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○市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定について

(平成26年3月27日)

(社援発0327第13号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知)

市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画については、社会福祉法(昭和26年法律第45号)、「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定について」(平成14年4月1日社援発第0401004号厚生労働省社会・援護局長通知)、「市町村地域福祉計画の策定について」(平成19年8月10日社援発第0810001号厚生労働省社会・援護局長通知)及び「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定及び見直し等について」(平成22年8月13日社援地発0813第1号厚生労働省社会・援護局地域福祉課長通知)により実施されているところである。

生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)は、社会経済の構造的な変化等による生活保護受給者や生活困窮に至るリスクの高い層の増加を踏まえ、生活保護に至る前の生活困窮者への支援(いわゆる「第2のセーフティネット」)を抜本的に強化するものであり、平成27年4月から施行することとされている。この新たな生活困窮者自立支援制度は、地域福祉を拡充し、まちづくりを進めていく上でも重要な施策であることから、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の中に位置づけて計画的に取り組むことが効果的であり、今般、その盛り込むべき具体的な事項について、別添のとおり「生活困窮者自立支援方策について市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画に盛り込む事項」(以下「生活困窮者自立支援方策」という。)を定めたので通知する。

貴職におかれては、本制度の趣旨を踏まえ、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画に生活困窮者自立支援方策を盛り込んでいただくようご配慮いただくとともに、都道府県においては、市町村地域福祉計画の策定について管内市町村への周知及び支援と、市町村地域福祉計画が未策定の市町村に対しては早急に計画策定が行われるよう支援願いたい。

なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言に当たるものである。

(別添)

生活困窮者自立支援方策について市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画に盛り込む事項

1.生活困窮者自立支援方策の位置づけと地域福祉施策との連携に関する事項

地域福祉推進の理念や基本目標を含む地域福祉計画の適切な部分に生活困窮者自立支援方策を位置づけるとともに、総合相談支援や権利擁護の推進等、既存の地域福祉施策との連携に関する事項を明記する。

2.生活困窮者の把握等に関する事項

本制度における支援の対象となる生活困窮者を把握するために必要な情報の種類とその把握方法等について具体的に明記する。

(生活困窮者に関する情報と把握方法の例)

○ 各自治体において生活困窮者を把握し、支援を適切に実施する前提として、例えば、以下のような情報の把握が必要と考えられる。

(例)

・ 生活保護に関する情報(被保護者数、被保護世帯数 等)

・ 生活困窮者に関する情報

(生活保護受給相談者数、失業者数、租税・保険料等の滞納者数 等)

・ その他、関連する情報(ニート・引きこもり数、高校中退者数 等)

○ 加えて、事業実施後には、本制度における各種支援の実施状況及びその成果の把握が必要である。

○ これらの生活困窮者の把握に必要な情報を得るために、本制度の自立相談支援機関と福祉事務所、ハローワークの3者は特に緊密な連携体制を構築することが重要であり、また、福祉部局にとどまらない全庁的な連携体制を検討する必要がある。対象者の早期把握のため、租税・保険料や公共料金の担当と連携し、生活困窮者が自立相談支援機関につながる紹介ルールの設定等についても検討する。

○ その他、学校や教育委員会、地域若者サポートステーション、ひきこもり地域支援センター等、多岐にわたる関係機関との連携により情報を把握する。一方で、行政機関で把握が困難な情報については、社会福祉協議会や社会福祉法人、民生委員・児童委員等の地域ネットワーク、あるいは、近隣住民等によるインフォーマルな見守り活動等と連携して把握する。

○ また、上記のような生活困窮者の実態を把握した上で、将来にわたって、本制度の実施効果を見込むことで、より効果的な計画を策定することが望ましい。

3.生活困窮者の自立支援に関する事項

相談支援体制の整備、生活困窮者自立支援法に基づく支援の実施、関係機関や他制度による支援、民生委員や自治会、ボランティア等によるインフォーマルな支援等とともに、生活困窮者支援を通じた地域づくりについて明記する。

(1) 生活困窮者の自立支援のための各種支援の実施

① 生活困窮者自立支援法に基づく支援

(必須事業)

・ 自立相談支援事業

・ 住居確保給付金

(任意事業)

・ 就労準備支援事業

・ 一時生活支援事業

・ 家計相談支援事業

・ 学習支援事業、その他の自立支援事業

(その他)

・ 就労訓練事業(いわゆる中間的就労)の認定

② 関係機関・他制度、多様な主体による支援

福祉事務所、ハローワークとの連携による支援(例えば、「生活保護受給者等就労自立促進事業」等)、地域若者サポートステーション、生活福祉資金貸付制度等、生活困窮者に包括的な支援を提供するための福祉や雇用に関するサービス等を具体的に明記する。

また、社会福祉協議会、民生委員・児童委員による訪問やサロン活動等、あるいは、自治会や町内会など近隣住民やボランティア等による日常的な見守りや助け合いの活用等について明記する。

(2) 生活困窮者支援を通じた地域づくり

生活困窮者を支援する過程において、必要な社会資源の活用、就労先の開拓やさまざまな社会参加の場づくり等が必要になる。既存の社会資源の把握や活用にとどまらない、新たな社会資源の創出や住民の理解の促進、必要な地域支援ネットワークの構築等、地域の実情に応じ、特長を生かした地域づくりについて具体的に明記する。

4.その他の留意事項等

(1) 都道府県地域福祉支援計画に関する留意事項

① 都道府県地域福祉支援計画において、「市町村の地域福祉の推進を支援するための基本的方針に関する事項」等を定めることとしているが、これは、市町村だけでなく、都道府県自らが確保すべき必要な福祉サービスの目標量やその達成のための具体的方策も含まれる。

② 本制度は福祉事務所設置自治体を実施主体としており、町村部の多くは都道府県福祉事務所の所管区域となっていることから、都道府県地域福祉支援計画では、市部の支援に関する事項とともに、都道府県福祉事務所設置圏域となる町村部に対する生活困窮者自立支援方策について明記する。

③ 具体的には、都道府県福祉事務所設置圏域における自立相談支援機関の運営、相談支援機関設置等に係る広域的な調整、相談支援員をはじめとする人材の育成・研修、就労支援先の開拓などの新たな社会資源の創出等について明記する。

(2) 福祉事務所未設置の町村に関する留意事項

① 福祉事務所を設置していない町村においては都道府県が実施主体となる。しかし、町村が、住民のなかに支援の対象とすべき生活困窮者が存在しうることを理解しておく必要がある。町村は住民に最も身近な自治体としての役割を発揮することが求められるため、生活困窮者自立支援方策について地域福祉計画に必要な事項を盛り込む。

② 具体的には、町村は住民に最も身近な自治体であり都道府県よりも住民に関する情報を有していることから、生活困窮者の早期把握と自立相談支援機関への適切な「つなぎ」の役割が期待されるため、生活困窮者を受け止める一次窓口としての機能について明記する。また、町村における独自施策との連携による支援や、就労訓練、就労の場の開拓や創出等、地域づくりに関する取組等を明記する。

(3) 計画の策定及び改定に関する留意事項

① 平成27年4月の法施行に合わせて生活困窮者自立支援方策を盛り込んだ計画が策定されることが望ましい。しかし、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画は、その計画期間について、策定指針で「概ね5年とし3年で見直すことが適当」とされており、既に計画策定済みの自治体においては、5年ごとの改定の時期、あるいは、3年目の計画見直しの時期に合わせて策定することも差し支えないが、可能な限り早期に生活困窮者自立支援方策を盛り込んだ計画が策定されるよう留意していただきたい。

② 市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定または改定の時期までの暫定的な対応として、生活困窮者自立支援に関する計画として単独計画を策定することも考えられる。しかし、単独計画を策定する場合においても、策定指針に示された事項を参考に策定されるよう留意していただきたい。

*策定指針…「市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画策定指針の在り方について(一人ひとりの地域住民への訴え)」平成14年1月28日社会保障審議会福祉部会