添付一覧
P450分子種 |
強い阻害薬 相互作用を受けやすい基質薬a)のAUCが5倍以上に上昇(CL/Fが1/5未満に減少) |
中程度の阻害薬 相互作用を受けやすい基質薬a)のAUCが2倍以上5倍未満に上昇(CL/Fが1/2未満1/5以上に減少) |
弱い阻害薬 相互作用を受けやすい基質薬a)のAUCが1.25倍以上2倍未満に上昇(CL/Fが1/1.25未満1/2以上に減少) |
CYP1A2 |
ciprofloxacin, enoxacin, fluvoxamine, zafirlukast (rofecoxib) |
methoxsalen,mexiletine ,oral contraceptives, (clinafloxacin), (idrocilamide) |
acyclovir, allopurinol, cimetidine, peginterferon alpha―2a (sc) (grepafloxacin), (piperine), (pefloxacin), (pipemidic acid), (zileuton) (antofloxacin), (daidzein), (viloxazine) |
CYP2B6 |
― |
― |
clopidogrel, tenofovir, ticlopidine |
CYP2C8 |
(gemfibrozil) |
cyclosporine, deferasirox (teriflunomide) |
trimethoprim itraconazole (telithromycin) |
CYP2C9 |
fluorouracil derivatives, (carmofur), (sulfaphenazole) |
amiodarone, bucorome, cyclosporine, fluconazole, miconazole, |
cimetidine,disulfiramfluvastatin, fluvoxamine, voriconazole (diosmin) |
CYP2C19 |
fluconazole, fluvoxamine, ticlopidine, voriconazole |
tienilic acid (fluoxetine), |
allicin, clopidogrel, etravirine, grapefruit juiceb),omeprazole, oral contraceptives, ritonavir roxithromycin |
(moclobemide) |
(ketoconazole), (troleandomycin) (armodafinil) |
||
CYP2D6 |
cinacalcet, fluoxetine, quinidine paroxetine, terbinafine (bupropion), (dacomitinib) |
celecoxib, duloxetine, escitalopram mirabegron, |
amiodarone, cimetidine, clobazam, cobicistat, labetalol, ritonavir, sertraline, |
(moclobemide) |
(abiraterone), (deramciclane), (desvenlafaxine), (lorcaserin) (vemurafenib) |
||
CYP3A |
cobicistat, indinavir, itraconazole, ritonavir, telaprevir, voriconazole (conivaptan),(ketoconazole),(posaconazole), (troleandomycin) |
amprenavirc), aprepitant, atazanavir, ciprofloxacin, crizotinib, cyclosporine, diltiazem, erythromycin, fluconazole, fosamprenavir, imatinib, istradefylline, miconazole, tofisopam, verapamil, (casopitant), (dronedarone), |
chlorzoxazone, cilostazol, cimetidine, fluvoxamine, fosaprepitant, ranitidine, tacrolimus (clotrimazole),(ivacaftor), (lomitapide),(ranolazine), (tabimorelin), (ticagrelor) |
clarithromycin, grapefruit juice b) , nelfinavir, saquinavir (boceprevir), (nefazodone) |
① CYP3Aの強い阻害薬の表中,点線より上の薬物は相互作用を受けやすい基質薬のAUCを10倍以上に上昇(CL/Fが1/10未満に減少)させることが報告されている.弱い阻害薬については,その相互作用に対してとるべき臨床的対処等を踏まえ,相互作用を受けやすい基質薬のAUCを1.5倍以上に上昇する薬物のみを提示している.
② 括弧内の薬物は本邦未承認.
③ 表中の薬物は,薬物相互作用データベース(http://www.druginteractioninfo.org/)及びその根拠となった論文における指標薬との臨床相互作用試験データに基づき,また当該薬物の添付文書等も確認のうえ分類を行い,例示するものである.なお,外用薬及び医療用配合剤は記載していない.
a) 表7―3及び7.8項参照.
CL/Fを1/5未満,同1/2未満1/5以上及び同1/1.25未満1/2以上に減少:それぞれCL/Fを80%以上,同50―80%及び20―50%減少と同義.
b) グレープフルーツジュースによる作用は濃度,用量及び製品に左右される.
c) CYP3A4の中程度の阻害薬であるamprenavirは,プロドラッグがfosamprenavir (calcium hydrate)として承認されている.
表7―2 P450酵素のin vivo誘導薬の例
P450分子種 |
強い誘導薬 相互作用を受けやすい基質薬a)のAUCが1/5以下に減少(CL/Fが5倍より大きく上昇) |
中程度の誘導薬 相互作用を受けやすい基質薬a)のAUCが1/2以下1/5より大きく減少(CL/Fが2倍以上5倍未満に上昇) |
弱い誘導薬 相互作用を受けやすい基質薬a)のAUCが1/1.25以下1/2より大きく減少(CL/Fが1.25倍以上2倍未満に上昇) |
CYP1A2 |
― |
phenytoin, smoking |
montelukast (moricizine) |
CYP2B6 |
― |
efavirenz |
nevirapine, rifampicin |
CYP2C8 |
― |
rifampicin |
― |
CYP2C9 |
― |
aprepitant, carbamazepine, phenobarbital, rifampicin |
― |
CYP2C19 |
rifampicin, ritonavir |
rifampicin |
― |
CYP3A |
carbamazepine, phenobarbital, phenytoin, rifabutin, rifampicin St. John's wortb) |
bosentan, efavirenz, etravirine, modafinil, |
rufinamide, (armodafinil) |
① 括弧内の薬物は本邦未承認.
② 表中の薬物は,薬物相互作用データベース(http://www.druginteractioninfo.org/)及びその根拠となった論文における指標薬との臨床相互作用試験データに基づき,また当該薬物の添付文書等も確認のうえ分類を行い,例示するものである.なお,外用薬及び医療用配合剤は記載していない.
a) 表7―3及び7.8項参照.
AUCの減少が1/5以下,同1/2以下1/5より大きい及び同1/1.25以下1/2より大きい:それぞれAUCの減少が80%以下,同50―80%及び20―50%と同義.
b) St.John's wortによる作用は濃度,用量及び製品に左右される.
表7―3 P450酵素の阻害又は誘導による相互作用を受けやすい基質薬の例
P450分子種 |
阻害あるいは誘導による薬物動態学的相互作用を受けやすい基質薬 強い阻害薬a)との併用によりAUCが5倍以上に上昇(CL/Fが1/5未満に減少)あるいは強い誘導薬a)との併用によりAUCが1/5以下に減少(CL/Fが5倍より大きく上昇) |
阻害あるいは誘導による薬物動態学的相互作用の受けやすさが中程度の基質薬 強い阻害薬a)との併用によりAUCが2倍以上5倍未満に上昇(CL/Fが1/5以上1/2未満に減少)あるいは強い誘導薬a)との併用によりAUCが1/2以下1/5より大きく減少(CL/Fが2倍以上5倍未満に上昇) |
CYP1A2 |
caffeine, duloxetine, pirfenidone, ramelteon, tizanidine (alosetron), (melatonin), (tacrine) |
clozapine, olanzapine,ramosetron, ropinirole, theophylline |
CYP2B6 |
efavirenz (bupropion) |
|
CYP2C8 |
montelukast, repaglinideb) |
pioglitazone |
CYP2C9 |
celecoxib, diclofenac, glimepiride, tolbutamide, warfarin |
fluvastatin, glibenclamide, ibuprofen, nateglinide, phenytoin |
CYP2C19 |
clobazam, lansoprazole, S―mephenytoin,omeprazoleb), voriconazole |
clopidogrel, diazepam, escitalopram, esomeprazole, etizolam, rabeprazole, sertraline, |
CYP2D6 |
atomoxetine, desipramine, dextromethorphan, maprotiline, metoprolol, nortriptyline, perphenazine, propafenone, tamoxifen, tolterodine, tramadol, trimipramine, tropisetron, venlafaxine (doxepin), (encainide), (nebivolol) |
amitriptyline, clomipramine, flecainide, imipramine, timolol, propranolol |
CYP3A |
alprazolam, aprepitant, azelnidipine, blonanserin, budesonide, buspirone, colchicine, conivaptan, darifenacin, darunavir, dasatinib, eleptriptan, eplerenone, evelolimus, felodipine, fluticasone, indinavir, lopinavir, lovastatin, maraviroc, midazolam, nisoldipine, quetiapine, saquinavir, sildenafil, simvastatin, sirolimusc), tadalafil, tolvaptan, triazolam, vardenafil (alfentanil), (dronedarone), (lurasidone), ticagrelor, tipranavir |
atorvastatin, pimozide, rilpivirine, rivaroxaban, tacrolimus |
① 括弧内の薬物は本邦未承認.
② この表は,代謝におけるP450酵素の寄与が大きい薬物を例示する目的で作成されたものであり,網羅的調査に基づくものではない.表中の薬物は,薬物相互作用データベース(http://www.druginteractioninfo.org/)及びその根拠となった論文における指標薬との臨床相互作用試験データに基づき,また当該薬物の添付文書等も確認のうえ分類を行い,例示するものである.なお,外用薬及び医療用配合剤は記載していない.
③ 薬物動態学的相互作用の大きさと,その相互作用に対してとるべき臨床的対処の程度は一致しないことが多いので注意すること.
a) 臨床薬物相互作用試験に用いるために推奨される指標薬は7.8項参照.
b) 留意事項(16)参照.
c) CYP3Aの阻害あるいは誘導による薬物動態学的相互作用を受けやすい基質薬であるsirolimus は,プロドラッグがtemsirolimusとして承認されている.
8.薬物相互作用に関する情報提供と注意喚起について基本となる考え方
医薬品開発の過程で得られた被験薬の薬物動態情報及び薬物相互作用試験の情報は,添付文書やその他の手段を通じて医療現場に提供されることにより,医薬品の適正使用のために有用な情報となる.薬物動態学的な相互作用に関する情報を添付文書に反映させる際の基本となる考え方は以下の通りである.情報提供や注意喚起の内容を判断する際には,薬物動態の変動が治療効果や副作用発現に影響するか否かという観点から検討する.
8.1 使用上の注意への記載
他の医薬品を併用することにより,被験薬又は併用薬の薬理作用の増強又は減弱,既知の副作用の増強,新しい副作用の出現又は原疾患の増悪などが生じるおそれがあり,臨床使用上の注意を要する場合には,活性本体の用量反応や曝露―応答関係などを踏まえ,有効性の減弱や効果の増強による副作用の発現並びにその種類とその程度及び薬物動態(AUC及びCmax)の変動の程度に基づき,注意喚起の要否を検討する.措置分類として,「併用禁忌(併用しないこと)」又は「併用注意(併用に注意すること)」がある.薬物動態の変動の程度に関わらず,重篤な副作用が発現する可能性が高く,それが当該薬に期待される治療効果の臨床的重要性を上回る場合には,原則として「併用禁忌」とする.当該薬による治療効果の臨床的重要性は認められるが,薬物動態の変動が承認用法・用量の範囲で想定される曝露の範囲を逸脱する可能性があり,患者を危機にさらし重篤な結果に至らぬように処置を必要とするような場合は,その程度に応じて「併用禁忌」又は「併用注意」とする.
「相互作用」の項には,冒頭において,被験薬の代謝に関わる酵素分子種とその寄与割合の目安,阻害及び誘導作用,吸収,分布及び排泄における薬物輸送機序など,相互作用に関連する薬物動態特性の概要を,原則,臨床薬物動態情報に基づき,簡潔に記載する.被験薬がP450を介して薬物動態学的相互作用を与える場合(阻害薬,誘導薬:相互作用薬),相互作用の強度(7.6項,7.7項及び表7―1,表7―2参照)も明記する.併用薬に関する注意喚起は,可能な限り表などのわかりやすい形式とし,相互作用の種類(機序など)に基づき項を分けて,薬剤名・薬効群名と相互作用の内容(臨床症状・措置方法,機序・危険因子など)を記載する.薬力学的な相互作用の場合には薬剤名の記載欄に薬効群と一般名を記載する.「併用禁忌」では,併用禁忌とするすべての薬剤名を一般名と代表的な販売名を併記して記載する.併用禁忌とする薬剤は「禁忌」の項にも簡潔に記載する.
薬物相互作用による影響を回避するための注意事項があれば,「臨床症状・措置方法」に記載し,薬物相互作用を生じる機序や併用により安全性上の懸念が生じる可能性のある危険因子などは「機序・危険因子」に記載する.相互作用の機序が不明な場合には,機序が不明である旨を記載する.
相互作用により,当該被験薬の用法・用量の調節が必要な場合には,「用法・用量に関連する使用上の注意」の項において,実施した臨床相互作用試験などにおける定量的な情報に基づき用法・用量の調節方法を具体的に記載する.また,リスク管理の観点から特に注意を喚起すべき事項は「重要な基本的注意」の項に記載する.
器質障害又は機能障害に結びつかない見かけ上の臨床検査値の変動などの診断(検査)薬との相互作用は「臨床検査結果に及ぼす影響」,薬剤学的配合変化に関する注意は,「適用上の注意」又は「取り扱い上の注意」に記載する.生物薬品や飲食物などとの相互作用についても重要なものについては同様な考え方で判断する.
類薬において,薬物動態学的相互作用により臨床上注意を要する明白な副作用が生じており,当該被験薬について,臨床相互作用試験は実施していないものの同一の薬物動態の機序に起因して,併用薬との間に薬物動態変化が生ずる蓋然性が適切なモデル解析やシミュレーションなどにより示された場合には,臨床での併用の可能性なども考慮した上で,注意喚起の記載を検討する.この考え方は薬物動態の変化を注意喚起の指標として用いるが,注意喚起の程度及び内容の判断は,あくまで有効性・安全性,対処法などの臨床的要因を考慮して決定する.また,注意喚起にあたってはモデリングやシミュレーションを活用したことが明確になるよう留意する.
8.2 相互作用薬と被相互作用薬についての記載
「併用禁忌」の注意喚起は,相互作用薬及び被相互作用薬とも,併用禁忌とするすべての薬剤名を,一般名と代表的な販売名を併記して注意喚起を行う.一方,「併用注意」の注意喚起は,併用薬剤名の一般名を明記して注意喚起を行う.ただし,CYP3Aが関わる薬物相互作用は,注意喚起が必要な併用薬が多数となることに加えて,それぞれに必要な注意喚起の程度は併用薬の薬効だけではなく薬物動態特性によっても異なることから,併用薬の全ての組合せについて添付文書に記載することは不可能である.CYP3Aが関わる薬物相互作用については,阻害又は誘導の強度分類の明記とともに併用薬の添付文書を参照する旨,基質薬に関してはCYP3Aで主に代謝される旨の記載を「相互作用」の冒頭に記載することで,「相互作用」の併用注意欄における個々の薬剤名の記載を省略することができる.しかしながら,その場合でも臨床での併用の可能性なども考慮した上で代表的な併用薬剤名を三剤程度列挙する.なお,CYP3A以外のP450分子種による薬物相互作用については,併用薬剤名を明記して注意喚起を行うとともに,必要に応じて強度分類も記載する.P450以外の代謝酵素及びトランスポーターなどによる相互作用の注意喚起においては,併用薬剤名を明記して注意喚起を行う.
8.3 薬物動態欄への記載
「薬物動態」には,ヒトにおける被験薬の薬物動態学的特徴が把握できるよう基本的な薬物動態パラメータと相互作用の機序に関連する事項とその根拠となるin vivoやin vitro試験成績を記載する.薬物動態学的特徴を把握するためには,全身クリアランス,分布容積,絶対バイオアベイラビリティ,尿中排泄率等の薬物動態パラメータが重要であり,経口投与を目的とした開発においても.必要に応じて静脈内投与によりデータを得て吸収や排泄等の該当する項目に記載する.また,相互作用の機序に関連する事項として,主要消失経路とそれに関わる酵素などとその寄与の程度に関する定量的な情報,代謝酵素の阻害及び誘導,並びに吸収,分布,排泄における薬物輸送機序などを代謝や排泄などの該当する項目に記載する.データの情報提供を行う際には,in vitro試験又は臨床薬物相互作用試験によるものか,また実測データかシミュレーションなどで得られた推定値なのか明確に区別して記載する.実施した臨床薬物相互作用試験は,相互作用の有無に関わらず,臨床的に有用と考えられる情報を「薬物動態」の項目において適切に情報提供する.薬物動態に変動が認められ治療効果や副作用発現に影響する懸念がある場合は,試験で用いた用法・用量などの情報とともに薬物動態の変化を情報提供する.試験成績の表示は,記述,表又は図を利用しAUC又はCmaxなどの変化を定量的かつ簡潔に記載する.試験デザインや詳細なデータは添付文書以外の資材を活用して情報提供する.いずれの情報提供についても,添付文書中で文献を引用するなどして根拠を明確にする.
8.3.1 薬物動態学的な相互作用を受ける薬(基質:被相互作用薬)の場合
薬物動態学的な相互作用を受ける被験薬は,相互作用を生じる薬物動態上の機序及び受ける影響の大きさを,定量的に特定して記載する.この情報は,一般に当該経路に対する選択的で強い相互作用薬との臨床薬物相互作用試験により検討される(阻害薬,誘導薬の7.6項,7.7項及び表7―1,表7―2参照).なお,特定の代謝酵素(及びトランスポーター)経路がその被験薬にとって主要な消失経路でない場合には,その根拠となるin vitro試験の情報を記載することで差し支えない.
8.3.2 薬物動態学的な相互作用を与える薬(阻害薬,誘導薬:相互作用薬)の場合
薬物動態学的な相互作用を与える被験薬は,相互作用を生じる薬物動態上の機序及び与える影響の定量的な大きさに基づき,阻害又は誘導作用の強度(7.6項,7.7項及び表7―1,表7―2参照)も記載する.ただし,トランスポーターを介した薬物相互作用の場合には,現時点ではこれらの基準を明確化することができないことから,典型基質薬(表6―4参照)に及ぼす阻害又は誘導作用の程度を定量的に記載する.
9.関連する指針及びガイドライン
本ガイドラインは,薬物相互作用の検討及び注意喚起に関する一般的原則を示したものである.既に公表されているガイドラインや指針などにも薬物相互作用の検討に関する記述が含まれているが,本ガイドラインはそれらの内容を統合して整理するとともに,現時点での最新の知見及び考え方を組み込んだものである.
ICHガイドライン
1) 平成7年3月20日付 薬審第227号 治験中に得られる安全性情報の取り扱い(ICHE2Aガイドライン)
2) 平成17年3月28日付 薬食安発0328007号 承認後の安全性情報の取り扱い:緊急報告のための用語の定義と報告の基準 (ICHE2Dガイドライン)
3) 平成17年9月16日付 薬食審査発第0916001号,薬食安発第0916001号 医薬品安全性監視の計画 (ICHE2Eガイドライン)
4) 平成8年5月1日付 薬審第335号 治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン (ICHE3ガイドライン),平成24年10月18日付 事務連絡 同質疑応答集
5) 平成6年7月25日付 薬審第494号 新医薬品の承認に必要な用量―反応関係の検討 (ICHE4ガイドライン)
6) 平成10年8月11日付 医薬発第739号 外国で実施された医薬品の臨床試験データの取り扱い,同付医薬審第672号 外国臨床データを受け入れる際に考慮すべき民族的要因についての指針 (ICHE5ガイドライン),平成16年2月25日及び平成18年10月5日付 事務連絡 同質疑応答集及び同質疑応答集(その2)
7) 平成9年3月27日付 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令,同付 薬発第430号 医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の施行 (ICHE6ガイドライン)
8) 平成5年12月2日付 薬新薬第104号 高齢者に使用される医薬品の臨床評価法に関するガイドライン (ICHE7ガイドライン),平成22年9月17日付 事務連絡 同質疑応答集
9) 平成10年4月21日付 医薬審第380号 臨床試験の一般指針 (ICHE8ガイドライン)
10) 平成12年12月15日付 医薬審第1334号 小児集団における医薬品の臨床試験に関するガイダンス (ICHE11ガイドライン),平成13年6月22日付 事務連絡 同質疑応答集
11) 平成20年1月9日付 薬食審査発第0109013号,薬食安発第0109002号 ゲノム薬理学における用語集 (ICHE15ガイドライン)
12) 平成23年1月20日付 薬食審査発第0120第1号,薬食安発第0120第1号 医薬品またはバイオテクノロジー応用医薬品の開発におけるバイオマーカー:適格性確認のための資料における用法の記載要領,資料の構成及び様式 (ICHE16ガイドライン)
13) 平成22年2月19日付 薬食審査発0219第4号 医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンス (ICH M3(R2)ガイドライン),平成24年8月16日付 事務連絡 同質疑応答集
国内の指針等 (薬物動態関連)
1) 昭和63年3月11日付 薬審1第5号 徐放性製剤 (経口投与製剤) の設計及び評価に関するガイドライン
2) 平成10年6月26日付 医薬審第496号 非臨床薬物動態試験ガイドライン
3) 平成13年6月1日付 医薬審発第796号 医薬品の臨床薬物動態試験について
4) 平成24年2月29日付 薬食審査発0229第10号 後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン等の一部改正について,同付 事務連絡 同質疑応答集
5) 平成20年6月3日付 薬食審査発第0603001号 マイクロドーズ臨床試験の実施に関するガイダンス
6) 平成20年9月30日付 薬食審査発第093007号 ゲノム薬理学を利用した治験について
7) 平成26年1月10日付 事務連絡 ブロック共重合体ミセル医薬品の開発に関する厚生労働省/欧州医薬品庁の共同リフレクション・ペーパー)
8) 平成25年2月8日付 文部科学省,厚生労働省,経済産業省 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針
9) 「母集団薬物動態試験法」解説
国内の指針 (添付文書関連)
1) 平成9年4月25日付 薬発第606号,薬安第59号 医療用医薬品添付文書の記載要領について
2) 平成9年4月25日付 薬発第607号 医療用医薬品の使用上の注意記載要領について,同付 事務連絡 同質疑応答集,平成12年12月25日付 事務連絡 医療用医薬品の使用上の注意の記載について
海外のガイダンス等
1) FDA:Guidance for Industry Drug Interaction Studies ― Study Design, Data Analysis, Implications for Dosing, and Labeling Recommendations DRAFT GUIDANCE (2012,2)
2) EMA:Guideline on the investigation of drug interactions (2013,1)
3) FDA:Guidance for Industry Clinical Pharmacogenomics:Premarket Evaluation in Early-Phase Clinical Studies and Recommendations for Labeling (2013,1)
4) EMA: Guideline on the use of pharmacogenetic methodologies in the pharmacokinetic evaluation of medicinal products (2012,8)
5) FDA: Guidance for Industry Food-Effect Bioavailability and Fed Bioequibalence Studies (2002,12)
10.留意事項,解析方法及び事例
(1) 血液脳関門におけるP―gp阻害を介した薬物相互作用の事例
血液脳関門においては,血液側にP―gp, BCRPなど複数の排出トランスポーターが発現しており,薬物の脳内への移行を制限している.これらトランスポーターが阻害された場合,被相互作用薬の脳内移行が上昇する可能性が考えられる.このような相互作用がヒトで実証された例は,手法の困難さのため限られるが,例えば,P―gpの基質薬であるベラパミルの脳移行が,阻害薬であるシクロスポリンとの併用により上昇したことが,PET試験により示された報告39)などがある.
(2) 寄与率(Contribution ratio; CR)の算出
一般に,ヒト肝ミクロソームにおけるfm(fraction metabolized)によるCRの評価が直接適用可能な場合は,経口薬で小腸における代謝が小さく,胆汁中排泄や尿中排泄などの排泄クリアランスや肝臓におけるP450以外の代謝クリアランスが無視できる場合である.また,厳密には一次代謝反応から薬物相互作用の程度が単純に計算できる場合に限られ,肝取り込みなどのトランスポーターの活性も変動する場合は,PBPKモデルなどの方法の適用が望ましい.なお,静脈内投与(注射薬)の場合は,CL/Fではなく全身クリアランス(CLtot)に対するCRを評価する必要がある.
被験薬が遺伝子多型を有する酵素(CYP2D6,CYP2C9,CYP2C19など)によって代謝される場合,遺伝的に活性を欠損する被験者(Poor metabolizer, PM)のin vitro又はin vivoのクリアランスの変化は,その酵素をほぼ完全に阻害する阻害薬を併用した場合と同程度と考えられ,対応するCLを野生型の被験者(Extensive metabolizer, EM)と比較することにより,被験薬の消失全体における当該酵素の寄与率を推定可能である.また,薬物の消失経路における特定のトランスポーターの重要性についても,その遺伝子型が異なる被験者(例:OATP1B1(SLCO1B1) c.521T>C)の間で被験薬の薬物動態を比較することにより評価できる.
(3) In vitro代謝試験による代謝酵素の同定に関する留意事項
代謝の寄与の大きい酵素分子種を同定する目的で,複数の個体から調製した肝ミクロソームなどを用いて特定の酵素活性(指標基質の代謝)と被験薬の代謝を比較する相関試験を利用する際には,各種酵素の活性強度がそれぞれの個体で互いに相関する場合があることに留意すべきである.選択性の高い酵素阻害薬が存在しないなどの場合において,やむを得ず相関試験を実施する際には,他の手法と組み合わせて判断する必要がある.また,各種P450分子種の発現系細胞から調製したミクロソームによる代謝活性を,肝臓中の各種P450分子種の含量で補正して寄与率を評価する方法(Relative activity factor, RAF)も用いられるが,一般にRAF法の妥当性確認には十分な検証が必要であり,同様に他の手法と組み合わせて判断する必要がある.
基質として代謝される分子種と阻害する分子種は必ずしも一致しないことにも留意すべきである.例えば,キニジンは,主としてCYP3Aで代謝されるが,CYP2D6を強く阻害する40,41).また,in vitroでは代謝が全く認められない,又はほとんど認められない場合でもin vivoで代謝物が認められる場合は,化学構造及び既報のデータを利用して,関与する酵素を特定できるようなin vitro試験系を見出すよう試みるべきである.
(4) 肝細胞を用いた酵素誘導試験の妥当性の確認
培養ヒト肝細胞は個体間変動やロット差が大きいため,3名以上のドナー由来の肝細胞を使用することが望ましく,さらに培養開始時の細胞生存率が80%を明らかに下回る場合,又は培養終了時の細胞生存率が顕著に低下している場合は,新たなドナー由来の肝細胞で実施すべきである.当該試験においては,通常,薬物を含む培地を一日一回交換することにより,被験薬を連続的に曝露させる.曝露期間は一般的に2~3日であるが,文献報告などを参考に適切な期間を設定する.通常は,誘導作用が最も顕著であった肝細胞での結果を臨床試験の必要性判断に用いる.なお,培養前及び培養期間終了時に,細胞形態や細胞生存率を適切に評価することにより,細胞毒性が誘導反応に影響を及ぼしていないことを確認する必要がある.毒性あるいは生存率の低下が観察された場合には,試験結果に対する影響を注意深く考察する.また,培養条件下での被験薬の代謝や分解又は培地中での蛋白結合などによる顕著な薬物濃度の低下が予想される場合には,培地中の被験薬濃度や蛋白結合率を測定することにより実際の薬物濃度を把握し,必要に応じて培地交換の頻度を増やすなどの措置を講ずることが推奨される.
(5) P450の遺伝子多型についての留意事項
遺伝子多型により活性を欠損する分子種(CYP2C19及びCYP2D6など)が代謝経路に大きく関与する場合は,活性欠損者などの特定の集団において寄与率が大きく異なることを考慮し,重要な消失経路を判断すべきである.留意事項(2)及び(19)も参照のこと.
(6) 時間依存的阻害(TDI)の事例と評価
代表的な例として,HIVプロテアーゼ阻害薬のリトナビル及びサキナビル,マクロライド系抗生物質のエリスロマイシン及びクラリスロマイシン,並びにカルシウムチャネル遮断薬のベラパミル及びジルチアゼムなどによるCYP3AのTDIがある.ジルチアゼムの場合,未変化体のジルチアゼム及びその主要代謝物であるN―脱メチルジルチアゼムの両薬物が,CYP3Aを時間依存的に阻害する42).CYP2D6のTDIの例としては,パロキセチンがある43).TDIの作用が最大になるのは,誘導薬の場合と同様に,作用を受ける酵素が新たな定常状態レベルに達した時点である.これは,酵素の分解速度定数(kdeg),及び不活性化速度定数(kinact)に依存するが,阻害薬の反復投与により阻害が経時的に強まり,阻害薬の投与中止後も長期間持続することが多い.例えば,エリスロマイシン1日あたり800mgを反復投与したときのヒトにおけるCYP3A活性の阻害は,投与4日後に最大に達した(CYP3Aの指標基質であるミダゾラムの経口投与後2日目,4日目及び7日目のAUC値はそれぞれ2.3倍,3.4倍及び3.4倍増加した)44).それぞれのP450の分解速度定数としては,in vitro及びin vivoのデータに基づいた文献報告の値を参照することができる45).また,CYP3Aのように腸管と肝臓の双方に存在する酵素は,各組織によって分解速度定数が異なることに注意する46).ただし,それらの値には幅があることから,感度分析を実施して,kdegの変動性が推定結果に及ぼす影響を明らかにすることも推奨される.
(7) 代謝酵素のダウンレギュレーションの評価
酵素誘導に関しては,in vitroデータを用いた酵素誘導評価のアルゴリズムや定量化のための複数のアプローチが提案されているが19,47―50),ダウンレギュレーションに関する検証はなされていない.薬物により生じるダウンレギュレーションの例として,フッ化ピリミジン系の薬物がCYP2C9の活性を低下させることにより,フェニトインやワルファリンのクリアランスが減少したと考えられる報告があるが,詳細なメカニズムは現在不明である51).このように,現状では薬物により生じるダウンレギュレーションと発現メカニズムの報告は非常に限定的であるため,in vitroで濃度依存的なダウンレギュレーションが観察された場合は臨床薬物相互作用試験で検討することが推奨される.
(8) 酵素誘導試験のカットオフ基準による判定
酵素誘導評価のための臨床試験の必要性を判断するために独自のカットオフの基準値を決定することも可能であるが,その際は,十分な数の臨床的エビデンスのある誘導薬及び非誘導薬を使用した結果に基づき判断する必要がある50).1名以上のドナー由来の肝細胞を用いて評価した結果が事前に定義した基準値を超えた場合は,当該薬物は誘導薬と考えられるため,追加評価が必要となる.当該評価試験において,被験薬の溶解性や細胞毒性などの原因により,in vitro試験の被験薬濃度を高濃度に設定できず,EC50やEmaxの算出が困難な場合など,結論を導けないと判断された場合は,臨床薬物相互作用試験により酵素誘導の有無を検討しなければならない.
(9) P450以外の薬物代謝酵素を介した薬物相互作用試験の必要性
P450以外の酵素に対する阻害や誘導に基づく薬物相互作用の事例は少なく,通常は,これらを事前に予測することは困難である.P450に次いで主要な薬物代謝酵素であるUGTに関しても,臨床上の懸念が大きい薬物相互作用の報告は少ない.最も顕著な例は,カルバペネム併用によるバルプロ酸のグルクロン酸抱合における代謝クリアランスの増大であるが,その機序はグルクロン酸抱合体のバルプロ酸への逆反応を触媒する酵素の阻害である52).
一般的に薬物の酵素阻害スクリーニングには含まれない酵素が主要代謝酵素である場合,当該酵素に対する強い又は中程度の阻害薬に関する情報はほとんどない.そのような場合には,必要に応じて当該酵素に対する被験薬自身の阻害強度を評価することに加えて,併用頻度の高い薬物に関しても当該酵素に対する阻害作用の有無の調査あるいはin vitroでの阻害試験を検討すべきである.これら試験の必要性は,治療域を超えるCmaxやAUCでの被験薬の安全性及びその触媒経路が薬物消失に関与する程度により異なる.
(10) モデルによる評価における留意事項
モデルによる評価を行った場合,実施したモデリングとシミュレーションは客観的に再現できる必要があり,モデルの構造の説明,生体に基づくパラメータ(生理学的パラメータ)及び薬物に特有なパラメータの設定根拠,誤差モデルの種類,解析のアウトプット,感度分析の結果などを提示する.最終のモデル式と使用したデータ及びパラメータの開示,あるいはその電子媒体での提供が考慮されるべきである.使用したソフトウエアの情報,また既定のモデルを使用する場合はそれを特定し,モデルや解析の設定に変更点がある場合はその内容を明記する.
(11) 静的薬物速度論(MSPK)モデルを適用する場合の留意事項
①MSPKモデルを適用する場合の留意点
MSPKモデルでは,被相互作用薬の薬物動態特性によって予測結果が大きく異なるため,式4(4.3.2項)において,被験薬が相互作用薬の場合で特定の代謝酵素に対する最大の相互作用を推定する場合は,fmを1に設定する.また,被相互作用薬に尿中排泄などの肝外クリアランスがある場合は,これを考慮してAUCRを算出すべきであるが,式4では最大の相互作用を推定するために,その寄与はないと仮定している.一方で,特定の医薬品に対する影響を推定する場合,薬物に特有なパラメータは文献報告等による裏付けが必要である.式中,誘導部分(BhとBg)は,用いた肝細胞ロットの適格性の評価後に使用可能である.適格性の評価において,in vitro試験系として用いる特定のロットの肝細胞について,異なる誘導能を示す複数の対照誘導薬のin vitro誘導パラメータ(EC50及びEmax)を測定し,指標薬(ミダゾラムなど)に対する対照誘導薬のin vivo誘導作用を予測する.予測した誘導作用と指標薬が臨床において受ける誘導作用を比較しd値を算出する.d値,被験薬のEC50とEmaxの測定値に基づきAUCRを算出する.この際,入力するパラメータは保守的に選択することが推奨される.また小腸の不可逆的阻害及び誘導については,MSPKモデルによる解析の経験は限られていることに注意が必要である.
②細胞中及び消化管上皮細胞中の被験薬濃度
MSPKモデルなどの薬物速度論モデルにおける被験薬濃度は,阻害又は誘導される酵素が主に存在する部位(肝細胞や消化管上皮細胞内)の濃度として,非結合形の門脈血中濃度と消化管上皮細胞近傍の最高濃度を用いる.[I]hは非結合形阻害薬又は誘導薬の門脈血中最高濃度([I]u,inlet,max)であり,[I]h=fu,b×([I]max,b+Fa×Fg×ka×Dose/QH)で保守的に推定できる53).ここで,Faは消化管吸収率で正確には消化管内腔から消化管上皮細胞内に到達する薬物の割合,Fgは消化管壁細胞に吸収後,門脈血に到達する薬物の割合,kaは吸収速度定数,QHは総肝血流量(97L/hr)54),fu,bは血中非結合率,[I]max,bは定常状態における阻害薬の最高血中総濃度(非結合形+結合形)である.血中蛋白結合率が高く(99%以上),測定値の信頼性が低い場合はfu,b=0.01とする.また,[I]gは消化管上皮細胞への仮想的な血流量(Qen,18L/hr)55)を用いて,[I]g=Fa×ka×Dose/Qenにより推定する56).kaは実測することが望ましいが,最大推定値として0.1/分に設定してもよい.用いたka及びFgの推定方法については,その妥当性を示す必要があり,必要に応じて,感度分析を実施する.
(12) 生理学的薬物速度論(PBPK)モデルを適用する場合の留意事項
臨床での薬物相互作用のリスク評価においてPBPKモデルを適用した場合,適切な注意を払わなければ,MSPKモデルを適用した場合に比べて予測は明確には改善されない場合があることに注意が必要である.特に代謝酵素の阻害による薬物相互作用の場合は,PBPKモデルであってもMSPKモデルと同様に固有クリアランスの変化をin vitroの情報から正しく予測することが重要である.その他の例えば蛋白結合や血流量の変化などの要因は,薬物相互作用の程度に大きくは影響しないことが多い.PBPKモデルにより特定の被験者集団のPKの変動を予測することは理論的には可能であるが,in vitro実験データの変動は個体間差に加えて試料採取法など多くの要因で生じており,そのままin vivoへの外挿が可能かは慎重に検討すべきである.留意事項(10)も参照のこと.
(13) 生物薬品(バイオテクノロジー応用医薬品,生物起源由来医薬品)との相互作用の事例
生物薬品と薬物の相互作用として以下の報告例がある.
・P450の発現レベルに影響を及ぼすことによるP450基質の代謝を修飾する例:IFNα―2bなどのサイトカインは,様々なP450分子種の転写レベルを低下させ酵素活性の低下を引き起こすことにより,当該P450分子種の基質薬の血中濃度を増加させる57).
・サイトカインを介したP450分子種の酵素活性低下作用の抑制によるP450活性「正常化」の例:リウマチ患者に対するトシリズマブ投与によるシンバスタチンのAUC低下が挙げられる58).
・P450又はトランスポーターの調節以外のメカニズムに基づく例:メトトレキサートの免疫抑制作用による,併用薬(生物薬品)に対して形成される抗体の減少に伴うクリアランスの低下が挙げられる59,60).
(14) トランスポーターを介した薬物相互作用の評価に関する留意事項
①OATPに対する阻害における特殊な事例
OATPでは,時間依存的な阻害が現れる場合があり,このような場合では,あらかじめトランスポーターを発現する細胞(発現系・ヒト肝細胞など)と阻害薬とを一定時間プレインキュベーション後に阻害実験を実施することにより,見かけのKi値が,プレインキュベーションなしでの通常の阻害実験から求められたKi値よりも低く見積もられることがある61,62).この見かけのKi値の方が,よりin vivoでの薬物相互作用の強度を反映する場合があることに留意が必要である.また,基質により阻害薬のKi値が異なる事例も報告されている63)ため,阻害実験の際に,基質薬としては,臨床現場での併用が想定される薬物を用いた解析が有用である.さらに,蛋白結合形の薬物による阻害も考慮しないと阻害強度が説明できない事例も報告されており,蛋白結合形薬物濃度も含めた全薬物濃度に基づいた考察が必要になる場合もある64).
②トランスポーターを介した内因性物質の変動
トランスポーターには,胆汁酸の肝輸送に寄与するSodium―taurocholate cotransporting polypeptide(NTCP)やBSEP,ビリルビンないしはそのグルクロン酸抱合体の肝輸送に寄与するOATP類やMRP2,クレアチニンやN―methylnicotinamideの腎排泄に関わる分泌に一部寄与するMATE類などのように内因性物質の輸送に関わるトランスポーターがある65―67).これらトランスポーターの阻害により,内因性物質の血中濃度上昇や組織内蓄積が認められる場合がある.内因性物質の臨床検査値に変動が見られた場合には,肝毒性及び腎毒性だけでなく,トランスポーターの阻害もその原因になり得ることがあることに留意する必要がある.BSEPの阻害強度が強い医薬品において,臨床での肝毒性発現のリスクが高い傾向がみられるとする最近の報告もあり,注意が必要である68).
(15) 投与期間と投与タイミングの重要性
CYP3Aの阻害薬であると同時にCYP2C9などの誘導薬でもあるリトナビルに代表されるように,代謝酵素の阻害薬であり誘導薬でもある場合,併用する時期により正味の相互作用が異なる可能性がある69,70).このような場合には,代謝酵素の発現量が新たな定常状態となるための十分な投与期間を設けると共に,必要に応じて,被験薬と併用薬の投与タイミングを変化させた臨床薬物相互作用試験を実施し,その影響を慎重に考察することが推奨される.
また,リファンピシンは,CYP3Aをはじめとした薬物代謝酵素の強い誘導薬として知られているが,同時にOATP1B1などのトランスポーターの阻害薬でもある71,72).したがって,リファンピシンによるトランスポーター阻害作用を検討する目的で併用投与試験を行う場合,被相互作用薬としての被験薬の濃度測定のためのサンプリングはリファンピシンの単回投与直後に行うのが最適である.一方,強い酵素誘導薬としてのリファンピシンによる影響を明確にして他の誘導薬の作用を推定することが目的である場合,リファンピシンのOATP1B1阻害作用により酵素誘導作用が過小評価されることがあるため,リファンピシン最終投与の翌日に被験薬のサンプリングを行うのが最適である.
(16) 代謝酵素の基質薬の選択
被験薬と併用される薬物の中に,治療域の狭い基質薬が含まれる場合には特に注意が必要である.治療域の狭い基質薬は,P450阻害薬との併用によってCmaxやAUCがわずかに増加するだけで,重篤な安全性の懸念が生じるおそれがある薬物である.治療域の狭い基質薬の典型例としては,ワルファリン(濃度が若干増加しただけで,重大出血を引き起こすおそれがある),torsade de pointesを引き起こすおそれがある薬物,ほとんどの細胞障害性抗腫瘍薬,及びアミノグリコシド系抗生物質などが挙げられる.これら治療域の狭い基質薬との併用が想定される場合には,安全性の観点に立って臨床薬物相互作用試験の必要性,並びに基質薬の投与量や投与期間を検討するべきである.
臨床薬物相互作用試験に使用される指標薬のいくつかは,2種類以上のP450又はトランスポーターの基質である場合があるため,選択的基質ではないことに注意する.例として,オメプラゾールはCYP2C19の基質であるが,CYP3Aによっても代謝される.CYP2C19阻害(誘導)を評価するためにオメプラゾールを基質として使用する場合は,未変化体と共に代謝物(CYP2C19を介するヒドロキシオメプラゾール及びCYP3Aを介するオメプラゾールスルホン)を測定することが推奨される73).また,レパグリニドはCYP2C8の指標薬として用いられるが,OATP1B1の基質でもあるため,同トランスポーターを阻害する薬物との相互作用試験の結果の解釈には注意が必要である.
(17) 代謝酵素とトランスポーターの両方が関わる薬物相互作用の事例
複数の酵素/トランスポーターを阻害又は誘導する場合の例としては,CYP3A及びP―gpを共に阻害するイトラコナゾールや共に誘導するリファンピシンがある.この際,CYP3A及びP―gpの両者に対して必ずしも同等の阻害能や誘導能を示すとは限らない.したがって,CYP3Aの基質,P―gpの基質,又はCYP3AとP―gpの両者の基質である被験薬との薬物相互作用試験のために阻害薬を選択する際は,CYP3A及びP―gpに対する阻害作用の違いを考慮する37).なお,リファンピシンは複数のP450及びトランスポーターの誘導薬であることが立証されており,取り込みトランスポーターOATP1B1の阻害薬でもあることに留意する(留意事項(15)参照).
また,複数の薬物を同時併用することで,代謝酵素とトランスポーターの両者が阻害され,より複雑な影響が現れた例としては,イトラコナゾール及びゲムフィブロジルの同時投与によるレパグリニドのAUCが大きく変化した場合がある.これは,酵素(CYP3A)に対するイトラコナゾールの阻害作用,及びトランスポーター(OATP1B1)及び酵素(CYP2C8)に対する,ゲムフィブロジルとその代謝物による阻害作用の総合的な作用と考えられる74).
(18) カクテル基質試験による評価
通常,カクテル基質試験は一般的な臨床薬物相互作用試験と同様に,in vitroで示された作用を検討するために行われるが,酵素(及びトランスポーター)に対する多種多様な代謝物の阻害能及び誘導能を評価することを目的として,in vitro試験の代わりに行ってもよい.
試験において使用する基質は,特定の酵素(及びトランスポーター)に対する選択的阻害薬を用いた薬物相互作用試験あるいは薬理遺伝学的試験などにおいて,その特異性が証明されている必要がある.カクテル基質試験における使用用量の妥当性は,お互いに相互作用を及ぼさないことが臨床において示されていることが望ましいが,評価対象の酵素(及びトランスポーター)に対するKm値と循環血中のCmaxや消化管における推定濃度を比較して,十分低い濃度であれば基質間の相互作用が無いとみなすことができる.
(19) 遺伝子多型を考慮した薬物相互作用の評価
CYP2C19は主としてCYP2C19*2及びCYP2C19*3多型により東アジア人で活性欠損者の頻度が高く,CYP2D6は東アジア人で活性欠損者は少ないが,活性が大きく減じる遺伝子多型であるCYP2D6*10の頻度が高い32).このため,これらの分子種がクリアランスの主要経路である被験薬については,東アジア人を対象とした試験と東アジア人以外を対象とした試験の結果を比較考察する場合に遺伝子多型に注意が必要である.特に,CYP2C19の活性欠損者において薬物相互作用の程度が大きいと予想され,臨床的に問題となる可能性がある場合には遺伝子多型を考慮した臨床薬物相互作用試験を追加することが有用である.遺伝子多型を考慮した臨床薬物相互作用試験の実施に際しては,活性欠損者の血中濃度は高値となることが予想され,被験者の安全性に最大限配慮する.また,薬物相互作用に影響を及ぼす可能性を,in vitro試験の成績等に基づき,モデリングとシミュレーションにより検討することも有用である.
遺伝子多型を考慮すべき薬物相互作用の例として以下がある.
CYP2C19で主に代謝されるボリコナゾールは,CYP2C19の活性欠損者では,代替経路であるCYP3Aの阻害薬の併用で顕著に全身曝露が増大する75).CYP2D6で主に代謝されるトルテロジンは,CYP2D6の活性欠損者では,代替経路であるCYP3Aの阻害薬の併用で全身曝露が顕著に増大する76).
CYP3A5,UGT1A1,OATP1B1 (SLCO1B1),BCRP (ABCG2)などの分子種でも,遺伝子多型によりクリアランスが変化することが知られている32,33,77).CYP3A5で頻度の高い遺伝子多型として,酵素発現の消失をもたらすCYP3A5*3が知られている.CYP3A5は,一般にCYP3A4と基質認識性が類似しているが,一部の阻害薬ではCYP3A4とCYP3A5の阻害定数が異なることが報告されている.したがって,CYP3A4の阻害が強くCYP3A5の阻害が弱い場合では,CYP3A5*3を有する被験者はCYP3A基質薬のクリアランスが大きく低下することに留意する必要がある.また,日本人では,酵素活性の低下を示すUGT1A1*6,UGT1A1*28,及び輸送機能の低下が示唆されるSLCO1B1 c.521T>C, ABCG2 c.421C>Aの頻度が比較的高いため注意を要する.
11.用語一覧
1) 基質:一般に代謝を受ける薬物あるいはトランスポーターにより輸送される薬物.
2) 分布容積:分布容積が小さいとは,ほぼ細胞外液量あるいはそれ以下の値(ヒトで約0.25L/kg以下),分布容積が大きいとはヒトで約0.8L/kg以上とする.
3) 併用薬:複数の薬物を使用する場合,それぞれを広義の併用薬と呼ぶ.なお,狭義の意味では,基礎療法に用いられている薬物に更に追加して使用される薬物を併用薬と呼ぶ.
4) 相互作用薬:薬物動態学的相互作用においては,併用することにより,他の薬物の体内動態に影響を与える薬物.例えば代謝に関しては,代謝酵素を阻害するものと誘導するものがある.
5) 被相互作用薬:薬物動態学的相互作用においては,併用薬物により,その体内動態が影響を受ける薬物.例えば代謝に関しては,代謝酵素が阻害されその薬物の代謝が低下するものと酵素誘導により代謝が亢進するものがある.
6) 被験薬:併用薬に薬物相互作用を与えるか,又は併用薬から影響を受けるかについての可能性が検討される医薬品あるいは開発中の薬物.
7) 指標薬:薬物動態に関与する酵素,トランスポーター又は血漿蛋白質に対する特異性が高いことが複数の臨床試験で確認されており,薬物動態の変動を示す指標となる薬物.定量が可能な薬物で,臨床試験で使用される薬物の場合は安全性が高いことが必要である.
8) 単代謝酵素薬物:主として一つの代謝酵素により代謝される薬物.当該代謝酵素の活性変動による薬物相互作用を受けた場合に総代謝クリアランスの変動が大きく,その場合のリスクが高い.
9) 多代謝酵素薬物:複数の代謝酵素により代謝される薬物.一般に,薬物相互作用による代謝酵素活性変動を受けた場合に総代謝クリアランスの変動が小さく,よりリスクが低い.
10) トランスポーター:生体膜を横切り,薬物を細胞の内外へ輸送する担体.
11) 選択的阻害薬,選択的基質薬:ある代謝酵素又はトランスポーターに対してのみ,比較的強い阻害作用を有する薬物,又は比較的選択的に代謝又は輸送を受ける薬物.
12) 典型阻害薬,典型基質薬(表6―4,6―5):あるトランスポーターの阻害に良く用いられるが,複数の代謝酵素又はトランスポーターを阻害する場合があり,典型基質は複数の代謝酵素又はトランスポーターの基質となる場合があるため,必ずしも選択的阻害薬又は選択的基質薬とはならない.
13) 強い阻害薬,中程度の阻害薬,弱い阻害薬:「相互作用を受けやすい基質薬」のAUCを,5倍以上に上昇(CL/Fが1/5未満に減少)させると考えられる医薬品などを「強い阻害薬」,2倍以上5倍未満に上昇(CL/Fが1/2未満1/5以上に減少)させると考えられる医薬品などを「中程度の阻害薬」,1.25倍以上2倍未満に上昇(CL/Fが1/1.25未満1/2以上に減少)させると考えられる医薬品などを「弱い阻害薬」とする(7.6項の記載を参照).
14) 強い誘導薬,中程度の誘導薬,弱い誘導薬:「相互作用を受けやすい基質薬」のAUCを1/5以下に減少(CL/Fが5倍より大きく上昇)させると考えられる医薬品などを「強い誘導薬」,1/2以下1/5より大きく減少(CL/Fが2倍以上5倍未満に上昇)させると考えられる医薬品などを「中程度の誘導薬」,1/1.25以下1/2より大きく減少(CL/Fが1.25倍以上2倍未満に上昇)させると考えられる医薬品などを「弱い誘導薬」とする(7.7項の記載を参照).
15) 相互作用を受けやすい基質薬,相互作用の受けやすさが中程度の基質薬:「強い阻害薬」の併用によりAUCが5倍以上に上昇(CL/Fが1/5未満に減少)する基質薬を「薬物動態学的相互作用を受けやすい基質薬」,「強い阻害薬」との併用によりAUCが2倍以上5倍未満に上昇(CL/Fが1/5以上1/2未満に減少)する基質薬を「薬物動態学的相互作用の受けやすさが中程度の基質薬」とする(7.8項の記載を参照).
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