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図a

図b

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好ましい姿勢

好ましくない姿勢

図c

図d

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好ましい姿勢

好ましくない姿勢

5 その他

(1) 腰部保護ベルトの腹圧を上げることによる体幹保持の効果については、見解が分かれている。作業で装着している間は、装着により効果を感じられることもある一方、腰痛がある場合に装着すると外した後に腰痛が強まるということもある。また、女性労働者が、従来から用いられてきた幅の広い治療用コルセットを使用すると骨盤底への負担を増し、子宮脱や尿失禁が生じやすくなる場合があるとされている。このことから、腰部保護ベルトを使用する場合は、労働者全員に一律に使用させるのではなく、労働者に腰部保護ベルトの効果や限界を理解させるとともに、必要に応じて産業医(又は整形外科医、産婦人科医)に相談することが適当である。

(2) 長時間の車両の運転から生ずる姿勢拘束による末梢血液循環の阻害や一時的な筋力調整不全が生ずることがあり、荷物の積み卸し作業に当たっては、運転直後に重量物を取り扱うことは好ましくない。

Ⅱ 立ち作業

1 作業機器及び作業台の配置

作業機器や作業台の配置が適当でない場合は、前屈姿勢(おじぎ姿勢)や過伸展姿勢(反返りに近い姿勢)を強いられることになるが、これらの姿勢は椎間板内圧を著しく高めることが知られている。

作業台が高い場合は、滑りや転倒を配慮し、足台を使用する。作業台が低い場合は、作業台を高くするか、それができない場合には椅子等の腰掛け姿勢がとれるものを使用する。

2 他作業との組合せ

腰椎にかかる力学的負荷は、立位姿勢より椅座位姿勢のほうが大きいため、立位姿勢に椅座位姿勢を組み合わせる場合には、腰痛の既往歴のある労働者に十分配慮する必要がある。

3 椅子の配置

長時間立位姿勢を保つことにより、椎間板にかかる内圧の上昇のほかに、脊柱支持筋及び下肢筋の筋疲労が生じる。座ったまま作業できるような椅子を使用すると、脊柱支持筋及び下肢筋の緊張を緩和し、筋疲労を軽減するのに効果がある。

長時間、椅座位姿勢を続けると背部筋の疲労によって前傾姿勢になり、また、腹筋の弛緩、背柱の生理的彎曲の変化や大腿部圧迫の影響も現れる。この影響を避けるため、足の位置を変えたり、背もたれの角度を変えて後傾姿勢を取ったり、適宜立ち上がって膝を伸ばすほか、クッション等の腰当てを椅子と腰部の間に挿入する等、姿勢を整える必要がある。

4 片足置き台の使用

片足置き台に、適宜、交互に左右の足を載せて、姿勢に変化をつけることは、腰部負担の軽減に有効である。片足置き台は適切な材料で、安定性があり、滑り止めのある適当な大きさ、高さ、面積のあるものとする。

5 小休止・休息

小休止・休息を取り、下肢の屈伸運動等を行うことは、下肢の血液循環を改善するために有効である。

Ⅲ 座り作業

1 腰掛け作業

次のような取り組みのほか、腰痛予防の観点からも、「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平成14年4月5日付け基発第0405001号)の基づく措置を講じて心身の疲労を軽減することが望ましい。

(1) 椅子の改善

椅座位において腰の角度を90°に固定すると骨盤が後方に回転し、腰部の生理的後彎が減少する。重心が前方に移るため、腰背筋の活動性が高まる。また、椅座位は立位に比べて椎間板内圧が高くなる。腰痛と関係のあるこのような状態を緩和するために、椅子の改善が重要である。

腰痛防止の観点から望ましい椅子の条件は、次のとおりである。

① 背もたれは後方に傾斜し、腰パットを備えていること。腰パットの位置は頂点が第3腰椎と第4腰椎(下から順に第5,第4,第3,第2,第1腰椎)の中間にあることが望ましい。

② 座面が大腿部を圧迫しすぎないこと。

③ 椅子は労働者の体格に合わせて調節できること。椅子の調節部位は座面高、背もたれ角度、肘掛けの高さ・位置、座面の角度等である。

④ 椅子は、作業中に労働者の動作に応じて、その位置を移動できるようにキャスター付きの安定したもので、座面や背もたれの材質は、快適で熱交換の良いものが望ましい。

(2) 机・作業台の改善

机・作業台上の機器・用具を適切に配備することで、適切な座姿勢を確保しつつ、人間工学的に適切な作業域、ワークステーションを実現することができる。

(3) 作業姿勢等

長時間、椅座位姿勢を続けると背部筋の疲労によって前傾姿勢になり、また、腹筋の弛緩、背柱の生理的彎曲の変化や大腿部圧迫の影響も現れる。この影響を避けるため、足の位置を変えたり、背もたれの角度を変えて後傾姿勢を取ったり、適宜立ち上がって膝を伸ばすほか、クッション等の腰当てを椅子と腰部の間に挿入する等、姿勢を変える必要がある。

2 座作業

直接床に座る座作業では、強度の前傾姿勢が避けられないため、腰部の筋収縮が強まり、椎間板内圧が著しく高まる。このことから、できるだけ座作業を避けることが必要である。それが困難な場合は、作業時間に余裕をもたせ、小休止・休息を長めに、回数を多く取ることが望ましい。

Ⅳ 福祉・医療分野等における介護・看護作業

福祉・医療分野等において労働者が腰痛を生じやすい方法で作業することや腰痛を我慢しながら仕事を続けることは、労働者と対象者双方の安全確保を妨げ、さらには介護・看護等の質の低下に繋がる。また、いわゆる「新福祉人材確保指針」(平成19年厚生労働省告示第289号「社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針」)においても、「従事者が心身ともに充実して仕事が出来るよう、より充実した健康診断を実施することはもとより、腰痛対策などの健康管理対策の推進を図ること。(経営者、関係団体、国、地方公共団体)」とされており、人材確保の面からも、各事業場においては、組織的な腰痛予防対策に取り組むことが求められる。

ここでは、リスクアセスメントと労働安全衛生マネジメントシステムの考え方に沿った取り組みについて、「6 リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステム」で解説した基本的事項を補足していく。

1 腰痛の発生に関与する要因

(1) 介護・看護作業等の特徴は、「人が人を対象として行う」ことにあることから、対象者と労働者双方の状態を的確に把握することが重要である。対象者側の要因としては、介助の程度(全面介助、部分介助、見守り)、残存機能、医療的ケア、意思疎通、介助への協力度、認知症の状態、身長・体重等が挙げられる。また、労働者側の要因としては、腰痛の有無、経験年数、健康状態、身長・体重、筋力等の個人的要因があり、さらには、家庭での育児・介護の負担も腰痛の発生に影響を与える。

(2) 福祉用具(機器や補助具)は、適切な機能を兼ね備えたものが必要な数量だけあるかどうか確認する。

(3) 作業姿勢・動作の要因として、移乗介助、入浴介助、排泄介助、おむつ交換、体位変換、清拭、食事介助、更衣介助、移動介助等における、抱上げ、不自然な姿勢(前屈、中腰、ひねり、反り等)および不安定な姿勢、これら姿勢の頻度、同一姿勢での作業時間等がある。こうした腰痛を生じやすい作業姿勢・動作の有無とその頻度及び連続作業時間が適切かをチェックする。

(4) 作業環境要因として、温湿度、照明、床面、作業高、作業空間、物の配置、休憩室等が適切かをチェックする。

(5) 作業の実施体制として、適正な作業人数と配置になっているか、労働者間の協力体制があるか、交代勤務(二交替、三交替、変則勤務等)の回数やシフトが適切か検討する。休憩・仮眠がとれるか、正しい教育が行われているかについて把握する。

(6) 心理・社会的要因については、腰痛の悪化・遷延に関わるとされ、逆に、腰痛を感じながら仕事をすることそのものがストレス要因となる。また、仕事への満足感や働きがいが得にくい、職場の同僚・上司及び対象者やその家族との人間関係、人員不足等から、強い腰痛があっても仕事を続けざるを得ない状況、腰痛で休業治療中の場合に生じうる職場に迷惑をかけているのではという罪悪感や、思うように回復しない場合の焦り、職場復帰への不安等が、ストレス要因として挙げられる。こうした職場における心理・社会的要因に対しては、個人レベルでのストレス対処法だけに依拠することなく、事業場で組織として対策に取り組むことが求められる。

2 リスクの評価(見積り)

具体的な介護・看護等の作業を想定して、例えば、各作業における腰痛発生に関与する要因ごとに、「高い」「中程度」「低い」などとリスクを見積もる。

なお、腰痛の発生に関与する要因は多岐にわたることから、リスク評価を行う対象となる作業も多くなる。対策の優先順位付けする一環として、または、リスクアセスメントを試行的に開始するにあたって、重篤な腰痛の発生した作業や腰痛を多くの労働者が訴える作業等を優先的にリスク評価の対象とすることが考えられる。

(1) 介護作業者の腰痛予防対策チェックリスト

職場でリスクアセスメントを実施する際に、産業現場では様々なチェックリストが、その目的に応じて使用されているが、腰痛予防対策でもチェックリストは有用なツールとなる。参考4にリスクアセスメント手法を踏まえた「介護作業者の腰痛予防対策チェックリスト」を示す。

(2) 介護・看護作業等におけるアクション・チェックリスト

本格的なリスクアセスメントを導入するまでの簡易な方法として、実施すべき改善対策を選択・提案するアクション・チェックリストの活用も考えられる。アクション・チェックリストは、「6.リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステム」で解説したように、改善のためのアイデアや方法を見つけることを目的とした改善・解決志向形のチェックリストである。アクション・チェックリストには、対策の必要性や優先度に関するチェックボックスを設ける。ここでは、具体的なアクション・チェックリストの例を「介護・看護作業等におけるアクション・チェックリスト(例)」(参考5)に示す。この例では、各対策の「いいえ」「はい」の選択や「優先」をチェックするにあたって合理的な決定ができるよう、リスクの大きさを推測すること(リスクの見積り)が重要である。

3 リスクの回避・低減措置の検討及び実施

(1) 対象者の残存機能の活用

対象者が労働者の手や身体、手すり等をつかむだけでも、労働者の負担は軽減されることから、予め対象者の残存機能等の状態を確認し、対象者の協力を得た介護・看護作業を行う。

(2) 福祉用具の利用

スライディングボードを利用して、ベッドと車いす間の移乗介助を行うには、肘置きが取り外し又は跳ね上げ可能な車いすが必要である。その他、対象者の状態に合った車いすやリフトが利用できるよう配慮すること。

なお、各事業場においては、必要な福祉用具の種類や個数を検討し、配備に努めること。

(3) 作業姿勢・動作の見直し

イ 抱上げ

移乗作業や移動時に対象者の残存機能を活かしながら、スライディングボードやスライディングシートを利用して、垂直方向への力を水平方向に展開することにより、対象者を抱え上げずに移乗・移動できる場合がある。また、対象者が立位保持可能であればスタンディングマシーンが利用できる場合がある。

ロ 不自然な姿勢

不自然な姿勢を回避・改善するには、以下のような方法がある。

(イ) 対象者にできるだけ近づいて作業する。

(ロ) ベッドや作業台等の高さを調節する。ベッドの高さは、労働者等がベッドサイドに立って大腿上部から腰上部付近まで上がることが望ましい。

(ハ) 作業面が低くて調節できない場合は、椅子に腰掛けて作業するか、ベッドや床に膝を着く。

なお、膝を着く場合は、膝パッドの装着や、パッド付きの作業ズボンの着用などにより、膝を保護することが望ましい。

(ニ) 対象者に労働者が正面を向けて作業できるように体の向きを変える。

(ホ) 十分な介助スペースを確保し、手すりや持ち手つきベルト等の補助具を活用することにより、姿勢の安定を図る。

(4) 作業の実施体制

労働者の数は適正に配置する必要があるが、やむを得ない理由で、一時的に繁忙な事態が生じた場合は、労働者の配置を随時変更する等の体制を整え、負担の大きい業務が特定の労働者に集中しないよう十分配慮すること。

介護・看護作業では福祉用具の利用を積極的に検討するが、対象者の状態により福祉用具が使用できず、どうしても人力で抱え上げざるを得ない時は、できるだけ複数人で抱えるようにすること。ただし、複数人での抱上げは重量の軽減はできても、前屈や中腰等の不自然な姿勢等による腰痛の発生リスクは残るため、抱え上げる対象者にできるだけ近づく、腰を落とす等、腰部負担を少しでも軽減する姿勢で行うこと。また、お互いの身長差が大きいと腰部にかかる負荷が不均等になるため、注意すること。

(5) 作業標準の策定

作業標準は、作業ごとに作成し、対象者の状態別に、作業手順、利用する福祉用具、人数、役割分担などを明記する。介護施設等で作成される「サービス計画書(ケアプラン)」の中に作業標準を入れるのも良い。

訪問介護の場合には、対象者の自宅に赴いて介護作業を行うため、対象者の家の特徴(布団又はベッド、寝室の広さ等)や同居家族の有無や協力の程度などの情報をあらかじめ十分把握し、これらを作業標準に生かして、介護作業を進める。介護作業における作業標準の作成例を参考6に示す。

(6) 休憩、作業の組合せ

介護・看護作業では、全員が一斉に休憩をとることが難しいため、交代で休憩できるよう配慮すること。また、その時間を利用して、適宜、ストレッチングを行うこと。

訪問介護・看護において、一人の労働者が一日に複数の家庭を訪問する場合は、訪問業務の合間に休憩・休息が少しでもとれるよう、事業場が派遣のコーディネートにおいて配慮すること。

(7) 作業環境の整備

イ 不十分な暖房設備下での作業や、入浴介助や風呂掃除により体幹・下肢が濡れた場合の冷え等は、腰痛の発生リスクを高める。温湿度環境は、作業に適した温湿度に調節することが望ましいが、施設で対象者が快適に過ごす温度が必ずしも労働者に適しているとは限らない。また、訪問介護・看護では労働者が作業しやすい温湿度に調整できるとは限らないため、衣服、靴下、上履き等により防寒対策をとることが必要となるので、衣類等による調整が必要となる。

介護・看護作業等の場所、通路、階段、機器類の形状が明瞭に分かることは、つまずき・転倒により労働者の腰部に瞬間的に過度な負担がかかって生じる腰痛を防ぎ、安全対策としても重要である。

ロ 車いすやストレッチャーが通る通路に段差があると、抱上げが生じたり、段差を乗り越えるときの強い衝撃がかかったりするため、段差はできるだけ解消するか、もしくは段差を乗り越えずに移動できるようレイアウトを考える。

ハ 狭い場所での作業は、腰痛発生のリスクを高める。物品や設備のレイアウト変更により、作業空間を確保できる場合がある。トイレのような狭い作業空間は、排泄介助が行いやすいように改築するか、または手すりを取り付けて、対象者及び労働者の双方が身体を支えることができるように工夫すること。

ニ 労働者が、適宜、疲労からの回復を図れるよう、快適な休憩室や仮眠室を設けること。

ホ 訪問介護・看護は対象者の家庭が職場となるため、労働者によって適切な作業環境を整えることが困難な場合が想定される。寒い部屋で対象者を介護・介護せざるを得ない、対象者のベッド周りが雑然としており、安全な介護・看護ができない、あるいは、対象者やその家族の喫煙によって労働者が副流煙にばく露する等、腰痛の発生に関与する要因が存在する場合には、事業者は各家庭に説明し、対応策への理解を得るよう努力する。

(8) 健康管理

指針本文「4 健康管理」により、適切に健康管理を行う。

(9) 労働衛生教育等

イ 教育・訓練

腰痛発生の予防対策のための教育・訓練は、腰部への負担の少ない介護・看護技術に加え、リフト等の福祉用具の使用方法やストレッチングの方法も内容とし、定期的に実施すること。

ロ 協力体制

腰痛を有する労働者及び腰痛による休業から職場復帰する労働者に対して、組織的に支援できるようにすること。また、労働者同士がお互いに支援できるよう、上司や同僚から助言・手助け等を受けられるような職場作りにも配慮すること。

ハ 指針・マニュアル等

腰痛予防のための指針やマニュアル、リスクアセスメントのためのチェックリストは、職場の課題や現状を考慮し、過去の安全衛生活動や経験等をいかして、職場に合ったものを作成すること。腰痛予防対策を実施するための方針がいったん定まったら、衛生委員会等の組織的な取組みの下に、労働安全衛生マネジメントシステムの考え方に沿った実践を粘り強く行うことが重要である。

4 リスクの再評価、対策の見直し及び実施継続

リスク回避・低減措置の実施後、新たな腰痛発生リスクが生じた場合や腰痛が実際に発生した場合は、担当部署や衛生委員会に報告し、腰痛発生の原因の分析と再発防止対策の検討を行うこと。腰痛等の発生報告は、腰痛者の拡大を防ぐことにつながる。

Ⅴ 車両運転等の作業

車両系建設機械、フォークリフト、乗用型農業機械の操作・運転作業は労働者を粗大な振動にばく露させる。トラック等の貨物自動車やバス・タクシー等の旅客自動車の運転作業は労働者を長時間の姿勢拘束と振動にばく露される。従って、これらの車両運転等の作業は、労働者に過度の腰部負担をもたらし、腰痛を発生させる可能性を高める。

ここでは、リスクアセスメントと労働安全衛生マネジメントシステムの考え方に沿った取り組みについて、「6 リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステム」で解説した基本的事項を補足していく。

1 腰痛の発生に関与する要因

以下の観点から、腰痛の発生に関与する要因を明らかにする。なお、人力による荷物の積み卸し作業はⅠを参照すること。

(1) 作業姿勢・動作

座位での体幹の前屈・ひねり・反り及び不安定な姿勢、これらの頻度、同一姿勢での連続作業時間等

(2) 振動ばく露及びばく露時間

座席の振動加速度、総運転時間、一連続作業時間、小休止・休息

(3) 座席及び操作装置等の配置

座面角度、背もたれ角度、腰背部の支持、座席位置、運転席まわりの広さ、計器盤表示の見易さ、振動の減衰能等

(4) 作業場の環境

温湿度、照明、構内レイアウト、走行面状態、休憩室等

(5) 組織体制

職場の体制、夜勤・交替制勤務、休憩・仮眠、教育等

(6) 心理・社会的要因

交通渋滞、荷主や顧客とのトラブル、配送時間等の制約等

2 リスクの評価(見積り)

具体的な車両運転等の作業を想定して、例えば、各作業における腰痛の発生に関与する要因ごとに、「高い」「中程度」「低い」などのリスクを見積もる。

なお、腰痛の発生に関与する要因は多岐にわたることから、リスク評価を行う対象となる作業も多くなる。対策の優先順位を付ける一環として、または、リスクアセスメントを試行的に開始するにあたって、重篤な腰痛の発生した作業や腰痛を多くの労働者が訴える作業等を優先的にリスク評価の対象とすることが考えられる。

一方、本格的なリスクアセスメントを導入するまでの簡易な方法として、実施すべき改善対策を選択・提案するアクション・チェックリストの活用も考えられる。アクション・チェックリストは、「6.リスクアセスメント及び労働安全衛生マネジメントシステム」で解説したように、改善のためのアイデアや方法を見つけることを目的とした改善・解決志向形のチェックリストで、アクション・チェックリストには対策の必要性や優先度に関するチェックボックスを設ける。車両運転等の作業を対象とした具体的なアクション・チェックリストを参考8「車両運転等の作業におけるアクション・チェックリスト(例)」に示す。この例では、各対策の「いいえ」「はい」の選択や「優先」をチェックするに当たって合理的な決定ができるよう、リスクの大きさを推測すること(リスクの見積り)が重要である。

3 リスクの回避・低減措置の検討及び実施

(1) 運転座席の改善等

運転座席は、車両の加速や振動に対して労働者の腰背部を安定に支持させるため、体圧分布、座位姿勢、クッション性、背もたれの大きさ、ホールド性など様々な観点から優れたものが求められる。また、労働者の体格等が異なることから、座面・背もたれ角度が調整可能であることも重要となる。近年、長時間の運転作業に伴う振動ばく露と腰痛の発生に関する調査研究なども報告されることから、振動減衰に優れた運転座席への改善やこうした構造を有する車両の開発なども行われている。これらのことから、運転座席は、座面・背もたれ角度が調整可能、腰背部の安定した支持、運転に伴う振動の減衰効果に優れたものに改善されることが望ましい。このような運転座席を導入することで、運転労働に伴う拘束姿勢や不安定な姿勢・動作の要因や振動の要因のリスクを低減することが可能となる。また、運転作業開始前に操作性を配慮し、座面角度、背もたれ角度、座席の位置等の適正な調整を行わせることも重要となる。振動減衰に優れた運転座席への改善やこうした構造を有する車両の採用ができない場合には、クッション等を用いて振動の軽減に努めること。

(2) 車両運転等の時間管理

運転座席の姿勢拘束と振動ばく露に起因して、長時間の車両運転等の作業は、腰痛を発生させるおそれがある。長時間の車両運転等の作業に影響を与える要因は、総運転時間と一連続運転時間の長さである。適宜、小休止・休息を労働者に取らせ、一連続運転時間の長さを適切に管理することが重要となる。小休止・休息を取る際は、労働者は車両から降りてストレッチングなどを行い、腰背部等の筋疲労からの回復を十分図らせることが重要となる。厚生労働省は平成12年に「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を改正し、運転者の過労防止のために、バスやタクシー、トラックの事業用自動車の運転者の勤務時間や乗務時間に係る基準を策定し、連続運転時間では4時間を超えないよう定めている。

(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken05/)

さらに、車両運転が深夜等に及ぶ時には、良質で十分な時間の仮眠等についても配慮する必要がある。

このリスクの回避・低減措置は腰痛予防対策だけでなく、安全運転という観点からも極めて重要である。

(3) 荷物の積み卸し作業

長時間の車両運転の直後に重量物を取扱うことは好ましくない。長時間車両を運転した後に重量物を取り扱う場合、小休止・休息及びストレッチングを行った後に作業を行わせること。ストレッチングについては、車両運転の作業でも活用できるような工夫をすること。車両運転作業等で活用できるストレッチングの具体例を参考9「車両運転等の作業でのストレッチング」に示す。

(4) 構内作業場の環境の改善

構内作業場の作業床面は、不要な振動ばく露を軽減し、労働者が転倒やつまずきを防止するため、床面の凹凸がなく、防滑性、弾力性、耐衝撃性及び耐へこみ性に優れていることが望ましい。構内作業場は重量物の運搬や足もとや周囲の安全が確保できないほど暗い環境は望ましくないため、適切な照明環境を保つこと。さらには、労働者が寒冷に曝されたり、屋外や半屋外で寒風にさらされたりすることで、腰痛が悪化する可能性もあるため、適宜、休憩室等で暖が取れるように暖房設備を設ける等、保温対策にも心がけること。

なお、構内作業場は多くの労働者やフォークリフト等の車両が行き交うため、一般的に、通路と荷物やケージあるいはロールボックスパレット等の置き場は床面を色分けすることで作業場の安全性を確保しているが、こうした取り組みは、労働者が車両との衝突を避けようと不意な動作が生じたことによる腰痛を防止することにもつながる。また、フォークリフトや構内運搬車等による荷物の運搬に当たっては、車両の運行経路の単純化、戸口から遠い場所や狭あいな場所での作業をできるだけ少なくすること等は、一般的に、作業能率の向上や車両の安全な動線の確保という観点から取り組まれているが、こうした構内レイアウト等の改善は、不要な振動ばく露の軽減にもつながる。

(5) その他

車両運転等の作業に従事する際は、保温性・吸湿性・通気性を有し、動きやすい作業服や滑りにくい靴、必要な保護具を着用させる。動きやすい作業服とは、適切な姿勢や動作を妨げることのないよう伸縮性のあるもの、壁や床に汚れを気にすることなく、肘や膝等をつけられる素材であるものを指す。必要な保護具とは、例えば、腰部保護ベルトを指す。

腰部保護ベルトの腹圧を上げることによる体幹保持の効果については、見解が分かれている。職場では、装着により効果を感じられることもあるが、腰痛がある場合に装着すると外した後に腰痛が強まるということもある。また、女性労働者が、従来から用いられてきた幅の広い治療用コルセットを使用すると骨盤底への負担を増し、子宮脱や尿失禁が生じやすくなる場合があるとされている。このことから、腰部保護ベルトを使用する場合は、労働者全員に一律に使用させるのではなく、個人毎に効果を確認してから使用を考え、必要に応じて産業医(又は整形外科医、産婦人科医)に相談することが適当である。

このほか、腰痛健康診断や腰痛予防体操、腰痛で休業した労働者への復職支援等の健康管理、労働衛生教育等については「4 健康管理」や「5 労働衛生教育等」を参照すること。

4 リスクの再評価、対策の見直し及び実施継続

リスク回避・低減措置の実施後、新たな腰痛発生リスクが生じた場合や腰痛が実際に発生した場合は、担当部署や衛生委員会に報告し、腰痛発生の原因の分析と再発防止対策の検討を行うこと。腰痛等の発生報告は、腰痛者の拡大を防ぐことにつながる。

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[別記]

No.

名称

1

中央労働災害防止協会

2

建設業労働災害防止協会

3

鉱業労働災害防止協会

4

林業・木材製造業労働災害防止協会

5

陸上貨物運送事業労働災害防止協会

6

港湾貨物運送事業労働災害防止協会

7

独立行政法人労働者健康福祉機構

8

公益財団法人産業医学振興財団

9

学校法人産業医科大学

10

公益社団法人日本産業衛生学会

11

公益財団法人健康・体力づくり事業財団

12

公益社団法人全国労働衛生団体連合会

13

公益社団法人全国労働基準関係団体連合会

14

一般財団法人地方公務員安全衛生推進協会

15

公益社団法人日本保安用品協会

16

一般社団法人日本労働安全衛生コンサルタント会

17

全国商工会連合会

18

全国中小企業団体中央会

19

一般社団法人日本経済団体連合会

20

日本商工会議所

21

公益財団法人テクノエイド協会

22

社会福祉法人全国社会福祉協議会

23

全国社会福祉法人経営者協議会

24

中央福祉人材センター

25

全国福祉医療施設協議会

26

一般社団法人全国介護事業者協議会

27

全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会

28

一般社団法人全国デイ・ケア協会

29

公益社団法人全国老人福祉施設協議会

30

公益社団法人全国老人保健施設協会

31

公益社団法人全国有料老人ホーム協会

32

特定非営利活動法人全国盲老人福祉施設連絡協議会

33

宅老所・グループホーム全国ネットワーク

34

財団法人長寿社会開発センター

35

一般社団法人全国特定施設事業者協議会

36

一般社団法人日本在宅介護協会

37

一般社団法人シルバーサービス振興会

38

日本福祉用具・生活支援用具協会

39

全国軽費老人ホーム協議会

40

全国地域包括・在宅介護支援センター協議会

41

公益社団法人日本認知症グループホーム協会

42

一般社団法人24時間在宅ケア研究会

43

全国肢体不自由児施設運営協議会

44

公益財団法人日本知的障害者福祉協会

45

特定非営利活動法人全国社会就労センター協議会

46

全国身体障害者更正施設協議会

47

全国身体障害者施設協議会

48

全国盲ろう難聴児施設協議会

49

公益社団法人日本重症心身障害福祉協会

50

全国盲重複障害者福祉施設研究協議会

51

全国ろう重複障害者施設連絡協議会

52

一般社団法人全国児童発達支援協議会

53

日本肢体不自由児療護施設連絡協議会

54

全国発達支援通園事業連絡協議会

55

全国盲ろう難聴児施設協議会

56

特定非営利活動法人全国地域生活支援ネットワーク

57

全国救護施設協議会

58

全国更宿施設連絡協議会

59

公益社団法人 全国私立保育園連盟

60

社会福祉法人 日本保育協会

61

社会福祉法人 全国社会福祉協議会 全国保育協議会

62

特定非営利活動法人市民福祉団体全国協議会

63

公益財団法人介護労働安定センター

64

公益社団法人日本医師会

65

公益社団法人日本看護協会

66

公益社団法人日本精神科病院協会

67

日本慢性期医療協会

68

一般社団法人全国訪問看護事業協会

69

公益社団法人日本介護福祉士会

70

社団法人日本社会福祉士会

71

公益社団法人日本精神保健福祉士協会

72

全国ホームヘルパー協議会

73

日本ホームヘルパー協会

74

一般社団法人日本介護支援専門員協会

75

一般社団全国福祉用具専門相談員協会

76

公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会

77

社団法人日本社会福祉士養成校協会

78

一般社団法人日本精神保健福祉士養成校協会

79

一般社団法人日本福祉用具供給協会

80

公益社団法人全国自治体病院協議会

81

公益社団法人全日本病院協会

82

一般社団法人日本医療法人協会

83

一般社団法人日本病院会

84

公益社団法人全国老人福祉施設協議会

85

公益社団法人全国有料老人ホーム協会

86

一般社団法人全国特定施設事業者協議会

87

公益社団法人日本認知症グループホーム協会

88

一般社団法人全国ハイヤー・タクシー連合会

89

公益社団法人全日本トラック協会

90

一般社団法人日本民営鉄道協会

91

一般財団法人港湾労働安定協会

92

一般社団法人日本港運協会

93

公益社団法人日本プラントメンテナンス協会

94

一般社団法人仮設工業会

95

一般社団法人建設産業専門団体連合会

96

公益社団法人建設荷役車両安全技術協会

97

一般社団法人合板仮設材安全技術協会

98

全国仮設安全事業協同組合

99

全国管工事業協同組合連合会

100

全国基礎工業協同組合連合会

101

一般社団法人全国クレーン建設業協会

102

一般社団法人全国建設業協会

103

全国建設業協同組合連合会

104

社団法人全国森林土木建設業協会

105

一般社団法人全国中小建設業協会

106

一般社団法人全国中小建築工事業団体連合会

107

一般社団法人日本橋梁・鋼構造物塗装技術協会

108

一般社団法人日本橋梁建設協会

109

一般社団法人日本クレーン協会

110

一般社団法人日本建設機械工業会

111

一般社団法人日本建設機械施工協会

112

一般社団法人日本建設業連合会

113

一般社団法人日本建設躯体工事業団体連合会

114

社団法人日本建設大工工事業協会

115

一般社団法人日本造園組合連合会

116

一般社団法人日本造園建設業協会

117

一般社団法人日本道路建設業協会

118

一般社団法人日本塗装工業会

119

一般社団法人日本鳶工業連合会

120

一般社団法人日本左官業組合連合会

121

一般社団法人プレストレスト・コンクリート建設業協会

122

社団法人プレハブ建築協会

123

全国森林組合連合会

124

石油化学工業協会

125

全国石油商業組合連合会

126

一般社団法人日本化学工業協会

127

一般社団法人日本ガス協会

128

一般社団法人セメント協会

129

社団法人日本産業車両協会

130

電気事業連合会

131

一般社団法人日本機械工業連合会

132

一般社団法人日本自動車工業会

133

一般社団法人日本造船工業会

134

一般社団法人日本鉄鋼連盟

135

日本生活協同組合連合会

136

全国農業協同組合中央会

137

一般社団法人日本フードサービス協会

138

日本チェーンストア協会

139

日本百貨店協会

140

日本スーパーマーケット協会

141

一般社団法人新日本スーパーマーケット協会

142

オール日本スーパーマーケット協会

143

一般社団法人日本DIY協会

144

日本小売業協会

145

一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会

146

一般社団法人日本ショッピングセンター協会

147

全日本家具商組合連合会

148

日本証券業協会

149

一般社団法人信託協会

150

社団法人生命保険協会

151

一般社団法人全国銀行協会

152

一般社団法人全国地方銀行協会

153

一般社団法人日本損害保険協会

154

一般社団法人日本旅館協会

155

一般社団法人全日本シティホテル連盟

156

社団法人日本ホテル協会

157

一般社団法人日本ゴルフ場事業協会

158

公益社団法人全国産業廃棄物連合会

159

一般社団法人全国警備業協会

160

公益社団法人全国ビルメンテナンス協会

161

社団法人東京ガラス外装クリーニング協会

162

日本労働組合総連合会