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○児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部改正の取扱いについて

(平成26年9月5日)

(雇児発0905第5号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

保育行政の推進については、かねてより格別の御配慮をいただいているところであるが、平成26年4月30日に、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部を改正する省令」(平成26年4月30日厚生労働省令第62号)(以下「改正省令」という。)を公布したところである。

今般の改正省令改正の内容については、「子ども・子育て支援新制度に係る児童福祉施設の設備及び運営に関する基準の一部改正について」(平成26年雇児発0905第4号厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)に記されているもののほか、別紙のとおり取扱うこととしているので、関係方面へ周知いただくとともに、運用に遺漏なきよう御配慮願いたい。

なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に規定する技術的な助言である。

(別紙)

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(別添)

保育室等を高層階に設置するに当たって事前に検討すべき事項

高層・複合ビルの場合、地上まで乳幼児を避難させることが困難な場合があり、階段室等において他の入居者と合流し、迅速な避難が妨げられる可能性もあることから、保育所の高層階への設置に当たっては、事前に以下の事項について検討を行うこと。

また、以下に掲げた事項のほか、保育室等を設置する建物の場所や他の入居者などといった当該建物の特性、保育室等を何階に設置するかなどを考慮して、消防署等の関係機関と調整の上、乳幼児の安全が確保されるよう検討を行うこと。

[1.保育所を高層階に設置する場合の検討事項]

① 当該建物内において乳幼児や避難誘導のための保育士等が安全に待避し、外部からの救助を待つことができる広さのスペースが確保できること。

※ 外部からの救助を待つことができるスペースとしては、避難階段前の付室や、区画された部屋、保育室とは別の階の外気に接することのできるような安全なスペースが考えられる。

② 複合ビルの場合には他の入居者と別の階段が使えるようにしておくなど、乳幼児が安全に避難できる階段を事前に確認しておくこと。

[2.階段等の設置に関する検討事項]

① 乳幼児が安全かつ円滑に降りることができるよう、階段室の手すりの高さや大きさ、階段の蹴上げの高さ等に留意するとともに、乳幼児が恐怖心を覚えないよう、下が見えないよう素通し防止を図ることが望ましいこと。

② 保育室等を4階以上に設置する場合における特別避難階段及び特別避難階段に準じた屋内避難階段については、バルコニー又は外気に向かって開くことができる窓若しくは排煙設備を有する付室を通じて屋内と階段室とを連絡するとともに、バルコニー及び付室については乳幼児が安全に一定時間待避できるよう十分な広さを確保することが必要であること。

[3.災害への備えと避難訓練の実施]

(1) 災害への備え

① 火災や地震等の災害発生に備え、消防計画を策定し、消防署に届け出るとともに、避難・消火訓練の実施、職員の役割分担の確認、緊急時の対応等について、マニュアルを作成し、その周知を図ること。

② 災害時には通常と異なる経路を使って避難する可能性もあることから、最終避難場所や子どもの保護者への引き渡し場所をあらかじめ決めておき、保護者への周知を図ること。

③ 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年12月29日厚生省令第63号)においては、避難・消火訓練は、少なくとも毎月1回は行わなければならないとされており、各地方自治体の条例に基づき、定期的に避難及び消火に対する訓練を確実に実施すること。

④ 消防法(昭和23年7月24日法律第186号)の改正により、平成26年4月1日から、保育所が入居する3階以上の建物で、その管理について権原が分かれているもののうち「建物全体の収容人員が30名以上となるもの」は、建物全体の防火管理業務を統括する「統括防火管理者の選任・届出」や「建物全体の消防計画の作成」の義務化など、防火管理体制が強化されることとなっていることから、建物全体の防火管理体制の構築に積極的に参加する必要があること。

(2) 避難訓練の実施

① 避難・消火訓練計画を策定するに当たっては、実際に火災や地震等が発生した場合を想定するとともに、実際の保育士人数や保育所の設置階を踏まえた、実用性の高いものとすること。

特に、早朝、夜間やお昼寝の時間など、人員体制が手薄であったり、避難に時間がかかったりする時間帯に火災や地震等が発生した場合も想定すること。

また、通常、保育所においてはクラス別(日常的に保育を行っている単位別)に保育士等が介助し、避難誘導を行い、避難中の人数確認も必要であるため、その分避難時間が長くなることにも留意すること。

② 避難訓練を実施する際には、園児及び保育士等が実際に避難に利用するルートを使うとともに、人員体制が手薄な場合や避難に時間がかかる場合を想定して訓練を行うこと。

また、消防署や近隣の地域住民、同じビルの他の入居者、家庭と連携した訓練も行うこと。

※ 円滑な避難のためには、近隣の地域住民や同じビルの他の入居者と乳幼児が日頃から顔見知りになっておくことも重要。

③ 避難経路については、乳幼児が慣れている日常動線による避難が望ましいが、非常用階段の利用についても日頃の訓練等を通じて慣れておくこと。また、高層階で非常用エレベータが設置されている場合には、非常用エレベータによる消防隊の救助を考慮に入れた避難計画の検討も考えられること。

④ 外部からの救助を待つことができるスペースについて、当該スペースへの待避を想定した避難・消火訓練を実施しておくこと。また、当該スペースについて、乳幼児が安全に待避できるように日頃から管理しておくこと。

⑤ 階段室に排煙設備を設置する場合には、訓練の際に当該排煙設備を動かすなど、非常時に使用する設備や器具について、日頃の訓練において有効に機能するか確認をしておくこと。

⑥ 階段室の手前で乳幼児が滞留してしまわないよう、円滑な避難ができるようにすること。

※ 例えば、年齢の高い乳幼児から避難させるなど、避難の順番を工夫することも考えられる。