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1)試験法を適用できる分析対象化合物を品目の五十音順に示したものであるが、規制対象となる品目には本法を適用できない代謝物等の化合物が含まれる場合があるので留意すること。また、保持時間の異なる異性体は、分析対象化合物欄に個別に示した。なお、表はすべてLC―MS/MS測定による結果である。

2)相対保持時間はイソキサフルトールの保持時間に対する相対値であり、検討機関の平均値で示した。

3)主なイオンは、LC―MS/MS測定における[プリカーサーイオン→プロダクトイオン]を示し、数字の前の符号(+又は-)は、ESI測定におけるイオン化モード(ESI(+)又はESI(-))を示す。また、各イオンは、数字の大きい順に示した。

4)定量限界は、添加濃度0.01ppm(又は最小添加濃度)での添加回収試験における添加試料中の分析対象化合物のピークのS/N比が、一食品でも10以上の値が得られた場合には0.01mg/kg(又は最小添加濃度)とした。添加濃度0.01ppmでの添加回収試験の結果がない場合には、マトリックス添加標準溶液を用いて試料中0.01mg/kgに相当する分析対象化合物のピークのS/N比が、一食品でも10以上の値が得られた場合には、定量限界の推定値を0.01mg/kgとし『*』をつけて示した。

[別紙4]

ジニコナゾール試験法(農産物)

1.分析対象化合物

ジニコナゾール

2.装置

液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。

合成ケイ酸マグネシウムミニカラム(1,000mg) 内径12~13mmのポリエチレン製のカラム管に、合成ケイ酸マグネシウム1,000mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。

ジニコナゾール標準品 本品はジニコナゾール98%以上を含む。

4.試験溶液の調製

1)抽出

① 果実及び野菜の場合

試料20.0gにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて40℃以下で約15mLまで濃縮する。これに10w/v%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶解し、正確に10mLとする。

② 穀類、豆類及び種実類の場合

試料10.0gに水20mLを加え、30分間放置する。これにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて40℃以下で約15mLまで濃縮する。これに10w/v%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサン30mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を合わせ、40℃以下で濃縮し溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶解し、正確に10mLとする。

③ 茶の場合

試料5.00gに水20mLを加え、30分間放置する。これにアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて40℃以下で約15mLまで濃縮する。これに10w/v%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、n―ヘキサン100mL及び50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶解し、正確に10mLとする。

2)精製

① 果実、野菜、穀類、豆類及び種実類の場合

合成ケイ酸マグネシウムミニカラム(1,000mg)にn―ヘキサン20mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに、1)で得られた溶液を1mL注入した後、n―ヘキサン20mLを注入し、流出液を捨てる。次いでアセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液10mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:1)混液に溶解し、果実及び野菜の場合は正確に4mL、穀類、豆類及び種実類の場合は正確に2mLとしたものを試験溶液とする。

② 茶の場合

合成ケイ酸マグネシウムミニカラム(1,000mg)にn―ヘキサン20mLを注入し、流出液は捨てる。グラファイトカーボンミニカラム(500mg)にアセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液20mLを注入し、流出液は捨てる。合成ケイ酸マグネシウムミニカラムに、1)で得られた溶液を1mL注入した後、n―ヘキサン20mLを注入し、流出液を捨てる。合成ケイ酸マグネシウムミニカラムの下にグラファイトカーボンミニカラムを接続し、アセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液10mLを注入し、溶出液を採る。次いで、合成ケイ酸マグネシウムミニカラムを取り外し、グラファイトカーボンミニカラムにアセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液10mLを注入し、先の溶出液に合わせる。溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:1)混液に溶解し、正確に1mLとしたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

ジニコナゾール標準品のアセトニトリル及び水(1:1)混液の溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kgに相当する試験溶液中の濃度は0.005mg/Lである。

6.定量

試験溶液をLC―MS/MSに注入し、5の検量線でジニコナゾールの含量を求める。

7.確認試験

LC―MS/MSにより確認する。

8.測定条件

(例)

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.1mm、長さ150mm、粒子径3μm

カラム温度:40℃

移動相:アセトニトリル及び0.1vol%ギ酸混液(1:9)から(9:1)までの濃度勾配を10分間で行い、10分間保持する。

イオン化モード:ESI(+)

主なイオン(m/z):プリカーサーイオン326、プロダクトイオン159、70

注入量:10μL

保持時間の目安:12分

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1)試験法の概要

ジニコナゾールを試料からアセトンで抽出し、n―ヘキサンに転溶する。穀類、豆類及び種実類についてはアセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂した後、合成ケイ酸マグネシウムミニカラムで精製する。茶など葉緑素を多く含む農産物についてはさらにグラファイトカーボンミニカラムで精製した後、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。

2)注意点

果実及び野菜において色素等の精製が不十分な場合は、グラファイトカーボンミニカラムを用いた追加精製をするとよい。以下に操作概要を示す。なお、茶の方法を用いて精製することも可能である。

グラファイトカーボンミニカラム(500mg)にアセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液20mLを注入し、流出液は捨てる。合成ケイ酸マグネシウムミニカラム(1,000mg)精製後の溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液2mLに溶解し、グラファイトカーボンミニカラムに注入する。次いで、アセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液20mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:1)混液に溶解し、正確に4mLとしたものを試験溶液とする。

11.参考文献

なし。

12.類型

C

[別紙5]

ジニコナゾール試験法(畜水産物)

1.分析対象化合物

ジニコナゾール

2.装置

液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。

合成ケイ酸マグネシウムミニカラム(1,000mg) 内径12~13mmのポリエチレン製のカラム管に、合成ケイ酸マグネシウム1,000mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。

ジニコナゾール標準品 本品はジニコナゾール98%以上を含む。

4.試験溶液の調製

1)抽出

① 筋肉、脂肪、肝臓、腎臓、魚介類、乳及び卵の場合

筋肉、肝臓、腎臓及び魚介類の場合は試料20.0g(脂肪の場合は試料5.00g)を量り採り、水20mLを加え、ホモジナイズする。乳及び卵の場合は試料20.0gを量り採る。これにアセトン及びn―ヘキサン(1:2)混液100mLを加え、ホモジナイズした後、毎分2,500回転で5分間遠心分離し、有機層を採る。残留物にn―ヘキサン50mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様に遠心分離する。得られた有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサン30mLを加え、n―ヘキサン飽和アセトニトリル30mLずつで3回振とう抽出する。抽出液を合わせ、40℃以下で濃縮し溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶解し、正確に10mLとする。

② はちみつの場合

試料20.0gに水20mLを加えて溶かした後、アセトン及びn―ヘキサン(1:2)混液100mLを加え、ホモジナイズした後、毎分2,500回転で5分間遠心分離し、有機層を採る。残留物にn―ヘキサン50mLを加えてホモジナイズした後、毎分2,500回転で5分間遠心分離し、得られた有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、ろ液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にn―ヘキサンを加えて溶解し、正確に10mLとする。

2)精製

合成ケイ酸マグネシウムミニカラム(1,000mg)にn―ヘキサン20mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに、1)で得られた溶液を1mL注入した後、n―ヘキサン20mLを注入し、流出液を捨てる。次いで、アセトン及びn―ヘキサン(2:3)混液10mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:1)混液に溶解し、正確に4mL(脂肪の場合は1mL)としたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

ジニコナゾール標準品のアセトニトリル及び水(1:1)混液の溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kgに相当する試験溶液中の濃度は0.005mg/Lである。

6.定量

試験溶液をLC―MS/MSに注入し、5の検量線でジニコナゾールの含量を求める。

7.確認試験

LC―MS/MSにより確認する。

8.測定条件

(例)

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.1mm、長さ150mm、粒子径3μm

カラム温度:40℃

移動相:アセトニトリル及び0.1vol%ギ酸混液(1:9)から(9:1)までの濃度勾配を10分間で行い、10分間保持する。

イオン化モード:ESI(+)

主なイオン(m/z):プリカーサーイオン326、プロダクトイオン159、70

注入量:10μL

保持時間の目安:12分

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1)試験法の概要

ジニコナゾールを試料からアセトン及びn―ヘキサン(1:2)混液で抽出し、アセトニトリル/ヘキサン分配で脱脂(はちみつの場合は省略)する。合成ケイ酸マグネシウムミニカラムで精製した後、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。

2)注意点

なし

11.参考文献

なし

12.類型

C

[別紙6]

1―ナフタレン酢酸試験法(農産物)

1.分析対象化合物

1―ナフタレン酢酸(抱合体を含む)

2.装置

液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC―MS/MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。

1―ナフタレン酢酸標準品 本品は1―ナフタレン酢酸95%以上を含む。

4.試験溶液の調製

1)抽出

① 穀類、豆類及び種実類の場合

試料10.0gに水20mLを加え、30分間放置する。これに1mol/L塩酸5mL及びアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて、アセトンで正確に200mLとする。この20mLを採り、40℃以下で約3mLまで濃縮した後、水を加えて約10mLとする。

② 果実及び野菜の場合

試料20.0gに1mol/L塩酸5mL及びアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて、アセトンで正確に200mLとする。この10mLを採り、40℃以下で約1mLまで濃縮した後、水を加えて約10mLとする。

③ 茶の場合

試料5.00gに水20mLを加え、30分間放置する。これに1mol/L塩酸5mL及びアセトン100mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物にアセトン50mLを加えてホモジナイズした後、上記と同様にろ過する。得られたろ液を合わせて、アセトンで正確に200mLとする。この40mLを採り、40℃以下で約6mLまで濃縮した後、水を加えて約10mLとする。

2)加水分解

1)で得られた溶液に3mol/L塩酸5mL及びアセトン5mLを加え、80℃で18時間放置する。反応液に10w/v%塩化ナトリウム溶液100mLを加え、ジエチルエーテル50mLで2回振とう抽出する。ジエチルエーテル層を合わせ、2w/v%リン酸水素二カリウム溶液50mLで2回振とう抽出する。水層を合わせ、3mol/L塩酸でpH2以下に調整した後、ジエチルエーテル50mLで2回振とう抽出する。抽出液に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別した後、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。茶以外の場合は、この残留物にアセトン及びn―ヘキサン(3:17)混液5mLを加えて溶かす。茶の場合は、この残留物にアセトン5mLを加えて溶かす。

3)精製

① 茶以外の場合

シリカゲルミニカラム(690mg)にアセトン及びn―ヘキサン各5mLを順次注入し、流出液は捨てる。このカラムに2)で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn―ヘキサン(3:17)混液5mLを注入し、流出液は捨てる。次いでアセトン、酢酸及びn―ヘキサン(5:1:95)混液20mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を2mmol/L酢酸アンモニウム溶液及びメタノール(7:3)混液に溶解し、正確に2mLとしたものを試験溶液とする。

② 茶の場合

a)グラファイトカーボンカラムクロマトグラフィー

グラファイトカーボンミニカラム(250mg)にアセトン5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに2)で得られた溶液を注入した後、アセトン25mLを注入し、全溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物にアセトン及びn―ヘキサン(3:17)混液5mLを加えて溶かす。

b)シリカゲルカラムクロマトグラフィー

シリカゲルミニカラム(690mg)にアセトン及びn―ヘキサン各5mLを順次注入し、流出液は捨てる。このカラムにa)で得られた溶液を注入した後、アセトン及びn―ヘキサン(3:17)混液5mLを注入し、流出液は捨てる。次いでアセトン、酢酸及びn―ヘキサン(5:1:95)混液20mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を2mmol/L酢酸アンモニウム溶液及びメタノール(7:3)混液に溶解し、正確に2mLとしたものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

1―ナフタレン酢酸標準品の2mmol/L酢酸アンモニウム溶液及びメタノール(7:3)混液の溶液を数点調製し、それぞれLC―MS/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。なお、本法に従って試験溶液を調製した場合、試料中0.01mg/kgに相当する試験溶液中濃度は0.005mg/Lである。

6.定量

試験溶液をLC―MS/MSに注入し、5の検量線で1―ナフタレン酢酸の含量を求める。

7.確認試験

LC―MS/MSにより確認する。

8.測定条件

(例)

カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル 内径2.0mm、長さ150mm、粒子径5μm

カラム温度:40℃

移動相:2mmol/L酢酸アンモニウム溶液及びメタノール混液(7:3)で16分間保持した後、(3:7)までの濃度勾配を0.1分間で行い、4分間保持する。

イオン化モード:ESI(-)

主なイオン(m/z):プリカーサーイオン185、プロダクトイオン141

注入量:10μL

保持時間の目安:13分

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1)試験法の概要

1―ナフタレン酢酸(抱合体を含む)を試料から塩酸酸性下でアセトンで抽出する。抱合体を塩酸酸性下で加水分解した後、ジエチルエーテルに転溶する。転溶した溶液からリン酸水素二カリウム溶液に転溶した後、これを再び塩酸酸性下でジエチルエーテルに転溶する。茶以外はそのまま、茶はグラファイトカーボンミニカラムで精製後、いずれもシリカゲルミニカラムで精製し、LC―MS/MSで定量及び確認する方法である。

2)注意点

① 加水分解は密栓して行う。

② LC―MS/MS測定で、連続注入する際に、直前に注入した試料からの妨害ピークの影響で測定が困難な場合はカラム洗浄してから測定すると良い。

③ 1―ナフタレン酢酸のLC―MS/MS測定で、試験法開発時には測定条件に示したイオン以外に有効な測定イオンが見いだせなかったため、必要に応じて以下の条件を確認に用いると良い。

カラム:フェニルシリル化シリカゲル 内径2.1mm、長さ150mm、粒子径5μm

カラム温度:40℃

移動相:2mmol/L酢酸アンモニウム溶液及びアセトニトリル混液(9:1)で5分間保持した後、(1:1)までの濃度勾配を10分間で行い、(1:1)で4分間保持する。

イオン化モード:ESI(-)

主なイオン(m/z):プリカーサーイオン185、プロダクトイオン141

保持時間の目安:10分

11.参考文献

1―ナフタレン酢酸ナトリウム農薬抄録

12.類型

C

[別紙7]

1―メチルシクロプロペン試験法(農産物)

1.分析対象化合物

1―メチルシクロプロペン

2.装置

水素炎イオン化検出器付きガスクロマトグラフ(GC―FID)

ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC―MS)

抽出装置 図に示すものを用いる(資料1参照)。

容量2.2L、内径約9cm、高さ約35cm(上部20cm、下部20cm、接合部5cm)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。

塩基性硫酸アンモニウム溶液 飽和硫酸アンモニウム溶液1Lにアンモニア水50mLを加える。

イソブチレン標準品 本品はイソブチレン99%以上を含む。

4.試験ガスの調製

乱切りした試料200gを抽出装置に量り採る。

これに塩基性硫酸アンモニウム溶液250mLを加え、ふたを固定用ナットで硬くしめ、5分間ホモジナイズする。30分間放置し、抽出装置内のヘッドスペースガスを試験ガスとする。

5.検量線の作成

イソブチレン標準品を空気で希釈して1000μL/Lとし標準ガスとする。標準ガスを空気で希釈して検量線用ガスを数点調製し、それぞれGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。このときイソブチレン標準ガスは、1―メチルシクロプロペンの同濃度の標準ガスに相当するものとする。なお、本法に従って試験ガスを調製した場合、試料中0.01mg/kgに相当する試験ガス中濃度は0.515μL/L(24℃における値)である。

6.定量

抽出装置のサンプリングバルブよりヘッドスペースガスを採り、GCに注入し、5の検量線で1―メチルシクロプロペン濃度を求め、以下の計算式より試料中の1―メチルシクロプロペン含量を求める。なお試料の比重は1g/cm3と仮定し、また計算には理想気体の状態方程式PV=nRTを使用する。

A:検量線より求めた1―メチルシクロプロペン濃度(μL/L)

P:ヘッドスペース中の1―メチルシクロプロペン分圧(atm)

V:抽出後のヘッドスペースの体積(L)

n:ヘッドスペース中の1―メチルシクロプロペン量(mol)

R:気体定数0.08206

T:室温(K)

P=A×1atm=A×10-6

V=抽出装置の体積-塩基性硫酸アンモニウム溶液の体積-試料の体積

=2.2-0.25-0.2=1.75

n=(P×V)/(0.08206×T)

1―メチルシクロプロペン含量(mg/kg)

=(n×1―メチルシクロプロペンの分子量×103)/試料量(kg)

=((PV/0.08206T)×54.1×103)/0.2

=(A/T)×5.77

7.確認試験

GC―MSにより確認する。

8.測定条件

(例)

1)GC

検出器:FID

カラム:スチレンジビニルベンゼンポーラスポリマー 内径0.25mm、長さ25m、膜厚3μm

カラム温度:50℃(0分)-20℃/分-170℃(0分)-50℃/分-275℃(0分)

注入口温度:75℃

検出器温度:295℃

キャリヤーガス:ヘリウム

注入量:500μL

保持時間の目安:1―メチルシクロプロペン5分、イソブチレン5分

2)GC―MS

カラム:スチレンジビニルベンゼンポーラスポリマー 内径0.25mm、長さ25m、膜厚3μm

カラム温度:50℃(0分)-20℃/分-270℃(0分)

注入口温度:75℃

キャリヤーガス:ヘリウム

イオン化モード(イオン化エネルギー):EI(70eV)

主なイオン(m/z):54、39、27

注入量:500μL

保持時間の目安:5分

9.定量限界

0.01mg/kg

10.留意事項

1)試験法の概要

試料を塩基性硫酸アンモニウム溶液で磨砕し、気相中に生成した1―メチルシクロプロペンをGC―FIDで測定し、イソブチレン検量線による間接定量を行い、GC―MSで確認する方法である。なお、本試験法は果実(かき及びなし)のみでの評価に基づき作成したものであり、そのほかの農産物(穀類、豆類、種実類、野菜及び茶等)への適用については評価されていない。また、本試験法の計算例では、試料の比重を1g/cm3と仮定して算出している点に留意する。

2)注意点

① 1―メチルシクロプロペンは常温で気体のため、抽出装置は密閉性の高いものを使用し、試料採取を含む全ての操作は速やかに行う。

② 細かく切りすぎるとかえって損失する可能性があるので、試料採取の際には細切せずに乱切りとする。

③ 1―メチルシクロプロペンは大気中では不安定なため、検量線用標準品として使用することができない。このため代替標準品として、GCの保持時間及びFIDの感度がほぼ等しいイソブチレンを用いて定量を行う。

④ 検量線用ガスの調製やGC測定には、ガスタイトシリンジを使用する。

⑤ 検量線用ガスの調製では、テドラーバッグに一定量の空気を入れておき、これにイソブチレンを注入して作成する。以下に、検量線の作成例を示した。

ガスタイトシリンジを用いてイソブチレン0.8mLを分取し、予め空気800mLを入れたテドラーバッグに注入して、998.40μL/L(イソブチレン純度99.94%の場合)の標準ガスを調製する。この標準ガスをガスタイトシリンジを用いて0.20、0.41、0.80、4.0および8.0mLを取り、各々を予め空気800mLを入れたテドラーバッグに注入し、0.250、0.511、0.997、4.97および9.89μL/Lの検量線用ガスを調製する。この検量線用ガスをGCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

⑥ 添加回収試験は、1―メチルシクロプロペン製剤を水に溶解することにより発生する1―メチルシクロプロペンを添加用ガスとして用いて行う。なお、発生した1―メチルシクロプロペンの添加用ガスの濃度は、イソブチレンの標準ガスで作成した検量線より求め、計算には実測値を用いる。以下に、添加回収試験の例を示した。

操作概要:1―メチルシクロプロペン3.3%製剤80mgを250mL容の密閉容器内で水3mLに溶解すると4814μL/L(理論値)の1―メチルシクロプロペンのガスが作製できるので、これを添加用ガスとする。試料200gに対して0.01mg/kg添加を行う場合、添加用ガスの実測濃度を4814μL/L、室温を24℃と仮定すると、次式により1―メチルシクロプロペンの添加用ガスの添加量は0.187mLとなる。

(計算例)

i)添加用ガス中の1―メチルシクロプロペン濃度

式1:添加用ガス中の1―メチルシクロプロペンのモル数(mol)

3.3(%)×80(mg)×10-5/54.1=4.880×10-5(mol)

式2:添加用ガス中の1―メチルシクロプロペンの体積(μL)

4.880×10-5(mol)×22.4×106(μL)×(273+24)/273=1189(μL)

式3:添加用ガス中の1―メチルシクロプロペン濃度(μL/L)

1189(μL)/(250(mL)-3(mL))×1000=4814(μL/L)

ii)試料200gに対して0.01mg/kg添加を行う場合の1―メチルシクロプロペン添加用ガスの添加量

式1:0.01mg/kg添加に必要な1―メチルシクロプロペンの重量(g)

添加濃度(mg/kg)×試料重量(kg)/1000=0.01×0.2/1000=2.00×10-6(g)

式2:0.01mg/kg添加に必要な1―メチルシクロプロペンのモル数(mol)

nA=1―メチルシクロプロペン重量(g)/分子量

=2.00×10-6/54.1=3.70×10-8(mol)

式3:添加用ガス中の1―メチルシクロプロペンの分圧(atm)

P=4814(μL/L)×1(atm)=4.814×10-3(atm)

式4:添加用ガス1mL中の1―メチルシクロプロペンのモル数(mol/mL)

nB=PV/RT=4.814×10-3×0.001/0.08206/297=1.98×10-7(mol/mL)

式5:添加用ガスの必要量

必要量(mL)=nA(mol)/nB(mol/mL)

=3.70×10-8(mol)/1.98×10-7(mol/mL)

=0.187(mL)

11.参考文献

1)1―メチルシクロプロペンの試験法開発に用いた密閉容器の概要(資料1)

2)1―メチルシクロプロペン農薬抄録

12.類型

D

【資料1】

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