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○建築物等の解体等の作業における石綿ばく露防止対策の徹底について~第8回東日本大震災アスベスト対策合同会議の専門家意見を踏まえ~
(平成24年10月25日)
(基安化発1025第3号)
(都道府県労働局労働基準部健康主務課長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知)
石綿含有建築物の解体工事については、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)及び建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針(平成24年5月9日付け厚生労働大臣公示)に基づき指導いただいているところである。
今般、被災地において別添1のような事前調査が十分でない事例や煙突解体工事等における飛散事例を第8回東日本大震災アスベスト対策合同会議(以下「第8回合同会議」という)に報告したところであるが、同会議の専門家の意見等を踏まえ、同種の事例の再発防止のため、下記に留意のうえ、石綿則等の指導の徹底をお願いする。
なお、別添3のとおり、関係団体に要請を行ったので、了知されたい。
記
1.事前調査の徹底について
(1) 事前調査の際、図面等が存する場合は、図面等を必ず確認するとともに、目視であっても、別添1の事例や別添2に例示されるように外側からの目視のみでは見えない部分等にも石綿が吹きつけられている場合があることに留意の上、事前調査を行うこと
(2) 事前調査については、「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」の2に定める事項に留意すること
(3) 事前に石綿等の除去や事前調査を別の業者が実施し、解体工事の発注段階で石綿がないとされている場合でも、発注者から事前調査の状況等について情報を入手することにより除去や分析を実施していない場所について把握し、それらの場所について再度事前調査を行うこと。発注者は、当該情報の伝達に配慮すること
2.解体作業途中での対処について
(1) 解体工事を行う際は、作業途中で石綿含有建材等を見つけたときに的確に判断できるよう、石綿作業に従事しない者に対しても石綿特別教育や石綿作業主任者技能講習を受けさせるよう努めること
(2) 解体工事の作業途中で石綿含有建材等を見つけたときに、速やかに作業を中止し、石綿則に基づくばく露防止対策を講じるよう、必要な対応を事前に取り決め、労働者に周知しておくこと
(3) 建築物等の解体等の作業においては、事前調査が不十分であった場合などで石綿粉じんが飛散するおそれもあること、また、作業に伴って石綿以外の粉じんも発生するおそれがあることから、事前調査の結果として石綿等の使用がないことが確認された場合であっても、労働者に防じんマスク等の呼吸用保護具を使用させること
3.その他、第8回合同会議で報告された漏洩等事案等を踏まえた留意事項
(1) 集じん排気装置からビニールダクトを使用して排気を行う際に、ダクトをひもでつり下げて支えると当該部分から折れ曲がって十分な排気ができない場合があるので、支えは幅広の環状の支え等を使用して、折れ曲がらないようすること
(2) 除去した石綿含有成形板等を廃棄する際は、廃材を破砕する必要がない程度に十分な大きさのフレキシブルコンテナ等を用意すること。なお、石綿含有成形板等が大きい等によりやむを得ず切断等が必要な場合には、散水等により十分湿潤化すること
(3) 煙突の清掃等作業や除去等による飛散防止対策については、平成24年7月31日基安化発0731第1号及び平成24年9月13日基安化発0913第1号の通達に留意すること
別添1(第8回合同会議資料抜粋)
宮城県石巻市の被災建築物の解体工事におけるアスベスト除去作業について
(概要)
宮城県石巻市の被災建築物について平成24年3月に石綿の除去工事が行われた。その後8月に解体工事が行われたが、解体工事後、石綿含有建材が残留しているのが発見されたもの(なお、発覚以後現場はビニールシートで覆い、飛散防止措置を行った。モニタリング調査も行い石綿の飛散状況を確認している)
(主要な原因)
○ 取り残しているところは鉄骨の柱に吹き付けをして、さらにモルタルの化粧壁で仕上げ、その後コンクリートブロックで覆っている状況であった。その他、梁と壁の間に隠れていた部分、鉄骨階段で隠れていた部分に石綿が吹き付けられていた。そのため除去業者が行った目視による事前調査では、確認できなかった。(吹付け石綿は被覆材として吹くことが通常であり、除去業者のこれまでの経験では、今回のようなコンクリートブロックの内側に吹きつけられている構造の物をあつかった事例はなかった。また、構造図面等の書類も震災の際流されていて、目視のみの調査しかできなかった。)
○ 解体工事中現場に石綿の知識を有する者がおらず、解体工事中に石綿が出てきても工事の中止等現場で判断・対応ができなかった。
別添2
事前調査の際、目視では見落としやすい例
次のように内装等の内側に石綿建材が隠れている例や、一区画のみ石綿建材が使用され見落としやすい例がある。
○ 内装仕上げ材(天井ボード、グラスウールやセメント板等)の下に石綿含有吹き付け材が存在する例(過去の囲い込み工事等による)
○ 石綿含有吹き付け材の上からロックウール(石綿含有無し)が吹き付けられる例
○ 鉄骨造の柱・梁に石綿含有吹付け材が存在しその内装仕上げ材としてモルタル等が使われている例
○ 鉄骨造の柱に吹き付けられた石綿含有吹き付け材の周囲をブロック等で意匠的に仕上げられている例
○ 天井の一部に仕上げ材(意匠)として石綿含有吹き付け材が使用されている例
○ 煙突内部の石綿建材の上にコンクリートで覆われている例
○ 外装(外壁や柱)のボードや金属パネルの内側に吹き付けられている例
○ 鋼板の仕上げ材の裏打ちとして石綿等が吹き付けられている例
○ 外壁とコンクリート床の取り合い(上階と下階を区画する)の層間塞ぎとして詰められ、モルタル等で仕上げられている例
○ 防火区画の貫通部(給排水及び電気設備)に石綿等が使用されている例
○ 準耐火建築物の、防火区画、異種用途区画などで建物全体の柱、梁の耐火被覆ではなく一部の柱、梁に耐火被覆で石綿含有の吹付材がある例
○ 敷居の無い大フロアで奥の1区画のみ石綿等が吹き付けられている例
○ 石綿含有吹き付け材が使用された機械室や地下フロア等が用途変更により石綿含有吹き付け材が使用された天井等が天井ボード等で仕切られている例
その他、玄関のひさしの中、ガラリ内(結露や震動音防止のため)、シャフト内、パイプスペース、カーテンウォール裏打ち機械室、最上階天井裏スラブ、防火壁の書き込み部分、変電器裏の見えない部分に石綿等が吹き付けられている例もある
なお、上記はあくまで一例であり、見落とししやすい例は他のも多くある。そのため、事業場内でも見落としやすい石綿の吹き付け等の事例に関する情報を蓄積し、漏れがないよう事前調査を行うこと。
(参考)
「石綿含有吹付け材」には、主に耐火被覆用・吸音用・結露防止用としての吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウール、湿式石綿含有吹付け材と仕上げ用としての吹付けパーライト、吹付けバーミキュライト(ひる石吹付け)があるので、使用されている場所や改修工事の有無の確認も重要なポイントになる。
別添3
○建築物等の解体等の作業における石綿ばく露防止対策の徹底について~第8回東日本大震災アスベスト対策合同会議の専門家意見を踏まえ~
(平成24年10月25日)
(基安化発1025第2号)
(別記関係団体の長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長)
石綿を含有する断熱材等を使用した煙突等を含む建築物の解体等工事については、石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号。以下「石綿則」という。)及び建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針(平成24年5月9日付け厚生労働大臣公示)に基づき適切な措置を図っていく必要があります。
第8回東日本大震災アスベスト対策合同会議において、被災地において事前調査が十分でない事例や解体工事中に石綿を飛散させる事例が報告されたところです。同会議の専門家の意見等を踏まえ、同種の事例の再発防止のため、下記に留意することが必要とされたところです。
つきましては、貴会会員等に対し、下記事項を周知いただきますようお願いします。
記
1.事前調査の徹底について
(1) 事前調査の際、図面等が存する場合は、図面等を必ず確認するとともに、目視であっても、別添1の事例や別添2に例示されるように外側から目視のみでは見えない部分等にも石綿が吹きつけられている場合があることに留意の上、事前調査を行うこと
(2) 事前調査については、「建築物等の解体等の作業での労働者の石綿ばく露防止に関する技術上の指針」の2に定める事項に留意すること
(3) 事前に石綿等の除去や事前調査を別の業者が実施し、解体工事の発注段階で石綿がないとされている場合でも、発注者から事前調査の状況等について情報を入手することにより除去や分析を実施していない場所について把握し、それらの場所について再度事前調査を行うこと。発注者は、当該情報の伝達に配慮すること
2.解体作業途中での対処について
(1) 解体工事を行う際は、作業途中で石綿含有建材等を見つけたときに的確に判断できるよう、石綿作業に従事しない者に対しても石綿特別教育や石綿作業主任者技能講習を受けさせるよう努めること
(2) 解体工事の作業途中で石綿含有建材等を見つけたときに、速やかに作業を中止し、石綿則に基づくばく露防止対策を講じるよう、必要な対応を事前に取り決め、労働者に周知しておくこと
(3) 建築物等の解体等の作業においては、事前調査が不十分であった場合などで石綿粉じんが飛散するおそれもあること、また、作業に伴って石綿以外の粉じんも発生するおそれがあることから、事前調査の結果として石綿等の使用がないことが確認された場合であっても、労働者に防じんマスク等の呼吸用保護具を使用させること
3.その他、第8回合同会議で報告された漏洩等事案等を踏まえた留意事項
(1) 集じん排気装置からビニールダクトを使用して排気を行う際に、ダクトをひもでつり下げて支えると当該部分から折れ曲がって十分な排気ができない場合があるので、支えは幅広の環状の支え等を使用して、折れ曲がらないようすること
(2) 除去した石綿含有成形板等を廃棄する際は、廃材を破砕する必要がない程度に十分な大きさのフレキシブルコンテナ等を用意すること。なお、石綿含有成形板等が大きい等によりやむを得ず切断等が必要な場合には、散水等により十分湿潤化すること
(3) 煙突の清掃等作業や除去等による飛散防止対策については、平成24年7月31日基安化発0731第1号及び平成24年9月13日基安化発0913第1号の通達に留意すること
別記関係団体
中央労働災害防止協会
建設業労働災害防止協会
独立行政法人 労働者健康福祉機構
社団法人 日本作業環境測定協会
一般社団法人 日本環境測定分析協会
公益社団法人 日本保安用品協会
公益社団法人 産業安全技術協会
公益社団法人 全国労働衛生団体連合会
一般社団法人 日本労働安全衛生コンサルタント会
全国社会保険労務士会連合会
社団法人 全国労働基準関係団体連合会
日本アスベスト調査診断協会
社団法人 日本建設業連合会
一般社団法人 全国建設業協会
社団法人 全国解体工事業団体連合会
社団法人 建設産業専門団体連合会
一般社団法人 JATI協会
公益社団法人 日本プラントメンテナンス協会
社団法人 日本ビルヂング協会連合会
公益社団法人 全国産業廃棄物連合会
全国アスベスト適正処理協議会
建設廃棄物協同組合
社団法人日本ボイラ協会
公益社団法人ボイラ・クレーン安全協会
社団法人日本ボイラ整備据付協会
日本暖房機器工業会
社団法人 住宅生産団体連合会
一般社団法人 不動産協会
社団法人 全日本不動産協会
社団法人 日本建築士事務所協会連合会
社団法人 日本建築家協会
社団法人 全日本建築士会