アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○生活保護法による就労自立給付金の取扱いについて

(平成26年4月25日)

(社援保発0425第7号)

(各都道府県・各指定都市・各中核市民生主管部(局)長あて厚生労働省社会・援護局保護課長通知)

(公印省略)

今般、生活保護法(昭和25年法律第144号。以下「法」という。)の一部改正により、平成26年7月1日から生活保護受給者の就労による自立の促進を図ることを目的として就労自立給付金(以下「給付金」という。)が創設されることとなり、「生活保護法による就労自立給付金の支給について」(平成26年4月25日付け社援発0425第3号厚生労働省社会・援護局長通知。以下「局長通知」という。)が示されたところであるが、支給に当たっての取扱いについて次のとおり定めることとしたので、了知の上、取扱いについて遺漏のないよう配慮されたい。

また、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の9第1項及び第3項の規定による処理基準であることを申し添える。

第1 支給要件について

問1 局長通知4(3)又は(4)に該当する場合については、収入額に占める就労収入の額が少ない場合でも給付金の支給対象となるか。

答 就労収入の金額の多寡にかかわらず、おおむね6月以上最低限度の生活を維持するために必要な収入を得ることができると認められれば支給対象となる。

問2 保護を必要としなくなった要因が、世帯員の転出等による基準額の変更(減額)のみを原因としている場合には、支給対象としないということでよいか。

答 お見込みのとおりである。

問3 保護施設等への入所者について、保護を必要としなくなった要因が、保護施設等からの退所による基準額の変更(減額)のみを原因としている場合には、支給対象にしないということでよいか。

答 保護施設等に入所中に開始した就労によって居宅における最低生活費は上回っているが、その超過額が保護施設事務費に満たないために、その者を被保護者と継続してみなしている場合で、当該退所が施設入所の目的を達したことによる場合に限り、退所による基準額の変更によって保護廃止となる場合も支給対象として扱って差し支えない。

問4 保護の辞退の申出があり廃止となった場合は、保護を必要としなくなったものとして支給対象となるか。

答 支給対象とならない。

問5 給付金の支給は世帯ごととされていることから、高等学校等を卒業した者が就職して世帯から独立する場合は支給対象とならないものとして解してよいか。

答 お見込みのとおりである。生活保護制度においては、保護は世帯を単位として適用され、原則として脱却についても世帯単位で促すものであること、また、当該給付金を支給すると仮定した場合の未成年者の世帯からの独立は、当該未成年者がその単身生活を維持するのに必要な知識等を十分に獲得していないまま、不安定な独立を促す可能性もあることから、支給しないこととする。

第2 申請による支給の決定について

問1 生活保護法施行規則(昭和25年厚生省令第21号)第18条の4第2項の「就労自立給付金の支給の決定に必要な書類」とは、申請書のほか具体的にどのようなものがあるか。

答 就労による収入の状況が確認できる収入申告書のほか、被雇用者であれば、賃金、労働時間、労働契約の期間、就業の場所、従事すべき業務内容等の労働契約に係る契約書(これらの事項を証明できる書類を含む)、事業を営む者であれば、売上げ等の収入金額や仕入れや必要経費に関する事項を記録した帳簿等、局長通知4に規定する者に該当することを確認するために必要な書類が該当する。

なお、既に提出されている書類で確認ができる場合には、重ねて提出を求める必要はない。一方、給付金受給後3年以内に再支給の申請をする場合には、やむを得ない事由に該当することが確認できる書類の提出は必要となる。

問2 給付金の申請及び支給は、福祉事務所を設置していない町村長を経由して行うことはできるか。

答 当該町村長を通じて行うことはできない。

問3 局長通知6(1)による申請に対し、給付金の支給に関する処分が行われないことについて、申請者が不服申し立てを行う場合の支給根拠は、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第7条の不作為の不服申し立てによるものと解してよいか。

答 お見込みのとおり。この場合、申請のあった日から30日以内に支給の決定の通知がないときには、申請者は行政不服審査法第2条第2項の「不作為」に当たるとして不服申立ができるものであることから、速やかな決定の通知をされたい。

第3 給付金の算定方法について

問1 賞与等の就労収入も算定対象となるか。

答 賞与等の収入であっても、本人の就労収入であるため、算定対象期間に保護の実施機関が「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和36年4月1日付け厚生省発社第123号厚生事務次官通知)第8によって収入として認定したもの(以下「収入充当額」という。)であれば、対象となる。

問2 算定対象期間内に、①転職があった場合や、②就労に伴う収入源が1つから2つ以上に変動した場合については、どのように算定すればよいか。

① 算定対象期間内にA社からB社への転職があった場合においては、算定対象期間の算定は、転職前のA社の収入認定開始月を起算点とした算定率を用いることとする。

② 算定対象期間内に、C社における就労収入に加えて、新たにD社における就労収入を得ることとなった場合については、2以上の収入を得ることになった月以降は収入充当額を合算した上で、C社の収入認定開始月を起算点とした算定率を用いて算定することとする。

問3 他の実施機関の管内で保護を受けていた者が転入し、その後、安定した職業に就いたこと等により保護廃止となった場合であって、算定対象期間に他の実施機関で収入認定した期間も含まれている場合、どのように算定すればよいか。

答 算定対象期間内に、転居等により実施機関が変わった場合については、転居後の保護の実施機関を支給機関とする。その場合、他の実施機関で収入として認定した額も含む算定対象期間の収入充当額に基づき給付金の額を算定し、支給することとする。

第4 再支給の制限について

問1 給付金の支給を受けた世帯の世帯員が、単身で再度保護を受け、その後に保護を脱却した場合、給付金を受けた日から3年以内である場合には対象とならないと考えて良いか。

答 お見込みのとおりである。

問2 ①給付金の支給を受けた世帯の世帯員が、給付金の支給を受けていない者と同一世帯で保護を受けるに至った場合や、②給付金の支給を受けた世帯の世帯員が、給付金の支給を受けていない世帯に転入した場合であって、当該世帯が就労により保護を脱却した場合、給付金を受けた日から3年以内である場合には、当該世帯は支給対象とならないと考えて良いか。

答 お見込みのとおりである。

問3 局長通知第5(5)にいうやむを得ない事由とは具体的にどのような場合か。

答 雇用保険の「特定受給資格者」(倒産や解雇等による離職)、「特定理由離職者」(雇い止めなどによる離職者に限り、正当な理由のある自己都合により離職した者を除く。)に該当する場合が「やむを得ない場合」として考えられる。

問4 やむを得ない事由については、何をもって証明してもらうのか。

答 公的な機関等が発行する証明書等によることとし、例えば、「特定受給資格者」や「特定理由離職者」の証明は、ハローワークが交付する雇用保険の受給資格者証によることが考えられる。

第5 その他

問1 給付金は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第161条第1項第10号の「生活扶助費、生業扶助費その他これらに類する経費」に含まれると考えてよいか。

答 お見込みのとおりである。

問2 局長通知5(4)の給付金の支給を受ける権利に係る時効の起算点は、給付金の支給が可能となったとき、すなわち保護の廃止日という理解でよいか。

答 お見込みのとおりである。

問3 給付金の支給を受けた者に不正に給付金を受給しようとする意思がなかったことが立証される場合で、やむを得ない理由により給付金の返還金が生じる場合等には、どの根拠法に基づき返還させることとなるのか。

答 民法(明治29年法律第89号)第703条の規定に基づく不当利得返還請求をしていただくことになる。

問4 保護費支給後に収入申告等により就労による収入充当額が異なることがわかった場合、給付金の算定に当たっての収入充当額は、当該月の正規の金額で計算するのか。

答 お見込みのとおりである。

問5 保護の要件に該当しない者が、不実の申請やその他不正な手段により保護を受けたことにより、不正な給付金の支給を受けた場合には、給付金も保護費とともに法第78条第3項の規定に基づく返還となるのか。

答 お見込みのとおりである。

問6 就労収入の未申告又は過少申告等により法第78条第1項の規定に基づき保護金品の一部返還を求める場合、実際の就労収入に基づき給付金を算定した結果、給付金の追加支給が生じる場合がある。このような場合の取扱いはどうするか。

答 実際の就労収入に基づき算定した結果、給付金の追加支給が生じる場合については、本来、本人が得られる給付金の額であることから、追加支給することとする。