添付一覧
○コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項について
(平成25年7月1日)
(薬食審査発0701第10号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
(公印省略)
昨今の科学技術の進歩に伴い、患者の遺伝子やタンパク質などを調べ、患者に応じた治療方法を選択する個別化医療が進展しており、特定の標的分子の発現等を前提とした分子標的薬等の開発等に伴い、治療に際して治療薬の選択等に用いられる診断薬等の重要性が認識されるようになっている。
これらの個別化医療に係る医薬品と対応する診断薬のより適切な開発を推進する観点から、今般、治療薬の選択等に用いられることにより個別化医療に資する診断薬等(以下「コンパニオン診断薬等」という。)及び関連する医薬品の取扱いについて、下記のとおりとすることとしたので、御了知の上、貴管下関係業者に対し指導方ご配慮願いたい。
なお、個別の事案に関わる具体的内容については、必要に応じ、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(以下「PMDA」という。)との相談が推奨される点についてもあわせて周知願いたい。
記
1 コンパニオン診断薬等の範囲
コンパニオン診断薬等とは、特定の医薬品の有効性又は安全性の向上等の目的で使用する次のいずれかに該当するものであって、当該医薬品の使用に不可欠な体外診断用医薬品又は医療機器(単に疾病の診断等を目的とする体外診断用医薬品又は医療機器を除く。)であること。
(1) 特定の医薬品の効果がより期待される患者を特定するための体外診断用医薬品又は医療機器
(2) 特定の医薬品による特定の副作用について、それが発現するおそれの高い患者を特定するための体外診断用医薬品又は医療機器
(3) 特定の医薬品の用法・用量の最適化又は投与中止の判断を適切に実施するために必要な体外診断用医薬品又は医療機器
2 コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請及び治験の届出に係る取扱い
(1) 承認申請に係る留意事項
ア コンパニオン診断薬等を用いる必要がある医薬品であって、当該コンパニオン診断薬等が承認されていない場合には、原則として、当該医薬品の承認申請を行う際は、同時期に当該コンパニオン診断薬等の承認申請が行われるべきであること。そのために、当該医薬品の申請者は、コンパニオン診断薬等の開発について、自ら、又はあらかじめコンパニオン診断薬等に係る他の開発企業と連携し、双方で開発や申請に必要な情報の共有に努めるなどして、十分に推進すべきであること。
イ 上記アに関し、コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品について、両者を同時期に承認申請する場合は、承認申請書の備考欄に、その旨をそれぞれ記載すること。
(2) 治験の届出に係る留意事項
ア 医薬品の治験の届出にあたり、対応するコンパニオン診断薬等の開発が行われている場合には、治験届の備考欄にその旨を記載すること。また、当該コンパニオン診断薬等の開発状況について、可能な範囲で簡潔に記載すること。治験依頼者とは別の企業が当該コンパニオン診断薬等を輸入し、当該企業が品質の確認、治験用である旨の表示等(以下「表示等」という。)を行った上、治験依頼者に供給する必要がある場合は、当該コンパニオン診断薬等の名称(販売名、成分名等)、数量、使用目的並びに表示等を行う企業の名称及び住所を治験届の備考欄に記載すること。
イ コンパニオン診断薬等のうち医療機器に該当し、治験届が必要なものについては、当該治験届の備考欄にその旨を記載し、関連する医薬品の開発状況について、可能な範囲で簡潔に記載すること。なお、医療機器の治験届が必要とされる範囲については「機械器具等に係る治験の計画等の届出の取扱い等について」(平成25年3月29日付け薬食機発0329第10号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)を参照すること。
ウ 上記アに基づく治験の届出の際には、必要に応じ、PMDA又は厚生労働省医薬食品局審査管理課から医薬品の治験届出者に対してコンパニオン診断薬等の開発状況に関する問い合わせを行う場合があること。
3 その他
(1) PMDAの審査体制
上記2(1)に関し、同時期に承認申請されたコンパニオン診断薬等及び関連する医薬品については、PMDAにおいて、医薬品の審査担当部とコンパニオン診断薬等の審査担当部との間で、十分な連携を図りながら対応することとし、審査の進行管理等についても必要な調整を図ることとしたこと。あわせて、開発段階の治験相談についても同様に連携を図ることとする。
(2) 関連通知の改正
ア 「医療機器の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について」(平成17年2月16日付け薬食機発第0216001号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)の記の第2の12の(9)を次のように改める。
(9) 昭和61年3月12日付薬審2第98号審査第一課長、審査第二課長、生物製剤課長連名通知「注射剤に溶解液等を組み合わせたキット製品等の取扱いについて」のキット製品、平成5年10月1日付薬新薬第92号新医薬品課長、医療機器開発課長、安全課長連名通知「薬事法及び医薬品副作用被害救済・研究振興基金法の一部を改正する法律の施行について」の優先審査対象品目又は平成25年7月1日付薬食審査発0701第10号審査管理課長通知「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項について」に該当する医療機器を申請する場合にはその旨を、また、共同開発により複数の者が申請する場合にはその旨及び他の共同申請者名を記載すること。
イ 「体外診断用医薬品の製造販売承認申請に際し留意すべき事項について」(平成17年2月16日付け薬食機発第0216005号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)の記の第1の11.の12)の次に次のように加える。
13) 平成25年7月1日付け薬食審査発0701第10号審査管理課長通知「コンパニオン診断薬等及び関連する医薬品の承認申請に係る留意事項について」に該当する体外診断用医薬品として申請する場合にはその旨を記載すること。
ウ 「医薬品の承認申請に際し留意すべき事項について」(平成17年3月31日付け薬食審査発第0331009号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)の記の6の(6)のウを次のように改める。
ウ その他、日本薬局方収載品目、優先審査の適用を受けようとする品目、安定性試験継続中の品目若しくはキット製品を申請する場合又はコンパニオン診断薬等が併せて申請される場合はその旨を、また、共同開発により複数の者が申請する場合には他の共同申請者名を記載すること。
エ 「機械器具等に係る治験の計画等の届出の取扱い等について」(平成25年3月29日付け薬食機発0329第10号厚生労働省医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長通知)の別添1の2.の(9)備考を次のように改める。
(9) 備考
① 届書に添付した資料名を記載すること。
② コンパニオン診断薬等のうち医療機器に該当するものの治験届出にあたっては、その旨を記載し、対応する医薬品の開発状況について、可能な範囲で簡潔に記載すること。また、治験依頼者とは別の企業が当該コンパニオン診断薬等を輸入し、当該企業が品質の確認、治験用である旨の表示等(以下「表示等」という。)を行った上、治験依頼者に供給する必要がある場合は、当該コンパニオン診断薬等の名称(販売名、成分名等)、数量、使用目的並びに表示等を行う企業の名称及び住所を記載すること。
オ 「自ら治験を実施しようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(平成25年5月31日付け薬食審査発0531第4号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)の別添1の2.の(12)の①中キをクとし、カの次に次のように加える。
キ コンパニオン診断薬等同時開発品
医薬品の治験届出にあたって、対応するコンパニオン診断薬等の開発が行われている場合には、その旨を記載し、当該コンパニオン診断薬等の開発状況について、可能な範囲で簡潔に記載すること。また、治験依頼者とは別の企業が当該コンパニオン診断薬等を輸入し、当該企業が品質の確認、治験用である旨の表示等(以下「表示等」という。)を行った上、治験依頼者に供給する必要がある場合は、当該コンパニオン診断薬等の名称(販売名、成分名等)、数量、使用目的並びに表示等を行う企業の名称及び住所を記載すること。
カ 「治験の依頼をしようとする者による薬物に係る治験の計画の届出等に関する取扱いについて」(平成25年5月31日付け薬食審査発0531第8号)の別添1の2.の(12)中⑦を⑧とし、⑥の次に次のように加える。
⑦ コンパニオン診断薬等同時開発品
医薬品の治験届出にあたって、対応するコンパニオン診断薬等の開発が行われている場合には、その旨を記載し、当該コンパニオン診断薬等の開発状況について、可能な範囲で簡潔に記載すること。また、治験依頼者とは別の企業が当該コンパニオン診断薬等を輸入し、当該企業が品質の確認、治験用である旨の表示等(以下「表示等」という。)を行った上、治験依頼者に供給する必要がある場合は、当該コンパニオン診断薬等の名称(販売名、成分名等)、数量、使用目的並びに表示等を行う企業の名称及び住所を記載すること。
(3) 適用時期
対応するコンパニオン診断薬等の開発が行われている薬物に係る治験届の取扱いについては、平成26年2月1日以降に新たに届出される治験計画届書に適用する。
また、その他の取扱いについては、平成26年7月1日以降に承認申請される医薬品及びコンパニオン診断薬等について適用する。
なお、平成25年7月1日以降、本通知に基づき治験の届出又は承認申請を行って差し支えないこと。