添付一覧
○成年後見制度の創設に伴う援護関係法令に係る通知の改正等について〔未帰還者に関する特別措置法〕
(平成十二年五月十七日)
(社援第一、二〇五号)
(各都道府県知事あて厚生省社会・援護局長通知)
今般、民法の一部を改正する法律(平成十一年法律第百四十九号)、任意後見契約に関する法律(平成十一年法律第百五十号)、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十一年法律第百五十一号)及び後見登記等に関する法律(平成十一年法律第百五十二号)が平成十二年四月一日に施行された。
これに伴い、民法の一部を改正する法律の施行に伴う厚生省関係省令の整備に関する省令(平成十二年厚生省令第三十九号。以下「改正省令」という。)が平成十二年四月一日に施行され、その内容については関係部局長から別途通知された。
今回の民法の改正等によって、代理権を与えられる者の範囲が広がり、今後は、新たに代理権を与えられた者が援護関係法令に基づく年金、納付金等の請求を行うことが考えられるので、改正省令による請求書の様式等の改正に加え、通知で定められている請求書の様式等についても左記のとおり改正することとした。また、代理人による請求の場合の代理権の確認方法等についても左記のとおり定めることとした。さらに、従来民法上の無能力者が年金等を請求するに際して基本的に代理人によることとされていたが、自己決定の尊重の理念に則り、無能力者本人も請求することができることとした。
以上御了知の上、その取扱いに遺憾のないよう取り計らわれたい。
記
第一 改正の内容
以下の請求書の様式等を別添のとおり改正するとともに、その他通知の一部を以下のとおり改正する。
1 戦傷病者戦没者遺族等援護法関係
(1) 様式等の改正
ア 戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則(改正省令第四条関係) 略
イ 「請求書に添付すべき書類の記載等について」(昭和二十七年六月十四日発護第二号引揚援護庁援護局援護課長通知) 略
ウ 「戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(施行通知)」(昭和六十二年四月一日援発第一八八号厚生省援護局長通知) 略
(2) その他
ア 「戦傷病者戦没者遺族等援護法施行について(依命通達)」(昭和二十七年五月十五日厚生省発援第三〇三号厚生事務次官通達) 略
イ 「遺族年金の支給条件のうち「その者を扶養することができる直系血族がない」場合について」(昭和二十七年九月十九日援護第四八四号引揚援護庁援護局長通知) 略
ウ 「戦傷病者戦没者遺族等援護法に関する質疑回答について(第一一回)」(昭和二十七年十二月十三日援護第六二五号引揚援護庁援護局長通達) 略
エ 「戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金等を受ける権利の消滅時効について」(昭和三十三年八月十三日援発第八五〇号厚生省引揚援護局長通達) 略
オ 「戦没者遺族相談員の設置について」(昭和四十五年七月十三日援発第七八八号厚生省援護局長通知) 略
カ 「戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(施行通知)」(昭和六十二年四月一日援発第一八八号厚生省援護局長通知) 略
2 未帰還者留守家族等援護法関係
「未帰還者留守家族等援護法施行事務の取扱について」(昭和二十八年十月六日援引第八二八号引揚援護庁援護局長通知) 略
3 引揚者給付金等支給法関係
(1) 様式等の改正
ア 引揚者給付金等支給法施行規則(改正省令第六条関係) 略
イ 「戦傷病者戦没者遺族等援護法施行規則等の一部を改正する省令の施行について(施行通知)」(昭和六十二年四月一日援発第一八八号厚生省援護局長通知) 略
(2) その他
「引揚者給付金等支給法の施行について(施行通達)」(昭和三十二年五月二十九日援発第四三五号厚生省引揚援護局長通知) 略
4 未帰還者に関する特別措置法関係
「未帰還者に関する特別措置法の施行について(施行通達)」(昭和三十四年三月二十六日援発第二六八号厚生省引揚援護局長通知) 略
5 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法関係
戦没者等の妻に対する特別給付金支給法施行規則に定める以下の様式の改正(改正省令第九条関係) 略
6 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法関係
(1) 戦没者等の遺族に対する特別弔慰金支給法施行規則に定める以下の様式の改正(改正省令第十条関係) 略
(2) 「印鑑等届出書の記載要領について」(昭和六十年十月二十三日援護第一六九号厚生省援護局援護課長通知) 略
7 戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法関係
戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法施行規則に定める以下の様式の改正(改正省令第十一条関係) 略
8 戦没者の父母等に対する特別給付金支給法関係
戦没者の父母等に対する特別給付金支給法施行規則に定める以下の様式の改正(改正省令第十二条関係) 略
9 留意事項
現にある改正前の様式による用紙については、当分の間、これを取り繕って使用することができるものとする。
第二 代理人による請求の場合の代理権の確認方法について
1 今回の民法の改正等によって、成年後見人(従来の後見人に相当)に加え、特定の法律行為に関しては保佐人、補助人又は任意後見契約における任意後見人(以下「任意後見人」と言う。)に、代理権が与えられる。そこで今後は保佐人、補助人又は任意後見人が援護関係法令に基づく年金、給付金等の請求を行うことが考えられる。
2 従来は禁治産者等であることは戸籍に記載されていたが、後見登記等に関する法律により、成年後見人、保佐人、補助人及び任意後見人であること及びこれらの者の代理権の範囲は登記されることとなったので、今後はこれらの者の代理権の有無及び範囲の確認は、下表のとおり、請求者が提出する登記事項証明書によって行うものとする。ただし、成年後見人のうち民法の改正法施行前における禁治産者の後見人であった者については、登記がなされない者もいるので、その場合は戸籍により後見人であることを確認することとする。
なお、親権者及び未成年後見人であることは従来どおり戸籍に記載されるため、代理権の確認は戸籍により行うものとする。
代理人 |
授与される代理権の範囲 |
登記事項証明書による確認事項 |
成年後見人 |
財産に関する法律行為全般 |
成年後見人であること |
保佐人 |
特定の法律行為 (被保佐人等の申立による家庭裁判所の審判により定められる。) |
① 保佐人であること ② 援護関係法令に基づく年金等の請求に関して代理権があること |
補助人 |
特定の法律行為 (被補助人等の申立による家庭裁判所の審判により定められる。) |
① 補助人であること ② 援護関係法令に基づく年金等の請求に関して代理権があること |
任意後見人 |
財産の管理に関する事務 (任意後見契約における本人が、任意後見人に委任する。) |
① 任意後見人であること ② 援護関係法令に基づく年金等の請求に関して代理権があること |
3 登記事項証明書で、援護関係法令の請求行為に関して代理権があることが認められる例としては、「年金その他の給付の受領及びこれに関する諸手続に関する代理権」と記載されている場合などであるが、事案ごとに個別に判断する必要がある。
なお、疑義がある場合は当職に照会されたい。
別添 略
参考 成年後見制度の創設について
1 趣旨
○現行制度 禁治産・準禁治産制度+後見・保佐制度
○改正の趣旨 高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、柔軟かつ弾力的な利用しやすい制度にする。
2 概要
(1) 禁治産・準禁治産制度の改正 【民法の一部を改正する法律】
○補助・保佐・後見の制度の導入
①「補助」(新設)
・対象者=軽度の痴呆・知的障害・精神障害により判断能力が不充分な者
・補助人に特定の法律行為に関する代理権又は同意権・取消権を付与
②「保佐」(準禁治産の改正)
・対象者=判断能力が著しく不十分な者
・保佐人に特定の法律行為に関する代理権及び一定の範囲の同意権・取消権を付与
③「後見」(禁治産の改正)
・対象者=判断能力を欠く常況に在る者
・成年後見人に広範な代理権及び取消権(日常生活に関する行為を除く)を付与
(2) 任意後見制度の創設 【任意後見契約に関する法律】
○任意後見契約 本人が判断能力の低下後の事務に関する代理権を低下前に授権
○公正証書による任意後見人の指定
→本人の判断能力の低下
→家庭裁判所による任意後見監督人の選任
→任意後見監督人による任意後見人の監督
(3) 戸籍記載に代わる成年後見登記制度の創設 【後見登記等に関する法律】
戸籍への記載に代えて、法定後見及び任意後見契約に関する新しい登録制度として、成年後見登記制度を創設し、登記所に備える登記ファイルに法定後見及び任意後見契約についての所要の登記事項を記録するとともに、代理権等の公示の要請とプライバシー保護の要請との調和の観点から本人、成年後見人等一定の者に請求権者を限定した上で登記事項証明書を交付するものとする。
(参考)