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○乳及び乳製品の成分規格等に関する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部改正について

(平成26年12月22日)

(食安発1222第1号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)

(公印省略)

乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令(平成26年厚生労働省令第141号)及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(平成26年厚生労働省告示第482号)が本日公布され、これにより乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号。以下「乳等省令」という。)及び食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号。以下「告示」という。)の一部が改正されたところであるが、その改正の概要等は下記のとおりであるので、関係者への周知徹底を図るとともに、その運用に遺憾なきよう取り計らわれたい。

第1 改正の概要

ミネラルウォーター類は、水のみを原料としていることから、その製造において殺菌又は除菌以外の処理を行わないものがほとんどであるため、これまでの原水基準と成分規格の双方による規制は、必ずしも必要ではなく、後者のみにより規制することが合理的であることから、その規制の内容の見直しを行った。また、現行の水道法で規定される水質基準等とも乖離が生じていたため、コーデックス委員会におけるナチュラルミネラルウォーター等の規格の設定及び我が国の水道法の水質基準改正の動きを受け、食品衛生法(昭和22年法律第233号)第11条第1項に基づき、乳等省令及び告示の一部を改めた。

第2 改正の内容

1 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令

別表中「飲用適の水」を「食品製造用水」に、「飲用適の流水」を「流水(食品製造用水に限る。)」に改めたこと。

2 食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件

(1) 「ミネラルウォーター類,冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」の製造基準において規定されていた「飲用適の水」の基準を「食品一般の製造,加工及び調理基準」において規定し、その名称を「食品製造用水」としたこと。

また、告示中「飲用適の水」を「食品製造用水」に、「飲用適の流水」を「流水(食品製造用水に限る。)」に、「飲用適の冷水」を「冷水(食品製造用水に限る。)」に改めたこと。

(2) 「ミネラルウォーター類」について、「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)」と、「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)」に区分し、それぞれに規格基準を設定したこと。

(3) 「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)」について、成分規格として別紙1のとおり規定したこと。

(4) 「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)」について、成分規格として別紙2のとおり規定したこと。

なお、その際、製造基準として、泉源の衛生性等に関する規定を別紙3のとおり規定したこと。

(5) 「ミネラルウォーター類,冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」の製造基準における原水(飲用適の水)に係る規定を削除し、原料として用いる水として、水道水の他に「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)」又は「ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)」の成分規格等を満たす水を規定したこと。

(6) 清涼飲料水及び粉末清涼飲料におけるカドミウムの成分規格を削除したこと。

(7) 清涼飲料水及び粉末清涼飲料におけるスズの成分規格を金属製容器包装入りのものに限定して適用したこと。

(8) 清涼飲料水の成分規格において規定されていたパツリンに係る試験法を削除し、別途通知で示すこととしたこと。

第3 施行・適用期日

1 乳等省令

公布日から施行されるものであること。

2 告示

公布日から適用されるものであること。ただし、平成27年12月31日までに製造され、又は輸入される清涼飲料水及び粉末清涼飲料については、なお従前の例によることができること。

第4 運用上の注意

1 乳等省令及び告示の「飲用適の水」に係る改正は、あくまで法令上の整理を行うものであり、個別食品の製造基準等に変更を生じるものではないこと。

2 告示の化学物質等に係る試験法の削除は、分析技術の進歩に迅速に対応するためのものであり、別途通知により示される化学物質等の試験法については従前と同等の運用がなされるものであること。

3 原料として用いる水は、水源から取水した時点の水ではなく、製造において原料として用いる時点の水をいうものであること。

第5 その他の留意事項

1 ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水及び粉末清涼飲料に係るカドミウムの成分規格を削除したのは、「ミネラルウォーター類,冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」におけるカドミウム含有量の調査の結果、これらを通じたカドミウム摂取は非常に限られているためである。

2 今回の改正において、スズの含有量の規定は金属製容器包装入りの清涼飲料水及び粉末清涼飲料にのみ適用するものとしているが、これは同食品中のスズは専ら容器包装として用いる金属から溶出するものであることによる。

3 既存の通知等については、別途の通知等が発出されない限り、「飲用適の水」や「飲用に適する水」とあるのは「食品製造用水」と読み替えるなど、必要な読替えを行った上で、引き続き適用されるものであること。

<別紙1>

ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)の化学物質等の成分規格

物質名

ミネラルウォーター類(殺菌・除菌有)の成分規格

亜鉛

5mg/l以下

カドミウム

0.003mg/l以下

水銀

0.0005mg/l以下

セレン

0.01mg/l以下

1mg/l以下

0.05mg/l以下

バリウム

1mg/l以下

ヒ素

0.05mg/l以下

マンガン

2mg/l以下

六価クロム

0.05mg/l以下

亜塩素酸

0.6mg/l以下

塩素酸

0.6mg/l以下

クロロホルム

0.06mg/l以下

残留塩素

3mg/l以下

シアン(シアンイオン及び塩化シアン)

0.01mg/l以下

四塩化炭素

0.002mg/l以下

1,4―ジオキサン

0.04mg/l以下

ジクロロアセトニトリル

0.01mg/l以下

1,2―ジクロロエタン

0.004mg/l以下

ジクロロメタン

0.02mg/l以下

シス―1,2―ジクロロエチレン及びトランス―1,2―ジクロロエチレン

0.04mg/l以下

(シス体とトランス体の和として)

ジブロモクロロメタン

0.1mg/l以下

臭素酸

0.01mg/l以下

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素

10mg/l以下

総トリハロメタン

0.1mg/l以下

テトラクロロエチレン

0.01mg/l以下

トリクロロエチレン

0.004mg/l以下

トルエン

0.4mg/l以下

フッ素

2mg/l以下

ブロモジクロロメタン

0.03mg/l以下

ブロモホルム

0.09mg/l以下

ベンゼン

0.01mg/l以下

ホウ素

30mg/l以下

(ホウ酸として)

ホルムアルデヒド

0.08mg/l以下

有機物等(全有機炭素)

3mg/l以下

異常でないこと

臭気

異常でないこと

色度

5度以下

濁度

2度以下

(注)「ミネラルウォーター類,冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」の原料として用いる場合には、鉄が0.3mg/l以下,カルシウム,マグネシウム等(硬度)が300mg/l以下でなければならないとする製造基準が適用される。

<別紙2>

ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)の化学物質等の成分規格

物質名

ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)の成分規格

亜鉛

5mg/l以下

カドミウム

0.003mg/l以下

水銀

0.0005mg/l以下

セレン

0.01mg/l以下

1mg/l以下

0.05mg/l以下

バリウム

1mg/l以下

ヒ素

0.05mg/l以下

マンガン

2mg/l以下

六価クロム

0.05mg/l以下

シアン(シアンイオン及び塩化シアン)

0.01mg/l以下

硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素

10mg/l以下

フッ素

2mg/l以下

ホウ素

30mg/l以下

(ホウ酸として)

(注)「ミネラルウォーター類,冷凍果実飲料及び原料用果汁以外の清涼飲料水」の原料として用いる場合には、鉄が0.3mg/l以下,カルシウム,マグネシウム等(硬度)が300mg/l以下でなければならないとする製造基準が適用される。

<別紙3>

ミネラルウォーター類(殺菌・除菌無)の製造基準

a 原水は,自然に,又は掘削によって地下の帯水層から直接得られる鉱水のみとし,泉源及び採水地点の環境保全を含め,その衛生確保に十分に配慮しなければならない。

b 原水は,その構成成分,湧出量及び温度が安定したものでなければならない。

c 原水は,人為的な環境汚染物質を含むものであってはならない。

ただし,別途成分規格が設定されている場合にあっては,この限りでない。

d 原水は,病原微生物に汚染されたもの又は当該原水が病原微生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を含むものであってはならない。

e 原水は,芽胞形成亜硫酸還元嫌気性菌,腸球菌,緑のう菌及び大腸菌群が陰性であり,かつ,1ml当たりの細菌数が5以下でなければならない。

f 原水は,泉源から直接採水したものを自動的に容器包装に充填した後,密栓又は密封しなければならない。

g 原水には,沈殿,ろ過,ばつ気又は二酸化炭素の注入若しくは脱気以外の操作を施してはならない。

h 採水から容器包装詰めまでを行う施設及び設備は,原水を汚染するおそれのないよう清潔かつ衛生的に保持されたものでなければならない。

i 採水から容器包装詰めまでの作業は,清潔かつ衛生的に行わなければならない。

j 容器包装詰め直後の製品は1ml当たりの細菌数が20以下でなければならない。

k e及びjに係る記録は,6月間保存しなければならない。