添付一覧
(意思疎通支援者の責務) 第8条 意思疎通支援者は、意思疎通支援業務を遂行するに当たって、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。 (1) 事業を通じて知り得た情報を本人の同意を得ないで第三者に提供してはならないこと。 (2) 手話通訳又は要約筆記の技術、聴覚障害者等に関する知識の向上に努めること。 2 前項第1号の規定は、意思疎通支援者を辞した後にも適用する。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の責務について規定するものである。
【説明】
障害者基本法第3条において、「全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有する」と規定している。このことを前提としつつ、意思疎通支援者は意思疎通支援業務に従事することが必要である。
≪第1項関係≫
意思疎通支援者が守らなければならない事項を規定するものである。
① 「事業を通じて知り得た情報」には、意思疎通支援業務の実施にあたり、市(区市町村)長から提供された情報、対象となる聴覚障害者等や申請者から提供された情報、意思疎通支援業務の実施中に知りえた個人情報などである。
② 意思疎通支援者は、意思疎通支援業務を円滑に実施するため、手話通訳又は要約筆記の技術、聴覚障害者等に関する知識の向上に努めることが大切である。
≪第2項関係≫
「事業を通じて知り得た個人及び団体の秘密を守ること」は、意思疎通支援者を辞した後も守らなければならないものとする。
【参考】
市(区市町村)長は、手話通訳者の研修において、手話通訳士倫理綱領(平成9年5月4日付け一般社団法人日本手話通訳士協会制定)を参考に配布し、適正に手話通訳業務を実施するよう努めることを指導することが大切である。
手話通訳士倫理綱領
(平成9年5月4日付一般社団法人日本手話通訳士協会制定)
日本手話通訳士協会
私たち手話通訳士は、聴覚障害者の社会参加を拒む障壁が解消され、聴覚障害者の社会への完全参加と平等が実現されることを願っている。このことは私たちを含めたすべての人々の自己実現につながるものである。
私たち手話通訳士は、以上の認識にたって、社会的に正当に評価されるベき専門職として、互いに共同し、広く社会の人々と協同する立場から、ここに倫理綱領を定める。
1 手話通訳士は、すべての人々の基本的人権を尊重し、これを擁護する。
2 手話通訳士は、専門的な技術と知識を駆使して、聴覚障害者が社会のあらゆる場面で主体的に参加できるように努める。
3 手話通訳士は、良好な状態で業務が行えることを求め、所属する機関や団体の責任者に本綱領の遵守と理解を促し、業務の改善・向上に努める。
4 手話通訳士は、職務上知りえた聴覚障害者及び関係者についての情報を、その意に反して第三者に提供しない。
5 手話通訳士は、その技術と知識の向上に努める。
6 手話通訳士は、自らの技術や知識が人権の侵害や反社会的な目的に利用される結果とならないよう、常に検証する。
7 手話通訳士は、手話通訳制度の充実・発展及び手話通訳士養成について、その研究・実践に積極的に参加する。
(派遣の対象者等) 第9条 意思疎通支援者の派遣の対象となる者は、○○市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等とする。 2 前項の規定にかかわらず、市(区市町村)長は、他の市(区市町村)長等から意思疎通支援者の派遣の依頼があるときは、当該市(区市町村)の聴覚障害者等を対象者として意思疎通支援者を派遣することができるものとする。 3 前2項の規定にかかわらず、市(区市町村)長は、○○市(区市町村)内において、緊急に意思疎通支援者の派遣を必要とする○○市(区市町村)外に居住する聴覚障害者等がいるときは、当該聴覚障害者等を対象者として意思疎通支援者を派遣することができるものとする。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣の対象となる聴覚障害者等について規定するものである。
【説明】
≪第1項関係≫
1 第1条において、聴覚障害者等とは、聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等その他の日常生活を営むのに支障がある障害者等と規定している。
2 対象者は、市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等とする。
≪第2項関係≫
1 ○○市(区市町村)外に居住する聴覚障害者等が、○○市(区市町村)内において、意思疎通支援者の派遣を必要とする場合であって、当該聴覚障害者等の居住する市(区市町村)の市(区市町村)長から、意思疎通支援者の派遣の依頼があるときは、意思疎通支援者を派遣することができるものとする。
2 「他の市(区市町村)長」とは、他の市(区市町村)や都道府県の視聴覚障害者情報提供施設である○○県(都道府県)手話通訳者等派遣センター等、意思疎通支援者の派遣を行っているものである。
3 この場合の派遣費用は依頼元の区市町村等が負担することになる。
≪第3項関係≫
1 市(区市町村)外に居住する聴覚障害者等が市(区市町村)内において、緊急に意思疎通支援者の派遣を必要とする場合は、意思疎通支援者を派遣することができるものとする。
2 緊急に意思疎通支援者を派遣した場合においては、原則、居住地の区市町村が負担するものとし、後日、居住地の区市町村に派遣申請書を提出するなど派遣費用を居住地の区市町村に求めることができる。
【参考】
対象者と申請者
対象者(第9条) |
申請者(第9条・第12条) |
○○市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等 |
・聴覚障害者及びその者の家族等 ・聴覚障害者で構成する団体 ・聴覚障害者に対して意思疎通の手段として手話通訳又は要約筆記を必要とする個人若しくは団体 ・不特定多数の者が参加する催しを開催するときに、対象者が参加することを見込む公共機関及び団体等 ・その他、市(区市町村)長が必要と認めるもの |
○○市(区市町村)内において、意思疎通支援者の派遣を必要とする○○市(区市町村)外に居住する聴覚障害者等 |
・当該聴覚障害者が居住する市(区市町村)の市(区市町村)長等 |
○○市(区市町村)内において、緊急に意思疎通支援者の派遣を必要とする○○市(区市町村)外に居住する聴覚障害者等 |
・当該聴覚障害者及びその者の家族等 ・聴覚障害者に対して意思疎通の手段として手話通訳又は要約筆記を必要とする個人若しくは団体 ・その他、市(区市町村)長が必要と認めるもの |
(派遣の内容等) 第10条 意思疎通支援者の派遣の対象となる内容は、聴覚障害者等の日常生活及び社会生活を営むために必要なものとする。ただし、次の各号に掲げる事項は除くものとする。 (1) 市(区市町村)長が、社会通念上派遣することが好ましくないと認める内容 (2) 市(区市町村)長が、公共の福祉に反すると認める内容 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣の対象となる内容等について規定するものである。
【説明】
1 意思疎通支援者の派遣の対象となる内容は、「聴覚障害者等の日常生活及び社会生活を営むために必要なもの」であり、聴覚障害者のコミュニケーションを保障する観点から、派遣の内容については広く扱う必要があるため、合理的な理由もなく派遣範囲を狭めることは好ましくない。
2 市(区市町村)長が、社会通念上派遣することが好ましくないと認めるもの、公共の福祉に反すると認めるものは除く。
(派遣の区域及び時間) 第11条 意思疎通支援者の派遣の対象となる区域は、○○県(都道府県)内とする。 2 前項の規定にかかわらず、市(区市町村)長は、意思疎通支援者を派遣することが必要であると認めるときは、意思疎通支援者を○○県(都道府県)外に派遣することができるものとする。ただし、市(区市町村)長は、当該派遣先が遠隔地等の理由により意思疎通支援者を派遣することができないときは、他市の登録手話通訳者又は要約筆記者を派遣することができるものとする。 3 意思疎通支援者の派遣の対象となる時間は、原則、午前○○時から午後○○時までとする。ただし、緊急又はやむを得ない事由のある場合はこの限りではない。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣の対象となる区域及び時間について規定するものである。
【説明】
≪第1項関係≫
1 意思疎通支援者の派遣の対象となる区域は、「○○県(都道府県)内」とする。
他の市町村への派遣の方法には、当該市町村の登録者の派遣のほか、都道府県又は複数市町村域の法人への委託による派遣、都道府県又は他市町村への派遣の依頼による派遣がある。
≪第2項関係≫
1 市(区市町村)長が特に意思疎通支援者を派遣することが必要であると認めるときは意思疎通支援者を○○県(都道府県)外に派遣することができるものとする。
2 意思疎通支援者を○○県(都道府県)外に派遣する必要がある場合であって、派遣先が遠隔地にあるなどの理由で、○○市(区市町村)の意思疎通支援者を派遣できないときは、○○県(都道府県)に広域派遣(調整)依頼又は派遣先(用務地)の市町村に派遣を依頼し、手話通訳者又は要約筆記者を派遣することができるものとする。
≪第3項関係≫
1 意思疎通支援者の派遣の対象となる時間は、午前8時から午後10時までを標準として市町村において定めるものとする。
2 対象となる時間は、申請者との待合わせ時間から終了時間までを基準時間とする。
3 緊急やむを得ない事由のある場合は、その必要性を判断して、市町村で定める派遣の対象となる時間以外でも、意思疎通支援者を派遣するものとする。このため、夜間でも派遣ができるよう意思疎通支援者の確保及び連絡体制の整備に努める必要があること。
4 市町村は、市町村で定める派遣の対象となる時間を過ぎても、必要に応じて意思疎通支援業務を延長して行うものとする。
【参考】
意思疎通支援者の派遣の対象となる区域及び時間については、○○市(区市町村)の実情に応じて、弾力的に対応することが望まれる。この要綱では、聴覚障害者等の自立と社会参加の促進に資すること(第1条)、聴覚障害者等の日常生活及び社会生活を営むために必要な内容に意思疎通支援者を派遣すること(第10条)や公共性を勘案していることから、必要最低限の内容と理解していただきたい。
(派遣の申請) 第12条 意思疎通支援者の派遣を申請することのできるもの(以下「申請者」という。)は、次の各号に掲げるものとする。 (1) 第9条に規定する聴覚障害者等(以下この項において同じ。)及びその者の家族等 (2) 聴覚障害者等で構成する団体 (3) 聴覚障害者等に対して意思疎通の手段として手話通訳又は要約筆記を必要とする個人若しくは団体 (4) 不特定多数の者が参加する催しを開催するときに、聴覚障害者等が参加することを見込む公共機関及び団体等 (5) 前各号に掲げるもののほか、市(区市町村)長が必要と認めるもの 2 申請者は、意思疎通支援者の派遣を希望する日の○日(土曜日、日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日及び年末年始を除く。)前までに、○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣申請書(様式例第7号。以下「派遣申請書」という。)により、市(区市町村)長に申請するものとする。ただし、緊急又はやむを得ない事由のある場合は、この限りでない。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣の申請者及び申請について規定するものである。
【説明】
≪第1項関係≫
意思疎通支援者の派遣の申請者は次のものとする。
① 市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等とその者の家族やヘルパー、支援者等
② 市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等で構成される団体
③ 市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等に対して意思疎通の手段として手話通訳や要約筆記を必要とするもの(聴覚障害者等との意思疎通を必要とする機関、個人、団体等)
④ 講演会等、不特定多数の者が参加する催しを開催するときに、市(区市町村)内に居住する聴覚障害者等が参加することを見込む公共機関及び団体等
⑤ その他、市(区市町村)長が必要と認めるもの
≪第2項関係≫
1 申請者は、意思疎通支援者の派遣を希望する日の○日(土曜日、日曜日、休日及び年末年始を除く。)前までに、○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣申請書により、市(区市町村)長に申請するものとする。
2 申請期限(○日前)については、○○市(区市町村)の実情によるものとする。
3 緊急又はやむを得ない事由のある場合は、○日前に限らず、申請できるものとする。
このため、休日・夜間等の緊急時の対応にも対応ができるように連絡体制の整備に努めること。
4 緊急又はやむを得ない事由のある場合は、○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣申請書に依らず口頭、FAX、メール等で申請し、後日申請書を提出することも可能とする。
【参考】
1 土曜日、日曜日、休日及び年末年始等市(区市町村)長の休業日又は、夜間等の休業時間に、緊急に意思疎通支援者の派遣が必要となる場合がある。そのような場合の対応方法として、緊急時の意思疎通支援者派遣の受付及び意思疎通支援者への依頼・調整を障害者虐待防止センター・障害者相談支援センター・消防署等に依頼している区市町村もある。
2 受付時間等について、次のように第3項以下として規定することも考えられる。
3 前項の申請の受付時間は事故や急病等緊急又はやむを得ない事由のある場合を除き、午前8時30分から午後5時までとする。
4 前2項の規定にかかわらず、土曜日、日曜日、休日及び年末年始又は受付時間外において、事故や急病等緊急又はやむを得ない事由のある場合に限り、○○市(区市町村)(障害者虐待防止センター・障害者相談支援センター・消防署等)が手話通訳者の派遣についての申請を受付けるものとする。
5 ○○市(区市町村)(障害者虐待防止センター・障害者相談支援センター・消防署等)は、前項の申請を受付したときは、(障害者虐待防止センター・障害者相談支援センター・消防署等)から意思疎通支援者に連絡することとする。
(派遣の決定) 第13条 市(区市町村)長は、前条第2項の派遣申請書を受理したときは、内容を審査の上、意思疎通支援者の派遣の可否を決定し、○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣決定(却下)通知書(様式例第8号)により、当該申請者に通知するものとする。 2 市(区市町村)長は、派遣が可能な意思疎通支援者を選考の上、○○市(区市町村)手話通訳・要約筆記依頼書(様式例第9号)により、意思疎通支援者に依頼するものとする。ただし、緊急又はやむを得ない事由のある場合は、この限りでない。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣の決定及び手話通訳業務又は要約筆記業務の依頼について規定するものである。
【説明】
≪第1項関係≫
1 市(区市町村)長は、申請書を受理したとき、その内容について、第9条(派遣の対象者)、第10条(派遣の内容等)、第11条(派遣の区域及び時間)の規定等に関して審査の上、意思疎通支援者の派遣の可否を決定するものとする。
2 市(区市町村)長は、意思疎通支援者の派遣の可否について、○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣決定(却下)通知書により、申請者に通知するものとする。
≪第2項関係≫
1 市(区市町村)長は、派遣が可能な意思疎通支援者を選考の上、○○市(区市町村)手話通訳・要約筆記依頼書により、当該意思疎通支援者に依頼するものとする。
なお、選考に当たっては、派遣内容に適した者を優先的に選考するよう努めること。
特に、民事事件、刑事事件その他の裁判等に関する内容や医療機関等での複雑な症状の診察、手術的な処置等に関する内容など、専門的知識を有することが必要な場合には、専門的知識を有する意思疎通支援者を派遣することが必要である。
2 緊急又はやむを得ない事由のある場合は、○○市(区市町村)手話通訳・要約筆記依頼書に依らず口頭、電話、FAXやメール等で依頼し、後日依頼書を送付することなどの対応も必要である。
(申請者の費用負担) 第14条 意思疎通支援者の派遣に要する申請者の費用負担は、原則無料とする。ただし、意思疎通支援業務を行う際に必要となる意思疎通支援者に係る入場料、参加費その他これらに類する費用は申請者が負担しなければならない。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣に要する申請者の費用負担について規定するものである。
【説明】
1 意思疎通支援者の派遣に要する申請者の費用負担は、原則無料とする。
これは、意思疎通支援は双方向性(意思疎通支援者は、聴覚障害者等とその他の者との意思疎通を支援するものであるから、聴こえる人たちも手話通訳や要約筆記の利用者であること。)があり、障害者と障害のない人双方にとって有益となる。したがって、その費用を障害者のみに負担させることは妥当ではないため、障害者に負担を求めないとの考え方に基づくものである。
2 意思疎通支援業務を行う際に必要となる意思疎通支援者に係る入場料、参加費その他これらに類する費用は申請者が負担するものとする。
(派遣の停止等) 第15条 市(区市町村)長は、この要綱に反し、申請者が虚偽の申請により意思疎通支援者の派遣の決定を受けたときは、意思疎通支援者の派遣を停止し、又は意思疎通支援者の派遣に係る費用の全部若しくは一部の負担を命ずることができる。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣の停止及び派遣に係る費用の負担について規定するものである。
【説明】
1 申請者が虚偽の申請により意思疎通支援者の派遣の決定を受けたときは、市(区市町村)長は意思疎通支援者の派遣を停止することができる。
2 市(区市町村)長は意思疎通支援者の派遣を停止したとき、申請者に意思疎通支援者の派遣に係る費用の全部若しくは一部の負担を命ずることができる。
(報告) 第16条 意思疎通支援者は、意思疎通支援業務の終了後、速やかに○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣業務報告書(様式例第10号。以下「業務報告書」という。)を作成し、市(区市町村)長が指定する日までに市(区市町村)長に提出しなければならない。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣終了後の業務報告について規定するものである。
【説明】
意思疎通支援者は、意思疎通支援業務の終了後、速やかに○○市(区市町村)意思疎通支援者派遣業務報告書を作成し、市(区市町村)長が指定する日までに市(区市町村)長に提出しなければならない。
(派遣の報酬等) 第17条 市(区市町村)長は、業務報告書により適正に意思疎通支援業務が行われたことを確認したときは、別表に定める基準により報酬等を意思疎通支援者に支払うものとする。 2 前項の規定にかかわらず、市(区市町村)長は、第11条第2項ただし書の規定により、意思疎通支援者を派遣したときは、その費用を負担するものとする。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の派遣に係る報酬等について規定するものである。
【説明】
≪第1項関係≫
市(区市町村)長は、意思疎通支援者からの業務報告書により適正に意思疎通支援業務が行われたことを確認したときは、別表に定める報酬等を意思疎通支援者に支払うものとする。
≪第2項関係≫
市(区市町村)長は、第11条第2項ただし書の規定により、○○県(都道府県)外に意思疎通支援者を派遣する場合において、○○市(区市町村)の意思疎通支援者を派遣できないときであって、派遣先の市(区市町村)又は都道府県に協力を依頼し、手話通訳者又は要約筆記者を派遣したときは、派遣先の市又は都道府県が規定する報酬等の費用を負担するものとする。その場合において、派遣先の規定する報酬が市(区市町村)より高額であって、市(区市町村)で負担できない場合には、県と協議し差額の負担については、市(区市町村)の存する県(都道府県)に負担を要請することができるものとする。
(意思疎通支援者の技術及び知識の向上) 第18条 市(区市町村)長は、意思疎通支援者の技術及び知識の向上に資する研修の開催及び都道府県等の開催する研修への参加等に配慮しなければならない。 |
【趣旨】
本条は、研修の開催について規定するものである。
【説明】
市(区市町村)長は、意思疎通支援者の技術及び知識の向上に資する研修の開催や都道府県等の開催する研修会への意思疎通支援者が参加できるように配慮しなければならない。また、研修会参加にかかる諸費用が意思疎通支援者の負担とならないような対応が望ましい。
(頸肩腕障害に関する健康診断) 第19条 市(区市町村)長は、意思疎通支援業務の特殊性により発症が危惧される頸肩腕障害、メンタルストレスに起因する疾患等の健康障害を予防し、意思疎通支援者の健康保持を図り、もってこの事業全体の健全な運営を確保するため、必要に応じ、意思疎通支援者の頸肩腕障害に関する健康診断を実施する。 |
【趣旨】
本条は、意思疎通支援者の頸肩腕障害に関する健康診断の実施について規定するものである。
【説明】
市(区市町村)長は、手話通訳業務又は要約筆記業務の特殊性により発症が危惧される頸肩腕障害およびメンタルストレスに起因する疾患等の健康障害を予防し、意思疎通支援者の健康保持を図り、もって事業全体の健全な運営を確保するため、必要に応じ、意思疎通支援者に対して頸肩腕障害に関する健康診断を実施するものとする。
【参考】
1 頸肩腕障害(けいけんわんしょうがい)
手や腕、肩を酷使する手話通訳や要約筆記を長く続けていると、次第に手、腕、肩の部分に痛みが生じる。症状が進むと個々に症状は違いがあるが、腕が使えなくなり、めまい、立ちくらみ、眼精疲労、精神神経症的な症状等々が発症し、手話通訳や要約筆記が出来なくなってしまう。
頸肩腕障害は長時間にわたる同一姿勢での作業で症状が誘発、悪化するため、職業病的要素をはらんでいる。
予防策としては手話通訳や要約筆記を長時間続けない、適度に休みを取る、上肢への負担の軽減、作業環境の改善、精神的な緊張の緩和などがある。また、健康教育およびストレッチ体操の実施も予防策として重要である。
2 メンタルストレスに起因する疾患等
手話通訳や要約筆記は、高度な注意集中や精神的緊張、対人関係の調整などが求められるため、精神的健康面での不調をきたしやすいことに留意すべきである。
○平成7年9月14日労働省職場における頚肩腕症候群予防対策(抄)
3 健康管理
頚肩腕症候群は,他覚的な所見よりも,自覚症状が先行することが多いことから,日常の健康状態の把握及び健康診断における問診が特に重要である。
(1) 健康診断等
イ 一般健康診断
頚肩腕症候群予防の観点から,雇入時及び定期の健康診断の際に頚肩腕健康診断問診票を活用する等により,上肢等の各部位に係る既往歴の調査,上肢等の各部位における筋のこり,痛みしびれ等の自他覚症状の有無の検査を含めて実施することが望ましい。
ロ 頚肩腕健康診断
イの結果,医師が必要と認める者については,頚肩腕に関する健康診断を実施することが望ましい。
検査項目の選択に当たっては,関連通達に示されている健康診断項目を参考にする。
(2) 健康相談
頚肩腕症候群は,他覚症状よりも自覚症状が先行することから,労働者が健康状態の不調を訴えたときに,随時相談できるような体制を整備することが重要である。
健康相談により,
・上肢等の負担が蓄積している労働者の発見
・自覚症状段階での適切な措置
・頸肩腕症候群についての不安の解消
・日常生活上の健康指導
などが期待できる。
(3) 事後措置
健康診断あるいは健康相談の結果,健康保持のために必要があると認めるときは,作業方法の改善,作業時間の短縮,作業環境の整備筆必要な措置を講ずる。
(4) 職場体操
作業開始前,作業休止時間及び作業終了後に職場体操を実施する。
4 労働衛生教育等
作業者に対する頚肩腕症候群予防のための労働衛生教育の実施、日常生活を含めた健康保持増進の推進を図る。
○平成10年7月24日厚生省「「障害者の明るいくらし」促進事業の実施について」では、以下のとおり手話通訳者派遣事業の留意事項が記載されていた。
〔ア〕 実施主体は、聴覚障害者、手話通訳者等関係者で構成する運営委員会等を設置するなどして、本事業の効果的推進を図ること。
〔イ〕 実施主体は、手話通訳者の派遣事業が円滑に行われるよう、派遣する適任者の選定等通訳派遣に係る調整者の設置等について配意すること。
〔ウ〕 実施主体は、手話通訳者の資質向上に留意するとともに、健康管理に留意すること。
〔エ〕 1人の手話通訳者が連続して通訳する時間は、原則として1時間以内とすること。なお、講演会等の場合は30分以内とすること。
〔オ〕 手話通訳者は、自らその技術と知識の向上に努めるとともに、市町村等公的機関からの依頼による聴覚障害者等に関する広報活動、文化活動に協力すること。
〔カ〕 手話通訳者は、聴覚障害者の人格を尊重し、その身上等に関する秘密を守り、信条等によって差別的取り扱いをしてはならないこと。
3 意思疎通支援の派遣人数については、意思疎通支援業務の内容や時間によって、複数の意思疎通支援者を派遣することが必要である。(派遣人数は、内容・規模等により変更すること。)
【例示】
手話通訳者
所要時間 |
4時間以内(半日) |
4時間を超過(1日) |
派遣人数 |
2人(内容により3人) |
3人(延べ6人) |
要約筆記者
派遣内容 |
派遣人数 |
備考 |
診察、面接、個人面談等 |
1人 |
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懇談会、会議 |
2人 |
内容により3人 |
講演会、研修会、会議 |
3人 |
4時間を超えると新たに3人を追加する。 |
(注)この表は、標準的な人数を示すものであり、状況や内容により派遣人数の増員を検討すること。
(運営委員会) 第20条 市(区市町村)長は、○○市(区市町村)意思疎通支援事業運営委員会(以下「運営委員会」という。)を設置し、事業の効率的な運営を図るものとする。 2 運営委員会は、次の各号に掲げる者によって構成するものとする。 (1) 聴覚障害者団体から選出された者又は聴覚障害者等 (2) 意思疎通支援者 (3) 前2号に掲げるもののほか、市(区市町村)長が必要と認める者 |
【趣旨】
本条は、事業の効率的な運営を図るための意思疎通支援事業運営委員会について規定するものである。
【説明】
≪第1項関係≫
市(区市町村)長は、○○市(区市町村)意思疎通支援事業運営委員会を設置し、事業の効率的な運営を図るものとする。
≪第2項関係≫
運営委員会は、○○市(区市町村)の実情に応じて、第1号から第3号までを参考として委員構成するものとする。
なお、聴覚障害者等の選出に当たっては、障害者団体からの推薦を受けるなど多くの聴覚障害者等の意見が反映できるよう配慮すること。
(その他) 第21条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、市(区市町村)長が別に定める。 |
【趣旨】
本条は、この要綱に定めるもののほか、必要な事項を、市(区市町村)長が別に定める旨を規定するものである。
【説明】
この要綱に定めるもののほか、必要な事項を、市(区市町村)長が別に定めるものであるが、この要綱に反するものであってはならず、十分な調整を行うことが必要である。
附 則 この要綱は、平成○○年○○月○○日から適用する。 |
【趣旨】
附則は、この要綱の施行日について規定するものである。
別表(第17条関係) |
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項目 |
基準 |
金額 |
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報酬 |
申請者との待合わせ時間から終了時間までを基準時間とする。別途打合せを行った場合はその時間を加算する。また、報告書作成に要した時間を加算する |
1時間まで |
○○円 |
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1時間を超えた場合、30分毎 |
○○円 |
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手当 |
手話通訳業務又は要約筆記業務の時間が午後○時から翌日の午前○時までの間の場合、次のとおり割増手当を支給する。 |
手話通訳業務又は要約筆記業務の時間が午後10時から翌日の午前5時までの間に勤務した場合 |
報酬総額に100分の○○を乗じた額 |
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上記以外の時間帯 【参考】労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金) |
報酬総額に100分の○○を乗じた額 |
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遠距離手当(自宅から手話通訳業務又は要約筆記業務の実施場所までの移動時間が○時間を超える場合) |
○時間につき○○円 |
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交通費 |
自宅から手話通訳業務又は要約筆記業務の実施場所までの往復に要した経費 |
実費(公共交通機関を利用した場合に限る。) 自家用車を使用した場合は、1kmにつき○○円とする。 |
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夜間及び緊急時でタクシーの利用を認められた場合 |
タクシー料金 |
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【趣旨】
別表は、第17条の規定により、意思疎通支援者に支払う報酬等について規定するものである。
【説明】
≪報酬関係≫
1 意思疎通支援者に支払う報酬の対象となる基準時間は、「申請者との待合わせ時間から終了時間まで」とするが、別途打ち合わせを行った場合、また報告書作成を行った時間を含めるものとする。また、自宅等からの待ち合わせ場所までの移動時間については、標準的な時間を勘案して基準時間に加算するなどの配慮を行うこと。
2 基準時間1時間までの報酬額は、○,○○○円とする。
3 基準時間1時間を超えた場合の30分毎の報酬額は、○,○○○円とする。
≪手当関係≫
1 意思疎通支援者に支払う手当として、時間外手当と遠距離手当について規定するものである。
2 第11条第3項では、「意思疎通支援者の派遣の対象となる時間は、午前○○時から午後○○時までとする。ただし、緊急又はやむを得ない事由のある場合はこの限りではない。」と規定している。緊急又はやむを得ない事由のある場合はこの時間外に意思疎通支援者を派遣しなければならない。その場合に深夜・早朝の割増手当等を加算するものである。
3 この要綱で「午後10時から翌日午前5時までの間」(深夜)の場合は、当該時間帯の報酬総額に100分の○○を乗じた額を時間外手当として支給するものである。
(参考)深夜労働 2割5分以上
4 報酬の対象となる基準時間は、「申請者との待合わせ時間から終了時間まで」としている。意思疎通支援業務の実施場所が自宅から遠距離にある場合の移動時間については、報酬の対象とはなっていない。そのため、自宅から手話通訳業務又は要約筆記業務の実施場所までの移動時間が○時間を超える場合は、○時間に一定の額を遠距離手当として支給するものである。
≪交通費関係≫
1 意思疎通支援者に支払う交通費について規定するものである。
2 意思疎通支援者の自宅から意思疎通支援業務の実施場所までの往復に要した経費について、実費を支払うものとし、自家用車を使用した場合は、1kmにつき○○円を支払うものとする。
3 夜間及び緊急時でタクシーを利用しなければならない場合で、市(区市町村)長が認めときは、意思疎通支援者の自宅から意思疎通支援業務の実施場所までの往復に要したタクシー料金を支払うものとする。