添付一覧
○ナタリズマブ(遺伝子組換え)製剤の使用に当たっての留意事項について
(平成26年3月24日)
(薬食審査発0324第5号)
(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
(公印省略)
ナタリズマブ(遺伝子組換え)(販売名:タイサブリ点滴静注300mg)(以下「本剤」という。)については、本日、「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能又は効果として承認したところですが、本剤については、進行性多巣性白質脳症など、重篤な副作用が発現するリスクがあることから、その使用に当たっては、下記の点について留意されるよう、貴管下の医療機関及び薬局に対する周知をお願いします。
記
1.本剤の適正使用について
(1) 本剤の警告及び効能又は効果は以下のとおりであるので、以下を踏まえ、適正使用について特段の留意をお願いすること。
<添付文書【警告】抜粋>
【警告】
1.本剤の投与により進行性多巣性白質脳症(PML)、ヘルペス脳炎又は髄膜炎等があらわれ、死亡又は重度の障害に至った例が報告されている。これらの情報を患者に十分に説明し同意を得た上で、本剤による治療が適切と判断される場合にのみ投与すること。また、本剤による治療においては、これらの副作用により致命的な経過をたどることがあるので、PML等の重篤な副作用に十分対応できる医療施設において、本剤の安全性及び有効性についての十分な知識と多発性硬化症の治療経験をもつ医師のもとで投与すること。
2.PML発症のリスク因子として、抗JCウイルス(JCV)抗体陽性であること、免疫抑制剤による治療歴を有することが報告されている。本剤の投与開始に際しては、これらのリスク因子の有無を確認し、治療上の有益性が危険性を上回るか慎重に判断すること。また、抗JCV抗体が陽性の患者においては、本剤の長期間の投与もPML発症のリスク因子となることが報告されているため、投与中は定期的に治療上の有益性と危険性を評価し、投与継続の適切性について慎重に判断すること。
3.本剤の投与に際しては、PMLを示唆する徴候・症状(片麻痺、四肢麻痺、認知機能障害、失語症、視覚障害等)の発現に十分注意し、そのような徴候・症状があらわれた場合は直ちに投与を中断し、PMLの発症の有無を確認すること。なお、PMLの発症が確認できなかったが疑いが残る場合には、本剤の投与を再開せず、再検査を実施すること。
【効能又は効果】
多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制
(2) 本剤の使用に当たっては、あらかじめ、最新の添付文書を理解し、その注意を遵守すること。
(3) 本剤については、多発性硬化症の診断、治療に精通し、進行性多巣性白質脳症を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとでのみ投与されるよう、今回の承認に当たり、薬事法(昭和35年法律第145号)第79条第1項の規定により、製造販売業者に適正な流通管理の実施を義務付けたこと。
((参考:承認条件)(抄)
2.本剤の投与が、多発性硬化症の診断、治療に精通し、進行性多巣性白質脳症を含む本剤のリスク等についても十分に管理できる医師・医療機関のもとでのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じること。)
2.本剤の流通管理に関する周知事項について
(1) 医師は、本剤の使用に当たっては、製造販売業者の提供する講習を受講するとともに、薬剤師は処方医が講習を修了した医師であることを確認した上で調剤すること。また、その確認ができない場合には、調剤することを拒むこと。
(2) (1)の講習の受講を希望する医師については、製造販売業者への問合せをお願いしたいこと。
(3) (1)後段に基づく理由により調剤を拒むことは、薬剤師法(昭和35年法律第146号)第21条(調剤の求めに応じる義務)の「正当な理由」に当たるものと解されること。