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13.シグナル及びリスクの評価

No.

承認日

質問

回答

13.1

2014年

3月

本ガイドラインのいくつかの項では、「重要な安全性情報」の考察について言及されているが、重要という言葉の解釈によって大きく異なる可能性がある。本ガイドラインが意図している重要な安全性情報の意味をPBRERとの関連で説明してほしい。

これは判断の問題であり、重要な安全性情報という言葉の意味は定義されていない。例えば、評価の結果として製品の安全性プロファイルの理解に影響を及ぼす可能性がある情報や、添付文書による情報提供を必要とする可能性がある情報が含まれる。新たなシグナルの特定につながるデータや、シグナルの裏付け又は否定につながる情報も含まれるであろう。

13.2

2014年

3月

本ガイドラインによれば、PBRERの6項~14項に安全性に関連するデータや知見を提示するようになっている。MAHは、a)15項及び16項でのデータの繰り返しを避けながら、b)結論の裏付けに足る詳細を提示するにはどのようにすればよいか?

a) PBRERでデータの繰り返しを避ける際の留意事項

PBRERの複数の項の間で情報を繰り返すことは完全に回避できるものではなく、繰り返しが適切な場合もある。MAHはそのような繰り返しを最小限にするため、社内のテンプレート/手引書を利用してスタッフに指示を与えることを検討してもよい。これにより、PBRERで最初にデータが提示された前出の項を相互参照するよう指示できる。ただし、相互参照の多用により、読者に伝えるべきメッセージが不明瞭にならないよう注意が必要である。

PBRERの6項~14項は、これらの項で対象とする各種情報源に基づくデータ又は知見のみを提示することを目的としている。これに対し、15項及び16項では、6項~14項までの重要なデータ及び知見に関連する解釈及び評価を提示することを目的としている。

例えば、MAHは調査期間中に公表された文献報告に基づく新たなシグナルや評価が継続中のシグナルを特定した場合、11項(文献)に文献報告を要約し、15項(シグナルの概要)にサマリーテーブルを掲載する。調査期間中に終了したランダム化臨床試験の結果に基づき評価が継続中の安全性シグナルを否定する場合、7.1項(終了した臨床試験)に関連する試験結果を簡潔に要約する。さらに、15項のシグナルの一覧表でシグナルの状態を更新するとともに、16.2項(シグナルの評価)で新規及び累積的なデータを批判的に分析する。この総合的な分析では、MAHはシグナルを否定する根拠と結論を述べる。16.2項の考察で否定されたシグナルの分析では、7.1項に記載した知見をすべて繰り返して述べるのではなく、むしろこのような知見の評価と解釈に焦点を絞った概要を提示する。同様に、16.2項及び16.3項に示した分析の概要はPBRERの16.4項(リスクの特徴づけ)に繰り返して記載しない。

本ガイドラインの添付資料Cにシグナルの一覧表の例が示されており、二つのシグナルの例が含まれている。添付資料Fには、シグナル及びリスクのPBRERの項へのマッピングについて詳しい手引きがある。

b) PBRERの15項及び16項に十分な詳細を提示する際の留意事項

留意事項(全般):

本ガイドラインの2.5項で述べたとおり、MAHは知見を提示する項(6項~14項)と評価を提示する項(15項及び16項)の両者において、提示する知見の臨床的意義に基づいて詳細度を調整しなければならない。これには医学的及び科学的判断が必要である。詳細度は、MAHの結論並びに実施又は提案された措置の裏付けに足るようにすべきである。これらの項では、医学的に重要な影響を有する所見又は因果関係の綿密な評価を必要とする所見があれば、より詳細に論じるべきである。

留意事項(個別事項):

15項:シグナルの概要

MAHは調査期間に評価が継続中及び評価が確定したシグナルの概要を一覧表として提示する。本ガイドラインの添付資料Cに、詳細なデータの代わりに要約された情報を記載した一覧表の例を示す。調査期間中に評価が確定したシグナルに関しては、16.2項に入手可能なデータの評価結果を要約し、一覧表に掲載されている情報を補足説明する。規制当局により、ある特定事象(シグナルと判断されない事象)のモニタリング及びPBRERでの報告を求められている場合、分析の結果からシグナルとして否定されるときは、MAHはPBRERの15項にその分析結果を要約する。

16.1項:安全性の懸念事項の要約

本検討事項に関する考察については、質問13.4に対する回答を参照されたい。

16.2項及び16.3項:シグナルの評価、並びにリスク及び新しい情報の評価

PBRERの16.2項及び16.3項では、審査官がMAHの結論及び措置(実施又は提案された措置がある場合)の根拠を理解できるように、MAHは十分な情報を提供するとともに利用可能なデータの解釈を示す。

16.2項では、MAHは入手可能なエビデンスについて明確な評価を行い、可能性のある因果関係を支持又は否定する。提示する分析は、MAHがどのようにして以下の結論に達したかに焦点を当てる。

・入手可能なエビデンスに基づき、シグナルの因果関係が否定された

・シグナルは特定されたリスクであると判断された(関連性を示す十分なエビデンスがある)

・シグナルは潜在的リスクであると判断された(関連性を示唆する何らかの根拠は存在するが、その関連性が確認されていない)

16.3項には、既に認識されたリスクに関連する新しい情報のうち、16.2項に記述されていない情報を記述する。すなわち、新しい情報自体がシグナルに相当しないときがこれに該当する。これには、重要と分類されなかったリスクに関する最新情報に加えて、重要なリスクに関する情報及び重要な不足情報に関する最新情報が含まれる。この新しい情報により、既に認識されたリスクについての規制当局からの要求に対応できる場合がある。MAHは簡潔な情報を提供すべきであるが、リスクの理解及び/又はその特徴づけに与える影響の有無を規制当局の審査官が判断できるに足る詳細を概要に含めるよう留意すること。

16.4項:リスクの特徴づけ

PBRERの16.4項のリスクの特徴づけでは、MAHはリスクが重要であるか否かを判定する。発現頻度が低く、非重篤で可逆的であり、個々の患者又は公衆衛生に重大な影響を及ぼすことなく容易に管理できるものであれば、そのようなリスクは重要ではないと考えられる。高頻度に発現するADRであっても、臨床的に重要な有害な後遺症と関係していなければ、重要なリスクには相当しない場合もある。

すべてのシグナル及びリスクを対象としている15項、16.2項及び16.3項とは異なり、16.4項では重要なリスクのみを扱う。16.4項では、MAHはそのリスクを重要とみなす理由を説明するために、本ガイドラインに示すパラメータに関してより詳細な情報を提示する。

13.3

2014年

3月

規制当局により、ある特定事象のモニタリング及びPBRERでの報告を求められている場合、MAHはPBRERのどの項に分析の結果を要約すべきか?

MAHはその特定事象がシグナルに相当すると判断した場合は、シグナルの一覧表に追記し、これを評価し、PBRER内でシグナルを要約するための通常のアプローチに従って処理する。

その特定事象がシグナルに相当しないと判断した場合、PBRERの15項にモニタリングが求められている事象に関する分析結果を要約する。

13.4

2014年

3月

本ガイドラインの3.16.1項によれば、PBRERには、調査期間開始時点において判明している重要なリスクと不足情報の要約を記載するようになっている。しかし、各国に提出された安全性検討事項が既に存在する製品の場合、特定の安全性の懸念事項が国や地域によって異なるのは珍しいことではない。

例えば、ある地域の規制当局から特定の安全性の懸念事項の追加を指示されることがある。また、ある地域の規制当局によって重要な潜在的リスクと判断されるものが、別の地域の規制当局によっては重要な特定されたリスクと判断されることもある。

PBRERの16.4項(リスクの特徴づけ)もこれと同様の影響を受ける可能性がある。MAHはこの状況にどのように対処すべきか?

MAHは、追加の検討事項の数や、各国や地域の規制当局からの異なる要請の範囲を踏まえて、このような状況への対処方法を検討する。その方法を以下に説明するが、あらゆる状況に最適というわけではない。MAHがその製品に対する最良の方法に確信がなく、特に安全性検討事項に大きな地域差が存在する場合には、関連する規制当局の指導を求めることが望ましい。

このような状況への対応方法を以下に説明する。

・リスクの分類方法(潜在的又は特定されたリスク)又はリスク管理計画に不足情報として記載すべき情報の範囲に関するこれまでの評価結果が異なっており、PBRERを複数の規制当局に提出する場合、MAHは安全性の懸念事項の要約にすべてのリスク及び不足情報を提示するとともに、脚注にてある国や地域にのみ特有のものを明らかにし、この安全性の懸念事項が追加で適用される国や地域を示してもよい。

・安全性の懸念事項が、ある地域では重要な特定されたリスクであると判断され、別の地域では重要な潜在的リスクとして判断された場合、PBRERの本項では、両方の分類としてリスクを表示する。以下の一覧表の例を参照のこと。

・異なる規制当局による分類に加え、MAHは各リスクの分類に対する自社の基本的見解を示すとよいであろう。

・本項において地域ごとの個別一覧表を用いるなど、別の提示方法を使用することもできる。その際、基本原則として、情報提示の明確さと透明性の確保が求められる。

・以下に例を示す。

安全性の懸念事項の要約

 

 

 

 

重要な特定されたリスク

・重要なリスクA1

・重要なリスクB

・重要なリスクC2

 

重要な潜在的なリスク

・重要なリスクA1

・重要なリスクD

・重要なリスクE

・重要なリスクF3

重要な不足情報

・重要な不足情報G4

1 EU及びスイスでは重要な特定されたリスク;カナダでは重要な潜在的なリスク。

2 日本、韓国及びスイスでは重要な特定されたリスク。

3 EUのみ。

4 米国、カナダ及びオーストラリアのみ。

この方法を用いる場合、重要な不足情報の説明も含めて、PBRERの16.1項に記載されているすべての安全性の懸念事項について、16.4項において特徴づけを行う。

実務上の観点から考えると、ここで提案された方法を用いる場合、PBRERの16.1項は、異なる規制当局に同時に提出される複数のPBRERの間で同一の記載となる。したがって、この方法により透明性の向上が図られ、場合によっては地域ごとの異なる規制要件を満たすためにPBRER本文にさまざまな項を追加する必要がなくなる。

13.5

2014年

3月

ICH E2C(R2)ガイドラインの3.16.4項(リスクの特徴づけ)では、重要なリスクの特徴づけに含めることのできる項目の一つとして「公衆衛生に対する影響」が記載されている。PBRERの16.4項の目的においては、MAHはこの情報を提供する上でどのような要素を考慮すべきであるか?

実際には、これは複数の要因や検討事項を加味すべき複雑な作業であるため、公衆衛生に対する影響をどのように評価するかについて助言をすることは、本ガイドライン及び本Q&Aの範囲外である。

PBRERの16.4項では、PBRERの目的において、MAHは重要なリスクの特徴づけの一環として、リスクが公衆衛生に及ぼす影響の評価を提示する。個々のリスクの公衆衛生に対する影響を評価するとき、MAHは、包括的であるよりむしろ具体的に次の項目を検討する:製品の使用範囲(治療対象集団のサイズ)、頻度及び健康上の影響(重篤性、予防可能性及び可逆性の考慮を含む)。

リスクの特徴づけでは、集団全体に対する影響とともに、患者個人に対する影響も考慮する。

14.リスクとベネフィットの項

No.

承認日

質問

回答

14.1

2014年

3月

3.16.5項(リスク最小化策の効果)に関しては、本ガイドラインの文言から、MAHは調査期間に得られた特定のリスク最小化活動の効果及び/又はその限界に関する情報を記載すべきであると解釈される。

MAHが調査期間中にDear Healthcare Professional Communication(又は各国でこれに相当する連絡文書)を用いて医療関係者にリスクを注意喚起した場合、PBRERにおいてそのリスクコミュニケーションの効果を検討すべきか?

そのような活動の効果に関する報告は、リスク管理計画の基準又は規制当局との合意によって決まる。リスク最小化策の効果に関する評価結果が異なる地域にも適用可能である場合、MAHはPBRERの16.5項にそのようなリスク最小化活動の効果に関する情報を記載する。それ以外の場合は、この情報は関連する地域ごとの添付資料で提示する。

15.ベネフィットの評価

No.

承認日

質問

回答

15.1

2014年

3月

有効性及び有用性という用語の意味合いを説明してほしい。

これらの用語の使用は地域間で統一されていない。本ガイドラインでは、臨床試験及び日常診療の両方から得られた情報が、PBRERに含めるべきベネフィット情報の範囲内であることを明確にするため、「有効性/有用性」という文言を使用している。地域によっては、有効性は比較臨床試験からのベネフィットに関するエビデンスを指し、有用性は日常診療での使用を意味するが、この区別がない地域もある。

PBRERを作成する目的では、臨床試験及び日常診療の両方から得られた該当する有効性/有用性情報が含まれる。

15.2

2014年

3月

PBRERの17.1項(調査期間開始時における重要な有効性/有用性情報)には、どのような有効性/有用性情報を提示すべきか?

MAHがPBRERの17.1項に有効性/有用性情報を提示する際、本ガイドラインの3.17.1項に示されているガイダンスの他にも次のような点を考慮するとよいであろう。

MAHは、承認適応に関する有効性/有用性情報として、PBRERの17.3項におけるベネフィットの特徴づけに関連するか又はこれを裏付ける情報があれば、この項で提示する。ここでは製品のベネフィットを裏付ける重要なエビデンスに注目する。MAHは、表、グラフ及び/又は文章を用いてこの情報を示すことができる。

以下に、PBRERの17.1項に含まれる情報を検討する際の留意事項の例を示す。

・使用目的の説明、及び各承認適応の治療対象集団におけるアウトカムへの影響に関する説明。これにはベネフィットの性質(診断、予防的治療、対症療法又は病態修飾療法)に関する説明も含まれる。

・臨床試験データ、システマティックレビュー、メタアナリシス、臨床薬理、関連するアウトカム研究などのエビデンス(ただし、これらに限定されるものではない)。

・本ガイドラインの添付資料E(PBRER作成時に使用する可能性がある情報源の例)に記載されている情報のほか、MAHは以下の点も考慮する。

○ベネフィットが小児、高齢者、妊婦、脆弱な集団などのサブグループにも適用されることのエビデンス。

○有効性/有用性の裏付けとなる複数の有効性評価項目に関する情報。

○各種情報源からの有効性/有用性に関するエビデンス(例:プラセボ対照試験、実薬対照試験、メタアナリシス、観察研究)。

○重要なサブグループにおけるベネフィットの傾向、パターン及び/又はエビデンス、あるいはベネフィットの欠如。

15.3

2014年

3月

PBRERの17.2項(有効性/有用性に関して新たに特定された情報)に提示すべき新しい情報とは、どのようなものを指すのか?

PBRERの17.2項では、MAHはデータに基づく科学的根拠のある情報を提示する。

新しい情報に相当するものは、承認適応における製品の既知のベネフィットプロファイルを変化させる可能性がある有効性/有用性情報である。したがって、新しい有効性/有用性情報であっても、製品に関する既知の内容を確認するにとどまるものは記載しない。PBRERの調査期間中に入手した、臨床的に重要な新しい有効性/有用性情報の要約を他の項で提示する際も、この原則が適用される。

臨床試験から得られた臨床的に重要な新しい有効性/有用性の情報がPBRERの先の項、例えば、7項、9.1項又は13項に記載されている場合、文書中の他の項に提示されている情報を重複して記載する必要はないため、MAHは関連する項への相互参照を示す。したがって、前項までには臨床試験から得られた新しい情報が含まれ、17.2項では実際の使用状況下における有効性/有用性に関する新規の情報に焦点が当てられることになる。

さらに、17.2項には調査期間中に承認された新規適応に関する簡潔な情報を記載する。この項における詳細度は、PBRERの17.3項におけるベネフィットの特徴づけの裏付けに足るようにすべきである。

15.4

2014年

3月

本ガイドラインの3.17.2項によれば、「承認適応のベネフィット・リスク評価に関連する場合を除き、承認適応以外の使用方法における有効性/有用性に関する新しい情報は記載しない。」となっている。この場合の関連するという言葉の定義を説明してほしい。

これは判断の問題であるため、関連する、という用語を定義することはできない。

MAHは未承認の適応に関する新しい有効性/有用性の情報が既承認の適応のベネフィット・リスクプロファイルに影響を及ぼす可能性があるかどうかを考慮し、影響がみられる場合は、それに応じて新たな情報の要約を記載する。

15.5

2014年

3月

PBRERとの関連において、主要なリスク及び主要なベネフィットとは何を意味しているのか?

本ガイドラインの3.18.2項に記載されているように、主要なリスク及び主要なベネフィットとは全体的なベネフィット・リスク評価に重要な影響を及ぼすベネフィット及びリスクのことであり、PBRERに記載されているすべての重要なベネフィット及びリスクを必ずしも含める必要はない。MAHが主要と考えるべき特定のリスク及びベネフィットとは医学的判断の問題である。

15.6

2014年

3月

ベネフィット・リスクの正式な定量的又は半定量的評価を行うための特別な方法はあるか?

正式な定量的又は半定量的分析を行うための特定の評価方法について明確な助言を与えることは、本ガイドラインの範囲外である。MAHがベネフィット・リスクの正式な定量的又は半定量的評価を提示する場合には、使用した分析方法の概要を示すこと。

15.7

2014年

3月

PBRERには、地域ごとの製品情報と関連して実施されたベネフィット・リスク評価を記載できるか?

一般に、MAHは、PBRERの作成に用いた製品参照情報との関連においてベネフィット・リスクを評価する。本ガイドラインはMAHに対し、参照文書として地域の製品情報を使用できるよう規定を設けている。したがって、本ガイドラインでは、各地域の製品情報を考慮してベネフィット・リスク評価が行われる可能性を否定しない。このようなベネフィット・リスク評価は、ほとんどの場合、特定の製品に対する特定の規制当局からの要請に基づき実施されることになると考えられる。MAHはその評価をPBRERの適切なサブセクション内で行うか、又は添付資料として提示できる。