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○障害福祉サービス事業者に係る業務管理体制の監督について(通知)〔障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律〕

(平成27年3月13日)

(障発0313第2号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各児童相談所設置市市長あて厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知)

(公印省略)

障害福祉サービス事業者については、利用者に対する適切なサービス提供が求められるだけでなく、事業の健全な運営と国民からの信頼を確保するため、法令等の自主的な遵守が求められるところである。

ついては、都道府県及び市町村においても、事業者のこのような立場を認識するとともに、事業運営の適正化について一層の推進を図る観点から、別添「障害福祉サービス事業者業務管理体制確認検査方針」を参考に効率的かつ効果的な事業者に係る業務管理体制の監督に努められたい。

また、各都道府県におかれては、管内市町村への周知徹底について配慮されたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年4月17日法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として発出するものである。

(別添)

障害福祉サービス事業者業務管理体制確認検査方針

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律及び児童福祉法(以下「障害者総合支援法等」という。)に基づき実施する障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定事業者等(指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設の設置者をいう。)及び指定相談支援事業者並びに児童福祉法に基づく指定障害児事業者等(指定障害児通所支援事業者及び指定発達支援医療機関の設置者をいう。)、指定障害児入所施設等(指定障害児入所施設及び指定発達支援医療機関をいう。)の設置者及び指定障害児相談支援事業者(以下「障害福祉サービス事業者」という。)に対する業務管理体制確認検査及びこれに付随する事務(以下「検査等」という。)に関し、その運用の基本的考え方及び実施手続等について下記のとおり示すので十分留意するとともに、国、都道府県、市町村の関係機関と連携の上、その的確かつ効果的な検査等の実施に努めるものとする。

第1 検査等の実施に当たっての基本的考え方

1 障害福祉サービス事業者の業務管理体制に係る監督については、事業の健全かつ適正な運営の確保を図るため、障害福祉サービス事業者の業務管理体制の整備状況を検証し、問題点が確認された場合においては、その問題点に対する障害福祉サービス事業者の認識を確認し、事実関係の的確な把握等を前提に、必要に応じて行政上の措置を行うこととなる。

2 障害福祉サービス事業者の検査を効果的に実施するために、業務管理体制の監督部局(以下「監督部局」という。)には以下の対応が求められる。

(1) 監督部局は、指定を行った事業所又は施設(以下「指定事業所等」という。)の指定等取消事案等となり得るような不正行為の未然防止のため、障害福祉サービス事業者の業務管理体制の問題点について検証し、障害福祉サービス事業者が自ら業務管理体制の改善を図り法令等遵守に取り組むよう意識付けすることが役割である。

業務管理体制は、障害福祉サービス事業者自身の自己責任原則に基づく内部管理を前提としているものであるため、監督部局が障害福祉サービス事業者に代わり、指定事業所等の指定等取消事案等となり得るような不正行為の未然防止に努めるものではないことに十分留意する必要がある。

(2) その作業は、事実を的確に把握し、客観的に問題点を示したうえで、障害福祉サービス事業者の主張を十分に聴取し、その理解や認識を確認するプロセスを経たものである必要がある。

(3) 検査等に求められるのは、障害福祉サービス事業者の規模・法人種別等に応じた適切な業務管理体制が整備されているかについて、的確な検証を行うことである。

(4) 指定事業所等の指定取消処分相当の事案が発覚した場合における立入検査(以下「特別検査」という。)は、法律に定められた正当な権限の行使であるが、事業所等の指定等権限を有する指導監督部局(以下「指導監督部局」という。)及び関係する都道府県、市町村の指導監督部局とも十分連携し、効率的かつ効果的な検証方法の選択に努めなければならない。

3 検査等は、以下の基本原則に則し、的確かつ効果的に実施する必要がある。

(1) サービス利用者、国民視点の原則

検査等の実施に当たっては、利用者の保護と事業の健全かつ適正な運営のため、サービス利用者及び国民の立場に立ち、障害福祉サービス事業者の業務管理体制の実態を検証しなければならない。

(2) 補強性の原則

検査等は、障害福祉サービス事業者自身の内部管理を前提としている。適切な業務管理体制を整備しているかどうかの説明責任はあくまで障害福祉サービス事業者自身にあり、監督部局は、これを検証する立場にある。

他方、検査等の実施に当たっては、それが、障害福祉サービス事業者の業務管理体制の強化につながり、障害福祉サービス事業者自身の改善に向けた取組みを促進するよう配慮しなければならない。この観点から、検査等では、事実を的確に把握し、客観的に問題点を示したうえで、障害福祉サービス事業者の主張を十分に聴取し、その理解や認識を確認するプロセスを重視する。

(3) 効率性の原則

検査等は、障害福祉サービス事業者の内部監査機能の活用や指導監督部局と十分な連携を行いつつ、効率的に実施する必要がある。

検査等の実施に当たっては、内部監査、監査役等の監査機能の有効性を的確に評価し、可能な限りその活用に努めなければならない。

また、障害福祉サービス事業者の規模・法人種別等に応じ機動的な実施に努めなければならない。

(4) 実効性の原則

検査等は、障害福祉サービス事業者の業務の健全性及び適正性の確保につながるように実施する必要がある。

検査等の実施に当たっては、障害福祉サービス事業者が抱える問題点を的確に把握しなければならない。

(5) プロセス・チェック(注)の原則

検査等の実施に当たっては、障害福祉サービス事業者の業務管理体制に関して、そのプロセス・チェックに重点を置いて検証を行わなければならない。ただし、業務管理体制に重大な懸念がある場合には、プロセス・チェックの観点からも指定事業所等の個別事案の検証が重要であることに留意する必要がある。

――――――――――

(注) プロセスチェックとは、①方針の策定、②内部規程・組織体制の整備、③評価・改善活動の一連の過程が適切に行われ、これが有効に機能しているかを確認することをいう。

4 監督部局の検査担当職員(以下「検査担当職員」という。)は、第2に定める「検査等の実施手続等」の遵守に努め、以下に定めるような高い自己規律が求められることを自覚し、適切な検査を実施する必要がある。

(検査担当職員の心得)

① 公正・公平な検査の実施

法律に基づいた権限行使であることを自覚し、公正・公平な検査の実施に努めなければならない。

② 法に定める適正な手続き

検査が私企業等に対する立入権限の行使を含むものであることを自覚し、検査の実施に当たっては、適正な手続きを確保するとともに、効率的・効果的な検証の実施に努め、法律の目的に照らして必ずしも必要のない点にまで検査に及んでいないかを、不断に問い直さなければならない。

③ 信頼の醸成

検査は信用と信頼が最も大切な要素であることを自覚し、綱紀・品位及び秘密の保持を徹底しなければならない。また、穏健冷静な態度で相手方と双方向の議論に努めなければならない。

④ 自己研鑽

検査担当職員は、法令や通知、確認検査実施に当たっての考え方(別添参考資料)等を正しく理解し、障害福祉サービス事業者の業務に関する知識や検査実務の習得に努めなければならない。

第2 検査等の実施手続等

検査等の実施に際して、一般検査において報告等の内容に不備が認められた場合等の実施手続等を以下に示すので、その実施に当たっては十分に留意すること。

本方針においては、検査担当職員及び障害福祉サービス事業者双方に、検査における障害福祉サービス事業者の受検義務の範囲や検査の実施手続等に関する判断の目安を示すことにより、円滑かつ効果的な検査等の実施に向けた、双方の理解を深めることをねらいとしている。

なお、本方針で定める実施手続等の運用に当たっては、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要がある。

1 適用範囲

本方針は、障害者総合支援法等に基づき国、都道府県、市町村が実施する障害福祉サービス事業者の業務管理体制を確認するための検査等に対して適用する。

2 検査実施方法

(1) 一般検査

監督部局は、業務管理体制の整備・運用状況を確認するため、定期的に検査を実施する。

ア 届出内容について報告等を求める。

(ア) 法令遵守責任者の役割及びその業務内容

(イ) 業務が法令に適合することを確保するための規程の内容

(ウ) 業務執行の状況の監査(法令遵守に係る監査)実施状況及びその内容

イ 報告等の内容に不備が認められた場合には、障害福祉サービス事業者の従業者に出頭を求め、改善を求める。

ウ 上記において改善が見込まれない場合には、当該事業者本部等へ立ち入り、業務管理体制の整備状況を検証する。

検査等は、原則として、以下の手続に基づき実施する。ただし、検査の状況等により、機動的な対応を取ることを妨げない。

(ア) 立入検査開始前

被検査事業者を決定したときは、次に掲げる事項を文書等により当該事業者に通知する。

ただし、実効性のある実態把握の観点から、必要と認める場合には、この限りでない(通知していない場合は、立入時に速やかに告知する。)。

① 立入検査の根拠規定

② 立入検査の日時及び場所

③ 検査担当者

④ 立入検査の方法

⑤ 準備すべき書類等

(イ) 立入検査中

① 身分証明書の提示等

検査担当職員は、検査の際に携帯すべき身分証明書を提示して、検査を行う旨を告げなければならない。

② 検証

検査担当職員は、業務管理体制の整備状況の検証に当たって、事実を的確に把握し、客観的に問題点を示したうえで、障害福祉サービス事業者の説明及び意見をよく聞き、その理解や認識を確認するプロセスが重要であることを十分に認識し、当方の考え方を伝える場合には、その根拠等も添えて説明しなければならない。

③ 内部監査・監査役等監査の活用

検査の実施に当たっては、「補強性の原則」を踏まえ、障害福祉サービス事業者の内部監査の有効性を十分確認し、内部監査が有効に機能していると認められる場合は、その報告内容を活用し、検査の効率化を図る。

他方、内部監査の有効性に疑義が認められる場合には、障害福祉サービス事業者に対し、自己責任原則に基づく業務管理体制が適切に運用されるよう促す観点から、当該問題点を的確に指摘する。

なお、内部監査機能の有効性を検証するに当たっては、監査役等監査が、経営陣の内部監査に係る監査を通じ、障害福祉サービス事業者の健全性及び適正性の確保全般に重要な役割を担っていることから、監査役等監査の結果も活用する。

※ 内部監査の有効性の確認に当たっては、例えば、

・ 障害福祉サービス事業者における内部監査の位置付け(権限・陣容・体制)、内部監査の方針・計画、監査結果、監査結果に基づく改善状況等

・ 監査役等監査の結果

・ 障害福祉サービス事業者自らの内部監査の有効性に対する認識(第三者機関(外部監査含む。)により内部監査の有効性の評価を受けている場合には、それに対する障害福祉サービス事業者の認識を含む。)

④ 資料等を求める際の留意事項

検査担当職員は、障害福祉サービス事業者の業務管理体制の的確な実態把握及びその適正性の検証を行う観点から、随時、資料等を求めることができる。

ただし、資料等を求めるに当たっては、障害福祉サービス事業者が保持するものを活用し、検査会場で閲覧するなど、真に必要なもの以外は持ち帰ることがないよう、留意する。

⑤ 立入検査終了手続

検査担当職員は、立入検査終了に当たり、役員等との間で以下の対応を取る。

a 立入検査の過程で把握した事実関係については、その内容に両者の間で認識の相違がないことの確認を十分行う。

b その上で、検査担当職員より立入検査を通じて把握した問題点等を伝達し、これに対する障害福祉サービス事業者の認識を聴取し、その時点での検査担当者と障害福祉サービス事業者との間の認識の一致及び相違を確認する。この確認に当たっては、原則として、書面を利用しつつ、明確化を図る。

c 監督部局としての最終的な見解は文書により示される旨、及び立入検査は終了しても検査自体は当該文書が交付されるまで継続する旨を障害福祉サービス事業者に伝達し、今後の手続について説明を行う。

⑥ その他の留意事項

監督部局は、被検査事業者の検査等に対する負担軽減を常に意識し、適時・適切な見直しに努める。

(ウ) 立入検査終了後

検査担当職員は、立入検査終了後速やかに、検査を通じ把握した事項、問題点等を取りまとめた検査報告書を作成し、関係部署の責任者(関係課長等)で構成した検査会議を開催し、審議を経た後、決裁を受け、以下の行政上の措置に係る文書を障害福祉サービス事業者に交付する。

その際、障害福祉サービス事業者に対して、行政上の措置について照会を行うことができる旨を説明する。

① 勧告

厚生労働省令で定める基準に従って適正な業務管理体制の整備をしていないと認めるときは、障害福祉サービス事業者に対し、期限を定めて、その是正を勧告することができる。

② 命令

勧告を受けた障害福祉サービス事業者が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、期限を定めて、その措置をとるべきことを命ずることができる。

(エ) 特別な処置

上記(ウ)②の命令に違反したときは、当該事業者の運営する指定事業所等について検査を実施し、業務管理体制の整備状況を検証する。

(2) 特別検査

ア 指定事業所等の指定等取消相当の事案が発覚した場合に、当該事業所等の本部等へ立ち入り、業務管理体制の整備状況を検証するとともに、当該事案への組織的関与の有無を検証する。

検査等の実施手続は、上記(1)ウと同様とする。

イ 上記(1)ウ(ウ)②の命令に違反したときは、当該違反の内容を関係都道府県又は関係市町村に通知するとともに、他の事業所等の指定(許可)・更新の拒否に該当する旨、あわせて通知するものとする。

3 情報管理

検査担当職員は、検査等に関する情報を、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法令、一般的な行政文書の管理に関する規程等に即して、適切に管理する。その際、特に、以下の点に配慮する。

・検査等の実施に当たって知り得た秘密を漏らしてはならない。

・検査等に関する情報を検査及び指導監督の目的以外には使用してはならない。

(別添:参考資料)

業務管理体制(法令等遵守態勢)確認検査実施に当たっての考え方

【会社法上の監査役(会)設置会社である事業者を前提とした検査の一例】

【活用するに当たっての留意事項】

(1) 障害福祉サービス事業者の業務管理体制に係る確認検査の基本的考え方等については、「障害福祉サービス事業者業務管理体制確認検査方針」において示しており、本書の解釈及び運用は当該方針に基づいて行う。

(2) 本書は、検査担当者が、障害福祉サービス事業者が自ら整備した業務管理体制(その具体的内容は「法令等遵守※1体制」)を検査するに当たっての参考書として位置づけられるものであり、各障害福祉サービス事業者においては、このプロセスを踏まえ自己責任原則に基づき、経営陣のリーダーシップの下、それぞれの規模・法人種別等に応じた方針、内部規程等を作成し、障害福祉サービス事業者の事業の健全性と適正性の確保を図ることが期待される。

検査の重点は、障害福祉サービス事業者の規模や法人形態等に見合った業務管理体制整備の「プロセス」、「業務管理態勢※2の推進」に着眼した事業者の事業に対する考え方、本質的な部分の確認である。本書の大規模事業者の例は、検査担当者が検査実施に当たって、どのような内容を確認するかについて会社法上の監査役(会)設置会社である事業者を前提に具体的に詳細な事項にまで踏み込んで一例を示したものであり、各チェック項目の体制やその水準達成が全ての障害福祉サービス事業者に求められるものではない。検査実施に当たっては、障害福祉サービス事業者の規模や法人形態等の事業者個々の状態を十分踏まえ、過度な要求を押しつけたり、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要がある。

チェック項目について記述されている字義どおりの対応が障害福祉サービス事業者においてなされていない場合であっても、障害福祉サービス事業者の事業の健全性及び適正性の確保の観点からみて、障害福祉サービス事業者の行っている対応が合理的なものであり、さらに、チェック項目に記述されているものと同様の効果がある、あるいは障害福祉サービス事業者の規模や法人種別等に応じた十分なものである、と認められるのであれば、不適切とするものではない。

例えば、大規模事業者の例に記載された部門が設置されていない場合であっても、検査担当者は、当該障害福祉サービス事業者の規模・法人種別等を踏まえ、必要な機能を十分に発揮することができ、かつ、相互牽制が機能する組織態勢が整備されているかを検証するものとする。

したがって、検査担当者は、立入検査の際に障害福祉サービス事業者の取組状況を十分に聴取し、双方向の議論を行う必要がある。

(3) 大規模事業者の例は、会社法上の監査役(会)設置会社である障害福祉サービス事業者を念頭に記述しているため、以下の点に留意する。

① 障害福祉サービス事業者の組織形態によってはチェック項目に必ずしも求められない事項が含まれていること。

② 障害福祉サービス事業者の法人種別に応じて適用される文言に適宜読み替えるものとする。例えば、「取締役」とあるのは「理事」に、「取締役会」とあるのは「理事会」に、「取締役会等」とあるのは「理事会等」に、「代表取締役」とあるのは「代表理事」に、「監査役、監査役会」とあるのは「監事、監事会」に読み替える。

③ 担当取締役としての役割及び責任について、いわゆる執行役員(非取締役)が担っている場合には、当該執行役員が取締役会により担当取締役と実質的に同等の権限を付与されているか、責任の所在が明確になっているか、担当する業務執行について取締役会による十分な監視が行われているか、等を総合的に検証した上、各チェック項目上担当取締役に求められる役割及び責任を十分果たしているか検証するものとする。

④ 障害福祉サービス事業者が委員会設置会社※3である場合には、取締役会、監査委員会、執行役等の機関等が、それぞれに与えられた権限等を適切に行使しているかどうかといった観点から、以下の点に留意する。

(i) 業務執行権限を有するのは執行役であり、取締役には、原則として、業務執行権限がない。

(ii) 取締役会は、その決議により、業務の決定権限を執行役に委任することができる。

(iii) 取締役会は、取締役及び執行役の職務の執行を監督する。

(iv) 監査権限は監査委員会にあり、監査委員個人に監査権限が認められるものではない(監査委員会が指名した監査委員が委員会の権限を行使する)。

(4) 大規模事業者の例中の用語については以下による。

① 「取締役会」の役割とされている項目については、取締役会自身において実質的議論を行い内容を決定することが求められるが、その原案の検討を他の会議体、部門又は部署で行うことを妨げるものではない。

② 「取締役会等」には、取締役会のほか、経営会議等の経営陣レベルによって構成される経営に関する事項を決定する組織も含む。なお、「取締役会等」の役割とされている項目についても、取締役会自身において決定することが望ましいが、他の経営会議等に委任している場合には、取締役会による明確な委任があること、経営会議等の議事録の整備等により事後的検証を可能としていることに加え、取締役会への結果報告や経営会議等に監査役の参加を認める等の適切な措置により、十分な内部牽制が確保されるような態勢となっているかを確認する必要がある。

③ 「内部規程」とは、経営方針等に則り、業務に関する取り決め等を記載した障害福祉サービス事業者内部に適用される規程をいう。

④ 「営業推進部門等」とは、営業に係る部門・部署・営業拠点等をいい、営業を直接・間接に行う部門、これを推進するための企画・立案等を行う部門をいう。

⑤ 「モニタリング」には、監視することのみならず、必要に応じて、警告その他具体的な方策を措置することも含む。

――――――――――

※1 ここでいう法令等遵守とは、単に法令や通達のみを遵守するのではなく、事業を実施する上で必要な法令の目的(社会的要請)や社会通念に沿った適応を考慮したもの。

※2 業務管理の「態勢」とは、組織の様式(体制)だけでなく、法令等遵守に対する姿勢や体制づくりへの取り組みを指している。

※3 委員会設置会社とは、会社法に基づき、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会を置く株式会社をいう。従来の株式会社とは異なる企業の統治制度を有する。取締役会の中に社外取締役が過半数を占める委員会を設置し、取締役会が経営を監督する一方、業務執行については執行役に委ね、経営の合理化と適正化を目指した組織形態。

(【検証のポイント】

・ 法令等遵守態勢の整備・確立は、障害福祉サービス事業者の責務であり、業務の健全性及び適正性を確保するための最重要課題の一つである。経営陣には、法令等遵守態勢の整備・確立のため、法令等遵守に係る基本方針を決定し、組織体制の整備を行う等、障害福祉サービス事業者の業務の全般にわたる法令等遵守態勢の整備・確立を自ら率先して行う役割と責任がある。

・ 検査担当者は、経営陣が、①方針の策定、②内部規程・組織体制の整備、③評価・改善活動をそれぞれ適切に行っているかといった観点から、法令等遵守態勢が有効に機能しているか否か、取締役会の役割と責任が適切に果たされているかをチェック項目を活用して具体的に確認する。

・ チェック項目の検証において問題点の発生が認められた場合、当該問題点がチェック項目のいずれの要素の欠如又は不十分に起因して発生したものであるかを漏れなく検証し、障害福祉サービス事業者の主張を十分に聴取し、その理解や認識を確認する。

・ 検査担当者が認識した弱点・問題点を経営陣が認識していない場合には、特に、態勢が有効に機能していない可能性も含めて検証し、障害福祉サービス事業者の主張を十分に聴取し、その理解や認識を確認する。

・ 検査担当者は、前回検査における改善を要するとした事項(勧告するまでに至らなかった事項も含む。)の改善状況について検証し、実効性ある改善策が策定され実行されているか否かを確認する。)

確認の視点

大規模事業者の例

中・小規模事業者の場合の留意点

 

 

※ チェック項目の考え方は大規模事業者の例による。

ただし、事業者の組織形態・規模等により、その態勢、手法が異なることに留意し、当該事業者における法令等遵守態勢の実効性を検証する。

Ⅰ 方針の策定

1 取締役の役割・責任

取締役は、法令等遵守の徹底が障害福祉サービス事業者の信頼の維持、業務の健全性及び適正性の確保のために必要不可欠であることを十分に認識し、法令等遵守を重視しているか。特に、自らの担当する業務に関し留意すべき法令上のリスクを認識し、事業の適法な運営に万全を期しているか。

また、法令等遵守の担当取締役は、指定事業所等の業務に適用される法令等の内容を理解するだけでなく、法令等遵守の状況のモニタリング・法令等遵守の徹底等の方法を十分に理解し、この理解に基づき指定事業所等の法令等遵守の状況を的確に認識し、適正な法令等遵守態勢の整備・確立に向けた方針及び具体的な方策を検討しているか。

1 取締役の役割・責任

法令等遵守の実践の成否は経営者にかかっているため、事業運営に責任のある経営者(陣)の法令等遵守に対する認識、取組等に留意する。

2 法令等遵守方針の整備・周知

取締役会は、法令等遵守に係る基本方針(以下「法令等遵守方針」という。)を定め、組織全体に周知させているか。

2 法令等遵守方針の整備・周知

経営者(陣)が実効性のある形で法令等遵守方針を定め、全役職員に周知させているか。

3 方針策定プロセスの見直し

取締役会は、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、方針策定のプロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

3 方針策定プロセスの見直し

経営者(陣)が定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、方針策定のプロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

Ⅱ 内部規程・組織体制の整備

1 内部規程の整備・周知

① 取締役会等は、法令等遵守方針に則り、法令等遵守に関する取り決めを明確に定めた内部規程(以下「法令等遵守規程」という。)を、法令等遵守に関する事項を一元的に管理する部門(以下「法令等遵守統括部門」という。)の管理者(以下「管理者」という。)に策定させ、組織内に周知させているか。取締役会等は、法令等遵守規程について法的・倫理的(障害福祉サービス事業者の社会的責任、倫理、社会通念などの遵守)チェックを経て、法令等遵守方針に合致することを確認した上で承認しているか。

② 管理者は、役職員が業務内容に応じて遵守すべき法令等を十分に理解し、法令等遵守方針に則り、法令等遵守規程を策定しているか。法令等遵守規程は、取締役会等の承認を受けた上で、組織内に周知されているか。

③ 法令等遵守規程の内容は、事業の特性に応じ、役職員が遵守すべき法令等の遵守に関する取り決めを網羅し、適切に規定されているか。例えば、以下の項目について明確に記載される等、適切なものとなっているか。

・ 法令等遵守統括部門の役割・責任及び組織に関する取り決め

・ 法令等遵守関連情報の収集・管理、分析及び検討に関する取り決め

・ 法令等遵守のモニタリングに関する取り決め

・ 法的・倫理的(障害福祉サービス事業者の社会的責任、倫理、社会通念などの遵守)チェックに関する取り決め(例えば、事業担当部門及び事業所等が業務上作成又は関与する内部規程、業務関連文書等のうち、法的・倫理的チェックを行うべきもの)

・ 研修・指導等の実施に関する取り決め

・ 法令等遵守統括部門が行った調査に関する記録の保存・管理等に関する取り決め

・ 取締役会等及び監査役への報告に関する取り決め

1 内部規程の整備・周知

経営者(陣)が法令等遵守方針に則り、法令等遵守規程を管理者に策定させ、法的・倫理的チェックを経て、全役職員に周知させているか。

また、その内容が当該事業者において実効性があり適切なものとなっているか。

2 法令等遵守統括部門の態勢整備

(1) 経営陣による法令等遵守統括部門の態勢整備

① 障害福祉サービス事業者全体の法令等遵守の徹底を図るためには、障害福祉サービス事業者の様々な部署に散在する法令等遵守に関する情報(以下「法令等遵守関連情報」という。)を一元的に収集・管理、分析、検討して、その結果に基づき適時に適切な措置・方策を講じることが必要不可欠である。この観点から、取締役会等は、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に則り、法令等遵守統括部門を設置し、所掌事項を明確にして権限を付与し、適切な役割・機能を発揮させる態勢を整備しているか。※1

――――――――――

※1 法令等遵守統括部門を独立した態様で設置しない場合には、当該障害福祉サービス事業者の規模・法人種別等に応じ、その態勢の在り方が十分に合理的で、かつ、機能的な側面から見て部門を設置する場合と同様の機能を備えているか検証する。

② 取締役会は、法令等遵守統括部門に、当該部門を統括するために必要な知識と経験を有する管理者を配置し、当該管理者に対し管理業務の遂行に必要な権限を与えて管理させているか。

③ 取締役会等は、法令等遵守統括部門に、その業務の遂行に必要な知識と経験を有する人員を適切な規模で配置し、当該人員に対し業務の遂行に必要な権限を与えているか。※2

――――――――――

※2 人員の配置及び権限の付与についての権限が取締役会等以外の部署・役職にある場合には、その部署・役職の性質に照らし、牽制機能が働く等合理的なものとなっているか否かを検証する。

④ 取締役会等は、法令等遵守統括部門について営業推進部門等からの独立性を確保するなど、牽制機能が発揮される態勢を整備しているか。特に、法令等遵守統括部門が他の業務との兼務をする場合、営業推進部門等からの干渉を防止する態勢となっているかに留意する。

(2) 法令等遵守統括部門の態勢整備

① 管理者は、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に基づき、適切な法令等遵守を確保し、法令等違反行為の未然防止及び再発防止を徹底するため、法令等遵守統括部門の態勢を整備し、牽制機能を発揮させるための施策を実施しているか。

② 管理者は、法令等遵守の徹底に関する能力・知識を向上させるための研修・教育態勢を整備し、専門性を持った人材の育成を行っているか。

2 法令等遵守統括部門の態勢整備

経営者(陣)が法令等遵守方針及び法令等遵守規程に則り、適切な役割・機能を発揮させる法令等遵守の態勢を整備しているか。

必ずしも法令等遵守統括部門の設置や専任の管理者の配置を求めるものではないが、整備した態勢が事業者内部において牽制機能が発揮される等、実効性のあるものとなっているか。

3 事業担当部門及び事業所等における法令等遵守態勢の整備

① 取締役会等は、事業担当部門及び事業所等に対し、遵守すべき法令等、内部規程・業務細則※3等を周知させ、遵守させる態勢を整備しているか。

例えば、管理者又は法令等遵守統括部門に、事業担当部門及び事業所等が遵守すべき法令等、内部規程・業務細則等を特定させ、業務の内容や職責に応じた効果的な研修を定期に行わせる等の具体的な施策を行うよう指示しているか。

――――――――――

※3 業務細則とは、取締役会等から授権された者又は部署が制定・改廃を行う内部規程の下位規程をいう。

② 取締役会等は、管理者又は法令等遵守統括部門を通じ、事業担当部門及び事業所等において、法令等遵守態勢の実効性を確保する態勢を整備させているか。

③ 取締役会等は、事業担当部門及び事業所等毎に法令等遵守担当者を配置し、法令等遵守統括部門と連携させているか。

3 事業担当部門及び事業所等における法令等遵守態勢の整備

経営者(陣)が事業担当部門及び事業所等に対し、遵守すべき関係法令等を周知させ、遵守させる実効性ある態勢を整備しているか。

また、事業担当部門及び事業所等が複数ある場合には、管理者又は法令等遵守統括部門と連携が図られる態勢を整備しているか。

4 法令等遵守マニュアルの整備・周知

① 取締役会は、管理者に、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に沿って、役職員が遵守すべき法令等の解説、違法行為を発見した場合の対処方針等を具体的に示した手引書(以下「法令等遵守マニュアル」という。)を策定させ、承認した上で組織全体に周知させているか。また、法令等遵守マニュアルの重要な見直しについては、取締役会が承認しているか。

② 管理者は、指定事業所等の業務における法令等遵守の重要性を十分に理解し、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に沿って、法令等遵守マニュアルを策定しているか。法令等遵守マニュアルの策定及び重要な見直しについては、取締役会の承認を受けた上で組織全体に周知しているか。

③ 法令等遵守マニュアルの内容は、当該指定事業所等の業務内容に応じ、役職員が遵守すべき法令等の解説、違法行為を発見した場合の対処方針等を網羅し、平易かつ適切に規定されているか。例えば、以下の点について、明確に規定する等適切な内容となっているか。

・ 役職員が遵守すべき法令等の解説

・ 各業務に即した遵守すべき法令等に関する具体的かつ詳細な留意点

・ 役職員が法令等違反行為の疑いのある行為を発見した場合の連絡すべき部署等(法令等遵守統括部門、法令等遵守ホットライン等)

4 法令等遵守マニュアルの整備・周知

経営者(陣)が管理者に、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に沿って、法令等遵守マニュアルを全役職員に理解され実効性のある内容で策定させ、周知させているか。また、必要に応じて見直しをさせているか。

5 法令等遵守プログラムの整備・周知

① 取締役会は、管理者に、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に沿って、法令等遵守を実現させるための具体的な実践計画(内部規程の整備、職員等の研修計画など。以下「法令等遵守プログラム」という。)を最長でも年度毎に策定させ、承認した上で組織全体に周知させているか。

また、代表取締役及び取締役会は、その進捗状況や達成状況を定期的にかつ正確に把握・評価しているか。

② 管理者は、障害福祉サービス事業者の業務における法令等遵守の重要性を十分に理解し、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に沿って、最長でも年度毎に合理的な内容の法令等遵守プログラムを策定しているか。法令等遵守プログラムの策定及び重要な見直しについては、取締役会の承認を受けた上で組織全体に周知しているか。

5 法令等遵守プログラムの整備・周知

経営者(陣)が管理者に、法令等遵守方針及び法令等遵守規程に沿って、法令等遵守を実現させるための方策を策定させ、全役職員に周知させているか。

また、経営者(陣)は、その進捗状況や達成状況を定期的にかつ正確に把握・評価し、見直しを行わせているか。

6 取締役会等への報告・承認態勢の整備

① 取締役会等は、報告事項及び承認事項を適切に設定した上で、管理者に、定期的に又は必要に応じて随時、取締役会等に対し法令等遵守の状況を報告させ、又は承認を求めさせる態勢を整備しているか。特に、事業の運営に重大な影響を与える、又はサービス利用者の意思及び尊厳が侵される事案については、取締役会等に対して速やかに報告させる態勢を整備しているか。

② 管理者は、定期的に又は必要に応じて随時、取締役会等に対し、取締役会等が設定した報告事項を報告する態勢を整備しているか。特に、事業の運営に重大な影響を与える、又はサービス利用者の意志及び尊厳が侵される事案については、取締役会等に対し速やかに報告しているか。

6 経営者(陣)への報告・承認態勢の整備

経営者(陣)が報告事項及び承認事項を適切に設定した上で、管理者に、定期的に又は必要に応じて随時、経営者(陣)に対し法令等遵守の状況を報告させ、又は承認を求めさせる態勢を整備しているか。

特に、事業の運営に重大な影響を与える、又はサービス利用者の意思及び尊厳が侵される事案については、経営者(陣)に対して速やかに報告させる態勢を整備しているか。

7 監査役への報告態勢の整備

① 取締役会は、監査役へ直接報告されるべき事項を特定した場合には、報告事項を適切に設定した上で管理者から直接報告を行わせる態勢を整備しているか。※4

――――――――――

※4 このことは、監査役が自ら報告を求めることを妨げるものではなく、監査役の権限及び活動に何ら制限するものではないことに留意する。

② 管理者は、取締役会の決定事項に従い、監査役へ直接報告を行っているか。

7 監査役への報告態勢の整備

中・小規模事業者であっても法令等遵守態勢に監査役を位置づけている場合には、経営者(陣)が管理者から監査役へ直接報告する態勢を整備し、管理者がこれを実行しているか検証する。

8 内部監査実施要領及び内部監査計画の策定

取締役会等は、内部監査部門に、法令等遵守について監査すべき事項を適切に特定させ、内部監査の対象となる項目及び実施手順を定めた要領(以下「内部監査実施要領」という。)並びに内部監査計画を策定させた上で承認しているか。※5

――――――――――

※5 内部監査計画についてはその基本的事項について承認すれば足りる。

8 内部監査実施要領及び内部監査計画の策定

中・小規模事業者への義務付けはないが、当該事業者において内部監査を法令等遵守態勢に位置づけている場合には、経営者(陣)が内部監査の対象となる項目及び実施手順を定めた要領並びに内部監査計画を策定させているか検証する。

9 管理者等による法令等遵守態勢の確立状況

(1) 法令等遵守プログラムの実施

法令等遵守統括部門は、法令等遵守プログラムの内容を適時適切に実施するとともに、進捗状況や達成状況をフォローアップし、取締役会等へ報告しているか。

9 管理者等による法令等遵守態勢の確立状況

(1) 法令等遵守プログラムの実施

管理者又は法令等遵守統括部門は、法令等遵守プログラムの内容を適時適切に実施するとともに、進捗状況や達成状況をフォローアップし、経営者(陣)へ報告しているか。

(2) 法令等遵守関連情報の収集・管理、分析及び検討

① 管理者は、障害福祉サービス事業者の業務の特性に応じ、各種の法令等遵守関連情報を適時にかつ効率的に収集する手段を講じているか。また、収集した法令等遵守関連情報を適切に管理するとともに、その内容を分析し、法令等違反行為の未然防止、再発防止を含む法令等遵守態勢の改善に役立てることができるような態勢を整備しているか。例えば、法令等遵守相談・通報窓口等の通報に係る仕組みの整備等を行っているか。

② 法令等遵守統括部門は、障害福祉サービス事業者全体の法令等遵守の徹底を図る観点から、各種の法令等遵守関連情報を一元的に収集、管理、分析及び検討し、その結果に基づき適時適切な措置・方策を講じているか。

(2) 法令等遵守関連情報の収集・管理、分析及び検討

管理者又は法令等遵守統括部門は、各種の法令等遵守関連情報を適時にかつ効率的に収集する手段を講じているか。また、収集した情報を適切に管理するとともに、その内容を分析し、法令等違反行為の未然防止、再発防止を含む法令等遵守態勢の改善に役立てることができるような態勢を整備し、その結果に基づき適時適切な措置・方策を講じているか。

(3) 連絡・連携態勢

① 管理者は、管理者自ら又は法令等遵守統括部門を通じ、各種法令等遵守関連情報が所在する部門との情報の連絡及び連携を密接にしているか。

② 管理者は、事業担当部門及び事業所等毎に配置した法令等遵守担当者との連携をとっているか。

(3) 連絡・連携態勢

管理者又は法令等遵守統括部門は、各種法令等遵守関連情報が所在する部門及び事業所等との情報の連絡及び連携を密接にしているか。

(4) モニタリング態勢

① 管理者は、各部門における適切な法令等遵守を確保するため、定期的に又は必要に応じて随時、各部門に対し法令等遵守の状況の報告を求める方法、法令等遵守担当者から継続的に情報を収集する方法、実地調査を行う方法等により、各部門における法令等遵守の状況を継続的にモニタリングする態勢を整備しているか。

② 法令等遵守統括部門は、法令等遵守を徹底する観点から、事業担当部門及び事業所等の法令等遵守の状況につき、継続的なモニタリングを実施しているか。

例えば、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守担当者から、法令等遵守状況の報告を求め、又は継続的に情報を収集し、適時に実地調査を行う等の方法によりモニタリングを行っているか。

(4) モニタリング態勢

管理者又は法令等遵守統括部門は、法令等遵守を徹底する観点から、事業所等の法令等遵守の状況につき、継続的なモニタリングを実施しているか。

(5) 法令等違反行為処理態勢

① 管理者は、法令等違反行為の疑いの通報があった場合等、法令等遵守関連情報の分析や通報を通じて、法令等違反行為の疑いがあると判断した場合には、速やかに事実関係を調査させ、その事実が法令上の違反行為に該当するか検証し、必要な場合には速やかに改善等措置を講ずる態勢を整備しているか。

② 法令等遵守統括部門は、法令等遵守関連情報の分析や通報を通じて、法令等違反行為の疑いがある事象について、当該行為の事実の有無及び問題点の有無について、直ちに事実確認を実施し、法令等違反行為の事実の有無や法令等遵守上の弱点の有無について検証しているか。

③ 法令等遵守統括部門は、上記②の事実確認の結果、法令等違反行為に該当する又はおそれが強いと判断した事象について、直ちに管理者に報告し、関連する部門又は部署等と連携して適切な対処を行っているか。

④ 法令等遵守統括部門は、適時適切に法令等違反行為についてその背景、原因、影響の範囲等について調査、分析し、その結果を管理者に報告しているか。

⑤ 法令等遵守統括部門は、上記④の分析結果を、再発防止の観点から関連事業部門の管理者や事業所管理者等に還元するとともに、将来の未然防止のための措置を速やかに講じ、又は他の部門に講じさせているか。

(5) 法令等違反行為処理態勢

① 管理者又は法令等遵守統括部門は、法令等違反行為の疑いの通報があった場合等、法令等遵守関連情報の分析や通報を通じて、法令等違反行為の疑いがあると判断した場合には、速やかに事実関係を調査し、その事実が法令上の違反行為に該当するか検証し、必要な場合には速やかに改善等措置を講ずる態勢を整備し、適切な対処を行っているか。

② 管理者又は法令等遵守統括部門は、分析結果を、再発防止の観点から関連部門の管理者や事業所管理者等に還元するとともに、将来の未然防止のための措置を速やかに講じ、又は他の部門に講じさせているか。

(6) サービス利用についての相談・苦情処理担当部署責任者等との連携

① 管理者は、サービス利用についての相談・苦情処理担当部署の責任者等と適切に連携し、サービス利用者等からの相談・苦情等について苦情と認識すべきもの及び苦情となるおそれがあるものについて、迅速にかつ幅広く情報を取得する態勢を整備しているか。

② 管理者は、相談・苦情等の中で法令等違反行為又はその疑いに関する情報が含まれているものについて、情報を保有する部門、部署、個人等から適切に情報を報告させ、取得し、分析・検討の上、サービス利用についての相談・苦情処理担当部署の責任者等に還元を行う態勢を整備しているか。

③ 法令等遵守統括部門は、サービス利用者等からの相談・苦情等について苦情と認識すべきもの及び苦情となるおそれがあるものについて、迅速かつ幅広く情報取得しているか。

④ 法令等遵守統括部門は、相談・苦情等の中で法令等違反行為に関する情報が含まれるものについて、情報を保有する部門、部署、個人等から適切に情報を報告させ、取得し、分析・検討の上、サービス利用についての相談・苦情処理担当部署の責任者等に還元を行っているか。

(6) サービス利用についての相談・苦情処理担当部署責任者等との連携

管理者又は法令等遵守統括部門は、相談・苦情等の中で法令等違反行為に関する情報が含まれるものについて、情報を保有する部門、部署、個人等から適切に情報を報告させ、取得し、分析・検討の上、サービス利用についての相談・苦情処理担当部署の責任者等に還元を行っているか。

(7) 研修・指導態勢

管理者は、法令等遵守マニュアルの内容を各役職員に周知徹底させているか。

各事業において遵守すべき法令等について、十分な研修・指導を行わせる態勢を整備しているか。また、法令等違反行為の未然防止のために、研修や朝礼等による職員等に対する周知徹底がなされているか。

(7) 研修・指導態勢

管理者は、法令等遵守マニュアルの内容を全役職員に周知徹底させているか。各事業において遵守すべき法令等について、研修・指導を行わせる態勢を整備しているか。

また、法令等違反行為の未然防止のために、研修や朝礼等による職員等に対する周知徹底がなされているか。

(8) 法令等遵守担当者の役割

法令等遵守担当者は、配置された当該部署における法令等遵守関連情報を集約し、法令等遵守統括部門に随時又は定期的に伝達し、当該部署における法令等遵守の取組を適切に行っているか。また、法令等遵守担当者は、事業に関する法的知識の蓄積を図り、その機能を十分に発揮しているか。

(8) 法令等遵守担当者の役割

法令等遵守担当者は、事業所等における法令等遵守関連情報を集約し、管理者又は法令等遵守統括部門に随時又は定期的に伝達し、当該事業所等における法令等遵守の取組を適切に行っているか。

また、法令等遵守担当者は、事業に関する法的知識の蓄積を図り、その機能を十分に発揮しているか。

10 内部規程・組織体制の整備プロセスの見直し

取締役会等は、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、内部規程・組織体制の整備プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

10 内部規程・組織体制の整備プロセスの見直し

経営者(陣)は、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、内部規程・組織体制の整備プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

Ⅲ 評価・改善活動

1 分析・評価

(1) 法令等遵守態勢の分析・評価

取締役会等は、監査役監査、内部監査及び外部監査の結果、各種調査結果並びに事業担当部門からの報告等全ての法令等遵守の状況に関する情報に基づき、法令等遵守の状況を的確に分析し、法令等遵守態勢の実効性の評価を行った上で、態勢上の弱点、問題点等改善すべき点の有無及びその内容を適切に検討するとともに、その原因を適切に検証しているか。

(2) 管理者からの提言

管理者は、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守マニュアルをはじめとする各種関連規程の遵守状況等、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果、モニタリングの結果等を踏まえ、法令等遵守部門による法令等遵守の実効性を検証し、適時に各種関連規程(法令等遵守マニュアルを含む。)、組織体制、研修・指導の実施、モニタリングの方法等の見直しを行い、必要に応じて取締役会等に対し改善のための提言を行っているか。

(3) 分析・評価プロセスの見直し

取締役会等は、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、分析・評価プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

1 分析・評価

経営者(陣)が法令等遵守の状況に関する情報に基づき、法令等遵守の状況を的確に分析し、法令等遵守態勢の実効性の評価を行った上で、態勢上の弱点、問題点等改善すべき点の有無及びその内容を適切に検討するとともに、その原因を適切に検証しているか。

また、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果等を踏まえ、分析・評価プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

2 改善活動

(1) 改善の実施

取締役会等は、上記1の分析・評価及び検証の結果に基づき、必要に応じて改善計画を策定しこれを実施する等の方法により、適時適切に当該問題点及び態勢上の弱点の改善を実施する態勢を整備しているか。

(2) 改善活動の進捗状況

取締役会等は、改善の実施について、その進捗状況を定期的に又は必要に応じて随時、検証し、適時適切にフォローアップを図る態勢を整備しているか。

(3) 改善プロセスの見直し

取締役会等は、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果を踏まえ、改善プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。

2 改善活動

経営者(陣)が上記の分析・評価及び検証の結果に基づき、必要に応じて改善計画を策定しこれを実施する等の方法により、適時適切に当該問題点及び態勢上の弱点の改善を実施しているか。

また、定期的に又は必要に応じて随時、法令等遵守の状況に関する報告・調査結果を踏まえ、改善プロセスの有効性を検証し、適時に見直しているか。