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ア 左右の頬部の紅斑の出現

イ 四肢のレース様の紅斑の出現

22 突発性発しん

(1) 定義

乳幼児がヒトヘルペスウイルス6、7型の感染による突然の高熱と解熱前後の発疹を来す疾患である。

(2) 臨床的特徴

乳幼児期、特に6~18か月の間に罹患することが多い。5歳以上はまれである。

突然、高熱で発症、不機嫌で大泉門の膨隆をみることがある。咽頭部の発赤、特に口蓋垂の両側に強い斑状発赤を認めることがある。軟便若しくは下痢を伴うものが多く、発熱は3~4日持続した後に解熱する。

解熱に前後して小さな紅斑や紅色丘疹が出現し、散在性、時に斑状融合性に分布する。発疹は体幹から始まり上肢、頚部の順に広がるが、顔面、下肢には少ない。発疹は1~2日で消失する。脳炎を合併することがある。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から突発性発しんが疑われ、かつ、(4)により、突発性発しん患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

届出の対象は、上記の臨床的特徴に合致するものであるため、届出の対象は5歳未満のみとする。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、突発性発しんが疑われ、かつ、(4)により、突発性発しんにより死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(2つすべてを満たすもの)

ア 突然に発熱し、2~4日間持続

イ 解熱に前後して体幹部、四肢、顔面の発疹が出現

23 百日咳

(1) 定義

Bordetella pertussisによって起こる急性の気道感染症である。

(2) 臨床的特徴

潜伏期は通常5~10日(最大3週間程度)であり、かぜ様症状で始まるが、次第に咳が著しくなり、百日咳特有の咳が出始める。典型的な臨床像は、顔を真っ赤にしてコンコンと激しく咳込み(スタッカート)、最後にヒューッと音を立てて大きく息を吸う発作(ウープ)となる。嘔吐も伴い、眼瞼の浮腫や顔面の点状出血がみられることがある。幼若乳児や、年長児、また成人では典型的な症状がみられず、診断が難しいことも少なくない。

乳児では重症になり、特に新生児がかかると無呼吸となり、致死的となることがある。肺炎、脳症を合併することがある。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から百日咳が疑われ、かつ、(4)により、百日咳患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、百日咳が疑われ、かつ、(4)により、百日咳により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(ア及びイを満たすもの)

ア 2週間以上持続する咳嗽

イ 以下のいずれかの要件のうち少なくとも1つを満たすもの

(ア) スタッカート及びウープを伴う咳嗽発作

(イ) 新生児や乳児で、他に明らかな原因がない咳嗽後の嘔吐又は無呼吸発作

25 ヘルパンギーナ

(1) 定義

主にコクサッキーウイルスA群による口峡部に特有の小水疱と発熱を主症状とする夏かぜの一種である。多くは、コクサッキーウイルスA群2~8、10、12型、まれにその他のエンテロウイルスも病原として分離されることがある。

(2) 臨床的特徴

潜伏期は2~4日、初夏から秋にかけて、乳幼児に多い。突然の38~40℃の発熱が1~3日間続き、全身倦怠感、食欲不振、咽頭痛、嘔吐、四肢痛などがある場合もある。咽頭所見は、軽度に発赤し、口蓋から口蓋帆にかけて1~5mmの小水疱、これから生じた小潰瘍、その周辺に発赤を伴ったものが数個認められる。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からヘルパンギーナが疑われ、かつ、(4)により、ヘルパンギーナ患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ヘルパンギーナが疑われ、かつ、(4)により、ヘルパンギーナにより死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(2つすべてを満たすもの)

ア 突然の高熱での発症

イ 口蓋垂付近の水疱疹や潰瘍や発赤

27 流行性耳下腺炎

(1) 定義

ムンプスウイルス感染により耳下腺が腫脹する感染症である。

(2) 臨床的特徴

上気道を介して飛沫感染し潜伏期は2~3週間で、両側又は片側の耳下腺が腫脹し、ものを噛むときに顎に痛みを訴えることが多い。このとき数日の発熱を伴うものが多い。耳下腺腫脹は有痛性で、境界不鮮明な柔らかい腫脹が耳朶を中心として起こる。他の唾液腺の腫脹をみることもある。耳下腺開口部の発赤が認められるが、膿汁の排泄はない。合併症としては、髄膜炎、脳炎、膵炎、難聴などがあり、その他成人男性には睾丸炎、成人女子には卵巣炎がみられることがある。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から流行性耳下腺炎が疑われ、かつ、(4)により、流行性耳下腺炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、流行性耳下腺炎が疑われ、かつ、(4)により、流行性耳下腺炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(2つすべてを満たすもの)

ア 片側ないし両側の耳下腺の突然の腫脹と、2日以上の持続

イ 他に耳下腺腫脹の原因がないこと

28 インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)

(1) 定義

インフルエンザウイルス(鳥インフルエンザの原因となるA型インフルエンザウイルス及び新型インフルエンザ等感染症の原因となるインフルエンザウイルスを除く。)の感染による急性気道感染症である。

(2) 臨床的特徴

上気道炎症状に加えて、突然の高熱、全身倦怠感、頭痛、筋肉痛を伴うことを特徴とする。流行期(我が国では、例年11月~4月)にこれらの症状のあったものはインフルエンザと考えられるが、非流行期での臨床診断は困難である。合併症として、脳症、肺炎を起こすことがある。

(3) 届出基準(インフルエンザ定点における場合)

ア 患者(確定例)

指定届出機関(インフルエンザ定点)の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からインフルエンザが疑われ、かつ、①のすべてを満たすか、①のすべてを満たさなくても②を満たすことにより、インフルエンザ患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、インフルエンザが疑われ、かつ、①のすべてを満たすか、①のすべてを満たさなくても②を満たすことにより、インフルエンザにより死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

①届出のために必要な臨床症状(4つすべてを満たすもの)

ア 突然の発症

イ 高熱

ウ 上気道炎症状

エ 全身倦怠感等の全身症状

②届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

迅速診断キットによる病原体の抗原の検出

鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、咽頭拭い液

(4) 届出基準(基幹定点における場合)

ア 入院患者

指定届出機関(基幹定点)の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からインフルエンザが疑われ、かつ、(3)①のすべてを満たすか、(3)①のすべてを満たさなくても(3)②を満たすことにより、インフルエンザ患者と診断した患者のうち、入院をしたものについて、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

29 急性出血性結膜炎

(1) 定義

エンテロウイルス70型及びコクサッキーウイルスA24変異型の感染によって起こる急性結膜炎である。

(2) 臨床的特徴

潜伏期は1日で強い眼の痛み、異物感で始まり、結膜の充血、特に結膜下出血を伴うことが多い。眼瞼の腫脹、眼脂、結膜浮腫、角膜表層のび慢性混濁などがみられ眼痛、異物感がある。約1週間続いて治癒することが多いが、この疾患に罹患したのち6~12か月後に四肢の運動麻痺を来すことがある。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から急性出血性結膜炎が疑われ、かつ、(4)により、急性出血性結膜炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、急性出血性結膜炎が疑われ、かつ、(4)により、急性出血性結膜炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(下記のうち2つ以上)

ア 急性濾胞性結膜炎

イ 眼脂、眼痛、異物感などを伴う眼瞼腫脹

ウ 結膜下出血

30 流行性角結膜炎

(1) 定義

アデノウイルス8、19、37、4型などによる眼感染症である。

(2) 臨床的特徴

約1~2週間の潜伏期の後、急性濾胞性結膜炎の臨床症状を示して発病する。結膜の浮腫や充血、眼瞼浮腫が強く、流涙や眼脂を伴う。耳前リンパ節の腫脹と圧痛を来す。角膜にはび慢性表層角膜症がみられ、異物感、眼痛を訴えることがある。偽膜を伴うことも多い。発病後2~3週間で治癒することが多い。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から流行性角結膜炎が疑われ、かつ、(4)により、流行性角結膜炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、流行性角結膜炎が疑われ、かつ、(4)により、流行性角結膜炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(下記のうち2つ以上)

ア 重症な急性濾胞性結膜炎

イ 角膜点状上皮下混濁

ウ 耳前リンパ節腫脹・圧痛

31 性器クラミジア感染症

(1) 定義

Chlamydia trachomatisによる性感染症である。

(2) 臨床的特徴

男性では、尿道から感染して急性尿道炎を起こすが、症状は淋菌感染症よりも軽い。さらに、前立腺炎、精巣上体炎を起こすこともある。女性では、まず子宮頚管炎を起こし、その後、感染が子宮内膜、卵管へと波及し、子宮内膜炎、卵管炎、骨盤内炎症性疾患、肝周囲炎を起こす(しかし男女とも、症状が軽く自覚のないことも多い)。

また、子宮外妊娠、不妊、流早産の誘因ともなる。妊婦が感染している場合には、主として産道感染により、新生児に封入体結膜炎を生じさせることがある。また、1~2か月の潜伏期を経て、新生児、乳児の肺炎を引き起こすことがある。淋菌との混合感染も多く、淋菌感染症の治癒後も尿道炎が続く場合には、クラミジア感染症が疑われる。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から性器クラミジア感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、性器クラミジア感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

スクリーニングによる病原体・抗原・遺伝子に関する検査陽性例は報告対象に含まれるが、抗体陽性のみの場合は除外する。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、性器クラミジア感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、性器クラミジア感染症により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

(4) 届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

分離・同定による病原体の検出

尿道、性器から採取した材料

蛍光抗体法又は酵素抗体法による病原体の抗原の検出

PCR法による病原体の遺伝子の検出

抗体の検出(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇、又は単一血清で抗体価の高値)

血清

32 性器ヘルペスウイルス感染症

(1) 定義

単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV,HSV1型又は2型)が感染し、性器又はその付近に発症したものを性器ヘルペスという。

(2) 臨床的特徴

性器ヘルペスは、外部から入ったウイルスによる初感染の場合と、仙髄神経節に潜伏しているウイルスの再活性化による場合の2つがある。

初感染では、感染後3~7日の潜伏期の後に外陰部に小水疱又は浅い潰瘍性病変が数個ないし集簇的に出現する。発熱などの全身症状を伴うことが多い。2~4週間で自然に治癒するが、治癒後も月経、性交その他の刺激が誘因となって、再発を繰り返す。発疹は外陰部のほか、臀部、大腿にも生じることがある。

病変部位は男性では包皮、冠状溝、亀頭、女性では外陰部や子宮頚部である。口を介する性的接触によって口唇周囲にも感染する。HSV2型による場合は、より再発しやすい。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から性器ヘルペスウイルス感染症が疑われ、かつ、(4)により、性器ヘルペスウイルス感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

明らかに再発であるもの及び血清抗体のみ陽性のものは除外する。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、性器ヘルペスウイルス感染症が疑われ、かつ、(4)により、性器ヘルペスウイルス感染症により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状

男女ともに、性器や臀部にヘルペス特有な有痛性の1から多数の小さい水疱性又は浅い潰瘍性病変を認めるもの

33 尖圭コンジローマ

(1) 定義

尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルス(ヒト乳頭腫ウイルス、HPV)の感染により、性器周辺に生じる腫瘍である。ヒトパピローマウイルスは80種類以上が知られているが、尖圭コンジローマの原因となるのは主にHPV6型とHPV11型であり、時にHPV16型の感染でも生じる。

(2) 臨床的特徴

感染後、数週間から2~3か月を経て、陰茎亀頭、冠状溝、包皮、大小陰唇、肛門周囲等の性器周辺部に、イボ状の小腫瘍が多発する。腫瘍は、先の尖った乳頭状の腫瘤が集簇した独特の形をしており、乳頭状、鶏冠状、花キャベツ状等と形容される。尖圭コンジローマ自体は、良性の腫瘍であり、自然に治癒することも多いが、時に癌に移行することが知られている。特に、HPV16,52,58,18型などに感染した女性の場合、子宮頚部に感染し、子宮頚癌の発癌要因になることもあると考えられている。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から尖圭コンジローマが疑われ、かつ、(4)により、尖圭コンジローマ患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、尖圭コンジローマが疑われ、かつ、(4)により、尖圭コンジローマにより死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状

男女ともに、性器及びその周辺に淡紅色又は褐色調の乳頭状、又は鶏冠状の特徴的病変を認めるもの

34 淋菌感染症

(1) 定義

淋菌(Neisseria gonorrheae)による性感染症である。

(2) 臨床的特徴

男性は急性尿道炎として発症するのが一般的であるが、放置すると前立腺炎、精巣上体炎となる。後遺症として尿道狭窄が起こる。

女子は子宮頚管炎や尿道炎を起こすが、自覚症状のない場合が多い。感染が上行すると子宮内膜炎、卵管炎等の骨盤内炎症性疾患を起こし、発熱、下腹痛を来す。後遺症として不妊症が起きる。

その他、咽頭や直腸などへの感染や産道感染による新生児結膜炎などもある。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から淋菌感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、淋菌感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、淋菌感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、淋菌感染症により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

(4) 届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

分離・同定による病原体の検出

尿道及び性器から採取した材料、眼分泌物、咽頭拭い液

鏡検による病原体の検出

蛍光抗体法による病原体の抗原の検出

酵素抗体法による病原体の抗原の検出

PCR法による病原体の遺伝子の検出

35 感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る。)

(1) 定義

ロタウイルスの感染による下痢、嘔吐、発熱を主症状とする感染症である。

(2) 臨床的特徴

主に0~2歳児を中心に好発し、毎年概ね2月から5月にかけて流行がみられる。主症状は発熱、嘔吐、白色の水様便を特徴とする下痢であり、通常、3―7日で症状の回復がみられる。他のウイルス性胃腸炎と比べると重度の脱水症状を呈し、入院治療を必要とすることが多い。稀に死亡に至る例もある。時に、合併症として痙攣、脳炎・脳症、腸重積、肝炎、腎炎などが認められ、心筋炎などの致死的感染症の報告も散見される。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からロタウイルス胃腸炎が疑われ、かつ、(4)の届出に必要な要件を満たし、ロタウイルス胃腸炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ロタウイルス胃腸炎が疑われ、かつ、(4)の届出に必要な要件を満たし、ロタウイルス胃腸炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出に必要な要件(以下のアの(ア)及び(イ)かつイを満たすもの)

ア 届出のために必要な臨床症状

(ア) 24時間以内に、3回以上の下痢又は1回以上の嘔吐

(イ) 他の届出疾患によるものを除く

イ 病原体診断の方法

検査方法

検査材料

迅速診断キットによる病原体の抗原の検出

便検体

36 クラミジア肺炎(オウム病を除く)

(1) 定義

Chlamydophila (Chlamydia) pneumoniae,Chlamydia trachomatisの感染による肺炎である。

(2) 臨床的特徴

C.trachomatisは子宮頚管炎を発症している母体からの産道感染で新生児、乳児に間質性肺炎を発症し無熱性である。C.pneumoniaeは、飛沫感染により3~4週間の潜伏期を経て軽症の異型肺炎を発症する。小児及び高齢者で多く見られる。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からクラミジア肺炎が疑われ、かつ、(4)により、クラミジア肺炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、クラミジア肺炎が疑われ、かつ、(4)により、クラミジア肺炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

分離・同定による病原体の検出

気道から採取した検体

蛍光抗体法又は酵素抗体法による病原体の抗原の検出

PCR法による病原体の遺伝子の検出

抗体の検出(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意な上昇、又は単一血清で抗体価の高値)

血清

37 細菌性髄膜炎(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌を原因として同定された場合を除く。)

(1) 定義

髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌が原因として同定された場合を除く種々の細菌感染による髄膜の感染症である。

(2) 臨床的特徴

発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする。項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状が見られることがあるが、新生児や乳児などではこれらの臨床症状が明らかではないことが多い。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から細菌性髄膜炎が疑われ、かつ、(4)及び(5)により、細菌性髄膜炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、細菌性髄膜炎が疑われ、かつ、(4)により、細菌性髄膜炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(2つすべてを満たすもの)

ア 発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする

イ 項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状

(※) いずれも新生児や乳児などでは臨床症状が明らかではないことが多い。

(5) 届出のために必要な検査所見(2つすべてを満たすもの)

ア 髄液細胞数の増加(多核球優位であることが多い)

イ 髄液蛋白量の増加と糖の減少

38 ペニシリン耐性肺炎球菌感染症

(1) 定義

ペニシリンGに対して耐性を示す肺炎球菌による感染症である。

(2) 臨床的特徴

小児及び成人の化膿性髄膜炎や中耳炎で検出されるが、その他、副鼻腔炎、心内膜炎、心嚢炎、腹膜炎、関節炎、まれには尿路生殖器感染から菌血症を引き起こすこともある。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からペニシリン耐性肺炎球菌感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、ペニシリン耐性肺炎球菌感染症により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

(4) 届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

分離・同定による肺炎球菌の検出、かつペニシリンのMIC値が0.125μg/ml以上又は、オキサシリンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が19mm以下

血液、腹水、胸水、髄液、その他の通常無菌的であるべき検体

分離・同定による肺炎球菌の検出、かつペニシリンのMIC値が0.125μg/ml以上又は、オキサシリンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が19mm以下、かつ分離菌が感染症の起因菌と判定された場合

喀痰、膿、尿、その他の通常無菌的ではない検体

39 マイコプラズマ肺炎

(1) 定義

Mycoplasma pneumoniaeの感染によって発症する肺炎である。

(2) 臨床的特徴

好発年齢は、6~12歳の小児であり、小児では発生頻度の高い感染症の一つである。潜伏期は2~3週間とされ、飛沫で感染する。異型肺炎像を呈することが多い。頑固な咳嗽と発熱を主症状に発病し、中耳炎、胸膜炎、心筋炎、髄膜炎などの合併症を併発する症例も報告されている。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からマイコプラズマ肺炎が疑われ、かつ、(4)により、マイコプラズマ肺炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、マイコプラズマ肺炎が疑われ、かつ、(4)により、マイコプラズマ肺炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

分離・同定による病原体の検出

気道から採取された検体

PCR法による病原体の遺伝子の検出

抗体の検出

(ペア血清による抗体陽転又は抗体価の有意の上昇、又は単一血清で間接血球凝集抗体価320倍以上、補体結合抗体価64倍以上、ゼラチン粒子凝集抗体価320倍以上、若しくはIgM抗体の検出(迅速診断キット))

血清

40 無菌性髄膜炎

(1) 定義

種々のウイルスを中心とした病原体の感染による髄膜の感染症である。

(2) 臨床的特徴

発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とするが、新生児や乳児などでは臨床症状が明らかではないことが多い。項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状が見られるが同じく新生児や乳児などではこれらが明らかではないことも多い。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から無菌性髄膜炎が疑われ、かつ、(4)及び(5)により、無菌性髄膜炎患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、無菌性髄膜炎が疑われ、かつ、(4)及び(5)により、無菌性髄膜炎により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を週単位で、翌週の月曜日に届け出なければならない。

(4) 届出のために必要な臨床症状(2つすべてを満たすもの)

ア 発熱、頭痛、嘔吐を主な特徴とする

イ 項部硬直、Kernig徴候、Brudzinski徴候などの髄膜刺激症状

(※) いずれも新生児や乳児などでは臨床症状が明らかではないことが多い。

(5) 届出のために必要な検査所見(2つすべてを満たすもの)

ア 髄液細胞数の増加(単核球優位であることが多い)

イ 髄液蛋白量、糖量が正常

41 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

(1) 定義

メチシリンなどのペニシリン剤をはじめとして、β―ラクタム剤、アミノ配糖体剤、マクロライド剤などの多くの薬剤に対し多剤耐性を示す黄色ブドウ球菌による感染症である。

(2) 臨床的特徴

外科手術後の患者や免疫不全者、長期抗菌薬投与患者などに日和見感染し、腸炎、敗血症、肺炎などを来し、突然の高熱、血圧低下、腹部膨満、下痢、意識障害、白血球減少、血小板減少、腎機能障害、肝機能障害などの症状を示す。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

(4) 届出のために必要な検査所見

検査方法

検査材料

分離・同定による黄色ブドウ球菌の検出、かつオキサシリンのMIC値が4μg/ml以上、又はオキサシリンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が10mm以下

血液、腹水、胸水、髄液、その他の通常無菌的であるべき検体

分離・同定による黄色ブドウ球菌の検出、かつオキサシリンのMIC値が4μg/ml以上、又はオキサシリンの感受性ディスク(KB)の阻止円の直径が10mm以下、かつ分離菌が感染症の起因菌と判定された場合

喀痰、膿、尿、その他の通常無菌的ではない検体

42 薬剤耐性アシネトバクター感染症

(1) 定義

広域β―ラクタム剤、アミノ配糖体、フルオロキノロンの3系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌による感染症である。

(2) 臨床的特徴

感染防御機能の低下した患者や抗菌薬長期使用中の患者に日和見感染し、肺炎などの呼吸器感染症、尿路感染症、手術部位や外傷部位の感染症、カテーテル関連血流感染症、敗血症、髄膜炎、皮膚、粘膜面、軟部組織、眼などに多彩な感染症を起こす。

(3) 届出基準

ア 患者(確定例)

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から薬剤耐性アシネトバクター感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、薬剤耐性アシネトバクター感染症患者と診断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

イ 感染症死亡者の死体

指定届出機関の管理者は、当該指定届出機関の医師が、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、薬剤耐性アシネトバクター感染症が疑われ、かつ、(4)の表の左欄に掲げる検査方法により、薬剤耐性アシネトバクター感染症により死亡したと判断した場合には、法第14条第2項の規定による届出を月単位で、翌月の初日に届け出なければならない。

この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。

(4) 届出のために必要な検査所見