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添付一覧

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物質名

評価結果の概要

今後の対応

○ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト

(別名DDVP)

成形加工又は包装の業務を行う事業場で、適切なばく露防止措置が講じられない状況では、労働者の健康障害のリスクが高いものと考えられることから、制度的対応を念頭において健康障害防止措置の検討を行うべきである。

化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会において、具体的な措置を検討するとともに、関係事業者に対し適切な管理が行われるよう行政指導を行う。

○N,N―ジメチルアセトアミド

ばく露の測定結果から、リスクは低いと考えられるが、有害性の高い物質であることから、関係事業者による自主的なリスク管理を進めることが適当である。

関係事業者に対し、自主的なリスク管理を行うよう行政指導を行う。

○フタル酸ビス

(2―エチルヘキシル)

(別名DEHP)

ばく露の測定結果から、リスクは低いと考えられるが、有害性の高い物質であることから、関係事業者による自主的なリスク管理を進めることが適当である。

関係事業者に対し、自主的なリスク管理を行うよう行政指導を行う。

○リフラクトリーセラミックファイバー

一部の事業場で、ばく露が高い状況が見られたことから、さらに詳細なリスク評価が必要であり、ばく露の高かった要因を明らかにするとともに、関係事業者による自主的なリスク管理を進めることが適当である。

関係事業者に対し、自主的なリスク管理を行うよう行政指導を行うとともに、今後、詳細なリスク評価を実施する。

○酸化チタン(ナノ粒子)

一部の事業場で、ばく露が高い状況が見られたことから、さらに詳細なリスク評価が必要であり、ばく露の高かった要因を明らかにするとともに、関係事業者による自主的なリスク管理を進めることが適当である。

関係事業者に対し、自主的なリスク管理を行うよう行政指導を行うとともに、今後、詳細なリスク評価を実施する。

○金属インジウム

金属インジウムの有害性の評価については、当該物質の有害性に関する情報が不足しているため、現時点で評価することができない。

今後の調査研究の進展を待って評価することとする。

○三酸化二アンチモン

三酸化二アンチモンの有害性の評価については、当該物質の有害性に関する情報が不足しているため、現時点で評価することができない。

今後の調査研究の進展を待って評価することとする。

4 発がん性のおそれのある有機溶剤の今後の対応

次の10物質については、有機溶剤中毒予防規則により一連のばく露低減措置が義務づけられている一方で、職業がんの予防の観点からは健康障害防止措置が必ずしも十分とはいえない状況にあることから、これらの物質を製造し又は使用して行う有機溶剤業務を対象として、職業がんの予防の観点から健康障害防止措置を講じる必要がある。

○クロロホルム

○四塩化炭素

○1,4―ジオキサン

○1,2―ジクロルエタン

○ジクロルメタン

○スチレン

○1,1,2,2―テトラクロルエタン

○テトラクロルエチレン

○トリクロルエチレン

○メチルイソブチルケトン

<添付資料>

○別紙1 リスク評価物質(7物質)に関する情報

○別紙2 化学物質のリスク評価検討会参集者名簿及び開催経緯

(別紙1)

リスク評価物質(7物質)に関する情報

物質名 (CAS No)

有害性情報

(発がん性評価、許容濃度等)

用途の例

ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト

(別名DDVP)

○IARC:2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がある)

○日本産業衛生学会:2B(ヒトに対しておそらく発がん性があると判断できる物質。証拠が比較的十分でない物質)

○ACGIH TLV-TWA:0.01ppm(0.1mg/m3)(Inhalable FractIon & Vapor)

家庭用殺虫剤若しくは文化財用燻蒸剤として使用

N,N―ジメチルアセトアミド

○ACGIH TLV-TWA:10ppm(36mg/m3)

○日本産業衛生学会:10ppm(36mg/m3)

反応溶媒(脱離反応)、精製溶剤、樹脂溶剤、ポリウレタン弾性繊維の溶剤、塗料はく離剤、医薬品関係(難溶化合物の溶剤)

フタル酸ビス(2―エチルヘキシル)(別名DEHP)

○IARC:2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がある)

○日本産業衛生学会:2B(ヒトに対しておそらく発がん性があると判断できる物質。証拠が比較的十分でない物質)

○ACGIH TWA:5mg/m3

○日本産業衛生学会:5mg/m3

機能性樹脂の可塑剤、硬質ウレタンフォーム、断熱材として使用、塩化ビニル、ニトロセルロース、メタクリル酸、塩化ゴムに良好な相溶性があり、特に塩化ビニル製品との相溶性が良いため塩化ビニル製シート、レザー、電線被覆材、農ビ用フィルム、ペーストに適する。

リフラクトリーセラミックファイバー

○IARC:2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がある)

○日本産業衛生学会:2B(ヒトに対しておそらく発がん性があると判断できる物質。証拠が比較的十分でない物質)(人造鉱物繊維 セラミック繊維・ガラス微細繊維)

○ACGIH TLV-TWA:0.2f/cc、吸入性繊維として(2001:設定年)

炉のライニング材、防火壁保護材、高温用ガスケット・シール材、タービン、絶縁保護材、伸縮継手への耐熱性充填材、炉の絶縁材、熱遮蔽版、耐熱材、熱によるひび、割れ目のつぎあて、炉・溶接+溶接場のカーテン

酸化チタン(ナノ粒子)

○IARC:2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がある)

○ACGIH TLV-TWA:10mg/m3

(ルチル型)化粧品、塗料、トナー外添剤、ゴム充填剤、反射防止膜

(アナターゼ型)光触媒、工業用触媒担体塗料

金属インジウム

○ACGIH TLV-TWA:0.1mg/m3 インジウムとして

銀ロウ、銀合金接点、ハンダ、低融点合金、液晶セル電極用、歯科用合金、防食アルミニウム、テレビカメラ、ゲルマニウム・トランジスター、光通信、太陽熱発電、電子部品、軸受金属、リン化インジウム結晶の原料

三酸化二アンチモン

○IARC:2B(ヒトに対して発がん性を示す可能性がある)

○ACGIH TLV-TWA:0.5mg/m3 as Sb(アンチモン及びその化合物)

○日本産業衛生学会 TWA:0.1mg/m3 as Sb(アンチモン及びその化合物、スチビンを除く)

各種樹脂、ビニル電線、帆布、繊維、塗料などの難燃助剤、高級ガラス清澄剤、ほうろう、吐酒石、合繊触媒、顔料

IARC(国際がん研究機関)の発がん性分類

1:ヒトに対して発がん性がある

2A:ヒトに対しておそらく発がん性を示す

2B:ヒトに対して発がん性を示す可能性がある

ACGIH:米国産業衛生専門家会議

(別紙2)

検討会参集者名簿及び開催経緯

1 化学物質のリスク評価検討会参集者名簿

池田いけだ 敏彦としひこ ★横浜薬科大学臨床薬学科教授

内山うちやま 巌雄いわお ☆京都大学名誉教授

江馬えま まこと ★独立行政法人産業技術総合研究所安全科学研究部門招聘研究員

圓藤えんどう 陽子ようこ ☆独立行政法人労働者健康福祉機構関西労災病院産業中毒センター長

大前おおまえ 和幸かずゆき ★慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学教室教授

小嶋おじま じゅん ☆独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ上席研究員

清水しみず 英佑ひですけ ★中央労働災害防止協会労働衛生調査分析センター所長

高田たかた 礼子あやこ ★聖マリアンナ医科大学医学部予防医学教室教授

鷹屋たかや 光俊みつとし ☆独立行政法人労働安全衛生総合研究所環境計測管理研究グループ上席研究員

津田つだ 洋幸ひろゆき ★名古屋市立大学特任教授

名古屋なごや 俊士としお ☆早稲田大学理工学術院教授

西川にしかわ 秋佳あきよし ★国立医薬品食品衛生研究所安全性生物試験研究センター長

花井はない 荘輔そうすけ ☆独立行政法人産業技術総合研究所客員研究員

はら 邦夫くにお ☆帝京平成大学地域医療学部教授

宮川みやがわ 宗之むねゆき ★独立行政法人労働安全衛生総合研究所研究企画調整部首席研究員

(50音順、敬称略、○は座長)

(★有害性評価小検討会参集者 ☆ばく露評価小検討会参集者)

2 リスク評価関係検討会の開催経過(今回の評価物質に関係する検討会)

有害性評価小検討会

平成22年度第1回有害性評価小検討会 平成23年2月22日(火)

平成25年度第1回有害性評価小検討会 平成25年3月27日(水)

平成25年度第2回有害性評価小検討会 平成25年5月2日(木)

ばく露評価小検討会

平成25年度第1回ばく露評価小検討会 平成25年4月12日(金)

平成25年度第2回ばく露評価小検討会 平成25年4月19日(金)

化学物質のリスク評価検討会

平成25年度第2回化学物質のリスク評価検討会 平成24年5月24日(金)

平成25年度第3回化学物質のリスク評価検討会 平成24年6月21日(金)

(別添3)

化学物質による労働者の健康障害防止措置に係る検討会報告書(第2回)の概要及び今後の対応

1 検討対象物質

○ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)

○発がんのおそれのある有機溶剤(以下の10物質)

クロロホルム、四塩化炭素、1,4―ジオキサン、1,2―ジクロルエタン、ジクロルメタン、スチレン、1,1,2,2―テトラクロルエタン、テトラクロルエチレン、トリクロルエチレン、メチルイソブチルケトン

2 検討の経緯

平成25年7月24日に公表された「化学物質のリスク評価検討会報告書(第2回)」において、ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)(成形加工、包装の業務)及び発がんのおそれのある有機溶剤(クロロホルム、四塩化炭素、1,4―ジオキサン、1,2―ジクロルエタン、ジクロルメタン、スチレン、1,1,2,2―テトラクロルエタン、テトラクロルエチレン、トリクロルエチレン、メチルイソブチルケトン)については、健康障害防止措置の検討を行うべきと評価された。これを受けて本検討会において講ずべき具体的な措置の検討を行った。

3 検討手順

検討に当たっては、業界団体等からのヒアリング結果を踏まえ、健康障害防止措置の具体的な内容、規制による影響を検討した。

4 検討結果及び今後の対応

ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)について、健康障害防止措置の検討を行ったところ、下記のような結論となった。

ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)を含有する製剤を用いた成形加工又は包装の業務については、健康障害の防止のため、特定化学物質障害予防規則(以下「特化則」という。)の「アクリルアミド」と同様に、作業環境測定の実施や発散抑制措置等を講じることが必要である。

また、ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイトの有害性を勘案し、作業の記録の保存(30年間)等が必要となる特化則の特別管理物質と同様の措置を講じることが必要である。

なお、ジメチル―2,2―ジクロロビニルホスフェイト(別名DDVP)について、成形加工又は包装の業務以外の業務については、事業者によるリスクアセスメントに基づく自主的な管理を継続し、良好な作業環境を維持することが重要である。

発がんのおそれのある有機溶剤については、発がん性という有害性を勘案した規制を行うことが必要であり、特化則の特別管理物質と同様の以下の措置を講じることが必要である。

(措置内容)

1 作業記録の作成

2 記録の30年間の保存

・特殊健康診断結果の記録

・作業環境測定の測定結果と評価結果の記録

・作業記録

3 名称、人体に及ぼす作用、取扱上の注意事項、使用保護具の掲示

4 事業廃止時の記録の報告

5 有害性に応じた含有率(裾切り値)の見直し(5%→1%)

5 今後の対応

本報告書を受けて、厚生労働省では、関係政省令の改正を予定(平成26年8月頃公布、平成26年10月施行)。

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