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番号

報告者

報告年

対象

調査方法

対象者等

結果の概要

線量に関する情報

潜伏期間に関する情報

備考

1

K.Ozasaら

2012

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(がん死亡)86,611人

【追跡期間】

1950―2003

結腸がんのERR/Gyは0.54(95%CI:0.23―0.93)で、EARは1.6/104人年/Gy(95%CI:0.5―3.0)であった(いずれも男女平均)。

なし

なし

全固形がんについて、全線量域でみた場合、ERRに関して直線的な線量反応関係が適合する。

全固形がんについて、ERRの統計的に有意な上昇が観察される最低線量域は、0―0.2Gy。しきい値の最良推定値は0Gy(しきい値なし)で、95%上側信頼限界は0.15Gy。

2

D.L.Prestonら

2007

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(発がん)105,427人

【追跡期間】

1958―1998年(2,764,732人年)

30歳で被ばくした者の70歳における結腸がんのERRは、0.54/Gy(CI:0.30―0.81)。EARは8.0/10,000人年Gy(CI:4.4―12)。

ベースラインに顕著なコホート効果。ERRに関して、被ばく時年齢の影響はほとんどない。

ERRに関して0―2Gy(DS02)の範囲で直線的な線量反応関係(p<0.001)。

なし

全固形がんのERRについて0―2Gyの範囲で直線的な線量反応関係。しきい値モデルを仮定した場合、しきい値の90%上側信頼限界は0.085Gy。

3

G.Dropkin

2007

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(がん死亡)のうち0―20mSv(DS86)の者のみ

【追跡期間】

1950―1990年(1690391.75人年)

結腸がんについては、有意な結果は得られていない。

0―20mSvで線量に依存した有意な増加は認められず。

二相性モデルで推定した潜伏期間は、男28.63年、女41.62年。

胃、肝臓、肺、全固形がんについては、非線形モデルがフィットし、ERRは第12回LSS報告の値より2桁以上高い。

4

M.P.Littleら

1999

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(がん罹患)のうち4Gy以下の者

【追跡期間】

1958―1987年(1,682,352人年)

一般化絶対/相対リスクモデルのフィッティングについて検討したもので、発がん線量や潜伏期間に関する有用な情報はない。

なし

なし

 

5

M.Kaiら

1998

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(がん罹患)79,972人

【追跡期間】

1958―1987年(1,950,567人年)

原爆データを二段階発がんモデルで解析したもので、発がん線量や潜伏期間に関する有用な情報はない。

なし

なし

 

6

M.Matsuuraら

1997

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

広大原医研コホート35,123人

【追跡期間】

1968―1989年

結腸がんのRRat1Gyは1.42(90%CI:1.03―1.81)。

1Gy以上(1.0―1.99および2.0―2.99Gy群)でRRが1より有意に大。

観察期間内でRRに明らかな時間変化は見られない。

白血病を除く全がんのRRat1Gyは1.26(90%CI:1.18―1.35)。

7

D.E.Thompsonら

1994

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(がん罹患)79,972人

【追跡期間】

1958―1987年(1,950,567人年)

結腸がんのERRは0.72/Sv(95%CI:0.29―1.28)、EARは1.8/104人年Sv(95%CI:0.74―3.0)。リスクは、被ばく時年齢よりも到達時年齢に依存する傾向。

ERRに関して直線的な線量反応関係(p<0.001)。

なし

全固形がんのERRは0.63/Sv、EARは29.7/104人年Sv。RRは年齢とともに減少。

8

H.Nakatsukaら

1992

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

被ばく群82,064人、非被ばく群26,675人

【追跡期間】

LSS1950―1982年

死亡診断書、腫瘍登録、臨床記録を併用

RRは1.80at1Sv(90%CI:1.37―2.36)、EARは0.36/104人年Sv(90%CI:0.06―0.77)。

1Gy以上(1.0―1.99,2.0―2.99,4.0+Gy群:DS86)でRRの90%下側信頼限界が1を上回る。

1959年(被爆後14年)以降、到達時年齢35歳以上で発症

部位(盲腸、上行、横行、下行、S字結腸)による感受性差なし。

9

D.L.Prestonら

1987

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS―E85(がん死亡)91,231人

【追跡期間】

1950―1982年

結腸がんのRRat1Gyは1.38(90%CI:1.16―1.68)、EARは0.30/104人年Gy(90%CI:0.13―0.51)。

線量依存性が有意(p<0.001)。

結腸がんのRRを観察時期に分けて解析した場合、1975―1978のみ有意に1を超えている。

白血病を除く全がんのRRat1Gyは1.17、EARは3.88/104人年Gy。

10

I.Shimokawaら

1984

長崎市の大腸癌罹患者

大腸癌罹患者に関する記述統計

【対象者数】

大腸癌罹患者223人

長崎市の大腸癌罹患率は加齢とともに増加するが、被爆者と非被爆者の間に明らかな差はない。

なし

なし

 

11

W.J.Schull

1983

原爆被爆者

原爆被爆者の晩発影響に関する総説

 

直腸を除く大腸がんによる死亡のEARは0.30/106人年rad(90%CI:0.16―0.43)。

なし

1975―1978に、大腸がんによる死亡率が顕著に増加。

 

12

A.V.Petersonら

1983

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(がん死亡)79,854人

【追跡期間】

1950―1978

爆心地からの距離が同じでも、方向によってがん死亡率に違いがあるかどうかを検討したもので、発がん線量や潜伏期間に関する有用な情報はない。

なし

なし

 

13

T.Wakabayashiら

1983

原爆被爆者

コホート

【対象者数】

LSS(長崎腫瘍登録)17,936人

【追跡期間】

1959―1978年(319,803人年)

結腸がんのEARは0.41/106人年rad(90%CI:0.04―0.77)、100rad以上群におけるRRは1.66(90%CI:0.75―3.02)。剖検ないし外科的に確認された症例に限定した場合、RRも2.39(90%CI:1.01―4.85)で有意。

直線的な線量反応関係が有意(p=0.033)。剖検ないし外科的に確認された症例に限定した場合、100rad以上群におけるRRが1より有意に大。

なし

全がんのEAR、100rad以上群におけるRRともに有意。

白血病を除く全がんについて、直線的な線量反応関係。

放射線作業者を対象とした疫学調査

番号

報告者

報告年

対象

調査方法

対象者等

結果の概要

線量に関する情報

潜伏期間に関する情報

備考

14

E.S.Parkら

2010

原子力発電所作業者の疫学研究に関する論文11編

文献のメタアナリシス

【対象者数】

計361,978人

【追跡期間】

1946―1999年(論文ごとに異なる)

結腸がんのSMRは0.88(95%CI:0.73―1.07)。

なし

なし

全がんのSMRは0.75(95%CI:0.62―0.90)であったが、調査間に有意な異質性が認められた。

15

C.Metz-Flamantら

2009

フランスの核燃料施設作業者

コホート

【対象者数】

9,285人

【追跡期間】

1977―2004年(線量データは1957―2004年)

結腸がんのSMRは0.83(90%CI:0.60―1.12)。

SMRは線量とともに有意に上昇(p<0.04)。

なし

対象者の98.9%が、線量200mSv以下。

全がんのSMRは0.7(90%CI:0.71―0.83)で一般集団より有意に低。肝臓がんと呼吸器疾患についても線量と有意な関連。

16

J.M.Zielinskiら

2007

カナダの放射線作業者

カナダの線量登録制度を用いた疫学研究の総説

【対象者数】

【追跡期間】

結腸がんの線量依存性を検出した論文あり→19

なし

なし

 

17

R.T.Gunら

2008

核実験への男性従事者

コホート

【対象者数】

10,983人

【追跡期間】

核実験(1952―1957年)~2001年

発がんに関するデータは1982年以降

結腸・直腸がんのSIRは1.16(95%CI:1.04―1.28)、SMRは1.28(95%CI:1.12―1.47)だが、1mSv未満のリスクが最も高く、線量依存性は見られない。

なし

なし

対象者の96%が、線量が20mSv以下。

18

A.Faisal

2003

放射線科医

文献研究

【対象者数】

ジャーナルの追悼記事を基に、放射線科医400人の死因を調査

【追跡期間】

AJR 1975―1999とRadiology 1970―1999を対象

発がん線量や潜伏期間に関する有用な情報はない。

なし

なし

 

19

E.Weiderpassら

2003

フィンランドの女性作業者(ブルーカラー職種)

コホート

【対象者数】

413,877人

【追跡期間】

1971―1995年

放射線は解析対象とする有害要因に含まれておらず、関連する情報がない。

なし

なし

 

20

W.N.Sontら

2001

カナダの放射線作業者(原子力、工業、医療等)

コホート

【対象者数】

191,333人

【追跡期間】

1969―1988年(線量データは1951―1988年)

(2,667,903人年)

結腸がんに関してSIRは0.90(90%CI:0.82―0.99)だが、男性のERRが2.8/Sv(90%CI:0.0―8.0)で有意。

なし

なし

対象者の99.4%が、線量200mSv未満。

全がんについてもSIRは0.79(90%CI:0.77―0.82)だが、ERRは2.5/Sv(90%CI:1.2―4.0)で有意に高い。

21

L.Fritschi

2000

獣医

獣医の職業性がんに関する総説

【対象者数】

【追跡期間】

結腸がんについてPMRが有意に高い論文が紹介されているが、放射線の被ばく状況については不明。

なし

なし

 

22

G.S.Wilkinsonら

1987

ロッキーフラッツの兵器工場でプルトニウム被ばくをした白人男性作業者

コホート

【対象者数】

5,413人

【追跡期間】

1952―1979年

結腸がんのSMRは63(90%CI:29―118)。

要旨にはプルトニウム負荷量画像2 (1KB)別ウィンドウが開きます
2nCiで結腸がんのrate ratioが上昇とあるが、有意な結果ではない。

なし

全死因と造血器腫瘍のみ、プルトニウム負荷量画像3 (1KB)別ウィンドウが開きます
2nCiでrate ratioが有意に上昇。

23

D.Irvineら

1999

British Airwaysのパイロット及び航空機関士

コホート

【対象者数】

パイロット6,209人航空機関士1,153人(いずれも男性)

【追跡期間】

143,506人年

大腸がんのSMRはパイロットが1.112(95%CI:0.679―1.717)、機関士が0.71(95%CI:0.147―2.076)。短距離飛行パイロットの長距離飛行パイロットに対するRRは2.05(95%CI:0.79―5.37)。

なし

なし

 

24

A.Blairら

1982

白人男性の獣医

文献研究

【対象者数】

JAVMAの死亡記事を基に、白人男性の獣医5016人の死因を調査

【追跡期間】

1947―1977年の間の死亡例を対象

結腸がんのPMRは134で有意(p画像4 (1KB)別ウィンドウが開きます
0.005)だが、放射線の被ばく状況については不明。

なし

なし

 

放射線診療を受けた患者を対象とした疫学調査

番号

報告者

報告年

対象

調査方法

対象者等

結果の概要

線量に関する情報

潜伏期間に関する情報

備考

25

E.Ronら

1999

月経異常治療患者(卵巣及び下垂体照射)

コホート

【対象者数】

968例

【追跡期間】

28,274人年

結腸がんの発生数(7例、期待値:4.42)は統計的に有意ではないがわずかに高い。SIR=1.58(0.63―3.27).2回以上照射された患者及び追跡期間が長いほどリスクは高い。

結腸の線量:平均0.65Gy(0.001―0.81Gy)

放射線照射10年以上経過後にがんのリスクが増加し、結腸がんに関しては照射20―29年後に統計的に有意に増加(SIR=3.1(95%CI:1.1―6.7))

全がんのSIR=0.81(95%CI:0.61―1.04)

26

E.Ronら

1994

月経異常治療患者(卵巣及び/または下垂体照射)

コホート

【対象者数】

816例

【追跡期間】

28,438人年

平均34.8年

対照(USpopulation)

結腸がんによる死亡数15名で、SMR=1.9(95%CI:1.1―3.1)で有意に増加。

結腸線量(3グループ:45cGy以下、46―71cGy以上)とSMRとの間にはトレンドは認められない。結腸の線量:54cGy(5―95%:39―90cGy)

とくに治療後40―64年後のSMR=3.2(8名)が、統計的に有意に高い。

全がんのSMR=0.91で、有意な増加は認められない。

27

T.Araiら

1986

子宮頸がん

コホート

【対象者数】

12,729例

【追跡期間】

平均10.2年

42例の二次がんの中でS状結腸がん2例が認められた(結腸癌についての統計的な解析は行っていない)。

なし

2例の潜伏期間は15年、23年で平均19年

二次がん(全がん):42例

28

J.D.Boiceら

1985

子宮頸がん

コホート

【対象者数】

182,040例

【追跡期間】

結腸がんのO/E=313/300=1.0で、放射線照射の影響は認められない。

なし

照射後1年未満及び5年毎のO/Eは一定の傾向は認められない(p=0.152)が、25―29年のO/E=16/9.3=1.7で5%の有意水準で高い。

二次がん:5,146例(期待値:4,736例)膀胱、直腸、子宮体がん、卵巣がん、小腸がん、多発性骨髄腫の相対リスクが高い。

29

P.G.Smithら

1982

強直性脊椎炎患者(1935―54年に照射)

コホート

【対象者数】

14,111例

【追跡期間】

結腸がん 男性O/E=23/13.17=1.75、女性O/E=5/4.12=1.21合計O/E=28/17.3=1.62

男性および男女合計の観察数は、統計的に有意に高い。

BEIRで評価した線量(平均線量57rad)に基づいて直線性を仮定した結腸がんのリスクは照射後3年以上で1.25(90%CI:0.02―2.88)/106/year/rad、O/E=22/14.78、9年以上で1.70(90%CI:-0.10―4.21)、O/E=16/10.38である。

heavily irradiated sitesのがん(結腸がんを含む)は照射後9年未満では認められない。

9―11年以降に出現し、21年以降は減少する。

照射時年齢が55歳以上の過剰死亡リスクは25歳以下の場合に比べて高い。

強直性脊椎炎の患者は潰瘍性大腸炎のリスクが高いので、大腸がんの発症には強直性脊椎炎が関与している可能性がある。

30

D.S.Kapp

1982

子宮頸がん

後ろ向き

【対象者数】

763例

【追跡期間】

結腸がんの発生はみられなかった。

なし

なし

二次がんの発生44例(期待値36)、肺がんと膣がんが統計的に有意

31

J.D.Boice

1981

 

レビュー

 

過去の医療被ばくに伴う放射線誘発がんに関するレビュー

結腸がん:異常出血および卵巣がんに対する放射線治療患者で有意に発生している。

なし

なし

 

32

E.Ron

1998

 

レビュー

 

放射線治療後の固形がんに関するレビュー

結腸がんに関しては有意な発生は認められない。

なし

なし

 

33

J.D.Boiceら

1981

人工気胸前後の透視検査

コホート

【対象者数】

1,047例(女性)

対照群:人工気胸以外の治療を受けた患者717例

【追跡期間】

28,011人年

平均追跡期間:27年(最長45年)

対照群:19,025人年

大腸がん5例(期待値4.4)RR=1.0(95%CI:0.3―5.7)

平均透視回数102回

なし

全がんのリスク(放射線照射を受けていない女性と比較)は、O/E=45/36.6、RR=0.8(95%CI:0.6―1.5)

34

W.M.CourtBrownら

1965

強直性脊椎炎患者

コホート

【対象者数】

14,554人

【追跡期間】

5―25年

1935年から1954年に強直性脊椎炎で放射線治療を受けた患者14,554人を対象に5年から25年間追跡した。結腸がんの発生が、期待値14.78に対して25例があり、O/Eは1.7であった。

なし

結腸がんの発生時期を、0―2、3―5、6―8、9―11、12―14、15―24年に分けてO/Eを分析した結果、それぞれ2.0、2.0、1.1、2.1、0.8、1.2で一定の傾向は認められなかった。

強直性脊椎炎の患者は一般集団に比べて潰瘍性大腸炎の発生率が20倍以上であり、潰瘍性大腸炎の患者の大腸がんの発生は10倍以上であることに注目すると、強直性脊椎炎患者の期待数は36%増加することとなる。

35

R.R.Reimerら

1978

卵巣がん

コホート

【対象者数】

13,309人

【追跡期間】

45,903人年

平均3.5年/人

卵巣がんの患者の二次がんの発生について調査した結果、放射線治療を受けた患者(6,596人)の結腸がん(直腸がんはない)が33例(期待値:17.0例)に発生し、RRは1.9で有意に高かった。放射線治療以外の治療を受けた患者の結腸がんは30例(期待値:23.3例)で、RRは1.3で統計的に有意ではなかった。

なし

卵巣がん後の追跡期間を2年以下、2~4年、5~9年、9年超に分けたRRを求めた結果、5年以上の追跡グループで高かった。

放射線治療を受けなかった患者の大腸がんの発生は2年未満のグループに限られていた。

卵巣がんと診断された平均年齢は56歳