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○医薬品・医療機器等の回収について

(平成26年11月21日)

(薬食発1121第10号)

(各都道府県知事・各保健所設置市長・各特別区長あて厚生労働省医薬食品局長通知)

(公印省略)

これまで医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の回収については、回収に着手したときは、厚生労働省令に定める事項について厚生労働大臣への報告を求めており、「医薬品・医療機器等の回収について」(平成12年3月8日付け医薬発第237号厚生省医薬安全局長通知。以下「旧回収通知」という。)により、回収の考え方等をお示ししてきたところです。

今般、「薬事法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第84号。以下「改正法」という。)が成立し、回収に着手する旨に加え、回収の状況についても報告を求めるとされたこと等に伴い、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品(以下「医薬品・医療機器等」という。)の回収については、下記のとおり取り扱うこととしましたので、貴管下関係業者に周知をお願いいたします。

本通知は改正法の施行の日(平成26年11月25日)から適用します。また、本通知の適用の日をもって、旧回収通知は廃止します。

第1 制度の趣旨

改正法による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第68条の11に基づき、医薬品・医療機器等の製造販売業者、外国特例承認取得者又は法第80条第1項から第3項までに規定する輸出用の医薬品・医療機器等の製造業者(以下「製造販売業者等」という。)は、その製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等を回収するとき(法第70条第1項の規定による命令を受けて回収をするときを除く。)は、回収に着手した旨及び回収の状況を厚生労働大臣へ報告しなければならないとされている。

何らかの不良又は不具合(以下「不良」という。)が生じた医薬品・医療機器等による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するためには、当該不良医薬品・医療機器等の自主的な回収に関する情報を行政が早期に把握し、適切な回収措置と関係者への情報提供を行うよう、製造販売業者等を指導しなければならない。そのために、この規定では、製造販売業者等から回収着手時に報告を求めると同時に、必要に応じて回収の状況も報告を求めるものである。

なお、当該規定は、法第68条の11においては厚生労働大臣の権限に属する事務とされているが、薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令(平成26年政令第269号)による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和36年政令第11号。以下「施行令」という。)第80条第1項の規定により、薬局製造販売医薬品の製造販売業者にあっては都道府県知事、保健所設置市長、特別区長が、同条第2項及び第3項の規定により、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器の製造販売業者及び製造業者にあっては都道府県知事が、同条第4項の規定により再生医療等製品の製造販売業者にあっては都道府県知事が行うこととする。

第2 医薬品・医療機器等の回収に関する基本的な考え方

仮に医薬品・医療機器等に何らかの不良が生じた場合、発生するおそれのある健康被害の程度、不良が生じている可能性の高い製品範囲の特定等について科学的見地から十分検討し、必要な回収が確実に実施されることが重要である。また、回収に当たっては、本来回収する必要がある不良医薬品・医療機器等が適切に回収されず、必要な報告がされないことや、必要以上の範囲の医薬品・医療機器等が回収されること等による保健衛生上の問題が生じないよう、配慮しなければならない。回収の申し出があった場合には、以下に定める回収の定義等を参考に製造販売業者等の指導を行うこと。

1.回収の定義

(1) 回収

「回収」とは、製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等を引き取ることをいう。「改修」及び「患者モニタリング」を含み、「在庫処理」及び「現品交換」を除く。また、製造販売業者等が新製品の発売に当たり、品質、有効性及び安全性に問題のない旧製品を引き上げる行為を除く。

(2) 改修

「改修」とは、医療機器の製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医療機器を物理的に他の場所に移動することなく、修理、改良、調整、廃棄又は監視を行うことを言う。また、医療機器プログラムの場合は、品質、有効性及び安全性に問題のない新しいプログラムに置き換えること又は修正することをいう。

(3) 患者モニタリング

「患者モニタリング」とは、医療機器又は再生医療等製品の製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医療機器又は再生医療等製品を患者から摘出することなく、当該医療機器又は再生医療等製品を使用している患者の経過を観察することをいう。

(4) 在庫処理

「在庫処理」とは、製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等であって未だに販売していないもの又は未だに製造販売業者等の直接の管理下にあるものについて、製造販売業者等がこれらを引き取ることをいう。医療機器にあっては、修理、改良、調整若しくは廃棄することをいう。ただし、貸与等、製造販売業者等が所有権を有しながら製造販売業者等以外の者がその医療機器を現に使用しているもの又は使用する目的で製造販売業者等以外の場所で貯蔵しているものに対するこれらの行為を除く。

(5) 現品交換

「現品交換」とは、保健衛生上の問題が生じないことが明らかな場合であって、かつロット又はある一定範囲の医薬品・医療機器等、当該製品以外の医薬品・医療機器等に同様の瑕疵が生じないことが明らかなときに、製造販売業者等が当該医薬品・医療機器等を引き取り交換すること(医療機器にあっては、修理、改良、調整、廃棄又は監視を行うこと)をいう。

2.回収の要否及び回収対象に係る基本的考え方

回収の要否及び回収対象の判断に当たっては、以下の(1)~(3)の観点から総合的に判断すること。

(1) 有効性及び安全性への影響

① 何らかの不良により医薬品・医療機器等の安全性に問題がある場合は回収すること。

安全性に問題がない場合であっても、有効性の問題等により期待される効能・効果が得られない場合又は期待される性能が発揮されない場合は、回収すること。

製造販売業者等が不良医薬品・医療機器等について有効性及び安全性に問題がないことを明確に説明できない場合には、当該不良医薬品・医療機器等を回収すること。

② 法又は承認事項に違反する医薬品・医療機器等は回収すること。

(2) 混入した異物の種類及び製品の性質

① 異物が混入又は付着している医薬品・医療機器等であって、保健衛生上問題が生じないことが明確に説明できない場合は、回収すること。

② 無菌製剤は、原則的に無菌性保証が確実か否かを重要な判断基準とすること。

(3) 不良範囲の特定に関する判断

① 製造販売業者等が不良医薬品・医療機器等についてロット又は製品全体に及ぶものではないことを明確に説明できない場合には、当該不良医薬品・医療機器等を回収すること。ロット又は製品全体に不良が及ばないことを説明するためには、原則として、以下の全ての条件を満たしている必要がある。

ア.不良発生の原因と工程が特定できること。

イ.当該不良医薬品・医療機器等と同ロットの参考品等により、品質に問題がないことが確認できること。

ウ.医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第179号。以下「GMP省令」という。)、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第169号。以下「QMS省令」という。)又は再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(平成26年厚生労働省令第93号)に基づき、不良発生防止のための措置が適切に講じられていたことを説明できること。

エ.医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第136号。以下「GQP省令」という。)又はQMS省令に基づき、同様の品質に関わる苦情が他にも多数発生していないことが確認できること。

② 当初はロット又は製品全体に不良が及ばないと考えられた場合であっても、実際に複数施設において当該不良が生じた場合には、当該不良の発生率との関係を考慮した上で原則的に回収すること。

③ 大型医療機器、埋め込み型の医療機器又は再生医療等製品等、ロットを構成しない医療機器又は再生医療等製品の不良について、同種他製品に同様な不良がある場合、当該製品群をロットとみなし回収に準じた扱いを行うこと。同様の不良が同種他製品に及ばないと明確に説明できる場合は、「現品交換」に準じた扱いとすること。

3.回収に係るクラス分類の定義及び判断基準

(1) 回収に係るクラス分類の定義

回収に当たっては、不良医薬品・医療機器等の使用によりもたらされる健康への危険性の程度により、以下のとおり個別回収ごとにⅠ、Ⅱ又はⅢの数字を割り当てること(以下「クラス分類」という。)とする。

① クラスⅠ:クラスⅠとは、その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況をいう。

② クラスⅡ:クラスⅡとは、その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性がある状況又はその製品の使用等による重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう。

③ クラスⅢ:クラスⅢとは、その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況をいう。

(2) クラス分類に当たっての基本的考え方

① クラス分類を行う場合、当該不良医薬品・医療機器等の使用に起因する直接的な安全性に係る状況(手術時間の延長を生じるおそれのある状況等を含む。)だけでなく、その使用により期待される効果が得られない等有効性に係る状況(正確な診断への影響を及ぼすおそれのある状況等を含む。)についても勘案し、これらを総合的な「健康被害」としてクラス分類を行うこと。

② 回収に当たっては基本的にクラスⅡに該当するものと考え、健康被害発生の原因になるとはまず考えられないとする積極的な理由があればクラスⅢに、クラスⅡよりも更に重篤な健康被害発生のおそれがある場合にはクラスⅠと判断すること。

③ クラスⅠ若しくはクラスⅢと判断することが妥当と思われる場合、又はその後の状況により当初のクラス分類を変更することが妥当と思われる場合には、その理由を明確にした上で都道府県薬務主管課等より事前に厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課(以下「監視指導・麻薬対策課」という。)へ相談すること。

第3 回収着手報告及び回収に着手した旨の情報提供について

1.回収着手報告書

法第68条の11に基づく回収に着手した旨の報告(以下「回収着手報告」という。)は、原則として、文書で行うこと。ただし、保健衛生上の被害発生又は拡大の防止のために危急の事情がある場合には、その概要をファックス等により報告し、後日文書を提出することで差し支えない。

(1) 回収着手報告の記載について

回収着手報告には、薬事法等の一部を改正する法律及び薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令(平成26年厚生労働省令第87号)による改正後の医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(以下「施行規則」という。)第228条の22第1項の規定に基づき、以下の事項に留意するよう製造販売業者等を指導すること。

① 施行規則第228条の22第1項第1号に規定する「回収を行う者の氏名及び住所」は、法人にあっては以下のとおりとする。

ア.法人の名称

イ.代表者の氏名

ウ.総括製造販売責任者がその業務を行う事務所の所在地

エ.担当者の氏名及びその連絡先

② 施行規則第228条の22第1項第2号に規定する事項は、それぞれ以下のとおりとする。

ア.回収の対象となる医薬品・医療機器等の名称(一般的名称及び販売名を記載すること。)

イ.当該品目の製造販売又は製造に係る許可番号及び許可年月日又は登録番号及び登録年月日

(ア) 医薬品(体外診断用医薬品を除く。)、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の場合

・ 当該品目の製造販売業者の許可番号及び許可年月日

・ 回収の原因となった製造所の当該製造所の許可番号及び許可年月日

(イ) 医療機器及び体外診断用医薬品の場合

・ 当該品目の製造販売業者の許可番号及び許可年月日

・ 法第23条の2の3の登録を受けた製造所(以下「登録製造所」という。)のうち、回収の原因となった工程に責任を有する登録製造所の登録番号及び登録年月日

ウ.当該品目の承認番号及び承認年月日、認証番号及び認証年月日又は届出番号及び届出年月日

③ 施行規則第228条の22第1項第4号に規定する事項は、以下のとおりとする。

ア.回収の原因となった製造所の名称及び所在地(医療機器又は体外診断用医薬品の場合は、回収の原因となった工程に責任を有する登録製造所の名称及び所在地)

イ.製造販売業者の主たる機能を有する事務所の名称及び所在地

④ 施行規則第228条の22第1項第7号に規定する事項は、以下のとおりとする。

ア.当該品目の出荷時期

イ.回収対象医療機関・患者等の範囲

ウ.回収情報の周知方法

エ.回収先において、回収の対象となる医薬品・医療機器等を受領したことを文書により確認する旨

⑤ 施行規則第228条の22第1項第9号に規定する事項は、以下のとおりとする。

ア.回収の理由

イ.予想される健康被害の程度

ウ.回収を決定した時点での、健康被害の発生状況

(2) 都道府県知事等から厚生労働省への連絡

製造販売業者等から回収着手報告があった場合、報告を受けた都道府県薬務主管課等は速やかに監視指導・麻薬対策課宛てにその旨連絡し、製造販売業者等から提出された回収着手報告の写しを送付すること。ただし、保健衛生上の被害発生又は拡大の防止のために危急の事情があり速やかに文書を送付することが困難な場合には、口頭報告の後、後日、回収着手報告書の写しを監視指導・麻薬対策課宛に送付することで差し支えない。

また、当該回収の原因となった製造所が他の都道府県にある場合は、必要に応じて、当該製造所を所管する都道府県薬務主管課へも回収着手報告書の写しを送付すること。

(3) 製造販売業者等への指示

回収を決定した時点で、必要に応じて、製造販売業者等に対して以下の事項を指示・確認すること。

① 納入先の医療機関等以外にも回収の対象となる医薬品・医療機器等の存在が考えられる場合には、納入先以外に対しても、広く情報の周知及び回収を行うこと。

② 特にクラスⅠの回収の場合は「医薬品安全管理責任者」、「医療機器安全管理責任者」又は「営業所管理者」等に情報の周知が行われていることを確認した上で、文書により回収品の有無の確認を行うこと。

③ GQP省令第11条(体外診断用医薬品を除く医薬品)、同令第18条2項3号(医薬部外品及び化粧品)又は同令21条(再生医療等製品)の規定に基づき、回収対象製品の製造所に対して連絡をし、同様の製造工程による不良が生じないよう対策をとること。

体外診断用医薬品又は医療機器の場合は、QMS省令第60条、同令第63条及び同令第72条第2項第5号等の規定に基づき、品質不良等に対する必要な措置等を検討し、実施するとともに、工程を外部委託する登録製造所等に対しては、同令第72条第2項第8号等の規定に基づき文書による連絡又は指示を行い、同様の製造工程による品質不良が生じないよう対策を講じること。

④ 回収の進捗状況につき、定期的に報告を求めること。

ア.特にクラスⅠ回収の場合は、回収率、健康被害の発生状況等について定期的な報告を求めること。回収着手当初は、おおむね1ヶ月ごとに報告するのが望ましい。ただし、回収着手と同時に回収が終了した場合はこの限りではない。

イ.クラスⅡ回収及びクラスⅢ回収の場合であっても、複数回にわたって医療機関等への情報提供が必要な場合や社会的関心が高い場合等、保健衛生上の危害の防止のためには都道府県薬務主管課等において定期的に回収の状況を把握しておく必要があると考えられる場合は、定期的な報告を求めること。

2.インターネットを活用した情報提供

製造販売業者等は個別医療機関等に対する迅速な回収情報の提供を行うほか、迅速かつ広範な情報提供のために、すべての回収情報をインターネット上(医薬品医療機器情報提供ホームページ)を活用して情報提供を行うこと。ただし、輸出用医薬品・医療機器等であって、日本国内では流通しないものであるときは、この限りではない。

(1) 製造販売業者等によるインターネット掲載用資料の作成及び提出について

医薬品・医療機器等の製造販売業者等が、その製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品・医療機器等の回収に着手した場合、法第68条の11の規定に基づく回収着手報告にあわせて、速やかにインターネット掲載用資料(以下「資料」という。)を提出するよう求めること。

① 提出すべき資料

資料には以下の事項を記載することとし、簡潔かつわかりやすい内容となるよう十分な配慮を求めること。なお、参考までに資料例を別紙1に示す。

ア.資料作成年月日

イ.医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の別

ウ.クラス分類の別

エ.一般的名称及び販売名

オ.対象ロット、数量及び出荷時期

カ.製造販売業者等名称

キ.回収理由

ク.危惧される具体的な健康被害

ケ.回収開始年月日

コ.効能・効果又は用途等

サ.その他

シ.担当者及び連絡先

② その他

ア.資料は原則一品目につき一資料とすること。

イ.製造販売業者等に対し、資料は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されているテンプレートを使用してテキスト形式で作成するよう求めること。

ウ.都道府県薬務主管課等への資料提出に当たっては、電子メール等、適切な手段によるよう求めること。

(2) 都道府県薬務主管課等より厚生労働省への資料の転送について

製造販売業者等より提出のあった資料については、速やかに監視指導・麻薬対策課へ転送すること。転送に当たっては電子メールによることが望ましい。

3.海外への回収情報の発信

(1) 対象国及び対象品目

① 対象国:医薬品査察協定・医薬品査察協同スキーム(PIC/S)加盟国及び欧州連合

参考として、平成26年7月現在の対象国を別紙2に示す。最新の対象国については、PIC/S及び欧州連合のウェブサイト等により、情報を入手すること。

② 対象品目:製造所の製造管理及び品質管理の方法をGMP省令に適合させなければならないとされている医薬品

(2) 対象品目について回収が発生した場合の対応

回収のクラス分類に応じて、以下の対応とする。

① クラスⅠ:回収対象製品を輸出しているかどうかに関わらず緊急回収通報の発信が必要となるため、製造販売業者等に対して、緊急回収通報の原稿提出を求めること。

② クラスⅡ:回収対象製品を対象国のいずれかに対して輸出している場合は緊急回収通報の発信が必要となるため、その場合は製造販売業者等に対して、緊急回収通報の原稿提出を求めること。(回収対象製品を対象国に輸出していない場合は、緊急回収通報の発信は、原則として不要である。)

なお、回収対象ロットや輸出先が特定できていなくとも、対象国のいずれかに対して回収対象製品を輸出している可能性がある場合は、日本国内での回収を決定した時点で、製造販売業者等に対して緊急回収通報の原稿提出を求めること。

③ クラスⅢ:緊急回収通報の発信は、原則として不要である。

(3) 緊急回収通報の原稿作成から緊急回収通報発信までの手順

① 製造販売業者等は、別紙3により緊急回収通報の原稿を英語で作成すること。

② 都道府県薬務主管課は、製造販売業者等から緊急回収通報の原稿の提出を受けた後、速やかに監視指導・麻薬対策課まで電子メールにより緊急回収通報の原稿を提出すること。原則として、インターネット掲載用資料を監視指導・麻薬対策課に提出した日に緊急回収通報の原稿も提出すること。

③ 監視指導・麻薬対策課は、都道府県薬務主管課から緊急回収通報の原稿提出を受けた後、速やかに電子メールにより対象国へ緊急回収通報を発信する。

(4) フォローアップ情報

日本国内での回収を決定した時点では回収対象範囲が特定できていなかったが、その後、回収対象範囲(ロット、輸出先国等)が特定できた場合には、別紙4によりフォローアップ情報を対象国へ発信する必要があるので、製造販売業者等に対してフォローアップ情報の提出を求めること。フォローアップ情報の原稿作成から発信までの手順は、上記(3)と同様である。

4.報道機関に対する協力の要請

(1) 報道機関向けの広報について

インターネットを利用して情報を入手している者以外の者に対しても保健衛生上の観点から回収情報を迅速かつ広範に提供する必要がある場合には、報道機関の協力を得るために製造販売業者等に対して報道機関向けの広報(以下「プレスリリース」という。)を行うよう求めること。

具体的には以下の場合にプレスリリースが必要と考えられるが、必要に応じその他の場合においてプレスリリースを行うことは差し支えない。

① クラスⅠに該当する回収(ただし、ロットを構成しない医薬品・医療機器等であって同種他製品に不良が及ばず、かつ、当該医薬品・医療機器等が使用されないことが確実な場合を除く。)

② クラスⅡに該当する回収(ただし、製造販売業者等が既に対象となる医療機関等を全て把握している場合等、報道機関を利用した情報提供の必要性に乏しい場合を除く。)

(2) プレスリリース用資料について

製造販売業者等によるプレスリリース用資料の作成に当たっては、第3の2.(1)①に示す各事項について記載すること。その場合、専門用語を極力避け、図表を用いる等の配慮を求めること。

第4 回収の状況報告

(1) 回収の状況報告について

回収を行っている製造販売業者等は、以下の場合は速やかに都道府県知事等に回収の状況を報告すること。文書による報告を求めるかどうかは、変更内容の軽重により、各都道府県薬務主管課等で判断すること。

① 回収着手報告書において報告した事項に変更(軽微な変更を除く。)が生じた場合。軽微な変更に該当する場合としては、例えば以下の事項の変更が想定される。

ア.回収対象医療機関・患者等の範囲(ただし、対象が大幅に増え、改めて周知が必要な場合は、この限りではない。)

イ.回収情報の周知方法

ウ.回収先において、回収対象医薬品・医療機器等を受領したことを確認する文書。

エ.回収終了予定日(ただし、回収終了予定日が大幅に遅れる事態が生じた場合は、この限りではない。おおむね一ヶ月以上遅れる場合を報告の目安とする。)

② 回収に着手した時点では想定していなかった健康被害の発生のおそれを知ったとき。

③ その他都道府県薬務主管課等が必要と認め、回収の状況の報告を求めたとき。

ア.第3の1.(3)④に規定する、回収の進捗状況の定期的な報告を求めている場合。

イ.回収が進まないなど状況把握が必要な場合は、都道府県薬務主管課等が個別事情を勘案して指示するものとする。例えば、回収方法ごと(販売店受付、消費者から製造販売業者等の回収受付窓口への受付)の回収数量について報告を求めることで、回収が進まない理由を把握し、回収を進めるためにはどのような回収方法に注力すればよいかを指示するといった場合が考えられる。

(2) 都道府県知事等から厚生労働省への連絡

回収の状況報告については、逐一、監視指導・麻薬対策課宛の報告は不要であるが、インターネット掲載用資料の内容に訂正が発生した場合は、監視指導・麻薬対策課へ電子メールにより連絡すること。

(3) その他留意事項

回収着手報告書において報告した事項に変更が生じた場合、回収の範囲、回収情報の周知方法等を見直す必要がないか、製造販売業者等に確認させること。

第5 回収終了報告

施行規則第228条の22第3項に規定する回収を終了した旨の報告(以下「回収終了報告」という。)は、原則として、文書により行うこと。

(1) 回収終了報告には、以下の事項を記載するよう製造販売業者等を指導すること。

① 既に講じた又は今後講じる改善策の内容

② 回収した医薬品・医療機器等の処分方法

③ 回収した医薬品・医療機器等の数量

(2) 回収終了に係る都道府県知事等から厚生労働省への連絡

製造販売業者等から回収終了報告があった場合、報告を受けた都道府県薬務主管課等は速やかに監視指導・麻薬対策課あてその旨連絡すること。その際、製造販売業者等より提出のあった回収終了報告書の写しを送付すること。

また、当該回収の原因となった製造所が他の都道府県にある場合は、必要に応じて、当該製造所を所管する都道府県薬務主管課へも回収終了報告書の写しを送付すること。

(3) 回収終了の判断について

原則として、市場から回収対象製品が全て回収された時点をもって、回収終了と判断する。ただし、最終消費者への情報提供が必要な場合等、製品の特性、回収理由等を勘案して判断することとする。

埋め込み型の医療機器又は再生医療等製品の使用者に対して患者モニタリングを行う場合は、以下の3点を全て満たした時点で回収終了と判断して差し支えない。

① 医療機関への情報提供が終了していること。

② 患者モニタリングの方法及び計画を策定していること。

③ 検診・点検が実施できないやむを得ない事情がある場合を除き、対象患者全員について、検診・点検を行っていること。

ただし、回収終了とする場合でも、製造販売業者等は、別途、患者の状況について情報収集等することが必要であり、都道府県薬務主管課は、その実施状況等を適宜確認するものとする。

(4) 回収した医薬品・医療機器等の廃棄について

① GQP省令第12条第1号(第21条で準用する場合を含む。)又はQMS省令第72条第2項第6号の規定に基づき、回収した製品は、それ以外の製品と区別して保管すること。医薬部外品(施行令第20条第2項の規定により製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する医薬部外品を除く。)及び化粧品についても、この規定に準じて、回収した製品は、それ以外の製品と区別して保管すること。

② 回収が終了したことを確認するために、回収した製品は回収終了時まで保管し、回収が終了後に廃棄することを原則とするが、回収製品が膨大である場合は、都道府県薬務主管課等の確認を受けた上で適宜廃棄することで差し支えない。

第6 その他の留意事項

1.回収終了とした後でも、未回収製品が医療機関等に存在していることが判明した場合は、未回収製品の使用等が健康被害の原因となる可能性があることから、医療機関等の関係者及び一般使用者に対する迅速な注意喚起並びに回収の徹底を図るよう指示すること。

2.必要に応じ、製造販売業者等が行う改善策の実施状況及び回収した医薬品・医療機器等の処分状況について確認を行うこと。

3.前記のほか、法第69条に基づく製造販売業者等又は製造業者等に対する立入りに当たっては、GQP省令、GMP省令及びQMS省令に基づき回収が適切に行われているかについても確認を行うこと。

第7 平成26年11月25日時点で現に行われている回収の取扱いについて

1.平成26年11月25日時点で現にその製造販売した医薬品・医療機器等の回収に着手している製造販売業者は、平成26年11月25日以降に施行規則第228条の22第2項各号に定める場合に該当したときは、都道府県知事等にその旨及びその内容を報告しなければならない。また、当該回収が終了した場合は、同条第3項の規定に基づき、回収を終了した旨を都道府県知事等に報告しなければならない。

2.平成26年11月25日時点で現に改正法による改正以前の薬事法第19条の2の承認を受けている医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療機器又は改正法附則第37条の規定により医薬品医療機器等法第23条の37の承認を受けたものと見なされた再生医療等製品の回収に着手している外国特例承認取得者は、平成26年11月25日以降に施行規則第228条の22第2項各号に定める場合に該当したときは、都道府県知事等にその旨及びその内容を報告しなければならない。また、当該回収が終了した場合は、同条第3項の規定に基づき、回収を終了した旨を都道府県知事等に報告しなければならない。

3.平成26年11月25日時点で現にその製造した医薬品・医療機器等の回収に着手している輸出用医薬品製造業者は、平成26年11月25日以降に施行規則第228条の22第2項各号に定める場合に該当したときは、都道府県知事等にその旨及びその内容を報告しなければならない。また、当該回収が終了した場合は、同条第3項の規定に基づき、回収を終了した旨を都道府県知事等に報告しなければならない。

(別紙1)

(資料作成年月日)

(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器・再生医療等製品の別)回収の概要

(クラスⅠ・クラスⅡ・クラスⅢの別)

1.一般的名称及び販売名

2.対象ロット、数量及び出荷時期

3.製造販売業者等名称

4.回収理由

5.危惧される具体的な健康被害

6.回収開始年月日

7.効能・効果又は用途等

8.その他

9.担当者及び連絡先

(別紙2)

緊急回収通報発信の対象となる国(平成26年7月時点)

ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン、イギリス、アイスランド、イスラエル、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイス、ウクライナ、カナダ、アメリカ合衆国、アルゼンチン、マレーシア、シンガポール、インドネシア、台湾、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ

(※) 下線:MRA協定に基づき、「医薬品に係る優良製造所基準(GMP)に関する分野別付属書」により適用される医薬品については、平成26年7月以前から、緊急回収通報を発信していた国

PIC/S加盟国(平成26年7月時点)

地域

PIC/S加盟国

欧州

オーストリア、ベルギー、キプロス、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイスランド、アイルランド、イスラエル、イタリア、ラトビア、リヒテンシュタイン、リトアニア、マルタ、オランダ、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロバキア、スロベニア、スペイン、スウェーデン、スイス、ウクライナ、イギリス

北米

カナダ、アメリカ合衆国

中南米

アルゼンチン

アジア

マレーシア、シンガポール、インドネシア、台湾、韓国、日本

オセアニア

オーストラリア、ニュージーランド

アフリカ

南アフリカ

(※) PIC/S加盟国は、以下のホームページで確認できる。

http://picscheme.org/members.php

欧州連合(平成26年7月現在)

ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、フィンランド、スウェーデン、イギリス

(別紙3)

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(別紙4)