アクセシビリティ閲覧支援ツール

添付一覧

添付画像はありません

○地域包括支援センターの設置運営について

(平成18年10月18日)

(/老計発第1018001号/老振発第1018001号/老老発第1018001号/)

(各都道府県・各指定都市各中核市介護保険主管部(局)長あて厚生労働省老健局計画課長・振興課長・老人保健課長通知)

地域包括支援センターの設置運営については、これまでも各種会議などにおいてお示ししてきたところであるが、今般、地域包括支援センターの設置運営について、下記のとおり取りまとめたところであるので、御了知の上、管内各市町村及び地域包括支援センター等に周知を図るとともに、その運用の参考にされたい。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項の技術的助言に該当するものである。

1 目的

地域包括支援センター(以下「センター」という。)は、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的として、包括的支援事業等を地域において一体的に実施する役割を担う中核的機関として設置されるものである(介護保険法(平成9年法律第123号。以下「法」という。)第115条の46第1項)。

2 設置主体

センターは、市町村(特別区、一部事務組合、広域連合等を含む。以下同じ。)が設置できることとされている。また、法第115条の46第1項に規定する包括的支援事業の実施の委託を受けた者も包括的支援事業等を実施するためにセンターを設置できることとされている。

包括的支援事業の委託を受けることができる者は、包括的支援事業を適切、公正、中立かつ効率的に実施することができる法人であって、老人介護支援センター(在宅介護支援センター)の設置者、地方自治法に基づく一部事務組合又は広域連合を組織する市町村、医療法人、社会福祉法人、包括的支援事業を実施することを目的として設置された公益法人又はNPO法人その他市町村が適当と認めるものとされている(介護保険法施行規則(平成11年厚生省令第36号。以下「施行規則」という。)第140条の67)。

3 市町村の責務

(1) 設置

市町村は、法第115条の46第1項の目的を達成するため、以下の①から④を踏まえながら、センターにおいて適正に事業を実施することができるよう、その体制の整備に努めるものとする。

① 適切な人員体制の確保

センターの運営に当たっては、地域における高齢化の状況(要介護・要支援者の増加等)、相談件数の増加、困難事例及び休日・夜間の対応状況等を総合的に勘案し、センターの専門職等が地域ケア会議及び地域への訪問や実態把握等に係る活動が十分に行えるよう、適切な人員体制を確保する必要がある。

なお、平成27年度から、高齢者の人口規模や増加等に応じてセンターの体制整備を行うことができる仕組みに地域支援事業の上限を見直しており、この枠組みも活用しながらセンターの業務量と役割に応じた適切な人員体制を確保すること。

② 市町村との役割分担及び連携の強化

センターの運営に当たっては、市町村が直接実施する場合や運営を委託する場合といった運営形態があるが、いずれの場合においても公平・中立な立場から市町村施策との一体性を保ちながら運営していくことが求められる。特に、市町村からの委託を受けて運営されるセンター(以下「委託型センター」という。)については、多様な運営主体が委託先となり得ることから、センターの業務内容や運営方針が明確に示されない場合、効果的な運営が実現できない。

このため、センター業務(第1号介護予防支援事業、総合相談支援業務、権利擁護業務及び包括的・継続的ケアマネジメント業務)を委託する場合は、市町村がセンターの運営方針を示すこととされている(法第115条の47第1項)。運営方針の策定に当たっては、センターの担当区域の状況や、それぞれのセンターに求められる役割を十分踏まえた具体的な運営方針、活動目標、業務内容等を設定することとし、市町村とセンターがそれぞれの役割を理解しながら、一体的な運営を行うことができるよう体制整備を図っていく。

具体的には、以下のアからケに掲げる内容を踏まえながら、運営方針を定めることとされているが、例えば、市町村とセンターが協働して方針を策定していくなど工夫を行うことで、当該方針に対するセンターの理解も深まることから、より効果的な運営につながるものと考えられる。(施行規則第140条の67の2)

また、市町村が直接運営するセンター(以下「直営型センター」という。)の場合も、センター職員の目標達成に向けた意識の共有を図る観点から、委託をする場合と同様に運営方針を定めることが望ましい。

ア 市町村の地域包括ケアシステムの構築方針

(例)

・住民の相談には懇切丁寧にワンストップで対応

・切れ目のない医療・介護連携の体制を構築

・生涯現役のまちづくりを目指した介護予防の推進

・住民や高齢者を含め多様な担い手が参画する支え合いの体制づくり

イ 区域ごとのニーズに応じて重点的に行うべき業務の方針

(例)

・認知症及び独居世帯等の高齢者の生活状況の確認

・社会的活動(ボランティア等)を希望する高齢者の把握

ウ 介護事業者・医療機関・民生委員・ボランティア等の関係者とのネットワーク(地域社会との連携及び専門職との連携)構築の方針

(例)

・住民や高齢者を含め地域の関係者を集めて、地域ケア会議で把握した地域の課題を共有するための勉強会やワークショップの開催

・医療・介護等の多職種が集まる研修会への参加を促進

エ 介護予防に係るケアマネジメント(第1号介護予防支援事業等)の実施方針

(例)・指定介護サービス事業所の活用に加え、住民主体の通いの場等の活用を推進

オ 介護支援専門員に対する支援・指導の実施方針

(例)

・個別相談を受ける体制の確保(窓口の設置等)

・定期的な情報交換会、介護支援専門員の資質向上に向けた勉強会の開催

カ 地域ケア会議の運営方針

(例)

・効果的な地域ケア会議に向けたセンターと市町村の役割分担、管内で統一することが望ましいルールの設定、地域課題の提出方法

・センターが実施する地域ケア個別会議の目標

キ 市町村との連携方針

(例)・市町村とセンターの連携のための連絡会議を定期開催

ク 公正・中立性確保のための方針

(例)

・介護サービス事業所、居宅介護支援事業所を紹介した経緯の記録

・運営協議会への報告、説明等への協力

ケ その他地域の実情に応じて、運営協議会が必要であると判断した方針

③ センター間における役割分担と連携の強化

管内に複数のセンターがある市町村においては、地域の課題や目標をセンター間で共有しながらセンターが相互に連携する効果的な取組を推進していくことが求められる。

例えば、

・ 直営型、委託型センターのうち地域の中で基幹的な役割を担い、センター間の総合調整や介護予防のケアマネジメント及び地域ケア会議等の後方支援などの機能を有するセンター(以下「基幹型センター」という。)の設置

・ 基幹型センターと同様の機能を市町村内に担当係として設置(センターからの相談等に適切に対応できる専門職を配置することが望ましい。なお、センターの設置基準等を満たしていない場合は包括的支援事業の対象とはならない。)

・ 権利擁護業務や認知症支援等の機能を強化し、当該分野において他のセンターを支援するセンター(以下「機能強化型センター」という。)を設置するなど、センター間の連携強化や役割分担を通じて、効果的、一体的な運営体制を構築していくことが可能と考える。

ただし、基幹型センター及び機能強化型センター(以下「基幹型センター等」という。)は、あくまでセンターの一類型であることから、法令等に定められる設置基準を満たす必要があるが、基幹型センター等が担当する区域については、その他のセンターの後方支援等を実施する観点から、他のセンターの担当区域と重複しても差し支えない。また、指定介護予防支援及び第1号介護予防支援事業については、基幹型センター等が直接事務を担当していなくても、当該業務について他のセンターの指導等後方支援を行っている場合であれば、個々の業務の指定又は委託を受けていなくてもかまわない。

④ 効果的なセンター運営の継続

ア 自己評価と市町村の定期的な点検

今後、市町村を中心とした地域包括ケアシステムを構築していくに当たっては、地域の住民にとってワンストップの相談窓口機能を果たすセンターの運営が安定的・継続的に行われていくことが重要となる。そのためには、まずはセンター自らがその取組を振り返るとともに、設置者である市町村がセンターの運営や活動に対する点検や評価を定期的に行っていくことが重要であることから、その実施に努めることとされている。(法第115条の46第4項、法第115条の46第9条)

具体的には、市町村が事務局となって設置する地域包括支援センター運営協議会(以下「運営協議会」という。)と連携しつつ、②に掲げる市町村が定める運営方針を踏まえた効果的、効率的な運営がなされているか等について、点検・評価を適切に行っていくことで、公平性・中立性の確保や効果的な取組の充実を図るとともに、不十分な点については改善に向けた取組を行っていくことで中長期的な観点からも一定の運営水準を確保していくことが期待できる。

イ センター情報の公表

センターは、地域で生活する高齢者やその家族等の身近な相談機関として、その業務内容や運営状況等を幅広く周知することにより、センターの円滑な利用やその取組に対する住民の理解が促進されることから、市町村はセンターの事業内容や運営状況に関する情報を公表するよう努めることとされている。(法第115条の46第10項)

具体的には、名称及び所在地、法人名、営業日及び営業時間、担当区域、職員体制、事業の内容、活動実績及び市町村が必要と認める事項(センターの特色等)の公表を行うこととするが、この取組を通じて、センターが自らの取組と他のセンターの取組とを比較することも可能となり、自らのセンター運営の改善にもつながることが期待できる。(施行規則第140条の66の3)

市町村においては、厚生労働省が運用する介護サービス情報公表システムも活用しながら、積極的にセンターの情報を地域住民等に向けて公表することが望ましい。

(2) 役割

センターを市町村が設置する場合と包括的支援事業の実施の委託を市町村から受けた者が設置する場合のいずれの場合においても、市町村は、その設置の責任主体として、センターの運営について適切に関与しなければならない。

センターに対する具体的な市町村の関与のあり方については、地域の実情を踏まえて市町村において判断されることとなる。例えば、センターの体制整備、センターの設置・変更・廃止やセンター業務の法人への委託の可否及び方針の決定、毎年度の事業計画や収支予算、収支決算などセンターの運営に関する事項の確認などについては、センター設置の責任主体として確実に行わなければならない。

その際、運営協議会の議を経なければならない。また、設置の可否やセンターの担当圏域設定などの最終的な決定は、市町村が行うものである。

(3) 設置区域

センターの設置に係る具体的な担当圏域設定に当たっては、市町村の人口規模、業務量、運営財源や専門職の人材確保の状況、地域における日常生活圏域との整合性に配慮し、最も効果的・効率的に業務が行えるよう、市町村の判断により担当圏域を設定するものとする。

4 事業内容

(1) 包括的支援事業

センターは、1の目的に沿って、地域住民の保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援するため、以下の①から③の業務のほか、第1号介護予防支援事業(法第115条の45第1項第1号ニ(居宅要支援被保険者に係るものを除く。))を一体的に実施する。

① 総合相談支援業務(法第115条の45第2項第1号)

② 権利擁護業務(法第115条の45第2項第2号)

③ 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(法第115条の45第2項第3号)

また、センターは、これらの業務を地域において一体的に実施する役割を担う中核的拠点として、設置されるものであり、センターの運営に当たっては、それぞれの業務の有する機能の連携が重要であることから、市町村がこれらの業務の実施を委託する場合には、一括して委託しなければならない(法第115条の47第2項)。

ただし、センターが包括的支援事業の3つの業務及び第1号介護予防支援事業に一体的に取り組むことを前提として、地域の住民の利便を考慮し、地域の住民に身近なところで相談を受け付け、センターにつなぐための窓口(ブランチ)を設けることは可能であり、この場合、センターの運営費の一部を協力費としてブランチに支出することは可能である。

また、これらの業務とは別に、市町村が取り組む以下の④から⑥の事業の全部又はその一部についてもセンターに委託することが可能となっている。(法第115条の47第1項)

④ 在宅医療・介護連携推進事業(法第115条の45第2項第4号)

⑤ 生活支援体制整備事業(法第115条の45第2項第5号)

⑥ 認知症総合支援事業(法第115条の45第2項第6号)

なお、センター以外の実施主体に④から⑥の事業を委託する場合であっても、センターがこれらの事業主体と緊密に連携・調整できる体制を確保することが必要である。

(具体的な業務内容について)

① 第1号介護予防支援事業について

第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)は、法第115条の45第1項に規定する介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)のうち、施行規則第140条の62の4第2号の厚生労働大臣が定める基準に該当する第1号被保険者(平成27年3月31日厚生労働省告示第197号に定める基本チェックリストに該当する者。以下「基本チェックリスト該当者」という。)に対して、介護予防及び日常生活支援を目的として、その心身の状況、置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、訪問型サービス(第1号訪問事業)、通所型サービス(第1号通所事業)、その他生活支援サービス(第1号生活支援事業)等適切なサービスが包括的かつ効果的に提供されるよう必要な援助を行う業務である。(法第115条の45第1項第1号ニ)

当該業務は、後述する(5)の①に掲げる、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものに限る。)と一体的に実施されるものであり、両事業に要する費用については、全て総合事業として一体的に賄われるものとし、具体的なケアマネジメントの実施方法については、「介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)の実施及び介護予防手帳の活用について」(平成27年6月5日老振発0605第1号厚生労働省老健局振興課長通知)を参考とすること。

また、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものを除く。)の一部について、指定居宅介護支援事業所に委託ができるものとする。

総合事業の実施を猶予する市町村にあっては、なお従前の例により、改正前の本設置運営要綱の4(1)①における取扱いとする。

② 総合相談支援業務について

総合相談支援業務は、地域の高齢者が住み慣れた地域で安心してその人らしい生活を継続していくことができるよう、どのような支援が必要かを把握し、地域における適切な保健・医療・福祉サービス、機関又は制度の利用につなげる等の支援を行うものである(法第115条の45第2項第1号)。

業務の内容としては、初期段階での相談対応及び継続的・専門的な相談支援、その実施に当たって必要となるネットワークの構築、地域の高齢者の状況の実態の把握を行うものである。

③ 権利擁護業務について

権利擁護業務は、地域の住民や民生委員、介護支援専門員などの支援だけでは十分に問題が解決できない、適切なサービス等につながる方法が見つからない等の困難な状況にある高齢者が、地域において、安心して尊厳のある生活を行うことができるよう、専門的・継続的な視点からの支援を行うものである(法第115条の45第2項第2号)。

業務の内容としては、成年後見制度の活用促進、老人福祉施設等への措置の支援、高齢者虐待への対応、困難事例への対応、消費者被害の防止に関する諸制度を活用し、高齢者の生活の維持を図るものである。

④ 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務について

包括的・継続的ケアマネジメント支援業務は、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、介護支援専門員、主治医、地域の関係機関等の連携、在宅と施設の連携など、地域において、多職種相互の協働等により連携するとともに、介護予防ケアマネジメント、指定介護予防支援及び介護給付におけるケアマネジメントとの相互の連携を図ることにより、個々の高齢者の状況や変化に応じた包括的・継続的なケアマネジメントを実現するため、地域における連携・協働の体制づくりや個々の介護支援専門員に対する支援等を行うものである(法第115条の45第2項第3号)。

業務の内容としては、後述する「地域ケア会議」等を通じた自立支援に資するケアマネジメントの支援、包括的・継続的なケア体制の構築、地域における介護支援専門員のネットワークの構築・活用、介護支援専門員に対する日常的個別指導・相談、地域の介護支援専門員が抱える支援困難事例等への指導・助言を行うものである。

(2) 多職種協働による地域包括支援ネットワークの構築

包括的支援事業を効果的に実施するためには、介護サービスに限らず、地域の保健・福祉・医療サービスやボランティア活動、インフォーマルサービスなどの様々な社会的資源が有機的に連携することができる環境整備を行うことが重要である。(法第115条の46第7項)このため、こうした連携体制を支える共通的基盤として多職種協働による「地域包括支援ネットワーク」を構築することが必要である。

地域包括支援ネットワークの構築に当たっては、①センター単位のネットワーク、②市町村単位のネットワーク、③市町村の圏域を超えたネットワークなど、地域の特性に応じたネットワークを構築することにより、地域の関係者との相互のつながりを築き、日常的に連携が図られるよう留意する必要がある。

(3) 地域ケア会議の実施

市町村は、包括的・継続的ケアマネジメント業務の効果的な実施のために、介護支援専門員、保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者、民生委員その他の関係者、関係機関及び関係団体(以下、「関係者等」という。)により構成される会議(以下「地域ケア会議」という。)の設置に努めなければならないこととされている。(法第115条の48第1項)

地域ケア会議は、医療、介護等の専門職をはじめ、民生委員、自治会長、NPO法人、社会福祉法人、ボランティアなど地域の多様な関係者が適宜協働し、介護支援専門員のケアマネジメント支援を通じて、介護等が必要な高齢者の住み慣れた住まいでの生活を地域全体で支援していくことを目的とするものである。なお、介護支援専門員の資質向上に資するよう、市町村内の全ての介護支援専門員が年に1回は地域ケア会議での支援が受けられるようにするなど、その効果的な実施に努めること。

また、個別ケースの検討により共有された地域課題を地域づくりや政策形成に着実に結びつけていくことで、市町村が取り組む地域包括ケアシステムの構築に向けた施策の推進にもつながることから、以下の趣旨等を踏まえ、市町村と地域包括支援センターが緊密に連携し、かつ役割分担を行いながら、取組を推進していくことが求められる。(法第115条の48第2項)

① 地域ケア会議の目的

ア 個別ケースの支援内容の検討を通じた、

(i) 地域の介護支援専門員の、法の理念に基づいた高齢者の自立支援に資するケアマネジメントの支援

(ii) 高齢者の実態把握や課題解決のための地域包括支援ネットワークの構築

(iii) 個別ケースの課題分析等を行うことによる地域課題の把握

イ 地域づくり、資源開発並びに政策形成など、地域の実情に応じて必要と認められる事項

② 地域ケア会議の機能

ア 個別課題の解決

多職種が協働して個別ケースの支援内容を検討することによって、高齢者の課題解決を支援するとともに、介護支援専門員の自立支援に資するケアマネジメントの実践力を高める機能

イ 地域包括支援ネットワークの構築

高齢者の実態把握や課題解決を図るため、地域の関係機関等の相互の連携を高め地域包括支援ネットワークを構築する機能

ウ 地域課題の発見

個別ケースの課題分析等を積み重ねることにより、地域に共通した課題を浮き彫りにする機能

エ 地域づくり・資源開発

インフォーマルサービスや地域の見守りネットワークなど、地域で必要な資源を開発する機能

オ 政策の形成

地域に必要な取組を明らかにし、政策を立案・提言していく機能

なお、オについて市町村は、センターの提言を受け、日常生活圏域ニーズ調査結果等に基づき資源を開発し、次期介護保険事業計画に位置づける等の対応を図ることが望ましい。

③ 地域ケア会議の主催者及び名称

上記②のアからウについては主にセンター主催による「地域ケア個別会議」、エ及びオについては検討内容によってセンターまたは市町村主催による「地域ケア推進会議」と称するなど、会議の目的・機能に応じて設定することが考えられる。

なお、各市町村において、すでに上記②の機能を有する会議を実施している場合、会議の名称変更を強いるものではない。

④ 地域ケア会議の構成員

会議の目的に応じ、行政職員、センター職員、介護支援専門員、介護サービス事業者、保健医療関係者、民生委員、住民組織等の中から、必要に応じて出席者を調整する。

なお、地域の実情に応じて上記②のアからウの場合は実務者、エ及びオの場合は地域包括支援ネットワークを支える職種・機関の代表者レベルによる開催が考えられる。

⑤ 地域ケア会議の留意点

ア 協力体制の確保

地域ケア会議での検討を行うため、必要に応じて関係者等に対し、資料又は情報の提供、意見の開陳その他必要な協力を求めることができることとし、関係者等は、これに協力するよう努めなければならないこととされている(法第115条の48第3項及び第4項)。また、これに併せて、指定居宅介護支援事業所の運営基準においても、地域ケア会議への必要な協力について規定されている。(指定居宅介護支援等の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第27号)

この趣旨は、地域ケア会議の構成員間で本人の同意なく必要な情報を共有できることを制度上可能とすることで、円滑に必要な支援につなげていくことを目的とするものである。一方、実際の運用に当たっては、同意を得ることが困難であり、かつ、高齢者の日常生活を支援するために特に必要がある場合を除き、本人の意思を尊重し、あらかじめ本人の同意を得ておくといった取扱いが望ましい。

イ 関係者等への守秘義務

アの情報共有を円滑にする仕組みを踏まえ、地域ケア会議に参加する者又は参加していた者は、正当な理由がなく、地域ケア会議において知り得た秘密を漏らしてはならないこととされた。これに違反した場合は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金とする罰則規定を設けている。(法第115条の48第5項、法第205条2項)

このため、関係者等には、このような情報共有の仕組みと守秘義務の取扱いについて事前に周知を行う必要がある。

ウ 効果的な実施に向けた市町村の役割

地域ケア会議の実施に当たっては、まずは市町村が地域ケア会議の目的や管内で統一することが望ましいルールや実施方法をセンターと共有しながら、個別ケースの検討から地域課題を検討する地域ケア会議の全体的な流れ及び枠組みを構築する必要がある。その際、センターが抽出した地域課題を市町村が適切に集約し、さらに当該地域課題の活用方法等も併せて提示することで、センターにおける主体的な地域ケア会議の取組につながっていく。

なお、市町村は、要援護者の支援に必要な個人情報を、個人情報の保護の観点にも十分留意しつつ、支援関係者間で共有する仕組みや運用について、センターと連携して構築することが望ましい。

エ 個別ケースの検討

地域ケア会議は、個人で解決できない課題等を、必ずしも直接のサービス提供に関わっていない第三者を含めた多職種で解決し、そのノウハウの蓄積や具体的な地域課題の共有によって、地域づくり・資源開発、政策形成等につなげ、さらにそれらの取組が個人の支援を充実させていくという一連のつながりで実施することから、特に始点となる個別ケースの支援内容の検討は極めて重要である。

個別ケースの検討に当たっては、支援が必要な高齢者本人の課題認識や意向等を参加者全員で共有しながら、課題への対応をともに検討していくことが必要であるため、本人や家族が地域ケア会議に参加することが効果的である。

オ 関係機関との連携

センターにおいては、医療・介護等の多職種や地域の支援者との協働体制を充実していくため、4の(1)に掲げる在宅医療・介護連携推進事業、生活支援体制整備事業、認知症総合支援事業などを推進する市町村の取組及び関係者と緊密な連携を図ること。

なお、上記の在宅医療・介護連携推進事業のうち、市町村が設置する在宅医療と介護の連携についての相談窓口は、地域の医療・介護関係者、地域包括支援センター等から相談を受け付ける窓口であるため、センターにおいても適宜、連携を図っていただきたい。(住民からの相談は、総合相談としてこれまでどおり地域包括支援センターが受け付けることを想定している。)

(4) 指定介護予防支援について

指定介護予防支援は、介護保険における予防給付の対象となる要支援者が介護予防サービス等の適切な利用等を行うことができるよう、その心身の状況、その置かれている環境等を勘案し、介護予防サービス計画を作成するとともに、当該介護予防サービス計画に基づく指定介護予防サービス等の提供が確保されるよう、介護予防サービス事業者等の関係機関との連絡調整などを行うものである。

この指定介護予防支援の業務は、センターが行う業務とされており、法第115条の22の規定に基づき、市町村の指定を受ける必要がある。これは、市町村が直営するセンターであっても、同様である。

また、業務の実施に当たっては、指定介護予防支援等の事業の人員及び運営並びに指定介護予防支援等に係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第37号。以下「指定介護予防支援基準」という。)を遵守するものとする。

(5) その他

センターは、(1)から(4)までに掲げる業務を実施するほか、①第一号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものに限る。)、②一般介護予防事業、③法第115条の45第3項に規定する任意事業の委託を受けることができることとされている。(法第115条の46第1項及び施行規則第140条の64)

総合事業の実施を猶予する市町村については、なお従前の例により、改正前の本設置運営要綱4(4)に掲げる事業の委託を受けることができることとする。

事業の内容としては、次のとおりである。

① 第一号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものに限る。)とは、法第115条の45第1項第1号ニに基づき、総合事業において、居宅要支援被保険者に対して、介護予防及び日常生活支援を目的として、その心身の状況、置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、訪問型サービス(第1号訪問事業)、通所型サービス(第1号通所事業)、その他生活支援サービス(第1号生活支援事業)等適切なサービスが包括的かつ効果的に提供されるよう必要な援助を行う事業である。

② 一般介護予防事業とは、「地域支援事業の実施について」(平成18年6月9日付け老発第0609001号厚生労働省老健局長通知)(以下「地域支援事業実施要綱」という。)の別記1の第2(2)に掲げる事業とし、具体的には、介護予防把握事業、介護予防普及啓発事業、地域介護予防活動支援事業、地域リハビリテーション活動支援事業、一般介護予防事業評価事業が定められている。

③ 任意事業とは、介護給付等費用適正化事業、家族介護支援事業その他介護保険事業の安定化や被保険者の地域における自立した日常生活の支援を行うため、必要な事業を実施するものである。

5 事業の留意点

包括的支援事業等の実施に当たっては、地域支援事業実施要綱に基づき、行うものとする。

また、第1号介護予防支援事業(居宅要支援被保険者に係るものに限る。)及び指定介護予防支援は、制度としては、包括的支援事業とは別のものであるが、その実施に当たっては、共通の考え方に基づき、一体的に行われるものとする。

(1) 指定介護予防支援業務の委託について

指定介護予防支援事業者たるセンターは、指定介護予防支援業務のうち一部を指定居宅介護支援事業者に委託することができるものとされている。この委託に当たっては、次の点に留意の上、行うこととする。

① 公正・中立性を確保する観点から、委託について運営協議会の議を経る必要があること。

② 指定介護予防支援事業者が業務の一部を委託する場合においても、指定介護予防支援基準第30条に規定するアセスメント業務や介護予防サービス計画の作成業務等が一体的に行われるよう配慮しなければならないこと。

③ 業務を受託する指定居宅介護支援事業者は、都道府県知事が実施する介護予防支援に関する研修を受講する等必要な知識及び能力を有する介護支援専門員が従事する事業者である必要があること。

④ 指定介護予防支援に係る責任主体は、指定介護予防支援事業者たるセンターであり、委託を行った場合であっても、委託先の指定居宅介護支援事業者が介護予防サービス計画の原案を作成する場合には、当該計画が適切に作成されているか、内容が妥当か等について確認を行うこと、また、委託先の指定居宅介護支援事業者が評価を行った場合には、当該評価の内容について確認を行い、当該評価を踏まえ今後の指定介護予防支援の方針等を決定すること。

⑤ 委託料については、介護予防サービス計画費、指定居宅介護支援事務所への委託範囲を勘案して、業務量に見合った適切な額を、センターが指定居宅介護支援事業所との契約において設定すること

⑥ 指定介護予防支援を委託するにあたっては、正当な理由なしに特定の指定居宅介護支援事業者に偏らないこと。

⑦ 指定介護予防支援を委託するにあたっては、委託先の指定居宅介護支援事業所の業務に支障の無い範囲で委託すること

(2) 第1号介護予防支援事業の委託について

包括的支援事業(地域包括支援センターの運営)全体の円滑な実施に向けて、第1号介護予防支援事業の一部を指定居宅介護支援事業所に委託することができることとされているが、委託に当たっては、(1)に掲げる①~⑦を踏まえるとともに、「介護予防・日常生活支援総合事業における介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)の実施及び介護予防手帳の活用について」(平成27年6月5日老振発0605第1号厚生労働省老健局振興課長通知)を参考とすること。

総合事業の実施を猶予する市町村においては、なお従前の例により改正前の本設置運営要綱5(2)のとおりとする。

(3) その他

センターは、必ずしも24時間体制を採る必要はないが、緊急時の対応等の場合も想定し、センターの職員に対して速やかに連絡が取れるような体制を整備しておくことが必要である。

また、センターは、要介護者に対する指定居宅介護支援事業所の紹介を行う際には、正当な理由なしに特定の指定居宅介護支援事業所に偏らないよう、公平・中立性の確保に努める必要がある。

6 職員の配置等

(1) センターの人員

センターには、包括的支援事業を適切に実施するため、原則として①保健師、②社会福祉士、③主任介護支援専門員を置くこととする(施行規則第140条の66第1号イ)。

しかしながら、三職種の確保が困難である等の事情により、この人員によりがたい場合には、これらに準ずる者として、以下に掲げる者を配置することもできることとされている。

① 保健師に準ずる者として、地域ケア、地域保健等に関する経験のある看護師。なお、この経験のある看護師には准看護師は含まないものとする。

② 社会福祉士に準ずる者として、福祉事務所の現業員等の業務経験が5年以上又は介護支援専門員の業務経験が3年以上あり、かつ、高齢者の保健福祉に関する相談援助業務に3年以上従事した経験を有する者

③ 主任介護支援専門員に準ずる者として、「ケアマネジメントリーダー活動等支援事業の実施及び推進について」(平成14年4月24日付け老発第0424003号厚生労働省老健局長通知)に基づくケアマネジメントリーダー研修を修了し、介護支援専門員としての実務経験を有し、かつ、介護支援専門員の相談対応や地域の介護支援専門員への支援等に関する知識及び能力を有している者

(2) センターの職員の員数

専らセンターの行う業務に従事する職員として、一のセンターが担当する区域における第一号被保険者の数がおおむね3000人以上6000人未満ごとに置くべき員数は、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(これらに準ずる者を含む。)それぞれ各1人とされている(施行規則第140条の66第1号イ)。

ただし、次に掲げる場合には、センターの担当する区域における第一号被保険者の数に応じ、以下の表のとおりとすることができる(施行規則第140条の66第1号ロ)。

① 第一号被保険者の数がおおむね3000人未満の市町村に設置する場合

② 市町村合併があった市町村又は一部事務組合若しくは広域連合で、原則の基準ではセンターの運営に支障があると運営協議会において認められた場合

③ 人口規模にかかわらず、地理的条件その他の事情を勘案して、特定の生活圏域に一のセンターの設置が必要であると運営協議会において認められた場合

第一号被保険者の数

配置すべき人員

おおむね1000人未満

保健師等・社会福祉士等・主任介護支援専門員等のうち1人又は2人

おおむね1000人以上2000人未満

保健師等・社会福祉士等・主任介護支援専門員等のうち2人(うち1人は専らその職務に従事する常勤の職員とする。)

おおむね2000人以上3000人未満

専らその職務に従事する常勤の保健師等を1人及び専らその職務に従事する常勤の社会福祉士等・主任介護支援専門員等のいずれか1人

センターの業務における責任体制を明確にし、また、専門職員の資質を担保する観点からは、常勤の職員を確保することが必要であり、各市町村においては、直営のセンターにおいては、常勤職員を確保するとともに、委託を行う場合には、常勤職員を確保できる事業者を選定するものとする。

ただし、センターの規模等に応じ、各職種ごとに専門職員を複数配置する場合には、一部の専門職員は非常勤でも可能である。また、常勤職員を配置することが著しく困難な場合にあっては、適切な業務遂行を確保できるかどうかについて運営協議会の判断を得た上で、経過的に、センター職員の一部を常勤換算方法により必要人員数確保することでも足りるものとする。

なお、専門3職種以外の職員(センター長、事務員など)を配置することについては、包括的支援事業の業務内容や委託料の額等を勘案した上で、市町村が地域の実情に応じて判断することとして差し支えない。

(3) 指定介護予防支援事業者の配置基準

指定介護予防支援基準において、指定介護予防支援事業者は、指定介護予防支援事業所ごとに保健師その他介護予防支援に関する知識を有する職員(以下「担当職員」という。)を、事業が円滑に実施できるよう、1人以上の必要数を配置しなければならないとされている(指定介護予防支援基準第2条)。

この担当職員は、次のいずれかの要件を満たすものであって、都道府県が実施する介護予防支援に関する研修を受講する等必要な知識及び能力を有する者を充てる必要がある。

① 保健師

② 介護支援専門員

③ 社会福祉士

④ 経験ある看護師

⑤ 高齢者保健福祉に関する相談業務等に3年以上従事した社会福祉主事

そのほか必要な人員については、指定介護予防支援基準において規定されている。

(4) 兼務関係について

センターにおける各業務を適切に実施するために、センター以外の業務との兼務は基本的には認められず、センターの業務に専従していることが必要である。ただし、以下の場合には、兼務することとしても差し支えない。

① 小規模市町村や専門職員を複数配置する場合には、適切な事務遂行を確保できると判断できるのであれば、センター業務以外の業務を行うことは差し支えない。

② 介護予防支援の事業については、センターが指定介護予防支援事業者としての指定を受けて行う業務とされている。したがって、センターの職員と指定介護予防支援事業所の職員とは、(1)から(3)までの各要件を満たすものであれば、兼務して差し支えないものである。また、利用者の給付管理に係る業務等の事務的な業務に従事する者は、人員の基準の対象外であるため、兼務して差し支えない。

また、指定介護予防支援事業所の管理者は、専らその職務に従事する常勤の者でなければならないとされているが、指定介護予防支援の業務及びセンターの業務に従事する場合には、兼務することとしても差し支えない。

(5) センター職員の連携について

センターの職員は、センターにおける各業務を適切に実施するため、組織マネジメントを通じて、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の三職種をはじめとするセンターの職員全員が、地域の課題に対する共通認識を持ち、目的を共有化し、連携及び協力して業務を実施しなければならない。

7 地域包括支援センター運営協議会

センターは、市町村が設置した運営協議会の意見を踏まえて、適切、公正かつ中立な運営を確保することとされている(施行規則第140条の66第2号ロ)。

運営協議会の目的は、センターにおける各業務の評価等を行うことで、センターの適切、公正かつ中立な運営の確保を目指すことである。そのため、センターに年度毎の事業計画を立てさせ、業務の遂行状況を評価し、次年度の事業に反映させる等、PDCAサイクルを確立させるために、センターから事業計画書等を提出させて評価する必要がある。

センターの設置・変更・廃止などに関する決定は、市町村が行うものであり、運営協議会は市町村の適切な意思決定に関与するものである。このため、利用者や被保険者の意見を反映させることができるよう、構成員を選定する必要がある。

(1) 設置基準

原則として、市町村ごとに1つの運営協議会を設置する。なお、複数のセンターを設置する市町村であっても、運営協議会については、1つ設置することで差し支えないが、地域の実情に応じて、例えばセンター毎に設置することも考えられる。また、複数の市町村により共同でセンターを設置運営する場合にあっては、運営協議会についても共同で設置することができる。

(2) 構成員等

運営協議会の構成員については、次に掲げるところを標準とし、センターの公正・中立性を確保する観点から、地域の実情に応じて市町村長(特別区の区長を含む。)が選定する。なお、構成員は非常勤とし、再任することができる。

① 介護サービス及び介護予防サービスに関する事業者及び職能団体(医師、歯科医師、看護師、介護支援専門員、機能訓練指導員等)

② 介護サービス及び介護予防サービスの利用者、介護保険の被保険者(第1号及び第2号)

③ 介護保険以外の地域の社会的資源や地域における権利擁護、相談事業等を担う関係者

④ 前各号に掲げる者のほか、地域ケアに関する学識経験者

また、運営協議会には会長を置くこととし、会長は、構成員の互選により選任する。

なお、運営協議会には、在宅介護支援センター等の福祉関係団体が参画することが望ましい。

(3) 所掌事務

運営協議会は、次に掲げる事項を所掌する。総合事業の実施を猶予する市町村においては、なお従前の例により、改正前の本設置運営要綱7(3)のとおりとする。

① センターの設置等に関する次に掲げる事項の承認に関すること

ア センターの担当する圏域の設定

イ センターの設置、変更及び廃止並びにセンターの業務の委託先法人の選定又はセンターの業務の委託先法人の変更

ウ センターの業務の委託先法人の総合事業及び予防給付に係る事業の実施

エ センターが第1号介護予防支援事業及び指定介護予防支援の業務の一部を委託できる指定居宅介護支援事業所の選定

オ その他運営協議会がセンターの公正・中立性を確保する観点から必要であると判断した事項

② センターの行う業務に係る方針に関すること

運営協議会は、本通知3(1)により、市町村が示すこととされているセンターが行う業務に係る方針が適切かどうか、市町村に対して意見を述べるものとする。

③ センターの運営に関すること

ア 運営協議会は、毎年度、センターより次に掲げる書類の提出を受けるものとする。

a 当該年度の事業計画書及び収支予算書

b 前年度の事業報告書及び収支決算書

c その他運営協議会が必要と認める書類

イ 運営協議会は、3(1)④アの市町村の点検・評価の方針に基づいて、事業が適切に実施されているかどうか、必要な基準を作成した上で、定期的に又は必要な時に、事業内容等を評価するものとする。その際には、アbの事業報告書によるほか、次に掲げる点を勘案しながら点検・評価を行うこととする。

(運営全体に関するもの)

a 組織・運営体制

・担当する区域における高齢者のニーズの把握を行っているか

・職員間、専門職間の連携が効果的に行われているか

・ブランチ等との連携の向上につとめているか

b 個人情報の保護

・責任者を配置するなど個人情報保護の徹底が図られているか。

c 利用者満足の向上

・適切な総合相談、苦情への対応ができる体制となっているか

・安心して相談できるようプライバシーの確保が行われているか

d 公平性・中立性の確保

・公平性、中立性に配慮して、介護サービス事業所等の紹介や指定介護予防支援業務の委託先の選定を行っているか

(個別の業務に関するもの)

e 総合相談支援業務

・相談内容ごとの対応状況が把握(進捗管理)できているか

f 権利擁護業務

・成年後見制度の活用、消費者被害の防止の取組がなされているか。

g 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務

・地域ケア会議の運営方針について職員間での共有ができているか

・介護支援専門員に対する効果的な相談対応がなされているか

h 介護予防に係るケアマネジメント

・多様な地域の資源がケアプランに位置づけられているか

i 市町村事業との連携

・在宅医療・介護連携推進事業、生活支援体制整備事業、認知症総合支援事業との連携が適切になされているか。

上記のほか、市町村が必要と認めるもの

④ センターの職員の確保に関すること

運営協議会は、センターの職員を確保するため、必要に応じ、運営協議会の構成員や、地域の関係団体等の間での調整を行う。

⑤ その他の地域包括ケアに関すること

運営協議会は、地域における介護保険以外のサービス等との連携体制の構築、地域包括支援ネットワークを支える地域の社会的資源の開発その他の地域包括ケアに関する事項であって運営協議会が必要と判断した事項を行う。

また、4(3)に規定する地域ケア会議の目的・機能に合致し、地域づくり、資源開発、政策形成等にかかる検討を行う場合は、地域ケア会議とみなして差し支えない。

(4) 事務局

運営協議会の事務局は、市町村に置く。

8 地域包括支援センターの構造及び設備

センターの構造については、特別な施設基準はないが、業務を行う上で支障がないよう、各業務を行う場所は一体であることが望ましい。

ただし、職員配置上の問題等により、センターの業務と指定介護予防支援に関する業務を一体に行う場所を設けることが困難である場合には、当面分離することもやむを得ないが、その場合には、以下の点に留意することが必要である。

① 相互に連絡・調整を密に行い、センターとしての業務の組織的・一体的な実施に支障がないものであること

② 可能な限り速やかに、一体的に実施できる場所を確保すること