添付一覧
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
血液、脳脊髄液、尿 |
PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
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ELISA法又は蛍光抗体法によるIgM抗体若しくはIgG抗体の検出 |
血清 |
5 ペスト
(1) 定義
腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌であるYersinia pestisの感染によって起こる全身性疾患である。
(2) 臨床的特徴
リンパ節炎、敗血症等を起こし、重症例では高熱、意識障害などを伴う急性細菌性感染症であり、死に至ることも多い。臨床的所見により以下の3種に分けられる。
ア 腺ペスト(ヒトペストの80~90%を占める)
潜伏期は2~7日。感染部のリンパ節が痛みとともに腫れる。菌は血流を介して全身のリンパ節、肝や脾でも繁殖し、多くは1週間くらいで死亡する。
イ 敗血症ペスト(約10%を占める)
時に局所症状がないまま敗血症症状が先行し、皮膚のあちこちに出血斑が生じて全身が黒色となり死亡する。
ウ 肺ペスト
ペスト菌による気管支炎や肺炎を起こし、強烈な頭痛、嘔吐、39~41℃の弛張熱、急激な呼吸困難、鮮紅色の泡立った血痰を伴う重篤な肺炎像を示し、2~3日で死亡する。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からペストが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ペスト患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
鑑別を必要とする疾患は、類鼻疽(臨床症状が肺ペストと類似)、野兎病(臨床症状が腺ペストに類似し、かつ共通抗原決定基を持つ)である。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ペストの無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 疑似症患者
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から、ペストの疑似症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
疑似症患者の診断に当たっては、臨床所見、ペスト流行地への渡航歴、齧歯類に寄生しているノミによる咬傷の有無を参考にする。
エ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ペストが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ペストにより死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
オ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ペストにより死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出(塗抹標本の染色鏡検も参考となる) |
血液、リンパ節腫吸引物、喀痰、組織 |
蛍光抗体法によるエンベロープ抗原(Fraction 1抗原)の検出 |
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PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
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赤血球凝集反応によるエンベロープ抗原(Fraction 1抗原)に対する抗体の検出(16倍以上) |
血清 |
6 マールブルグ病
(1) 定義
マールブルグウイルス(フィロウイルス科)による熱性疾患である。
(2) 臨床的特徴
潜伏期間は3~10日間である。発症は突発的である。発熱、頭痛、筋肉痛、皮膚粘膜発疹、咽頭結膜炎に続き、重症化すると下痢、鼻口腔・消化管出血が見られる(エボラ出血熱に類似する)。
マールブルグウイルスの自然界からヒトへの感染経路は不明である。ヒトからヒトへは血液、体液、排泄物との濃厚接触及び性的接触によりウイルスが伝播する。
ドイツにおける集団発生(1967年)においてはアフリカミドリザルの血液、組織との接触によるものであった。アフリカ(ケニア等)での発生例にはサルは無関係であった。治療法はなく、対症療法のみである。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からマールブルグ病が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、マールブルグ病患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
鑑別を必要とする疾患は、他のウイルス性出血熱、腸チフス、発しんチフス、赤痢、マラリア、デング熱、黄熱である。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、マールブルグ病の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 疑似症患者
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から、マールブルグ病の疑似症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
エ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、マールブルグ病が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、マールブルグ病により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
オ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、マールブルグ病により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
血液、咽頭拭い液、尿 |
ELISA法による病原体の特異抗原の検出 |
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PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
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ELISA法又は蛍光抗体法によるIgM抗体若しくはIgG抗体の検出 |
血清 |
7 ラッサ熱
(1) 定義
ラッサウイルス(アレナウイルス科)による熱性疾患である。
(2) 臨床的特徴
発症は突発的で進行は緩やかである。マストミスに咬まれたり尿や血液に触れたり、あるいは感染発症者の血液、体液、排泄物等に直接接触する等の後、潜伏期間(7~18日)を経て、高熱(39~41℃)、全身倦怠感に続き、3~4日目に大関節痛、咽頭痛、咳、筋肉痛、次いで心窩部痛、後胸部痛、嘔吐、悪心、下痢、腹部痛等が認められる。
重症化すると顔面頚部の浮腫、眼球結膜出血、消化管出血、心のう炎、胸膜炎、ショック。
重症経過で治癒後、一側あるいは両側のろう(難聴)を示すことが20%以上ある。発症期の症状はインフルエンザ様である。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からラッサ熱が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ラッサ熱患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
鑑別を必要とする疾患は、他のウイルス性出血熱、腸チフス、発しんチフス、赤痢、マラリア、デング熱、黄熱である。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ラッサ熱の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 疑似症患者
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から、ラッサ熱の疑似症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
エ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ラッサ熱が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ラッサ熱により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
オ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ラッサ熱により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
血液、咽頭拭い液、尿 |
ELISA法による病原体の抗原の検出 |
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PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
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蛍光抗体法によるIgM抗体若しくはIgG抗体の検出 |
血清 |
第3 二類感染症
1 急性灰白髄炎
(1) 定義
ポリオウイルス1~3型(ワクチン株を含む)の感染による急性弛緩性麻痺を主症状とする急性運動中枢神経感染症である。また、ポリオウイルス1~3型には、地域集団において継続的に伝播している野生株ポリオウイルス、ワクチン由来ポリオウイルス(VDPV)(※)及びワクチン株ポリオウイルス(※※)がある。
(2) 臨床的特徴
潜伏期は3~12日で、発熱(3日間程度)、全身倦怠感、頭痛、吐き気、項部・背部硬直などの髄膜刺激症状を呈するが、軽症例(不全型)では軽い感冒様症状又は胃腸症状で終わることもある。髄膜炎症状だけで麻痺を来さないもの(非麻痺型)もあるが、重症例(麻痺型)では発熱に引き続きあるいは一旦解熱し再び発熱した後に、突然四肢の随意筋(多くは下肢)の弛緩性麻痺が現れる。罹患部位の腱反射は減弱ないし消失し、知覚感覚異常を伴わない。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から急性灰白髄炎が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、急性灰白髄炎患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、急性灰白髄炎の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。ただしワクチン株ポリオウイルス(※※)による無症状病原体保有者は届出の対象ではない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、急性灰白髄炎が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、急性灰白髄炎により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、急性灰白髄炎により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
便、直腸ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、髄液 ①ポリオウイルス1~3型の検出は便検体が基本であり、発症後できるだけ速やかに、24時間以上の間隔をあけて、少なくとも2回以上採取し、いずれかひとつの便検体からポリオウイルス1~3型が検出された場合は、直ちに届出を行うこと。 ②直腸ぬぐい液、咽頭ぬぐい液、髄液からポリオウイルス1~3型が検出された場合も、検査陽性として、直ちに届出を行うこと。 |
(※) VDPVは、親株であるOPV株からのVP1全領域における変異率により定義され、1型及び3型は1%以上の変異率(VP1領域における親株からの変異数が10塩基以上)を有するポリオウイルス、2型についてはVP1領域における変異数が6塩基以上のポリオウイルスをVDPVとする。
(※※) 野生株ポリオウイルス・VDPV以外のポリオウイルスをワクチン株ポリオウイルスとする。
2 結核
(1) 定義
結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex、ただしMycobacterium bovis BCGを除く)による感染症である。
(2) 臨床的特徴
感染は主に気道を介した飛沫核感染による。感染源の大半は喀痰塗抹陽性の肺結核患者であるが、ときに培養のみ陽性の患者、まれに菌陰性の患者や肺外結核患者が感染源になることもある。感染後数週間から一生涯にわたり臨床的に発病の可能性があるが、発病するのは通常30%程度である。若い患者の場合、発病に先立つ数ヶ月~数年以内に結核患者と接触歴を有することがある。
感染後の発病のリスクは感染後間もない時期(とくに1年以内)に高く、年齢的には乳幼児期、思春期に高い。また、特定の疾患(糖尿病、慢性腎不全、エイズ、じん肺等)を合併している者、胃切除の既往歴を持つ者、免疫抑制剤(副腎皮質ホルモン剤、TNFα阻害薬等)治療中の者等においても高くなる。
多くの場合、最も一般的な侵入門戸である肺の病変として発症する(肺結核)が、肺外臓器にも起こりうる。肺外罹患臓器として多いのは胸膜、リンパ節、脊椎・その他の骨・関節、腎・尿路生殖器、中枢神経系、喉頭等であり、全身に播種した場合には粟粒結核となる。
肺結核の症状は咳、喀痰、微熱が典型的とされており、胸痛、呼吸困難、血痰、全身倦怠感、食欲不振等を伴うこともあるが、初期には無症状のことも多い。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から結核が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、結核患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
ただし、病原体及び病原体遺伝子の検出検査方法以外による検査方法については、当該検査所見に加え、問診等により医師が結核患者であると診断するに足る判断がなされる場合に限り届出を行うものである。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
鑑別を必要とする疾患は、他の原因による肺炎、非結核性抗酸菌症、肺癌、気管支拡張症、良性腫瘍等である。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の画像検査方法以外の左欄に掲げる検査方法により、結核の無症状病原体保有者と診断し、かつ、結核医療を必要とすると認められる場合(潜在性結核感染症)に限り、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
5歳未満の者においては、この検査方法で病原体保有の確認ができない場合であっても、患者の飛沫のかかる範囲での反復、継続した接触等の疫学的状況から感染に高度の蓋然性が認められる者に限り、届出を行うこと。
ウ 疑似症患者
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から、結核の疑似症患者と診断するに足る高度の蓋然性が認められる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
疑似症患者の診断に当たっては、集団発生の状況、疫学的関連性なども考慮し判断する。
エ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、結核が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、結核により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
オ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、結核により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
塗抹検査による病原体の検出 |
喀痰、胃液、咽頭・喉頭ぬぐい液、気管支肺胞洗浄液、胸水、膿汁・分泌液、尿、便、脳脊髄液、組織材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
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核酸増幅法による病原体遺伝子の検出 |
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病理検査における特異的所見の確認 |
病理組織 |
ツベルクリン反応検査(発赤、硬結、水疱、壊死の有無) |
皮膚所見 |
リンパ球の菌特異蛋白刺激による放出インターフェロンγ試験 |
血液 |
画像検査における所見の確認 |
胸部エックス線画像、CT等検査画像 |
3 ジフテリア
(1) 定義
ジフテリア毒素を産生するコリネバクテリウム属のCorynebacterium diphtheriaeの感染による急性感染症である。
(2) 臨床的特徴
ジフテリア菌が咽頭などの粘膜に感染し、感染部位の粘膜や周辺の軟部組織の障害を引き起こし、扁桃から咽頭粘膜表面の偽膜性炎症、下顎部から前頚部の著しい浮腫とリンパ節腫脹(bullneck)などの症状が出現する。重症例では心筋の障害などにより死亡する。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からジフテリアが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ジフテリア患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ジフテリアの無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ジフテリアが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、ジフテリアにより死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、ジフテリアにより死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出、かつ、分離菌におけるジフテリア毒素の確認 |
病変(感染)部位からの採取材料 |
PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
(※) 本感染症は、Corynebacterium diphtheriaeによるものであるが、Corynebacterium ulcerans及びCorynebacterium pseudotuberculosisにおいてもジフテリア毒素を産生する株が確認されているので、分離・同定による病原体の検出、病原体の毒素遺伝子の検出の際に留意が必要である。
4 重症急性呼吸器症候群(病原体がコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る)
(1) 定義
SARSコロナウイルスの感染による重症急性呼吸器症候群である。
(2) 臨床的特徴
多くは2~7日、最大10日間の潜伏期間の後に、急激な発熱、咳、全身倦怠感、筋肉痛などのインフルエンザ様の前駆症状が現れる。2~数日間で呼吸困難、乾性咳嗽、低酸素血症などの下気道症状が現れ、胸部CT、X線写真などで肺炎像が出現する。肺炎になった者の80~90%が1週間程度で回復傾向になるが、10~20%がARDS(Acute Respiratory Distress Syndrome)を起こし、人工呼吸器などを必要とするほど重症となる。
致死率は10%前後で、高齢者及び基礎疾患のある者での致死率はより高い。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から重症急性呼吸器症候群が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、重症急性呼吸器症候群の患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、重症急性呼吸器症候群の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 疑似症患者
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から、重症急性呼吸器症候群の疑似症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
エ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、重症急性呼吸器症候群が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、重症急性呼吸器症候群により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
オ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、重症急性呼吸器症候群により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
鼻咽頭拭い液、喀痰、尿、便 |
PCR法による病原体の遺伝子の検出 |
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ELISA法又は蛍光抗体法によるIgM抗体若しくはIgG抗体の検出、又は中和試験による抗体の検出 |
血清 |
(4) 疑似症患者の判断に必要な事項
ア 病原体診断又は抗体検査で陰性になった場合でも、患者と臨床的特徴が合致する場合は、SARSを否定できないため、医師の総合判断により、疑似症患者として取り扱う。
イ 臨床所見、渡航歴などにより、以下の(ア)又は(イ)に該当し、かつ(ウ)の条件を満たす場合は、疑似症患者として取り扱う。
(ア) 平成14年11月1日以降に、38℃以上の急な発熱及び咳、呼吸困難などの呼吸器症状を示して受診した者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者
① 発症前10日以内に、SARSが疑われる患者を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた者
② 発症前10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者
③ 発症前10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者
④ SARSコロナウイルス又はSARS患者の臨床検体を取り扱う研究を行っている研究者、あるいはSARSコロナウイルス、又は患者検体を保有する機関の研究者で、ウイルスへの曝露の可能性がある者
⑤ 5日以上継続する重症の呼吸器症状及び肺炎で、治療に反応せず、他にこれら症状を説明できる診断がつかない場合
(イ) 平成14年11月1日以降に死亡し、病理解剖が行われていない者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者
① 発症前10日以内に、SARSが疑われる患者を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた者
② 発症前10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者
③ 発症前10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者
④ SARSコロナウイルス又はSARS患者の臨床検体を取り扱う研究を行っていた研究者、あるいはSARSコロナウイルス、又は患者検体を保有する機関の研究者で、ウイルスへの曝露の可能性があった者
⑤ 5日以上継続する重症の呼吸器症状及び肺炎で、治療に反応せず、死亡までに、他にこれら症状を説明できる診断がついていなかった場合
(ウ) 次のいずれかの条件を満たす者
① 胸部レントゲン写真で肺炎、又は急性呼吸窮迫症候群の所見を示す者
② 病理解剖所見が肺炎、呼吸窮迫症候群の病理所見として矛盾せず、はっきりとした原因がない者
注) 他の診断によって症状の説明ができる場合は除外すること。
5 鳥インフルエンザ(H5N1)
(1) 定義
A型インフルエンザウイルス(H5N1)のトリからヒトへの感染による急性気道感染症である。
(2) 臨床的特徴
潜伏期間は概ね2~8日である。症例の初期症状の多くが、高熱と急性呼吸器症状を主とするインフルエンザ様疾患の症状を呈する。下気道症状は早期に発現し、呼吸窮迫、頻呼吸、呼吸時の異常音がよく認められ、臨床的に明らかな肺炎が多く見られる。
呼吸不全が進行した例ではびまん性のスリガラス様陰影が両肺に認められ、急性窮迫性呼吸症候群(ARDS)の臨床症状を呈する。
死亡例は発症から平均9~10日(範囲6~30日)目に発生し、進行性の呼吸不全による死亡が多く見られる。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者のうち、38℃以上の発熱及び急性呼吸器症状のある者を診察した結果、症状や所見から鳥インフルエンザ(H5N1)が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、鳥インフルエンザ(H5N1)と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
検査方法 |
検査材料 |
検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出 |
咽頭拭い液、肺胞洗浄液、剖検材料、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液 |
分離・同定による病原体の検出 |
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表に掲げる検査方法により、鳥インフルエンザ(H5N1)の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
検査方法 |
検査材料 |
検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出 |
咽頭拭い液、肺胞洗浄液、剖検材料、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液 |
分離・同定による病原体の検出 |
ウ 疑似症患者
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者のうち、38℃以上の発熱及び急性呼吸器症状のある者を診察した結果、症状や所見から鳥インフルエンザ(H5N1)が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、H5亜型が検出された場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
検査方法 |
検査材料 |
検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出 |
咽頭拭い液、肺胞洗浄液、剖検材料、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液 |
エ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、鳥インフルエンザ(H5N1)が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、鳥インフルエンザ(H5N1)により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
検査方法 |
検査材料 |
検体から直接のPCR法による病原体の遺伝子の検出 |
咽頭拭い液、肺胞洗浄液、剖検材料、鼻腔吸引液、鼻腔拭い液 |
分離・同定による病原体の検出 |
オ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、鳥インフルエンザ(H5N1)により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
第4 三類感染症
1 コレラ
(1) 定義
コレラ毒素(CT)産生性コレラ菌(Vibrio cholerae O1)又はV.cholerae O139による急性感染性腸炎である。
(2) 臨床的特徴
潜伏期間は数時間から5日、通常1日前後である。近年のエルトールコレラは軽症の水様性下痢や軟便で経過することが多いが、まれに“米のとぎ汁”様の便臭のない水様便を1日数リットルから数十リットルも排泄し、激しい嘔吐を繰り返す。
その結果、著しい脱水と電解質の喪失、チアノーゼ、体重の減少、頻脈、血圧の低下、皮膚の乾燥や弾力性の消失、無尿、虚脱などの症状、及び低カリウム血症による腓腹筋(ときには大腿筋)の痙攣がおこる。胃切除を受けた人や高齢者では重症になることがあり、また死亡例もまれにみられる。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見からコレラが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、コレラ患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
鑑別を必要とする疾患は、食中毒、その他の感染性腸炎である。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、コレラの無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、コレラが疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、コレラにより死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、コレラにより死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出、かつ、分離菌における①、②いずれかによるコレラ毒素の確認 ①毒素産生の確認 ②PCR法による毒素遺伝子の検出 |
便 |
2 細菌性赤痢
(1) 定義
赤痢菌(Shigella dysenteriae、 S.flexneri、S.boydii、S.sonnei)の経口感染で起こる急性感染性大腸炎である。
(2) 臨床的特徴
潜伏期は1~5日(大多数は3日以内)。主要病変は大腸、特にS状結腸の粘膜の出血性化膿性炎症、潰瘍を形成することもある。
このため、発熱、下痢、腹痛を伴うテネスムス(tenesmus;しぶり腹―便意は強いがなかなか排便できないこと)、膿・粘血便の排泄などの赤痢特有の症状を呈する。近年、軽症下痢あるいは無症状に経過する例が多い。症状は一般に成人よりも小児の方が重い。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から細菌性赤痢が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、細菌性赤痢患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
鑑別を必要とする疾患は、カンピロバクター、赤痢アメーバ、腸管出血性大腸菌等による他の感染性腸炎である。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、細菌性赤痢の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、細菌性赤痢が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、細菌性赤痢により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、細菌性赤痢により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出 |
便 |
3 腸管出血性大腸菌感染症
(1) 定義
ベロ毒素(Verotoxin,VT)を産生する腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic E.coli,EHEC、Shigatoxin-producing E.coli,STECなど)の感染によって起こる全身性疾病である。
(2) 臨床的特徴
臨床症状は、一般的な特徴は腹痛、水様性下痢及び血便である。嘔吐や38℃台の高熱を伴うこともある。
さらにベロ毒素の作用により溶血性貧血、急性腎不全を来し、溶血性尿毒症症候群(Hemolytic Uremic Syndrome,HUS)を引き起こすことがある。小児や高齢者では痙攣、昏睡、脳症などによって致命症となることがある。
(3) 届出基準
ア 患者(確定例)
医師は、(2)の臨床的特徴を有する者を診察した結果、症状や所見から腸管出血性大腸菌感染症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、腸管出血性大腸菌感染症患者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
イ 無症状病原体保有者
医師は、診察した者が(2)の臨床的特徴を呈していないが、次の表の左欄に掲げる検査方法により、腸管出血性大腸菌感染症の無症状病原体保有者と診断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
ウ 感染症死亡者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、腸管出血性大腸菌感染症が疑われ、かつ、次の表の左欄に掲げる検査方法により、腸管出血性大腸菌感染症により死亡したと判断した場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
この場合において、検査材料は、同欄に掲げる検査方法の区分ごとに、それぞれ同表の右欄に定めるもののいずれかを用いること。
エ 感染症死亡疑い者の死体
医師は、(2)の臨床的特徴を有する死体を検案した結果、症状や所見から、腸管出血性大腸菌感染症により死亡したと疑われる場合には、法第12条第1項の規定による届出を直ちに行わなければならない。
検査方法 |
検査材料 |
分離・同定による病原体の検出、かつ、分離菌における次の①、②いずれかによるベロ毒素の確認 ①毒素産生の確認 ②PCR法等による毒素遺伝子の検出 |
便 |
ベロ毒素の検出(HUS発症例に限る) |
|
O抗原凝集抗体又は抗ベロ毒素抗体の検出(HUS発症例に限る) |
血清 |