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○死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律等の施行について

(平成25年9月20日)

(年発0920第1号)

(日本年金機構理事長あて厚生労働省年金局長通知)

平成25年6月26日に公布された死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律(平成25年法律第66号。以下「法」という。)の施行に伴い、死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律の施行期日を定める政令(平成25年政令第279号。以下「施行期日令」という。)及び死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律施行令(平成25年政令第280号。以下「施行令」という。)並びに死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律施行規則(平成25年法務省・厚生労働省令第2号。以下「規則」という。)及び死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律に基づく国民年金の保険料の納付手続の特例に関する省令(平成25年厚生労働省令第108号。以下「納付則」という。)がそれぞれ本日公布されたので通知する。

これらの制定の趣旨及び内容は下記のとおりであるので、その内容につき御了知いただくとともに、実施に当たっては、遺漏のないよう取り扱われたい。

第1 法制定の趣旨

死刑に処せられた罪について再審において無罪の言渡しを受けてその判決が確定した者(以下「死刑再審無罪者」という。)については、死刑の判決が確定した後は、仮釈放もなく社会復帰への希望を持つことが著しく困難であるため国民年金の保険料の納付等の手続をとらなかったことがやむを得ないと認められることに鑑み、死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関し、特別の立法措置を講ずることとされたものである。

第2 法の内容

1 国民年金の給付を行うための国民年金の保険料の納付の特例

(1) 死刑再審無罪者は、死刑判決確定日から無罪判決確定日(死刑に処せられた罪について再審において無罪の言渡しを受けてその判決が確定した日をいう。以下同じ。)の前日までの期間(以下「対象期間」という。)のうち国民年金法等の被保険者期間であるもの(保険料納付済期間等を除く。)に係る保険料を納付することができるものとすること。(第2条第1項関係)

(2) (1)の納付は、無罪判決確定日から起算して1年を経過する日までの間において、一括して行わなければならないものとすること。(第2条第2項関係)

(3) (1)により保険料が納付されたときは、無罪判決確定日に、当該納付に係る期間の各月の当該死刑再審無罪者の国民年金の保険料が納付されたものとみなすものとすること。(第2条第3項関係)

2 特別給付金の支給

国は、1の(1)により保険料が納付された場合には、国民年金法(昭和34年法律第141号)の規定による老齢基礎年金等の支給開始年齢に達した日の属する月の翌月以後に死刑再審無罪者となった者に対し、当該者の請求により、60歳に達した日に対象期間のうち被保険者期間であるものに係る保険料が納付されたものとみなして計算された老齢基礎年金等が支給開始年齢に達した日の属する月の翌月から無罪判決確定日の属する月まで支給されたとした場合における当該老齢基礎年金等の額に相当する額として政令で定めるところにより計算した額の特別給付金を支給するものとすること。(第3条第1項関係)

3 情報の提供

厚生労働大臣及び日本年金機構並びに法務大臣は、法務省令・厚生労働省令で定めるところにより、1の(1)の保険料の納付及び2の特別給付金の支給に関し、相互に必要な情報の提供を行うものとすること。(第5条関係)

4 施行期日等

(1) 公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。(附則第1条関係)

(2) 1から3は、施行の日前に死刑再審無罪者となった者についても適用するものとすること。(附則第2条関係)

(3) 政府は、矯正施設に収容中の者に対し、国民年金の保険料の免除の申請その他の国民年金の保険料の納付等の手続に関し、必要な指導を行うものとすること。(附則第3条関係)

第3 施行期日令の内容

法の施行期日を平成25年9月24日とすること。

第4 施行令の内容

1 対象期間から除く期間として政令で定める期間

国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号。以下「昭和60年法律第34号」という。)第1条の規定による改正前の国民年金法(以下「旧国民年金法」という。)又は国民年金法に規定する保険料納付済期間(以下「保険料納付済期間」という。)並びに60歳に達した日の属する月以後の期間とすること。(第1条関係)

2 第2の1の(1)の国民年金の保険料の納付等

(1) 保険料を納付しようとする死刑再審無罪者は、厚生労働大臣にその旨を申し出なければならないものとすること。(第2条第1項関係)

(2) 納付することができる保険料の額は、次の額の合算額とするものとすること。(第2条第2項関係)

① 納付対象期間(対象期間のうち国民年金法等の被保険者期間であるもの(1の期間を除く。)をいう。以下同じ。)のうち、無罪判決確定日の3年前の日の属する年度に属する3月31日以前の期間の各月の国民年金の保険料の額と当該保険料の額に年度に応じて定める率を乗じて得た額との合計額の総額

② 納付対象期間のうち、無罪判決確定日の属する年度の前々年度に属する4月1日以降の期間の各月の国民年金の保険料の額の合計額

(3) 第2の1の(3)により保険料が納付されたものとみなされた国民年金法等の被保険者期間は、無罪判決確定日以後、保険料納付済期間とみなすものとすること。(第2条第3項関係)

3 国民年金法による老齢基礎年金等の支給要件等の特例等

(1) 65歳到達日以後に2の(3)により保険料納付済期間とみなされた期間を有したことにより、国民年金法による老齢基礎年金及び同法附則第9条の3第1項の規定による老齢年金並びに旧国民年金法による老齢年金及び旧国民年金法附則第9条の3第1項の規定による老齢年金(以下「老齢基礎年金等」という。)の受給資格期間を満たした場合は、支給要件に該当するものとみなして、これらの年金を支給すること。(第3条から第6条関係)

(2) 旧国民年金法による通算老齢年金及び旧国民年金法附則第9条の3第1項の規定による老齢年金の受給権は、(1)により旧国民年金法による老齢年金の受給権を取得したことにより、消滅するものとすること。(第7条関係)

(3) 無罪判決確定日の属する月前に既に老齢基礎年金等の受給権者であった死刑再審無罪者が2の(3)により保険料納付済期間とみなされた期間を有したときは、無罪判決確定日の属する月の翌月から、年金の額を改定するものとすること。(第8条関係)

4 事務処理の特例等

(1) 3の(1)により支給される老齢基礎年金等に係る事務については、国民年金法施行令(昭和34年政令第184号)第1条の2の規定にかかわらず、厚生労働大臣が行うものとすること。(第9条関係)

(2) 2の(1)による申出の受理等の事務は、日本年金機構に行わせることとすること。(第10条及び第11条関係)

5 特別給付金の計算方法等

(1) 特別給付金の計算の対象となる老齢基礎年金その他政令で定める給付は、国民年金法及び旧国民年金法並びに厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)及び昭和60年法律第34号第3条の規定による改正前の厚生年金保険法(以下「旧厚生年金保険法」という。)による老齢を支給事由とする年金たる給付とすること。(第12条関係)

(2) 特別給付金の計算にあたり控除する国民年金法その他の法律による政令で定める給付は、次のとおりとすること。(第13条関係)

① 国民年金法による老齢基礎年金及び(1)の給付

② 国民年金法及び旧国民年金法並びに厚生年金保険法及び旧厚生年金保険法による障害又は死亡を支給事由とする年金たる給付及び厚生年金保険法による障害手当金

(3) 特別給付金の額は、①の額から②の額を控除した額(当該額が0を下回る場合には、0とする。)とすること。(第14条関係)

① イの額とロの額との合算額

イ みなし計算対象期間の各月における各月みなし計算給付額の総額に相当する額

ロ イの額から、無罪判決確定日の属する月の5年前の月の前月(当該前月が奇数月である場合にあっては、前々月。以下「最終月」という。)から無罪判決確定日の属する月までの期間の各月における各月みなし計算給付額の総額に相当する額を控除した額に、老齢給付の支給開始年齢到達日の属する月の翌々月(当該翌々月が奇数月である場合にあっては、当該翌々月の翌月)の属する年度(以下「当初年度」という。)から最終月の属する年度(以下「最終年度」という。)までの各年度に応ずる加算率を合算して得た率を当初年度から最終年度までの年度の数で除して得た率を乗じて得た率

② 次の額の合算額

イ みなし計算対象期間の各月において死刑再審無罪者に対して支給された(2)の①の給付の額の総額

ロ 死刑再審無罪者に対して支給された(2)の②の給付(厚生年金保険法による障害手当金を除く。)の額のうち、死刑再審無罪者がみなし計算対象期間の各月において各月みなし計算給付額の老齢給付を受けることができるものとして、国民年金法第20条その他法務省令で定める規定が当該各月において適用されていたとしたならば、当該各月において支給が停止されることとなった額に相当する額の総額

ハ 老齢給付の支給開始年齢到達日から無罪判決確定日までの間に死刑再審無罪者に対して支給された厚生年金保険法による障害手当金の額

③ (3)において、次の用語の意義は、それぞれ次に定めるとおりとすること。

イ みなし計算対象期間 老齢給付の支給開始年齢到達日の属する月の翌月から無罪判決確定日の属する月までの期間

ロ 各月みなし計算給付額 死刑再審無罪者が60歳に達した日に納付対象期間に係る保険料が納付されたものとみなした場合におけるみなし計算対象期間の各月における月分の老齢給付の額として給付ごとに計算される額

ハ 老齢給付 国民年金法による老齢基礎年金及び(1)の給付

ニ 支給開始年齢到達日 老齢給付の支給開始年齢として給付ごとに法務省令で定める年齢に達した日

(4) 特別給付金の支給を受けようとする死刑再審無罪者は、法務大臣に特別給付金の支給を請求しなければならないものとすること。(第15条関係)

(5) 死刑再審無罪者が特別給付金の支給を請求した後に死亡したときは、その者の配偶者等が未支給の特別給付金の支給を請求することができるものとすること。(第16条関係)

6 省令への委任

法及び政令の実施のために必要な手続その他の事項を法務省令又は厚生労働省令で定めることができるものとすること。(第17条関係)

7 施行期日

法の施行の日(平成25年9月24日)から施行するものとすること。(附則第1条関係)

8 経過措置

(1) 法の施行の日前に死刑再審無罪者となった者について、第2の4の(2)により読み替えて法を適用する場合において必要な政令の読替え等を定めること。(附則第2条、第3条及び第4条第2項関係)

(2) 法の施行の日前に死刑再審無罪者となった者であって、旧国民年金法第7条第2項第7号の者であった期間のうち、昭和60年法律第34号附則第8条第5項第1号の期間(無罪判決確定日以後の期間に限る。以下「特定期間」という。)を有するものが第4の2の(1)の申出と同時に、厚生労働大臣に当該特定期間に係る保険料の納付を希望する旨を申し出たときは、当該特定期間は、法の施行の日以後、旧国民年金法の被保険者期間とみなすこととすること。(附則第4条第1項関係)

第5 規則の内容

1 法務大臣が提供すべき情報

法務大臣は、厚生労働大臣又は日本年金機構に対し、次の情報を提供するものとすること。(第1条関係)

(1) 第2の1の(1)により保険料を納付することができる死刑再審無罪者の氏名、生年月日及び住所

(2) (1)の死刑再審無罪者に係る対象期間

2 厚生労働大臣等が提供すべき情報

厚生労働大臣又は日本年金機構は、法務大臣に対し、次の情報を提供するものとすること。(第2条関係)

(1) 第2の1の(1)により保険料を納付した死刑再審無罪者の氏名、生年月日及び住所並びに保険料を納付した年月日

(2) 第2の2により死刑再審無罪者に対して支給する特別給付金の額に相当する額

3 施行期日

法の施行の日(平成25年9月24日)から施行するものとすること。(附則第1項関係)

4 経過措置

法の施行の日前に死刑再審無罪者となった者について、第2の4の(2)により読み替えて法を適用する場合において必要な規則の読替えを定めること。(附則第2項関係)

第6 納付則の内容

1 保険料の納付の申出等

(1) 第4の2の(1)による保険料の納付の申出は、次の事項を記載した申出書を日本年金機構に提出することにより行わなければならないものとすること。(第1条第1項関係)

① 氏名、生年月日及び住所

② 国民年金法第14条に規定する基礎年金番号(以下「基礎年金番号」という。)

③ 第4の1の期間及び特定期間を有する場合は、その旨

④ 第4の8の(2)の申出を行わない者にあっては、その旨

(2) (1)の申出書には、次の書類を添えなければならないものとすること。(第1条第2項関係)

① 生年月日を明らかにすることができる書類

② 国民年金手帳を所持しているときは、国民年金手帳

③ 特定期間を有する場合は、当該期間を明らかにすることができる書類

(3) (1)の申出に係る保険料の納付は、歳入徴収官事務規程(昭和27年大蔵省令第141号)別紙第4号の15書式によって行うものとすること。(第1条第3項関係)

2 第4の8の(2)の申出

第4の8の(2)の申出は、次の事項を記載した申出書に、特定期間における配偶者の基礎年金番号を明らかにすることができる書類を添えて、これを日本年金機構に提出することによって行わなければならないものとすること。(第2条関係)

(1) 氏名、生年月日及び住所

(2) 基礎年金番号

(3) 特定期間

(4) 特定期間における配偶者の氏名及び生年月日

(5) 特定期間における配偶者の基礎年金番号

3 申出書の記載事項

1及び2によって提出する申出書には、申出の年月日を記載し、記名押印又は自ら署名しなければならないものとすること。(第3条関係)

4 施行期日

法の施行の日(平成25年9月24日)から施行するものとすること。(附則関係)

第7 その他

死刑再審無罪者に対し国民年金の給付等を行うための国民年金の保険料の納付の特例等に関する法律に基づく特別給付金の支給に関する省令(平成25年法務省令第21号)については、本日公布されたので、参考にされたい。