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○原子力施設における放射線業務及び緊急作業に係る安全衛生管理対策の強化について

(平成24年8月10日)

(基発0810第1号)

(別記の都道府県労働局長あて厚生労働省労働基準局長通知)

(公印省略)

原子力施設における労働安全衛生法施行令(昭和47年政令第318号)別表第2に掲げる放射線業務(以下「放射線業務」という。)に係る安全衛生管理対策については、「原子力施設における放射線業務に係る安全衛生管理対策の強化について」(平成12年9月19日付け基発第581号(平成13年3月30日一部改正)。以下「581号通達」という。)によりその徹底を図ってきたところであるが、平成23年3月11日に発生した東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所(以下「東電福島第一原発」という。)における事故に対応するために実施された電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)第7条に規定する緊急作業(以下「緊急作業」という。)の実施に当たって、厚生労働省から同発電所等に対して行ってきた累次の指導等の結果を踏まえると、原子力事業者等が原子力施設での緊急作業実施時における被ばく線量管理、保護具・保護衣の着用、労働者教育の実施、健康管理の実施等について、あらかじめ必要な準備を計画的に実施しておくことも重要である。

ついては、下記により、原子力施設における元方事業者及び関係請負人を含めた放射線業務及び緊急作業に係る総合的な安全衛生管理体制の強化及びその徹底を図ることとしたので、その適切な実施に遺漏なきを期されたい。

なお、581号通達は、本通達をもって廃止する。

第1 趣旨及び対象

1 趣旨

労働者の安全と健康を確保するため、計画―実施―評価―改善のサイクルによる安全管理、被ばく線量管理、健康管理等の安全衛生管理を徹底するためには、原子力事業者(第1の2の原子力施設を保有する事業者。以下同じ。)のみならず、原子力事業者から直接工事等を請け負う元方事業者による安全衛生管理が必要不可欠である。また、特に、緊急作業実施時における被ばく線量管理等については、原子力施設のみならず、原子力事業者の本店・本社・本部組織又はそれらの原子力部門の機能を持つ原子力施設外の施設(以下これらを総称して「本店等」という。)及び元方事業者がそれぞれの役割を果たす必要がある。このため、原子力事業者の第一義的な責任のもとに、本店等、原子力施設の長及び元方事業者の実施事項を明確にした安全衛生管理体制を構築する必要がある。

2 対象

本通達は、次に定める原子力施設における放射線業務及び緊急作業を対象とする。

(1) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和32年法律第166号。以下「炉規法」という。)第13条第2項第2号に規定する加工施設

(2) 炉規法第44条第2項第2号に規定する再処理施設

(3) 炉規法第53条第3号(原子力規制委員会設置法(平成24年法律第47号。以下「改正法」という。)施行後は第53条第2号)に規定する使用施設等(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律施行令(昭和32年政令第324号)第41条に規定する核燃料物質の使用施設等に限る。)

(4) 炉規法第23条第2項第5号に規定する原子炉施設(ただし、東電福島第一原発に係るものを除く。改正法施行後は、同法第23条第2項第5号に規定する試験研究用等原子炉施設及び第43条の3の5第2項第5号に規定する発電用原子炉施設。)

3 実施事項

(1) 原子力施設を管轄する道府県労働局(以下「原子力施設所轄局」という。)は、管内の原子力施設の長に対して、第2から第5までに定める事項のうち、当該原子力施設に係るものが適切に実施されるよう、必要な指導を行うこと。

(2) 原子力事業者の本店等を管轄する都道府県労働局(以下「本店等所轄局」という。)は、管内の本店等の長に対して、第4に定める事項のうち当該本店等に係るものが適切に実施されるよう、第5の6に定める自主点検を実施させ、その結果の報告を求めるなど、必要な指導を行うこと。

(3) 原子力施設所轄局及び本店等所轄局は、各原子力事業者に対して一体的な対応が可能となるよう、相互に緊密な連携を図ること。

第2 原子力事業者が元方事業者として実施すべき事項

1 安全衛生管理体制の確立

原子力施設における放射線業務に係る安全衛生管理(以下「安全衛生管理」という。)については、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「安衛法」という。)及び電離則に基づき各事業者に実施義務があるが、原子力事業者は、自ら行う作業の一部を同一の場所において請負人に請け負わせている場合、安衛法第29条の元方事業者に該当し、また、原子力施設が製造業に該当する場合は安衛法第30条の2の元方事業者にも該当する。

このため、原子力施設所轄局においては、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項について指導を行い、元方事業者として、関係請負人が事業者として実施する措置が的確に行われるよう関係請負人を指導又は援助するとともに、原子力施設全体の安全衛生管理が適切に行われるよう、必要な措置を実施させること。

(1) 原子力施設における安全衛生統括者の選任等

原子力施設全体の安全衛生管理が適切に行われるよう、事業の実施を統括管理する者から、原子力施設の安全及び労働衛生管理を統括する者(以下「安全衛生統括者」という。)を選任し、当該者に第2の1の(3)及び(4)に掲げる事項を実施すること。

また、原子力事業者及び関係請負人が使用する労働者の被ばく線量管理を適切に実施するため、原子力施設の放射線管理を統括する者(以下「放射線管理責任者」という。)を選任し、安全衛生統括者の指揮の下、放射線管理責任者に第2の2及び3に掲げる事項を適切に行わせるとともに、関係請負人の放射線管理担当者が当該請負人の使用する労働者に対して必要な事項を実施するよう必要な指導又は援助を実施すること。

(2) 関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者の選任等

関係請負人に対し、安全衛生管理の職務を行う者を選任させ、次に掲げる事項を実施するよう指導すること。

ア 安全衛生統括者との連絡

イ 第2の1の(3)及び(4)に掲げる事項のうち、当該関係請負人に係るものが円滑に行われるようにするための安全衛生統括者との調整

ウ 当該関係請負人がその仕事の一部を他の請負人に請け負わせている場合における当該他の関係請負人の安全衛生管理の職務を行う者との作業間の連絡及び調整

(3) 放射線業務を行う全ての関係請負人を含めた安全衛生協議組織の開催等

ア 全ての関係請負人を含めた安全衛生協議組織を設置し、1月以内ごとに1回、定期に開催すること。また、当該協議組織には、安全衛生統括者及び関係請負人における安全衛生管理の職務を行う者を参加させること。

イ 安全衛生協議組織において協議すべき事項は、次のとおりとすること。

(ア) 原子力事業者と関係請負人、関係請負人間の調整に関すること

(イ) 外部放射線量及び空気中の放射性物質の濃度に係る作業環境測定の実施及びその結果に基づく作業環境の改善又は作業上の注意事項に関すること

(ウ) 新規入場者教育等、放射線業務に関する事項を含む安全衛生教育の実施に関すること

(エ) 作業規程及び作業計画(労働者の被ばく線量管理及び労働者の受ける線量の低減化の方策に関することを含む。)の作成又は改善に関すること

(オ) 放射線業務中における合図、警報等の統一に関すること

(カ) 熱中症対策に関すること

(キ) 事故又は労働災害が発生した場合の避難、被災者の搬送その他の措置に関すること

(4) 作業規程及び作業計画の作成等に対する指導又は援助

ア 関係請負人が作成する作業規程及び作業計画について、その内容が適切なものとなるよう必要な資料・情報を提供するほか、必要に応じて関係請負人を指導し、又は援助すること。

イ 関係請負人が行う作業のうち、その使用する労働者の受ける実効線量が1日につき1ミリシーベルトを超えるおそれがあるものに係る作業規程及び作業計画については、作業開始前にあらかじめ内容の確認を行うこと。

ウ イの確認に当たっては、原子力施設の放射線管理部門が被ばく線量管理方法について重点的に確認を行い、必要な場合には作業規程及び作業計画の改善等について指導又は援助を行うこと。

エ 関係請負人がその使用する労働者に作業規程及び作業計画の周知を図るよう指導すること。

2 放射線業務に従事する労働者の原子力施設への入退所管理機能の強化

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、放射線業務に従事する労働者をもれなく把握するため、管理区域への入退所を管理する場所を設置し、次に掲げる入退所管理を確実に実施するよう指導すること。

(1) 労働者の基本情報の入手

原子力施設で放射線業務を行う全ての労働者の被ばく線量管理、入構管理を確実に行うため、関係請負人からその使用する労働者について、次に掲げる基本情報を確認できる書面(氏名、生年月日、住所については公的書類の写し)の提出を求め、それを保存すること。

ア 所属事業場名

イ 氏名

ウ 生年月日

エ 住所及び電話番号

オ 直近の電離放射線健康診断及び一般健康診断受診日

カ 新規入場者教育実施日時

(2) 入構証等の発行及び入退所管理

新規入場者教育を修了した者に対して、個人識別番号(以下「ID番号」という。)及び写真の付された入構証等を発行し、被ばく線量の測定結果(線量計の貸し出し時間を含む。)をID番号に対応させて記録すること。

3 被ばく情報管理の強化

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項を実施するよう指導すること。

(1) 関係請負人の使用する労働者を含め、原子力施設の管理区域において放射線業務に従事する全ての労働者について、被ばく線量情報を確実に把握するとともに、被ばく線量の低減のため、必要な指導又は援助を行うこと。

(2) 原子力施設の管理区域において放射線業務に従事する全ての労働者に対して(関係請負人の使用する労働者については、関係請負人に対して)、被ばく線量の累計を、外部被ばく線量については原則として1月ごとに1回、外部被ばく及び内部被ばくを合算したものについては3月ごとに1回、文書で通知するとともに、関係請負人に対し、その使用する労働者の被ばく線量について、通知を受けた被ばく線量の累計を当該労働者に速やかに文書で通知するよう指導又は援助を行うこと。

4 安全衛生教育等に対する指導援助等

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項を実施するよう指導すること。

(1) 安全衛生教育に対する指導又は援助

関係請負人が行う特別教育、職長教育等、原子力施設で放射線業務に従事するために必要となる教育に対して、必要な指導、講師の派遣又は教材・施設の提供等の援助を行うこと。特に、保護具(呼吸用保護具に関するフィットテスターを使用する等による適切な装着指導、眼鏡着用者へのシールピース等による漏洩対策を含む。)、保護衣類、放射線測定器等の実物を用いた教育の実施、事故時等における応急措置及び退避に関する教育の実施、視聴覚教材等を常備した安全衛生教育施設の設置等に配慮すること。

(2) 作業環境測定

原子力施設における外部放射線量及び空気中の放射性物質の濃度に係る作業環境測定については、原子力施設の管理の一環として、原則として原子力事業者が行い、その結果を関係請負人にも周知し、利用させること。

(3) 電離放射線健康診断

ア 関係請負人の行う電離放射線健康診断について、関係請負人の要請等に応じて、原子力事業者が行う電離放射線健康診断時に併せて実施することや健康診断機関を斡旋すること等必要な指導又は援助を行うこと。

イ 関係請負人の使用する労働者に係る健康管理について、関係請負人の要請等に応じて、電離放射線健康診断結果についての意見聴取、保健指導その他必要な指導を原子力事業者の産業医が行う等の援助を行うこと。また、電離放射線健康診断結果に基づき関係請負人の労働者に就業上の措置等を要する者が生じた場合にも、関係請負人の要請等に応じて、当該措置等に関して必要な指導を行うとともに、当該措置等が適切に行われるよう必要な配慮を行うこと。

(4) 事故又は労働災害発生時の対応等

ア 事故又は労働災害発生時の避難等

事故又は労働災害が発生した場合の関係請負人を含めた連絡、避難、被災者の搬送及び応急体制を確立するとともに、関係請負人に対する周知及び必要に応じて関係請負人を含めた合同の実地訓練を実施すること。

イ 事故又は労働災害の再発防止対策の確立

事故又は労働災害が発生した場合、事故又は労働災害に関わった関係請負人と共に、その原因、発生経過、連絡、応急作業等に係る問題点を十分に究明し、速やかに再発防止対策を確立するとともに、関係請負人に周知させること。

第3 定期検査工事等において元方事業者及び原子力施設の長が実施すべき事項

1 元方事業者の実施すべき事項

原子力施設における定期検査工事のように、施設又は設備の大がかりな補修工事であって原子力施設の長が外部の工事業者に発注するもの(以下「定期検査工事等」という。)においては、原子力事業者から仕事を直接請け負った事業者が自ら行う仕事の一部を同一の場所において請負人に請け負わせている場合は、当該事業者は、安衛法第29条の元方事業者に、さらに、請け負った仕事が建設業に当たるときは、安衛法第30条の特定元方事業者にも該当する。

このため、原子力施設所轄局は、当該元方事業者に対し、次に掲げる事項に留意し、原子力施設の安全衛生統括者と連携の上、第2の1から4までに定める事項を実施するよう指導すること。

(1) 原子力施設の長と連携を図り、関係請負人に対する指導又は援助を適切に実施すること。

(2) 元方事業者及び関係請負人の使用する労働者の被ばく線量管理を適切に実施するため、放射線管理責任者を選任し、原子力施設の放射線管理担当者と連携し、元方事業者及びその関係請負人の使用する労働者の被ばく線量管理を適切に実施すること。また、関係請負人の放射線管理担当者が、当該関係請負人の使用する労働者に対して必要な事項を実施できるよう指導又は援助を行うこと。

(3) 原子力施設の長が開催する安全衛生協議組織に参加し、自らの関係請負人との安全衛生協議組織との連携を図ること。

(4) 原子力施設の長と連携し、使用する労働者及び関係請負人に被ばく線量を適切に文書で通知すること。

2 原子力施設の長の実施すべき事項

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に係る事項を実施するよう指導すること。

(1) 放射線業務の特殊性に鑑み、第2の1の(3)及び(4)、2、3並びに4の(1)、(2)及び(4)については、元方事業者と緊密な連携を図りつつ、原子力施設の安全衛生統括者が重ねて実施すること。

(2) 元方事業者が作成する作業規程又は作業計画については、原子力施設の放射線管理担当者が被ばく線量管理方法について重点的に内容の確認を行い、必要な場合には作業計画の改善等について指導又は援助を行うよう指導すること。

第4 緊急作業に対する準備及び緊急作業実施時における指導

1 自主点検の実施及びその結果に基づく継続的な指導

平成23年3月に発生した東電福島第一原発における事故に伴う緊急作業の実施時においては、被ばく線量管理、保護具・保護衣の着用、労働者教育の実施、健康管理の実施、作業計画の作成体制、請負実態の把握等について様々な問題が生じたところであるが、この中には、あらかじめ準備を整えておくことで適切かつ迅速な対応が可能であったものも多くあったと考えられる。

このため、原子力施設所轄局及び本店等所轄局は、原子力施設内において緊急作業が行われる場合に備え、原子力施設、本店等及び元方事業者に対し、別添1―1、1―2及び1―3の「東京電力福島第一原子力発電所における事故の教訓を踏まえた対応(自主点検項目)」の準備状況について、次に掲げる事項に留意の上、定期的に自主点検を行うよう指導するとともに、その結果を踏まえた必要な措置の実施を指導し、直ちに実施することが困難な事項については、計画的に実現を図るよう継続的な指導を実施すること。

(1) 医療体制連絡協議会の設置

緊急時における原子力施設内の医療体制の整備、患者搬送体制の構築等を円滑に実施するため、原子力施設所轄局は、次に掲げる事項について、道府県の保健医療部局、消防部局、近隣の医療施設、原子力施設及び都道府県労働局その他関係機関との間で協議を行うための連絡協議会(以下「医療体制連絡協議会」という。)の設立を図るため、関係機関との調整を行うこと。協議会の在り方は、所管地域の実情に合わせたものとし、既存の協議会等の拡充等によって対応することも差し支えないこと。

ア 原子力施設からの患者の搬送体制

イ 緊急作業実施中の原子力施設内の医療体制

ウ 緊急作業実施中の臨時健康診断の実施体制

(2) 元方事業者への指導

元方事業者に対する自主点検実施の指導は、原子力施設の定期検査時等、最も適切な時期を選んで実施すること。元方事業者への指導に当たっては、施設の管理者である原子力施設の長の援助が必要不可欠であることから、元方事業者への指導事項を原子力施設の長にも伝達し、元方事業者に対して必要な指導又は援助を行うよう指導すること。

2 緊急作業実施時に速やかに指導すべき事項

原子力災害対策本部により原子力緊急事態宣言が発令される等の事態が発生した場合に、当該事態に対する応急措置として原子力施設において緊急作業が実施される場合、政府全体として原子力災害対策指針等に従った対応を行うこととなるが、それらに定められる対応を行うほか、原子力施設所轄局及び本店等所轄局は、本省と緊密な連携を図りつつ、緊急作業に従事する労働者の被ばく線量を合理的に達成可能な限り低減する等のため、別添2―1、2―2及び2―3の「原子力緊急事態宣言が発令された際等に原子力事業者等に対して指導すべき事項」に留意の上、原子力施設、本店等及び元方事業者を適切に指導すること。

第5 報告

1 事故等の報告

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、①電離則第42条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生したとき、②放射線業務において労働災害等(医療施設において治療が必要なもの等の健康異常を含む。)が発生したとき、③火災又は爆発の事故、放射性物質若しくは放射性物質に汚染されたものの漏出又は異常被ばくが発生したとき、④原子力施設構内で空間線量率が非常に高い場所を新たに発見したとき、又は、⑤不適切な線量計の装着が明らかになったとき等に、速やかにその旨を所轄労働基準監督署長に報告(様式任意)するよう指導すること。

2 安全衛生統括者の選任の報告

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、安全衛生統括者を選任した場合、その旨を所轄労働基準監督署に報告(様式任意)するよう指導すること。また、変更した場合も同様に報告するよう指導すること。

3 放射線作業の報告

原子力施設所轄局は、原子力施設の長及び元方事業者に対して、次に掲げる事項を実施するよう指導すること。

(1) 高い空間線量下での作業における労働者の被ばく線量を合理的に可能な限り低減するため、あらかじめ作業計画を策定しておくことが重要である。このため、労働者の被ばくする実効線量が1日につき1ミリシーベルトを超えるおそれのある放射線業務を行う場合には、あらかじめ(突発事態に対する対応等、状況を把握してから24時間以内に対応する必要がある作業については、作業終了後に速やかに)、元方事業者ごとに、建屋又は施設別に区分けして、工事(作業)件名ごとに、原子力事業者が自ら仕事を行う場合には原子力施設の長が、原子力事業者が発注及び設計監理のみを行う場合には元方事業者が、「放射線作業届」(様式第1号)を所轄労働基準監督署長に提出するよう指導すること。

なお、電離則第42条第1項各号の事故に対する緊急作業を実施する場合にあっても同様とすること。

(2) (1)の作業終了後に、当該作業に従事した労働者の受けた平均実効線量、最高実効線量及び総実効線量について、速やかに所轄労働基準監督署長に報告(任意様式)するよう指導すること。

4 安全衛生管理状況の報告

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、第2及び第3の2の措置の実施状況について、様式第2号及び第3号により四半期ごとに1回、所轄労働基準監督署長に提出するよう指導すること。なお、この通知に基づく報告は平成24年度第3四半期分からとし、平成24年度第2四半期分までについては、廃止前の581号通達に基づき所轄労働基準監督署長に提出するよう指導すること。

5 労働者の年間実効線量の報告

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対して、原子力施設構内において放射線業務に係る作業に従事した全ての労働者(常駐している労働者のみならず定期検査工事等その他の保守点検作業に従事した関係請負人の使用する労働者も含む。)の年間の実効線量について、様式第4号により所轄労働基準監督署長に報告を行うよう指導すること。

6 自主点検結果の報告

(1) 原子力施設所轄局は原子力施設の長に対して、別添1―1の自主点検事項の実施状況について、平成24年10月1日までに、それ以降は原則として半年ごとに1回、元方事業者に対して、別添1―3の自主点検事項の実施状況について、定期検査工事等と同時期に、原子力施設所轄局に報告するよう指導すること。

(2) 本店等所轄局は、本店等の長に対して、別添1―2の自主点検事項の実施状況について、平成24年10月1日までに、それ以降は原則として半年ごとに1回、本店等所轄局に提出するよう指導すること。

7 東電福島第一原発における緊急作業に従事した労働者に関する被ばく線量等の報告

原子力施設所轄局は、原子力施設の長に対し、次に掲げる事項の実施を指導すること。

(1) 平成23年3月11日以降に東電福島第一原発における緊急作業に従事したことがある労働者を原子力施設において放射線業務に従事させる場合、当該労働者が放射線業務に従事している間、電離則第59条の2の規定に基づき、当該労働者の健康診断の個人票の写し及び被ばく線量等の記録を厚生労働省に提出すること。

(2) 提出に当たっては、原子力施設の労働者については原子力施設の長が、その他の労働者については元方事業者がその関係請負人に係るものも取りまとめて行うこと。

別記

北海道

青森

宮城

福島

茨城

千葉

東京

神奈川

新潟

富山

石川

福井

静岡

愛知

京都

大阪

島根

岡山

広島

香川

愛媛

福岡

佐賀

鹿児島

別添1―1

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別添1―2

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別添1―3

別添2―1

原子力緊急事態宣言が発令された際等に原子力事業者等に対して指導すべき事項

(原子力施設)

電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号。以下「電離則」という。)第42条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生した場合、又は、原子力災害対策本部による原子力緊急事態宣言が発令される等の事態が発生し、当該事態等に対する応急措置として緊急作業が実施される場合、緊急作業従事者の被ばく線量を合理的に達成可能な限り低減する等のため、次に掲げる事項に留意の上、原子力施設の長を指導すること。

1 放射線管理関係

次に掲げる事項について原子力施設の長を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

(1) 被ばく線量管理部門の体制の構築

通常の線量管理システムが使用できない場合、原子力施設において、線量計貸出し担当者を臨時に増員すること等により、被ばく線量管理体制を構築すること。

(2) 個人線量計の確保

ア 事故発生後に警報付き電子式個人線量計(以下「APD」という。)(電池式でない場合は充電器、非常用発電機を含む。以下「APD等」という。)が充足しているか確認すること。

イ APD等が不足していることがわかった場合、事前の協定等に基づき、直ちに他の原子力施設から融通を受けること。

(3) 線量計貸出し管理

ア 個人認識番号(以下「ID番号」という。)、写真付きの入構証を発行し、ID番号別に被ばく線量を管理できるパーソナルコンピューター又は緊急時に使用可能な電算システム等を使用したバックアップシステム(以下「バックアップシステム」という。)の稼働を図ること。

イ バックアップシステムが稼働するまでの間、放射線管理手帳の中央登録番号、自動車運転免許証番号(これらが使用困難な場合は生年月日と氏名の組み合わせ)等を臨時のID番号(以下「臨時ID番号」という。)として使用し、手書きの管理簿により線量計の管理を行うこと。

ウ バックアップシステムの稼働後は、自動者運転免許証等の公的書類による個人確認を行った上で、入構証の発行、ID番号別の線量計の貸出し、被ばく線量の記録を実施すること。

(4) 労働者への被ばく線量の通知

ア バックアップシステムの稼働を図り、労働者に被ばく線量のレシートを発行すること。

イ バックアップシステムが稼働できない間、線量計返却時に手書きでもよいので、被ばく線量を記載した書面を労働者に交付すること。

ウ 入力された被ばく線量データを元方事業者に速やかに伝達すること。

(5) 内部被ばく測定の実施

ア 常用のホールボディカウンタ(以下「WBC」という。)が使用不能になった場合、事前の協定に従い、他の原子力施設等に依頼し、移動可能なWBCを確保し、適切な場所に移設すること。

イ 日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所等(以下「高度放射線専門機関」という。)との連携を図り、放出された核種に適合した内部被ばく評価モデルを速やかに確立すること。

ウ 通常被ばく線量限度を超えるおそれのある者について、高度放射線専門機関のWBCを活用する等により、核種同定、摂取日の特定等を迅速に行い、預託線量を確定すること。

エ 預託線量と外部被ばく線量の名寄せ及び合算を速やかに行い、被ばく線量限度を超えないように管理すること。

(6) 連絡先不明者への対応

ア あらかじめ定められた緊急時の線量計の貸出し管理を実施すること(再掲)。

イ 連絡先不明者が発生した場合は、元方事業者と協力の上、類似氏名確認、関係請負人への再確認等を迅速に実施すること。

2 保護具、保護衣関係

次に掲げる事項について原子力施設の長を指導するとともに、実施状況を確認すること。

(1) 屋内の空気中の放射性物質による被ばく防止

ア 事故発生後、空気中の放射性物質の濃度の測定により電離則第3条第3項の厚生労働大臣が定める限度(以下「空気中濃度限度」という。)を超える空気汚染がないことが確認できるまで、緊急時に労働者が常駐又は待機する原子力施設内の場所(通常時は空気汚染がないとされている場所を含む。以下「待機場所等」という。)における全ての労働者に、チャコールフィルター付きマスクを直ちに装着させること。

イ 破過時間を考慮し、十分な数のチャコールフィルターを各待機場所等に配付すること。

ウ 空気中濃度限度を超える空気汚染がないことを確認できない作業場所等で労働者を待機させる場合、適切な頻度で労働者を、空気中濃度限度を超える空気汚染がないことが確認できた待機場所等で休憩させること。

エ 待機場所等の空気中の放射性物質の濃度、空間線量率を継続的に測定すること。

オ 空気中濃度限度を超える空気汚染がないと確認されていない待機場所等において待機する全ての労働者に対して、内部被ばく測定を迅速に実施すること。

カ 女性労働者がいる待機場所等を優先し、空気中の放射性物質の濃度、空間線量率の測定を継続的に行い、被ばく線量限度を超えるおそれのある場合は、女性労働者を直ちに待避させること。

(2) マスクの適切な装着の徹底

新規入場者に対し、次の事項に留意したマスクの性能及び装着方法等に関する教育を迅速に実施すること。

・フィットテスターの使用等による適切な装着の確認

・眼鏡着用者に対するシールピース等の漏洩防止措置

・マスクの脱着の手順、フィルター装着の確認

・マスク内部の汚染を防止するためのマスクの適切な取扱い

(3) 汚染水による汚染の防止

ア 十分な数の保護衣等を確保し、労働者に適切に着用させること。

イ 汚染水を扱う作業がある場合、作業手順書等を作成し、それを用いた教育を適切に実施すること。

(4) 適切な労働者教育の実施

ア 新規入場者等教育が必要な緊急作業従事者等に対して、あらかじめ準備した教材及びカリキュラムを使用して、必要な教育を実施すること。

イ 教育の実施スペース、テキスト、講師の充足状況を確認し、不足する場合は本店等からの支援を仰ぐこと。

3 健康管理関係

(1) 原子力施設の医療体制の整備

次に掲げる事項について原子力施設の長を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

ア 緊急作業従事者の人数に応じ、あらかじめ準備されていた医療体制に基づき、医療職の派遣等について依頼を行うこと。

イ 通常の診療室等が使用できなくなった場合、あらかじめ準備しておいた場所で緊急対応用の診療施設等の立上げを行うこと。

ウ 緊急作業に従事する労働者の心身の健康確保が十分なされるよう、必要な体制を速やかに立上げること。

(2) 熱中症防止対策

次に掲げる事項について原子力施設の長を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

ア 高温多湿の場所で作業を実施する場合等、あらかじめ準備されていた熱中症対策(重装備での炎天下における作業を想定したクールベスト(保冷庫含む)の購入先の確保、必要な性能を備えた休憩施設の設置の検討、熱中症発生時の所内対応手順の確立、湿球黒球温度を用いた熱中症予防のための予報、熱中症教育教材の確保等を含む)を適切に実施すること。

イ 問診票等を活用してこまめな体調チェックを行うこと。

ウ 熱中症が発生した際には、その原因を分析し再発防止に生かすとともに、元方事業者で構成する協議会等により、情報共有を行うこと。

(3) 臨時の健康診断の実施指示

緊急作業従事者の被ばく状況を踏まえ、必要がある場合、道府県労働局長は、次に掲げる事項に留意し、本省労働衛生課と協議の上、原子力施設の長及び元方事業者に対し、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第66条第4項に基づく臨時の健康診断の実施を指示すること。

ア 作業内容及びそれに伴い危惧される健康影響を見極め、現地の設備等の制約も考慮し、必要最小限の対象者・項目を厳選した上で臨時の健康診断の実施を指示すること。

イ 熱中症対策の必要性も考慮し、限られた頻度で医師による一律の検査を行うのみならず、問診票等を活用してこまめな体調チェックを行い、医師は随時対応する方法についても検討すること。

ウ 元方事業者を的確に把握して漏れなく指示すること。

エ 臨時の健康診断の実施の指示の際、期限を明確にして実施状況報告を求めること。

なお、原子力施設の長に対しては、併せて、以下の事項を指導すること。

ア 指示された臨時の健康診断の項目に基づき、臨時の健康診断を実施すること。

イ 元方事業者を的確に把握し、関係請負人の労働者に適切に臨時の健康診断を実施させること。

ウ 元方事業者における臨時の健康診断の実施状況を把握すること。

(4) 原子力施設からの患者搬送体制の構築

次に掲げる事項について原子力施設の長を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

ア 医療体制連絡会議での合意に従い、緊急時の搬送体制について依頼を行うこと。

イ 事故の状況に応じてあらかじめ準備しておいたドクターヘリ等の離発着場を準備するとともに、医療体制連絡会議での合意に従い、ドクターヘリ等の運用について依頼を行うこと。

4 作業届、請負体制把握等

(1) 作業届の作成、審査の体制の整備

緊急作業に関する作業届は、必要に応じ、本省も審査を行う(別途指示)ので、本省と連携を図りつつ審査を行うこと。

原子力施設の長に対しては、以下の事項を指導すること。

ア あらかじめ定められた計画に基づき、緊急作業内容を企画、審査し、適切な被ばく線量低減措置を含む作業届を作成できる体制を構築すること。

イ あらかじめ示された指摘事項等を踏まえ、緊急作業内容を企画、審査し、適切な被ばく線量低減措置を含む作業届を作成すること。

(2) 請負体制把握

ア 所轄労働基準監督署より、原子力施設から発注先元方事業者に関する情報を入手し、直接元方事業者にアプローチし、請負の体制把握を行うこと。

イ 原子力施設に対して、元方事業者を通じて請負状況を把握し、教育、健康診断の実施が適切に行われているかどうかを確認するよう指導すること。

(3) 宿泊施設と飲食の確保等

ア 関係省庁と連携し、作業員の衣食住の状況を確認し、事業場に対し作業員の健康確保の観点等から必要な指導を実施すること。

イ 原子力施設に対し、あらかじめ定められた計画に基づき、仮眠施設の確保や食事の提供を行うよう指導すること。

別添2―2

原子力緊急事態宣言が発令された際等に原子力事業者等に対して指導すべき事項

(本店等)

電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第42条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生した場合、又は、原子力災害対策本部による原子力緊急事態宣言が発令される等の事態が発生し、当該事態等に対する応急措置として緊急作業が実施される場合、緊急作業従事者の被ばく線量を合理的に達成可能な限り低減する等のため、次に掲げる事項に留意の上、本店等の長を指導すること。

1 放射線管理関係

次に掲げる事項について本店等を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

(1) 被ばく線量管理部門の体制の構築

ア 原子力施設での被ばく線量管理体制を確認し、必要に応じ、本店等から担当者を派遣する等により、必要な支援を実施すること。

イ 原子力施設での被ばく線量データの入力状況等を確認し、被ばく線量管理体制に問題がある場合は、発電所から管理簿等を取寄せ、本店等で直接被ばく線量データの入力や名寄せ作業等の被ばく線量管理を実施すること。

(2) 個人線量計の確保

原子力施設での警報付き電子式個人線量計(以下「APD」という。)(電池式でない場合は充電器、非常用発電機を含む。以下「APD等」という。)の充足状況を確認し、必要な場合は他の原子力施設からAPD等の融通を受けられるように必要な支援を行うこと。

(3) 線量計貸出し管理

原子力施設での線量計貸出し管理の状況を確認し、必要に応じ、本店等にあるバックアップシステムの稼働等、必要な支援を実施すること。

(4) 労働者への被ばく線量の通知

ア 原子力施設での線量データの入力、事業者への通知状況を確認し、必要がある場合、本店等でデータ入力等を実施すること。

イ 本店等でデータ入力を行う場合、入力されたデータを速やかに原子力施設に伝達すること。

(5) 内部被ばく測定の実施

ア 原子力施設における内部被ばく測定の実施状況を確認し、常用のホールボディカウンタ(以下「WBC」という。)が使用不能となっている場合は、他の原子力施設からの移動可能なWBCの確保や、他の原子力関係機関等で内部被ばく測定が実施できるよう、必要な支援を行うこと。

イ 日本原子力研究開発機構、放射線医学総合研究所等と連携し、内部被ばくの核種の同定、被ばくモデル構築、摂取日の特定等について、技術的な支援を行うこと。

(6) 連絡先不明者への対応

原子力施設における線量計貸出し方法等を確認し、連絡先不明者が発生した場合は、必要に応じ、本店等で線量記録の再確認等を実施すること。

2 保護具、保護衣関係

次に掲げる事項について本店等を指導するとともに、実施状況を確認すること。

(1) 屋内の空気中の放射性物質による被ばく防止

ア 原子力施設における待機場所等の線量測定等の状況を確認し、必要に応じ、他の原子力施設から放射線管理部門の応援要員を派遣する等、必要な支援を行うこと。

イ 原子力施設での待機場所等の測定状況を確認し、女性労働者の管理について、必要な支援を行うこと。

(2) マスクの適切な装着の徹底

原子力施設における新規入場者等教育の状況を確認し、応援講師の派遣、教材の提供等、必要な支援を行うこと。

(3) 汚染水による汚染の防止

原子力施設における保護衣等の着用状況を確認し、必要な支援を行うこと。

(4) 適切な労働者教育の実施

原子力施設における労働者教育の実施状況を確認し、応援講師の派遣、教材の提供等、必要な支援を行うこと。

3 健康管理関係

次に掲げる事項について本店等を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

(1) 原発内の医療体制の整備

原子力施設における医療体制の状況を確認し、必要な支援を行うこと。

(2) 熱中症防止対策

原子力施設における熱中症対策の実施状況を確認し、必要な支援を行うこと。

(3) 臨時の健康診断の実施指示

原子力施設における臨時の健康診断の実施状況を確認し、必要に応じて、医療職の派遣等、必要な支援を行うこと。

(4) 原発からの患者搬送体制の構築

原子力施設における搬送体制を確認し、医療機関、消防当局や航空当局との協議等、必要な支援を実施すること。

4 作業届、請負体制把握等

次に掲げる事項について、本店等を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

(1) 作業届の作成、審査の体制の整備

原子力施設における作業計画の作成状況を確認し、本店等が内容を審査する、応援要員を派遣する等、必要な支援を行うこと。

(2) 請負体制把握

原子力施設における請負状況把握の状況を確認し、必要な支援を行うこと。

(3) 宿泊施設と飲食の確保等

原子力施設における仮眠施設、食事等の状況を確認し、必要な支援を行うこと。

別添2―3

原子力緊急事態宣言が発令された際等に原子力事業者等に対して指導すべき事項

(元方事業者)

電離放射線障害防止規則(昭和47年労働省令第41号)第42条第1項各号のいずれかに該当する事故が発生した場合、又は、原子力災害対策本部による緊急事態宣言等が発令される等の事態が発生し、当該事態等に対する応急措置として緊急作業が実施される場合、緊急作業従事者の被ばく線量を合理的に達成可能な限り低減する等のため、次に掲げる事項に留意の上、緊急作業に従事する元方事業者を指導すること。

1 放射線管理等関係

次に掲げる事項について元方事業者を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

(1) 被ばく線量管理部門の体制の構築

各元方事業者の放射線管理担当者を臨時に増員し、全ての関係請負人の労働者の被ばく線量を一元管理できる組織を設置する等、被ばく線量管理体制を確保すること。

(2) 線量計貸出し管理

原子力施設が発行する入構証を記名者本人以外に使用させることがないよう適切な管理を行うこと。

(3) 労働者への被ばく線量の通知

原子力施設から入手した線量データを速やかに関係請負人を通じて関係請負人の使用する全ての労働者に通知すること。

(4) 内部被ばく測定の実施

関係請負人の内部被ばく測定の実施状況を把握し、全ての関係請負人の労働者が内部被ばく測定を受けるように指導又は援助すること。

(5) 連絡先不明者への対応

連絡先不明者が発生した場合は、類似氏名確認、関係請負人への再確認等を迅速に実施すること。

(6) 適切な労働者教育の実施

原子力施設と連携し、全ての関係請負人の労働者が新規入場者等教育を受講できるよう、指導又は援助を行うこと。

2 健康管理等関係

次に掲げる事項について元方事業者を指導するとともに、その実施状況を確認すること。

(1) 熱中症防止対策

原子力施設と連携し、関係請負人が適切な熱中症対策を実施できるように必要な指導又は援助を行うこと。

(2) 臨時の健康診断の実施

ア 関係請負人が、その使用する全ての労働者を的確に把握し、臨時の健康診断を受診させることができるよう必要な指導又は援助を行うこと。

イ 関係請負人における臨時の健康診断の実施状況を把握すること。

(3) 請負体制把握

緊急作業に従事する関係請負人の使用する労働者を確実に把握し、教育、健康診断が適切に実施できるよう必要な指導又は援助を行うこと。

様式第1号

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様式第2号

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様式第3号

様式第4号