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○中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による配偶者支援金支給実施要領の取扱いについて(通知)
(平成26年9月9日)
(社援企発0909第4号)
(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局援護企画課長通知)
(公印省略)
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成25年法律第106号)の施行に伴い、今般、別紙のとおり配偶者支援金支給実施要領の取扱いを定め、平成26年10月1日から施行することとしたので、了知の上、配偶者支援金の支給に遺漏のないよう配意されたい。
中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による配偶者支援金支給実施要領の取扱いについて
目次
[趣旨]
[実施機関]
[支援給付を受ける権利を有する者]
[対象者]
[離婚と復縁]
[別の特定中国残留邦人等と再婚した場合]
[婚姻が成立した時期]
[単身で永住帰国後に配偶者を呼び寄せた場合]
[事実婚の状態となった時期]
[申請]
[本人が提出する書類の省略]
[審査の方法]
[特定配偶者であることを証明する書類]
[事実婚の確認]
[調査権限]
[支給決定]
[収入認定の取扱い]
[趣旨]
問(第1) 配偶者支援金を支給する配偶者を、特定配偶者に限定するのはなぜか。
答 配偶者支援金は、特定中国残留邦人等と長年にわたり労苦を共にしてきた配偶者の老後の生活の安定を図るために支給するものである。
したがって、長期にわたり中国等に残留せざるを得なかった特定中国残留邦人等を中国等において長年支え続けてきた配偶者、つまり永住帰国前から継続して婚姻関係にある特定配偶者を支給対象とするものである。
[実施機関]
問(第2の1) 配偶者支援金支給の実施機関は、被支援者(支援給付を受けている者をいう。以下同じ。)に支援給付を支給する実施機関となっているが、例えば県本庁が県内分一括まとめて、あるいは県地方事務所等がブロックごとにまとめて実施主体となるという扱いは可能か。
答 配偶者支援金は、支援給付受給者のうち配偶者支援金の支給要件に該当する者に対し支給するものであるので、被支援者の状況を最も把握している支援給付の実施機関が実施主体となるのが適当と考えられる。
問(第2の2) 特定中国残留邦人等が死亡した後、特定配偶者が配偶者支援金を申請する前に転居した場合、配偶者支援金支給の実施機関はどこになるのか。
答 転居先の実施機関となる。
問(第2の3) 特定中国残留邦人等の死亡後に特定配偶者が転居し、転居先の実施機関に配偶者支援金申請書を提出した場合、配偶者支援金は転居元の実施機関が支給するのか。
答 申請のあった転居先の実施機関において支給することとされたい。
[支援給付を受ける権利を有する者]
問(第3の1) 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成6年法律第30号。以下「法」という。)第15条第1項の規定中「支援給付を受ける権利を有する特定配偶者」とはどういうことか。支援給付停止中の場合でも配偶者支援金は支給されるのか。
答 「支援給付を受ける権利を有する特定配偶者」とは、当該世帯の収入が継続して生活保護基準を下回るため支援給付を必要とする特定配偶者を意味する。
したがって、一時的に世帯の収入が生活保護基準を上回ったため支援給付が停止となったとしても、継続して生活保護基準を下回る状態となれば、支援給付を必要とすることに変わりはないので、配偶者支援金は支給される。
[対象者]
問(第3の2) 特定中国残留邦人等が永住帰国後に婚姻した配偶者で、中国残留邦人等の円滑な帰国の促進及び永住帰国後の自立の支援に関する法律の一部を改正する法律(平成25法律第106号。以下「平成25年改正法」という。)施行前に支援給付を受給していたが、平成25年改正法施行後に特定中国残留邦人等が死亡した場合、支援給付及び配偶者支援金は支給されるのか。
答 平成25年改正法附則第2条第3項の規定により継続して支援給付は支給される。
特定中国残留邦人等が永住帰国後に婚姻した配偶者は、法第2条第3項の特定配偶者に該当しないため、配偶者支援金は支給されない。
問(第3の3) 特定中国残留邦人等同士の夫婦の場合で、夫婦の一方が死亡した場合、残りの特定中国残留邦人等は配偶者支援金の支給対象になるか。
答 法第2条第3項において「特定中国残留邦人等以外の者に限る。」とされており、特定配偶者には該当しないため、配偶者支援金の支給対象にはならない。
問(第3の4) かつて配偶者単身世帯として支援給付を受給していたが、就労に伴い収入額が基準額を超えたため廃止となった者が、離職により再度収入が基準額以下になった場合、配偶者支援金の支援対象になるか。
答 配偶者単身世帯の支援給付が廃止になった場合、生活保護法(昭和25年法律第144号)の基準に継続して不足していることに該当しないことから、再度支援給付の支給対象とはならず、支援給付を受ける権利を有していない。したがって、配偶者支援金の支給対象とはならない。
[離婚と復縁]
問(第3の5) 永住帰国前から婚姻関係にあった配偶者で、永住帰国後に離婚したが、その後復縁した場合、支援給付及び配偶者支援金の対象となるか。
答 復縁の時期が平成25年改正法施行前であれば、支援給付の対象となるが、継続した婚姻関係が認められないため特定配偶者に該当せず、配偶者支援金は支給されない。
なお、復縁の時期が平成25年改正法施行後であれば、支援給付及び配偶者支援金のいずれも支給の対象とならない。
[別の特定中国残留邦人等と再婚した場合]
問(第3の6) 永住帰国前に婚姻している配偶者で、平成25年改正法施行時に夫婦世帯で支援給付を受けていたが、その後、特定中国残留邦人等が死亡し、別の特定中国残留邦人等と再婚した場合、支援給付及び配偶者支援金の支給対象となるか。
答 再婚相手が別の特定中国残留邦人等であった場合でも、永住帰国後に婚姻した者は特定配偶者に該当せず、また、平成25年改正法附則第2条の要件も満たさないため、支援給付及び配偶者支援金の支給対象にはならない。
設問の例と異なり、永住帰国後であって平成25年改正法施行前に別の特定中国残留邦人等と再婚した場合には、配偶者支援金の対象とはならないが、平成25年改正法附則第2条第1項(再婚相手の特定中国残留邦人等が死亡した後は、同条第3項)の規定により支援給付の支給対象となる。
[婚姻が成立した時期]
問(第3の7) 永住帰国前から継続して当該特定中国残留邦人等の配偶者である者について、具体的にいつの時点で婚姻が成立している必要があるのか。
答 永住帰国日の前日までに婚姻が成立している必要がある。
[単身で永住帰国後に配偶者を呼び寄せた場合]
問(第3の8) 中国において婚姻中の者と婚姻を継続したまま、事情により配偶者は同伴せず本人単身(又は子供世帯と同伴)で永住帰国した者について、後に当該配偶者を日本に呼び寄せた場合の配偶者は対象になるか。
答 永住帰国日の前日までに婚姻が成立し、その後も継続していることから、対象になる。
[事実婚の状態となった時期]
問(第3の9) 永住帰国前から継続して事実婚の状態にあったが、平成25年改正法施行後に入籍した場合は、特定配偶者に該当するか。
答 永住帰国前からの事実婚の状態が確認されれば入籍の有無にかかわらず、該当する。
問(第3の10) 特定中国残留邦人等が永住帰国後に、事実婚の状態となった配偶者が、平成25年改正法施行前に入籍した場合は、特定配偶者に該当するか。
答 事実婚の状態が永住帰国後からであることが確認されれば、平成25年改正法施行前後、入籍の有無にかかわらず、特定配偶者には該当しない。
[申請]
問(第4の1) 「中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律による配偶者支援金支給実施要領」(平成26年9月9日付け社援発0909第6号社会・援護局長通知。以下「局長通知」という。)第6の4にいう「やむを得ない事情」とは、どのような場合をいうか。
答 やむを得ない事情の例としては、特定配偶者が単身で中国へ渡航中に、在日の特定中国残留邦人等が死亡したが、特定配偶者が急病のため長期入院したため帰国できず配偶者支援金を申請ができなかった場合、夫婦で中国へ渡航中に、特定中国残留邦人等が死亡し、その事後処理のために帰国できなかった場合等が考えられる。
なお、やむを得ない事情がやんだ後は速やかに申請するよう指導していただきたい。
問(第4の2) 既に特定中国残留邦人等が死亡しており、平成25年改正法施行日(平成26年10月1日)において要件を満たす申請者が、法施行日前後に海外渡航のため申請できない場合の取扱いについて示されたい。
答 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成6年厚生省令第63号。以下「改正省令」という。)公布後に申請できることとしているので(改正省令附則第2条)、海外渡航する前に申請するようあらかじめ指導されたい。
問(第4の3) 対象者が認知症等により申請能力がない場合は、代理人による申請は可能か。
答 配偶者支援金はあくまでも本人からの申請に基づき支給されるものであるが、その場合は、法第15条第3項において準用する第14条第4項の規定によりその例によることとされた生活保護法第7条又は第25条の規定により、その扶養義務者又はその他の同居の親族による申請又は同条但し書きに基づく職権による支給とされたい。
問(第4の4) 本人からの申請によらず、実施機関において職権により配偶者支援金の支給を決定して差し支えないか。
答 申請者が急迫状況にある場合等を除き、あくまで自らの意思で申請することが必要である。
[本人が提出する書類の省略]
問(第4の5) 実施機関保有資料により支給要件が確認できれば、本人が提出する書類を省略することは可能か。
答 実施機関で保管する問第5の2で示した書類で確認できれば、省略することは可能である。なお、確認内容については確実に記録に残すようお願いする。
[審査の方法]
問(第5の1) 配偶者支援金の支給申請があった場合、具体的にどのような審査をすればよいか。
答 特定配偶者の要件に該当しているかについて確認する必要があることから、以下について審査確認されたい。
なお、以下②は局長通知第5の3により確認されたい。
① 特定中国残留邦人等の死亡が事実であること
② 申請者が支援給付を受ける権利を有する者であること
③ 死亡した当該特定中国残留邦人等との婚姻成立日が永住帰国日の前日以前であること
④ 当該婚姻成立日から継続して婚姻関係にあること
なお、永住帰国日が不明な場合は、調査対象者(特定中国残留邦人等)の
ア.氏名(日本名及び中国名)
イ.生年月日
ウ.永住帰国当時の住所(本人又は関係者による申立てで可)
エ.永住帰国した時期(本人又は関係者による申立てで可)
を記して厚生労働省に文書(様式は任意)により照会されたい。
また、婚姻年月日については原則戸籍により確認されたい。戸籍によっても確認できず、当局保管の問第5の2に掲げる資料の調査を必要とする場合は、さらに次の事項を追加して照会されたい。
オ.申請者(配偶者)の氏名
カ.申請者(配偶者)の生年月日
[特定配偶者であることを証明する書類]
問(第5の2) 改正省令第18条の7の2第2項に規定する「特定配偶者であることを証明する書類」とはどのようなものか。
答 特定配偶者とは、死亡した特定中国残留邦人等と永住帰国前から継続して婚姻関係にある者であることから、婚姻年月日及び特定中国残留邦人等の永住帰国日の確認できる書類が必要となる。
婚姻年月日及び継続して婚姻関係にあるか否かを確認する書類は戸籍である。
特定中国残留邦人等の永住帰国日を確認する書類は引揚証明書、自立支度金支給決定通知書又は永住帰国者証明書である。これらに準ずるものとしては、永住帰国旅費支給決定通知書又は一時帰国旅費支給決定通知書がある。
上記の方法により、特定配偶者であることが確認できないケースについては、個別に厚生労働省に問い合わせされたい。
[事実婚の確認]
問(第5の3) 事実婚についてはどのように確認すればよいのか。
答 事実婚関係にある者とは、いわゆる内縁関係にある者で、内縁関係とは、婚姻の届出は行われていないが、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係をいい、次の要件を備えることを要する。
① 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があること。
② 当事者間に、社会通念上、夫婦の共同生活と認められる事実関係が存在すること。
以上を踏まえ、申請者から提出された申立書及び申請者からの事情聴取等により、事実関係の存在の有無を確認の上判断されたい。
(参考)
生計維持関係等の認定基準及び認定の取扱いについて(平成23年3月23日年発第0323第1号日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知)5 事実婚関係
[調査権限]
問(第5の4) 配偶者支援金の支給要件を確認するにあたっての実施機関の調査権限の根拠は何か。
答 法第15条第3項において準用する第14条第4項の規定によりその例によることとされた生活保護法第29条である。
[支給決定]
問(第6の1) 審査に時間を要する場合、支給決定通知はいつまでにしなければならないか。
答 法第15条第3項において準用する第14条第4項の規定によりその例によることとされた生活保護法第24条の規定により、支給決定通知は14日以内(特別な理由がある場合は30日まで延長可。その場合は通知書にその理由を明示しなければならない。)にしなければならない。
問(第6の2) 配偶者支援金支給決定通知について、支援給付の決定通知書の様式内に配偶者支援金の支給決定通知の項目を設けることにより、支給決定通知書とすることは可能か。
答 配偶者支援金の支給決定について明記されていれば差し支えない。
なお、その際の様式については、中国残留邦人等に対する支援給付事務取扱細則準則について(平成26年9月9日社援発0909第7号)第17号の2に例示しているので参考にされたい。
問(第6の3) 支給開始日は具体的にいつからになるのか。
答 配偶者支援金は、死亡した残留邦人本人の老齢基礎年金が支給されなくなった月から支給するので、
① 法施行前から配偶者単身世帯として支援給付を受給していた対象者
法施行月から支給
② 法施行後に対象者となった者
特定中国残留邦人等本人が死亡した翌月から支給(老齢基礎年金は死亡した当月は支給されるため。)
となる。
問(第6の4) 月の途中で対象者となった場合、その月の支給額は日割計算するのか。
答 老齢基礎年金は、月の途中で死亡しても当該月分は全額支給されるため、配偶者支援金はその翌月から支給することになり、日割りで支給することはない。
問(第6の5) 月の途中で支給要件を喪失した場合(死亡、再婚等)、日割計算するのか。また、既に支給した場合、返還を求めるのか。
答 日割計算はしない。また、その月の配偶者支援金の返還を求めることはない。
問(第6の6) 配偶者支援金を受給している被支援者が、月の途中で実施機関を移管した場合の支給額は、実施機関に属する日数に応じて日割計算するのか。
答 日割計算はしない。月の初めに属する実施機関において支給するものとする。月の途中で複数の実施機関を移管した場合も同様である。
問(第6の7) 配偶者支援金を支援給付と合算して支給することは可能か。
答 可能であるが、支給決定通知書において、配偶者支援金の額と支援給付の額がそれぞれ明記されていることが必要である。
問(第6の8) 老齢基礎年金の額が改定された場合、配偶者支援金の額はいつから変更になるのか。(改定になった月からなのか、年金の受給月と同じく2ヶ月後になるのか。)
答 老齢基礎年金の額が改定された月から変更となる。
問(第6の9) 配偶者支援金の端数処理はどうするのか。
答 1円未満切り捨てとする。
問(第6の10) 配偶者支援金は返還の対象となるか。
答 法第15条第3項において準用する第14条第4項の規定によりその例によることとされた生活保護法第63条、第77条及び第78条に基づき、返還の対象となる場合がある。
問(第6の11) 配偶者支援金が支給されなくなる場合とはどういった場合か。
答 支援給付を受給する権利を失った場合である。
具体的には、当該被支援者の属する世帯の収入が最低生活費を上回る場合(ただし、一時的なものを除く。)、被支援者が婚姻をした場合又は被支援者が死亡した場合である。
なお、平成25年改正法施行後は、再婚相手が特定中国残留邦人等であっても、支援給付の支給対象とはならない(特定配偶者の要件を満たさず、平成25年改正法附則第2条の要件も満たさない)。
問(第6の12) 医療支援給付単給といった場合においては、その月の医療費等の額によっては、支援給付が支給されない月があり得るが、その場合の取扱いについて示されたい。
答 継続して支援給付を受ける権利を有することから、配偶者支援金については支給することとなる。
[収入認定の取扱い]
問(第7の1) 配偶者支援金は収入認定するのか。
答 配偶者支援金は、配偶者のおかれた特別な事情に配慮してその生活の安定のために支給するものであることから、収入認定しない。(改正省令第18条の2第1項第3号ヘ参照)
問(第7の2) 配偶者支援金は課税対象となるのか。
答 法第16条第2項の規定により、租税その他の公課を課すことができないこととされている。