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○薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の改正について

(平成26年8月27日)

(薬食監麻発0827第4号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)

(公印省略)

「薬事法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第84号、以下「改正法」という。)が平成25年11月27日に、「薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令」(平成26年政令第269号、以下「整備政令」という。)及び「薬事法等の一部を改正する法律及び薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等及び経過措置に関する政令の施行に伴う関係省令の整備等に関する省令」(平成26年厚生労働省令第87号、以下「整備省令」という。)が平成26年7月30日にそれぞれ公布され、医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準への適合性に係る調査(以下「調査」という。)は、従前の製造所ごとの調査に代わり、製品に係る製造販売業者及び全ての登録製造所を含む品質管理監督システムごとに調査を行う新たな規制体系が適用されることとされました。これを受け、平成26年8月12日薬食発0812第1号医薬食品局長通知「薬事法等の一部を改正する法律の施行に伴う医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令の改正並びに関係省令及び告示の制定及び改廃等について」が発出されたところですが、貴職におかれては、その具体的運用等として下記事項に御留意の上、関係団体、関係機関等に周知徹底を図るとともに、適切な指導を行い、その実施に遺漏ないようお願いします。

なお、この通知において、改正法による一部改正の前の「薬事法」(昭和36年法律第145号)を「旧法」と、改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を「新法」と、整備政令による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令」(昭和36年政令第11号)を「施行令」と、整備省令による改正後の「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則」(昭和36年厚生省令第1号)を「規則」と、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第135号)を「GVP省令」と、「医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第136号)を「GQP省令」と、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第169号)を「QMS省令」と、それぞれ略称します。

目次

第1 改正の要旨

第2 承認又は認証時の適合性調査について

第3 適合性評価について

第4 輸出用医療機器の適合性調査について

第5 69条調査について

第6 逐条解説

第1 改正の要旨

1.改正法において医療機器及び体外診断用医薬品(以下、「医療機器等」という。)の特性を踏まえて、従前の製造所ごとの調査を改め、製品の製造工程全体を一つの単位として調査し、当該製品についての製造管理及び品質管理の方法の基準への適合性を確認することとすること等の制度の見直しが行われたことを踏まえ、QMS省令において、製品の製造管理及び品質管理を行うべき者を、製造業者から製造販売業者等(医療機器等の製造販売業者(選任外国製造医療機器等製造販売業者及び選任外国指定高度管理医療機器製造販売業者(以下「選任外国製造医療機器等製造販売業者等」という。)を除く。)、外国製造医療機器等特例承認取得者及び外国指定高度管理医療機器製造等事業者)としたこと。

また、これに伴い、薬局等構造設備規則(昭和36年厚生省令第2号)における医療機器等の製造所に係る構造設備の規定及びGQP省令における医療機器等の品質管理に係る規定を削除したこと。

2.QMS省令第2章については、ISO13485:2003の各条項と整合した規定とするとともに、第3章において品質情報の管理、回収処理等、国内における医療機器等の製造管理及び品質管理の確保の観点から必要な規定について、第4章において生物由来医療機器等の製造管理及び品質管理について、第5章において放射性体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理について規定したこと。

3.QMS省令第6章においては、輸出用医療機器等の製造所及び製造販売業者等が工程の外部委託等を行う医療機器等の登録製造所(新法第23条の2の3第1項及び第23条の2の4第1項に規定する製造所をいう。以下同じ。)における製造管理及び品質管理について、それぞれ第2章から第5章までの規定(一部の規定を除く。)を準用することとしたこと。

4.製造販売業者等は、工程を外部委託等する医療機器等の登録製造所の製造管理及び品質管理が適切に実施されていることについて、必要な確認を行わなければならないこととしたこと。

第2 承認又は認証時の適合性調査について

1.医療機器等の承認又は認証(以下「承認等」という。)を受けようとする者又は承認等を受けた者(外国製造医療機器等の製造販売の承認を受けようとする者又は外国製造医療機器等製造販売承認取得者を含む。以下「適合性調査申請者等」という。)は、承認等を受けようとするとき、承認等された事項の一部を変更しようとするとき(軽微な変更及び製品の製造管理又は品質管理の方法に影響を与えない変更を除く。以下「一変時」という。)及び承認等の取得後5年ごとに、その医療機器等の製造管理及び品質管理の方法がQMS省令の規定に適合しているかどうかについて、製造販売業者の事務所、当該医療機器等を製造する登録製造所その他の関係事業所を対象とした適合性調査を受けなければならないものであること。(新法第23条の2の5第6項及び第11項、新法第23条の2の17第5項、新法第23条の2の23第3項及び第6項関係)

2.適合性調査の合理化の一環として、新たに「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の5第7項第1号に規定する医療機器又は体外診断用医薬品の区分を定める省令」(平成26年厚生労働省令第95号、以下「製品群省令」という。)を公布し、医療機器等の構造、機能、製造工程等の特性を踏まえ、医療機器等を製品群(製品群としてまとめられないものは、一般的名称ごと)に区分し、同一の区分(以下「製品群区分」という。)に属する医療機器等について、一定の条件下で適合性調査を受けることを要しない規定が設けられたこと。なお、一部のリスクの高い医療機器等については、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第23条の2の5第7項第1号に規定する医療機器又は体外診断用医薬品の区分を定める省令第2条第1項の規定に基づき品目ごとに調査を行うべきものとして厚生労働大臣が指定する医療機器又は体外診断用医薬品」(平成26年厚生労働省告示第317号)により、品目ごとに適合性調査を要するものとして告示したこと。

3.厚生労働大臣(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)に審査等を行わせることとした場合は、PMDA。以下第2において同じ。)又は登録認証機関は、適合性調査の結果、医療機器等に係る製造管理及び品質管理の方法がQMS省令の規定に適合していると認める場合にあっては、適合性調査申請者等に対し、次の事項を証明する基準適合証を交付するものであること。なお、当該基準適合証の有効期間は5年間とし、新法第23条の4第2項第2号に該当することによる医療機器等の認証の取消し、新法第72条第2項の規定による製造管理又は品質管理の方法の改善命令等の処分を受けた場合には、速やかに、当該医療機器等のQMS省令への適合性を証明する基準適合証を返還しなければならないこととしたこと。(新法第23条の2の6、新法第23条の2の24関係)

(1) 当該医療機器等の製造管理及び品質管理の方法がQMS省令の規定に適合していること。

(2) 当該医療機器等の全ての登録製造所と同一の登録製造所(滅菌又は最終製品の保管のみを行う登録製造所(以下「滅菌等製造所」という。)のみが異なる場合(複数の工程を併せ行う登録製造所について、滅菌又は最終製品の保管に係る工程のみが異なる場合を含む。)を除く。)で製造される、同一の製品群区分に属する医療機器等の製造管理及び品質管理の方法がQMS省令の規定に適合していること。

4.適合性調査申請者等は、3.(2)に掲げる同一の製品群区分に属する医療機器等について適合性調査を受ける必要がある場合において、有効な基準適合証を有するときは、当該適合性調査を受けることを要しないものであること。(新法第23条の2の5第7項、新法第23条の2の23第4項関係)

5.4.の場合にかかわらず、厚生労働大臣又は登録認証機関は、必要と認める場合には適合性調査(以下「追加的調査」という。)を行うことができるものとし、この場合において、適合性調査申請者等は当該調査を受けなければならないものであること。(新法第23条の2の5第8項、新法第23条の2の23第5項関係)

6.追加的調査は、次の場合に行うものであること。厚生労働大臣又は登録認証機関は、追加的調査を行ったときは、その結果を証するものとして追加的調査結果証明書を交付するものであること。(規則第114条の33(規則第118条で準用する場合を含む。)関係)

(1) 承認等に係る医療機器が、次のイ.からヘ.までのいずれかに該当するものである場合(ただし、当該医療機器に適用可能な基準適合証が発行されており、かつ、当該医療機器と同じイ.からヘ.までの区分について、当該基準適合証と同一製品群区分・同一登録製造所の医療機器に係る適合性調査又は追加的調査が行われていない場合に限る。)

イ.原材料の一部として医薬品又は再生医療等製品が組み込まれたもの

ロ.特定生物由来製品

ハ.製造工程においてナノ材料(縦又は横の長さ若しくは高さが1ナノメートル以上100ナノメートル以下の物質から成る材料をいう。以下同じ。)が使用されるもの

ニ.マイクロマシン(当該医療機器又は体外診断用医薬品が電気その他のエネルギーを利用するものであって、その直径が3ミリメートル以下であり、かつ、その部品の直径が1ミリメートル以下であるであるものをいう。以下同じ。)

ホ.当該医療機器の全てが、最終的に人体に吸収されることが想定されるもの(ロに掲げるものを除く。)

ヘ.特定医療機器

(2) 承認等に係る医療機器が、次のイ.からニ.までの全てに該当するものである場合

イ.滅菌医療機器(製造工程において滅菌される医療機器をいう。)であること。

ロ.当該医療機器について有効な基準適合証が交付されていること。

ハ.当該医療機器の滅菌の方法が、ロ.の基準適合証に係る医療機器等適合性調査等を受けた医療機器の滅菌の方法と異なるものであること。

ニ.当該医療機器の滅菌を行う登録製造所が、過去5年以内に、当該医療機器の滅菌の方法と同一の滅菌の方法についてQMS調査に適合していないこと。

(3) 承認等に係る体外診断用医薬品が、次のイ.からハ.までのいずれかに該当するものである場合(ただし、当該体外診断用医薬品に適用可能な基準適合証が発行されており、かつ、当該体外診断用医薬品と同じイ.からハ.までの区分について、当該基準適合証と同一製品群区分・同一登録製造所の体外診断用医薬品に係る適合性調査又は追加的調査が行われていない場合に限る。)

イ.生物由来製品

ロ.製造工程においてナノ材料が使用されるもの

ハ.マイクロマシンであるもの

(4) 承認等に係る医療機器等の登録製造所が、当該医療機器等について有効な基準適合証に記載された登録製造所のうち滅菌等製造所のみが異なる場合において、当該承認等に係る医療機器等の滅菌等製造所について過去5年以内にQMS調査に適合していない場合。

(5) 医療機器等の承認等の承継を受けた者が当該医療機器等に係る基準適合証(申請者欄に承継をした者の氏名等が記載されているもの)と同一製品群・同一登録製造所の医療機器等について適合性調査を受けなければならないときに、当該基準適合証を初めて活用しようとする場合。(2回目以降は、追加的調査結果証明書が発行されているため、改めて追加的調査を受ける必要はないものであること。)

(6) その他厚生労働大臣又は登録認証機関が必要と認める場合

7.6.(1)及び(3)に係る医療機器等について承認等に係る適合性調査を行ったときは、厚生労働大臣又は登録認証機関は、基準適合証の交付に際し、当該医療機器等の特性に応じて必要な区分の調査を行った旨を示す書面として別添様式による書面を添えるものとすること。(規則第114条の34第2項関係)

8.承認等の取得後5年ごとに受けるべき調査については、申請者の判断により、調査実施者と相談の上、本来調査を受けるべき期日を経過しない範囲で適時、調査申請を行うことができること。この場合において、調査申請は、本来調査を受ける期日が最も早い品目を承認又は認証した調査実施者に申請することが望ましい。なお、当該調査を受けない場合は、その承認又は認証が取り消され、又は改善等の命令を命ぜられることがあること。

9.改正法附則第8条又は第18条の規定により新法の承認を受けたとみなされた医療機器等については、同条に規定する残存期間の終了(施行後最初に迎える承認等を受けた日から5年ごとの調査を受けるべき日を指し、適合性調査結果の通知の日から5年を経過した日ではないことに留意すること。)までに、新法に基づく調査を受けなければならないものであること。この場合において、改正法の施行の日から1年以内に当該残存期間が終了するものについては、施行の日から1年以内の間に調査申請を行い、当該残存期間の終了日から1年以内に基準に適合する旨の結果が得られた場合にあっては、新法に基づく必要な調査を受けたものとみなすこと。また、旧法第23条の2第1項の認証を受けたものについて、改正法施行日から1年以内に同条第3項に規定する期間の終了を迎えるものについても、これと同様に取り扱うものとすること。

第3 適合性評価について

1.QMS省令の規定への適合状況については、製造販売業者の事務所、登録製造所及びその他の関係施設を含む製品ごとの品質管理監督システム全体を一つの単位として評価を行うこと。

2.適合状況については、調査対象者(各調査対象施設に係る品質管理監督システムを運用する者をいう。以下同じ。)ごとに、別途定める調査要領を踏まえ評価することとし、評価結果については、調査対象者に対しその評価理由を説明し、調査対象者からの意見等を十分聴取した上で決定すること。

3.製造販売業者等による製品の製造管理及び品質管理の方法が新法第23条の2の5第2項第4号又は新法第23条の2の23第2項第5号に該当するか否かの判断は、製品に係る個々の調査対象者の適合状況を踏まえた上で、各調査対象者による各施設の管理状況及び相互の連携状況を勘案して行うものとすること。

第4 輸出用医療機器等の適合性調査について

1.輸出用の医療機器等の製造業者は、新法第23条の2の5第1項に規定する医療機器等について、外国政府又は国際機関からQMS省令の規定に適合しているかどうかの証明を求められたときは、当該医療機器等の製造所における製造管理及び品質管理の方法がQMS省令の規定に適合しているかどうかについて、製造しようとするとき及び製造開始後5年ごとに適合性調査を受けなければならないものであること。(新法第80条第2項、施行令第73条の2関係)

2.輸出用の医療機器等に係る適合性調査については、当該医療機器の製造所単位でQMS省令の規定への適合状況を確認するものであること。

3.旧法第80条第1項の規定による適合性調査を受けた輸出用の医療機器等については、同条に規定する残存期間の終了までに、新法に基づく調査を受けなければならないものであること。(改正法附則第57条関係)

この場合において改正法の施行の日から1年以内に当該残存期間が終了するものについては、施行の日から1年以内の間に調査申請を行い、当該残存期間の終了日から1年以内に基準に適合する旨の結果が得られた場合にあっては、新法に基づく必要な調査を受けたものとみなすこと。

第5 69条調査について

1.厚生労働大臣は、厚生労働省令で、医療機器等の製造管理又は品質管理の実施方法その他医療機器等の製造販売業者及び製造業者が遵守すべき事項を定めることができるとされていることを踏まえ、次のとおり遵守事項が定められたものであること。(新法第23の2の15第1項及び第2項関係)

(1) 製造販売業者等は、その製造販売する医療機器等の製造管理又は品質管理の方法をQMS省令に適合させなければならないこと。(規則第114条の58第1項関係)

(2) 医療機器等の選任外国製造医療機器等製造販売業者等、製造業者(輸出用の医療機器等のみを製造する者を除く。)又は登録医療機器等外国製造業者は、医療機器等の取扱い又は製造に当たり、当該医療機器等に係る製造販売業者等が行う製造管理及び品質管理に協力しなければならないこと。(規則第114条の58第2項関係)

2.全ての医療機器等に係る製造管理及び品質管理の方法について、QMS省令が基準として適用されるが、「医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令第6条第1項の規定に基づき製造管理又は品質管理に注意を要するものとして厚生労働大臣が指定する一般医療機器」(平成26年厚生労働省告示第316号)で指定された一般医療機器以外の一般医療機器(以下「限定一般医療機器」という。)に係る製品及び限定一般医療機器に係る製品のみを製造販売する第三種医療機器製造販売業者(以下「限定第三種医療機器製造販売業者」という。)については、QMS省令の一部の条項が適用されないこと。(別添参照)

3.製造販売業者及び製造業者のQMS省令への適合状況は、新法第69条の規定に基づく調査(以下「69条調査」という。)の対象となり得るものであること。

4.登録製造所その他の関係事業所について実地調査が必要な場合であって、当該登録製造所の登録を行う者又はその他の施設の所在地を所管する都道府県知事が製造販売業許可権者以外の者である場合にあっては、調査対象製造所等を所管する都道府県と協議の上、実地調査を依頼するほか、新法第69条の2第2項の規定によりPMDAに立入検査等を依頼することが可能であること。なお、承認等に係る製品については、基準適合証又は適合性調査結果通知書を利用し、登録製造所の基準適合状況を把握するとともに、認証に係る製品については、新法第69条第5項の規定により、登録認証機関に対して、基準適合性認証の業務に関し、報告を求めることも可能であること。

5.69条調査における製品の適合性の評価については、第3に準じて行うものとすること。

第6 逐条解説

1.第1条(趣旨)について

(1) 改正QMS省令が、法第23条の2の5第2項第4号(第23条の2の17第5項において準用する場合を含む。)及び法第80条第2項に規定する医療機器等の製造管理又は品質管理の方法の基準として定められたものであることを明示したものであること。

2.第2条(定義)について

(1) 「製造販売業者等」とは、医療機器等の製造販売業者(法第23条の2の17第4項に規定する選任外国製造医療機器等製造販売業者及び法第23条の3第1項の規定により選任された選任外国指定高度管理医療機器等製造販売業者を除く。)、法第23条の2の17第4項に規定する外国製造医療機器等特例承認取得者又は法第23条の2の23第1項に規定する外国指定高度管理医療機器製造等事業者をいうものであること。この定義中、製造販売業者等に含まれない「選任外国製造医療機器等製造販売業者」及び「選任外国指定高度管理医療機器等製造販売業者」については、この省令の規定に従って行う業務のうち、少なくとも第72条の3に規定する業務を行うものであること。

(2) 「製品」とは、構成部品等からなり、製造所の製造工程を経た物(製造の中間工程で造られたものであって、以後の製造工程を経ることによって製品となるもの(以下「中間製品」という。)を含む。以下同じ。)又は法第2条第13項に規定する医療機器プログラムをいうものであること。

(3) 「構成部品等」とは、製造工程において使用される部品、組立品(製品に使用されるものに限る。)、原料、材料、容器、被包、表示物(添付する文書を含む。)等であって、製品の一部となるもの及び製品のソフトウェア(製品が法第2条第13項に規定する医療機器プログラムである場合を除く。)をいうものであること。この定義中、「表示物」とは、法第50条又は第63条に規定する事項を記載したラベル及び法第52条若しくは法第63条の2に規定する事項を記載した添付する文書等を指すものであること。

(4) 「製造用物質」とは、製造工程において中間製品に使用される物(製品の一部となるものを除く。)をいうものであること。具体的には、洗浄水、溶剤、離型剤、滅菌用エチレンオキサイドガス等のように工程中で揮散、抜去される物質が該当するものであること。

(5) 「ロット」とは、一の製造期間内に一連の製造工程により均質性を有するように製造された製品、製造用物質及び構成部品等の一群をいうものであること。具体的には、本質的に同一の条件下において、所定の限度内で均一な特性及び品質を有するように製造された製品等をいう。製品や構成部品等1台(個)で1ロットという場合も考えられうること。ロットを「バッチ」という場合もある。

(6) 「施設」とは、品質管理監督システムに含まれる製品実現(開発から出荷及びこれに附帯するサービスの提供までに行われる一連の業務をいう。以下同じ。)に係る施設(製造所を含む。)をいうものであること。具体的には、製造販売業者等の品質管理監督システムにより管理監督される、医療機器等の設計、購買、製造及びサービス提供、設置、附帯サービス、包装、保管等の業務を行う施設をいうものであり、法第23条の2の3又は第23条の2の4に規定する登録が必要な製造所に限定されないものであること。ただし、第5条の5第1項の規定に基づき工程を外部委託する事業所又は第38条第1項第2号に規定する購買物品等の供給者の事業所はこれに含まれないものであること。

(7) 「バリデーション」とは、施設の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることをいうものであること。例えば、第35条第1項の設計開発バリデーションとは、期待される品質、安全性、性能等を有する製品が設計開発されていることを確認し、これを文書とすることをいうものであること。

(8) 「工程入力情報」とは、ISO 13485:2016の「input」に相当するものであり、ある工程を実施するに当たって提供される、製造管理及び品質管理のために必要な情報等をいうものであること。

(9) 「工程出力情報」とは、ISO 13485:2016の「output」に相当するものであり、ある工程を実施した結果、得られる情報等をいうものであること。

(10) 「管理監督者」とは、ISO 13485:2016の「top management」に相当するものであり、製造販売業者等の代表者等品質管理監督システムに係る業務を最上位で管理監督する特定の個人のほか、この省令に規定する管理監督者としての責任及び権限が付与された特定の組織(例えば会議体等)とすることも可能であること。この場合において、当該組織のうち特定の個人を、当該組織の管理監督者としての責任を負う者として明確にしておくこと。ただし、第82条及び第83条において読み替えて準用する第2章から第5章の2までにおいては、製造業者の品質管理監督システムに係る業務を最上位で管理監督する者をいうものであること。

(11) 「製品受領者」とは、当該製品の市場出荷後に当該製品を取り扱う者(輸送のみに関与するものを除く。)をいうものであること。ただし、第82条及び第83条において読み替えて準用する第2章から第5章の2までにおいては、製品の製造業者からの出荷後に当該製品を取り扱う者をいうものであること。製品受領者には、例えば、エンドユーザーである医療従事者、販売業者、患者等が該当しうるものであること。

(12) 「品質方針」とは、ISO 13485:2016の「quality policy」に相当するものであり、製品の品質を確保するために管理監督者が定め、表明する基本的な方針をいうものであること。

(13) 「品質管理監督システム」とは、ISO 13485:2016の「quality management system」に相当するものであり、製造販売業者等が品質に関して監督し、管理を行うために構築したシステムであって、当該管理監督のための資源配分がなされ、適切に運用されるものをいうものであること。ただし、第82条の規定により読み替えて準用する第2章から第5章の2までにおいては、製造業者が品質に関して製造所の管理監督を行うためのシステムを、第83条の規定により読み替えて準用する第2章から第5章の2までにおいては、製造業者が品質に関して管理監督を行うためのシステムをいうものであること。

(14) 「照査」とは、ISO 13485:2016の「review」に相当するものであり、設定された目標を達成する上での適切性及び有効性を判定することをいうものであること。

(15) 「資源」とは、ISO 13485:2016の「resource」に相当するものであり、個人の有する知識及び技能並びに技術、設備その他の施設における業務に活用される資源をいうものであること。

(16) 「業務運営基盤」とは、ISO 13485:2016の「infrastructure」に相当するものであり、施設における業務に必要な施設、設備及びサービスの体系をいうものであること。

(17) 「通知書」とは、ISO 13485:2016の「advisory notices」に相当するものであり、製品の受渡し時に提供した情報を補足し、又は当該製品に係る医療機器等の使用若しくは回収においてとるべき措置について助言するために、製造販売業者等が製品の受渡しの後に発行する文書をいうものであること。

(18) 「特別採用」とは、製品要求事項に適合していない製品について、その製品の製造管理及び品質管理に支障がなく、薬事に関する法令又はこれらに基づく命令若しくは処分(以下「法令の規定等」という。)に適合することを適切に確認した上で、その使用若しくは操作の許可、工程の次の段階に進むことの許可又は出荷若しくは受入れの決定を行うことをいうものであること。

(19) 「再製造単回使用医療機器」とは、単回使用の医療機器のうち、再製造をされたものであること。なお、再製造単回使用医療機器は、再製造によって生じうる特性及び性能の低下等を考慮した上で、原型医療機器と同等の品質、有効性及び安全性を有するよう設計されたものであること。原型医療機器とは、再製造の用に供される単回使用の医療機器であって、未だ再製造されていないものであること。

(20) 「再生部品」とは、第2条第3項に規定する構成部品等のうち、医療機関において使用された単回使用の医療機器の全部又は一部であって、再製造の用に供されるものであること。

(21) 「植込医療機器」とは、ISO 13485:2016の「implantable medical device」に相当するものであり、人の身体内に埋設される若しくは人の身体の自然開口部に挿入される医療機器又は人の皮膚若しくは眼の表面を代替する医療機器であって、その全部又は一部が三十日以上留置されることを目的として使用されるものであること。法第68条の5第1項に規定する特定医療機器も含まれるものであること。

(22) 「類似製品グループ」とは、ISO 13485:2016の「Medical Device Family」に相当するものであり、同一の製造販売業者等が製造販売する医療機器等に係る製品であって、当該製品に係る医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能及び安全性について同等の基本設計を有するものの一群をいうものであること。

(23) 「市販後監視」とは、ISO 13485:2016の「Post Market Surveillance」に相当するものであり、医療機器等の製造販売から得られた情報の収集及び分析に係る体系的な業務(製造販売後安全管理に関する業務を含む。)をいうものであること。

(24) 「購買物品等」とは、ISO 13485:2016の「Purchased Product」に相当するものであり、製造販売業者等が他から提供される中間製品、構成部品等、製造用物質、設備、器具、外部委託した工程及びサービスをいうものであること。

(25) 「無菌バリアシステム」とは、ISO 13485:2016の「Sterile Barrier System」に相当するものであり、製品に係る医療機器等の使用の時まで当該医療機器等を微生物による汚染から防止することを目的として用いられる包装をいうものであること。

(26) 「使用性」とは、ISO 13485:2016の「Usability」に相当するものであり、製品に係る医療機器等の特性のうち、使用者による安全かつ適正な使用又は操作のために必要なものであって、意図した用途に応じた機能、性能及び安全性が十分に発揮され、かつ、使用者の要求を充足させるために必要な性質をいうものであること。

3.第3条(適用の範囲)について

(1) 改正QMS省令の第2章は、ISO 13485:2016と調和したものであり、これを基本的要求事項と位置づけ、第3章以降については、国内における医療機器等の品質等の確保を目的とした追加的要求事項としたものであること。

(2) 製造販売業者等は、第2章及び第3章に基づき、製品の製造管理及び品質管理を行わなければならないこと。

(3) 製造販売業者等は、生物由来医療機器等に係る製品の製造管理及び品質管理について、第2章及び第3章の規定のほか、第4章の規定に基づき行わなければならないこと。

(4) 製造販売業者等は、放射性体外診断用医薬品に係る製品の製造管理及び品質管理について、第2章及び第3章の規定のほか、第5章の規定に基づき行わなければならないこと。

(5) 製造販売業者等は、再製造単回使用医療機器に係る製品の製造管理及び品質管理について、第2章及び第3章の規定のほか、第5章の2の規定に基づき行わなければならないこと。また、再製造単回使用医療機器が生物由来医療機器等に該当する場合には、上記の規定のほか、第4章の規定に基づき行わなければならないこと。

(6) 限定一般医療機器に係る製品及び限定第三種医療機器製造販売業者にあっては、一部の条項を適用しないこととしたこと。

4.第4条(適用)関係

(1) 法に基づく承認又は認証を要さない医療機器等に係る製品(「薬事法等の一部を改正する法律」(平成25年法律第84号)による一部改正の前の「薬事法」(昭和36年法律第145号。以下「旧法」という。)下において設計開発の管理が必要な医療機器(医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令第四条第一項の規定に基づき厚生労働大臣が指定する医療機器(平成17年厚生労働省告示第84号)において指定された医療機器)を除く。)については、第30条から第36条の2までの規定の適用を要しないものであること。適用しない場合においては、品質管理監督システム基準書に、当該製品が設計開発の管理が必要な医療機器等ではない旨記載しておくこと。

(2) 医療機器等の特性により、この章の第4節から第6節までのいずれかの規定を適用することができない場合においては、当該規定をその品質管理監督システムに適用しないことができるものであること。

(3) 実際に適用しない場合においては、第7条第1項第1号の規定に基づき、品質管理監督システム基準書に、適用しない条項と適用しない理由を明記しておくこと。

5.第5条(品質管理監督システムに係る要求事項)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.1 General requirements」に相当するものであること。

(2) 製造販売業者等は、医療機器等を製造するに際して、必要な品質管理監督システムを文書化するとともに、その実効性を維持しなければならないこと。

(3) 第2項の「文書化」とは、ISO 13485:2016の4.1.1の「document」に相当するものであり、この省令で「文書化」することを求められている事項については、要求事項、手順、活動又は実施要領を確立し、実施し、それを維持することが求められているものであること。

(4) 第2項の「実施要領」とは、要求事項や手順により求められる特別な取り決めや合意書等の品質管理監督システムの運用に際して、品質管理監督システム基準書やその手順書以外に、運用上必要とされる事項を文書に定めたものをいうものであること。

(5) 第3項に基づき、製造販売業者等は、法により求められる業態の許可を受けている又は届け出ている場合には、品質管理監督システムを実施する上で必要な文書(記録を除く。以下「品質管理監督文書」という。)にその旨と、役割の記載を求めたものであること。

6.第5条の2(品質管理監督システムの確立)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.1.2」に相当するものであること。

(2) 製造販売業者等は、医療機器等を製造するに際して、製品実現に必要な品質管理監督システムを確立すること。

(3) 第1号の「工程」とは、ISO 13485:2016の「process」に相当するものであること。

(4) 品質管理監督システムが、外国に所在する施設等を含めて一体的に構築されている場合において、第10条の管理監督者及び第16条の管理責任者は、外国に所在する施設の構成員であってもよいものであること。

(5) 構成員とは、製品の品質に影響を及ぼす業務に従事する全ての者をいうものであること。

(6) 第2号の「リスク並びに当該リスクに応じた管理の程度」とは、当該工程の管理には、リスクに基づくアプローチを適用し、製品に係る医療機器の機能、性能及び安全性に影響するリスクに応じて、管理の程度を定めることを意図したものであること。

(7) リスクに基づくアプローチは、第26条(製品実現計画)で求める製品実現に係る工程(プロセス)における製品のリスクマネジメント(ISO 14971等に基づき作成する手順に従い実施するリスクマネジメント)に限らないこと。

(8) リスクに基づくアプローチは、例えば、第23条(能力、認識及び教育訓練)の教育訓練の程度の決定、その措置の実効性の評価、第37条(購買工程)の供給者並びに購買物品に適用される管理の方法及び程度の決定、第60条(不適合製品の管理)の不適合に対する措置の決定、第63条(是正措置)の不適合による影響に応じた適切な措置の決定、第64条(予防措置)の起こりうる問題の影響に応じた適切な措置の決定、第72条(国内品質業務運営責任者)の変更情報や品質情報を得た場合の必要な措置の決定等その他全ての工程において、リスクに基づき管理することが求められていると考えられること。

(9) 製品のリスクや各社の体制等に応じて、実態にあった管理をすることが望ましい。

7.第5条の3(品質管理監督システムの業務)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.1.3」に相当するものであること。

(2) 第3号の「所要の措置」には、次のような措置が含まれうるものであること。

1) 工程の定義を明確化すること。

2) 第57条第1項及び第2項の規定に基づき工程に見合った方法により適切に監視及び測定を行い、当該工程が第14条第1項の計画に定めた結果を得ることができることを実証すること。

3) 第14条第2項の規定に基づき、品質管理監督システムの変更を行うときは、これを適切に行うこと。

4) 第56条の内部監査の結果、第18条の管理監督者照査の結果等を活用すること。

8.第5条の4(品質管理監督システムの管理監督)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.1.4」に相当するものであること。

(2) 第1項は、製造販売業者等は、工程を管理監督しなければならないことを求めたものであること。

(3) 第2項は、工程の変更に際して、変更に先立ち、あらかじめ、品質管理監督システムに与える影響と、当該品質管理監督システムで製造する医療機器等への影響を評価することを求めたものであること。

(4) 第2項の変更は第14条(品質管理監督システムの計画の策定)、第36条(設計開発の変更の管理)及び第62条(改善)の他、第72条(国内品質業務運営責任者)等に関連する要求事項であること。

(5) 変更に先立ち、当該品質管理監督システムで製造する医療機器等についての承認、認証及び届出について、必要な変更手続きを確認すること。

(6) 工程の変更時には、影響評価を行い、承認等事項やJIS等の要求事項を考慮し、一部変更承認等申請、軽微変更届等の必要な手続き等を実施できる管理体制を整えておくが望ましいこと。なお、製造販売業者等においては、製造所の変更についても把握することが求められること。

9.第5条の5(外部委託)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.1.5」に相当するものであること。

(2) 第1項の「製品要求事項への適合性に影響を及ぼす工程」とは、登録製造所で行われる工程の他、例えば外部試験検査機関等に係る工程、外部設計開発管理機関等に係る工程等が含まれうるものであること。

(3) 第1項の受託事業者による管理とは、製品の品質に重大な影響を与える恐れがある場合に必要かつ適切な措置がとられるものであること。

(4) 第1項の製造販売業者等が管理されているようにすることとは、受託事業者がこの省令による要求事項へ適合することについて、製造販売業者が責任を有することを意味するものであること。

(5) 第2項に基づき製造販売業者等が工程の外部委託を行う場合、製造販売業者等は、当該外部委託先の管理には、リスクに基づくアプローチを適用し、製品に係る医療機器の機能、性能及び安全性に影響するリスクに応じて、管理の程度を定めることを意図したものであること。

(6) 第3項の「実施要領」には、製造販売業者等及び外部委託する事業所との合意した責任、手順、管理方法等の事項を定める必要があること。

10.第5条の6(ソフトウェアの使用)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.1.6」に相当するものであること。

(2) 品質管理監督システムに使用するソフトウェアとは、次のものが含まれうるものであること。

ただし、経理処理に使用されるソフトウェアや、事務処理に使用されるソフトウェア等の医療機器の品質、安全性又は有効性に影響しないソフトウェアは対象ではないこと。

1) 製造のための指示などに関連する基幹系情報システム(ERP(Enterprise Resource Planning)、MES(Manufacturing Execution System))

2) 文書・記録の管理システム

3) CAD(Computer Aided Design、コンピュータによる設計支援ツール)

4) 苦情、不適合、是正・予防措置管理システム

(3) 第2項について、品質管理監督システムにソフトウェアを使用するとき、及び当該ソフトウェア又はその適用を変更するときは、あらかじめ、バリデーションの実施が求められること。

(4) 表示上の変更、操作手順の合理化等の品質、有効性及び安全性に影響がないと判断できる変更の場合は、その変更内容を明確にし、変更前にバリデーションが不要であることを文書で示すか、あらかじめバリデーションを不要とする変更範囲を文書で明示することにより、変更前のバリデーションを不要とすることができるものであること。

(5) 第3項について、バリデーション及び再バリデーションの実施は、当該ソフトウェアの使用によるリスクに応じて、管理の程度を定めることを意図したものであること。例えば、リスクが低いソフトウェア導入時においては、入力に対して出力が適切であるか等の確認をもって、当該ソフトウェアのバリデーションとすることができるものであること。品質管理監督システムに使用するソフトウェアの適用のバリデーションには、ISO/TR80002―2を参照することができること。

11.第6条(品質管理監督システムの文書化)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.2.1 General」に相当するものであること。

(2) この条に定める文書及び記録のうち、各施設において当該施設が関与する工程の管理のために必要なものについては、写しを備え付ける又は情報通信の技術を利用するなどの方法により、最新の情報が共有されるようにしておくこと。

(3) 品質管理監督文書として手順を記載した文書(以下「手順書」という。)を作成するに当たっては、業務を円滑かつ適切に実施できるように手順を確立し、明確にした手順を記載すること。構成員が実施する作業の方法並びにその作業に必要とされる技能及び教育訓練の程度も考慮して作成されていなければならないこと。

12.第7条(品質管理監督システム基準書)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.2.2 Quality manual」に相当するものであること。

(2) 品質管理監督システムを適用する範囲(工程等)において、第4条第1項の規定に基づく適用を除外する事項又は第4条第2項の規定に基づく非適用とする事項の詳細、並びにそれを正当とする理由を明確に記載すること。

(3) 第2項の品質管理監督システムにおいて使用される文書の体系の概要とは、使用される文書の階層構造を示す記載及び文書の一覧と当該文書が適応される工程の関係を示す記載等が含まれうるものであること。

13.第7条の2(製品標準書)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.2.3 Medical device file」に相当するものであること。

(2) 「製品標準書」とは、個々の医療機器又は当該類似製品グループごとに、設計開発、製造等に関する文書自体を綴ったもの又はこれらの文書の所在を綴ったものをいうこと。これらの文書は、製造販売業者等から登録製造所に係る製造業者との委託及び取り決め内容に応じて、製造販売業者等及び登録製造所に係る製造業者において分離して管理される場合もあること。

(3) 記載すべき要求事項とは次に掲げる事項が含まれうるものであること。

1) 当該製品又は当該類似製品グループに係る一般的名称及び販売名又は類似製品グループの総称、意図した用途並びに表示物

ア.当該製品又は当該類似製品グループに係る製品群、一般的名称及び販売名(型式のあるものについては型式を含む。)

イ.当該医療機器等又は当該類似製品グループに係る製造販売承認(認証)年月日及び製造販売承認(認証)番号(製造販売承認及び製造販売認証が不要な品目に係る製品の場合においては、製造販売の届出年月日)

ウ.当該製品又は当該類似製品グループに係る製品銘板及び添付する文書についての情報

エ.操作方法又は使用方法

2) 当該製品又は当該類似製品グループに係る仕様

ア.品目仕様

3) 当該製品又は当該類似製品グループに係る製造、保管、取扱い及び送達の方法

ア.製品の設計、図面及び仕様又は成分及び分量

イ.製造方法及び製造手順(製造に用いる設備、器具及び装置並びに作業環境に関する事項を含む。)

ウ.包装に関する事項

エ.製品の輸送の方法及び手順

オ.輸入を行っている場合においては輸入先の国名、輸入される物に係る医療機器等の主な販売国及びその販売名

4) 当該製品又は当該類似製品グループに係る測定及び監視に係る手順

ア.製造販売承認(認証)書において定められている製品、製造用物質及び構成部品等の試験検査の方法

イ.前項に比してより厳格な規格又はより精度の高い試験検査の方法を用いている場合においては、その規格又は試験検査の方法及びそのように考える理由

ウ.製造販売承認(認証)書において定められていない製品、製造用物質又は構成部品等のうち、品質管理上必要と判断されるものとして自主的に設定した規格及び試験検査

エ.製品、製造用物質又は構成部品等の試験検査を、外部試験検査機関等を利用して行う場合においては、これらを利用して行う試験検査項目及びそれらの規格並びに試験検査の方法

オ.製品、製造用物質及び構成部品等の保管方法、保管条件並びに有効期間又は使用期限(有効期間又は使用期限に関してその根拠となった安定性試験の結果を含む)

カ.施設からの出荷の可否の判定及び市場への出荷の可否の判定手順

5) 設置に係る要求事項

ア.設置業務に関する事項

6) 当該医療機器等又は当該類似製品グループの供給に附帯したサービスに係る業務(以下「附帯サービス業務」という。)に係る要求事項

ア.製品の修理手順並びに修理に用いる構成部品等の保存方法及び保存年限

イ.附帯サービス業務に関する事項

(4) 再製造単回使用医療機器にあっては、「製品標準書」とは、上記(3)に掲げるもののほか、次の事項が含まれうるものであること。

1) 原型医療機器の一般的名称及び販売名(型式のあるものについては、型式を含む。)

2) 原型医療機器の製造販売承認(認証)年月日及び製造販売承認(認証)番号(製造販売承認及び製造販売認証が不要な品目に係る製品の場合においては、製造販売の届出年月日)

3) 原型医療機器の図面、仕様及び原材料又は成分及び分量

4) 再生部品を供給する医療機関との取り決め(医療機関の名称及び所在地、対象となる再生部品の一般的名称及び販売名(型式のあるものについては、型式を含む。)、再生部品の取扱い及びその保管方法(「再製造単回使用医療機器基準」(平成29年厚生労働省告示第261号。以下「再製造基準」という。)第4の1(4)で規定されたものと混同しないための措置を含む。)、再生部品の選別に関する基準、医療機関による再生部品の管理状況の定期確認方法、医療従業者等への教育訓練の方法、再生部品の輸送形態及び輸送方法、その他再生部品の取扱いに関して必要な事項)

5) 再生部品の運搬を第三者に委託した場合には、委託先の運搬業者との取り決め

(5) 製造、保管、取扱い及び送達の方法については、製造販売業者等が実施する工程又は外部委託する工程等及び購買する物品等を適切に管理するために必要な情報が含まれうるものであること。

(6) 附帯サービスを伴わない医療機器においては、製品標準書や製品標準書の作成管理のための手順書等に附帯サービスが除外されること及びその理由を明記すること。

(7) 海外規制等の求めに応じて、製品又は類似製品グループごとに、品質管理監督システムに係る要求事項(第7条の2各号に掲げる事項を含む)を記載した文書が作成されている場合、当該文書を製品標準書又はその一部として利用しても差し支えないこと。

(8) 製品標準書は、第8条の規定に従い、作成の承認者及び作成年月日並びに改訂した場合には改訂の承認者、年月日、内容及び理由を記載すること。

14.第8条(品質管理監督文書の管理)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.2.4 Control of documents」に相当するものであること。

(2) 品質管理監督文書には、(3)に示す手順書の他、次のものが含まれうるものであること。

1) 販売業等、他の業態の役割に係る文書(第5条第3項)ISO 13485:2016 4.1.1

2) 品質方針の表明(第6条第1号)ISO 13485:2016 4.2.1a)

3) 品質目標の表明(第6条第1号)ISO 13485:2016 4.2.1a)

4) 品質管理監督システム基準書(第5条第1項、第6条第2号、第7条第1項)ISO 13485:2016 4.1.1、4.2.1b、4.2.2)

5) 手順を規定する文書((3)を参照。)(第6条第3号、第7条1項2号)ISO 13485:2016 4.2.1c)、4.2.2b)

6) 薬事に関する法令の規定により文書化することが求められる事項(第6条第1項第5号)ISO 13485:2016 4.2.1e)

7) 製品標準書(第7条の2)ISO 13485:2016 4.2.3

8) 業務に従事する部門及び構成員の責任及び権限(第15条第1項)ISO 13485:2016 5.5.1

9) 品質に影響を及ぼす業務を監督、実施又は検証する人員の相互関係(第22条2項)ISO 13485:2016 5.5.1

10) 業務運営基盤に係る要求事項(第24条第1項)ISO 13485:2016 6.3

11) 業務運営基盤の保守に係る要求事項(第24条第2項)ISO 13485:2016 6.3

12) 作業環境の条件に係る要求事項(第25条第1項)ISO 13485:2016 6.4.1

13) 構成員の健康状態、清浄の程度等に係る要求事項(第25条第3項)ISO 13485:2016 6.4.1

14) 汚染された製品等の管理に関する実施要領(第25条の2第1項)ISO 13485:2016 6.4.2

15) 滅菌医療機器について、汚染された製品等の管理に関する要求事項(第25条の2第2項)ISO 13485:2016 6.4.2

16) 製品のリスクマネジメントに係る要求事項(第26条第3項)ISO 13485:2016 7.1

17) 製品実現計画に係る文書(第26条第6項)ISO 13485:2016 7.1

18) 製品要求事項に係る文書(第26条第5項第1号)ISO 13485:2016 7.1a)、b)、7.2.2a)

19) 情報等の交換に係る実施要領(第29条第1項)ISO 13485:2016 7.2.3

20) 設計開発計画に係る文書(第30条第3項、第30条第4項)ISO 13485:2016 7.1、7.3.2

21) 設計開発照査に係る実施要領(第33条第1項)ISO 13485:2016 7.3.5

22) 設計開発検証に係る実施要領(第34条第1項)ISO 13485:2016 7.3.6

23) 設計検証の計画に係る文書(第34条第2項)ISO 13485:2016 7.3.6

24) 設計開発バリデーションに係る実施要領(第35条第1項)ISO 13485:2016 7.3.7

25) 設計開発バリデーションの計画に係る文書(第35条第2項)ISO 13485:2016 7.3.7

26) 購買情報が記載された文書(第38条第4項)ISO 13485:2016 7.4.2

27) 製品の清浄及び汚染管理に係る要求事項(第41条第1項)ISO 13485:2016 7.5.2

28) 設置業務(検証の受入れ基準を含む)に係る要求事項(第42条第1項)ISO 13485:2016 7.5.3

29) 設置業務(検証の受入れ基準を含む)に係る要求事項を外部提供する場合の文書(第42条第2項)ISO 13485:2016 7.5.3

30) 製品の保持に係る特別な要求事項に係る文書(第52条第2項第2号)ISO 13485:2016 7.5.11b)

31) 製品受領者要求事項に適合しているかどうかについての情報の入手及び活用に係る方法(第55条第2項)ISO 13485:2016 8.2.1

32) 苦情処理調査を行わないことの理由に係る文書又は記述(第55条の2第2項)ISO 13485:2016 8.2.2

33) 苦情の処理においてとった全ての修正及び是正措置(第55条の2第3項)ISO 13485:2016 8.2.2

34) 製品の監視及び測定に係る実施要領(第58条第2項)ISO 13485:2016 8.2.6

35) 是正処置による是正計画、対応、実施結果に係る文書(第63条第2項第4号)ISO 13485:2016 8.5.2d)

36) 予防処置による是正計画、対応、実施結果に係る文書(第64条第2項第3号)ISO 13485:2016 8.5.3c)

(3) この省令の第2章においては、次の手順を確立し、文書化することが要求されており、これらは全て第1項の品質管理監督文書に該当することから、第2項から第4項の規定に従って適切に管理される必要があること。

1) QMSに使用するソフトウェアの適用のバリデーション(第5条の6第1項)ISO 13485:2016 4.1.6

2) 品質管理監督文書の管理(第8条第2項)ISO 13485:2016 4.2.4

3) 記録の管理(第9条第2項)ISO 13485:2016 4.2.5

4) 管理監督者照査(第18条第1項)ISO 13485:2016 5.6.1

5) 教育訓練(第22条第2項)ISO 13485:2016 6.2

6) 作業環境(第25条第2項)ISO 13485:2016 6.4.1

7) 製品の設計開発(第30条第1項)ISO 13485:2016 7.3.1

8) 設計開発移管(第35条の2第1項)ISO 13485:2016 7.3.8

9) 設計開発変更(第36条第1項)ISO 13485:2016 7.3.9

10) 購買工程(第37条第1項)ISO 13485:2016 7.4.1

11) 製造及びサービス提供の手順、管理方法(第40条第1項)ISO 13485:2016 7.5.1a)

12) 附帯サービス業務(第43条第1項)ISO 13485:2016 7.5.4

13) 工程バリデーション(第45条第3項)ISO 13485:2016 7.5.6

14) 製造工程等の提供に使用するソフトウェアの適用のバリデーション(第45条第4項)ISO 13485:2016 7.5.6

15) 滅菌工程のバリデーション(第46条第1項)ISO 13485:2016 7.5.7

16) 製品の識別(第47条第1項)ISO 13485:2016 7.5.8

17) 返却製品の識別(第47条第4項)ISO 13485:2016 7.5.8

18) 追跡可能性の確保(第48条第1項)ISO 13485:2016 7.5.9.1

19) 製品の保持(第52条第1項)ISO 13485:2016 7.5.11

20) 監視及び測定に係る設備及び器具の管理(第53条第2項、第53条第4項)ISO 13485:2016 7.6

21) 測定等に使用するソフトウェアの適用のバリデーション(第53条第8項)ISO 13485:2016 7.6

22) 製品受領者の意見収集等の仕組みに係る手順(第55条第3項)ISO 13485:2016 8.2.1

23) 苦情処理(第55条の2第1項)ISO 13485:2016 8.2.1

24) 厚生労働大臣等への報告(第55条の3第1項)ISO 13485:2016 8.2.3

25) 内部監査実施計画の策定及び実施等(第56条第2項)ISO 13485:2016 8.2.4

26) 製品の監視及び測定(第58条第2項)ISO 13485:2016 8.2.6

27) 不適合製品の処理に係る管理等(第60条第2項)ISO 13485:2016 8.3.1

28) 通知書の発行及び実施(第60条の3第2項)ISO 13485:2016 8.3.1

29) 製造し直し(第60条の4第1項)ISO 13485:2016 8.3.4

30) データの分析等(第61条第1項)ISO 13485:2016 8.4

31) 是正措置(第63条第2項)ISO 13485:2016 8.5.2

32) 予防措置(第64条第2項)ISO 13485:2016 8.5.3

(4) 品質管理監督文書は、管理対象外の文書から区別して適切に管理されるべきものであること。

(5) 製品実現に関連する手順((3)における4)から32)までの手順書)については、次の点にも留意すること。

1) 各作業中における混同、手違い等を防止するため、作業の実施状況等を明確に区別するための方法を確立しておくこと。

2) 製造に当たっては適切な設備を使用すること。

3) 適切な工程の変動要因及び製品特性の監視を行うこと。

(6) 第2項第2号の品質管理監督文書の「所要の照査」とは、例えば、組織や構成員の変更、内部監査の結果又は新たな製品等の追加等の結果として行われうるものであること。

(7) 第2項第6号は、製造販売業者等の品質管理監督システムの外部で作成された文書を品質管理監督システムの計画や運営に必要と判断した文書は、適切に識別を行い、配付を管理することを意図したものであること。

(8) 第2項第7号は、文書の紛失や劣化の防止に必要な管理として、例えば、文書の保管方法(鍵のついた所定の棚での保管、ファイリングの方法等)を定めることや、文書を電磁的に管理する場合にはそのバックアップ等必要な管理方法を定めること等が考えられること。

(9) 電磁的管理の方法については、「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」(平成17年4月1日付薬食発第0401022号厚労生労働省医薬食品局長通知)を参照することが望ましいこと。

15.第9条(記録の管理)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「4.2.5 Control of records」に相当するものであること。

(2) 第1項で作成及び保管することが求められている記録には、次のものが含まれうるものであること。

1) 改正QMS省令に適合するため必要な記録(第5条の3第5号)ISO 13485:2016 4.1.3

2) QMSに使用するソフトウェアの適用のバリデーションの結果等(第5条の6第4項)ISO 13485:2016 4.1.6

3) 管理監督者照査の結果(第18条第3項)ISO 13485:2016 5.6.1

4) 管理監督者工程出力情報(第20条第1項)ISO 13485:2016 5.6.3

5) 構成員の教育訓練、技能及び経験(第23条第5号)ISO 13485:2016 6.2

6) 業務運営基盤の保守業務(第24条第3項)ISO 13485:2016 6.3

7) リスクマネジメント(第26条第4項)ISO 13485:2016 7.1

8) 製品実現プロセスの結果として製品要求事項を満たしていることを示す記録(第26条第5項第4号)ISO 13485:2016 7.1

9) 製品要求事項の照査の結果及びこれに基づきとった措置(第28条第3項)ISO 13485:2016 7.2.2

10) 設計開発に係る工程入力情報(第31条第1項)ISO 13485:2016 7.3.3

11) 設計開発に係る工程出力情報(第32条第4項)ISO 13485:2016 7.3.4

12) 設計開発照査の結果等(第33条第3項)ISO 13485:2016 7.3.5

13) 設計開発の検証の結果及びこれに基づきとった措置(第34条第4項)ISO 13485:2016 7.3.6

14) 設計開発バリデーションの製品選択の根拠(第35条第4項)ISO 13485:2016 7.3.7

15) 設計開発バリデーションの結果等(第35条第9項)ISO 13485:2016 7.3.7

16) 設計開発の移管の結論等(第35条の2第2項)ISO 13485:2016 7.3.8

17) 設計開発の変更の照査の結果等(第36条第6項)ISO 13485:2016 7.3.9

18) 購買物品の供給者の評価の結果等(第37条第6項)ISO 13485:2016 7.4.1

19) 購買情報(第38条第4項)ISO 13485:2016 7.4.2

20) 購買物品の検証(第39条第4項)ISO 13485:2016 7.4.3

21) 製品の各ロットについての記録(第40条第2項)ISO 13485:2016 7.5.1

22) 医療機器の設置及び検証(第42条第3項)ISO 13485:2016 7.5.3

23) 実施した附帯サービス業務(第43条第3項)ISO 13485:2016 7.5.4

24) 各滅菌ロットについての工程指標値(第44条第1項)ISO 13485:2016 7.5.5

25) 製造工程等のバリデーション(第45条第7項)ISO 13485:2016 7.5.6(注:製造工程等に使用するソフトウェアの適用のバリデーションの結果を含む。)

26) 滅菌工程のバリデーションの結果(第46条第3項)ISO 13485:2016 7.5.7

27) 追跡可能性の確保のための識別(第48条第2項)ISO 13485:2016 7.5.9.1

28) 植込医療機器に係る製品の荷受人の氏名及び住所(第49条第4項)ISO 13485:2016 7.5.9.2

29) 製品受領者の物品等の紛失、損傷等の内容(第51条第2項)ISO 13485:2016 7.5.10

30) 特別な保管条件(第52条第3項)ISO 13485:2016 7.5.11

31) 計量の標準が存在しない場合の校正又は検証(第53条第3項第1号)ISO 13485:2016 7.6

32) 調整及び再調整の実施(第53条第3項第2号)ISO 13485:2016 7.6

33) 監視及び測定のための設備及び器具の校正及び検証の結果(第53条第7項)ISO 13485:2016 7.6

34) 測定等に使用するソフトウェアの適用のバリデーションの結果等(第53条第11項)ISO 13485:2016 7.6

35) 製品受領者の苦情についての調査(第55条の2第5項)ISO 13485:2016 8.2.2

36) 厚生労働省等への報告等(第55条の3第2項)ISO 13485:2016 8.2.3

37) 内部監査の判定基準、範囲、頻度、方法等(第56条第4項)ISO 13485:2016 8.2.4

38) 内部監査結果(第56条第7項)ISO 13485:2016 8.2.4

39) 製品の監視及び測定結果(第58条第3項)ISO 13485:2016 8.2.6

40) 出荷可否決定等を行った者(第58条第4項)ISO 13485:2016 8.2.6

41) 植込医療機器に係る製品の試験検査業務を行った構成員(第59条)ISO 13485:2016 8.2.6

42) 不適合の内容等(第60条第3項、第60条の2第4項、第60条の3第3項)ISO 13485:2016 8.3.1、8.3.2、8.3.

43) 不適合製品の特別採用を許可した構成員(第60条の2第3項)ISO 13485:2016 8.3.2

44) 製造し直し(第60条の4第3項)ISO 13485:2016 8.3.4

45) データの分析の結果(第61条第4項)ISO 13485:2016 8.4

46) 是正措置に関する調査結果等(第63条3項)ISO 13485:2016 8.5.2

47) 予防措置に関する調査結果等(第64条3項)ISO 13485:2016 8.5.3

(3) 第2項のセキュリティ、完全性の確保(データインテグリティ)に関する手順とは、例えば、記録の一貫性が分かるよう日付及びページ番号等を付与すること、記録を修正した場合に修正箇所等が分かるように修正すること、意図していないアクセスから制限すること等が考えられること。

(4) 第3項は、苦情処理や設計開発等に際して、個人情報に該当する情報を取り扱う場合、適切な法令に従って管理の方法を定め、管理を行うことを意図したものであること。

16.第10条(管理監督者の関与)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.1 Management commitment」に相当するものであること。

(2) 「責任をもって関与していること」とは、ISO 13485:2016の「commitment」に相当するものであること。

17.第11条(製品受領者の重視)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.2 Customer focus」に相当するものであること。

(2) 「製品受領者要求事項が明確にされ」とは、第27条の規定に基づき製品受領者要求事項が明確にされていることをいうものであること。

(3) 第55条の規定を適切に実施し、製品受領者要求事項への適合を確保するようにすること。

18.第12条(品質方針)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.3 Quality policy」に相当するものであること。

(2) 品質方針は、第6条第1号の規定に基づき品質管理監督文書に記載されるものであること。

(3) 第5号の「適切性を維持するために照査されていること」とは、第18条に規定する管理監督者照査等において改善の余地、変更の必要性の評価を定期的かつ適切に行うことにより確保されるものであること。

19.第13条(品質目標)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.4.1 Quality objectives」に相当するものであること。

(2) 管理監督者は、製造販売業者等の品質管理監督システムに関係する各施設において、各部門及び各階層に応じた品質目標が定められていることについて、自らが直接関与する必要は必ずしもないが、責任は負うものであること。

(3) ここでいう品質目標とは、品質管理監督システムに係る品質目標のほか、製品要求事項への適合のために必要な目標も含んでおり、後者については、第26条第1項の規定に基づき製品実現計画を策定するに当たり適切に明確化されることが求められていること。

(4) 「各施設において、各部門及び各階層に応じた」とは、各施設において、適切なレベルないし組織単位で品質目標の設定を求めているものであるが、施設横断的に組織内の適切な部門単位で品質目標を定めることもあり得ること。

20.第14条(品質管理監督システムの計画の策定)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.4.2 Quality management system planning」に相当するものであること。

(2) 品質管理監督システム計画は、継続的に計画及び実施されうるものであり、例えば管理監督者照査や是正措置、予防措置の結果として品質管理監督システムに関し変更があった場合においても、当該品質管理監督システムに不備がないことを維持するものであること。

(3) 品質管理監督システムの計画の策定に当たっては、規制要求事項、品質方針、品質目標、管理監督者照査の結果や是正措置・予防措置として必要な変更事項等が工程入力情報として考えられ、工程出力情報としては品質管理監督文書の作成・改訂等が含まれうるものであること。

21.第15条(責任及び権限)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.5.1 Responsibility and authority」に相当するものであること。

(2) この条に基づき、管理監督者自身についても責任及び権限を特定すること。

(3) 第1項の「各部門及び当該部門の構成員に係る責任及び権限が定められ、文書化され、周知されている」とは、例えば組織図、職務分掌表等を策定し、これらを関係者に周知し、実際に運用することにより達成できるものであること。

(4) 第2項の「必要な独立性」の例としては、品質に影響を及ぼす業務について採算性といった営業的見地からの影響を極力排除することや内部監査員に内部監査対象の業務からの独立性を求めること(第56条第6項)等が該当するものであること。

22.第16条(管理責任者)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.5.2 Management representative」の一部に相当するものであること。

(2) 第1項の「製造販売業者等の役員、管理職の地位にある者その他これに相当する者」については、管理監督者の代理としてこの条に規定する業務を適切に遂行できる能力を有すると管理監督者が判断した場合には、管理責任者は必ずしも製造販売業者等の役員の中からではなく、例えば管理層などから選定し、任命することも可能であること。

(3) 管理監督者は、管理責任者に、この条に規定する業務に係る責任及び権限を適切に付与し、全ての施設において管理責任者の業務が遺漏なく全うされるようにしておくこと。

23.第17条(内部情報伝達)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.5.3 Internal communication」に相当するものであること。

(2) 管理監督者は、品質管理監督システムが有効に機能するために、組織内にこの条に基づいて適切に情報の伝達が行われる仕組みを確立し、品質管理監督システムの実効性に関する情報交換が確実に行われることを担保すること。

(3) 第2章において、適切な情報伝達及び情報交換を求めている条項には次のものが含まれること。

1) 製品受領者要求事項等への適合の重要性の周知(第10条第1項第1号)

2) 品質方針の周知(第12条第4号)

24.第18条(管理監督者照査)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.6.1 General」に相当するものであること。

(2) 品質管理監督システムの適切性、妥当性及び実効性を確認するための改善又は変更の必要性を判断するため、管理監督者照査を行うこと。また、管理監督者照査について、手順を文書化すること。

(3) 管理監督者照査は、あらかじめ定めた間隔で、定期的に行われることが必要であり、間隔や出席者等を管理監督者照査に係る手順に明記しておくこと。特段の問題がなければ年に1回程度の頻度で差し支えないが、変更が予定されているときや変更がなされたとき等には、適時適切な照査を行うことにより、品質管理監督システムの実効性の維持(維持に必要な改善を含む)に努めること。

(4) 管理監督者照査は、その対象範囲や参加者等が適切なものとなるよう慎重に計画された上で実施すること。

(5) 管理監督者照査の結果は、第19条及び第20条への適合性の重要な証拠となりうるので、適正に記録を作成し、保管すること。

25.第19条(管理監督者照査に係る工程入力情報)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.6.2 Review input」に相当するものであること。

(2) 工程入力情報は少なくとも第1号から第12号までを含むものであるが、これらに限定されるものではないこと。

(3) 第61条第1項のデータの分析により得られた情報についても、管理監督者照査に入力すべき情報として適宜活用すること。

(4) 第1号の「製品受領者及び供給者からの意見」は、第55条による情報を集約したものを意図したものであること。例えば、意見には、製品受領者、製造業者、供給者等から収集する情報が考えられること。

(5) 第2号の「苦情の処理」は、第55条の2の規定に基づき処理した情報であること。

(6) 第3号の「厚生労働大臣、都道府県知事又は医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行令(昭和三十六年政令第十一号。以下「令」という。)第三十七条の二十三に規定する医療機器等製造販売業許可権者への通知」は、第55条の3による情報を集約したもの等を意図したものであること。

(7) 第4号の「監査」とは、第56条による内部監査の結果の他、外部からの監査の結果についても含まれるものであること。

(8) 第5号の「工程の監視及び測定」は、第57条による情報を集約したものを意図したものであること。

(9) 第6号の「製品の監視及び測定」は、第58条による情報を集約したものを意図したものであること。

(10) 第7号の「是正措置」は、第63条による情報を集約したものを意図したものであること。

(11) 第8号の「予防措置」は、第64条による情報を集約したものを意図したものであること。

26.第20条(管理監督者照査に係る工程出力情報)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「5.6.3 Review output」に相当するものであること。

(2) 管理監督者照査の結果を踏まえ、是正措置や予防措置等の所要の措置をとることとしたときは、第18条第3項に規定する管理監督者照査の記録を作成するに際して、その内容、措置の実施に当たっての責任、必要な資源、措置の完了期限等を明確にすること。

(3) 第19条(管理監督者照査に係る工程入力情報)に関する報告資料等も記録の一部として保管する必要があると考えられること。

(4) 第3号の対応について所要の措置をとる場合は、新たに制定され、又は改正された法令の規定等への対応を検討し、計画をたて、実施することを求めることを意図したものであること。

(5) 第4号では、第1号、第2号及び第3号の改善に必要な資源の必要性について検討した結果も含むものであること。

27.第21条(資源の確保)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「6.1 Provision of resources」に相当するものであること。

(2) ここでいう「資源」には、組織及び人員、予算、情報、業務運営基盤並びに購買物品等の供給者等が含まれうるものであること。

(3) この条に規定する資源の必要性は、管理監督者照査の工程出力情報として得られるものであるが、その確保に係る責任は製造販売業者等にあること。

28.第22条(品質業務従事者の能力)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「6.2 Human resources」に相当するものであること。

(2) 構成員の力量を確立するために、教育訓練を提供し、構成員の認識を確実にする教育訓練工程の手順書を作成することを求めるものであること。

29.第23条(能力、認識及び教育訓練)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「6.2 Human resources」に相当するものであること。

(2) 例えば内部監査(第56条)や管理監督者照査(第18条)により構成員に必要な能力とされたものについては、第1号の規定により明確化すべきものに含まれること。

(3) 第2号の「その他の措置」には、例えば必要な能力を有する構成員を新たに配属又は雇用することが含まれうること。

(4) 必要な能力の維持のための教育訓練とは、例えば、定期的な教育訓練や長期休暇から復帰した構成員に対しての教育訓練等があり、その構成員の業務に見合った程度のものとすること。

(5) 第3号の実効性の評価を行うに当たり、その実効性を確認する方法は、構成員の業務に伴うリスクに見合ったものとすること。

30.第24条(業務運営基盤)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「6.3 Infrastructure」に相当するものであること。

(2) 第1項第1号の「これらに附属する水道その他の設備」とは、ISO 13485:2016の「associated utilities」に相当するものであること。

(3) 第1項第3号の「支援するサービス」とは、製品の輸送、施設内外の連絡手段としての通信システム、製造工程への製造指示や購買に使用する基幹系情報システムなどの業務運営基盤を含みうるものであること。

(4) 第2項は、保守業務又はそれを行わないことが製品の品質に影響を及ぼす恐れのある、製造、測定、試験に用いる設備においては、保守、清掃及び点検等の手順を文書化することを求めたものであること。手順書には、保守の実施の間隔や要求事項を含めることを求めたものであること。

31.第25条(作業環境)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「6.4.1 Work environment」に相当するものであること。

(2) 「作業環境」には、次のものが含まれうること。

1) 温度、湿度及び圧力

2) 空気の清浄度

3) 照明

4) 音及び振動

5) 作業室の清浄度

6) 水質

7) 当該作業環境下に存在する人の数

(3) 第2項で要求している手順書とは、改正QMS省令で要求される製造に係る活動又は工程を適切に実施するために必要な作業環境の維持管理及び監視の手順を規定するものであること。当該手順書は、構成員が実施する作業の方法並びにその作業に必要とされる技能及び教育訓練の程度を考慮して文書化され、それに沿った運用が確実になされるものであること。

(4) 第1項の作業環境の条件に係る要求事項及び第3項の構成員の健康状態等に係る要求事項については、製品標準書等に適宜規定、記載することで差し支えないこと。作業環境の条件に係る要求事項の具体的内容としては、清浄の確保に関する事項、清浄の間隔に関する事項、清浄作業の手順に関する事項、清浄の確認に関する事項等が挙げられること。構成員の衛生管理に係る要求事項の具体的内容としては、構成員の更衣等に関する事項、構成員の健康状態の把握に関する事項、手洗い方法に関する事項等が挙げられること。

(5) 作業環境条件によりその品質に悪影響が及ぶおそれのある製品としては、例えば電子回路等の静電気放電に影響されやすい製品や、滅菌せずに出荷され使用前に滅菌される製品等が含まれうること。

(6) 第4項の「特殊な作業環境」には、例えば、クリーンルーム、長時間さらされると危険な温度に管理された室内、有害なガスに暴露される可能性のある場所等が含まれうること。

32.第25条の2(汚染管理)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「6.4.2 Contamination control」に相当するものであること。

(2) 第1項の「汚染された又は汚染された可能性のある製品等」には、例えば修理依頼のために返却された製品が含まれうるものであること。再製造単回使用医療機器については、再生部品の他、使用済みの単回使用の医療機器のうち、受入検査等により再生部品とならなかったもの、病原性微生物その他疾病の原因となるものに汚染された運搬容器が含まれうるものであること。

(3) 第1項の実施要領には、例えば、返却された製品に対する特別な識別、身体に接触して使用される可能性のある製品等の特別な取扱い、特別な修理や手直し等が含まれうるものであること。再製造単回使用医療機器については、構成員の汚染を防止するための要求事項、運搬容器の開封時における要求事項、病原性微生物その他疾病の原因となるものに汚染された又は汚染された可能性のある製品等の廃棄方法、作業環境が汚染された場合の消毒方法、構成員に対する手袋、マスク、ゴーグル、プラスチックエプロン、キャップ等の服装規定等(「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて」(平成30年12月27日付健感発1227第1号厚生労働省健康局結核感染症課長通知。以下「感染症通知」という。))が含まれうるものであること。

(4) バイオバーデンの測定にはISO 11737―1(JIS T 11737―1)を、微粒子についてはISO 14644―1(JIS B 9920)を参照し、対応することが望ましいこと。

33.第26条(製品実現計画)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.1 Planning of product realization」に相当するものであること。

(2) 製品実現計画は、第14条第1項の品質管理監督システムの計画と相矛盾せずに、個別の製品について、製品実現に関連する工程に関し策定されるものであること。

(3) 第2項の「製品実現計画と製品実現に必要な工程以外の工程」とは、品質管理監督システムには含まれるが、製品実現計画には含まれない工程であり、例えば、是正措置や予防措置等が含まれうること。

(4) 第3項の「製品実現に係る全ての工程における」とは、第5節の製品実現に係る各工程全てを見渡した上で、そのうちリスクマネジメントの対象とすべきもの及びその結果を適用すべきものについて、という趣旨であること。

(5) 第3項の「製品実現に係る全ての工程」について、再製造単回使用医療機器においては、医療機関における再生部品の保管、医療機関から登録製造所への輸送等に係る工程も含まれうるものであること。

(6) 第3項の「リスクマネジメントに係る要求事項」の作成に当たっては、製品に係る一般的なリスクマネジメントの要求事項に関してまず作成した上で、個々の製品の製品実現計画の策定に際し、当該製品の特性等を勘案の上、具体的に作成することが望ましいものであること。

(7) 第3項及び第4項の規定に基づくリスクマネジメントに係る要求事項の明確化、運用の確立、文書化、記録の作成及び保管は、第4条第1項の規定に基づき設計開発に係る規定(第30条から第36条の2まで)が適用されない医療機器等についても求められるものであること。

(8) 第6項の「当該製品実現計画を実行するに当たって適した形式」とは、当該計画は製造販売業者等によって特定の形式にとらわれずに作成してよいが、文書化するなど、計画を実行するために適した形式で作成するものであること。

34.第27条(製品要求事項の明確化)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.2.1 Determination of requirements related to the product」に相当するものであること。

(2) この条は、設計開発を行おうとする製品、既存の製品のいずれにも適用されうるものであること。再製造単回使用医療機器においては、使用済みの単回使用の医療機器の保管、輸送に係る業務について、再製造単回使用医療機器の品質及び安全性に影響を与えることがないよう製品要求事項として明確にする必要があること。

(3) 第1号は当該製品について製品受領者が指定する要求事項、第2号は製品受領者から要求事項としての指定はないものの当該製品について一般的に必要とされることが明らかな要求事項、第3号は法令の規定等によって求められる要求事項を示している。

(4) 第1号の「製品受領者への製品の送達及び製品受領者が製品を受領した後の業務」とは、例えば、製品受領者への引き渡し、アフターサービス、保守部品の供給等の製品出荷後に行われる業務であること。

(5) 第2号の「製造販売業者等にとって既知のものに必要な要求事項」とは、例えば、製品受領者によってあらかじめ指定された用途や意図された用途を満たすために必要な要求事項のうち、製品受領者が明示するまでもない要求事項や、製品受領者が明示していないものの既存の製品に関する情報等から公知である要求事項を指すこと。

35.第28条(製品要求事項の照査)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.2.2 Review of requirements related to the product」に相当するものであること。

(2) 第1項の「製品を供給するに当たって」とは、例えば、製品要求事項を文書化したもの(例えば、製品仕様書等)を製品受領者と取り交わすとき、製品を初めて供給するとき及び製品要求事項を変更するとき等が含まれうるものであること。

(3) 第3項の「第一項の照査の結果に係る記録」とは、照査を行った者の署名及び日付程度でよいが、それに基づきとった措置についてはその主な内容について、措置の原因となった項目を含め、詳細に記録すること。

36.第29条(情報等の交換)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.2.3 Communication」に相当するものであること。

(2) この省令の規定のほか、「医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準に関する省令」(平成16年厚生労働省令第135号。以下「GVP省令」という。)等に基づく製品受領者及び厚生労働省等との情報伝達のうち必要なものについても対象にすること。再製造単回使用医療機器については、再製造基準等に基づく製品受領者との情報伝達のうち、必要なものについても対象にすること。

37.第30条(設計開発)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.1 General」及び「7.3.2 Design and development planning」に相当するものであること。

(2) 第2項の規定に基づき、設計開発計画を作成し、当該計画に基づき、設計開発に係る業務の進行を管理すること。

(3) 製造販売業者等は、第4項第4号の規定に基づき、設計開発に携わる各者間の組織上及び技術上の相互関係を明確にするとともに、必要な情報又は意見の交換が実効性をもって実施される仕組みを構築し管理監督すること。

(4) 第4項第5号の「追跡可能性を確保」とは、第34条に規定する、設計開発からの工程出力情報が設計開発への工程入力情報に係る要求事項に適合するものとすることを踏まえ、設計開発における工程入力情報から工程出力情報への追跡可能性の確保をいうものであること。また、第5号においては、設計開発の工程入力情報から、工程出力情報への追跡可能性を確保するための方法を、あらかじめ計画しておくことを求めるものであること。

38.第31条(設計開発への工程入力情報)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.3 Design and development inputs」に相当するものであること。

(2) 設計開発への工程入力情報は、設計開発の検証やバリデーションといった、設計開発に係る業務を効果的・効率的にするために、適切な範囲、程度のものを対象とすべきものであること。

(3) 第1項第1号の「使用性」とは、IEC 62366―1のUsabilityに相当するものであること。ISOとIECが共同開発した規格IEC 62366―1:2015“Medical Device―Part1:Application of usability engineering to medical devices”等を参考にすること。

(4) 再製造単回使用医療機器の設計開発を行うに当たっては、次に掲げる事項が求められていること。

1) 原型医療機器の特性の明確化を行う必要があること。特性の明確化には、次に掲げる事項が含まれうるものであること。

ア.原型医療機器の形状、構造、寸法、原材料、機能、性能及び安全性に係る要求事項

イ.使用済みの単回使用の医療機器のライフサイクル(医療従事者による使用から登録製造所までの輸送における管理状況等)

2) 医療機関から供される単回使用の医療機器に血液等が付着している場合、医療機関において、当該医療機器が使用された後、汚染の状況、登録製造所に輸送及び病原微生物その他疾病の原因となるものの不活化又は除去までの期間は洗浄効果に影響を及ぼすため、それらの期間を工程入力情報として考慮すること。

3) 工程入力情報として、別途通知で示される再製造単回使用医療機器の承認申請における留意事項等の考え方を参考にすること。

(5) 第3項の「漏れがなく、不明確ではなく、かつ、互いに相反することがないように」に関して、設計開発への工程入力情報は、要求事項を可能な限り詳細に書き起こし、他の製品の設計開発で得られた情報も踏まえるとよい。

39.第32条(設計開発からの工程出力情報)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.4 Design and development outputs」に相当するものであること。

(2) 設計開発からの工程出力情報としては、次のものが含まれうるものであること。

1) 製品等に係る仕様(仕様書、図面等)

2) 出荷の可否判定に係る基準

3) 購買、製造及びサービス提供における手順及び作業環境に係る要求事項

4) 包装及び表示に係る要求事項

5) 識別に係る要求事項

6) 追跡可能性に係る要求事項

7) 附帯サービスに係る要求事項

8) 添付する文書に係る要求事項

(3) 再製造単回使用医療機器にあっては、工程出力情報として上記(2)に掲げるものの他、次のものが含まれうるものであること。

1) 再生部品の医療機関からの引取り、運搬、保管等に係る要求事項

2) その他再製造単回使用医療機器の品質、有効性及び安全性の確保のために必要な事項

(4) 第4項の「設計開発からの工程出力情報の記録」は、第30条第2項の設計開発計画に従って設計開発からの工程出力情報が得られたことを実証する記録が含まれうるものであること。

40.第33条(設計開発照査)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.5 Design and development review」に相当するものであること。

(2) 設計開発照査を行うべき時期については、あらかじめ第30条第2項の設計開発計画において定めておくべきものであること。

(3) 設計開発照査において考慮すべき事項には、次の事項が含まれうるものであること。

1) 当該設計開発への工程入力情報は十分なものであるか。

2) 当該設計開発に係る製品の製造を実現する上で各施設の工程の能力は十分なものであるか。

3) 安全性に関する考慮はなされているか。

(4) 第1項第2号の「当該問題の内容を識別できるようにする」とは、例えば、第3項の設計開発照査の結果の記録に設計開発照査で指摘された事項を記録すること等が考えられること。また、「必要な措置」とは、例えば、製品要求事項の変更、当該設計開発への工程入力情報の変更、設計開発の検証や妥当性確認の再実施等の措置をとることが考えられること。

(5) 第2項の「当該設計開発に係る専門家」には、当該設計開発情報を理解できる専門家の他、設計開発段階において直接責任を有しない者を含めることが望ましいこと。再製造単回使用医療機器にあっては、医学、獣医学、微生物学等の専門家が含まれうるものであること。

(6) 第3項の記録には、実施した年月日、出席者の氏名、所属名、職名等が含まれうるものであること。

41.第34条(設計開発の検証)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.6 Design and development verification」に相当するものであること。

(2) 検証に際しては、検証の方法及び判定基準を含む検証計画を文書化すること。この場合、設計開発計画として全体を管理する計画とは別に詳細な検証計画を作成することが望ましいこと。

(3) 検証の方法には、実証されている設計との比較や、試作品等が作成された場合においてはその試験検査等が含まれうるものであること。統計的方法を用いて検証に用いる検体数を設定する場合又は検証のデータ分析に統計的手法を用いる場合は、その方法が適切であることを確実にするために、その設定の根拠を検証計画に含めること。統計的手法ではない他の方法が妥当である場合、検証計画にその理由を明確にしておくことが望ましいこと。

(4) 検証に用いる製品は、最終製品(第37条第2項に規定する最終製品(中間製品以外の製品をいう。)をいう。以下同じ)又は最終製品と同等の製品で実施すること。

(5) 製品の安全性と性能は、実際に使用されうる状況を最大限代表している条件の下で検証されるべきものであること。

(6) 第3項の「設計開発検証の対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用又は操作される医療機器等である場合においては、」とは、設計検証の対象となる当該医療機器が例えば当該医療機器の外部のプリンター等の他の機器と接続する場合や、他の医療機器と接続することを意図する場合は、指定された接続の最大条件で検証を行うことを意図したものであること。

42.第35条(設計開発バリデーション)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.7 Design and development validation」に相当するものであること。

(2) 第1項に規定する設計開発バリデーションは、設計開発の検証に合格した後、実際の製造工程又は実際の製造工程に相当する工程で製造された最終製品又はその形態となっている試作品に対して、実際の使用条件又はシミュレートされた使用条件の下で行うものであること。

(3) 設計開発バリデーションでは、バリデーションの方法及び判定基準を含むバリデーションに係る計画を文書化すること。設計開発計画として全体を管理する計画とは別に詳細な設計開発バリデーション計画を作成することが望ましいこと。

(4) 統計的方法を用いてバリデーションに用いる検体数を設定する場合又は検証のデータ分析に統計的手法を用いる場合は、その方法が適切であることを確実にするために、その設定の根拠をバリデーション計画に含めること。統計的手法を用いない場合には、バリデーション計画にその理由を明確にしておくことが望ましいこと。

(5) バリデーションに用いる製品は、最終製品又は最終製品と同等の製品とすること。製品の選択は、実際の製造工程又は実際の製造工程に相当する工程で製造された最終製品又はその形態となっている試作品等から行うこと。

(6) 再製造単回使用医療機器にあっては、第1項に規定する「設計開発バリデーション」を、ワーストケースを考慮した再生部品を用いて製造された最終製品又はその形態となっている試作品に対して、実際の使用条件又はそれと同等に模擬した使用条件の下で行うものであること。再生部品のワーストケースとなる条件は、再生部品の汚染度、保管条件、保管期間、再製造回数、使用済みの単回使用の医療機器のライフサイクル(医療従事者による使用から登録製造所までの輸送における管理状況等)、材質の劣化等を考慮して設定しうるものであること。

(7) 第3項では、設計開発において、ある特定の製品についてバリデーションを実施している場合、当該製品を選択した妥当性のある根拠を設計開発バリデーションの計画書に記載することが望ましい。

(8) 設計開発バリデーションには、当該製品に係る科学的資料の分析、適切な関連学術文献の分析、生物学的安全性資料等の前臨床評価、既に市販されている類似かつ妥当な製品等を基にした臨床評価及び実際の検査環境における体外診断用医薬品の性能評価等も含まれうるものであること。

(9) 第5項では、承認申請に際して臨床試験が課せられている医療機器等については、当該臨床試験に係る資料の収集及び作成を、設計開発バリデーションの一部として実施することを要求していること。また、承認事項として使用成績評価が課せられる医療機器等については、当該使用成績評価に係る資料の収集及び作成を継続的な設計バリデーションの一部として追加的に実施されることを要求していること。なお、臨床試験及び使用成績評価が課せられている医療機器に係る製品以外の製品について、臨床試験及び使用成績評価に係る資料の収集及び作成を、継続的な設計開発バリデーションの一部として実施することを妨げるものではないこと。

(10) 第6項は、臨床評価又は性能評価に用いるために、製造販売業者等が治験又は臨床研究用として医療施設等へ当該製品を提供する場合は、市場への出荷とはみなさない趣旨であること。

(11) 臨床評価に関連する追加的要求事項については、ISO 14155シリーズが参考にできること。

(12) 第7項の「設計開発バリデーションの対象とされた製品に係る医療機器等が他の機械器具等と一体的に使用又は操作される医療機器等である場合においては、」とは、設計開発バリデーションの対象となる当該医療機器が例えば当該医療機器の外部のプリンター等の他の機器と接続する場合や、他の医療機器と接続することを意図する場合は、指定された接続の最大条件でバリデーションを行うことを意図したものであること。

(13) 第8項に規定されているとおり、あらかじめ設計開発バリデーションを完了していなければ、原則として、当該製品の出荷を行ってはならないこととされていることに留意すること。

(14) 第9項の「所要の措置」とは、例えば、設計開発バリデーションの結果、あらかじめ定めたバリデーションの許容基準を満たさないことがわかった場合において、製品要求事項の変更、製品等に係る仕様の変更の措置等をとることが考えられること。

43.第35条の2(設計移管業務)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.8 Design and development transfer」に相当するものであること。

(2) 設計移管業務に係る手順、結果及び記録について、第30条(設計開発計画)第1項に基づき、既に手順書を作成し、設計検証、設計バリデーション活動等とあわせて設計移管業務を行い、記録している場合には、別途手順書及び記録の作成を求めているものではないこと。

44.第36条(設計開発の変更の管理)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.9 Control of design and development changes」に相当するものであること。

(2) 設計開発の変更は、初回の設計開発中及び最終製品の市場への出荷開始後において、その必要性を考慮し、必要な場合はこの条に従って管理するものであること。

(3) 設計開発の変更としては、次のものが含まれうるものであること。

1) 製品受領者によって要求された変更

2) 設計開発照査、設計開発検証又は設計開発バリデーションによって必要とされた変更

3) 是正措置又は予防措置によって必要とされた変更

4) 再製造単回使用医療機器については、再製造基準第4の2(1)イ、(2)イ及び(3)ウに掲げるもの

(4) 第2項に規定されているとおり、最終製品の市場への出荷開始後の製品等において、設計開発の当該変更が医療機器等の意図した用途に応じた機能、性能及び安全性、使用性に及ぼす影響の有無及び程度を特定すること。法令による当該医療機器等の承認、認証又は届出事項に対しての変更手続きの要否について、検証しなければならないこと。

(5) 第5項に規定されているとおり、変更に際しては、次に掲げる事項を照査の範囲に含めること。

1) 製品を構成する構成部品等への影響を及ぼさないこと

2) 製造中の製品若しくは、引き渡された製品に影響を及ぼさないこと

3) 第26条第3項による当該製品のリスクマネジメントに係る工程入力情報及び工程出力情報への影響

4) 製品実現に係る工程に影響を及ぼさないこと

(6) 第6項の規定に基づき、第4項の規定による設計開発の変更の照査、検証及びバリデーションの結果に係る記録を作成する際には、設計開発の変更の内容についても記載すること。

(7) 設計開発の変更により、第7条の2による「製品標準書」及び第36条の2による「設計開発に係る記録簿」を見直す必要が生じること。

45.第36条の2(設計開発に係る記録簿)関係

(1) この条は、ISO 13485:2016の「7.3.10 Design and development files」に相当するものであること。

(2) 「設計開発に係る記録簿」は、最終製品又は類似製品グループごとに作成すること。