添付一覧
○「定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)」に関する質疑応答集(Q&A)について
(平成26年8月25日)
(事務連絡)
(各都道府県衛生主管部(局)薬務主管課あて厚生労働省医薬食品局審査管理課通知)
定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)につきましては、ICH E2C(R2)ガイドライン「定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)について」(平成25年5月17日付け薬食審査発第0517第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)により、各都道府県衛生主管部(局)長宛てに通知したところです。
今般、日米EU医薬品規制調和国際会議において、標記Q&Aが別添のとおり合意されましたので、御了知の上、業務の参考として貴管内関係業者等に周知方よろしく御配慮願います。
なお、本事務連絡の写しを日本製薬団体連合会他関連団体宛てに発出していることを申し添えます。
E2C(R2)実装作業部会
ICH E2C(R2)ガイドライン:定期的ベネフィット・リスク評価報告
質疑応答集
E2C(R2)ガイドラインの実装を支援する目的でICH作業部会により作成された質疑応答集
E2C(R2)質疑応答集
文書履歴
コード |
履歴 |
日付 |
E2C(R2) Q&As |
ICH運営委員会によるステップ4での承認 |
2014年3月31日 |
参考
ICH E2C(R2) 定期的ベネフィット・リスク評価報告 2012年12月
目次
1.緒言
2.一般的ガイダンス
3.モジュール方式
4.国際誕生日
5.長年販売されてきた製品
6.参照情報
7.使用患者数データ
8.サマリーテーブル
9.臨床試験
10.非臨床データ
11.文献
12.有効性の欠如
13.シグナル及びリスクの評価
14.リスクとベネフィットの項
15.ベネフィットの評価
1.緒言
ICH E2C(R2)ガイドライン(本ガイドライン1)で提案する定期的ベネフィット・リスク評価報告(PBRER)は、日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)参加国や参加地域において、販売後の医薬品に関する定期的なベネフィット・リスク評価の報告の共通の基準となることを意図している。本ガイドラインでは、従来の定期的安全性最新報告(PSUR)を定期的な安全性報告から累積的なベネフィット・リスク評価へと発展させる新たな概念が導入された。これにより、報告書の焦点は個別症例副作用報告から累積データの評価へと変化した。また、対象とする範囲が拡大された結果、報告書内での情報の統合がより必要となった。
本ガイドラインがICH参加国や参加地域において一貫した方法で施行され、解釈される場合に初めて規制要件を調和させることの利益が得られる。2012年11月、ICH運営委員会は本ガイドラインの実装を支援する目的で、E2C(R2)に関する実装作業部会(IWG)の設置を承認した。ICH E2C(R2)IWGは本ガイドラインの実装を支援するため、この質疑応答集(Q&A)を作成した。これはPBRERの実際の活用を促すことを意図しており、この新しい定期的安全性報告が有するいくつかの新たな特徴に対処するための留意事項が含まれている。
1 ICH E2C(R2)ガイドラインはhttp://www.ich.orgから入手できる。
[E2C(R2)質疑応答集]
2.一般的ガイダンス
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
2.1 |
2014年 3月 |
さまざまな国や地域で調査期間が異なる場合、販売承認取得者(MAH)はPBRERの提出をどのように管理すればよいか? |
MAHが異なる規制当局に対して6カ月及び年単位の両方でPBRERを提出している場合、年単位の調査期間の後半6カ月の要件を満たすために、6カ月ごとのPBRERの代わりに12カ月間のデータを含む最新のPBRERの提出が認められる場合がある(本ガイドラインの図2(下記)参照)。ある地域で6カ月ごと、別の地域で3年ごとのスケジュールで報告される製品の場合も同様である。ただし、MAHはこの方法が受け入れられるか否かについて関係する規制当局と常に相談する必要がある。その際、この方法がその地域の報告頻度を変更しようとするものではなく、短い調査期間の報告要件を満たすのに12カ月間のデータを使用する可能性を探るものであることについて言及すること。 図2:6カ月単位及び年単位でのPBRERの提出 地域1では6カ月単位のPBRERが要求され、A、B、C及びDのPBRERを提出する(関係する規制当局と合意に至っている場合を想定)。 地域2では年単位のPBRERが要求され、B及びDのPBRERを提出する。 |
2.2 |
2014年 3月 |
サマリーブリッジングレポート及び追加報告書(Addendum Reports)の提出は引き続き可能であるか? |
ICH E2C(R2)に準拠する場合、サマリーブリッジングレポート及び追加報告書は今後提出すべきではない。報告書が対象とする調査期間にかかわらず、各PBRERは単独で成立する文書であり、MAHが現在入手している新規の及び累積的な情報を反映するものでなければならない。 |
2.3 |
2014年 3月 |
製品の適応外使用(off-label use)に関する情報はPBRERのどの項に提示すればよいか? |
PBRERでは医薬品のあらゆる使用方法に基づく安全性情報の評価を報告する必要があり、これには製品参照情報に記載される内容以外の使用方法(一般には、適応外使用と呼ばれる)も含まれる。ベネフィット・リスク評価は承認適応を対象として実施されるが、リスク評価では製品のあらゆる使用方法を考慮することがきわめて重要である。 本ガイドラインの1.3項(PBRERが対象とする範囲)では、承認適応以外の使用方法に関連したデータから得られる医薬品の安全性に関する知見が入手可能であり、適切かつ必要な場合には、そうした知見をリスク評価の考察に反映させるよう述べている。承認適応以外の使用方法に関する情報源の例としては、有害事象の自発報告、医師が自ら実施する臨床試験、医薬品使用実態に関するデータ又は調査、公表された文献などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。 適応外使用に関する具体的な情報はPBRERの以下の項に記載される場合がある。 ・5.2項(市販後の累積及び調査期間の使用患者数)、第3段落(その他の承認後の使用) MAHは安全性データの解釈にあたり関連すると考えられる医薬品の使用実態の簡潔な説明を示す。このとき、適応外使用が臨床ガイドラインや臨床試験のエビデンスによって裏付けられているか、又はその他の既承認の治療法がないことによるものか否かを含め、適応外使用に関する情報を記載する必要がある。製品参照情報に記載される内容以外の使用実態を特定するため、MAHは、PBRERのデータロックポイント(DLP)時点の製品参照情報の適切な項(例:承認適応、禁忌)を用いる。製品参照情報の文書を選択する際の留意事項については、質問6.1を参照されたい。 ・15項(シグナルの概要:新規、評価継続中又は評価確定)及び16項(シグナル及びリスクの評価) MAHは本項に製品のあらゆる使用方法から生じるシグナル及びリスクを記載する。 ・18.2項(ベネフィット・リスク分析の評価) ベネフィットの評価は承認された使用方法に限定して行われるべきであるが(本ガイドラインの17項を参照)、全体的なベネフィット・リスク評価では製品のあらゆる使用方法に伴うリスクを考慮する。 |
2.4 |
2014年 3月 |
PBRERの作成にあたり、どのような情報源の利用が可能であるか? |
MAHがある有効成分に関してPBRERを作成する場合、MAHが合理的にアクセス可能であり、安全性又はベネフィット・リスクプロファイルの評価に関連する情報が用いられる。後発医薬品に関しては、MAHが先発医薬品開発会社である製品と比較して得られる情報が少ない可能性がある。例えば、MAHが依頼者でない臨床試験に関しては公表された報告しか入手できない可能性がある。MAHはPBRERの作成に用いた情報源の一覧表をPBRERの添付資料として提供することも考慮する(本ガイドラインの添付資料Eを参照)。 |
3.モジュール方式
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
3.1 |
2014年 3月 |
PBRERでは、モジュール方式の使用により、他の規制関連文書からの情報活用が促進される。他の規制関連文書のDLPがPBRERと同一でないとき、どのようにして情報を再利用できるか? |
規制関連文書が異なる時期に作成される場合には、ある期間から次の期間までに情報の変更が発生することがあるため、必ずしも各項の再利用が可能であるとは限らない。例えば、PBRERが6カ月単位で提出され、治験安全性最新報告(DSUR)が年単位で提出される場合がこれにあたる。6カ月単位のPBRERに由来する情報のなかには、年単位で作成されるDSURのいくつかの項の根拠として利用可能なものがある。他の規制関連文書と共用が可能なPBRERの項のリストは本ガイドラインの添付資料Dに掲載されている。 |
3.2 |
2014年 3月 |
DSURとPBRERの作成を統合して管理する際、MAHは実際にどのような点に留意すべきか? |
・報告書作成時点で入手可能な情報の性質によっては、MAHは複数の文書間で同じ情報を使用できる場合がある。MAHは作成を予定している報告書の種類ごとに調査期間及び報告頻度を最初に確認する。 ・MAHは最近提出した他の報告書(例:DSUR)が情報源としてどの程度利用可能であるかを評価する。 ・MAHは国際誕生日(IBD)に基づき各種文書のDLPを同期させることにより、他の文書と関連してPBRERの計画立案及び作成を容易にできる。DLPを同期させるためには、MAHは関係する規制当局の承認を得る必要があり、これにより他の文書からの情報が再利用可能になる。 ・新規の重要な情報がないと確認されている場合、MAHは最近提出した文書の一部の項をほぼ修正なしに再利用することを検討してもよい。 ・重要な新しい情報が存在する場合、MAHは最近提出した文書の項をレビューし、ソース情報の更新、小改訂又は全面改訂を行う。 ・この他、本ガイドラインの2.8.1項(国際誕生日とデータロックポイント)及び添付資料Dを参照できる。表1にさらに明確な説明を示す。 |
表1―PBRERとDSURとの内容の共有
本表は、添付資料D(他の規制関連文書と共用が可能なPBRERの項のリスト)を補完し、共有可能と考えられる項を提示している。誕生日とDLPが一致する場合、PBRERとDSURとの間では、これらの項に記載すべき情報を共有できると考えられる。さらに、本表では、PBRERの特定の項の情報源となり得るDSURの項を明確にし、その逆の場合も同様に示す。記載内容の共有によってモジュール方式の促進が図られ、文書間の一貫性が確保されるとともに、可能な場合には作業の重複が回避される。MAHは共有される情報又は情報源として使用される情報を精査し、それらが最新かつ正確なものであり、また、報告書に関する規制要件を満たしていることを確認すること。
DSURにおける項の番号 |
DSUR(E2F)における項の表題 |
PBRERにおける項の番号 |
PBRER(E2C(R2))における項の表題 |
2* |
世界各国における販売承認状況 |
2* |
世界各国における販売承認の状況 |
3* |
安全性上の理由で調査対象期間内に実施された措置について |
3* |
安全性上の理由で調査対象期間内に実施された措置について |
6.1* |
臨床開発計画中の累積使用被験者数 |
5.1* |
臨床試験における累積使用被験者数 |
6.2* |
市販後の使用経験に基づく使用患者数 |
5.2* |
市販後の累積及び調査期間の使用患者数(注:DSURの6.2項ではPBRERの累積使用患者数を考慮してもよい)。 |
7.1 |
参照情報 |
6.1** |
参照情報 |
7.3* |
重篤な有害事象の累積サマリーテーブル |
6.2* |
臨床試験に基づく重篤有害事象の累積サマリーテーブル |
8.1* |
終了した臨床試験 |
7.1* |
終了した臨床試験 |
8.2* |
継続中の臨床試験 |
7.2* |
継続中の臨床試験 |
8.3* |
長期追跡結果 |
7.3* |
長期追跡結果 |
8.4* |
治験薬の臨床試験以外での治療的使用 |
7.4* |
医薬品の他の治療的使用 |
8.5* |
複数成分が関わる治療法に関連する新たな安全性データ |
7.5* |
複数成分が関わる治療法に関連する新たな安全性データ |
9* |
非介入試験からの安全性知見 |
8* |
非介入試験からの知見 |
10* |
他の臨床試験からの安全性情報 |
9.1* |
その他の臨床試験 |
11 |
市販後の使用経験に基づく安全性情報 |
15** |
シグナルの概要:新規、評価継続中又は評価確定 |
9.2** |
投薬過誤 |
||
5.2(第3段落)** |
その他の承認後の使用 |
||
12* |
非臨床データ |
10* |
非臨床データ |
13* |
文献 |
11* |
文献 |
14*** |
他のDSUR |
12 |
他の定期報告 |
15* |
有効性の欠如 |
13* |
比較臨床試験における有効性の欠如 |
17* |
データロックポイント後に入手した情報 |
14* |
データロックポイント後に入手した情報 |
18.1 |
リスク評価 |
16.2** |
シグナルの評価 |
16.3** |
リスク及び新しい情報の評価 |
||
16.4** |
リスクの特徴づけ |
||
18.2 |
ベネフィット―リスクの検討 |
18.2** |
ベネフィット・リスク分析の評価 |
19 |
重要なリスクの要約 |
16.1** |
安全性の懸念事項の要約 |
20* |
結論 |
19* |
結論及び措置 |
* 他の規制関連文書と共用が可能な項としてICH E2C(R2)の添付資料Dに記載されている項。
** DSURの情報源として使用可能なPBRERの項。
*** PBRERの情報源として使用可能なDSURの項。
4.国際誕生日
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
4.1 |
2014年 3月 |
PBRERへの移行に際して、現在のDLPと新たに定義されたIBDが同期していない医薬品については、どのように対処すべきか? |
本ガイドラインにおけるIBDの定義は、当該有効成分を含む製剤について世界のいずれかの国でいずれかの会社に最初の販売承認が与えられた日付とされている。多くの国では公式の規制要件、非公式のガイダンス等で、MAHにPBRERのDLPとIBDを同期させるための対応策が提供されている。MAHは詳しい情報を得るために、関連する各国及び地域の規制要件を参照すべきである。また、必要に応じてしかるべき規制当局に照会し、PBRERのDLPとIBD間の調整を要求する。このような要求を認めるかどうかは各規制当局の判断に任されているが、国際的調和のためにはほとんどの規制当局がこの対応に前向きである。 |
4.2 |
2014年 3月 |
MAHは本ガイドラインのIBDの定義に基づき、どのように製品のIBDを決定すればよいか? |
本ガイドラインにおけるIBDの定義は、当該有効成分を含む製剤について世界のいずれかの国でいずれかの会社に最初の販売承認が与えられた日付とされている。MAHが製品の実際のIBDに関する情報を持ち合わせていない場合、まず最初に、一部の地域で作成され公表されている誕生日の一覧表を参照する。製品がいずれの一覧表にも記載されていなければ、MAHは有効成分について知られている最初の販売承認に基づき、規制当局に誕生日の申告を行い、次いで規制当局の了承を得る。 |
4.3 |
2014年 3月 |
DSURで使用する開発国際誕生日とPBRERで使用するIBDはどのように調和させればよいか? |
ICH E2Fガイドライン(DSUR―2.2項)に示されているように、MAHが希望する場合は、PBRERのIBDに基づきDSURを提出できる。DSURとPBRERのDLPを同期させる場合には、次回のDSURの対象調査期間は1年を超えてはならない。DLPを同期させるためには、MAHは関連する規制当局から承認を得なければならない。 |
5.長年販売されてきた製品
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
5.1 |
2014年 3月 |
製品によっては過去の情報の入手が難しく、課題となり得る。MAHはこうした製品のPBRERを作成するにあたり、累積する情報が盛り込まれた項をどのように作成すべきか? |
MAHはPBRER作成時点で入手可能なすべての情報を提供する。そして、どの情報を入手できないかを明確に述べ、入手不可能である理由を詳細に説明する。例えば、臨床試験における正確な累積使用被験者数のデータを入手できない場合、MAHは累積データからのデータの欠落を説明する。長年販売されている製品のオリジナルの治験総括報告書を利用できないときは、MAHは公表文献などの公開されている情報源から得られる情報に基づき有効性/有用性を提示することが望ましい。 |
5.2 |
2014年 3月 |
後発医薬品のPBRERには有効成分と関連した情報を盛り込むべきか? |
各国や地域の法規制により後発医薬品のPBRERが求められる場合、本ガイドラインは後発医薬品に対しても適用される。後発医薬品に関して作成されるPBRERでは、本ガイドラインに述べられているのと同じ様式及び内容に準拠する。情報源としては、当該有効成分に関して利用可能な情報が含まれる(利用可能な情報とは、MAHが合理的にアクセス可能であり、安全性又はベネフィット・リスクプロファイルの評価に関連する情報のことである。添付資料E-PBRER作成時に使用する可能性がある情報源の例も参照のこと)。本ガイドラインの1.3項(PBRERが対象とする範囲)も参照されたい。 |
6.参照情報
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
6.1 |
2014年 3月 |
有効成分は同じであるが適応症の異なる各種製品のPBRERを作成するにあたり、どのような製品参照情報を選択すべきか? |
国や地域によって適応症が異なる場合など、参照情報に関する手引きが本ガイドラインの2.4項に示されている。PBRERでは、同一の有効成分を含有するすべての製品に共通する側面について検討するとともに、そのサブセクションにおいて特定の剤形及び適応症について検討すべきである。 例えば、喘息や慢性閉塞性気道疾患(吸入薬)、鼻炎(鼻腔内噴霧薬)、クローン病(経口薬)及び潰瘍性大腸炎(座薬)の管理に使用可能な副腎皮質ステロイド薬のPBRERをMAHが作成しようとしていると想定する。このような状況では、MAHは製品参照情報として用いた単一の文書を明記するが、実際には多くの場合、企業中核データシート(CCDS)が選択される。ただし、CCDSがない製品の場合、MAHは最も包括的な地域の添付文書を使用する。 |
6.2 |
2014年 3月 |
PBRERの作成時、製品参照情報における承認適応としては含まれているものの、ある地域の製品情報における承認適応からは外れる場合の使用実態についてはどの項に記載すべきか? |
PBRERが提出されている一以上の国や地域において、各製品情報の記載を外れた方法での製品の使用が使用実態から示唆される場合、MAHはPBRERの5項に適応外(off-label)とみなされる使用方法がある国や地域を明記する。使用実態から安全性シグナルが示される場合には、MAHはシグナルの一覧表(15項)にこれを追記し、PBRERのその他の関連する項においても検討する。 |
7.使用患者数データ
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
7.1 |
2014年 3月 |
販売開始からすでに数年間が経過した製品については、これまでに実施された臨床試験の被験者数についてどのようなデータを提示すべきか? |
本ガイドラインの3.5.1項にMAHが提示すべき情報が説明されている。正確な使用被験者数のデータを入手できない場合、最良の推定値を提示し、その推定値の根拠及び元になる前提を示す。 |
7.2 |
2014年 3月 |
本ガイドラインによれば、PBRERの5.2項において、市販後の使用患者数をさまざまなパラメータ別(例:承認適応、性別、年齢、用量、剤形及び地域)に提示することになっている。また、特殊な集団に対する使用状況に関しても、詳細な情報を提示するように述べられている。このような分類に従ってデータを取得できないときには、MAHはどのようにしてこの要求に応じるべきか? |
MAHは使用患者数に関する正確かつ完全な市販後データを得るために相応の努力を払うべきである。考えられる情報源として、売上データ、登録制度(registries)及び医療保健データベースがあるが、これらに限定されるものではない。 入手可能な場合、MAHはPBRERの5.2項にこれらのデータを示し、データの正確さの限界について述べる。データが入手不可能であれば、その旨と理由を記述する。 |
8.サマリーテーブル
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
8.1 |
2014年 3月 |
本ガイドラインの3.6.2項で言及されるサマリーテーブルには、介入臨床試験において、PBRERに記述する製品と同じ有効成分を含有する治験薬について収集された重篤有害事象(SAE)のみを記載すればよいのか? |
本ガイドラインの3.6.2項で言及されているPBRERのサマリーテーブルには、MAHが依頼者である介入臨床試験において、PBRERに記述する製品と同じ有効成分を含有する治験薬について収集されたSAEのみを記載する。このサマリーテーブルにはMAHが依頼者であるすべての臨床試験から得られたデータを含めるが、承認範囲の適応、用法・用量、対象集団又は剤形を検討するための臨床試験から得られたデータに限定されない。また、サマリーテーブルには、安全性ハザードの特定、特徴づけ若しくは定量化、又は安全性プロファイルの確認を主な目的とする臨床試験から得られたデータも記載する。さらに、関連する場合及び/又は適切な場合には、未承認の用法・用量を検討する臨床試験、又は未承認の適応や未検討の集団を対象として治験薬を検討する臨床試験に基づくSAEも記載する。 PBRERに記述する製品に含まれる有効成分が使用された臨床試験を情報源とする安全性シグナル又はその他の重大な安全性情報については、評価中の市販製品の安全性プロファイルを十分に特徴づけるため、PBRERの該当する項に要約する。未承認の適応、新剤形、未検討の集団又は用法・用量を検討する臨床試験からの知見であっても、市販製品に関連する場合には記載する。 |
8.2 |
2014年 3月 |
例えば、PBRERの対象となる製品(製品A)が別の製品(製品B)に関する臨床試験の比較対照薬として用いられた可能性がある場合、製品Bに対して実施された臨床試験に基づく製品Aに関連するSAEは、製品Aに関するPBRERのSAEの累積サマリーテーブルの比較対照薬の欄に記載するのか? |
いいえ。MAHは、製品Bを使用した臨床試験で認められた製品Aに関する臨床的に重要な安全性の知見があれば、PBRERの7.1項、7.2項又は9.1項のうち最も適切な項(MAHが情報源とする臨床試験プログラムの依頼者であったかどうかに応じて)に要約する。本ガイドラインの3.6.2項に記載する比較対照薬とは、PBRERの対象となる製品の臨床開発計画で比較対照薬として使用された他の薬剤のことを指す。 同様に、製品BのMAHが、製品BのPBRERを作成するときは、製品Bの臨床試験で比較対照薬として使用された製品AのSAEを記載する。本ガイドラインの添付資料B、表6に臨床試験におけるSAEの累積サマリーテーブルの例を示しているので参照されたい。 |
8.3 |
2014年 3月 |
MAHは、MAHが依頼者ではない臨床試験(例:医師が自ら実施する臨床試験)で収集されたSAEもサマリーテーブルに記載すべきか? |
一般には、MAHは、MAHが依頼者である臨床試験で治験薬又は実薬対照として使用された製剤のSAEのみをサマリーテーブルに記載すべきである(質問8.1を参照されたい)。 MAHが依頼者でない臨床試験で認められた重大な安全性情報については、PBRERの9.1項に要約する。該当する場合には、MAHはPBRERの15~18項にさらに詳しい情報を提供し、評価する。 透明性の確保のため、MAHは自身が依頼者でない臨床試験からSAEの症例報告を入手した場合、PBRERの6.2項で言及するべきであるが、このような報告はSAEのサマリーテーブルには含めないものとする。 ただし、場合によっては、MAHは、MAHの市販製品に対する臨床試験を実施する第三者の代わりに依頼者の責任を果たすこともできる。その場合は、そのような臨床試験に基づくSAEを関連するPBRERのSAEのサマリーテーブルに含め、作表の背景で説明すべきである(PBRERの6.2項)。 |
8.4 |
2014年 3月 |
市販後の情報源に基づくサマリーテーブルに関してMAHが表に含めるべきは、すべての事象あるいはすべての症例報告(各症例報告は1件以上の事象を含む)のいずれであるか? また、重篤性は症例レベル又は事象レベルのいずれで反映させるのか? |
本ガイドラインの表7に例示されているように、市販後の情報源に基づくADRのサマリーテーブルでは、症例報告から入手した非重篤及び重篤なADRの両者を記載する。 サマリーテーブルに反映する重篤性は事象レベルとする。 |
9.臨床試験
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
9.1 |
2014年 3月 |
共同開発者が提供するランダム化臨床試験からの知見やその他の安全性情報、又は医師が自ら実施する臨床試験からの安全性情報は、どの程度詳細に記載する必要があるか? |
MAHが依頼者である臨床試験以外の情報源から得られた情報は、9.1項(その他の臨床試験)に簡潔に要約する。そのような情報源に基づく重要な新しい安全性又は有効性の所見がある場合は、例えば、報告書の後半で包括的評価を支持するために、より詳細な記述が適切な場合もある。 |
9.2 |
2014年 3月 |
PBRERの7.4項の意図は、他の治療的使用に関する臨床試験の結果から臨床的に重要な安全性情報を得ることにあるのか?あるいは、「特定の実施計画書に従ってMAHにより実施され、非自発的な報告が行われる他のプログラム」に由来する安全性情報を入手することを意図しているのか? |
PBRERの7.4項には、特定の実施計画書に従ってMAHにより実施された他のプログラム(例:拡大利用プログラム(Expanded Access Program)、コンパッショネートユースプログラム(Compassionate Use Program)、特定の患者への使用、単一患者IND(Single-Patient Investigational New Drug Applications)、治験薬有償利用制度(Treatment IND)及びその他の組織的なデータ収集)に由来する、臨床的に重要な安全性情報を記載する。MAHは、PBRERに記述する製品の他の治療的使用に対して実施された臨床試験(例:新しい承認適応のための第Ⅲb相臨床開発計画)に由来する、重要な安全性情報を要約する。該当する場合、MAHが情報源とする臨床試験プログラムの依頼者であったかどうかに応じて、PBRERの7.1項、7.2項及び9.1項に情報の要約を記載する。 |
10.非臨床データ
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
10.1 |
2014年 3月 |
PBRERの10項は、MAHが依頼者である非臨床試験のみに言及したものか?あるいは、文献で公表されているものなど、他の試験のことも指しているのか? |
試験の依頼者及び/又は実施者に関係なく、調査期間中に実施及び/又は報告されたすべての非臨床試験に由来する主要な安全性情報をPBRERの10項に要約又は参照するという趣旨である。このような所見が他の組織により実施された非臨床試験や公表された文献に由来する場合、MAHは11項(文献)に要約を記載し、10項(非臨床データ)に11項との適切な相互参照を示す。このようにして、情報の不要な重複を回避できる。 |
11.文献
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
11.1 |
2014年 3月 |
本ガイドラインの3.11項には、「この項では、調査期間中にMAHが知り得た、専門家によって査読された科学文献に発表された、あるいは未発表の原稿として入手した既承認医薬品に関する新しい重大な安全性情報を要約する。」と述べられている。「既承認医薬品に関する」という文言は、有効成分あるいは特定の先発品のいずれを指しているのか? |
PBRERの11項には、PBRERに記述する製品に関するすべての新しい重大な安全性情報を要約する。そのようなものとして、同一の有効成分に関する安全性情報などが挙げられるが、必ずしもMAHにより販売されている製品ブランドに限定されるものではない。したがって、本ガイドラインによれば、PBRERに対して実施する文献検索は、個別の副作用症例の文献検索(すなわち、緊急報告の目的で行われるもの)よりも広範にわたるものであり、関連する場合、PBRERにおいて同一クラスの有効成分に関する情報を検討することになる。 |
11.2 |
2014年 3月 |
本ガイドラインの3.11項には、「PBRERの文献検索は、個別の副作用症例の文献検索よりも広範にわたる」と述べられているが、広範にわたる検索にはどのようなものが含まれるか? |
PBRERの文献検索は、被験者群の安全性アウトカムを報告する文献や同一の有効成分を含む他の製品(剤形を問わない)について報告する文献も対象とすることから、個別の副作用症例の文献検索よりも広範にわたる。この検索は製品ブランドに限定されず、非臨床試験や投薬過誤に関して公表された論文も含む。PBRERのこの項には、非臨床及び臨床試験に基づく情報を要約するとともに、適切かつ該当する場合、同一クラスの薬剤に関する情報も要約する。 |
12.有効性の欠如
No. |
承認日 |
質問 |
回答 |
12.1 |
2014年 3月 |
PBRERの13項の適用範囲は比較臨床試験に限定されているのか? |
いいえ。本ガイドラインの13項の表題は「比較臨床試験における有効性の欠如」であるが、本項の趣旨は、調査期間中に実施又は終了したあらゆる種類の臨床試験に由来する有効性データの欠如を対象に含めるというものである。 |
12.2 |
2014年 3月 |
臨床試験における有効性の欠如は、「重篤な疾患や生命を脅かす疾患の治療又は予防を目的とする製品」についてはPBRERの13項で検討し、致命的でない疾患については7項で検討することになっている。その医薬品が生命を脅かす疾患又は致命的でない疾患のいずれを治療するためのものであるかは、どのようなパラメータを用いて定義すればよいのか? |
生命を脅かす疾患あるいは症候であるかどうかの決定は医学的な判断の問題であり、主として、疾患の予後となり得る死亡率及び罹患率の程度との関連で検討される。本ガイドラインの3.13項では、重篤な疾患又は生命を脅かす疾患と判断される可能性があるものを説明するために例として急性冠動脈症候群を取り上げているが、ここで考慮すべき重要な点は、有効性の欠如はその製品で治療された集団に対する重大なリスクになり得ることである。 |