(6) 第2項の規定の適用を受けるものは、第11条の規定の適用も受けるものであること。
(7) 第3項の規定は、細胞組織医薬品に係る製品の品質管理に適用されるものであること。
(8) 第3項の規定の適用を受けるものは、第2項及び第11条の規定の適用も受けるものであること。
(9) 第4項の規定は、生物由来医薬品に係る製品に係る記録の特例について規定したものであること。
(10) 第4項の規定は、製品等又は資材に何らかの問題が発見された場合及び製品を原因とする感染症が万一発生した場合において、直ちに当該製品の特定や原因の調査を可能とするために、生物由来原料の原材料の採取から、当該原材料を使用して製造された製品の製造所からの出荷までのすべての段階の記録を追跡できるように管理させることを趣旨としたものであること。
29.第29条(教育訓練)関係
(1) 製造業者等が、あらかじめ指定した者に、生物由来医薬品等の製造に係る教育訓練に関する業務を行わせなければならないことを規定したものであること。
(2) 第1項の「あらかじめ指定した者」とは、業務の内容を熟知した職員をあらかじめ当該業務の責任者として指定し、当該職員の責務等を第6条第4項の文書において適切に規定しておくこと。
(3) この条の適用を受けるものは、第19条及び第25条の規定も受けるものであること。
(4) 第1号の教育訓練の内容には、同号に掲げられているもののほか、免疫学、生物検定法等が含まれうるものであること。
30.第30条(文書及び記録の保管)関係
(1) 生物由来医薬品等に係る製品の製造業者等の文書及び記録の管理に関する特別な要求事項について規定したものであること。
(2) 生物由来医薬品等に係る製品については、製品による感染症が万一発生した場合の調査等を可能とするため、特定生物由来医薬品及び人の血液を原材料として製造される生物由来医薬品に係る製品については、その有効期間に30年を加算した期間、その他の生物由来・細胞組織医薬品に係る製品については、その有効期間に10年を加算した期間記録を保存するものであること。
(3) 試験検査結果に関する記録については、製品に係る医薬品の使用により患者等の健康被害が発生したときに原因究明を行うために必要な記録を保存すること。
31.第31条(記録の保管の特例)関係
(1) 生物由来医薬品に係る製品の記録に関する特別な要求事項について規定したこと。
(2) 「厚生労働大臣が指定する生物由来医薬品」については、今後、必要に応じ別途指定されるものであること。
32.第32条(医薬部外品の製造管理及び品質管理)関係
(1) 医薬部外品については、第2章(医薬品製造業者等の製造所における製造管理及び品質管理)の規定(第7条第4号、第9条第5号、第23条第3号ニ及び第4節を除く。)を準用することを規定したものであること。
33.附則第1条(施行期日)関係
(1) この省令は、平成17年4月1日から施行すること。
34.附則第2条・第3条(経過措置)関係
(1) 所要の経過措置を設けたこと。
35.その他(電磁的記録等について)
(1) 製造業者等は、この省令に規定する文書及び記録の作成若しくは保管、又はこの省令に規定する文書による報告若しくは指示について、以下の要領により、電磁的記録により行うことができるものであること。
(2) 製造業者等は、この省令に規定する取決め等の際の契約について、文書による契約に代えて、相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を利用する方法その他の情報通信の技術を利用する以下の方法により行うことができること。この場合において、当該製造業者等は、当該文書による契約をしたものとみなすこと。
ア.電子情報処理組織(自らの使用に係る電子計算機と、相手方の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を使用する方法のうち、次に掲げるもの。
(ア) 製造業者等の使用に係る電子計算機と相手方の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
(イ) 製造業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された内容を電気通信回線を通じて相手方の閲覧に供し、当該相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法(電磁的方法による旨の承諾又は電磁的方法によらない旨の申出をする場合にあっては、製造業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
イ.磁気ディスク、CD―ROMその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに内容を記録したものを交付する方法
(3) 上記の情報通信の技術を利用する方法については、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならないこと。
ア.製造業者等がファイルに記録された内容を出力することにより文書を作成することができるものでなければならないこと。
イ.ファイルに記録された内容について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
(4) 製造業者等は、情報通信の技術を利用する方法により契約を行おうとするときは、あらかじめ、相手方に対し、(2)に規定する方法のうち用いようとする方法及びファイルへの記録の方式を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得ること。
(5) 製造業者等は、相手方から文書又は電磁的方法により情報通信の技術を利用する方法によらない旨の申出があったときは、当該製造業者等に対する契約を情報通信の技術を利用する方法により行ってはならないこと。ただし、相手方が再び情報通信の技術を利用する方法による契約を承諾した場合はこの限りでないこと。
(6) 製造業者等が、この省令に規定する文書による報告若しくは指示がなされるに当たって情報通信の技術を利用する方法によることとするときは、上記(2)から(5)について必要な読み替えを行った上で準用すること。
(7) 製品の製造管理及び品質管理に関する記録を電子媒体等により管理し保管するために次の措置を講じている場合においては、この省令に規定する記録を書面に代えて電子媒体等により保管しても差し支えないこと。
ア.記録の保護について電子媒体等に保管された記録の故意又は過失による書換え、消去及び混同を防止するために、次に掲げる措置を講じること。
(ア) 電子媒体等への記録の入力を行う装置は、あらかじめ指定された作業者を認識し、指定された者以外の者による記録の入力、変更及び削除を防止できるものであること。
(イ) あらかじめ定められた手順によらない記録の入力、変更及び削除が禁止されていること。
(ウ) 記録の入力、変更及び削除を行った場合において、その内容及び理由(変更又は削除の場合)、作業した日時、職員の氏名又は識別記号等作業者を特定する情報、入力を行った電子媒体等を特定するための固有標識についての記録を作成すること。
(エ) 記録の滅失防止のために予備の記録(バックアップ)を作成し、保管すること。
イ.記録の印字等について電子媒体等に保管された記録について書面への印字やディスプレイ装置への表示を行うための設備及び方法が整備されていること。
ウ.電子媒体等の管理について記録を保管するための電子媒体等の管理について次に掲げる事項を定めておくこと。
(ア) 電子媒体等の保管方法、保管期間、保管場所及び保管責任者
(イ) 磁気媒体等の劣化、損傷等の防止措置
(ウ) 磁気媒体等の劣化、損傷等が生じた場合の措置
[別紙2]
第3章 医薬品・医薬部外品GMP省令
第4 バリデーション基準
1.医薬品・医薬部外品GMP省令に規定するバリデーションについては、品質リスクを考慮し、以下の「バリデーション基準」に基づいて実施すること。
2.バリデーション基準
(1) バリデーションの目的
バリデーションは、製造所の構造設備並びに手順、工程その他の製造管理及び品質管理の方法(以下この基準において「製造手順等」という。)が期待される結果を与えることを検証し、これを文書とすることによって、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造できるようにすることを目的とする。この目的を達成するために、医薬品開発、日常的な工程確認及び製品品質の照査を含む製品ライフサイクルを通じて集積した知識や情報を活用すること。また、医薬品開発あるいは技術の確立が当該製造所以外で行われた場合には、必要な技術移転を実施すること。
(2) 実施対象
製造業者等は、原則、次に掲げる項目を対象として(5)に規定するバリデーションを実施しなければならない。
ア.設備(製造設備、製造環境制御設備等を含む。)、システム(製造用水供給システム及び空調処理システム等の製造を支援するシステムを含む。)又は装置(計測器を含む。)
イ.製造工程
ウ.洗浄作業
(3) バリデーションに関する手順書
ア.医薬品・医薬部外品GMP省令第8条第4項第2号(第32条において準用する場合を含む。)のバリデーションに関する手順書には次に掲げる事項が定められなければならない。なお、バリデーションが必要な設備、システム、装置、製造工程及び洗浄作業は、製品の剤形、品質特性、工業化研究や類似製品に対する過去の製造実績等の結果から品質リスクを考慮して、製造業者等が自ら特定する。
(ア) 製造業者等の全体的なバリデーションの方針
(イ) 医薬品・医薬部外品GMP省令第13条第1項に規定する製造業者等があらかじめ指定した者(以下「バリデーション責任者」という。)及びその他関係する組織の責務等に関する事項
(ウ) (5)に掲げる各バリデーションの実施時期(タイミング)に関する事項
(エ) (4)ア.のバリデーションの実施計画書の作成、変更及び承認等に関する事項
(オ) (4)エ.のバリデーションの実施報告書の作成、評価及び承認(記録方法も含む。)に関する事項
(カ) バリデーションに関する文書の保管に関する事項
(キ) その他必要な事項
イ.バリデーションに関する手順書は、(2)に示す実施対象に対して、(4)の規定に適合するように作成しなければならない。
ウ.バリデーションに関する手順書には、作成者及び作成年月日並びに改訂した場合には改訂した者、改訂の年月日、内容及び理由を記載しなければならない。
エ.製造業者等は、バリデーションに関する手順書の内容についての改廃に係る手続きを明確にしたうえで、バリデーションに関する手順書を適切に管理しなければならない。
(4) バリデーション責任者の責務
バリデーション責任者は、バリデーションに関する手順書に基づき、次の各号に掲げる業務を行わなければならない。
ア.バリデーションに関する手順書に基づき製造しようとする製品について、(2)の実施対象に関してバリデーションの実施計画書(以下「計画書」という。)を作成すること。計画書には、バリデーションの実施内容を考慮したうえで、次の事項を定めなければならない。なお、大規模プロジェクトのように、バリデーションの対象範囲が広く、個別の計画書が複数ある場合には、バリデーション全体を総括したマスタープランの活用について考慮すること。
(ア) 項目
(イ) 当該項目のバリデーションの目的(バリデーション全体の目的を含む。)
(ウ) 実施対象となる設備、システム、装置、製造工程及び洗浄作業、並びにそれらの概要
(エ) 当該製造手順等の期待される結果
(オ) 検証の方法(検証結果の評価の基準及び方法を含む。)
(カ) 検証の実施時期
(キ) バリデーションを行う者及び責務
(ク) 計画書の作成者及び作成年月日並びに改訂した場合には改訂した者、改訂の年月日、内容及び理由
(ケ) その他必要な事項
イ.ア.の計画書に従い、(5)に規定するそれぞれのバリデーションを実施すること。
ウ.発生した全ての逸脱、指図の変更などを記録し、バリデーション結果に与える影響を考察すること。
エ.バリデーション結果をまとめたバリデーションの実施報告書を作成すること。
オ.その他医薬品・医薬部外品GMP省令第13条に規定する業務を適切に実施すること。
(5) バリデーションの実施
本項では、バリデーションを実施する際の基本的な要件を規定する。
ア.適格性評価
新規に据付け又は改良した設備、システム又は装置に対し、通常、以下の適格性評価を個々に、又は組み合わせて実施することをいう。
原則、各段階の適格性評価が終了した後、次の段階の適格性評価を実施する。
(ア) 設計時適格性評価(DQ)
設備、システム又は装置が、目的とする用途に適していることを確認し、文書化することをいう。
(イ) 設備据付時適格性評価(IQ)
設備、システム又は装置が、承認を受けた設計及び製造業者の要求と整合することを確認し、文書化することをいう。校正された計測器を使用すること。
(ウ) 運転時適格性評価(OQ)
設備、システム又は装置が、予期した運転範囲で意図したように作動することを確認し、文書化することをいう。校正された計測器を使用すること。
(エ) 性能適格性評価(PQ)
設備、システム又は装置が、承認された製造方法及び規格に基づき、効果的かつ再現性のある形で機能することを確認し、文書化することをいう。校正された計測器を使用すること。
イ.プロセスバリデーション(PV)
工業化研究の結果や類似製品に対する過去の製造実績等に基づき、あらかじめ特定した製品品質に影響を及ぼす変動要因(原料及び資材の物性、操作条件等)を考慮した上で設定した許容条件の下で稼動する工程が、目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを確認し、文書化することをいう。
プロセスバリデーションの実施に当たっては、少なくとも以下の点を考慮すること。
①プロセスバリデーションの開始前に、バリデーションに用いる設備、システム又は装置の適格性評価が適切に完了していることを確認する。
②プロセスバリデーションの開始前に、バリデーションの評価に用いる試験方法の妥当性を評価する。
③検証の方法は、原則、実生産規模での製造スケールとし、3ロットの繰り返し又はそれと同等以上の手法とする。
④通常、製造所からの製品の出荷の可否を決定する前に完了する。
(ア) 予測的バリデーション
製品の通常生産前に行うバリデーションのことをいう。
プロセスバリデーションの対象となる製品が販売又は供給されることを意図している場合は、それらが製造される条件はバリデーション作業の満足すべき結果を含めて、GMP省令の要件及び製造販売承認の内容に完全に適合すること。
(イ) コンカレントバリデーション
製品の通常生産に合わせて行うバリデーションのことをいう。
限られたロット数のみを製造する、当該製品を稀にしか製造しない又はバリデーション済みの工程を改良して製造する等の場合に用いられる。
ウ.洗浄バリデーション
洗浄作業が、有効成分及び洗浄剤等の除去に対して有効であることを確認し、文書化することをいう。
残留物等の限度値は、使用する製造設備の材質、製品の安全性などの論理的な根拠に基づき設定しなければならない。また、バリデーションに使用する試験方法は、残留物を十分に検出することができるような特異性及び感度を有する妥当なものでなければならない。
エ.再バリデーション
実施対象となる設備、システム、装置、製造工程及び洗浄作業において、バリデートされた状態が維持されていることを定期的に再確認するために適格性評価、プロセスバリデーション及び洗浄バリデーション等を実施し、引き続き目的とする品質に適合する製品を恒常的に製造するために妥当であることを検証することをいう。
実施の必要性、実施時期及び実施項目は、製造頻度、製品品質の照査の結果等を考慮して決定する。なお、無菌性保証に係わるバリデーションのように、製品品質への影響が大きいことから定期的に実施することが求められる場合には、製品品質の照査の結果にかかわらず定期的に再バリデーションを実施すること。
オ.変更時のバリデーション
原料、資材、製造工程、構造設備、洗浄作業等を変更する場合に実施するバリデーションをいう。製品品質又は製造工程の再現性に影響を及ぼす可能性のある場合は、変更時の管理の一部として品質リスクに基づき再度適格性評価、プロセスバリデーション及び洗浄バリデーション等を実施する必要性を検討し、実施する場合にはその範囲を決定すること。
(6) 適用の特例
次に掲げる製品については、この基準の適用を除外し、別途バリデーション基準を定めるものとする。
ア.あへん系麻薬を原料とする製品
イ.ロットを構成しない血液製剤に係る製品
ウ.薬事法第43条第1項等の規定による検定を受けるべき医薬品、手数料、検定基準及び試験品の数量を定める件(昭和38年厚生省告示第279号)中2において、中間段階における検定基準が定められている医薬品に係る製品
エ.その他特に指定する製品