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リステリア属菌

溶血性試験

炭水化物分解性

CAMP試験

(β溶血)

ラムノース

キシロース

S. aureus

R. equi

L. monocytogenes

L. ivanovii

L. innocua

v

L. welshimeri

v

L. seeligeri

L. grayi biovar grayi

L. grayi biovar murrayi

L. fleischmannii

L. marthii

L. rocourtiae

L. weihenstephanensis

v:+or-、(+):弱い陽性反応、+:90%以上陽性、-:陰性

図2.フロー図

6.培地組成(参考例)及び調製方法

(1) 一次選択増菌培地:half‐Fraser液体培地

① 基礎培地

基礎培地の組成又は粉末の市販品を、必要に応じて加温しながら水に溶かす。必要に応じて滅菌後のpHが25℃で7.2±0.2になるように調整する。試験に適した大きさのフラスコに分注して121℃15分オートクレーブで滅菌する。なお、後述の塩化リチウム溶液とナリジクス酸溶液は、オートクレーブ前に基礎培地に加えてもよい。

組成:

動物組織の酵素消化物 5.0g

カゼインの酵素消化物 5.0g

肉エキス 5.0g

酵母エキス 5.0g

塩化ナトリウム 20.0g

リン酸水素二ナトリウム(二水和物) 12.0g

リン酸二水素カリウム 1.35g

エスクリン 1.0g

精製水 1,000ml

② 塩化リチウム溶液

塩化リチウムを精製水に溶解し、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。塩化リチウムを精製水に溶解するときには、その反応が強い発熱を引き起こすため、必要な予防策を講じること。この溶液は、粘膜にも刺激を引き起こす。

組成:

塩化リチウム 3.0g

精製水 10ml

③ ナリジクス酸ナトリウム塩溶液

ナリジクス酸ナトリウムを水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

ナリジクス酸ナトリウム塩 0.1g

水酸化ナトリウム水溶液(0.05mol/L) 10ml

④ 塩酸アクリフラビン溶液

塩酸アクリフラビンを精製水に溶解し、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

塩酸アクリフラビン 0.25g

精製水 100ml

⑤ クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム溶液

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムを精製水に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム 5.0g

精製水 100ml

⑥ 完全培地

使用前に、基礎培地に滅菌済みの塩化リチウム溶液、ナリジクス酸ナトリウム溶液、塩酸アクリフラビン溶液及びクエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム溶液を加える。

組成:

基礎培地 100ml

塩化リチウム溶液 1ml

ナリジクス酸ナトリウム塩溶液 0.1ml

塩酸アクリフラビン溶液 0.5ml

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム溶液 1ml

(2) 二次選択増菌培地:Fraser液体培地

① 基礎培地

基礎培地を精製水に溶解(必要に応じて加温する。)後、25℃におけるpHを7.2±0.2に調整し、適切な容量の試験管に試験に適した分量となるよう121℃15分オートクレーブで滅菌する。

組成:

動物組織の酵素消化物 5.0g

カゼインの酵素消化物 5.0g

肉エキス 5.0g

酵母エキス 5.0g

塩化ナトリウム 20.0g

リン酸水素二ナトリウム(二水和物) 12.0g

リン酸二水素カリウム 1.35g

エスクリン 1.0g

塩化リチウム 3.0g

ナリジクス酸ナトリウム塩 0.02g

精製水 1,000ml

② 塩酸アクリフラビン溶液

塩酸アクリフラビンを精製水に溶解し、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

塩酸アクリフラビン 0.25g

精製水 100ml

③ クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム溶液

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウムを精製水に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム 5.0g

精製水 100ml

④ 完全培地

使用前に、基礎培地10mlの入った各試験管に滅菌済みの塩酸アクリフラビン溶液とクエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム溶液を0.1mlずつ加え、静かに混和する。

組成:

基礎培地 10ml

塩酸アクリフラビン溶液 0.1ml

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム溶液 0.1ml

(3) 選択分離寒天培地

[A] 第一選択分離寒天培地(酵素基質培地):Ottaviani and Agostiリステリア寒天培地(ALOA培地)、又はそれと同等性の確認された酵素基質培地(注参照)

Ottaviani and Agostiリステリア寒天培地(ALOA培地)

① 基礎培地

使用説明書に従って作製する。基礎培地を精製水に加熱溶解後、121℃15分オートクレーブで滅菌する。必要に応じて25℃におけるpHを7.2±0.2に調整する。

組成:

動物組織の酵素消化物 18.0g

カゼインの酵素消化物 6.0g

酵母エキス 10.0g

ピルビン酸ナトリウム 2.0g

ブドウ糖 2.0g

グリセロリン酸マグネシウム 1.0g

硫酸マグネシウム(無水) 0.5g

塩化ナトリウム 5.0g

塩化リチウム 10.0g

リン酸水素二ナトリウム(無水) 2.5g

5―ブロモ―4―クロロ―3―インドリル―β―D―グルコピラノシド 0.05g

寒天 12~18g1)

精製水 930ml2)

1)寒天強度による

2)アンホテリシンB溶液を用いる場合には、925ml

注:Ottaviani and Agostiリステリア寒天培地と同等性が確認された酵素基質培地

国立医薬品食品衛生研究所法(NIHSJ―08)に示されている酵素基質培地については、同等性が確認されている。その他の酵素基質培地については、メーカーの品質証明によるデータ又は第三者認証機関による評価を確認する。なお、酵素基質培地は、メーカーの品質証明を取るとともに、既知の菌株を用いて性能評価を行う。

② ナリジクス酸溶液

ナリジクス酸ナトリウムを5mlの水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

ナリジクス酸ナトリウム 0.02g

水酸化ナトリウム水溶液(0.05mol/L) 5ml

③ セフタジジム溶液

セフタジジムを5mlの精製水に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

セフタジジム 0.02g

精製水 5ml

④ ポリミキシンB溶液

硫酸ポリミキシンBを5mlの精製水に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

硫酸ポリミキシンB 76,700IU

精製水 5ml

⑤ 抗生剤サプリメント(シクロヘキシミド溶液又はアンホテリシンB溶液(シクロヘキシミド溶液の代替として))

a シクロヘキシミド溶液

シクロヘキシミドを2.5mlのエタノールに溶かし、その後2.5mlの精製水を加え、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

シクロヘキシミド 0.05g

エタノール 2.5ml

精製水 2.5ml

b アンホテリシンB溶液

アンホテリシンBを塩酸/ジメチルホルムアミド(DMF)液に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

アンホテリシンB 0.01g

塩酸(1mol/L) 2.5ml

DMF 7.5ml

注:塩酸/DMF液は有毒なので、取り扱いに注意する。

⑥ 添加剤

2gのL―α―ホスファチジルイノシトールを50mlの精製水に溶かし、約30分スターラーで均一になるまで撹拌する。121℃15分オートクレーブで滅菌し、恒温水槽で47~50℃に冷却する。

組成:

L―α―ホスファチジルイノシトール 2.0g

精製水 50ml

⑦ 完全培地

47~50℃に保温した溶解済み基礎培地にナリジクス酸溶液、セフタジジム溶液、ポリミキシンB溶液、シクロヘキシミド溶液(又はアンホテリシンB溶液)及びL―α―ホスファチジルイノシトール溶液を加え、その度によく混和する。最終的にpHが25℃で7.2±0.2となるようにする。培地は均一に白濁する。各シャーレに18~20mlずつの調製直後の培地を分注し、固まるまで放置する。

組成:

基礎培地 930ml1)

ナリジクス酸溶液 5ml

セフタジジム溶液 5ml

ポリミキシンB溶液 5ml

シクロヘキシミド溶液 5ml

(又はアンホテリシンB溶液 10ml)

添加剤 50ml

1)アンホテリシンB溶液を用いる場合は、925ml

注:酵素基質培地を自家調製する場合は、培地の性能確認を行う。培地メーカーから粉末培地を購入した場合は、培地及びサプリメントともにメーカーの指示書に従い調製し、メーカーの品質証明を取るとともに、既知の菌株を用いて性能評価を行う。

[B] 第二選択分離寒天培地:PALCAM寒天培地又はOxford寒天培地

PALCAM寒天培地

① 基礎培地

規定された量の市販培地を500mlの精製水に懸濁し、加熱溶解する。121℃15分オートクレーブで滅菌し、恒温水槽で約50℃に冷却する。

組成:

コロンビア寒天基礎培地 39.0g

酵母エキス 3.0g

ブドウ糖 0.5g

マンニット 10.0g

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム 0.5g

エスクリン 0.8g

塩化リチウム 15.0g

フェノールレッド 0.08g

精製水 500ml

pH7.2±0.2

② サプリメント 1バイアル(培地500ml用)

下記の組成を2mlの精製水で溶解後に、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

ポリミキシンB 5.0mg

塩酸アクリフラビン 2.5mg

セフタジジム 11.6mg

精製水 2ml

③ 完全培地

基礎培地500mlに、サプリメント1バイアルの溶液を無菌的に添加し、撹拌後シャーレに分注する。

組成:

基礎培地 500ml

サプリメント(1バイアル分) 2ml

Oxford寒天培地

① 基礎培地

規定された量の市販培地を500mlの精製水に懸濁し、加熱溶解する。121℃15分オートクレーブで滅菌し、恒温水槽で約50℃に冷却する。

組成:

コロンビア寒天基礎培地 19.5g

クエン酸鉄(Ⅲ)アンモニウム 0.25g

エスクリン 0.5g

塩化リチウム 7.5g

精製水 500ml

pH7.0±0.2

② サプリメント:1バイアル(培地500ml用)

下記の組成を5mlのエタノール/精製水(1:1)で溶解後に、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

シクロヘキシミド* 200.0mg

硫酸コリスチン 10.0mg

塩酸アクリフラビン 2.5mg

セフォテタン 1.0mg

ホスホマイシン 5.0mg

エタノールと精製水の1:1混合液 5ml

* シクロヘキシミドの代替として、アンフォテリシンBを用いたサプリメントも使用可能である。

③ 完全培地

基礎培地500mlに、サプリメント1バイアルの溶液を無菌的に添加し、撹拌後シャーレに分注する。

組成:

基礎培地 500ml

サプリメント(1バイアル分) 5ml

(4) 確認用培地

トリプトソイ酵母エキス寒天培地(TSYEA)

下記の組成又は粉末培地を加温溶解する。必要に応じて滅菌後のpHが25℃で7.3±0.2となるよう調整する。試験に適した容量の試験管に分注し、121℃15分オートクレーブで滅菌する。寒天平板を作る場合には、試験に適した容量をシャーレに分注し、固める。

TSYEAは、トリプトソイ寒天培地(TSA)で代替可能である。

組成:

カゼインの酵素消化物 17.0g

大豆タンパクの酵素消化物 3.0g

酵母エキス 6.0g

ブドウ糖 2.5g

塩化ナトリウム 5.0g

リン酸水素二カリウム 2.5g

寒天 12~18g1)

精製水 1000ml

1)寒天強度による

(5) 溶血性試験用培地(血液寒天培地又は重層血液寒天培地)

血液寒天培地

① 基礎培地

下記の組成又は粉末培地(Blood Agar Base No.2等)を精製水に溶解する(必要に応じて加温する。)。必要に応じて滅菌後のpHが25℃で7.2±0.2となるよう調整する。試験に適した容量のフラスコにいれ、121℃15分オートクレーブで滅菌する。

組成:

動物組織の酵素消化物 15.0g

肝臓の酵素消化物 2.5g

酵母エキス 5.0g

塩化ナトリウム 5.0g

寒天 9~18g1)

精製水 1,000ml

1)寒天強度による

② 完全培地

47~50℃に維持した恒温水槽中で保持し、冷ました基礎培地に血液を加え、よく混和する。滅菌シャーレに試験に適した容量を分注し、固める。

組成:

基礎培地 100ml

脱繊維血(羊、仔牛、牛由来) 5~7ml

重層血液寒天培地

シャーレに約10mlの基礎培地を分注し、固化させる。3mlを超えない量の血液寒天培地の非常に薄い層を重層し、固化させる。基礎培地を固化させた後、37℃のインキュベータに20分置きシャーレを温めてから血液寒天培地を注ぐとよい。

組成:上記血液寒天培地と同じ

(6) 溶血性試験用赤血球浮遊液

① リン酸緩衝液(PBS)

下記の組成を精製水に溶解する。必要に応じて滅菌後のpHが25℃で7.2±0.2となるよう調整する。121℃15分オートクレーブで滅菌する。

組成:

リン酸水素二ナトリウム(二水和物) 8.98g

リン酸二水素ナトリウム 2.71g

塩化ナトリウム 8.5g

精製水 1,000ml

② 赤血球浮遊液

赤血球は5±2℃に保管する。使用前に血清部分に溶血がないか確認し、溶血していなければ2mlの赤血球を98mlのPBSに浮遊する。溶血している場合は約4mlの赤血球を10mlのPBSに浮遊し、静かに混和して遠心分離する。上清が赤い場合、赤血球を廃棄する。赤くなければ、上清を除去し、赤血球2mlを98mlのPBSに浮遊する。作製した赤血球浮遊液は5日間5±2℃で保存可能であるが、溶血した場合は廃棄する。

(7) 生化学性状確認試験用培地及び試薬

炭水化物分解試験用培地

① 基礎培地

下記の組成又は粉末培地を精製水に溶解する(必要に応じて加温する。)。必要に応じて滅菌後のpHが25℃で6.8±0.2となるよう調整する。試験に適した容量のフラスコにいれ、121℃15分オートクレーブで滅菌する。

組成:

動物組織の酵素消化物 10.0g

肉エキス 1.0g

塩化ナトリウム 5.0g

ブロモクレゾールパープル 0.02g

精製水 1,000ml

② 炭水化物溶液

下記組成を精製水に溶かし、孔経が0.45μm以下のフィルターでろ過滅菌する。

組成:

L―ラムノース又はD―キシロース 5.0g

精製水 100ml

③ 完全培地

オートクレーブにかけた基礎培地とろ過滅菌した炭水化物溶解液を9:1の割合で混合する。

組成:

基礎培地 900ml

炭水化物溶液 100ml

グラム染色液

市販のグラム染色液キットを用いる。

カタラーゼ試薬

3%(最終濃度)の過酸化水素水を用いる。

(8) 運動性試験用培地

半流動寒天培地

下記の組成を加温溶解する。必要に応じて滅菌後のpHが25℃で7.3±0.2となるよう調整する。試験管に約5mlずつ分注し、121℃15分オートクレーブで滅菌する。

組成:

カゼインの酵素消化物 20.0g

動物組織の酵素消化物 6.1g

寒天 3.5g

精製水 1,000ml