○平成23年度における賃金・退職金制度改善指導業務の推進に当たって留意すべき事項について
(平成23年4月1日)
(基発0401第24号)
(都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)
(公印省略)
賃金・退職金制度改善指導業務の推進については、平成20年4月1日付け基発第0401031号「賃金・退職金制度改善指導業務の推進について」により通達されているところであるが、平成23年度においては、下記の事項に留意して、都道府県労働局(以下「労働局」という。)の管内状況に基づき、効果的な改善指導業務の推進に努められたい。
記
1 相談体制の充実等について
近年、賃金・退職金制度の見直しが進展し、関係労使からも適切な制度を構築していくことが求められている状況を踏まえ、賃金相談員(以下「相談員」という。)のさらなる有効活用に努め、相談体制の充実を図ること。
なお、適格退職年金制度については、平成23年度末をもって廃止されることになっており、中小企業の場合には、中小企業退職金共済制度が主要な移行先であることから、当該制度の普及促進にも配慮すること。
2 賃金・退職金セミナーについて
賃金・退職金セミナーについては、行政刷新会議による特別会計仕分けにおける評価結果を踏まえ、実施しないこととする。
3 賃金制度等の事例の収集及び提供について
賃金・退職金制度の改定好事例は、当該労働局のみならず他の労働局においても参考になるものであり、本省で事例を整理の上、事例集を作成し、労働局に提供しているところである。本年度においても、別添「平成23年度賃金・退職金制度整備・改定事例収集要領」により、賃金・退職金制度の整備・改定事例を収集し、本省あて報告すること。
また、事例集については、賃金制度等に関する労使からの個別相談等に積極的に活用すること。
なお、情報収集等に当たっては、相談員を十分に活用すること。
4 中小企業モデル賃金制度事業について
中小企業モデル賃金制度事業については、平成23年度は、中途採用者におけるモデル賃金制度を開発し、8都道府県において同制度を活用したセミナーを実施することとしており、当該事業の効果的な実施に配意すること。
5 関係機関との連携
業務の実施に当たっては、他の官公庁部局、商工関係団体、労働基準協会、社会保険労務士会等賃金・退職金制度関連業務を行う関連団体と相互連携するよう努めること。
別添「平成23年度賃金・退職金制度整備・改定事例収集要領」
別添
平成23年度賃金・退職金制度整備・改定事例収集要領
1 事例収集の目的等
賃金・退職金制度の改善指導業務の充実を図る上で、事例を収集し、賃金・退職金制度等の整備・改定について模索している労使に提供することは、賃金制度等の改善に係る労使の話合いの促進に資するものである。その提供する事例については、具体的であるほど情報としての価値が高いうえ、常に新しい情報を把握しておくことが重要であるので、以下に留意して事例等の収集、分析、整理及び活用に努めること。
(1) 賃金・退職金制度の事例は、改善を図った事例のみならず、改善しようとしたが障害があってできなかった事例、問題があって再修正したような事例、又は新しい改定事例ではなくとも地元の企業に採用されている賃金・退職金制度を企業ヒアリングなどにより直接収集しておくことは、意義深いものであること。
(2) 収集した事例については、裁判事例、新聞報道等がなされた事例などとともに、必要に応じて事例集又は資料集として署及び局内職員に配布するなど賃金・退職金制度に係る改善指導の基礎的資料として活用に努めること。
(3) 最新情報の収集は、局署の連携により、マスコミ報道、業界紙情報等に限らず、企業からの情報収集及び関係資料の入手など様々な手段を日常的に活用して情報の蓄積を図り、かつ局署間で得られた情報の共有化に努めるなどその活用に努めること。
(4) 事業主団体、労働組合などが会員(組合員)等を対象に賃金・退職金制度の問題について定期的又は随時の研究会(勉強会)をしている実例があれば、その研究内容等の収集に努め、情報蓄積の一助とすること。
(5) 管内の賃金・退職金制度の動向に関する情報は、資料等の形で体系的に整備し、これを必要とする職員に適宜提供するなどその活用を図ること。
2 収集する事例について
(1) 対象について
中小企業を中心に、過去2~3年程度以内に賃金・退職金制度の整備・改定等を行った企業であって、事例収集に協力的な企業とすること。
(2) 事例の内容について
収集に当たっては、賃金・退職金制度を改善しようとしたが、障害があってできなかった事例、問題があって再修正したような事例及び労働局へなされた賃金相談や行政が実施する事業への参加を契機として賃金・退職金制度を整備し、改善するようになった事例があれば、優先して収集すること。
なお、新しい改定事例に限らず、地元の企業に採用されている賃金・退職金制度の好事例があれば収集すること。
3 事例集の作成について
収集した事例については、本省において、その内容を類型化するなどして整理、編集し、事例が集まった段階で事例集として取りまとめる予定であるため、以下の要領で本省労働条件政策課賃金時間室あて報告すること。
(1) 報告事例の収集
別紙1の様式を用いて収集すること。
また、事例等の取りまとめに当たっては、過去の「賃金・退職金制度整備・改定事例集」等を参考とすること。
(2) 報告する事例の件数について
各労働局 1件以上
(3) 報告期限について
事例は、平成23年11月末日までに報告すること。
なお、別紙1の様式について(添付参考資料を除く)は、電子メールにより本省担当者あて送付すること。
(4) 注意事項
ヒアリングに当たっては、賃金・退職金制度に関して、ヒアリング漏れがないよう別紙2のヒアリング要綱を活用すること。
なお、事例集に掲載する際には企業名称、所在地等を伏せることとしているが、収集の時点で掲載について企業の了解を得ておくこと。また、本省報告の際には、別紙1の様式冒頭の企業名、担当者欄を除き、事前にそれらを伏せておくこと。
別紙1
別紙2
賃金・退職金制度整備・改定事例ヒアリング要綱
1 ヒアリングに当たっての基本的注意事項
ヒアリングに当たっては、対象企業に対して、賃金・退職金制度整備・改定事例の収集は賃金・退職金制度の整備・改定について模索している企業の労使の参考に資するため実施するものであり、監督指導等の資料に用いることがないこと等を説明し、収集についての協力を求めること。
2 賃金・退職金制度整備・改定事例調査票を記入するに当たっての留意事項
(1) 調査票の記入に当たっては、そのまま賃金・退職金制度整備・改定事例集に転載できるように分かりやすくするための図や表を取り入れた上で、ポイントを押さえた簡潔・明瞭な文章とすること。
(2) 調査票の各欄に記入できない場合は、別紙を用いて差し支えないこと。
(3) 企業により提出のあった参考資料は、なるべくまとめて末尾に添付すること。
(4) ヒアリング内容は概ね調査票の各項目に沿って記載するものとするが、事例の内容によっては、適宜に項目を削除して差し支えないこと。
特に、新しい改定ではない地元企業に採用されている賃金・退職金制度の事例を収集する場合には、現行制度の課題、今後の整備・改定の方向など、適宜項目を変更して聴取すること。
3 ヒアリングに当たっての留意事項及び記入要領
(1) 企業概要(調査票項目1)
① 「労働者構成」については、例えば、年齢構成が高齢化している等の特徴についてのポイントを記入すること。
② 「事業所数」については、企業組織図等があれば添付すること。
(2) 整備・改定前の賃金・退職金制度(調査票項目2)
賃金構成、算定方法(職能給、勤続給等、各賃金項目が何を基準に算定されているかということ)、賃金形態を簡単に図表等にまとめ概略を明記するとともに、整備・改定前の賃金・退職金制度から生じた問題点や整備・改定に至った動機ないし事情も付記すること。
また、同制度に至るまでの過去の変遷があれば、その経緯についても簡潔にまとめること。
(3) 賃金・退職金制度の整備・改定への取組み(調査票項目3)
整備・改定に当たっての基本的な考え方、整備・改定の推進体制、整備・改定のスケジュール等については、次の点に留意して記入すること。
① 整備・改定に当たっての基本的考え方(主眼点等)を旧制度の問題点等と対比しながら簡潔にまとめる。流れ図等があれば添付する。
② 整備・改定の推進体制については、例えば・プロジェクトチームを編成したとか、経営コンサルタントに委嘱したとか、また労働者代表も交えた委員会を設置した等の事実があれば、その組織図も添付して概要を略記する。
③ 整備・改定のスケジュールについては、表にまとめるなどして簡潔にまとめる。また、スケジュールについて計画と実績が把握できればその点も明証する。
④ その他、新しい賃金・退職金制度について、労働者や労組等へ周知・広報した資料等があれば添付する。
(4) 整備・改定後の賃金・退職金制度(調査票項目4)
整備・改定後の賃金・退職金制度について、賃金表等をもとに賃金構成、算定方法、賃金形態が明らかになるよう図等にまとめ、それらを利用して賃金制度の概略を分かりやすくまとめる。
労働関係法令等に抵触していないものであることに留意すること。
(5) 賃金・退職金制度の整備・改定に対する評価と今後の課題(調査票項目5)
賃金・退職金制度の整備・改定によるメリット、デメリット及び今後の課題等について記入する。
メリット、デメリットの記入に当たっては、労働者はどのように評価しているかという点についても留意する。
なお、今後の課題で、具体的な賃金・退職金制度整備・改定計画等があれば、その点も略記する。
(6) 参考資料(調査票項目6)
参考資料は提出のあった資料を全部添付する必要はなく、本文の説明に必要なものに限定して差し支えない。
4 取りまとめに当たっての留意事項
(1) 整備・改定後の賃金・退職金制度の内容(調査票項目4)を詳述することにとどまらず、賃金・退職金制度の整備・改定に至った動機ないし事情(調査票項目2(2))、賃金・退職金制度の整備・改定のプロセス(調査票項目3)及び賃金・退職金制度の整備・改定に対する評価と今後の課題(調査票項目5)についてできる限り聴取し、取りまとめに努めること。
(2) 新しい改定ではない地元企業に採用されている賃金・退職金制度の事例を収集する場合には、賃金・退職金制度の内容をある程度詳しく記述することとなるが、すべての制度を総括するのではなく、特長として他企業の参考となると思われる事項に絞り込み、出来る限り簡潔にとりまとめること。
