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○要指導医薬品の製造販売後調査等の実施方法に関するガイドラインについて

(平成26年6月12日)

(/薬食審査発0612第5号/薬食安発0612第1号/)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長・厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)

(公印省略)

一般用医薬品の製造販売後調査の実施方法については、「新一般用医薬品の市販後調査の実施の自主基準について」(昭和63年12月26日付け薬発第154号厚生省薬務局安全課長通知。以下「旧課長通知」という。)により示してきたところです。

今般、「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律」(平成25年法律第103号)に基づき、医薬品の新たなカテゴリーとして、「要指導医薬品」が設けられたことを踏まえ、要指導医薬品の製造販売後調査等の実施方法について、別添のとおりガイドラインを定めましたので、貴管下関係業者に対し周知徹底を図るとともに、その実施に遺漏なきよう、お願いいたします。

なお、本通知の施行に伴い、旧課長通知は廃止いたします。

(別添)

要指導医薬品の製造販売後調査等の実施方法に関するガイドライン

本ガイドラインは、要指導医薬品の製造販売後調査等の目的を踏まえ、使用成績調査、特定使用成績調査、製造販売後臨床試験及び製造販売後安全性調査(以下「製造販売後調査等」という。)の標準的な方法等を定めたものである。ただし、学問の進歩等を反映した合理的根拠に基づいたものであれば、必ずしも本ガイドラインに示した方法を固守するよう求めるものではない。

1 要指導医薬品

要指導医薬品とは、次の①から④までに掲げる医薬品(専ら動物のために使用されることが目的とされているものを除く。)のうち、

・その効能及び効果において人体に対する作用が著しくないものであって、

・薬剤師その他の医薬関係者から提供された情報に基づく需要者の選択により使用されることが目的とされているものであり、かつ、

・その適正な使用のために薬剤師の対面による情報の提供及び薬学的知見に基づく指導が行われることが必要なもの

として、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するものである。

① その製造販売の承認の申請に際して、薬事法(昭和35年法律第145号。以下「法」という。)第14条第8項第1号に該当するとされた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

② その製造販売の承認の申請に際して①に掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能、効果等が同一性を有すると認められた医薬品であって、当該申請に係る承認を受けてから厚生労働省令で定める期間を経過しないもの

③ 法第44条第1項に規定する毒薬

④ 法第44条第2項に規定する劇薬

2 調査・試験の基本的な考え方

(1) 要指導医薬品の製造販売後に実施する調査及び試験は次のとおりである。なお、要指導医薬品のうち、法第14条の4第1項第1号に規定する医薬品(以下「新医薬品」という。)で行う調査については、「医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令」(平成16年12月20日厚生労働省令第171号)、「医療用医薬品の製造販売後調査等の実施方法に関するガイドラインについて」(平成17年10月27日付け薬食審査発第1027001号審査管理課長通知)等を参照し、実施するものとする。

ア 要指導医薬品のうち、法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品

(ア) 使用成績調査

(イ) 特定使用成績調査

(ウ) 製造販売後臨床試験

イ 要指導医薬品のうち、法第14条第8項第1号に規定する医薬品であって、新医薬品以外の医薬品

法第79条第1項の規定に基づき、製造販売の承認の条件として当該承認を受けた者に対し付された製造販売後安全性調査

(2) 1つの調査又は試験で様々な情報を得ようとすると、結果が曖昧になってしまう可能性があるので、調査又は試験は目的を明らかにし、目的ごとに行う。

3 要指導医薬品のうち、法第14条の4第1項第1号に規定する新医薬品で行う調査

(1) 製造販売後調査等基本計画書等

新医薬品の再審査に係る製造販売後調査等基本計画書並びに使用成績調査実施計画書、特定使用成績調査実施計画書及び製造販売後臨床試験実施計画書の作成等については、「新医療用医薬品の再審査に係る製造販売後調査等基本計画書等について」(平成17年10月27日付け薬食審査発第1027007号審査管理課長通知)を参照すること。

(2) 使用成績調査について

1) 使用成績調査の定義

製造販売業者等が、当該医薬品の取扱い販売店において販売を行う際に、医薬品の使用者の条件を定めることなく、副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行う調査をいう。

2) 使用成績調査の方法

使用成績調査の方法は、医薬品ごとに検討されるべきであるが、比較的多くの医薬品に用い得ると考えられる標準的な調査方法を以下に示す。

ア 目的

以下の事項等を把握することを主な目的とする。

(ア) 未知の副作用(特に重要な副作用について)

(イ) 医薬品の使用実態下における副作用の発生状況の把握

(ウ) 安全性又は有効性等に影響を与えると考えられる要因

イ 要点

(ア) 主として安全性に焦点をあてた調査を行う。なお、当該医薬品の取扱販売店において販売され、適正に使用されているかどうかも含め把握することを目的とした調査を行う。

(イ) 調査症例数は医薬品の特性等に応じて設定する。

(ウ) 未知の副作用を確実に収集することを目的に、使用中又は使用後に発現した有害事象(副作用を含む。以下同じ。)について調査し、必要な場合、追跡調査を行う。

(エ) 薬剤の併用などが、安全性等の評価に影響を与える可能性について検討する。

(3) 特定使用成績調査について

1) 特定使用成績調査の定義

製造販売業者等が、当該医薬品の取扱い販売店において、小児、高齢者、妊産婦、長期の使用者、その他医薬品を使用する条件が定められた使用者における副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに品質、有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行う調査をいい、例えば、次のような調査が特定使用成績調査に該当する。

ア 小児、高齢者、妊産婦等特別な背景を有する使用者における有効性及び安全性等に係る調査

イ 長期の使用者における有効性及び安全性等に係る調査

ウ 注目すべき副作用の発生等、有効性及び安全性等に影響を与えると思われる要因の検出又は確認のための調査

エ 症例報告が少ない等の理由により因果関係が特定できない副作用を集中的に収集し、当該医薬品との因果関係を確認するための調査

2) 主な特定使用成績調査の方法

ア 小児、高齢者、妊産婦等特別な背景を有する使用者における調査

(ア) 目的

承認前の臨床試験において十分な検討が行われていない小児、高齢者、妊産婦等特別な背景を有する使用者における有効性及び安全性に関する情報の検出又は確認を行うことを主な目的とする。

(イ) 要点

a 特別な背景を有する使用者に対する使用例が少ない医薬品にあっては、当該使用例をできるだけ把握するように努める。

b 使用中又は使用後に発現した有害事象について調査し、必要な場合、追跡調査を行う。

c 妊婦等、プロスペクティブに調査を実施することが困難な者を対象とする場合については、レトロスペクティブに当該使用例の使用者、使用の状況、有害事象の有無等について詳細に調査する。

イ 長期の使用者における調査

(ア) 対象医薬品

長期に使用することが予想される医薬品のうち、新医薬品の臨床評価方法に関するガイドライン等で製造販売後の長期使用に関する調査の必要性が示唆されているもの。

(イ) 目的

長期使用例での有効性及び安全性等に関する情報の検出又は確認を行うことを目的とする。

(ウ) 要点

a 承認時に有効性、安全性等が検討されている期間を上回る期間で調査を行う。また、新医薬品の臨床評価ガイドライン等で使用期間が設定されている場合はその期間を参考とする。

b 使用中又は使用後に発現した有害事象について調査し必要な場合、追跡調査を行う。

c 本調査の評価対象とする症例は、特定使用成績調査実施計画書に定めた一定期間以上使用した症例とする。なお、調査期間がそれまでに達しなかった症例についても、安全性の評価に含める。

(4) 製造販売後臨床試験について

1) 製造販売後臨床試験の定義

製造販売業者等が、治験若しくは使用成績調査の成績に関する検討を行った結果得られた推定等を検証し、若しくは当該医薬品の取扱販売店において、販売を行う際には得られない品質、有効性及び安全性に関する情報を収集するため、当該医薬品について法第14条又は法第19条の2の承認に係る用法、用量、効能及び効果に従い行う試験をいう。

2) 製造販売後臨床試験の方法

製造販売後臨床試験の方法は、医薬品の特性や試験の目的によって異なるが、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(平成9年厚生省令第28号)等を遵守して実施する。

(5) 調査結果の報告

薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号)第62条第2項及び第3項並びに第4項の規定に基づき実施すること。なお、報告時期、報告様式等については、「薬事法施行規則の一部を改正する省令の施行及び新医療用医薬品に関する安全性定期報告制度について」(平成25年5月17日付け薬食発0517第2号厚生労働省医薬食品局長通知)及び「安全性定期報告書別紙様式及びその記載方法について」(平成25年5月17日付け薬食審査発0517第4号・薬食安発0517第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長・厚生労働省医薬食品局安全対策課長通知)を参照すること。

4 要指導医薬品のうち、法第14条第8項第1号に規定する医薬品であって、新医薬品以外の医薬品で行う調査

(1) 製造販売後安全性調査について

副作用頻度調査、一般調査、文献調査、海外措置報告等の安全性情報に関する調査のほか、必要に応じ適正使用調査等を行う。

(2) 製造販売後安全性調査計画書

本調査の実施に当たっては、要指導医薬品製造販売後安全性調査計画書を別紙様式1により、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「機構」という。)宛てに提出する(正副1部)。提出時期については、当該品目の承認審査に合わせて機構に個別に相談すること。

(3) 製造販売後安全性調査の方法

1) 副作用頻度調査の定義

製造販売業者等が、当該医薬品の取扱販売店において、販売を行う際に、副作用による疾病等の種類別の発現状況並びに安全性及び適正使用に関する情報等の検出又は確認を行う調査をいう。

2) 副作用頻度調査の方法

ア 目的

以下の事項等を把握することを主な目的とする。

(ア) 未知の副作用(特に重要な副作用について)

(イ) 医薬品の使用実態下における副作用の発生状況の把握

(ウ) その他、必要に応じ適正使用等に関する状況の把握

イ 要点

(ア) 調査概要

当該医薬品の取扱販売店を対象にモニター店を設定し、使用者アンケートによる副作用頻度調査を実施する。

a 調査予定施設数:施設数は特に限定しない。ただし、調査地域に片寄りがないように配慮する。

b 調査予定例数:原則として内服薬は3,000例、外用薬は1,000例とするが、必要に応じ適切な症例数を収集する。

c 調査実施予定期間:原則として販売開始後3年間実施する。

(イ) 調査方法

比較的多くの医薬品に用い得ると考えられる標準的な調査方法を以下に示す。

a 調査の依頼

次のような文書をモニター店に配布し依頼する。

① 依頼文書

本調査への協力依頼及び調査要領を記載した文書であり、本調査の趣旨、具体的な調査要領、副作用発生時の対応、連絡先等を記載する。

② 使用者アンケート

当該医薬品の使用者に副作用発生の有無を記入してもらうものであるが、使用目的等のいくつかの質問項目を追加すること。

③ 副作用調査票

②の使用者アンケートで副作用ありとの回答があった場合に、その具体的な内容を使用者から聴き取り記入する用紙である。

b 使用者アンケートの実施

モニター店は、当該医薬品を販売する際に使用者にあらかじめ調査への協力の了解を得て使用者アンケートを手渡し、当該医薬品の使用後に記入の上、購入店に持参するようお願いする。

c 副作用調査票への記入

モニター店は、使用者アンケートに、使用者が副作用ありとの回答があった場合に、その具体的な内容を使用者より聴き取り、使用方法、副作用の症状、転帰等を可能な限り詳細に記入してもらう。なお、副作用調査票の記入は、モニター店が行うことを原則とする。

d 使用者アンケート及び副作用調査票の回収

製造販売業者等の担当者がモニター店より定期的に使用者アンケート及び副作用調査票を回収する。

e その他

製造販売業者等の担当部門は、回収した情報の内容を検討し、必要に応じ販売店より聴き取り、必要な情報を追加する。

使用上の注意に記載のない副作用及び重篤な副作用が発生した場合には、その都度、速やかに製造販売業者等の担当者に電話等にて連絡するよう依頼する。

(ウ) アンケートの製品添付等による調査

製造販売業者等が、使用者アンケートを当該製品に添付するなど、使用者情報を直接収集することは差し支えない。副作用の情報を入手した場合、製造販売業者等の担当者は直接、使用者より副作用の内容を収集し、副作用調査票に出来るだけ詳細に記入する。

本調査は、モニター店における調査を補完するものであり、回収したアンケートにより得られた例数は、調査例数に合わせて所定例数とすることで差し支えないが区別して集計すること。

4) 一般調査

製造販売業者等は、当該医薬品取扱販売店に、本調査の趣旨、使用者から副作用の報告を受けた場合の対応、連絡方法等を記載した本調査への協力依頼文書を配布し、副作用の報告があった場合は、直ちに連絡してもらうよう依頼する。

なお、製造販売業者等は、当該医薬品取扱い販売店あるいは使用者から直接当該医薬品に関する副作用の連絡を受けた場合、必要に応じ詳細な情報を入手する。

(4) 調査結果の報告

製造販売後の副作用頻度調査、一般調査、文献調査、国外情報等安全性に関する調査のほか、適正使用等に関する調査結果。

ア 報告時期及び頻度

原則として、副作用頻度調査開始後、以下の時点で調査結果をまとめ、当該調査期間終了後2か月以内に機構宛に報告する。

① 定期報告:調査開始後1年ごと

② 中間報告:調査期間満了時まで1年未満であって、調査予定例数に到達した時点

③ 最終年次報告:調査期間満了時

また、中間報告及び最終年次の調査結果の報告に当たっては、承認日以降の調査結果をまとめて報告する。なお、定期報告時に調査予定報告症例数に達した場合、中間報告は不要とする。

イ 報告書

以下の様式により報告書を作成し提出する(正副1部)。

① 要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書(別紙様式2)

② 副作用種類別発現状況(別紙様式3):副作用頻度調査の結果を記載する。

③ 副作用発現症例一覧表(別紙様式4):副作用頻度調査の発現症例を記載する。

④ 未知・非重篤副作用別発現症例一覧表(別紙様式5):一般調査、文献等の副作用頻度調査以外から収集された症例を記載する。

⑤ 重篤副作用症例一覧表(別紙様式6):副作用頻度調査、一般調査、文献等で収集された症例を記載する。

ウ その他

その他の安全性に関する情報も、要指導医薬品製造販売後安全性調査報告書に記載し報告すること。最新の添付文書1部を添付すること。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3

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別紙様式4

別紙様式5

別紙様式6