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○厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付を受ける権利に係る消滅時効の援用の取扱いについて〔国民年金法〕
(平成24年9月7日)
(年管発0907第6号)
(日本年金機構理事長あて厚生労働省大臣官房年金管理審議官通知)
従来、支払期月ごとに支払うものとされる厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付(以下「年金」という。)の支給を受ける権利については、会計法(昭和22年法律第35号)第30条及び第31条第1項の規定により、5年間これを行わないときは、時効の援用を要せず、時効により消滅することとされていた。
平成19年7月6日に施行された厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付に係る時効の特例等に関する法律(平成19年法律第111号。以下「法」という。)により、施行日において年金を受ける権利(以下「受給権」という。)を有する者等について、年金記録の訂正がなされた上で裁定(裁定の訂正を含む。以下同じ。)が行われた場合においては、その裁定による当該年金記録の訂正に係る年金を受ける権利に基づき支払期月ごとに支払うものとされる年金の支給を受ける権利について、当該裁定の日までに消滅時効が完成した場合においても、当該権利に基づく年金が支払われることとなった。
また、法の施行日後に受給権を取得する者の支払期月ごとに支払うものとされる年金の支給を受ける権利については、法による改正後の厚生年金保険法(昭和29年法律第115号)第92条第4項及び国民年金法(昭和34年法律第141号)第102条第3項において、会計法第31条の規定を適用しない旨の規定が設けられたことにより、時効による当該権利の消滅の効果は、当該権利の発生から5年の時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、国により時効が援用されたときに初めて確定的に生ずるものとされた。
ついては、平成19年7月7日以降に受給権が発生する支払期月ごとに支払うものとされる年金の支給を受ける権利に係る消滅時効の援用の取扱いを下記のとおりとするので、年金事務所等に周知徹底を図り遺漏のないよう取り扱われたい。
記
1 時効の援用の取扱いの対象となる者
時効の援用の取扱いの対象となる者は、法の施行日後に受給権が発生した者(未支給の保険給付又は年金の請求権者を含む。)を対象とする。
2 時効の援用の取扱い
支払期月ごとに支払うものとされる年金の支給を受ける権利の発生から5年を経過し、その権利について消滅時効が完成した場合は、時効を援用する。ただし、次の(1)又は(2)に該当する場合は、時効の援用はせず、年金を支払うこととする。
(1) 年金記録の訂正を行ったもの
厚生年金保険法第28条又は国民年金法第14条の規定により記録した事項の訂正がなされた上で裁定が行われた場合
(2) 時効援用しない事務処理誤りと認定されたもの
別紙「時効援用しない事務処理誤りに係る認定基準」により時効援用しない事務処理誤りと認定された場合。ただし、(1)に該当する場合を除く。
3 保険給付遅延特別加算金等の取扱い
2の(1)に該当する場合は、厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律(平成21年法律第37号)第2条及び第3条並びに厚生年金保険の保険給付及び国民年金の給付の支払の遅延に係る加算金の支給に関する法律施行令(平成22年政令第133号)第1条及び第3条の規定に基づき、保険給付遅延特別加算金及び給付遅延特別加算金の支給を行う。
4 実施時期
この取扱いは、平成24年11月1日から適用する。
[別紙]
時効援用しない事務処理誤りに係る認定基準
時効の援用の取扱いにおいて、次の1から8までのいずれかの事由に該当する場合は時効援用しない事務処理誤りがあったものと認定する。
1 受付時の書類管理誤り
日本年金機構(以下「機構」という。)において保有している請求書、申請書、届出書又は申出書及びこれらに関する添付書類(以下「請求書等」という。)の担当部署への回付漏れ、又は請求書等へ押印された受付印の年月日の誤り若しくは押印漏れの事実が確認できる場合
2 確認又は決定誤り
法令及び機構の諸規程(以下「法令等」という。)と社会保険オンラインシステムに登録されている内容を照らし合わせ、機構における請求書等の内容の確認誤り、受給要件に係る事実関係の誤認、又は法令等の適用誤りに基づく誤った行政処分が行われた等の事実が確認できる場合であって、当該事実が発生したことについて、受給権者の責に帰すべき事由が認められない場合
3 未処理又は処理の遅延
請求書等の未処理(社会保険オンラインシステムへの入力漏れ及び機構本部等への進達漏れ)又は処理の遅延の事実が確認できる場合
4 入力誤り
適正に審査された請求書等とは異なる内容が、社会保険オンラインシステムに登録されていることが確認できる場合
5 通知書の作成誤り
通知書(年金証書、裁定通知書又は支給額変更通知書等の処分通知書に限る。以下同じ。)の様式誤り又は処分の名宛人の記載誤りが確認できる場合
6 誤送付又は誤送信
社会保険オンラインシステム又は請求書等に記載された住所地若しくは処分の名宛人以外への通知書の誤送付、誤送信若しくは誤交付の事実が確認できる場合
7 説明誤り
機構若しくは市区町村の窓口若しくは電話等における制度の説明誤り及び説明漏れ、又は請求書等の作成若しくは添付に係る指示誤りを行った事実が確認できる場合であって、受給権者の責に帰すべき事由が認められない場合。ただし、市区町村が行った説明については、国民年金法に基づく法定受託事務を執り行う過程で行ったものに限るものとする。
8 受理後の書類管理誤り
受付した請求書等を紛失した事実が確認できる場合