討を進め、今般、別紙のとおり検討結果をまとめ、通常の浄水処理により水質基準項目等を高い比率で生成する物質を「浄水処理対応困難物質」として新たに位置付けることとしました。
つきましては、貴管下水道事業者等に対する周知につき特段のご配慮をお願いいたします。
また、「浄水処理対応困難物質」を取り扱う者に注意喚起を行うため、環境省に対しては都道府県等環境部局への周知依頼、経済産業省に対しては関係する同省所管業界団体への周知依頼を行うこととしていますので、関係行政部局との連携についてもご配慮をお願いします。
なお、「水道水源における水質事故への対応の強化について」(平成25年3月28日付け健水発0328第1号厚生労働省健康局水道課長通知)は本通知をもって廃止します。また、本通知は、地方自治法(昭和22法律第67号)に規定する技術的助言であること並びに厚生労働大臣認可の水道事業者等及び国設置専用水道の設置者には別途通知していることを申し添えます。
[別紙]
「浄水処理対応困難物質」の設定について
1.はじめに
平成24年5月に利根川水系で発生した大規模な断水を伴う水道水質事故については、水質基準項目であるホルムアルデヒドの基準超過が問題となったが、その原因物質であるヘキサメチレンテトラミンは、水道法に基づく水質基準の項目でも、環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準の項目でも、あるいは水質汚濁防止法に基づく有害物質や指定物質(当時)にも該当していなかったが、浄水処理により水質基準項目となっている有害物質のホルムアルデヒドを生成するという物質であった。
このような事故の再発を防止するためには、ヘキサメチレンテトラミンと同様に浄水処理により副生成物として水質基準項目等を生成するような物質等を特定するとともに、それらの物質の水道水源への流入を防止する対策等を促すことが必要である。さらに、水道水源の上流にこれらの物質を排出する可能性のある事業者が存在する水道事業者等においては、当該物質によるリスクの存在を認識し、万が一の事故が起こった場合に備えておくことが望ましい。
以上の問題認識から、通常の浄水処理により水質基準項目等を高い比率で生成する物質を新たに「浄水処理対応困難物質」と位置付けるとともに、その取り扱いについて検討を行ったものである。
2.「浄水処理対応困難物質」の位置付け
今般、検討対象とする物質は、万一の水質事故時を除き、通常は水道水や水道原水から検出されることは稀であり、水道事業者等に水質検査を義務付けることとなる全国一律の水質基準及び水質基準に準ずる水質管理目標設定項目に馴染むものではない。また、毒性が定まらない、検出状況が不明等によって位置づけられる要検討項目とも性質は異なるものである。従って、検討対象とする物質には、水質基準、水質管理目標設定項目及び要検討項目とは別の位置付けを与える必要がある。
検討対象とする物質は、事故等により万一原水に流入した場合に通常の浄水処理では対応が困難な物質であり、第一には水道水源の上流でこれらの物質を水道水源に排出する可能性のある事業者等に対し、これらの物質が水道水源に排出された場合、水道水質事故の原因となることを知らせ、注意を促すことが重要である。このため、水道事業者等のみならず、排出側を含めた関係者がこれらの物質に対して注意を払うことを目的として、新たに「浄水処理対応困難物質」というカテゴリーを設定し、対象となる物質を位置付けることした。
3.「浄水処理対応困難物質」の対象物質の要件
水質基準及び水質管理目標設定項目に該当しないが、通常の浄水処理により水質基準又は水質管理目標設定項目に係る物質(以下「水質基準等物質」という。)のうち人の健康の保護に関する項目に該当する物質を高い比率で生成することから、万一原水に流入した場合に通常の浄水処理では対応が困難な物質を対象とする。
4.「浄水処理対応困難物質」の対象物質
3.の要件に該当する物質は別添1のとおり。厚生労働省では、新たな知見が得られた場合には随時見直しを行うことを予定している。
5.「浄水処理対応困難物質」の取り扱い
(1) 「浄水処理対応困難物質」に係る排出側での管理促進
「浄水処理対応困難物質」は、事故等により万一原水に流入した場合に通常の浄水処理では除去が困難な物質であり、まずは公共用水域への流入がないよう対策が講じられることが重要である。水道事業者等は、他の水道事業者等及び関係行政部局等と連携して、水源におけるこれらの物質の流出のおそれの把握に努めることが必要である。「浄水処理対応困難物質」を水道水源に排出する可能性のある事業場が水道水源の上流にある水道事業者等は、排出側での未然防止が図られるよう、当該物質が浄水処理では対応が困難である旨を環境行政部局、関係事業者等に情報提供し、万が一、当該物質が水道水源に流入した場合には、原因者から環境部局及び関係する水道事業者等に速やかに連絡する体制が構築されるよう関係者との連携に努めること。
(2) 水質事故把握のための体制整備
水源を共有する水道事業者等の間の連携を密にするとともに、河川管理者、環境部局等の関係行政部局や研究機関との連絡体制の強化、実施可能な措置及び役割の明確化により、事故発生時の状況を正確かつ迅速に把握できる体制の整備に努めること。
なお、「浄水処理対応困難物質」は、水道水源の上流でこれらの物質を水道水源に排出する可能性のある事業者等に対し、これらの物質が水道水質事故の原因となることを知らせ、注意を促すことを第一の目的として整理したものであり、当該物質の副生成物である水質基準等物質を検査することにより検知できることから、当該物質そのものを新たに定期的な水質検査の対象に加える必要はない。
(3) 「浄水処理対応困難物質」によるリスクの把握
「浄水処理対応困難物質」を水道水源に排出する可能性のある事業場が水道水源の上流にある水道事業者等においては、水安全計画(平成20年5月30日健水発第0530001号)の手法も活用しながら、浄水施設に対する当該物質によるリスクの把握に努めること。
(4) 影響緩和措置による対応能力の強化
十分な配水池容量や備蓄水等の施設内調整容量の確保、水源の複数化や予備水源の確保等は水質事故による給水への影響を軽減するうえで有効である。また、水道施設に排水機能を整備することは、水質事故からの早期復旧に有効である。
6.その他過去に水質事故の原因となった物質等について
その他、過去に水質事故(給水への影響を及ぼした事故又は給水への影響を及ぼすおそれのあった事故(取水制限、浄水操作の変更等))の原因となったものとして別添2に示す物質等が挙げられる。これらについても水道水源における水質事故への注意が必要であり、上記5.に準じた対応に努められたい。
別添1 浄水処理対応困難物質
物質 |
生成する水質基準等物質 |
備考(※) |
ヘキサメチレンテトラミン(HMT) |
ホルムアルデヒド (塩素処理により生成) |
水濁法指定物質 PRTR第1種 |
1,1―ジメチルヒドラジン(DMH) |
PRTR第1種 |
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N,N―ジメチルアニリン(DMAN) |
PRTR第1種 |
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トリメチルアミン(TMA) |
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テトラメチルエチレンジアミン(TMED) |
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N,N―ジメチルエチルアミン(DMEA) |
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ジメチルアミノエタノール(DMAE) |
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アセトンジカルボン酸 |
クロロホルム (塩素処理により生成) |
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1,3―ジハイドロキシルベンゼン (レゾルシノール) |
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1,3,5―トリヒドロキシベンゼン |
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アセチルアセトン |
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2'―アミノアセトフェノン |
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3'―アミノアセトフェノン |
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臭化物(臭化カリウム等) |
臭素酸(オゾン処理により生成)、ジブロモクロロメタン、ブロモジクロロメタン、ブロモホルム(塩素処理により生成) |
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※ PRTR第1種指定化学物質については、経済産業省HP等から排出事業所等の情報収集が可能である。PRTR第1種指定化学物質以外の物質については、今後、厚生労働省が関係省庁と連携し、情報収集に努める。
別添2 過去に水質事故の原因となった物質等
物質等 |
水質事故の内容 |
備考 |
スチレン |
要検討項目の目標値超過 |
PRTR第1種 |
有機すず化合物 |
PRTR第1種 |
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過塩素酸 |
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パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS) |
発泡 |
PRTR第1種 |
ポリプロピレングリコール |
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パーフルオロオクタン酸(PFOA) |
毒性の懸念 |
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ヒドロキシルアミン |
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シクロヘキシルアミン |
塩素と反応し異臭 |
PRTR第1種 |
3,5―ジメチルピラゾール |
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ナフタレン |
異臭 |
PRTR第1種 |
香料(フェニルメチルエーテル、イソ吉草酸メチル等) |
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アクリル酸2―エチルヘキシル |
異臭、油膜の形成 |
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硫酸ピッチ(硫酸、タール、油分) |
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油類 |
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ポリアクリル酸ブチル |
表面膜の形成 |
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スルファミン酸 |
塩素消費量増加 |
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チオ硫酸ナトリウム |
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アンモニア類(重炭酸アンモニウム等) |
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水酸化ナトリウム |
pH異常 |
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セメント灰汁 |
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蛍光塗料、染料 |
色度超過 |
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