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○「介護サービス情報の公表」制度における調査事務等に関する手数料について

(平成24年3月30日)

(老振発0330第10号)

(各都道府県介護保険主管部(局)長あて厚生労働省老健局振興課長通知)

「介護サービス情報の公表」制度は、都道府県の自治事務であり、都道府県は、本制度を円滑かつ継続的に運営するための費用を適切に確保する必要がある。また、本制度に係る費用のうち、介護保険法(平成9年12月17日法律第123号)(以下、「介護保険法」という。)第115条の36第1項に規定する調査事務(以下、「調査事務」という。)及び第115条の42第1項に規定する情報公表事務(以下、「情報公表事務」という。)に係る費用については、地方自治法の規定に基づいて、介護サービス事業者から徴収する手数料を充てることができるものである。都道府県は、本制度全体の運営費を適切に見込むとともに、手数料を徴収する場合は、別紙「「介護サービス情報の公表」制度における手数料に関する指針」を参考とし、本制度の運営に係る費用を適切に確保されたい。

なお、本通知は、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として全国的な見地から提示するものであり、具体的な算定方法、徴収方法等については、各都道府県の実情に応じて適切に施行される必要があることを念のため申し添える。

また、本通知の施行に伴い「「介護サービス情報の公表」制度における調査事務等に関する手数料について」(平成18年3月31日老振発第0331012号厚生労働省老健局振興課長通知)は廃止する。

別紙

「介護サービス情報の公表」制度における手数料に関する指針

本指針は、「介護サービス情報の公表」制度が、介護保険法の規定に基づいて施行されるものであることを踏まえ、都道府県知事が地方自治法に基づいて介護サービス事業者から徴収することができる手数料の基本的考え方、算定方法、徴収方法等について、地方自治法第245条の4第1項の規定に基づく技術的助言として全国的な見地から提示するものである。

1 手数料の基本的考え方

(1) 事業者の義務としての「介護サービス情報の公表」

「介護サービス情報の公表」制度において、介護サービス事業者は、都道府県知事に対して介護保険法第115条の35第1項に規定する介護サービス情報(以下、介護サービス情報という。)を報告するとともに、介護サービス情報のうち介護保険法施行規則(平成11年3月31日厚生省令第36号)(以下、「介護保険法施行規則」という。)第140条の47及び第140条の47の2で定めるものについて都道府県知事が行う訪問調査を受けるものであり、これらは、介護保険法の規定に基づく介護サービス事業者の義務となる。

また、介護サービス情報の公表は、介護サービスを利用し、又は利用しようとする要介護高齢者等が適切かつ円滑に当該介護サービスを利用する機会を確保するために行われるものである。同時に、介護サービス事業者にとっては、自らの介護サービスの内容及び運営状況に関する情報を公表し、利用者による適切な選択を促す仕組みであることから、良質なサービスを提供する介護サービス事業者が選択されることを支援するために行われるものである。都道府県知事は、このような利用者及び介護サービス事業者双方への便宜を公平に供与する見地から、利用者による介護サービス情報の比較検討に資するとともに、介護サービス情報の公平な公表の機会を提供する方法により、本制度を実施するものである。

(2) 都道府県事務の手数料

地方自治法第227条によると、地方公共団体は、地方公共団体の事務で特定の者のためにするものについて、手数料を徴収することができることとされている。

都道府県知事は、介護サービス事業者の義務の履行を支援するとともに、介護サービス事業者への便宜を供与するために必要な調査及び公平な情報の公表の機会を提供する事務を行うものであることから、介護サービス事業者から、手数料を徴収できるものである。

(3) 手数料の構成

本制度を運営する費用は、調査事務に要する費用及び情報公表事務に要する費用により構成するものとし、介護サービス事業者から徴収することができる手数料等をこれに充てるものとする。

ア 調査事務に要する費用

調査事務に要する費用は、介護サービス事業所又は施設(以下、介護サービス事業所等という。)の訪問調査等を行う調査員の養成費、登録費、人件費、訪問調査に必要な旅費及び調査事務管理・運営費により構成するものとする。

(ア) 調査員養成費

調査員養成費は、第115条の37第2項の規定に基づいて、調査事務に関する専門的知識及び技術を有するものとして介護保険法施行令(平成10年12月24日政令第412号)第37条の7第1項に定める要件を備える調査員(以下「調査員」という。)を養成するために行う研修に係る費用とすることを基本とする。

なお、特に調査員養成費については、各都道府県の調査員募集の考え方や実情に応じて、その一部又は全部を調査員養成研修受講者の負担とし、当該手数料に算入しないことができる。

(イ) 調査員登録費

調査員登録費は、調査員養成研修修了者を登録するために必要な経費とすることを基本とする。

なお、特に調査員登録費については、各都道府県の調査員募集の考え方や実情に応じて、その一部又は全部を調査員負担とし、当該手数料に算入しないことができる。

(ウ) 調査員人件費

調査員人件費は、調査員に係る人件費とすることを基本とする。

(エ) 調査旅費

調査旅費は、調査員が、介護保険法施行規則第140条の51第2号に規定する介護サービス事業所への訪問に係る費用とすることを基本とする。

(オ) 調査事務管理・運営費

調査事務管理・運営費は、調査事務を管理・運営するための必要かつ適切な事務費、人件費等とすることを基本とする。

イ 情報公表事務に要する費用

公表に要する費用は、「介護サービス情報を公表するためのシステム」(以下、「公表システム」という。)への介護サービス情報入力費、公表システム維持管理費(都道府県が独自に設置する公表システムの維持管理費をいう。以下同じ。)及び公表事務管理・運営費により構成するものとする。

(ア) 介護サービス情報入力費

介護サービス情報入力費は、介護サービス情報を、公表システムに入力するために必要な経費とすることを基本とする。

(イ) 公表システム維持管理費

公表システム維持管理費は、都道府県が独自に設置する公表システムの運営、保守等に必要な経費とすることを基本とする。

(ウ) 公表事務管理・運営費

公表事務管理・運営費は、公表事務を管理・運営するための必要かつ適切な事務費、人件費等とすることを基本とする。

2 手数料の算定方法

「介護サービス情報の公表」の手数料の算定に当たっては、1の(3)の費用を徴収し、当該都道府県において本制度の対象となる介護サービス事業所等の調査事務及び情報公表事務が円滑に実施できる水準であるとともに、過度の剰余が生じる水準であってはならない。

このため、都道府県において手数料の額を定めるに当たっては、以下の手数料の算定例を参考としながら、当該都道府県における本制度の実施体制や地理的条件を踏まえ、本制度に係る費用に応じて、適切に定める必要がある。

(1) 手数料の算定例

ア 調査事務費用

(ア) 必要な調査員数の基本的な考え方

必要な調査員数は、aの前提及びbの算定方法例を参考として、各都道府県の調査実施体制に応じて算定する。

a 前提

① 調査対象事業所数=[A]

手数料の算定に当たっては、調査事務及び情報公表事務の総量を踏まえて行う必要がある。したがって、介護保険法施行規則第140条の43で定める介護サービスを提供する事業所等を対象として算定するものとする。

また、『「介護サービス情報の公表」制度の施行について』(平成18年3月31日老振発第0331007号厚生労働省老健局振興課長通知。以下「振興課長通知」という。)で規定される一体的な報告・調査を行うサービス区分において、二つ以上の介護サービスを一体的に運営している場合には、一体的に調査等が実施されることから、この場合にはそれぞれの事業所を対象として算定せず、1事業所分として算定するものとする。

なお、介護保険法施行規則第140条の44第1号に基づき、第140条の48第1号の計画の基準日前の1年間において、提供を行った介護サービスに係る居宅介護サービス費、居宅介護サービス計画費又は施設介護サービス費等の支給の対象となるサービスの対価として支払いを受けた金額が100万円以下である介護サービス事業所等は、原則、本制度の対象としない。

② 調査を行う調査員数=[B名]

介護サービス事業所等の調査は、1介護サービス事業所等当たり、調査員1名以上で行うものとする。

③ 調査に必要な時間数、日数等=[C]

介護サービス事業所等の調査は、介護サービス事業所等が予め記入した介護サービス情報等の事前把握、介護サービス事業所と勤務地(在宅を含む。)との間の旅行、介護サービス事業所の訪問調査、調査結果の確認、都道府県知事への調査結果の報告等を行うために必要な時間数、日数等とする。

また、同一所在地にある複数の介護サービス事業所等の調査は、極力同日に行うことが望ましい。

b 必要調査員数の算定方法例

【専従調査員による調査実施体制とする場合の算定方法例】

[A]×[B名]÷[1チーム当たり年間調査可能数]×[予備体制率]

【随時契約調査員による調査実施体制とする場合の算定方法例】

[A]×[B名]÷[1チーム当たり年間調査実施数]×[同一所在地実施率]

(イ) 調査員養成費

調査員養成費は、平成18年3月31日厚生労働省告示第267号「介護保険法施行規則第140条の55第2項の厚生労働大臣が定める基準」の規定に基づき、当該都道府県における研修会場、研修教材、講師等の実態に応じて算定する。また、調査員養成研修は、初回の研修を修了した者については、基本的には実施する必要はないが、平成24年度以降は、調査対象範囲の拡大等の見直しが行われることから、これらに対応するための研修が対象となるものとして、都道府県内の調査事務の実情を踏まえ、適切に算定することとする。

また、介護サービス情報は、介護サービスの種類別に定めることから、介護サービス情報の理解に関する講義については、介護サービスの種類ごとに受講することにより、当該介護サービスに関する調査員となり得るものである。

なお、調査員養成費及び調査員登録費は、振興課長通知に基づき、調査員養成研修を修了した介護サービスが属する研修区分に属する他の介護サービスについても、調査員養成研修のすべての課程を修了したものとみなすことができると規定されていることから、これにより調査員養成研修の受講が省略されることを勘案し適切に算定する。

(ウ) 調査員登録費

調査員登録費の算定に当たっては、介護保険法施行令第37条の7第1項に規定する調査員名簿の管理、第37条の7第2項に規定する調査員登録証明書の作成等の調査員登録に係る事務費等を勘案して算定する。

[必要調査員数]×[調査員名簿登録費]+[必要調査員数]×[調査員登録証明書の作成・交付等]

(エ) 調査員人件費

調査員人件費の算定に当たっては、都道府県等の職員の報酬に関する規程等を踏まえ、算定する。

また、専従調査員の人件費には、各種手当、社会保険料、労働保険料等を適切に算入する必要がある。

【専従調査員の人件費の算定方法例】

[必要調査員数]×([本俸]+[各種手当]+[社会保険料]+[労働保険料])

【随時契約調査員の人件費の算定方法例】

[契約単価]×[対象事業所]×[C]×[B名]×[同一所在地実施率]

(オ) 調査旅費

調査旅費の算定に当たっては、当該都道府県内の介護サービス事業所等の訪問に要する旅費の総額を勘案して算定するが、次のような考え方に基づいて設定することが考えられる。

① 全ての事業所で調査事務手数料の統一単価を設定する場合(介護サービスの種類毎に設定する場合を含む。)

[都道府県内の平均的都道府県内旅費]×[対象事業所数]×[B名]×[同一所在地実施率]

② 同日調査における併設事業所の調査事務手数料を減額設定する場合

a 単独事業所(併設事業所も併せて同日調査する場合の1件目を含む。)の調査事務手数料を算定する旅費総額

[都道府県内の平均的都道府県内旅費]×[対象事業所数]×[B名]

b 同日調査の併設事業所の調査事務手数料を算定するための、併設事業所に係る旅費の重複調整分

[都道府県内の平均的都道府県内旅費]×[対象事業所数]×[B名]×[(1-同一所在地実施率)]

(カ) 調査事務管理・運営費

調査事務管理・運営費の算定に当たっては、調査事務の管理等に必要な事務費、人件費等について、当該都道府県内の必要かつ適切な調査事務量を勘案して算定する。

[調査事務費]+[調査事務従事職員数]×([本俸]+[各種手当]+[社会保険料]+[労働保険料])

イ 情報公表事務費用

(ア) 公表情報入力費

公表情報入力費の算定に当たっては、都道府県の標準的な電子情報入力費を勘案して算定する。

なお、入力量については、基本的に事業所によるインターネット上での報告となるため、都道府県内の公表事務の実情を踏まえ、①訂正入力分、②インターネット環境のない事業所の代行入力分等を勘案して適切に算定する。

[基本情報文字入力単価]×[基本情報文字入力量]×[対象事業所数]+[運営情報数字入力単価]×[運営情報数字入力量]×[対象事業所数]+[任意情報文字(数字)入力単価]×[任意情報文字(数字)入力量]×[対象事業所数]

(イ) 公表システム維持管理費

都道府県が独自に設置する公表システムの維持管理に要する費用について算定する。

(ウ) 情報公表事務管理・運営費

情報公表事務管理・運営費の算定に当たっては、介護サービス情報の報告の受理・管理等に必要な事務費、人件費等について、当該都道府県内の必要かつ適切な公表事務量を勘案して算定する。

[公表事務費]+[公表事務従事職員数]×([本俸]+[各種手当]+[社会保険料]+[労働保険料])

(2) 手数料単価の設定の考え方

当該都道府県における調査事務又は情報公表事務に係る手数料の単価の設定に当たっては、本制度全体の運営費を適切に見込むとともに、介護サービス事業所等から毎年徴収する手数料として、将来に渡り平準化して設定することが適当と考えている。

また、手数料単価の設定に当たっては、介護サービス事業所等が現実に負担可能な範囲であるとともに、小規模な介護サービス事業所等の負担能力に配慮することも考えられる。

ア 標準的な手数料単価の算定方法例

([調査員養成費]+[調査員登録費]+[調査員人件費]+[調査旅費]+[公表情報入力費]+[公表システム維持管理費]+[調査事務管理・運営費]+[公表事務管理・運営費])÷[対象事業所数]

イ 具体的な手数料単価設定の考え方

具体的な手数料単価の設定に当たっては、次のような考え方に基づいて設定することが考えられる。

(ア) 統一単価を設定する方法

「介護サービス情報の公表」の調査事務及び情報公表事務の量は、介護サービスの種類ごとに異なるが、介護サービス事業所等の訪問調査は、各介護サービスともに1日以内で実施可能であり、公表を行う情報の量も当該調査に準じた量であることを踏まえると、基本的には、全ての事業所が統一単価に基づいて、手数料を負担することとする。

この場合の具体的な単価は、アの標準的な手数料単価に準じて定める。

(イ) 介護サービスの種類別単価を設定する方法

アの標準的な手数料単価を基本とし、介護サービスの種類に応じた調査事務の量、内容等を勘案して介護サービスの種類別単価を設定する。

(ウ) 併設事業所の手数料単価を減額設定する方法(同日調査の場合)同一所在地における複数の事業所を同日に調査する場合の手数料単価の設定については、算定に当たり、2(1)ア(オ)①のように、旅費の効率化分について、同一所在地実施率を乗じることにより、全事業所で均一に効率化分を調整する設定方法に拘ることなく、各都道府県の考え方や実情に応じて、2件目以降の併設事業所の手数料単価について、調査旅費総額の算定の段階では同日調査による旅費の重複分を調整せず、最終の個別の手数料単価設定の段階で、旅費の重複分を勘案し低く設定するなど、その妥当性等について介護事業者等の理解が得られる手数料単価の設定を行うことも考えられる。

なお、減額設定については、当該都道府県内の実情に応じ、1組の調査員が1日に調査可能な件数の範囲内において減額設定を行うものとする。

① 単独事業所(1件目)の調査事務手数料単価の算定方法例

([調査員養成費]+[調査員登録費]+[調査員人件費]+[調査旅費(2(1)ア(オ)②a)]+[公表情報入力費]+[公表システム維持管理費]+[調査事務管理・運営費]+[公表事務管理・運営費])÷[対象事業所数]=α

② 同日調査における併設事業所(2件目以降)の調査事務手数料単価の算定方法例

α-([調査旅費(2(1)ア(オ)②b)]÷[対象事業所数]×[(1-同一所在地実施率)])

ウ 留意点

「介護サービス情報の公表」は、介護保険法に基づく事業所の義務であり、また、都道府県知事が策定する計画に基づいて行われることを踏まえると、介護サービス事業所は、基本的に自ら介護保険法第115条の36第1項に規定する指定調査機関(以下、「指定調査機関」という。)を選定できないことから、基本的には調査員の旅行に伴う費用によって負担額に差が生じるような仕組みとすることは適当ではない。

3 手数料の徴収・支払方法

(1) 手数料の徴収方法について

都道府県知事は、基本的には、地方自治法第227条及び第228条の規定に基づいて、調査事務及び情報公表事務に係る手数料を徴収することができるものである。また、当該手数料を一括して徴収することも可能である。さらに、都道府県知事は、地方自治法施行令第158条の規定に基づいて、当該手数料の徴収事務を、指定調査機関又は介護保険法第115条の42第1項に規定する指定情報公表センターに委託することができるものと考えられる。

(2) 手数料の徴収先について

調査事務に係る手数料については、調査を受けようとする介護サービス事業者から徴収することが可能であり、情報公表事務に係る手数料については、報告を行おうとする介護サービス事業者から徴収することが可能である。

なお、調査員養成研修に係る手数料及び調査員登録に係る手数料を徴収する場合においては、前述したとおりである。

(3) 徴収の時期

手数料の徴収の時期は、適宜定められたい。

(4) 手数料の収入方法について

都道府県知事は、調査事務に係る手数料及び情報公表事務に係る手数料を収入とすることが可能である。