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○送気マスクの適正な使用等について

(平成25年10月29日)

(基安化発1029第1号)

(都道府県労働局労働基準部健康主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)

送気マスクは、空気中の有害物質の吸入による健康障害を予防する等のため、ろ過式呼吸用保護具(防じんマスク、防毒マスク等)が使用できない環境下においても使用することができるものとして、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)、酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号)等においてその使用が規定されている。

しかしながら、清浄な空気が供給される送気マスクにおいても、顔面と面体との間に隙間が生じたこと、空気供給量が少なかったことなどが原因と思われる災害が発生したところである。

このため、送気マスクの使用等に関する注意事項を下記のとおり示すので、送気マスクを使用する事業者への指導等に当たって、万全を期されるようお願いする。

なお、関係団体に対しては別紙のとおり要請を行ったので了知されたい。

1 送気マスクの防護性能(防護係数)に応じた適切な選択

送気マスクの選定に当たっては、日本工業規格(JIS T 8150:2006「呼吸用保護具の選択,使用及び保守管理方法」及びJIS T 8153:2002「送気マスク」)を参考に、作業者の顔面・頭部に合った寸法の面体等を有する送気マスクを選択すること。

なお、送気マスクの防護係数は、労働者ごとに実測したものを用いることを原則とし、使用する送気マスクの防護係数が作業場の濃度倍率(有害物質の濃度と許容濃度との比)と比べ、十分大きなものであることを確認すること。

別添のとおりJIS T 8150に記載されている指定防護係数は、防護係数を実測できない場合に限って用いるものであること。

2 面体等に供給する空気量の確保

送気マスクは、面体等に十分な量の空気が供給されることで所定の防護性能が発揮されるため、その空気供給量に適した空気源、ホースなどを備えること。

なお、空気供給量を最小に絞った場合は、平均呼吸量としては十分でも、ピーク吸気時には不足する空気が面体内に漏れこむ可能性があるので、作業に応じて呼吸しやすい空気供給量に調節することに加え、十分な防護性能を得るために空気供給量を多めに調節すること。

また、送気マスクを使用する際は、有害な空気を吸入しないために、ろ過フィルターの定期的な交換のほか、清浄空気供給装置等を使用することが望ましい。

3 ホースの閉塞などへの対処

送気マスクに使われるホース(純正品でないものを含む。)については、手で簡単に折り曲げることができるものがあり、タイヤで踏まれたり、障害物に引っ掛かるなどのほか、同心円状に束ねられたホースを伸ばしていく過程でラセン状になったホースがねじれ、一時的に給気が止まることがある。このため、十分な強度を持つホースを選択すること、ホースの監視者(流量の確認、ホースの折れ曲がり等を監視することとともに、ホースがねじれないよう引き回しの介助等を行う者)を配置すること、ホースがその他の作業者の動線と重ならないようにすること、タイヤで踏まれないようにすること等の対策を講じること。

また、監視者を配置するに当たり、1人の監視者が複数の作業者を監視する場合には、適切に各作業者の状況が把握できるような体制とすること。

なお、給気が停止した際に、そのことを作業者に知らせる警報装置の設置、面体を持つ送気マスクでは、面体内圧が低下したことを作業者に知らせる個人用警報装置付きのものは、作業者の速やかな退避に有効であること。

さらに、IDLH環境(Immediately Dangerous to Life or Health:生命及び健康に直ちに危険を及ぼす環境)など非常に危険な環境では、給気が停止した際に対応するために小型空気ボンベを備えた複合式エアラインマスク、空気源に異常が生じた際にそのことを警報するとともに空気源が自動的に切り替わる緊急時給気切換警報装置に接続したエアラインマスクの使用が望ましいこと。

4 作業時間の管理及び巡視

送気マスクを使用している場合においても一定の有害物質の吸入ばく露があり得ることから、長時間の連続作業を行わないよう連続作業時間に上限を定め、適宜休憩時間を設けること。

また、法令に定める作業主任者に、その職務、特に作業計画及び作業場の巡視を行わせること。

さらに、夏季における船体の塗装区画内部等では、高温になることで有害物質の蒸発量が増し、その結果ばく露濃度が増大することがあり、熱中症とも相まって中毒を起こしやすいことに留意すること。

5 緊急時の連絡方法の確保

送気マスクを使用して塗装作業等の長時間の連続作業を単独で行う場合には、異常が発生した時に救助を求めるブザーや連絡用のトランシーバ等を備えるなど、緊急時の連絡方法の確保を行うこと。

6 送気マスクの使用方法に関する教育の実施

雇入れ時又は配置転換時に、送気マスクの正しい装着方法及び顔面への密着性の確認方法について、作業者に教育を行うこと。

[別紙]

○送気マスクの適正な使用等について

(平成25年10月29日)

(基安化発1029第2号)

((別記関係団体、事業者団体の長)あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)

労働基準行政の運営につきましては、日頃から格別の御協力を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、送気マスクにつきましては、空気中の有害物質の吸入による健康障害を予防する等のため、ろ過式呼吸用保護具(防じんマスク、防毒マスク等)が使用できない環境下においても使用することができるものとして、有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号)、特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号)、酸素欠乏症等防止規則(昭和47年労働省令第42号)等においてその使用が規定されています。

しかしながら、清浄な空気が供給される送気マスクにおいても、顔面と面体との間に隙間が生じたこと、空気供給量が少なかったことなどが原因と思われる災害が発生したところであります。

このため、送気マスク使用上の注意事項を下記のとおりお示ししますので、貴団体におかれましても、本件趣旨を御理解いただき、会員その他関係事業場等に対する本件注意事項の周知等に、特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。

1 送気マスクの防護性能(防護係数)に応じた適切な選択

送気マスクの選定に当たっては、日本工業規格(JIS T 8150:2006「呼吸用保護具の選択,使用及び保守管理方法」及びJIS T 8153:2002「送気マスク」)を参考に、作業者の顔面・頭部に合った寸法の面体等を有する送気マスクを選択すること。

なお、送気マスクの防護係数は、労働者ごとに実測したものを用いることを原則とし、使用する送気マスクの防護係数が作業場の濃度倍率(有害物質の濃度と許容濃度との比)と比べ、十分大きなものであることを確認すること。

別添のとおりJIS T 8150に記載されている指定防護係数は、防護係数を実測できない場合に限って用いるものであること。

2 面体等に供給する空気量の確保

送気マスクは、面体等に十分な量の空気が供給されることで所定の防護性能が発揮されるため、その空気供給量に適した空気源、ホースなどを備えること。

なお、空気供給量を最小に絞った場合は、平均呼吸量としては十分でも、ピーク吸気時には不足する空気が面体内に漏れこむ可能性があるので、作業に応じて呼吸しやすい空気供給量に調節することに加え、十分な防護性能を得るために空気供給量を多めに調節すること。

また、送気マスクを使用する際は、有害な空気を吸入しないために、ろ過フィルターの定期的な交換のほか、清浄空気供給装置等を使用することが望ましい。

3 ホースの閉塞などへの対処

送気マスクに使われるホース(純正品でないものを含む。)については、手で簡単に折り曲げることができるものがあり、タイヤで踏まれたり、障害物に引っ掛かるなどのほか、同心円状に束ねられたホースを伸ばしていく過程でラセン状になったホースがねじれ、一時的に給気が止まることがある。このため、十分な強度を持つホースを選択すること、ホースの監視者(流量の確認、ホースの折れ曲がり等を監視することとともに、ホースがねじれないよう引き回しの介助等を行う者)を配置すること、ホースがその他の作業者の動線と重ならないようにすること、タイヤで踏まれないようにすること等の対策を講じること。

また、監視者を配置するに当たり、1人の監視者が複数の作業者を監視する場合には、適切に各作業者の状況が把握できるような体制とすること。

なお、給気が停止した際に、そのことを作業者に知らせる警報装置の設置、面体を持つ送気マスクでは、面体内圧が低下したことを作業者に知らせる個人用警報装置付きのものは、作業者の速やかな退避に有効であること。

さらに、IDLH環境(Immediately Dangerous to Life or Health:生命及び健康に直ちに危険を及ぼす環境)など非常に危険な環境では、給気が停止した際に対応するために小型空気ボンベを備えた複合式エアラインマスク、空気源に異常が生じた際にそのことを警報するとともに空気源が自動的に切り替わる緊急時給気切換警報装置に接続したエアラインマスクの使用が望ましいこと。

4 作業時間の管理及び巡視

送気マスクを使用している場合においても一定の有害物質の吸入ばく露があり得ることから、長時間の連続作業を行わないよう連続作業時間に上限を定め、適宜休憩時間を設けること。

また、法令に定める作業主任者に、その職務、特に作業計画及び作業場の巡視を行わせること。

さらに、夏季における船体の塗装区画内部等では、高温になることで有害物質の蒸発量が増し、その結果ばく露濃度が増大することがあり、熱中症とも相まって中毒を起こしやすいことに留意すること。

5 緊急時の連絡方法の確保

送気マスクを使用して塗装作業等の長時間の連続作業を単独で行う場合には、異常が発生した時に救助を求めるブザーや連絡用のトランシーバ等を備えるなど、緊急時の連絡方法の確保を行うこと。

6 送気マスクの使用方法に関する教育の実施

雇入れ時又は配置転換時に、送気マスクの正しい装着方法及び顔面への密着性の確認方法について、作業者に教育を行うこと。

別記関係団体、事業者団体

一般社団法人 日本造船工業会会長

一般社団法人 日本中小型造船工業会会長

一般社団法人 日本造船協力事業者団体連合会会長

公益社団法人 日本推進技術協会会長

一般社団法人 日本建設業連合会会長

一般社団法人 全国建設業協会会長

一般社団法人 全国中小建設業協会会長

中央労働災害防止協会会長

建設業労働災害防止協会会長

一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会会長

公益社団法人 全国労働基準関係団体連合会会長

全国管工事業協同組合連合会会長

一般社団法人 建設産業専門団体連合会会長

全国建設業協同組合連合会会長

公益社団法人 日本保安用品協会会長

[別添]

JIS T 8150付表2「呼吸用保護具の面体等の種類ごとの指定防護係数」(抜粋)

呼吸用保護具の種類

面体等の種類

指定防護係数(※)

送気マスク

ホースマスク

肺力吸引形

半面形

10

全面形

50

送風機形

半面形

50

全面形

100

フード形

25

フェイスシールド形

25

エアラインマスク

一定流量形

半面形

50

全面形

100

フード形

25

フェイスシールド形

25

デマンド形

半面形

10

全面形

50

プレッシャデマンド形

半面形

50

全面形

1000

デマンド形

(緊急時給気切替警報装置付き)

半面形

10

全面形

50

プレッシャデマンド形

(緊急時給気切替警報装置付き)

半面形

50

全面形

1000

複合式

デマンド形

半面形

10

全面形

50

プレッシャデマンド形

半面形

50

全面形

1000

(※) 呼吸用保護具が正常に機能している場合に、期待される最低の防護係数。