添付一覧
○指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針について
(平成26年12月12日)
(老高発1212第1号)
(各都道府県・各指定都市・各中核市介護保険主管部(局)長あて厚生労働省老健局高齢者支援課長通知)
(公印省略)
指定介護老人福祉施設及び指定地域密着型介護老人福祉施設(以下「施設」という。)については、施設への入所の必要性の高い者の優先的な入所に努めるよう、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)」第7条第2項及び「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」第134条第2項で義務づけているところであるが、今般、介護保険法(平成9年法律第123号)第8条第21項の改正と、それに伴う介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号)の改正により、平成27年4月1日以降の施設への入所が原則要介護3以上の方に限定される一方で、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることによる要介護1又は2の方の特例的な施設への入所(以下「特例入所」という。)が認められる。これらの運用に当たっては、透明性及び公平性が求められるとともに、特例入所の運用については、市町村による適切な関与が求められる。こうした観点から、関係自治体と関係団体が協議し、施設への入所に関する具体的な指針を共同で作成することが適当である。
ついては、こうした指針の作成・公表に関する留意事項について別紙のとおりとりまとめたので、御了知の上、管内市町村、関係団体等に周知を図るとともに、管内における円滑かつ適切な指針の作成等に遺憾のないようにされたい。
また、本通知の施行に伴い、「指定介護老人福祉施設の入所に関する指針について」(平成14年8月9日付け老計第0807004号厚生労働省老健局計画課長通知)は廃止する。
なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として発出するものである。
(別紙)
指針の作成・公表に関する留意事項
1.指針の作成について
(1) 指針は、その円滑な運用を図る観点から、関係自治体と関係団体が協議し、共同で作成することが適当であること。
(2) 指針には、「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)」第7条第2項及び「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」第134条第2項の透明かつ公平な運用を図る観点から、次の事項を盛り込むこと。
① 入所判定対象者の選定について
② 指定介護老人福祉施設及び指定地域密着型介護老人福祉施設(以下「施設」という。)が申込者の入所の必要性の高さを判断する基準
③ 施設が(1)の基準を当てはめて入所を決定する際の手続き
④ その他
(例)老人福祉法第11条第1項第2号に定める措置委託の場合の取扱い
2.入所判定対象者の選定について
入所判定の対象となる者は、入所申込者のうち、要介護3から要介護5までの要介護者及び、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることによる要介護1又は2の方の特例的な施設への入所(以下「特例入所」という。)が認められる者とすること。
このうち、要介護1又は2の方の入所申込みまでの手続きについては、以下のとおりとすること。
(1) 特例入所の対象者について
特例入所の要件に該当することの判定に際しては、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由があることに関し、以下の事情を十分に考慮すること。また、地域の実情等を踏まえ、各自治体において必要と認める事情があれば、それも考慮すること。
① 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られること、
② 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られること、
③ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難であること、
④ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分であること
(2) 要介護1又は2の方の入所申込みの手続きについて
要介護1又は2の方の入所申込みについては、以下のとおりとする。
① 施設は、入所申込みの書類に、特例入所の要件を具体的に記載した上で、その内容を申込者側に丁寧に説明し、申込者側に特例入所の要件への該当に関する申込者側の考えを記載してもらうこと。
(記載例) 要介護1又は2の方が入所するためには、下記のいずれかに該当することが必要です。ご自身の判断で該当すると思われる項目に印を付けてください。 □ 認知症である者であって、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られる □ 知的障害・精神障害等を伴い、日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さ等が頻繁に見られる □ 家族等による深刻な虐待が疑われること等により、心身の安全・安心の確保が困難である □ 単身世帯である、同居家族が高齢又は病弱である等により家族等による支援が期待できず、かつ、地域での介護サービスや生活支援の供給が不十分である |
② 申込者側から特例入所の要件に該当している旨の申立てがある場合には、入所申込みを受け付けない取扱いは認めないこととする。
注 なお、特例入所の要件に該当している旨の申立てがない者からの入所申込みに関する取扱いについては、各施設に委ねることする。
③ 入所判定が行われるまでの間に施設と入所申込者の介護保険の保険者である市町村(特別区を含む。以下「保険者市町村」という。)との間で情報の共有等を行うこと。なお、施設と保険者市町村との間での必要な情報共有等が行われるのであれば、以下の取扱いと異なる手続きとすることを妨げるものではないこと。
イ 特例入所の要件に該当する旨の入所申込みを受けた場合において、施設は、保険者市町村に対して報告を行うとともに、当該入所申込者が特例入所対象者に該当するか否かを判断するに当たって適宜その意見を求めること。
ロ イの求めを受けた場合において、保険者市町村は、地域の居宅サービスや生活支援などの提供体制に関する状況や、担当の介護支援専門員からの居宅における生活の困難度の聴取の内容なども踏まえ、施設に対して適宜意見を表明できるものとすること。
ハ 下記4.の入所を決定する際の手続きとして設置する入所に関する検討のための委員会においては、必要に応じて「介護の必要の程度」や「家族の状況」等について、改めて保険者市町村に意見を求めることが望ましいこと。
注 なお、被虐待高齢者等の緊急的な保護等の理由により、老人福祉法第11条第1項第2号の規定による措置入所(同法第10条の4第1項第3号の規定による市町村が行った措置により当該指定介護老人福祉施設において空床利用型の短期入所生活介護の利用が行われる場合を含む。)の場合にあっては、この手続きによらず、入所することが可能である。
3.入所の必要性の高さを判断する基準について
(1) 「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)」第7条第2項及び「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)」第134条第2項に挙げられている勘案事項について
「介護の必要の程度」については、要介護度を勘案することが考えられること。
また、「家族の状況」については、単身世帯か否か、同居家族が高齢又は病弱か否かなどを勘案することが考えられること。
(2) その他の勘案事項について
居宅サービスの利用に関する状況などが考えられることや、要介護1又は2の方について、2.(1)①~④に掲げる、居宅において日常生活を営むことが困難なことについてやむを得ない事由がある状況などが考えられること。
4.施設が基準を当てはめて入所を決定する際の手続きについて
(1) 入所に関する検討のための委員会の設置について
① 施設に、入所に関する検討のための委員会を設け、入所の決定は、その合議によるものとすること。
② 入所に関する検討のための委員会は、施設長と生活相談員、介護職員、看護職員、介護支援専門員等の関係職員で構成することとし、あわせて、施設職員以外の者の参加も求めることが望ましいこと。この場合、施設職員以外の者としては、当該社会福祉法人の評議員のうち地域の代表として加わっている者、社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する苦情解決の仕組みにおいて選任することとされている第三者委員などが考えられること。
(2) 記録の作成及び保存について
① 施設は、入所に関する検討のための委員会を開催する都度、その協議の内容(2.(3)③及び④の保険者市町村の意見を含む。)を記録し、これを2年間保存するものとすること。
② 施設は、市町村又は都道府県から求めがあったときは、上記の記録を提出するものとすること。
5.指針の公表等について
指針は公表するとともに、施設は、入所希望者に対してその内容を説明するものとすること。
6.その他
管内の市町村・関係団体における特例入所に関する指針の作成及び特例入所の運用について、必要な助言及び適切な援助を行うこと。
管内の市町村・関係団体において指針の作成について独自の取組みがある場合には、これを尊重する必要があること。
なお、老人福祉法第11条第1項第2号に基づき、市町村は、必要に応じて、特別養護老人ホームへの入所の措置等をとらなければならないとされており、管内の市町村において、適切な運用が図られるよう、必要な助言及び適切な援助を行うこと。