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表2 試料の希釈倍率

分析対象化合物

希釈倍率(倍)

四塩化炭素

1

トリクロロエチレン

1,2―ジクロロエタン

1,4―ジオキサン

テトラクロロエチレン

2.5

ベンゼン

シス―1,2―ジクロロエチレン

10

トランス―1,2―ジクロロエチレン

ジクロロメタン

クロロホルム

ブロモジクロロメタン

ジブロモクロロメタン

25

ブロモホルム

トルエン

100

表3 各分析対象化合物と内部標準の組合せ

分析対象化合物

内部標準

四塩化炭素

フルオロベンゼン

ジクロロメタン

シス―1,2―ジクロロエチレン

トランス―1,2―ジクロロエチレン

テトラクロロエチレン

トリクロロエチレン

トルエン

ベンゼン

1,2―ジクロロエタン

クロロホルム

ジブロモクロロメタン

ブロモジクロロメタン

ブロモホルム

1,4―ジオキサン

1,4―ジオキサンd8

表4 各分析対象化合物及び内部標準の主なイオンと保持時間の目安

分析対象化合物

主なイオン(m/z)

保持時間の目安(分)

四塩化炭素

117,119

11

ジクロロメタン

84,49

8

シス―1,2―ジクロロエチレン

96,61

10

トランス―1,2―ジクロロエチレン

96,61

8

テトラクロロエチレン

166,164

14

トリクロロエチレン

130,95

12

トルエン

91,92

14

ベンゼン

78,77

11

1,2―ジクロロエタン

62,64

11

クロロホルム

83,85

10

ジブロモクロロメタン

129,127

15

ブロモジクロロメタン

83,85

12

ブロモホルム

173,175

17

1,4―ジオキサン

88,58

12

フルオロベンゼン

96,70

11

1,4―ジオキサンd8

96,64

12

ミネラルウォーター類中のクロロ酢酸類一斉試験法

1.分析対象化合物

クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸

2.装置

液体クロマトグラフ質量分析計(LC―MS)

3.試薬、試液等

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象化合物から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

クロロ酢酸標準原液 市販の1000mg/Lクロロ酢酸標準原液を用いる。

ジクロロ酢酸標準原液 市販の1000mg/Lジクロロ酢酸標準原液を用いる。

トリクロロ酢酸標準原液 市販の1000mg/Lトリクロロ酢酸標準原液を用いる。

100mg/Lクロロ酢酸標準溶液1000mg/L クロロ酢酸標準原液2mLを正確に量りとり、メタノールを加えて正確に20mLとする。

100mg/Lジクロロ酢酸標準溶液1000mg/L ジクロロ酢酸標準原液2mLを正確に量りとり、メタノールを加えて正確に20mLとする。

100mg/Lトリクロロ酢酸標準溶液1000mg/L トリクロロ酢酸標準原液2mLを正確に量りとり、メタノールを加えて正確に20mLとする。

5mg/L混合標準溶液 100mg/Lクロロ酢酸標準溶液、100mg/Lジクロロ酢酸標準溶液及び100mg/Lトリクロロ酢酸標準溶液1mLをそれぞれ正確に量りとり、水を加えて正確に20mLとする。

0.25mol/L塩化マグネシウム(MgCl2)溶液 MgCl2・6水和物5.08gを量りとり、水を加えて100mLとする。

バリウムイオン交換基/銀イオン交換基/水素イオン交換基積層型強陽イオン交換樹脂カラム(700mg/1,200mg/300mg) 内径12~13mmのポリエチレン製カラム管に、上層にバリウム型陽イオン交換基を結合した充填剤700mgを、中層に銀型陽イオン交換基を結合した充填剤1,200mgを、下層に水素型陽イオン交換基を結合した充填剤300mgを積層して充填したもの又はこれと同等の妨害物質除去性能を有するものを用いる。

4.試験溶液の調製

バリウムイオン交換基/銀イオン交換基/水素イオン交換基積層型強陽イオン交換樹脂カラム(700mg/1,200mg/300mg)に水10mLを通液させ、全て出し切る。これに試料5mLを量りとり、0.25mol/LMgCl2溶液50μLを添加した溶液を通液し、0―2mL画分の溶液を捨て、2―3mL画分の溶液を試験溶液とする。

5.検量線の作成

5mg/L混合標準溶液を水で希釈し、各物質の0.005~0.075mg/L溶液を数点調製し、その50μLをLC―MSに注入し、ピーク高又はピーク面積を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液50μLをLC―MSに注入し、5.の検量線を用いてクロロ酢酸、ジクロロ酢酸及びトリクロロ酢酸の試料中濃度を求める。

7.測定条件

分離カラム:オクタデシルシリル化シリカゲルカラム内径4.6mm、長さ150mm、粒子径3μm

移動相:0.2%ギ酸及びメタノール溶液(19:1)から(1:19)までの濃度勾配を38分間で行い、(1:19)で12分間保持する。

カラム温度:40℃

イオン化モード:ESI(-)

主なイオン(m/z)

モノクロロ酢酸:93

ジクロロ酢酸:127

トリクロロ酢酸:161

保持時間の目安

モノクロロ酢酸:17分

ジクロロ酢酸:16分

トリクロロ酢酸:22分

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料中に共存する塩化物イオン及び硫酸イオン等を陽イオン交換樹脂カラムで除去する。これら妨害物質除去後の試料中のクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、及びトリクロロ酢酸をオクタデシルシリル化シリカゲルカラムを用いて分離後、LC―MSで測定し、定量する方法である。なお、BaSO4の共沈殿を促進させるために、試料にMgCl2を添加している。

2) 注意点

① バリウムイオン交換基/銀イオン交換基/水素イオン交換基積層型強陽イオン交換樹脂カラム(700mg/1,200mg/300mg)のコンディショニングでは、水を全て出し切ればよく、陽イオン交換樹脂を乾燥させる必要はない。また、このカラムに試料を通液させる際は、1―2mL/min(1―2滴/3sec)程度で通液させることが望ましい。

② 試料中にリン酸イオンが含有される試料では、バリウムイオン交換基/銀イオン交換基/水素イオン交換基積層型強陽イオン交換樹脂カラム(700mg/1,200mg/300mg)からの溶出画分に影響が出る場合がある。そのような試料では、3―4mL画分又は4―5mL画分を試験溶液とする。なお、リン酸イオンは陰イオン性化合物の一斉分析を行う際に電気伝導度計により検出可能である。

Ⅱ.個別試験法

ミネラルウォーター類中の残留塩素試験法

1.分析対象

残留塩素

2.装置

マイクロビュレット

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値の分析対象から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

4.試験溶液の調製

試料を試験溶液とする。

5.試験操作

試験溶液200mLを正確に量りとり、ヨウ化カリウム1g、濃硫酸・水(1:5)5mLを加える。0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液を試験溶液の色が褐色から淡黄色に変化するまで滴下する。デンプン試液5mLを加え、生じた青色が消えるまで0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液を素早く滴下し、滴下した量を読み取る。また、水を用いて同様に操作し、空試験を行う。

6.残留塩素濃度の算出

下記の計算式で残留塩素の試料中濃度を求める。

試料中残留塩素濃度(mg/L)=0.3545×(a-b)×f×1000/V

0.3545:0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液1mLの残留塩素相当量(mg)

a:滴定に要した0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液量(mL)

b:空試験に要した0.01mol/Lチオ硫酸ナトリウム溶液量(mL)

f:0.01mol/Lのチオ硫酸ナトリウムのファクター

V:試験溶液量(mL)

7.留意事項

1) 試験法の概要

試料中の残留塩素濃度をヨウ素滴定により求める方法である。残留塩素によりヨウ化カリウムを酸化し、遊離したヨウ素をデンプンを指示薬としてチオ硫酸ナトリウムにより滴定し、その滴定量から残留塩素濃度を定量する。

2) 注意点

① デンプンは重合度が適切で安定しており、鋭敏に終点を視認可能な分析用試薬を用いる。

② 酸性条件下で滴定するため、終点で無色になったIが空気酸化によりI2を生じて、青色が復色することに注意する。

③ マイクロビュレットは滴下量に応じた容量のものを選択し、目盛りの1/10まで読み取る。

ミネラルウォーター類中のシアン試験法

1.分析対象化合物

シアン化物イオン、塩化シアン

2.装置

イオンクロマトグラフ可視吸光光度計

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象化合物から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

4―ピリジンカルボン酸ナトリウム(C6H4O2N・Na)

酒石酸ナトリウム緩衝液 酒石酸0.375gと酒石酸ナトリウム2水和物1.726gを量りとり、水を加えて1Lとする。

塩素化液用リン酸緩衝液 リン酸一カリウム3.4gを量りとり、水を加えて250mLとする。リン酸二ナトリウム14.2gを量りとり、水を加えて1Lとし、両液を合わせる。

1―フェニル―3―メチル―5―ピラゾロン/4―ピリジンカルボン酸ナトリウム溶液 1―フェニル―3―メチル―5―ピラゾロン2.5gを量りとり、N,N―ジメチルホルムアミド150mLを加えて溶かす。4―ピリジンカルボン酸ナトリウム7.0gを量りとり、水300mLに溶解し、両液を合わせ、水を加えて500mLとする。

クロラミンT/リン酸緩衝溶液 クロラミンT0.5gを量りとり、塩素化液用リン酸緩衝液を加えて500mLとする。この溶液は用時調製する。

1mol/Lリン酸緩衝液 リン酸一ナトリウム15.6gを量りとり、水で溶解し、リン酸6.8mLを加え、水を加えて100mLとする。

0.01mol/Lリン酸緩衝液 1mol/Lリン酸緩衝液 10mLを取り、水を加えて1Lとする。

10mg/Lシアン化物イオン標準溶液 市販の1000mg/Lシアン化物イオン標準原液1mLを正確に量りとり、水を加えて正確に100mLとする。

シアン化物イオン標準溶液 10mg/Lシアン化物イオン標準液1mLを正確に量りとり、冷却した0.01mol/Lリン酸緩衝液を加えて正確に100mLとする。

0.05%次亜塩素酸ナトリウム試液 次亜塩素酸ナトリウム試液1mLを量りとり、水を加えて100mLとする。この溶液は用時調製する。

塩化シアン標準溶液 冷却した0.01mol/Lリン酸緩衝液に0.05%次亜塩素酸ナトリウム試液2mLを加える。10mg/Lシアン化物イオン標準液1mLを正確に加え、0.01mol/Lリン酸緩衝液で正確に100mLとし、冷暗所で1時間静置する。

4.試験溶液の調製

試料を試験溶液とする。

5.検量線の作成

シアン化物イオン標準溶液、塩化シアン標準溶液及び冷却した0.01mol/Lリン酸緩衝液を用いて、シアン化物イオン及び塩化シアンの0.0025~0.025mg/L溶液(リン酸緩衝液)を数点別々に調製し、それぞれ100μLをイオンクロマトグラフ可視吸光光度計に注入し、シアン化物イオン反応物(塩化シアン)及び、塩化シアンのピーク高又はピーク面積を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液100μLをイオンクロマトグラフ可視吸光光度計に注入し、5.の検量線を用いてシアン化物イオン及び塩化シアンの試料中濃度を分別して求め、合算する。

7.測定条件

1) 注入条件

オートサンプラー温度:4℃

2) 分離条件

分離カラム:イオン排除カラム内径6.0mm、長さ100mm

溶離液:酒石酸ナトリウム緩衝液を0.6mL/分で送液する。

カラム温度:40℃

3) ポストカラム誘導体化条件

塩素化溶液:クロラミンT/リン酸緩衝溶液を0.5mL/分で送液する。

反応温度:40℃

発色溶液:1―フェニル―3―メチル―5―ピラゾロン/4―ピリジンカルボン酸ナトリウム溶液を0.5mL/分で送液する。

反応温度:100℃

4) 測定波長:638nm

保持時間の目安

シアン化物イオン:5分

塩化シアン:6分

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料中のシアン化物イオン及び塩化シアンをイオン排除カラムを用いて分離する。カラム分離後のシアン化物イオンをクロラミンTと反応させ塩化シアンにする。塩化シアンが1―フェニル―3―メチル―5―ピラゾロン/4―ピリジンカルボン酸ナトリウムと反応して生成する青色色素の可視部吸光度を測定し、定量する方法である。

2) 注意点

① 塩化シアン標準溶液は非常に不安定であるため、調製時に熱を加えないためにも、あらかじめ使用する溶液や器具を冷却し氷上で操作することが望ましい。また必ず用時調製する。さらに、調製した溶液は速やかに測定に供する。

② 1―フェニル―3―メチル―5―ピラゾロン/4―ピリジンカルボン酸ナトリウム溶液は、時間とともに溶液自身が着色し、その結果として反応性が低下しシアン化物イオン及び塩化シアンのピークがともに小さくなる場合があるため、用時調製することが望ましい。

③ クロラミンT/リン酸緩衝液及び1―フェニル―3―メチル―5―ピラゾロン/4―ピリジンカルボン酸ナトリウム溶液は、遮光した容器に保存する。

ミネラルウォーター類中のジクロロアセトニトリル試験法

1.分析対象化合物

ジクロロアセトニトリル

2.装置

ガスクロマトグラフ質量分析計(GC―MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象化合物から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

メチルtert―ブチルエーテル(MTBE)(C5H12O)

ジクロロアセトニトリル標準原液 市販の1000mg/Lジクロロアセトニトリル標準溶液を用いる。

0.1mg/L1,2,3―トリクロロプロパン/MTBE溶液 市販の1000mg/L1,2,3―トリクロロプロパン標準溶液を正確に1mL量りとり、MTBEを加えて正確に100mLとした後、さらにMTBEで100倍希釈する。

4.試験溶液の調製

試料100mLを正確に量りとり、塩化ナトリウム40g(飽和量以上)を加え、さらに0.1mg/L1,2,3―トリクロロプロパン/MTBE溶液10mLを正確に加え、5分間激しく振とうする。静置した後、分離した水層を捨てる。MTBE層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

ジクロロアセトニトリル標準原液を水で希釈し、ジクロロアセトニトリルの0.0025~0.025mg/L溶液を数点調製し、4.の試験溶液の調製と同様に操作した溶液1μLをGC―MSに注入し、ジクロロアセトニトリルと1,2,3―トリクロロプロパンのピーク高比又はピーク面積比を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液1μLをGC―MSに注入し、5.の検量線を用いてジクロロアセトニトリルの試料中濃度を求める。

7.測定条件

分離カラム:内径0.25mm、長さ30mのフューズドシリカ製の細管の内面に14%シアノプロピルフェニル/86%ジメチルポリシロキサンを1.0μmの厚さでコーティングしたもの。

カラム温度:40℃(2分)―15℃/分―250℃(5分)

注入口温度:200℃

検出器温度:200℃

注入方式:スプリット(スプリット比10:1)

イオン化モード(電圧):EI(70eV)

キャリアーガス及びその流量:ヘリウムをキャリアーガスとしその流量は1.0mL/分とする。

主なイオン(m/z)

ジクロロアセトニトリル:74、82

1,2,3―トリクロロプロパン:75、110

保持時間の目安

ジクロロアセトニトリル:7分

1,2,3―トリクロロプロパン:9分

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料中のジクロロアセトニトリルをMTBEで抽出し脱水した後、GC―MSで測定し、定量する方法である。操作時の溶媒の揮発の影響を補正する目的から、1,2,3―トリクロロプロパンを内部標準として用いる。

2) 注意点

① ジクロロアセトニトリル標準原液は水に可溶性のものを用いる(標準原液にはMTBE溶液とアセトニトリル溶液が販売されているが、アセトニトリル溶液を用いる。)。

② 0.1mg/L1,2,3―トリクロロプロパン/MTBE溶液は用時調製が望ましいが、保存する場合は冷凍庫で保存する。

③ ジクロロアセトニトリルm/z74はMTBEm/z73との質量数の差がわずか1であるため、GC―MSにより得られるクロマトグラムのベースラインが高くなりやすい。

ミネラルウォーター類中の臭素酸試験法

1.分析対象化合物

臭素酸イオン

2.装置

イオンクロマトグラフ紫外吸光光度計

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象化合物から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム溶液 炭酸水素ナトリウム10.08g及び無水炭酸ナトリウム0.636gを量りとり、水を加えて1Lとした後さらに水で40倍に希釈する。

1mol/L硫酸 水約300mLを量りとり、かき混ぜながら硫酸28mLを徐々に加え放冷後、水を加えて500mLとする。

臭化カリウム/硫酸溶液 臭化カリウム89gを量りとり、1mol/L硫酸を加えて500mLとする。

亜硝酸ナトリウム溶液 亜硝酸ナトリウム8.28gを量りとり、水を加えて100mLとした後、さらに水で1000倍希釈する。

臭素酸イオン標準原液 市販の1000mg/L臭素酸標準溶液を用いる。

4.試験溶液の調製

試料を水で2倍に正確に希釈したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

臭素酸イオン標準原液を水で希釈し、臭素酸イオンの0.001~0.02mg/L溶液を数点調製し、その100μLをイオンクロマトグラフ紫外吸光光度計に注入し、ピーク高又はピーク面積を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液100μLをイオンクロマトグラフ紫外吸光光度計に注入し、5.の検量線を用いて臭素酸イオンの試料中濃度を求める。

7.測定条件

1) 分離条件

分離カラム:陰イオン交換カラム内径4.0mm、長さ150mm

溶離液:炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム溶液を1.0mL/分で送液する。

カラム温度:40℃

2) ポストカラム誘導体化条件

第一反応液:臭化カリウム/硫酸溶液を0.4mL/分で送液する。

第二反応液:亜硝酸ナトリウム溶液を0.2mL/分で送液する。

反応温度:40℃

3) 測定波長:268nm

保持時間の目安:15分

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料中の臭素酸イオンを陰イオン交換カラムを用いて試料中に共存する他の陰イオン性化合物と分離し、カラム通過後に臭化カリウム/硫酸溶液及び亜硝酸ナトリウム溶液を加え、臭素酸イオンを三臭素化物イオンとし、その紫外吸光度を測定し、定量する方法である。

2) 注意点

① 臭素酸イオンのピークの近傍に亜塩素酸イオンのピークが現れるため、誤認に注意する。

② 臭化カリウム/硫酸溶液と亜硝酸ナトリウム溶液は、遮光した容器に保存する。また、調製後の時間経過とともにノイズが大きく、ピークが小さくなるなどの現象が見られる場合があるため、用時調製が望ましい。

ミネラルウォーター類中の水銀試験法

1.分析対象元素

水銀

2.装置

還元気化原子吸光光度計

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象元素から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

水銀標準原液 市販の1000mg/L水銀標準溶液を用いる。

硝酸 有害金属測定用又は超微量分析用を用いる。

L―システイン溶液 L―システイン塩酸塩1水和物1gを量りとり、水を加えて溶解後、1Lとする。

塩化スズ(Ⅱ)溶液 塩化スズ(Ⅱ)2水和物10gを量りとり、水60mL及び、硫酸3mLを加えて溶解し放冷後、水を加えて100mLとする。

希釈溶液 硝酸10mL及びL―システイン溶液1mLに水を加えて1Lとする。

4.試験溶液の調製

試料250mLを正確に量りとり、硝酸2.5mL及びL―システイン溶液0.25mLを加えた後に混合したものを試験溶液とする。

5.試験操作

測定の直前に試験溶液に塩化スズ(Ⅱ)溶液10mLを加え、混合する。

6.検量線の作成

水銀標準原液を希釈用液で希釈し0.0001~0.0025mg/L溶液を数点調製し、5.の試験操作の後、還元気化原子吸光光度計に注入し、吸光度を求め、検量線を作成する。

7.定量

試験溶液を5.の試験操作の後、還元気化原子吸光光度計に注入し、6.の検量線を用いて水銀の試料中濃度を求める。

8.測定条件

測定波長:253.7nm

9.留意事項

1) 試験法の概要

試料中のイオン型の水銀(Hg2+)を塩化スズ(Ⅱ)により還元し、金属水銀(Hg0)を生成させ、これに通気して発生する水銀蒸気を吸光セルに導き、原子吸光光度計により吸光度を測定し、定量する方法である。操作時の水銀の器具への吸着や揮散を抑制する目的から、L―システインを添加する。

2) 注意点

測定の方式には循環方式や非循環方式があるが、いずれの方式においても以下の点に注意する。

① 安定した状態で吸光度の値を読みとること。

② 気化後の蒸気に水が含まれると、吸光度の値の変動の原因となるため十分量の吸湿剤を用いること。吸湿剤には、過塩素酸マグネシウムや塩化カルシウムを用いることができる。

③ 原子吸光光度計の吸光セルを細長くし、また還元容器の空間容積を小さくし、さらに吸光セルと還元容器を接続する管の長さを短く、太さを細くすることで同濃度での吸光度が増えるため、感度よく測定することが可能である。また管には、水銀が付着しない塩化ビニル製のものを用いるとよい。

④ 測定後の水銀の捕集剤には、活性炭などを用いることができる。

ミネラルウォーター類中の全有機炭素(TOC)試験法

1.分析対象

全有機炭素(TOC)

2.装置

燃焼触媒酸化方式全有機炭素計

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値の分析対象から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

全有機炭素標準原液 120℃で1時間加熱し、デシケーター中で放冷したフタル酸水素カリウム2.125gを量りとり、水を加えて正確に1Lとする。当標準原液中の全有機炭素濃度を1mg/Lとする。なお、フタル酸水素カリウムは、JIS(JIS K8809)による規格品を用いること。

4.試験溶液の調製

試料に塩酸を加えてpH3以下とした後、通気により無機炭素を除去したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

全有機炭素標準原液を水で希釈し、全有機炭素の0~10mg/L溶液(水)を数点調製し、4.の試験溶液の調製と同様に操作した溶液それぞれ50μLを燃焼触媒酸化方式全有機炭素計に注入し、全有機炭素のピーク面積を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液50μLを燃焼触媒酸化方式全有機炭素計に注入し、5.の検量線を用いて全有機炭素の試料中濃度を求める。

7.測定条件

燃焼温度:680℃

キャリアーガス:高純度空気

キャリアーガス圧力:200kPa

キャリアーガス流量:150mL/分

検出器:非分散型赤外線検出器

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料中の有機物に含まれる炭素を触媒により酸化し、発生した二酸化炭素を非分散型赤外線検出器により検出する方法である。試料中の全有機炭素(TOC)濃度は、フタル酸水素カリウムに含まれる炭素量に換算して定量される。なお、市販の全有機炭素標準品を使用することができる。

2) 注意点

① 試料中無機炭素の除去から検出までが自動化された機器を使用する場合には、塩酸の濃度及び添加量、通気時間並びに測定パラメータを機器に合わせ最適化する。

② キャリアーガスは、規格値の分析対象を含む試料から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の二酸化炭素や炭化水素の含有を認めないものを用いる。

③ 試料に懸濁物が認められる場合には、これを超音波装置等を用いて粉砕し、均一に分散させた後に試験を行うこと。

ミネラルウォーター類中のフタル酸ジ―2―エチルヘキシル試験法

1.分析対象化合物

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル

2.装置

ガスクロマトグラフ質量分析計(GC―MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル標準原液 市販の1000mg/Lフタル酸ジ―2―エチルヘキシル標準溶液を用いる。

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準原液 市販のフタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準物質10mgを正確に量りとり、ヘキサンを加えて正確に100mLとする。

5mg/Lフタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準溶液 フタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準原液を正確に5mL量りとり、アセトンを加えて正確に100mLとする。

4.試験溶液の調製

試料20mLを正確に量りとり、5mg/Lフタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準溶液1mLを正確に加え、塩化ナトリウム10g(飽和量以上)を加える。ヘキサン20mLを正確に加え、5分間激しく振とうする。静置した後、分離した水層を捨てる。ヘキサン層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル標準原液及び5mg/Lフタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準溶液をヘキサンで希釈し、フタル酸ジ―2―エチルヘキシルの濃度が0.025~0.25mg/L、フタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4の濃度が0.25mg/Lとなるよう混合溶液を数点調製し、1μLをGC―MSに注入し、フタル酸ジ―2―エチルヘキシル及びフタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4のピーク高比又はピーク面積比を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液1μLをGC―MSに注入し、5.の検量線を用いてフタル酸ジ―2―エチルヘキシルの試料中濃度を求める。

7.測定条件

分離カラム:内径0.25mm、長さ30mのフューズドシリカ製の細管の内面に100%ジメチルポリシロキサンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。

カラム温度:50℃(1分)―20℃/分―200℃―10℃/分―300℃(5分)

注入口温度:250℃

検出器温度:250℃

注入方式:スプリットレス

イオン化モード(電圧):EI(70eV)

キャリアーガス及びその流量:ヘリウムをキャリアーガスとし、その流量は1.0mL/分とする。

主なイオン(m/z)

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル:149、167

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4:153、171

保持時間の目安

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル:16分

フタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4:16分

8.留意事項

1) 試験法の概要

フタル酸ジ―2―エチルヘキシルを試料からヘキサンで抽出し、脱水した後、GC―MSで測定し、定量する方法である。

2) 注意点

① 5mg/mLフタル酸ジ―2―エチルヘキシル―3,4,5,6―d4標準溶液は、用時調製が望ましいが、保存する場合は冷凍庫で保存する。

② 試験環境からの汚染を受けやすいため、使用する試薬等にも注意し、あらかじめバックグラウンドレベルを把握し、より低レベルで大きな変動なく維持されるよう試験環境の保全に努める必要がある。特に、フタル酸ジ―2―エチルヘキシルを可塑剤として使用した材質が含まれている実験器具等の使用は避ける。

ミネラルウォーター類中のホルムアルデヒド試験法

1.分析対象化合物

ホルムアルデヒド

2.装置

ガスクロマトグラフ質量分析計(GC―MS)

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象化合物から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

O―(2,3,4,5,6―ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン溶液 O―(2,3,4,5,6―ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン塩酸塩100mgを量りとり、水を加えて50mLとする。

ホルムアルデヒド標準原液 市販の1000mg/Lホルムアルデヒド標準溶液を用いる。

2mg/L1―クロロデカン/ヘキサン溶液 市販の1000mg/L1―クロロデカン標準溶液1mLを正確に量りとり、ヘキサンを加えて正確に500mLとする。

4.試験溶液の調製

試料50mLを正確に量りとり、O―(2,3,4,5,6―ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン溶液5mLを加え、2時間放置する。これに硫酸・水(1:1)1mL、塩化ナトリウム25g(飽和量以上)を加え、さらに2mg/L1―クロロデカン/ヘキサン溶液25mLを正確に加え、5分間激しく振とうする。静置した後、分離した水層を捨てる。ヘキサン層に無水硫酸ナトリウムを加えて脱水し、無水硫酸ナトリウムをろ別したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成

ホルムアルデヒド標準原液を水で希釈し、ホルムアルデヒドの0.02~0.2mg/L溶液を数点調製し、4.の試験溶液の調製と同様に操作した溶液1μLをGC―MSに注入し、ホルムアルデヒド誘導体化物及び1―クロロデカンのピーク高比又はピーク面積比を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液1μLをGC―MSに注入し、5.の検量線を用いてホルムアルデヒドの試料中濃度を求める。

7.測定条件

分離カラム:内径0.25mm、長さ30mのフューズドシリカ製の細管の内面に14%シアノプロピルフェニル/86%ジメチルポリシロキサンを1.0μmの厚さでコーティングしたもの。

カラム温度:50℃(1分)―10℃/分―190℃―20℃/分―260℃(5分)

注入口温度:200℃

検出器温度:200℃

注入方式:スプリット(スプリット比100:1)

イオン化モード(電圧):EI(70eV)

キャリアーガス及びその流量:ヘリウムをキャリアーガスとし、その流量は1.0mL/分とする。

主なイオン(m/z)

ホルムアルデヒド:181、195、161

1―クロロデカン:91、105

保持時間の目安

ホルムアルデヒド:10分

1―クロロデカン:14分

8.留意事項

1) 試験法の概要

ホルムアルデヒドをO―(2,3,4,5,6―ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミンを用いて誘導体化した後、ヘキサンで抽出し脱水した後、GC―MSで測定し、定量する方法である。

2) 注意点

① 試料に残留塩素及びオゾンが含まれている場合は誘導体化反応が妨害される。この妨害を避けるため、試料を量りとった後、チオ硫酸ナトリウム溶液(0.3w/v%)0.5mLを添加して分解する。

② O―(2,3,4,5,6―ペンタフルオロベンジル)ヒドロキシルアミン溶液は、用時調製が望ましいが、保存する場合は遮光した容器で冷蔵庫に保存する。

③ 2mg/L1―クロロデカン/ヘキサン溶液は、用時調製が望ましいが、保存する場合は冷凍庫で保存する。

④ 試験環境からの汚染を受けやすいため、使用する試薬等にも注意し、あらかじめバックグラウンドレベルを把握し、より低レベルで大きな変動なく維持されるよう試験環境の保全に努める必要がある。

ミネラルウォーター類中の六価クロム試験法

1.分析対象化合物

六価クロム

2.装置

イオンクロマトグラフ可視吸光光度計

3.試薬、試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

水 市販の分析用精製水を含め、規格値濃度の分析対象化合物から得られる分析値に影響を及ぼす濃度の含有を認めないもの。

1,5―ジフェニルカルバジド

炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム溶液 炭酸水素ナトリウム1.68g及び炭酸ナトリウム2.12gを量りとり、水を加えて1Lとする。

1,5―ジフェニルカルバジド溶液 1,5―ジフェニルカルバジド0.5gを量りとり、メタノールで100mLとする。水約500mLを量りとり、かき混ぜながら硫酸28mLを徐々に加え、放冷後、両液を合わせ、水を加えて1Lとする。

六価クロム標準原液 市販の1000mg/L六価クロム標準原液を用いる。

10mg/L六価クロム標準溶液 1000mg/L六価クロム標準原液0.5mLを正確に量りとり、水を加えて正確に50mLとする。

4.試験溶液の調製

試料を試験溶液とする。

5.検量線の作成

10mg/L六価クロム標準溶液を水で希釈し、六価クロムの0.005~0.05mg/L溶液を数点調製し、その100μLをイオンクロマトグラフ可視吸光光度計に注入し、ピーク高又はピーク面積を求め、検量線を作成する。

6.定量

試験溶液100μLをイオンクロマトグラフ可視吸光光度計に注入し、5.の検量線を用いて六価クロムの試料中濃度を求める。

7.測定条件

1) 分離条件

分離カラム:陰イオン交換カラム内径4.0mm、長さ250mm

溶離液:炭酸水素ナトリウム/炭酸ナトリウム溶液を0.8mL/分で送液する。

カラム温度:45℃

2) ポストカラム誘導体化条件

反応液:1,5―ジフェニルカルバジド溶液を0.2mL/分で送液する。

反応温度:45℃

反応コイル:内径0.5mm、長さ10m

3) 測定波長:530nm

保持時間の目安:11分

8.留意事項

1) 試験法の概要

試料中の六価クロムをpH7を超える水溶液中でクロム酸(CrO42-)として陰イオン交換カラムを用いて分離する。カラム分離後のCrO42-をポストカラムにより1,5―ジフェニルカルバジドと反応させ、六価クロムにより酸化されたジフェニルカルバゾンと六価クロムが還元されて生じた三価クロムの錯体(赤紫色)の可視部吸光度を測定し、定量する方法である。

2) 注意点

① 1,5―ジフェニルカルバジド溶液は、遮光した容器に保存する。また、調製後の時間経過とともにノイズが大きく、ピークが小さくなるなどの現象が見られる場合があるため、用時調製が望ましい。

② 反応コイルはポリエーテルエーテルケトン製を用いるのが望ましい。また、長さが短い場合は、誘導体化が不十分となりピークが小さくなる場合があるため注意する。

清涼飲料水中のスズ試験法

スズの試験は、2.に示すサリチリデンアミノ―2―チオフェノール法又は3.に示すポーラログラフ法により行う。

1.試験溶液の調製

試験溶液の調製は、1)に示す湿式分解法又は2)に示す乾式灰化法により行う。

1) 湿式分解法

検体100g(希釈して飲用に供する清涼飲料水にあってはその飲用に際して希釈する倍数の値で、濃縮した原料用果汁にあってはその濃縮した倍数の値で100gを除した量)を採り、水浴上で加温し、蒸発濃縮してシロップ状とする。これを水約10mlを用いて分解フラスコに移し、硫酸8ml及び硝酸10mlを加えて溶かした後、加熱しながら硝酸1~2mlを時々補充し、溶液がほとんど無色又は淡黄色となるまで加熱を続ける。一旦冷却した後、水15ml及びシュウ酸アンモニウム溶液10mlを加え、フラスコの頸部に白霧が現れるまで加熱する。冷後、水を加えて全量を50mlとし、これを試験溶液とする。別に、検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作して得られた溶液を空試験溶液とする。

2) 乾式灰化法

検体50g(希釈して飲用に供する清涼飲料水にあってはその飲用に際して希釈する倍数の値で、濃縮した原料用果汁にあってはその濃縮した倍数の値で50gを除した量)を採り、赤外線ランプ下又は乾燥器中で乾燥後、450~500℃でほとんど白色の灰分が得られるまで加熱する。冷後、塩酸(1→2)5mlを静かに注加して溶かした後、水浴上で蒸発乾固する。冷後、1mol/L塩酸に溶かして全量を25mlとし、これを試験溶液とする。別に、検体の代わりに水を用いて検体の場合と同様に操作して得られた溶液を空試験溶液とする。

2.サリチリデンアミノ―2―チオフェノール法

1) 試薬・試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

SATP溶液 L―アスコルビン酸1gを少量の水で溶かし、エタノールを加えて100mLとする。この溶液にサリチリデンアミノ―2―チオフェノール0.1gを加え、加熱して溶かす。

ジニトロフェノール溶液 2,4―ジニトロフェノール0.25gを50%エタノール100mLを加えて溶かす。

乳酸溶液 乳酸(特級)20mLに水を加えて100mLとする。

スズ標準溶液 金属スズ0.500gに塩酸30mLを加え、水浴上で加熱して溶かす。冷後、30%過酸化水素水1mlを加え、1mol/L塩酸を加えて500mLとする。この溶液1mLを採り、1mol/L塩酸を加えて100mLとする。この溶液1mLは、スズ10μgを含む。

水酸化ナトリウム溶液 水酸化ナトリウム10gを水に溶かして100mLとする。

チオ硫酸ナトリウム溶液 チオ硫酸ナトリウム1gを水に溶かして100mLとする。

2) 試験操作

試験溶液1mlを採り、1mol/L塩酸を加えて10mLとする。この溶液1mLを採り、1mol/L塩酸を加えて10mLとした後、ジニトロフェノール溶液2滴を加え、水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、水を加えて20mLとする。次に、乳酸溶液2mL、チオ硫酸ナトリウム溶液1mL及びSATP溶液5mLを加えて混和し、20分間静置した後、キシレン10mLを加えて激しく振り混ぜる。静置した後、キシレン層を採り、キシレンを対照液として波長415nm付近の吸光度を測定し、検量線より試験溶液中のスズの量を求め、検体中のスズの濃度を算出する。

3) 検量線の作成

スズ標準溶液0、1.0、2.0、3.0、4.0及び5.0mLを採り、それぞれに、別に空試験溶液1mLを採り1mol/L塩酸を加えて10mLとした溶液1mLずつを加え、更に1mol/L塩酸を加えて10mLとした後、ジニトロフェノール溶液2滴を加え、以下、試験溶液の場合と同様に操作してそれぞれの吸光度を測定し、検量線を作成する。

3.ポーラログラフ法

1) 試薬・試液

次に示すもの以外は、食品、添加物等の規格基準第2添加物の部C試薬・試液等の項に示すものを用いる。

第1電解液 4mol/L塩化アンモニウム溶液と4mol/L塩酸を等容量混合する。

第2電解液 2mol/L塩化アンモニウム溶液と2mol/L塩酸を等容量混合する。

スズ標準溶液 金属スズ0.500gに塩酸40mLを加え、水浴上で加熱して溶かした後、塩酸を加えて250mLとする。この溶液10mLを採り、第2電解液を加えて100mLとする。この溶液1mLは、スズ200μgを含む。

2) 試験操作

試験溶液1mLを採り、第1電解液5mLを加えて混和し、更に水を加えて10mLとする。この溶液約5mLを電解瓶に採り、電解瓶の白金線が隠れるまで水銀を注入した後、25℃の恒温槽に入れ、滴下水銀電極を挿入する。次いで、電解瓶に窒素を15分間通じた後、-0.3~-0.7V間のポーラログラムを描かせ、その波高を測定し、検量線より試験溶液中のスズの量を求め、検体中のスズの濃度を算出する。

3) 検量線の作成

スズ標準溶液0、0.5、1.0、1.5、2.0及び2.5mLを採り、それぞれに、空試験溶液1mL及び第1電解液5mLを加えて混和し、更に水を加えて10mLとする。以下、試験溶液の場合と同様に操作してそれぞれの波高を測定し、検量線を作成する。

清涼飲料水中のパツリン試験法

1.装置

紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ及び液体クロマトグラフ・質量分析計又はガスクロマトグラフ・質量分析計