添付一覧
○歯科器械の製造販売承認申請等に必要な電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方の一部改正について
(平成26年1月31日)
(薬食機発0131第6号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長)
(公印省略)
歯科器械の製造販売承認申請等に際して添付すべき資料のうち、電気的安全性評価及び物理的・化学的評価に関する資料の取扱いについては、「歯科器械の製造販売承認申請等に必要な電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方について」(平成24年3月1日付け薬食機発第0301第9号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知。以下「室長通知」という。)に基づき取り扱ってきたところです。
今般、日本工業規格(以下「JIS」という。)である「医用電気機器―第1部:安全に関する一般的要求事項(JIS T 0601―1:1999)」が「医用電気機器―第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項(JIS T 0601―1:2012)」に改正されたことなどに合わせ、室長通知の別添「歯科器械の電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方」(以下「ガイドライン」という。)の全部を別添のとおり改正しましたので、下記に御留意の上、貴管内関係団体、関係業者等への周知方お願いします。
なお、本通知の写しを独立行政法人医薬品医療機器総合機構理事長、一般社団法人日本医療機器産業連合会会長、米国医療機器・IVD工業会会長、欧州ビジネス協会医療機器委員会委員長及び薬事法登録認証機関協議会代表幹事宛て送付することを申し添えます。
記
1.本通知は、室長通知別添のガイドラインの全部を別添のとおり改正するものであること。
2.適用期日
平成26年1月31日以降の歯科器械の製造販売承認申請、認証申請及び届出(一部変更承認申請、一部変更認証申請及び届出事項変更届出を含む。以下「製造販売承認申請等」という。)について適用する。ただし、平成27年1月30日までの間に行う製造販売承認申請等に係る電気的安全性評価及び物理的・化学的評価に関する資料については、改正前のガイドラインに従って評価を行ったものであっても差し支えない。
なお、ガイドラインで引用されるJISの改正の取扱いについては、「薬事法第23条の2第1項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する管理医療機器に係る日本工業規格の改正に伴う薬事法上の取扱いについて(その3)」(平成24年3月1日付け薬食機発0301第17号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)を参考とすること。
別添
歯科器械の電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の基本的考え方
1.目的
本文書は、歯科用医療機器のうち歯科器械に必要な電気的安全性評価及び物理的・化学的評価の評価項目及び試験方法を示し、平成17年厚生労働省告示第122号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第41条第3項の規定により厚生労働大臣が定める医療機器の基準」(以下「基本要件基準」という。)に対する歯科器械の適合性の評価に関する基本的考え方を示すものである。
2.適用範囲
本文書は、昭和35年法律第145号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(以下、「医薬品医療機器法」という。)第2条第4項で定められた医療機器のうち、歯科器械に適用する。
備考 表2及び表3に記載する歯科器械については、評価項目及び評価方法を定めていない。これらの歯科器械については、使用目的、使用方法等を個別に検討し、必要な評価項目及び適切な評価方法を選定し、評価する。
3.定義
本文書で用いる用語の定義は、次による。
3.1 歯科器械
有資格者が歯科診療及びその関連処置、又はそのどちらかに用いるために、特別に製作された器具、機械、装置、プログラム及びプログラムを記録した記録媒体又はそれらの組合せをいう。
なお、歯科用メッキ装置等の材料を必須構成品とする場合がある。
また、歯科矯正用器材、ダイヤモンドバー、技工用スチールバー等の有資格者が用いる成形品を除く。
3.2 医用電気機器(ME機器)
装着部をもつか、患者との間でエネルギーを授受するか、又は患者に与えるか若しくは患者からのエネルギーを検出する次の電気機器。
a) 特定の電源(商用)への接続をする場合は、一か所で行う。
b) 製造販売業者が意図する次のいずれかの用途をもつ。
1) 患者の診断、治療又は監視
2) 疾病、負傷又は障害の補助若しくは緩和
備考
1.ME機器には、製造販売業者が指定したME機器の正常な使用を可能にするのに必要な附属品も含まれる。
2.医用に供する電気機器が全てこの定義に入るとは限らない。例えば、歯科技工用機器、患者環境外に設置する歯科用吸引装置ポンプ等。
3.3 医用電気機器非該当歯科用電気機器
本適用範囲の電気を利用する医療機器のうち、医用電気機器(ME機器)に該当しない機器をいう。
備考 歯科用アマルガム混こう器、歯科用印象材混こう器、歯科技工用重合装置、歯科技工用ポーセレン焼成炉、患者環境外に設置する歯科用吸引装置ポンプ等が該当する。
3.4 医用電気システム(MEシステム)
製造販売業者が指定した、機能接続によって又はマルチタップを用いて相互接続をした少なくとも一つのME機器を含む機器の組合せ。
3.5 情報技術機器
次の目的のために設計した機器をいう。
a) 外部からデータを入力する(例えば、データ入力線又はキーボードを通じて)。
b) 入力データについて何らかの処理を行う(例えば、演算、データ変換又は記録、ファイリング、分類、蓄積、データ伝送等)。
c) データを出力する(他の機器への出力、又はデータ若しくは画像の再生によって)。
備考 この定義には、周期性のある多様の電気的又は電子的な2値パルス波形を主に発生し、言語処理、電子計算、データ交換、記録、ファイリング、分類、蓄積、検索、転送、画像としてのデータ再生などのデータ処理機能を実行するように設計した電子ユニット又はシステムを含む(JIS C 60050―161の161―05―04参照)。
3.6 プログラム医療機器
人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされるものであって、プログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。ただし、副作用又は機能の障害が生じた場合においても、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを除く。
3.7 原材料
歯科器械の原材料又は製造工程(試験検査工程、滅菌工程を含む。)中で用いられる原材料のうち製品に残留するものをいい、合成又は天然高分子化合物、金属、セラミックス、その他の化学物質等をいう。
3.8 付帯的な機能
歯科器械が有する機能のうち、歯科器械の使用目的、効能又は効果に影響を与えることがない付帯的な機能であって、製造販売承認又は製造(輸入販売)承認を受けた既存の歯科器械においても同等の機能を有しているものをいう。
3.9 製品
製造販売業者から供給される歯科器械及び使用される状態の歯科器械をいう。
備考 使用開始前に組み立てる歯科器械(例えば、歯科用ユニット)、使用前に接続する附属品を含む歯科器械又は別に供給される医療機器を接続する歯科器械がある。
3.10 キット製品・セット製品
主要構成品及び関連構成品からなるものをいう。
備考
1.主要構成品の外に、医療機器に該当する専用構成品(他の医療機器の構成品とならないものをいう。)を含む歯科器械が該当する。
例えば、メッキ装置と専用のメッキ液とからなる歯科用メッキ装置キット、専用の切削用粉末を構成品とする歯科用噴射式切削器が該当する。
2.主要構成品の外に、他の医療機器に使用することがある構成品を含む歯科器械が該当する。
例えば、汎用の清掃用粉末である歯磨材を構成品とする電動式歯面清掃用装置、汎用の情報処理用プログラムを記録した記録媒体を構成品とする歯科診断用口腔内カメラが該当する。
3.医療機器に該当するオプション機器を含む歯科器械が該当する。
例えば、オプションとして歯科用ガス圧式ハンドピース等を含む歯科用オプション追加型ユニットが該当する。
3.11 関連器材
主たる医療機器とともに用いる関連する材料・器材をいう。
備考 歯科印象採得用器材は、印象採得に使用する器具及び材料のうち、当該機器又は材料の一般的名称が定められていないものを総称する一般的名称である。
3.12 歯科用X線装置関連医療機器
歯科用X線装置、歯科用自動現像装置等の歯科用X線装置関連の医療機器(プログラム医療機器を含む。)をいう。
3.13 一般電気安全
電気を利用する歯科器械の安全性のうち、生物学的な安全性を除くものをいう。
3.14 電磁両立性(EMC)
機器又はシステムの存在する環境において、許容できないような電磁妨害をいかなるものに対しても与えず、かつ、その電磁環境において満足に機能するための機器又はシステムの能力。
3.15 患者環境
患者とシステムの部分間又は患者とシステムの部分に接触している他の人との間に意図的な又は意図しない接触が生じる可能性がある空間領域をいう。
4.電気的安全性評価の原則
a) 歯科器械の電気的安全性評価は、「JIS T 14971 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用」に示されたリスク分析手法により実施されなければならない。歯科器械の電気的安全性評価は、意図する使用/意図する目的の効用に関する電気的特性、臨床使用における電気的安全性に関する特性等を明確にするために実施されなければならない。
b) 電気的安全性評価は、本文書によって実施された試験結果、関連の最新の科学文献等を踏まえて、リスクとベネフィットを考慮して、総合的に行う必要がある。
c) 電気的安全性評価は、教育・訓練が十分になされ、経験豊富な専門家によって行われなければならない。
d) 電気を利用するすべての機器は、一般電気安全について評価されなければならない。
1) 医用電気機器については、医用電気システムを含め、「JIS T 0601―1 医用電気機器―第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項」及び歯科器械に特定した「JIS T 80601―2―60 医用電気機器―第2―60部:歯科器械の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項」による。
備考
1.JIS T80601―2―60の個別規格は,歯科器械(歯科用制御装置,歯科患者用いす,歯科用ハンドピース,歯科用照明器など)の基礎安全及び基本性能について規定する。ただし,アマルガム練和器(アマルガメータ),滅菌器及び歯科用X線機器を除く。
2.歯科器械に適用されるJISにおいて、“この規格の要求事項はJIS T 0601―1の要求事項に優先する。”と規定されている場合であっても、「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」により一般電気安全を評価する。
3.製品に適用されるJISがない場合には、「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」に含まれる機械的安全性に係る評価も行う。
4.「JIS T 0601―1」は追補1により改正されたが、「JIS T 80601―2―60」は改正前の「JIS T 0601―1」に対する追加、置換え等を規定する個別規格であることに留意する。
2) 医用電気機器非該当歯科用電気機器については、「JIS C 1010―1 測定、制御及び研究室用電気機器の安全性―第1部:一般要求事項」による。ただし、患者環境で用いられる機器については、「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」による評価も必要となる。
3) 医用電気機器非該当歯科用電気機器のうち、患者環境外に設置する歯科用吸引装置ポンプは、「JIS B 9960―1 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項」、「JIS C 1010―1測定、制御及び研究室用電気機器の安全性―第1部:一般要求事項」又は「JIS C 9335―1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性―第1部:通則」のいずれかによる。
e) 電気を利用するすべての機器は、電磁両立性(EMC)について評価されなければならない。
1) 医用電気機器、医用電気システム、医用電気応用分野に用いる情報技術機器及び医用電気システムの一部分を形成する他のすべての機器の評価については、「JIS T 0601―1―2 医用電気機器―第1―2部:安全に関する一般要求事項―電磁両立性―要求事項及び試験」による。
備考 「JIS T 0601―1:2012」の“17 ME機器及びMEシステムの電磁両立性”でリスク評価の対象としているが、我が国では「JIS T 0601―1―2」への適合が求められるため、本ガイドラインでは「JIS T 0601―1―2」による評価とする。
2) 医用電気機器非該当歯科用電気機器の評価については、「JIS C 1806―1 計測・制御及び試験室使用の電気装置―電磁両立性要求事項―第1部:一般要求事項」による。
3) 医用電気機器非該当歯科用電気機器のうち、患者環境外に設置する歯科用吸引装置ポンプについては、電気的安全性評価に適用した規格に応じて次の電磁両立性試験を行う。
・「JIS C 1010―1」を適用した場合は、「JIS C 1806―1 計測・制御及び試験室使用の電気装置―電磁両立性要求事項―第1部:一般要求事項」による。
・「JIS B 9960―1」を適用した場合は、「JIS B 9960―1 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項」の4.4.2による。
・「JIS C 9335―1」を適用した場合は、「JIS C 9335―1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性―第1部:通則」の19.11.4 イミュニティ要求及び「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の全部改正について別表第十二国際規格等に準拠した基準表2.雑音の強さに関する基準J55014―1(H27)(20130605 商局第3号:平成25年7月1日)」による。
f) 以下の項目のいずれかに該当する場合には、電気的安全性評価を改めて行う必要があるが、試験の再実施、試験項目の追加の必要性については、十分に検討する。
1) 部品の規格が変更された場合
2) 電気、電子回路又はプログラムが変更された場合
3) 使用前の組立て又は接続方法が変更された場合(電気的な接続を含む場合に限る。)
4) 製品の使用目的、使用方法等に変更があった場合
5) 不具合を起こすかも知れない知見が得られた場合
5.物理的・化学的評価の原則
a) 歯科器械の物理的・化学的評価は、「JIS T 14971 医療機器―リスクマネジメントの医療機器への適用」に示されたリスク分析手法により実施されなければならない。歯科器械の物理的・化学的評価は、① 意図する使用/意図する目的の効用に関する物理的・化学的特性、② 臨床使用における物理的・化学的性能、③ 力学的安全性に関する特性、④ 電気的安全性及び生物学的安全性に影響する物理的・化学的特性等を明確にするために実施されなければならない。
b) 物理的・化学的評価は、本文書によって実施された試験結果、関連の最新の科学文献等を踏まえて、リスクとベネフィットとを考慮して、総合的に行う必要がある。
c) 物理的・化学的評価は、教育・訓練が十分になされ、経験豊富な専門家によって行われなければならない。
d) 以下の項目のいずれかに該当する場合には、物理的・化学的評価を改めて行う必要があるが、試験の再実施、試験項目の追加の必要性については、十分に検討する。
1) 原材料の供給元又は規格が変更された場合
2) 原材料の種類若しくは配合量、製造工程、製品の滅菌方法又は一次包装(滅菌包装)形態が変更された場合
3) 使用前の組立て又は接続方法が変更された場合
4) 保存中に、製品に変化があった場合(例えば、部品の材質変化)
5) 製品の使用目的に変更があった場合
6) 不具合を起こすかも知れない知見が得られた場合
6.電気的安全性に係る評価項目及び試験方法の選定
6.1 一般電気安全
a) 適用する「JIS T 0601―1 医用電気機器―第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項」及び「JIS T 80601―2―60 医用電気機器―第2―60部:歯科器械の基礎安全及び基本性能に関する個別要求事項」、又は「JIS C 1010―1 測定、制御及び研究室用電気機器の安全性―第1部:一般要求事項」、「JIS B 9960―1 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項」若しくは「JIS C 9335―1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性―第1部:通則」の規定に従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。
備考
1.「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」で規定されている清掃・消毒・滅菌に係る評価項目は、機器の材料への影響を含めて評価するため、物理的・化学的評価項目とし、一般電気安全の評価項目に含めない。
2.「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」で規定されている機械的安全性に係る評価項目は、一般電気安全の評価項目に含める。
3.外部機器との接続を意図する付帯的な機能を有する機器については、外部機器を含めた医用電気システムとしての電気的安全性を確保するために必要な接続可能な外部機器の条件を添付文書、取扱説明書等に示すこと。
4.「JIS T 80601―2―60」は追補1による改正前の「JIS T 0601―1」に対する追加、置換え等を規定する個別規格である。例えば、発光ダイオード(LED)による不要又は過度の放射によるハザードは、「JIS T 0601―1」では「10.5 他の可視の電磁放射線」で、「JIS T 80601―2―60」では「10.4 レーザ及び発光ダイオード(LED)」で扱う。
6.2 電磁両立性(EMC)
a) 医用電気機器、医用電気システム、医用電気応用分野に用いる情報技術機器及び医用電気システムの一部分を形成する他のすべての機器の評価については、「JIS T 0601―1―2 医用電気機器―第1―2部:安全に関する一般要求事項―電磁両立性―要求事項及び試験」の規定に従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。
b) 医用電気機器非該当歯科用電気機器の評価については、「JIS C 1806―1 計測・制御及び試験室使用の電気装置―電磁両立性要求事項―第1部:一般要求事項」の規定に従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。
c) 医用電気機器非該当歯科用電気機器のうち、患者環境外に設置する歯科用吸引装置ポンプの電気的安全性評価において適用した規格に応じて、「JIS C 1806―1 計測・制御及び試験室使用の電気装置―電磁両立性要求事項―第1部:一般要求事項」、「JIS B 9960―1 機械類の安全性―機械の電気装置―第1部:一般要求事項」の4.4.2又は「JIS C 9335―1 家庭用及びこれに類する電気機器の安全性―第1部:通則」の19.11.4 イミュニティ要求及び「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈の全部改正について別表第十二国際規格等に準拠した基準表2.雑音の強さに関する基準J55014―1(H27)(20130605 商局第3号:平成25年7月1日)」のいずれかの規定に従い、当該機器に適用可能な評価項目及び試験方法を選定する。
備考 基本要件基準の第13条第5項及び第6項への適合が求められることに留意する。
7.物理的・化学的評価項目及び試験方法の選定
a) 一部の歯科器械については、必要な特性・機能に関する物理的・化学的評価項目及び試験方法が、JISで規定されている。したがって、JISに規定されている歯科器械の評価項目及び試験方法は、原則として該当するJISの品質項目による。ただし、基本要件基準への適合を示すために、当該JISで規定されていない評価項目が必要な場合もある。
なお、JISには、品質項目に規定されていない特性・機能に関する表示・記載に係わる項目もあり、それらも含める。
備考 製品に引用又は参照するJISに電気的安全性に係る評価項目が規定されていることがあるが、物理的・化学的評価項目に含めない。
b) JISに規定されていない歯科器械の評価項目及び試験方法は、用途、機能、構造等が同等又は類似する歯科器械(以下「同等品」又は「類似品」という。)のJIS、ISO規格、承認審査に用いられる規格等又は既承認、既認証若しくは既届出品目の適切な「規格及び試験方法」、「品目仕様」若しくは「性能又は安全性に関する規格」を参考にする。
なお、JISの品質項目又はISO規格の要求事項に規定されていない特性に関する表示・記載に係わる項目に相当する事項については、歯科器械に応じて考慮する必要がある。
備考 EN規格、ANSI/ADA規格、ASTM、FDAガイドライン・ガイダンス等が、承認申請時の「性能又は安全性に関する規格」の設定根拠等として用いられている。
c) 医薬品医療機器法第23条の2の23第1項の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準(以下「認証基準」という。)又は製造販売承認審査に用いる基準(以下「承認基準」という。)に適合しない歯科器械について、上記で定めた評価項目又は試験方法を変更する場合には、その科学的妥当性を示さなければならない。
なお、承認基準は、既に技術基準が確立している範囲を対象として定められるため、上記で定めた評価項目及び試験方法の一部を採用せず、また、新たな評価項目及び試験方法を採用することがある。
d) 歯科器械の物理的・化学的評価項目は、表1に示した評価項目からなる。
なお、特有の原理・特性を有する歯科器械又は表1の評価項目では特性を表すことが困難な歯科器械には、表1以外の評価項目を適用する場合がある。表1以外の評価項目及びその試験方法は、専門家によって科学的根拠に基づいて選定され、かつ、適正に実施されなければならない。
備考
1.評価項目は、歯科器械に適用されるJISの品質項目、ISO規格の要求事項及び品質に係る表示項目を参考とした。例えば、「JIS T 5221―3 歯科用歯内療法器具―第3部:コンデンサ(プラガ及びスプレッダ)」では、耐熱性及び耐食性試験として高圧蒸気滅菌等を繰り返した後のさび、変色及び変形等の評価をおこなうので、耐滅菌性を評価項目とした。
2.歯科器械のJIS及びISO規格では、機能等の項目の中で物理的・化学的評価を規定していることがある。例えば、歯科用吸引装置で引用される「JIS T 5801 歯科器械―吸引システム」の“5.3.1 大容量吸引システム及び5.3.2 中容量吸引システム”で空気流量及び最大吸引圧力、“5.3.3 口くう(腔)外吸引システム”で空気流量が規定されている。
3.滅菌医療機器について無菌試験及びエンドトキシン試験を行うことがあるが、この試験は生物学的試験に属するため品質項目に含めなかった。
e) 評価項目を選定する上で、機能、構造等が類似する医科用医療機器との関係を考慮しなければならない歯科器械(歯科用X線装置関連医療機器等)については、評価項目を定めなかった。当該歯科器械を表2に示した。
f) 医療機器としての有効性に係る評価方法が確立されていない歯科器械及び医療機器としての機能に係る評価方法が確立されていないプログラム医療機器の場合には、本ガイドラインにおいて物理的・化学的評価項目を定めることができないので、基本要件基準への適合性を示すために必要な品質項目及び試験方法を定めて評価し、その妥当性を示さなければならない。
なお、品質項目を定めることができない歯科器械を表3に示した。
g) キット製品・セット製品及び関連器材については、その構成品ごとにそれぞれの評価項目及び試験方法を適用する。
ただし、引用又は参照するJIS若しくはISO規格にシステムとしての評価項目が規定されている場合には、その評価項目及び試験方法を適用する。
なお、キット製品・セット製品及び関連器材に属する一般的名称を表4に示した。
備考 構成品によっては、該当する一般的名称がなく、評価項目が規定されていないことがある。
h) 複数の使用目的を有する歯科器械については、各々の使用目的に応じた一般的名称の評価項目及び試験方法を適用する。
なお、複数の使用目的を有する多目的機器に属する一般的名称を表5に示した。
i) 歯科器械の使用目的、効能又は効果に影響を与えることがない付帯的な機能を有するものについては、当該機能が既に承認された機能に適合することを確認する。
なお、一般的名称ごとの付帯的な機能を附属書1に示した。
8.評価項目及び試験方法
8.1 一般
a) 一般医療機器の物理的・化学的評価項目は、別表1(1―1~1―10)に示した評価項目からなる。また、電気的安全性評価の要否を別表1に示した。
b) 管理医療機器の物理的・化学的評価項目は、別表2(2―1~2―9)に示した評価項目からなる。また、電気的安全性評価の要否を別表2に示した。
c) 高度管理医療機器に属するすべての歯科器械は、評価項目を定めることができない品目である。(表3を参照のこと。)
d) 医用電気機器の電気的安全性等評価項目は、別表3(3―1―1~3―6)に示した評価項目からなる。
備考
1.別表3で「JIS T 0601―1」の箇条を示すが、「JIS T 80601―2―60」の該当箇条にも適合することが必要となる。例えば、「JIS T 0601―1」の“1.1 適用範囲”は、「JIS T 80601―2―60」では“201.1.1 適用範囲”である。
2.「JIS T 0601―1」の箇条及び第1階層の細分箇条のうち、評価項目に該当しない箇条は記載を省略した。例えば、“1 適用範囲,目的及び関連規格”、“4.1 ME機器又はMEシステムへの適用のための条件”などである。
3.“4.3 基本性能”について、「JIS T 80601―2―60」では、“歯科器械は基本性能をもたない”ことが追加されたが、製造販売業者がそれぞれの機器に対してリスクマネジメントを通じて基本性能の有無を判断することが必要であり、評価表には☆印、★印で記載する。
4.「JIS T 0601―1」の“11.7 ME機器及びMEシステムの生体適合性”については、別に定める「歯科用医療機器の生物学的安全性評価の基本的考え方」によって評価する。
e) 医用電気機器非該当歯科用電気機器の電気的安全性等評価項目は、別表4(4―1~4―7)に示した評価項目からなる。
備考 患者環境に設置される機器については、「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」による評価も必要となる。
f) 選択適用する評価項目については、採否の妥当性を示さなければならない。
g) 別表1~別表4に示した評価項目のみでは、基本要件基準への適合を示すことができない場合には、別の品質項目及び試験方法を定めて評価し、その妥当性を示さなければならない。
h) 別表1~別表4の品目の記載は、平成27年11月25日付けで改正された平成16年7月20日付け薬食発第0720022号医薬食品局長通知「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第5項から第7項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器、管理医療機器及び一般医療機器の一部を改正する件(告示)及び医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第8項の規定により厚生労働大臣が指定する特定保守管理医療機器(告示)の施行について」(以下「医療機器一般的名称通知」という。)の別添CD―ROMに記載された一般的名称を、用途等によって並び替えた順序とした。
i) 評価項目の選定に利用した規格(JIS、ISO規格及びIEC規格)のうち、平成17年厚生労働省告示第112号「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第二十三条の二の二十三第一項の規定により厚生労働大臣が基準を定めて指定する医療機器」の別表第三の基準として引用される規格(但し、JIS T 0601―1、JIS T 0993―1等の共通規格を除く。)を引用規格とし、その他の規格を参照規格とした。別表1、別表2及び別表4において、引用規格については規格番号と名称を、参照規格については規格番号を括弧書きで示した。
8.2 評価項目
a) 別表1~別表4に示す評価項目は、医療機器の機能・特性及び電気的安全性を評価するために必要な品質項目と機能・特性に関連する表示項目からなる。
備考 表示することで保証される機能・特性のうち品質項目でないものを表示項目とするが、定格電源を含まない。例えば、歯科用エアスケーラの作動空気圧、空気消費量は表示項目とした。
b) 別表1及び別表2の評価項目の記載順序は、「歯科器械の物理的・化学的評価項目」(表1)の分類の順序に、別表3の評価項目の記載順序は、「JIS T 0601―1」及び「JIS T 80601―2―60」並びに「JIS T 0601―1―2」の項目の順序に、別表4の評価項目の記載順序は、「JIS C 1010―1」及び「JIS C 1806―1」の項目の順序に従った。
c) 平成28年12月31日時点で有効なJIS及びISO・IEC規格を引用又は参照した。
備考 JIS及びISO・IEC規格は、改正されることがあるので、最新版を調査して適用することが必要である。なお、西暦年を付記してあるものは、記載の年の版を適用する。なお、別途、規格の運用を定めた通知等があれば、それに従う。
d) 複数のJIS及びISO・IEC規格が該当する場合には、最新の規格を引用した。
e) 当該品目に適用できるJISがある場合には、原則としてJISの品質項目及び機能・特性に関する表示・記載に係る項目を評価項目とした。
f) 当該品目に適用できるJISがあるが、基本要件基準への適合性を示すために必要な品質項目が規定されていない場合には、JISの品質項目及び機能・特性に関する表示・記載に係る項目に加えて、基本要件基準への適合性を示すために必要な評価項目を追加した。
備考 歯科用根管口拡大ドリルに適用できる「JIS T 5221―2 歯科用歯内療法器具―第2部:エンラージャ」には、滅菌にかかる要求事項がない。このため、評価項目に“耐滅菌性”を追加して、「JIS T 5221―2」を参照規格とした。
g) 当該品目に適用できるISO・IEC規格、承認審査に用いられる規格等がある場合には、当該規格等の要求事項を品質項目とし、機能・特性に関する表示・記載に係る項目を評価項目とした。なお、適用できるJISがある場合には、e)により評価項目を選定した。
備考 EN、ANSI/ADA規格、ASTM、FDAガイドライン・ガイダンス等が、承認申請時の性能及び安全性に関する規格の設定根拠等として用いられている。
h) 当該品目の同等品又は類似品にJIS、ISO・IEC規格がある場合には、その品質項目を参考として評価項目とした。
i) 当該品目に適用又は参照するJIS、ISO・IEC規格、承認審査に用いられる規格等がない品目については、既承認、既認証若しくは既届出品目の適切な「規格及び試験方法」、「品目仕様」又は「性能及び安全性に関する規格」を参考として評価項目とした。
j) 複数の歯科器械を包括して規定するJIS又はISO・IEC規格の場合には、一般的名称ごとに適用される品質項目を識別し、評価項目とした。
備考 例えば、「JIS T 5701」を歯科用ユニット、歯科矯正用ユニット、歯科小児用ユニット、予防歯科用ユニット及び可搬式歯科用ユニットに適用した。
k) JIS又はISO規格の中で、細分箇条に題名(評価項目名)がなく文章中で要求されている品質に関する要求事項については、要求項目毎に適用する評価項目を記載した。
備考 例えば、「JIS T 5701」の5.1項においては、別表2―1において、「外観・構造」、「寸法」、「表面状態」とした。
l) 適用する品質項目には“○”印を、特性等により選択適用する品質項目には“●”印を付して区別した。品質項目ではない表示項目については、適用する表示項目には“△”印を、材料特性等により選択適用する表示項目には“▲”印を付して区別した。また、別表の脚注で選択適用する基準を示した。品目に引用するJIS又は参照するJIS若しくはISO規格を優先的に適用する一般電気安全に係る品質項目には“□”印を、表示項目には“◇”を、機能等により選択適用する品質項目には“■”印を、選択適用する表示項目には“◆”を付して区別した。「JIS T 80601―2―60」によって変更された「JIS T 0601―1」の適用する品質項目には“☆”印を、選択適用する品質項目には“★”印を付して区別した。
なお、使用目的、材料特性等により選択適用する評価項目については、その採否の妥当性を示さなければならない。
m) JIS又はISO規格で規定される“設計”、“一般的デザイン”等については、その内容に従って、該当する評価項目とした。例えば、「JIS T 5701 歯科用ユニット―一般的要求事項及び試験方法」の“5.1 一般要求事項”における評価項目を“表面状態”及び“接続性”とした。
n) 構造、機能、材質又は用途に応じて評価項目が指定されている歯科器械については、該当する構造、機能、材質又は使用目的に応じた評価項目とした。
また、複数の一般的名称に該当する使用目的を有する歯科器械については、各々の使用目的に応じた一般的名称の評価項目を適用した。
なお、評価項目の適用についての妥当性を示さなければならない。
備考
1.歯科用多目的超音波治療器では、歯垢・歯石除去機能、根管拡大機能、根管充填機能、根管長測定機能等を有するので、それぞれの機能に応じた評価項目とした。なお、根管長測定機能については、歯科用根管長測定器の評価項目を参照した。
2.歯科用吸引装置では、歯科用吸引装置ポンプを吸引源とする口腔内用及び口腔外用、並びに吸引ポンプを内蔵する自立型などの構造・使用目的が異なるものがあるので、口腔内用と口腔外用とに応じた評価項目とした。なお、吸引ポンプに係る評価項目については、選択適用する項目とした。
8.3 評価項目についての留意事項
a) 別表1及び別表2で指定される評価項目のみでは、基本要件基準への適合を示すことができない場合もあるので、当該歯科器械の使用目的等を十分考慮して評価項目を検討する必要がある。
b) 構成品を特定できないキット製品・セット製品及び関連器材については、別表1及び別表2から除外した。また、複数の使用目的を有する歯科器械において、評価項目を特定できない使用目的については、別表1から除外した。
c) 歯科器械のキット製品・セット製品については、各構成品目が該当する一般的名称の評価項目を適用する。
d) 関連器材については、歯科器械に該当する各構成品が該当する一般的名称の評価項目を適用する。なお、歯科材料に該当する構成品については、平成24年3月1日付薬食機発0301第5号医療機器審査管理室長通知「歯科材料の製造販売承認申請等に必要な物理的・化学的評価の基本的考え方について」に従い、該当する一般的名称の歯科材料の評価項目を適用する。
備考 構成品によっては、該当する一般的名称がなく、評価項目が規定されていないことがある。
e) 複数の使用目的を有する歯科器械については、各使用目的が該当する一般的名称の評価項目を適用する。
f) 寸法等が異なるが形状と材料を同じくする一連の製品を有する場合においては、最も条件の厳しい場合や最大・最小寸法の場合等について試験すれば一連の製品の全てについて安全性や有効性が担保できることを示すことにより、その試験結果をもって一連の製品の全てについての評価とすることができる。また試験での試料数については、製品のばらつきの度合いにもとづき安全性や有効性が担保できるように決定する。ただし、引用又は参照する規格で指定された種類等を表示する場合には、当該規格に基づいて試験する必要がある。
8.4 試験方法
a) 当該品目に引用又は参照するJIS又はISO・IEC規格に品質項目及び試験方法が規定されている場合には、規定されている試験方法を用いる。
b) 当該品目に引用又は参照するJIS又はISO・IEC規格に品質項目は規定されているが、その試験方法が規定されていない場合には、同等品のJIS又はISO・IEC規格の試験方法等を参考とし、試験方法を採用する科学的妥当性を示さなければならない。
c) 当該品目に引用又は参照するJIS又はISO・IEC規格がない場合には、類似品のJIS又はISO・IEC規格の試験方法等又は既承認、既認証若しくは既届出品目の適切な「規格及び試験方法」を参考とし、試験方法を採用する科学的妥当性を示さなければならない。
備考 製造販売承認、同認証又は同届出品目の「規格及び試験方法」は、製造販売承認申請書、製造販売認証申請書又は製造販売届書の「性能又は安全性に関する規格」欄に記載される品質、性能及び機能に関する事項をいう。
d) 表示項目の試験方法は、引用若しくは参照するJIS又はISO・IEC規格に規定されていないので、同等品のJIS又はISO・IEC規格の試験方法等を参考とし、試験方法を採用する科学的妥当性を示さなければならない。
8.5 供試機器(試験用サンプル)
a) 当該品目に適用できるJISがある場合には、原則として当該規格で規定されている供試機器を用いる。
b) 当該品目に適用できるISO・IEC規格がある場合には、原則として当該規格で規定されている供試機器を用いる。
c) 当該品目の同等品にJIS又はISO・IEC規格がある場合には、当該規格で規定されている供試機器を参考とすることができるが、その採用についての科学的妥当性を示さなければならない。
d) JIS又はISO・IEC規格に規定されていない供試機器を用いる場合には、次による。
1) 製造過程において材料が物理的・化学的に変化する場合には、製品、製品から切り出した試料、又は同じ条件で作製した模擬試験試料を用いて試験を行う必要がある。一方、製造過程において材料が物理的・化学的に変化しない場合には、製品又は原材料を試験用サンプルとして試験を行うことで差し支えない。製品の状態で試験用サンプルとするのが困難な場合には、製品と物理的・化学的特性が同等であることの科学的妥当性を説明できる材料を試験試料とすることができる。
備考
1.使用開始前に組み立てる歯科器械(例えば、歯科用ユニット)、使用前に接続する附属品を含む医療機器又は別に供給される医療機器を接続する歯科器械の場合には、評価項目によっては組立て又は接続の前及び/又は後の状態で試験を行う必要がある。
2.滅菌されて供給される場合には、滅菌後の製品で試験を行う必要がある。
8.6 評価項目及び試験方法の概要
歯科器械の物理的・化学的評価項目について、適用範囲及び試験方法の概要を附属書2に記載した。
なお、電気的安全性に係る評価項目及び試験方法は、適用する電気的安全性に係るJIS又は品目に引用するJIS若しくは参照するISO・IEC規格の規定に従う。
9.参照するISO規格及びIEC規格
平成28年12月31日時点で有効な歯科器械に関するISO規格、IEC規格及び対応するJIS(IDT:一致規格、MOD:修正規格)を別表5(5―1,5―2)に示した。DIS又はFDISを基に制定されたJISの場合には、“DIS”又は“FDIS”として、同等性(IDT、MOD)と区別して示した。
なお、医科用医療機器との関係で評価項目を定めない歯科用X線装置関連医療機器、電気手術器に係る規格は示さなかった。
備考
1.ISO規格及びIEC規格は、改正されることがあるので、最新版を調査して適用することが必要である。
2.多くのISO規格及びIEC規格は、JISとして発行されているが、ISO規格又はIEC規格が改正されてもJISが改正されるまでの間は、両者の内容が異なることがある。例えば、「JIS T 0601―1―2」の対応IEC規格IEC 60601―1―2:2001は、2007及び2014年に改正されている。
3.歯科器械に適用するISO規格については、ISO専門委員会(TC 106, Dentistry)が、IEC規格についてはIEC専門委員会(TC 62, Electrical equipment in medical practice、TC 87, Ultrasonics)が制定・改正を担当するが、IEC専門委員会(TC 65, Industrial-process measurement, control and automation、TC 66, Safety of measuring, control and laboratory equipment)が担当する電気的安全性評価のIEC規格及びISO専門委員会(TC 194, Biological evaluation of medical devices)が担当する生物学的安全性評価のISO規格も適用される。
10.参照するその他の規格・基準
歯科器械の物理的・化学的評価項目の選定に際し、参照したJIS及びISO・IEC規格以外の規格・基準を別表5―3に示した。
表1 歯科器械の物理的・化学的評価項目
A 外観・構造・材質評価
1 外観・構造
2 形状
3 寸法
4 表面状態
5 材質・めっき品質
6 識別性
7 目盛りの精度
8 粒度
9 被膜厚さ
10 被膜密着性
B 力学的評価
1 硬さ
2 引張強さ
3 曲げモーメント
4 装着トルク
5 緩みトルク
6 停止トルク
7 最大荷重
8 ねじり抵抗
9 柔軟性
10 耐圧性
11 結合強さ
12 耐曲げ性
13 耐衝撃性
14 耐圧縮性
15 耐破壊・変形性
16 耐崩壊性
17 堅ろう性
18 破折点の位置
C 光学的評価
1 光学的ひずみ
2 照度
3 照度パターン
4 色収差
5 相関色温度
6 パターン内の放射熱
7 影
8 鮮明さ
9 放射発散度
10 公称倍率
11 UV放射照度
12 平均演色評価数
13 波長測定精度
D 耐久性に係る評価
1 耐食性
2 耐水性
3 耐消毒性
4 耐滅菌性
5 耐清掃・消毒性
6 耐熱性
7 疲労耐久性
E 接続に係る評価
1 接続性
2 接続部適合性
3 接続・密封性
4 接続器に対する最大負荷能力
5 接続性能
6 装着性
7 引抜力
8 挿入力
9 静的伝達力
10 脱着性
11 軸特性
F 安全性に係る評価
1 温度上昇
2 可燃性
3 解放機構
4 緊急停止性能
5 圧力開放機能
6 圧力系の破裂耐性
7 操作制御盤(誤操作防止)
8 安定性
9 飛散防止
10 アラーム
11 電圧調節性
12 電流調節性
13 出力電圧
14 出力電流
15 加熱温度
G 回転・振動に係る評価
1 回転制御機能
2 回転速度
3 回転方向
4 振動数
5 振動停止力
6 振幅
7 ツイスト角度
8 偏心
H 空気・水の量・圧力に係る評価
1 給水・排水流量
2 空気消費量
3 空気流量
4 作動圧力
5 作動空気圧
6 作動空気量
7 作動水圧
8 水消費量
9 切削部冷却用水量
10 切削部冷却用空気量
11 モータ冷却用空気量
12 モータ冷却用空気圧
13 最大吸引圧力
14 作動用空気の排気
15 吸引量
16 吹付け圧力
17 吹付け面積
J 使用性能に係る評価
1 気水分離性能
2 表示精度
3 根管長測定精度
4 根管長表示精度
5 う蝕検出性能
6 モニタ画面画質
7 モニタ画面解像度
8 歯垢・歯石除去性能
9 形成、切削・研削性能
10 根管拡大性能
11 根管充填性能
12 振動付与性能
13 切開・切除性能
14 洗浄性能
15 歯面等清掃性能
16 練和性能
17 キャリブレーション性能
18 歯石歯垢検出性能
19 注入性能
20 イオン導入性能
K 機能に係る評価
1 気密性
2 作動機能
3 スプレー性
4 固形物収集能力
5 オートリバース動作確認
6 オートストップ動作確認
7 スローダウン動作確認
8 センサ測定精度
9 センサ測定範囲
10 センサ感度
11 タッピング強さ
12 タッピング幅
13 最高温度
14 温度上昇率
15 温度設定
16 薬液の視認
17 プランジャ棒(押し棒)
18 吸引性
19 射出圧力
20 射出速度
21 真空到達度
22 金属融解速度
23 吐出量
L 負荷能力評価
1 最大安全負荷能力
2 最大上昇負荷能力
3 負荷能力
4 最大移動量
M その他の評価
1 可動範囲
2 可動部分の距離
3 可動部分の保護
4 質量
5 取付け許容質量
6 把持性能
7 保持性能
8 操作性
9 騒音レベル
10 可搬性
11 水の浸入
12 プランジャ推進距離
13 出力周波数
14 出力波長
15 タイマー
16 質量減
17 水銀・合金残留
18 振動
表2 医科用医療機器との関係で評価項目を定めない歯科器械
医療機器の区分 |
コード |
一般的名称 |
認証基準1) |
一般医療機器 |
31828000 |
歯科用X線ビームアラインメント装置 |
|
70040009 |
歯科用デジタル式X線センサ |
||
40898000 |
頭頸部画像診断・放射線治療用患者体位固定具 |
||
70035000 |
歯科用自動現像装置 |
||
40977000 |
スクリーン型歯科画像診断用X線フィルム |
||
40978000 |
ノンスクリーン型歯科画像診断用X線フィルム |
||
管理医療機器 |
70002000 |
歯科集団検診用パノラマX線撮影装置 |
有 |
37635000 |
アナログ式口内汎用歯科X線診断装置 |
||
37617000 |
デジタル式口内汎用歯科X線診断装置 |
||
37636000 |
アナログ式口外汎用歯科X線診断装置 |
有 |
|
37667000 |
デジタル式口外汎用歯科X線診断装置 |
有 |
|
37637000 |
アナログ式歯科用パノラマX線診断装置 |
有 |
|
37640000 |
デジタル式歯科用パノラマX線診断装置 |
有 |
|
37668000 |
アナログ式歯科用パノラマ・断層撮影X線診断装置 |
有 |
|
37669000 |
デジタル式歯科用パノラマ・断層撮影X線診断装置 |
有 |
|
37677010 |
頭蓋計測用X線診断装置 |
有 |
|
37677020 |
頭蓋計測用一体型X線診断装置 |
有 |
|
70004010 |
歯科用デジタル式X線撮影センサ |
有 |
|
70004020 |
パノラマ用デジタル式X線センサ |
有 |
|
70004030 |
頭蓋計測用デジタル式X線センサ |
||
70728000 |
歯科水ライン用フィルタ |
||
12740000 |
歯科用注射針 |
有 |
|
43894000 |
電動器具トルクコントロール装置 |
||
70006000 |
アーム型X線CT診断装置 |
有 |
|
70002012 |
歯科用パノラマX線診断装置用プログラム |
有 |
|
37668012 |
歯科用パノラマ・断層撮影X線診断装置用プログラム |
有 |
|
70006012 |
アーム型X線CT診断装置用プログラム |
有 |
|
37636012 |
口外汎用歯科X線診断装置用プログラム |
有 |
|
37677032 |
頭蓋計測用X線診断装置用プログラム |
有 |
|
37677042 |
頭蓋計測用一体型X線診断装置用プログラム |
有 |