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○生活保護法の一部を改正する法律等の施行について(通知)

(平成26年4月18日)

(社援発0418第359号)

(各都道府県知事・各指定都市市長・各中核市市長あて厚生労働省社会・援護局長通知)

(公印省略)

生活保護法の一部を改正する法律(平成25年法律第104号。以下「改正法」という。)については、平成25年12月13日に公布され、その概要について、平成25年12月13日付け社援発第5号当職通知「生活保護法の一部を改正する法律の公布について」を発出したところである。

今般、改正法が平成26年7月1日から全面施行されることに伴い、生活保護法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成26年政令第164号。以下「改正政令」という。)及び生活保護法施行規則の一部を改正する省令(平成26年厚生労働省令第57号。以下「改正規則」という。)が平成26年4月18日に公布され、平成26年7月1日から施行される。

今回施行される改正法、改正政令及び改正規則の規定について、その趣旨、主な内容等は、下記のとおりであるので、内容を十分御了知の上、関係機関等への周知を図るとともに、その実施に遺漏のないようにされたい。

第1 申請による保護の開始及び変更並びに扶養義務者に対する通知に関する事項

1 改正の趣旨及び内容

生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)第7条では、申請保護の原則を採っているが、申請から決定までの手続について定める法第24条には、これまで具体的な申請手続については定めていなかったところである。改正法により、法第24条の保護の要否等の決定のための事実確認を担保する趣旨である法第29条を見直し、福祉事務所の調査権限の拡大を行うことに合わせて、申請時の確認事項についても法律上明確に位置づける必要があるという法制的な整合性を図る観点から、法第24条を見直し、保護の開始等の申請に当たっての申請書の提出等に係る手続を整備するものとしたこと。(改正法による改正後の法(以下「新法」という。)第24条第1項及び第2項関係)

現在、事情のある者に認めている口頭による保護の開始等の申請も含め、現行の運用の取扱いをこの改正により変更するものではなく、また、保護の開始の申請等の意思が示された者に対しては、その申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為も厳に慎むべきであることは改正後も何ら変わるものではないこと。

また、生活保護制度では、扶養義務者からの扶養は、受給するための要件とはされていない。これは、扶養義務者が扶養しないことを理由に、生活保護の支給を行わないとした場合には、本人以外の事情によって、本人の生活が立ちゆかなくなることも十分に考えられることによるものである。一方で、本人と扶養義務者の関係において考慮が必要な特段の事情がない場合であって、扶養が明らかに可能と思われるにもかかわらず、扶養を拒否しているといった場合には、国民の生活保護制度に対する信頼を損なうことになりかねず、適当ではないこと。

新法に新設する扶養義務者から報告を求めることができる規定(新法第28条第2項)や、扶養義務者から費用を徴収することができる規定(法第77条)の適用があり得る扶養義務者に対しては、事前に親族が保護を受けることを把握できるようにすることが適当であることから、保護開始の決定の際にその事実を扶養義務者へ通知する規定を設けることとしたこと(新法第24条第8項関係)。ただし、当該通知を行うのは、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合に限ることとしたこと。(改正規則による改正後の生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第21号。以下「規則」という。)(以下「新規則」という。)第2条第1項)

また、当該規定は、法制的な観点から規定することとしたものであり、扶養義務者による扶養は保護の要件ではなく、保護に優先するという考え方を変えるものではないこと。

2 留意事項

1と併せて、改正規則において、規則の規定を次のとおり改正することとしたこと。

(1) 保護の開始等の申請等

① 新法第24条第1項(同条第9項において準用する場合を含む。)の規定による保護の開始等の申請は、保護の開始を申請する者(以下「申請者」という。)の居住地又は現在地の保護の実施機関に対して行うものとすること。(新規則第1条第1項関係)

② 保護の実施機関は、保護の開始等の申請について、申請者が申請する意思を表明しているときは、当該申請が速やかに行われるよう必要な援助を行わなければならないこと。(新規則第1条第2項関係)

なお、新法第24条第2項の規定に基づく保護の開始等の申請に当たって申請書に添付しなければならない書類について、新規則で規定するものはないので留意すること。

(2) 扶養義務者に対する通知

① 扶養義務者への通知

新法第24条第8項の規定に基づく扶養義務者への通知は、次のいずれにも該当する場合に限り行うこととすることとしたこと。(新規則第2条第1項関係)

ア 保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合

イ 申請者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(平成13年法律第31号)第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けているものでないと認めた場合

ウ ア及びイのほか、保護の実施機関が、当該通知を行うことにより申請者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合

② 扶養義務者に通知する事項

当該通知する事項として、申請者の氏名及び当該者からの保護の開始の申請があった日を規定することとしたこと。(新規則第2条第2項関係)

第2 要保護者、扶養義務者等に対する報告の求め等に関する事項

1 改正の趣旨及び内容

要保護者の生活実態の把握や不正受給が疑われる場合の事実確認等において、要保護者から説明を求めることがあるが、これまで明確な根拠規定がなかったことから、法第28条を改正し、福祉事務所が保護の決定及び実施等に必要があると認めるときは、要保護者に対し、報告を求めること等ができる規定を設けることとしたこと。(新法第28条第1項関係)

上記第1の扶養義務者への通知の規定でも記載しているとおり、本人と扶養義務者の関係において考慮が必要な特段の事情がない場合であって、扶養が明らかに可能と思われるにもかかわらず、扶養を拒否しているといった場合には、国民の生活保護制度に対する信頼を損なうことになりかねず、適当ではない。このため、扶養義務者等へ報告を求めることができる規定を設けこととし(新法第28条第2項関係)、扶養義務者に対する当該報告の求めは、明らかに扶養義務を履行することが可能と認められる扶養義務者が、民法に定める扶養を履行していない場合に限ることとするものであること。(新規則第3条関係)

2 留意事項

1と併せて、改正規則により、新法第28条第2項の規定に基づく保護の実施機関による扶養義務者に対する報告の求めは、当該扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行しておらず、かつ、当該求めが次のいずれにも該当する場合に限り、行うこととしたこと。(新規則第3条関係)

ア 保護の実施機関が、当該扶養義務者に対して法第77条第1項の規定による費用の徴収を行う蓋然性が高いと認めた場合

イ 要保護者が配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条第1項に規定する配偶者からの暴力を受けているものでないと認めた場合

ウ ア及びイのほか、保護の実施機関が、当該求めを行うことにより要保護者の自立に重大な支障を及ぼすおそれがないと認めた場合

第3 官公署等に対する資料提供の求め等に関する事項

1 改正の趣旨及び内容

法第4条第1項において、保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるとされている。

このため、法においては、福祉事務所が保護の決定又は実施のために要保護者及びその扶養義務者の資産及び収入の状況を確認するための調査権限を定めているところであるが、不正受給対策をより実効あらしめるため、次のとおり福祉事務所の調査権限の強化を図ることとしたものであること。(新法第29条)

(1) これまで、法第29条の調査権限の内容については、要保護者の「資産及び収入の状況」が定められていたが、要保護者に対する自立に向けた更なる就労指導、要保護者の生活実態の把握や保護費支給の適正化を確保するため、健康状態や求職活動の状況等を追加すること。

(2) 法第29条の調査目的について、保護の決定及び実施に加え、新法第77条及び第78条の費用等の徴収を加えるとともに、調査対象者について、これまでの「要保護者及びその扶養義務者」に加えて、「過去に保護を受給していた者及びその扶養義務者」も対象とすること。

(3) これまで法第29条に基づく調査を行った場合に、回答が得られないことにより、保護の決定又は実施に支障があるとの課題があったことから、法別表第一に掲げる情報については、官公署等に調査に対する回答義務を設けること。

2 留意事項

1と併せて、改正政令において、生活保護法施行令(昭和25年政令第148号。以下「令」という。)を改正し、新法第29条第1項第1号に基づき、保護の実施機関又は福祉事務所が官公署等に資料の提供等を求めることができる要保護者又は被保護者であった者に係る政令で定める事項について、支出の状況を定めることとしたこと。(改正政令による改正後の令(以下「新令」という。)第2条の2関係)

これは、特に金銭管理が困難である被保護者については、その適正な保護の決定、実施等の観点から、銀行等の金融機関で保有している当該者の預金残高からの支出に関するもの等、その支出の状況に関する情報について把握する必要がある場合があることから規定するものであること。

第4 医療機関等の指定制度の見直しに関する事項

1 法改正の趣旨及び内容

(1) 指定医療機関の指定要件及び指定取消要件の明確化等

法による医療扶助を担当する指定医療機関の指定及び指定取消しについては、これまで具体的な要件が規定されておらず、不適正な指定医療機関への対応が十分行われる環境にあるとは言いがたい状況にあった。このため、新法では、健康保険の取扱い等を参考に、指定医療機関等の指定及び指定取消要件を明確化するなど指定医療機関の指定制度等について見直しを行ったこと。(新法第49条から第51条まで関係)

具体的には、新法では、指定医療機関の指定要件に欠格事由(指定申請を行う医療機関の開設者又は管理者が、指定の取消しがあってから5年を経過していない場合には、指定を受けることができない等)や、指定の更新制(指定医療機関は6年毎に更新を受けなければ指定の効力が失効する)等を新たに創設したこと。

このため、都道府県、指定都市及び中核市(以下「都道府県等」という。)本庁においては、申請のあった医療機関について過去の情報(開設者や管理者)を確認し、また、指定の更新日が近付いた指定医療機関に対して、必要に応じて更新時期が近付いたことの通知等を行うことにより、指定の更新が遺漏なく実施されるよう配慮する必要があり、これまで以上に指定医療機関の情報を適切に管理することが求められること。

併せて、指定介護機関等についても、今般の指定医療機関の指定制度等の見直しに合わせて指定要件の明確化等の見直しを行っていること。(新法第54条の2及び第55条関係)

(2) 不適切な事案等への対応の強化

多くの医療機関等では適正な医療の給付が行われている中で、生活保護制度に対する信頼を確保するためには、一部の医療機関等で生じている不適切な事例について厳正に対処する必要がある。そのため新法ではこれまでは対象となっていなかった指定医療機関等の開設者であった者等についても、必要と認める事項の報告を命じること等ができるものとするほか、偽りその他不正な手段により医療等の給付に要する費用の支弁を受けた指定医療機関等があるときは、その返還させるべき額のほか、100分の40を乗じて得た額以下の金額を徴収することができるものとしたこと。(新法第54条及び第78条第2項関係)

なお、「生活保護法による医療扶助運営要領について」(昭和36年9月30日社発第727号厚生省社会局長通知)及び「生活保護法による介護扶助の運営要領について」(平成12年3月31日社援第825号厚生省社会・援護局長通知)について改正を行い、不正等の事実が認められる指定医療機関等に対し、指定の取消し又は指定の効力停止の処分を行う場合であって、診療及び診療報酬の請求に係る返還金が生じた場合には、原則として、その返還させるべき額のほか、返還額に100分の40を乗じて得た額の金額を都道府県又は市町村の長に支払うべきものとすることとしていること。

(3) 指定医療機関等への指導体制の強化等

ア 指定医療機関等に対する指導等の実施に当たっては、都道府県等が指定した医療機関等については、一義的には指定権者である都道府県等が行うべきものである。

今後もその考え方は変わるものではないが、一部の不適切な指定医療機関等に効率的・効果的に対処できるようにするため、改正法では、都道府県等が指定した医療機関等への立入検査等について、被保護者の利益を保護する緊急の必要があると厚生労働大臣が判断した場合には、都道府県等と密接な連携の下で、国も実施できることとしている。(新法第84条の4関係)

具体的な連携方法や指導検査体制等については、現在、地方自治体によって指導検査体制や指導方法等が相当程度異なる状況にあるため、現時点において一律定型化し示すことは困難と考えている。このため、個別指導について、厚生労働省において適宜地方自治体から相談を受けつつ、当面の間は、連携して指導等を行う地方自治体を限定して対応し、具体的な事例を積み重ねていくこととしている。

イ 指定医療機関又は健康保険法(大正11年法律第70号)による保険医療機関のいずれかの指定が取り消された際に、両制度間で関連性を持たせて対応できることとした。そのため、都道府県知事は、指定医療機関の指定を取り消した場合であって、保険医療機関の指定取消要件に該当すると疑うに足りる事実があるときは、その事実を厚生労働大臣に通知することとしたこと(新法第83条の2)。また、健康保険法による保険医療機関の指定が取り消された場合に、指定医療機関の指定を取り消すことができることとしたことから、保険医療機関の指定取消の状況の把握に十分留意すること。(新法第51条第2項第1号関係)

(4) 指定介護機関の指定の申請手続

ア これまで、介護扶助の給付を担当する指定介護機関については、老人福祉法(昭和38年法律第133号)第20条の5に規定する特別養護老人ホームについて、介護保険法(平成9年法律第123号)第42条の2第1項(地域密着型介護老人福祉施設)又は第48条第1項第1号(介護老人福祉施設)の指定があった機関は法の指定介護機関の指定を受けたものとみなし、他の介護機関については、法による指定を受けるための指定を受けることが必要であった。

これを新法では、介護保険法による指定又は開設許可を受けた介護機関すべてについて、法による指定を受けたものとみなし、当該介護機関については、介護保険法による指定の取消し等があった場合には、法による指定の効力についても失効するものとしたこと。(新法第54条の2第2項及び第3項関係)

イ ただし、介護保険法の指定又は開設許可を受けた介護機関(地域密着型介護老人福祉施設及び介護老人福祉施設を除く。)が、あらかじめ、新法の指定を不要とする別段の申出をしたときは、新法による指定を受けたものとはみなさないものとしたこと。(新法第54条の2第2項ただし書関係)

このため、都道府県等本庁の生活保護担当部局は、都道府県又は市町村の介護保険担当部局において介護保険の指定又は開設許可を行った介護機関の情報を適宜把握することが求められること。

ウ 介護保険法の指定又は開設許可を受けた介護機関が、一旦は、新法の指定を不要とする旨を申し出たが、その後、新法の指定介護機関の指定の申請を行うことも想定されるため、こうした場合における指定に係る規定を整備したこと。(新法第54条の2第1項及び第4項関係)

エ なお、改正法附則第6条第1項において、現行法の規定による指定を受けている指定介護機関は、施行日において改正法の規定による指定を受けたものとみなされるものとしているが、当該指定介護機関は、新法第54条の2第2項の規定による指定(みなし指定)を受けたものではないため、改正法による改正前の法第54条の2第2項の規定の適用を受けたものを除き、当該指定介護機関が介護保険法の規定による指定の取消し等があった場合であっても、指定の取消し等を行わなければ指定の効力は失われないものであるので、留意する必要があること。(改正法附則第6条関係)

(5) 指定施術機関におけるはり師及びきゅう師の取扱い

新法による医療の給付のうち、施術の給付については、あん摩マッサージ指圧師及び柔道整復師に加え、はり師及びきゅう師についても、都道府県知事の指定を受けた者が行うことができるものとしていること。(新法第34条第4項関係)

これにより、新法の施行日前から医療扶助運営要領により施術(はり・きゅう)を担当するはり師及びきゅう師として登録されている者が、新法の施行日後においても施術(はり・きゅう)を引き続き担う場合には、新法第55条第1項の規定による指定を受けなければならないことに留意すること。

(6) 指定介護機関、指定助産機関及び指定施術機関へ指定医療機関に係る指定手続等の規定の準用

指定介護機関、指定助産機関及び指定施術機関については、指定医療機関の指定及び指定取消要件や報告等の規定について、これを読み替えて準用することとしていること。また、不正利得による返還金額への徴収金の上乗せについても、指定介護機関、指定助産機関及び指定施術機関に対して適用されるものであり、指定医療機関と同様に不適切な事案に対する対応を強化しているものであること。(新法第54条の2第4項、第55条第2項及び第78条第2項関係)

なお、指定介護機関、指定助産機関及び指定施術機関については、指定の有効期間(指定の更新制)の導入はしないこととしていることに留意すること。

2 留意事項

上記1と併せて、改正政令において令を、改正規則において規則を、それぞれ次のとおり改正することとしたので留意すること。

(1) 改正政令による令の改正

ア 指定医療機関等の指定の拒否に係る法律

改正法により新たに規定された、指定医療機関等の指定に係る拒否要件である、「申請者がこの法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき」(新法第49条の2第2項第3号(同条第4項(新法第49条の3第4項及び第54条の2第4項において準用する場合を含む。)、新法第49条の3第4項、第54条の2第4項及び第55条第2項において準用する場合を含む。))における「国民の保健医療若くは福祉に関する法律で政令で定めるもの」について、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等を定めることとしたこと。(新令第4条の2関係)

イ 指定医療機関等の指定の取消しに係る法律

改正法により新たに規定された指定医療機関等の指定の取消しに当たっての要件である、「指定医療機関が、この法律その他国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき」(新法第51条第2項第8号(新法第54条の2第4項及び第55条第2項において準用する場合を含む。))における「国民の保健医療若しくは福祉に関する法律で政令で定めるもの」について、健康保険法等を定めることとしたこと。(新令第4条の3関係)

ウ 指定医療機関の指定の更新に関する読替え

新法第49条の3第4項の規定において、指定医療機関の指定の更新について、健康保険法第68条第2項の規定を準用する場合における、必要な技術的読替えについて、規定することとしたこと。(新令第4条の4関係)

エ 指定介護機関に関する読替え

新法第54条の2第4項の規定において、新法第49条の2(第2項第1号を除く。)及び第50条から第54条までの指定医療機関に関する規定を指定介護機関について準用する場合における必要な技術的読替えについて、規定することとしたこと。(新令第6条関係)

オ 指定助産機関及び指定施術機関に関する読替え

新法第55条第2項の規定において、新法第49条の2第1項、第2項(第1号、第4号ただし書、第7号及び第9号を除く。)及び第3項、第50条、第50条の2、第51条(第2項第4号、第6号ただし書及び第10号を除く。)並びに第54条の規定を指定助産機関及び指定施術機関について準用する場合における必要な技術的読替えについて、規定することとしたこと。(新令第7条関係)

(2) 改正規則による規則の改正

ア 指定医療機関の指定等の申請の手続

改正法により、指定医療機関の指定及び指定取消しに係る要件を明確化し、指定の更新制を導入したこと等に伴い、当該指定等の申請に係る手続について、次のとおり改正することとしたこと。

(ア) 厚生労働大臣による指定の申請に係る手続

新法第49条の2第1項の規定に基づき、厚生労働大臣による指定医療機関の指定の申請に係る申請書等に記載する事項として、都道府県知事による指定医療機関の指定の申請に係る申請書等に記載する事項と同様のものを新たに規定したこと。(新規則第10条第1項関係)

(イ) 都道府県知事による指定の申請に係る手続

新法第49条の2第4項において準用する同条第1項の規定に基づき、都道府県知事による指定医療機関の指定の申請に係る申請書等に記載する事項として、医療機関の開設者の氏名、生年月日、住所及び職名又は名称を追加する等、所要の改正を行ったこと。(新規則第10条第2項関係)

(ウ) 指定の更新の申請に係る手続

新法第49条の3第1項の規定に基づき、指定の更新の申請に係る申請書等に記載する事項を新たに規定したこと。(新規則第10条第3項及び第4項関係)

イ 指定の取消しに該当しないことが相当と認められる場合

新法第49条の2第2項第4号(同条第4項(新法第49条の3第4項及び第54条の2第4項において準用する場合を含む。)、新法第49条の3第4項及び第54条の2第4項において準用する場合を含む。))に規定する厚生労働省令で定める同号本文に規定する指定の取消しに該当しないこととすることが相当であると認められるものについて、厚生労働大臣又は都道府県知事が報告等の権限を適切に行使し、当該指定の取消しの処分の理由となった事実等に関して開設者が有していた責任の程度を確認した結果、当該開設者が当該指定の取消しの理由となった事実について組織的に関与していると認められない場合に係るものとすることとしたこと。(新規則第10条の2関係)

ウ 聴聞決定予定日の通知

新法第49条の2第2項第6号(同条第4項(新法第49条の3第4項及び第54条の2第4項において準用する場合を含む。)、新法第49条の3第4項、第54条の2第4項及び第55条第2項において準用する場合を含む。)の規定による通知について、検査が行われた日から10日以内に、当該検査日から起算して60日以内の特定の日を通知することにより行うものとすることとしたこと。(新規則第10条の3関係)

エ 厚生労働省令で定める事業所又は施設

都道府県知事による指定医療機関の指定について、新法第49条の2第4項において読み替えて準用する同条第2項第1号に規定する厚生労働省令で定める事業所又は施設として、健康保険法に規定する指定訪問看護事業者、介護保険法に規定する指定居宅サービス事業者及び指定介護予防サービス事業者を規定することとしたこと。(新規則第10条の4関係)

オ 指定の更新の申請を不要とする医療機関

新法第49条の3第4項において準用する健康保険法第68条第2項の厚生労働省令で定める指定医療機関(指定医療機関の指定の更新の申請を不要とする医療機関)について、保険医療機関や保険薬局であって、指定医療機関の指定を受けた日から、おおむね引き続き当該開設者である保険医若しくは保険薬剤師のみが診療や調剤しているもの又はその者と同一世帯に属する配偶者等のみが診療若しくは調剤に従事しているものとしたこと。(新規則第10条の5)

カ 指定医療機関の指定の取消し等を行った場合における厚生労働大臣への通知

新法第83条の2の規定に基づき、都道府県知事が指定医療機関の指定の取消し等を行った場合において、健康保険法第80条各号のいずれかに該当すると疑うに足りる事実があるときにおける、厚生労働大臣への通知は、当該処分を行った指定医療機関の名称及び所在地等を記載した通知書を当該指定医療機関の所在地を管轄する地方厚生局長又は地方厚生支局長に送付して行うものとすることとしたこと。(新規則第22条の4関係)

キ 指定医療機関の指定の申請に係る経過措置

(ア) 改正法附則第5条第2項の厚生労働省令で定める期間

改正法附則第5条第2項の規定により、改正法の施行(平成26年7月1日)の際、新法の規定による指定医療機関の指定があったものとみなされた指定は、施行日から1年以内に指定医療機関の申請をしなければ、当該期間の経過によって効力を失う。(改正規則附則第2条第1項関係)

(イ) 改正法附則第5条第3項の厚生労働省令で定める期間

改正法附則第5条第3項の規定により、改正法の施行(平成26年7月1日)の際、新法の規定による指定医療機関の指定があったものとみなされた指定に係る施行日以後の最初の更新は、施行日から6年を経過する日までではなく、施行日から健康保険法第68条第1項の規定により同法第63条第3項第1号の指定の効力が失われる日を経過する日までに行うものとすることとしたこと。ただし、施行日から1年以内に当該日が到来する場合にあっては、当該日から6年を経過する日までに行うものとすることとしたこと。

また、指定訪問看護事業者等の最初の指定の更新については、健康保険法による指定を受けている訪問看護事業者(介護保険法による指定を受けているものを除く。)にあっては、施行日から6年を経過する日までに行うものとすること。

さらに、上記以外の訪問看護事業者等あっては、介護保険法の指定の有効期間の満了日までに行うものとすること。ただし、施行日から1年以内に当該日が到来する場合にあっては、当該日から6年を経過する日までに行うものとすることとしたこと。

(改正規則附則第2条第2項関係)

(ウ) 上記(ア)及び(イ)の詳細については、別途、示すものであること。

ク 指定介護機関の指定の申請の手続

改正法により、指定介護機関の指定及び指定取消しに係る要件を明確化したこと等に伴い、当該指定の申請に係る手続について、次のとおり改正することとしたこと。

(ア) 厚生労働大臣による指定の申請に係る手続

新法第54条の2第4項において準用する第49条の2第1項の規定に基づく厚生労働大臣による指定介護機関の指定の申請に係る申請書等に記載する事項として、都道府県知事による指定介護機関指定の申請に係る申請書等に記載する事項と同様のものを新たに規定したこと。(新規則第10条の6第1項関係)

(イ) 都道府県知事による指定の申請に係る手続

新法第54条の2第4項において準用する新法第49条の2第4項において準用する同条第1項の規定に基づき、都道府県知事による指定介護機関の指定の申請に係る申請書等に記載する事項として介護機関の開設者の氏名、生年月日、住所及び職名又は名称を追加する等、所要の改正を行ったこと。(新規則第10条の6第2項関係)

ケ 指定介護機関に係る別段の申出

新法第54条の2第2項ただし書の規定に基づき、介護保険法による指定等を受けた介護機関が行う別段の申出は、介護機関の名称及び住所地、新法による指定を不要とする旨等を記載した申出書を都道府県知事(国の開設した介護老人保健施設にあっては、地方厚生局長)に提出することにより行うこととすることとしたこと。(新規則第10条の7関係)

コ 指定助産機関及び指定施術機関の指定の手続

新法第55条第2項において準用する新法第49条の2第1項の規定に基づく指定助産機関及び指定施術機関の指定の申請に係る手続等について、所要の規定の整備を行ったこと。(新規則第10条の8関係)

第5 就労自立給付金の創設に関する事項

1 改正の趣旨及び内容

生活保護から脱却すると、税・社会保険料等の負担が生じるため、こうした点を踏まえた上で、生活保護を脱却するためのインセンティブを強化するとともに、脱却直後の不安定な生活を支え、再度保護に至ることを防止することが重要である。そのため、被保護者の就労による自立の促進を目的に、安定した職業に就いたこと等により保護を必要としなくなった者に対して就労自立給付金を支給する制度を創設したものであること。(新法第55条の4関係)

2 留意事項

1と併せて、改正政令において令を、改正規則において規則を、それぞれ次のとおり改正することとしたので、留意すること。

(1) 改正政令による令の改正

新法第55条の4第3項の規定により、就労自立給付金の支給機関が、就労自立給付金の支給に関する事務の一部を、他の支給機関に委託して行うことができることとする場合における手続等について、次のとおり定めることとしたこと。(新令第8条関係)

ア 委託することが適当である場合

支給機関は、被保護者との連絡上、就労自立給付金の支給に関する事務を他の支給機関に委託して行うことが適当であると認めるときは、当該事務の一部を他の支給機関に委託することができること。

イ 委託に当たっての手続

就労自立給付金の支給に関する事務の委託に当たっては、関係の支給機関は、協議により当該委託に関する条件を定め、議会の同意を経なければならない。また、支給機関は、当該事務の委託を行い、又は委託を受けたときは、その旨を告示しなければならないこと。

(2) 改正規則による規則の改正

① 就労自立給付金の支給要件

新法第55条の4第1項の規定による厚生労働省令で定める安定した職業について、おおむね6月以上雇用されることが見込まれ、かつ、最低限度の生活を維持するために必要な収入を得ることができると認められるものとしたこと。(新規則第18条の2関係)

② 厚生労働省令で定める事由

新法第55条の4第1項の規定による保護を必要としなくなったと認める厚生労働省令で定める事由は、次のとおりとすることとしたこと。(新規則第18条の3関係)

ア 被保護者が事業を開始し、おおむね6月以上最低限度の生活を維持することができると認められること。

イ 就労による収入を得ている被保護世帯について、当該世帯の就労による収入が増加し、おおむね6月以上最低限度の生活を維持することができると認められること。

ウ 就労による収入以外の収入を得ている被保護世帯について、当該世帯に属する被保護者が職業(安定した職業を除く。)に就いたことにより、おおむね6月以上最低限度の生活を維持することができると認められること。

③ 就労自立給付金の支給の申請

就労自立給付金の支給を受けようとする被保護者は、その氏名及び住所又は居所、保護を必要としなくなった事由等を記載した申請書を支給機関に提出しなければならないこととしたこと。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があると認める場合は、この限りではないこととしたこと。(新規則第18条の4第1項関係)

また、支給機関は、当該申請書のほか、就労自立給付金の支給の決定に必要な書類の提出を求めることができるものとしたこと。(新規則第18条の4第2項関係)

④ 就労自立給付金の支給

就労自立給付金は、厚生労働大臣が定めた算定方法により算定した金額を、世帯ごとに保護の廃止の決定の際に支給することにより行うこととしたこと。(新規則第18条の5関係)

また、当該算定方法を定める告示(生活保護法施行規則第十八条の五の規定に基づき厚生労働大臣が定める算定方法(平成26年厚生労働省告示第224号))を併せて公布しているので、留意すること。

⑤ 過去3年以内に就労自立給付金の支給を受けた者への不支給

就労自立給付金の支給を受けた日から3年を経過しない被保護者に対しては、やむを得ない事由があると認められる場合を除き、就労自立給付金を支給しないこととしたこと。(新規則第18条の6関係)

⑥ 準備行為

新規則第18条の4の規定による申請書の提出は、この省令の施行前においても行うことができることとしたこと。(改正規則附則第3条関係)

第6 被保護者が有する損害賠償請求権の取得に関する事項

1 改正の趣旨及び内容

保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われるとされているため、交通事故等を原因として、被保護者が医療機関を受診する場合、本来であれば、損害保険会社等により医療費の支払いがなされるべきであるが、被保護者にとっては、その治療に要する費用が損害保険会社等から支払いがなされるのか、医療扶助によって支給がなされるかは、実質的に差異がないため、被保護者は損害保険会社等に請求を行わず、結果として医療扶助が適用されたままとなるケースがある。

また、福祉事務所は、医療扶助が適用された後に、被保護者に対して保険金等が支払われた場合には、法第63条に基づく費用返還請求を行う必要があるが、示談までに時間を要することや、一時金(仮払金、内払金等)の支払いがあるなど、保険金等の振込時期や金額の把握が困難であることなどから、被保護者が保険金等の受領を未申告のまま、費消してしまうといったケースもある。

このため、今般の改正法により、都道府県知事又は市町村の長は、保護を行うべき事由が第三者の行為によって生じた場合において、保護費を支弁したときは、その保護費の限度において、被保護者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する第三者求償権を創設することとしたこと。(新法第76条の2関係)

2 留意事項

1と併せて、改正規則において、被保護者は、第三者の行為を原因として医療扶助又は介護扶助を受けた場合には、その事実、当該第三者の氏名及び住所を、遅滞なく、保護の実施機関に届け出なければならないこととしたので、留意すること。(新規則第22条の2関係)

第7 不正な手段により保護を受けた場合等の費用等の徴収に関する事項

1 改正の趣旨及び内容

不実の申請その他不正な手段により保護を受けた者等があるときは、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長は、法第78条の規定に基づき、その費用を、その者から徴収することができるとされている。

これまで、不正受給が発覚した場合であっても、その不正に得た保護費に相当する額を返還するに過ぎず、法第85条等に定める罰則に関する告訴・告発等の措置をとらない限り、不正受給に対する罰則が実質的に存在していなかったほか、当該者自らが徴収金の返還を行わなかった場合においても、地方公共団体の歳入は、法律で特に定めのない限り、強制徴収の方法を講ずることができないため、一般債権と同様の保全手続に従って徴収を行うこととなり、事務負担が大きいとの指摘があった。公費によって全額その財源が賄われている生活保護の不正受給は、制度に対する国民の信頼を揺るがす極めて深刻な問題であるため、厳正に対処することが必要である。

このため、法第78条を改正し、都道府県又は市町村の長は、不正受給に係る徴収金額に加え、不正受給を受けた金額に100分の40を乗じた額以下の金額を上乗せし徴収できることとするとともに、不正受給に係る徴収金について、国税の滞納処分の例により処分を行うことを可能としたこと(新法第78条第1項及び第4項関係)。

また、就労自立給付金についても、不正な手段により支給を受けた場合などは、上記と同様の対応が可能としているものであること。(新法第78条第3項関係)

さらに、確実な費用徴収を行う観点から、保護費を支弁した都道府県又は市町村の長が、被保護者に対して、徴収債権を有している場合には、その徴収金について、本人が申し出た場合において、生活の維持に支障がないことを前提に、福祉事務所が保護費又は就労自立給付金との調整を可能としたこと。(新法第78条の2関係)

2 留意事項

1と併せて、改正規則において、規則を次のように改正することとしたので留意すること。

(1) 新法第78条の2第1項及び第2項の規定による申出

当該申出は、当該申出に係る者の氏名及び住所又は居所、保護金品等の一部を徴収金の納入に充てる旨を記載した申出書を保護の実施機関に提出することによって行うこととすること。(新規則第22条の3第1項関係)

(2) 徴収金額の決定

保護の実施機関は、当該申出に係る徴収金の額を決定するに当たっては、当該徴収金の徴収後においても被保護者が最低限度の生活を維持することができる範囲で行うものとすること。(新規則第22条の3第218項関係)

第8 その他留意事項

第1から第7までのほか、改正法の施行等に伴い、令について、次のとおり改正することとしているので、留意すること。

(1) 代理納付の対象拡大

改正法の施行と併せて、法第37条の2の規定に基づき保護の実施機関が代理納付を行うことができる対象について、住宅を賃借して居住することに伴い通常必要とされる費用(住宅に係る共益費)及び被保護者が社会福祉事業として行われる事業により資金の貸付を受けた場合における当該貸付金の償還金を新たに追加することとしたこと。(新令第3条関係)

(2) 負担金等の算出基礎

新法第73条又は第75条に規定する都道府県又は国の負担金及び補助金の算出の基礎について、次のとおりとしたこと。(新令第10条関係)

ア 新法第76条の2の規定に基づき支払を受ける損害賠償金

新法第76条の2の規定に基づき支払を受ける損害賠償金については、本来保護費に充てられるべき性質のものであることから、国の負担及び補助の算出に当たって、各年度において支弁等した費用から控除することとしたこと。

イ 新法第78条第1項から第3項までの規定に基づく徴収金

新法第78条において、返還金の加算金についても徴収できることとなったところであるが、当該加算金の徴収については、不正を行ったことによる秩序罰の趣旨によるものであり、返還金の徴収とは趣旨が異なることから、国の負担及び補助の算出に当たって、各年度において支弁等した費用から控除しないこととしたこと。