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○食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについて

(平成24年7月5日)

(/食安基発0705第1号/食安監発0705第1号/)

(各都道府県・各保健所設置市・各特別区衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課長・監視安全課長通知)

標記については、平成24年3月30日付け食安基発0330第1号により通知したところであるが、検査結果の取扱いや経過措置等の解釈を明確にするため、上記通知中、「食品区分や検査に関するQ&A」の問12及び問42を改めるとともに、問44から問50までを追加し、別添のとおり作成したので、業務の参考にするとともに、貴管内関係業者等に対し周知をお願いしたい。

なお、平成24年3月30日付け食安基発0330第1号「食品中の放射性物質に係る基準値の設定に関するQ&Aについて」は本通知をもって廃止する。

(別添)

基本的な考え方に関するQ&A

 

質問

回答

1

介入線量レベルを年間1ミリシーベルトに設定した理由を教えてください。

新しい基準値は、食品の国際基準を策定するFAOとWHOの合同会議であるコーデックス委員会が、食品の介入免除レベル(特段の措置をとる必要がないと考えられているレベル)として年間1ミリシーベルトを採用したガイドラインを提示していることや、モニタリング検査の結果で、多くの食品からの検出濃度は、時間の経過とともに相当程度低下傾向にあることを踏まえ、食料供給などに影響がない範囲内で合理的に達成可能な範囲でできる限り低い水準に線量を管理するALARA(As Low As Reasonably Achievable)の考え方に基づき、食品中に含まれる放射性物質の介入線量レベルを年間1ミリシーベルトと設定しています。

2

暫定規制値を厳しくするということですが、これまでの暫定規制値の安全性についてはどのように考えているのでしょうか。

これまでの暫定規制値に適合している食品は、健康への影響はないと一般に評価され、安全性は確保されています。平成23年の9月と11月に東京都、宮城県、福島県で実際に流通している食品を調査したところ、今後の食品からの放射性セシウムによる被ばく線量(ストロンチウム等は含まない)は、年間に換算して0.002~0.02ミリシーベルト程度であり、年間1ミリシーベルトと比較しても大きく下回っています。しかし、暫定規制値は、事故後の緊急的な対応として定められたものであったことから、より一層、食品の安全と安心を確保する観点から、長期的な状況に対応する新たな放射性セシウムの基準値を定めることとしたものです。

3

食品安全委員会の食品健康影響評価で、「生涯における追加の累積の実効線量でおおよそ100ミリシーベルト以上で放射線による健康影響」とされていることとの関係は、どのようになっているのでしょうか。

これまでのモニタリング検査の結果を用いて行った、新しい基準値に基づいた食品からの放射性セシウムからの被ばく線量(ストロンチウム等は含まない)の推計によると、中央値濃度若しくは90パーセンタイル値濃度の食品を全年齢層における国民の平均摂取量で1年間摂取したと仮定した場合で、それぞれ年間0.043ミリシーベルト、0.074ミリシーベルトとなり、年間1ミリシーベルトと比較しても極めて小さなものとなっています。この値は、通常の一般生活において受ける線量を除いた生涯累積の実効線量としておおよそ100ミリシーベルト以上で健康影響が見いだされるとする食品安全委員会の食品健康影響評価に対しても十分に小さな値だと考えています。

4

外部被ばくと内部被ばくを合計して、介入線量レベルを年間1ミリシーベルトにするべきではないでしょうか。

新しい基準値の策定においては、介入線量レベルを年間1ミリシーベルトと設定していますが、実際の被ばく線量はこれよりも大幅に小さくなると推計されます。具体的には、これまでのモニタリング検査の結果を用い、中央値濃度若しくは90パーセンタイル値濃度の食品を全年齢層における国民の平均摂取量で1年間摂取したと仮定すると、それぞれ年間0.043ミリシーベルト、0.074ミリシーベルトとなり、年間1ミリシーベルトと比較しても極めて小さなものとなります。このように、内部及び外部を合わせた全被ばく線量における食品からの寄与は相当低い水準にあり、放射線による健康影響への対応としては、除染を推進することにより外部被ばく線量を抑えることが重要と考えています。

5

食品の汚染割合を50%とした根拠を教えてください。

流通食品の汚染割合について、コーデックス委員会で定められている放射性物質に関するガイドラインでは、すべての食品が汚染されていると仮定せず、代わりに占有率(汚染国からの輸入される食品の割合)という考え方が取り入れられていることから、これを採用しました。「一般食品」では、我が国の食料自給率(平成22年度はカロリーベースで39%、平成32年度までに50%を目標)等との関係から、流通する食品の半分が汚染されているという安全側の想定の下に、基準値を設定しています。

6

放射性セシウム以外の核種の基準値は設けないのでしょうか。

新しい基準値は、東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、事故後の長期的な状況に対応するものであることから、比較的半減期が長く、長期的な影響を考慮する必要がある核種を対象としています。具体的には、原子力安全・保安院の評価に基づき大気中に放出されたと考えられる核種のうち、半減期が1年以上の核種すべて(セシウム134、セシウム137、ストロンチウム90、プルトニウム、ルテニウム106)としました。規制対象の核種のうち、セシウム以外の核種については測定に非常に時間がかかることから、移行経路ごとに放射性セシウムとの比率を算出し、合計して年間1ミリシーベルトを超えないように放射性セシウムの基準値を設定しています。放射性セシウムとの比率の計算は、穀類、乳製品といった食品分類ごとに行っており、放射性物質の移行に関する食品ごとの特性も考慮しています。

7

なぜ、ヨウ素やウランは規制対象に含まれていないのでしょうか。

放射性ヨウ素については、半減期が短く、現在は食品からの検出報告がなくなっていること、また、ウランについては、原発敷地内においても天然の存在レベルと変化がないことから、いずれも基準値は設定していません。

8

海洋汚染については情報が不十分なので、放射性セシウム以外の核種も検査するべきではないでしょうか。

海産物については、生態等の多様性が大きく、陸域と比べて環境モニタリングデータの量も限られるため、十分に余裕を持たせた安全側の想定に立ち、海産物中における放射性セシウム以外の核種(ストロンチウム90など)の寄与率を50%と仮定して基準値を計算しています。

新基準値施行後においても、放射性物質汚染の実態把握を行っていくこととしており、セシウム以外の核種も測定していきます。

9

なぜ、食品区分を4区分としたのでしょうか。

食品区分の設定に当たっては、①個人の食習慣の違い(摂取する食品の偏り)の影響を最小限にすることが可能であること、②国民にとって分かりやすい規制となること、③食品の国際基準を策定するFAOとWHOの合同会議であるコーデックス委員会などの国際的な考え方と整合することを考慮して、食品全体(一般食品)を1つの区分とすることを基本としました。ただし、飲料水については、①すべての人が摂取し代替がきかず、その摂取量が大きいこと、②WHOが飲料水中の放射性物質のガイダンスレベルを示していること、③水道水中の放射性物質は厳格な管理が可能であることを踏まえ、独立した区分としています。また、子どもの摂取量が特に多い牛乳及び乳児が食べる乳児用食品については、食品安全委員会が食品健康影響評価において、「小児の期間については、感受性が成人より高い可能性」を指摘していることを踏まえ、独立した区分としています。

10

飲料水の基準値を10ベクレル/kgとした根拠を教えてください。

飲料水については、①すべての人が摂取し代替がきかず、その摂取量が大きいこと、②WHOが飲料水中の放射性物質のガイダンスレベルを示していること、③水道水中の放射性物質は厳格な管理が可能であることを踏まえ、独立した区分としました。飲料水の基準値は、WHOのガイダンスレベルと同じ10ベクレル/kgを採用しています。

11

一般食品の基準値を100ベクレル/kgとした根拠を教えてください。

「一般食品」の基準値を計算する際には、年齢などの違いによる影響をきめ細やかに評価するため、年齢や男女別、妊婦など10区分に分け、年齢区分別の食品摂取量や、代謝等を考慮した線量係数を用いて、1年間の摂取で介入線量レベルに相当することとなる食品1kg当たりの放射能の濃度(限度値)を算出しました。また、流通する食品の汚染割合については、コーデックス委員会が汚染地域からの食品の占有率という考え方を採用していることを踏まえ、我が国の食料自給率(平成22年度はカロリーベースで39%、平成32年度までに50%を目標)等との関係から、流通食品の半分が汚染されているという安全側の想定に立っています。その上で、各区分の限度値の中で最も厳しい13~18歳男性の120ベクレル/kgを安全側に切り下げた100ベクレル/kgを、全年齢区分の一般食品の基準値として適用することで、乳幼児をはじめ、すべての世代に配慮したものとなっています。

12

牛乳及び乳児用食品の基準値を50ベクレル/kgとした根拠を教えてください。

食品安全委員会が食品健康影響評価において、「小児の期間については、感受性が成人より高い可能性」があると指摘していることを踏まえて、合理的に可能な範囲で、消費者にも分かりやすい形で明示的に小児への配慮を行う方法を検討し、乳児が食べる「乳児用食品」と子どもでの摂取量が顕著に多い「牛乳」を特別な区分に設定することとしました。

この2つの食品区分の基準値の計算に際しては、流通する食品のほとんどが国産であるという実態を考慮して、万が一すべての食品が基準値上限の値で汚染されていたとしても影響がないよう基準値を計算しました。これにより「乳児用食品」と「牛乳」の基準値は「一般食品」の半分となる50ベクレル/kgに設定しています。

13

限度値の計算で、年齢が低いほど限度値が高くなっているが、これは小児の放射線による影響を過小評価しているのではないでしょうか。

限度値を算出する際には、年齢区分ごとの年間の食品摂取量や、体格、代謝が考慮された線量係数を用いて計算しています。その結果、1歳未満(男女平均)で460ベクレル/kgである一方、最も小さくなるのは13~18歳男性の120ベクレル/kgであり、これを安全側に切り下げた100ベクレル/kgを全年齢区分の一般食品の基準値として適用することで、乳幼児をはじめ、すべての世代に配慮したものとなっています。

年齢が小さくなるほど限度値が大きくなる傾向があるのは、食品中の主たる存在核種が放射性セシウムとなる現状において、年齢区分ごとの線量係数の差よりも、食品摂取量の差の方が限度値の計算に大きく寄与しているためです。


14

新しい基準値で学校給食等の安全は確保されているのでしょうか?

小中学生などについては、給食も含めた朝昼夕の3食分の摂取量を考慮して基準値を計算しているため、給食についても基準値に適合していれば安全性は確保されると考えています。

15

一般食品を使って離乳食を手作りした場合、その材料は100ベクレル/kgが基準値となりますが、手作りの離乳食よりも市販のベビーフードの方が安全ということでしょうか。

一般食品の基準値を計算する際には、乳児を含めて、年齢や男女別、妊婦など10区分に分け、各区分別の食品摂取量や、代謝等が考慮された線量係数を用い、一般食品の50%が汚染されていると仮定して計算しています。その上で、各区分の中で最も厳しい値(13~18歳男性の120ベクレル/kg)を安全側に切り下げた100ベクレル/kgを、全区分の基準値として適用しています。このように、乳幼児をはじめ、すべての世代に配慮したものとなっているので、仮に乳児が一般食品を食べ続けた場合も、その安全性は確保されています。

乳児用食品の基準値については、乳児だけが食べる食品について、特に配慮し設定したものですが、前述のとおり一般食品の基準値でも乳児への安全性は十分確保されています。

16

暫定規制値はどのような取扱いになるのでしょうか。

今後、食品中の放射性物質については、食品衛生法第11条に基づく新しい基準値が適用されます。なお、暫定規制値の取扱いについては、現在、原子力安全委員会で有事の際における防災指針の見直しが行われており、これらを踏まえ検討することとしています。

17

輸入食品の監視指導における暫定限度である370ベクレル/kgはどのような扱いになるのでしょうか。

今回の新しい基準値や測定方法は輸入食品にも適用されますので、チェルノブイリ原子力発電所事故後に設定された暫定限度は廃止されます。

18

米、牛肉、大豆について経過措置を設ける理由を教えてください。

モニタリング検査やばく露推計等の結果からは、現在の暫定規制値に適合する食品については、安全性は確保されていると考えられることから、新しい基準値への移行に際しては、市場(流通)に混乱が起きないよう、準備期間が必要と考えられます。そのため、特定の食品(米、牛肉、大豆)については、一定の範囲で経過措置期間を設定しています。経過措置の対象食品の選定に当たっては、それらを原料として製造・加工が行える期限を含めて流通や消費の実態について農林水産省と協議を行い、必要最小限の食品及び期間に限定しています。

この結果、米と大豆は、1年1作の農作物であり、収穫後、一定期間をかけて流通し、消費されるという特性を有しており、暫定規制値を前提に生産・検査が行われた平成23年産が広く流通していることから、平成24年産の流通が開始されるまでの期間を踏まえ、それぞれ6か月と9か月の経過措置を置くこととしました。

また、牛肉については、冷凍牛肉の賞味期限は約2年間あり、4月1日以前にと畜された牛肉の在庫の残存率が十分に低くなるには6か月を要すること、また、牛へ給餌する飼料を新基準値に対応したものに切り替え飼い直したとしても、生物学的半減期から新基準値(100ベクレル/kg)を下回るためには6か月を要する可能性があることを踏まえ、6か月の経過措置を置くこととしました。

新基準値への円滑な移行のためにも、暫定規制値に適合している食品の安全性に加え、これらの食品が経過措置の対象となった理由とその安全性について、消費者及び生産者の双方に対して引き続き丁寧に説明、周知を行っていきます。

19

基準値が厳しくなって、政府による検査計画の考え方も改正されるのでしょうか。

4月からの新たな基準値の施行を踏まえ、過去の検査結果等も勘案し、原子力災害対策本部が定めた「検査計画、出荷制限等の品目・区域の設定・解除の考え方」の改正をしたところであり、最新の状況に応じた検査が実施されるよう対応することとしています。

20

基準値を厳しくすることで、検査件数が減り、違反品が流通するようになるのではないでしょうか。

新しい基準値の施行後も、地方自治体の検査が円滑に実施できるよう、

①スクリーニング検査法の見直し、

②検査計画のガイドラインを見直すとともに、

③厚生労働省でも、新たにゲルマニウム半導体検出器や簡易測定機器の導入費用を補助する

など支援を強化しています。

引き続き、地方自治体の検査体制の状況を十分把握しながら、こうした取組を通じて、検査体制の整備を図ることとしています。

食品区分や検査に関するQ&A

 

質問

回答

1

製造、加工後、飲む状態で飲料水の基準値を適用する茶の範囲を教えてください。

飲料水の区分に含まれる茶については、特に摂取量が多く水との代替関係が強い緑茶が該当します。緑茶は、せん茶と、これに類するものとして玉露、ほうじ茶、玄米茶など、チャノキを原料とし、茶葉を発酵させていないものを指します。

なお、摂取量が多い飲料として麦茶がありますが、麦茶は原料である大麦の状態で一般食品の基準100ベクレル/kgが適用されます。よって、実際に飲む状態の麦茶は、飲料水の基準である10ベクレル/kgを下回ることになります。一方、茶葉等から浸出又は抽出して飲まれる飲料であっても、緑茶と麦茶以外の、紅茶、ウーロン茶、ハーブティ、杜仲茶、ドクダミ茶、レギュラーコーヒーなどについては、摂取量に個人差があると考えられますが、平均的には摂取量が多くはなく、水との代替関係が特段に強いとは言いにくいため、飲料水の区分には該当せず、飲む状態で一般食品の基準が適用されます。

抹茶や、茶葉をそのまま粉砕した粉末茶については、茶葉から浸出された茶ではなく、茶葉そのものを摂取すること、また、アイスクリーム等の食品の原料として使用される場合も多いことから、粉末の状態で一般食品の基準を適用します。

緑茶を原料の一部に含むブレンド茶については、消費者から緑茶と同類の商品と認識されているものを含むため、茶に該当し、飲料水の基準が適用されます。また、緑茶等に砂糖、抹茶、香料、ビタミンC等を加えたものも、同様に茶に該当します。ただし、ミルクを加えたものなどで、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の乳飲料に該当するものは牛乳の区分に該当します。また、抹茶を原料に含むペットボトル飲料などのうち、緑茶の浸出液を原料に含まないものについては、飲料水の区分に該当しません。

2

玄米茶は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

3

紅茶やウーロン茶は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

4

麦茶やドクダミ茶など、チャノキを原料としないが、「茶」と名前のつく飲料は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

5

チャノキを原料の一部に含むブレンド茶は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

6

抹茶や、茶葉をそのまま粉砕した粉末茶を湯に溶かして飲用する場合は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

7

抹茶を加えたせん茶は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

8

ミルクを加えた茶飲料は、飲料水の基準が適用されますか。

9

麦茶も摂取量が多いのですが、ペットボトル入りの麦茶には、飲料水の基準値が適用されますか。

10

茶と同様に飲用されていると思われるコーヒーは、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

11

粉末飲料等の希釈して飲まれる飲料は、飲む状態で飲料水の基準値が適用されますか。

粉末ジュース、インスタントコーヒーなどの粉末清涼飲料や、青汁などの粉末飲料は、飲用茶のように茶葉から浸出された茶ではなく、溶解又は希釈された粉末自体を摂取することになり、また、多様な製品が流通し、使用方法も様々であることから、原則として、製品状態で一般食品の基準が適用されます。

12

飲用に供する茶の具体的な検査方法を示して下さい。

飲用に供する茶の検査については、荒茶又は製茶10g以上を30倍量の重量の熱水(90℃)で60秒間浸出し、40メッシュ相当のふるい等でろ過した浸出液を測定試料とすることとします。

なお、飲用に供する茶の検査を行う際には、十分な浸出を得るため、

① 熱水が90℃であることを温度計で確認した後、浸出を行うこと。

② 浸出時に茶葉が熱水中で広がるよう、ガラス棒等で大きく5回程度撹拌すること。

に留意して検査を実施して下さい。

上記①、②については、別紙のとおり、農林水産省から平成24年4月18日付け24生産第271号「お茶の放射性物質の検査に係る留意事項について」にて、通知されているので、これも参考にしてください。

また、以下の①、②の場合、飲用に供する状態で10ベクレル/kgを下回ることが確認できるものであるため、上記の飲用に供する状態での検査を不要とします。

①荒茶又は製茶に含まれる放射性セシウム濃度を、平成24年3月15日付けの食安発0315第4号で示した「食品中の放射性セシウム検査法」により測定した結果、200ベクレル/kg以下の場合

②荒茶又は製茶に含まれる放射性セシウム濃度を、平成24年3月1日付けの監視安全課事務連絡「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」で示した要件を満たした検査機器により測定した結果、150ベクレル/kg以下の場合なお、検査結果が①、②に示した数値を超えた場合は、飲用に供する状態での検査を必ず行い、検査結果を確定しなければなりません。

13

飲用に供する茶の試験に関し、荒茶又は製茶で検査する場合の検出限界値を教えて下さい。

「食品中の放射性物質の試験法について」で示した方法により測定する場合は、同試験法で基準値の1/5以下と定められているので、40ベクレル/kg以下となります。

また、「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」の要件を満たした検査機器により測定した場合は、同法で定められているとおり、25ベクレル/kg以下となります。

14

緑茶と麦茶以外の茶や、レギュラーコーヒーなど、浸出、抽出してから、飲む状態で一般食品の基準値を適用する食品について、浸出又は抽出の方法を示して下さい。

日本食品標準成分表2010(文部科学省)の食品群別留意点中に浸出、抽出の方法が記載されている紅茶、ウーロン茶、レギュラーコーヒーは、原則として、この中で最も浸出、抽出時間が長い方法に従うこととします。

15

原材料の状態と食べる状態(水戻しを行った状態)で一般食品の基準値を適用する、乾燥食品の範囲を示してください。

乾燥きのこ類及び乾燥野菜並びに乾燥させた海藻類及び乾燥させた魚介類等としており、具体的な食品としては、乾燥きのこ類は、日本標準商品分類(以下「商品分類」という。)に示された乾燥きのこ類のうち、しいたけ、きくらげなど、乾燥野菜は、商品分類に示された乾燥野菜のうち、フレーク及びパウダーを除くものとし、かんぴょう、割り干しだいこん、切り干しだいこん、ぜんまい、わらび、いもがらなど、乾燥させた海藻類は、商品分類に示された加工海藻類のうち、こんぶ、干わかめ類、干ひじき、干あらめ、寒天などが、乾燥させた魚介類は、商品分類に示された素干魚介類のうち、本干みがきにしん、棒たら、さめひれなど、煮干魚介類のうち、干あわび、干なまこなどが、それぞれ該当します。

16

水戻しを行った状態で一般食品の水戻しを行った状態で基準値を適用する乾燥食基準値を適用する乾燥食品の、水戻し方法を示してください。

品は、できるだけ飲食に供される状態と同様の状態で行う観点から、粉砕後のサンプルに、日本食品標準成分表等の水戻しによる水分含量の公表データ(重量変化率)を参考として、必要な水分をあらかじめ添加し行うことを原則とします。

ただし、乾燥状態で検査を行い、日本食品標準成分表等の水戻しによる重量変化率を用いて換算を行った結果を分析値としても差し支えありません。

なお、検査に用いる重量変化率については、平成24年3月15日付け食安基発0315第7号「食品中の放射性物質の試験法の取扱いについて」でお示ししているので、併せて御参照ください。

17

乾燥きのこについて、原材料の状態とは生のきのこの状態と、乾燥した状態と、どちらを指すのでしょうか。

生のきのこの状態を指します。

18

乾しいたけはだし汁も調理に使用しますが、水戻しを行った状態で基準値を適用する際に、だし汁はどのように考えればよいでしょうか。

乾しいたけについては、粉砕後のサンプルに、日本食品標準成分表等の水戻しによる水分含量の公表データ(重量変化率)を参考として、必要な水分をあらかじめ添加して検査を行うことを原則としています。この方法では、だし汁に溶出する分も含めて検査をしていることと同義となります。

19

濃縮スープ、濃縮たれ、濃縮つゆ、などの濃縮食品は、実際に飲食される状態に希釈して、一般食品の基準値が適用されるのでしょうか。

濃縮スープ、濃縮たれ、濃縮つゆなどの濃縮食品や、フリーズドライ食品、粉末スープ、即席みそ汁などの乾燥食品については、多様な製品が流通し、使用方法も様々であることから、原則として、製品状態で一般食品の基準が適用されます。

濃縮果汁のうち、運送用等の目的でのみ流通し、消費者など不特定の方に販売されるまでには、工場等で必ず希釈された状態に再加工されることが確実なものなどについては、濃縮された状態で飲食に供される可能性はないため、原則として、濃縮率に基づいて果汁の状態に希釈した状態に基準値が適用となります。

20

濃縮果汁は、実際に飲食される状態に希釈して、一般食品の基準値が適用されるのでしょうか。

21

フリーズドライ食品については、原材料の状態と食べる状態(湯戻しを行った状態)で一般食品の基準値を適用するのでしょうか。

22

粉末スープ、即席みそ汁等の乾燥食品は、実際に飲食される状態に希釈して、一般食品の基準値が適用されるのでしょうか。

23

乾燥食品について、水戻しの重量変化率や水戻し方法は、合理的な根拠があれば企業が独自に決めてもよいでしょうか。

水戻しを行った状態で基準値を適用する乾燥食品の重量変化率については、日本食品標準成分表等の水戻しによる水分含量の公表データ(重量変化率)を参考とすることとしています。平成24年3月15日付け食安基発0315第7号「食品中の放射性物質の試験法の取扱いについて」でお示ししているので、これを御参照ください。

24

食品工場における製造用水は、飲料水の基準値が適用されますか。

食品取扱い施設で使用する水に対しては、食品衛生法上の放射性物質の基準値は設定されていませんが、最終製品である食品については、それぞれの食品区分ごとに基準値が適用されます。また、水道水については、水道法に規定する衛生上必要な措置等に関する水道水中の放射性物質の目標として、食品衛生法上の飲料水の基準と同様に、放射性セシウムについて10ベクレル/kgと設定されていますので、これを踏まえ、食品取扱い施設で使用する水についても、適切な管理をお願いします。

25

アイスクリームに使用する原料水は、飲料水のように大量に摂取されるものではありませんが、飲料水の基準値が適用されますか。

26

乳児用食品の対象となる乳児の範囲を教えてください。

食品衛生法の法令上「乳児」について具体的な規定はありませんが、児童福祉法(昭和22年法律第164号)等の他法令では「1歳未満」である旨が規定されています。したがって、今回、食品衛生法に基づく規格基準や表示基準において規定された「乳児用食品」の対象となる「乳児」の年齢については、児童福祉法等に準じて「1歳未満」をその対象となる年齢としています。

27

乳児用食品の「乳児の飲食に供することを目的として販売する食品」とは何か、定義と範囲を明確にしてください。

乳児用食品には、一般消費者がその表示内容等により乳児(1歳未満)向けの食品であると認識する可能性が高いもので、以下のような食品が該当します。

① 健康増進法第26条第1項の規定に基づく特別用途表示食品のうち「乳児用」に適する旨の表示許可を受けたもの

・乳児用調整粉乳

② 乳児(1歳未満)の飲食に供することを目的として販売するもの

・乳幼児を対象とした調整粉乳(フォローアップミルク等の粉ミルクを含む)

・乳幼児用食品(おやつ等)

・ベビーフード

・乳幼児向け飲料(ただし、ミネラルウォーター類や飲用茶に該当する飲料は飲料水の基準を適用)

・その他(服薬補助ゼリー、栄養食品等)

なお、乳児用食品の表示基準については、現在消費者庁において検討が進められております。

28

乳児(1歳未満)向けの食品であるかどうか、どのような観点で判断していくのですか。

一般消費者がその表示内容等により乳児(1歳未満)向けの食品であると認識する可能性が高いものが対象となりますが、その判断に当たっては、製品パッケージの表示や広告媒体(インターネットを含む。)における標榜内容のほか、当該製品の意匠や仕様、そのパッケージ等の意匠、製品に添付されている説明書上の記載や店頭での掲示、取扱い店舗やその陳列場所等の販売形態などを、客観的、総合的にとらえて考慮されるべきものと考えます。

29

食品の製品パッケージに、例えば「対象年齢:1歳以上」等、乳児(1歳未満)向けではない旨を記載している食品は、今回の乳児用食品の対象食品に含まれないものとして扱ってよいですか。

基本的には、対象年齢の表示等で乳児(1歳未満)向けではない旨が製品パッケージに明瞭に表示されているものは、今回の乳児用食品の対象範囲に含まれないものとして扱って差し支えありません。

ただし、その販売形態等、乳児(1歳未満)向けの食品と明らかに認識される態様であるにもかかわらず、乳児用食品に係る規制を回避しようとする場合には、この限りではありません。

30

食品の製品パッケージに、例えば「対象年齢:7か月頃から」や「対象年齢:9か月頃から3歳頃まで」と表示している食品は、乳児用食品に含まれますか。

また、「対象年齢:12か月頃から」や「対象年齢:1歳頃から」と表示している食品は、乳児用食品に含まれますか。

子ども向けの食品の中には、乳児(1歳未満)に限定せず乳幼児までを対象とした食品がありますが、表示内容等により明らかに乳児も対象にしている場合は、乳児用食品に係る規制の対象となります。

お尋ねのように「対象年齢:7か月頃から」や「対象年齢:9か月頃から3歳頃まで」と製品パッケージに表示されている食品は、乳児(1歳未満)も喫食するように製品設計・製造等されていることが示されており、乳児用食品に係る規制の対象となります。

また、「対象年齢:12か月頃から」や「対象年齢:1歳頃から」と製品パッケージに表示されている食品については、原則として、一般食品に該当します。

なお、乳児用食品の表示基準については、現在消費者庁において検討が進められています。

31

特別なターゲット表示はないが、消化吸収が良いことから乳児にも好適である旨の表示をしている食品は、乳児用食品に該当しますか。また、その表示を削除すれば、乳児用食品に該当しなくなると解してよいでしょうか。

御指摘のとおり、乳児にも好適である旨の表示がある場合は乳児用食品に該当します。一方で、そのような表示が削除され、乳児(1歳未満)向けの食品と明らかに認識される態様ではない食品については、乳児用食品には該当しません。

32

乳児用食品の範囲の説明の中で、「乳幼児を対象とした調製粉乳」、「乳幼児用食品」、「乳幼児向け飲料」との記載があるが、乳児と乳幼児の定義の違いはあるのでしょうか。

乳児は児童福祉法等に準じて「1歳未満」をその対象としています。一方で乳幼児は、乳児と、それ以上の年齢の幼児の両方を含みます。乳幼児向けである旨が表示された食品についても、乳児が対象に含まれていることから、乳児用食品に該当します。

33

一般消費者向けのヨーグルト、リンゴジュース、お菓子、ゼリー、ハチミツなどは、乳児用食品に含まれますか。

ヨーグルト、リンゴジュース、お菓子、ゼリーなど、乳児(1歳未満)も喫食することが想定されるような食品であっても、表示内容等により乳児を対象にしていると判断される場合以外は、乳児用食品に係る規制の対象とはなりません。

なお、ハチミツについては、乳児ボツリヌス症の発生を未然に防止する観点から、乳児(1歳未満)には与えないようお願いします。

34

商品設計上は乳児用としていない食品を、消費者が乳児に与えたとしても、その商品が乳児用食品の範囲に含まれないと考えてよいでしょうか。

御指摘の通りです。

35

手作りの離乳食に使われる可能性がある食品は、乳児用食品に該当しますか。

特段、乳児向けである旨の表示等がない一般の食材については、一般食品に該当します。

36

製造・加工された食品にも新しい基準値が適用となりますが、モニタリング検査も行われるのでしょうか。

新しい基準値は、食品一般の成分規格として定められたもので、製造、加工食品にも基準値が適用されます。また、国が定めたガイドラインでは、原材料だけでなく製造・加工された食品についても検査対象としています。

37

残留農薬の基準値のように、原材料が基準値に適合していれば、その加工食品も適合していると取り扱うことはできないでしょうか。

放射性物質による汚染については、意図的に添加されたものではないこと、農産物だけでなく幅広い食品が汚染されている可能性があることなどを踏まえ、原材料だけでなく、原則として製造、加工した後の食品でも適合が求められます。

38

製造、加工の定義を教えてください。

食品衛生法において、製造とは、あるものに工作を加えて、その本質を変化させ、別のものを作り出すこと、加工とは、あるものに工作を加える点では「製造」と同様ですが、そのものの本質を変えないで形態だけを変化させることとしています。

39

米、大豆、牛肉を原材料として少しでも使用している製造・加工食品は、すべて経過措置の対象になるのでしょうか。

少量であっても、米、牛肉、大豆を原材料として使用した製造・加工食品は経過措置の対象になります。

40

新しい基準値を適用する以前に製造・加工された食品を原材料として、新基準値の適用以後に製造・加工する場合には、原材料となる加工食品は暫定規制値に適合していればよいのでしょうか。

新しい基準値の施行前に製造・加工された食品は、新基準の施行後であっても、原材料として使用することができます。ただし、新基準の施行後に、暫定規制値に適合した食品を原材料として更に製造・加工された食品は、新基準値に適合している必要があります。

41

主食の米から、少量しか摂取されない香辛料まで、摂取量に関係なく一般食品の基準値を適用するのはどうしてでしょうか。

食品区分の設定に当たっては、①個人の食習慣の違い(摂取する食品の偏り)の影響を最小限にすることが可能であること、②国民にとって分かりやすい規制となること、③食品の国際基準を策定するFAOとWHOの合同会議であるコーデックス委員会などの国際的な考え方と整合することを考慮して、食品全体(一般食品)を1つの基準値とすることを基本としました。

また、一般食品の限度値の算出に際しては、主食である米などの摂取も含めたトータルとしての1日平均摂取量を用いています。その際、流通する食品の汚染割合を50%と設定して基準値を計算していますが、仮に、すべての米が100ベクレル/kgの基準値上限(汚染割合100%)で汚染されている想定で線量を計算しても、あらゆる年齢区分で年間1ミリシーベルトを超えません。このため、主食である米に特に厳しい基準値を設定する必要はないと考えています。

42

平成24年3月15日付けの食安発0315第4号で示した「食品中の放射性セシウム検査法」により測定した場合の、検査の検出限界値を食品区分ごとに示してください。

検出限界値は基準値の1/5としていますので、一般食品であれば20ベクレル/kg以下、牛乳及び乳児用食品については10ベクレル/kg以下、飲料水については2ベクレル/kg以下です。

43

検査結果と基準値の差がわずかであった場合、サンプルの不均一性や検出器の誤差はどのように考えればよいでしょうか。

食品中の放射性物質の検査法において、測定結果が基準値の75%~125%の範囲であった場合、測定結果のばらつきを考慮し、セシウム134とセシウム137それぞれの測定結果の標準偏差について、二乗平均平方根を求め、これが測定結果の1/10以下であることを満たす必要があります。

また、検出機器の校正については、「文部科学省編放射能測定シリーズNo.7ゲルマニウム半導体検出器によるガンマ線スペクトロメトリー」に記載の方法、あるいは国際的に認められた方法に従うよう定められており、検出機器間の測定結果の信頼性は担保されています。

44

平成24年3月1日付けの監視安全課事務連絡「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」により測定した場合の、検査の測定下限値を示してください。

「食品中の放射性セシウムスクリーニング法」は一般食品の検査にのみ適応が可能で、測定下限値は、基準値(100ベクレル/kg)の1/4である25ベクレル/kg以下としています。

45

通常、水で浸出して飲用に供される茶は、どのように検査を行うのでしょうか。

水で浸出して飲用に供される茶についても、「食品中の放射性セシウム試験法」及び平成24年3月15日付けの食安基発0315第7号で示した、荒茶又は製茶の状態で検査する方法に従って検査を行うこととします。

46

検査結果を記載する際に、有効数字は何桁にするのでしょうか。

検査結果は、有効数字2桁で記載してください。

基準値は、セシウム134とセシウム137の濃度の合計値として定められているので、両核種それぞれの値を3桁目まで求めて、これを合計した上で3桁目を四捨五入し、有効数字2桁とします。

例えば、セシウム134が44.9ベクレル/kg、セシウム137が60.0ベクレル/kgだった場合、合計した値は104.9ベクレル/kgとなるので、3桁目を四捨五入し、放射性セシウムの検査結果は100ベクレル/kgとなります。

47

セシウム137のみが検出され、セシウム134が不検出の場合の検査結果は、どのように取り扱うのでしょうか。

セシウム134の検出限界値を足す必要はなく、セシウム137のみの検出値をもって、放射性セシウムの検査結果とします。なお、セシウム134とセシウム137検査結果を個別に記載する場合、セシウム134の方には検出限界値を記載します。

48

平成24年3月31日までに製造、加工された食品を、容器に入れたり、包装したりする(パッケージング)場合、経過措置の対象となるのでしょうか。

今回の放射性物質の経過措置は、流通に混乱が起きないようにする観点で設けたものです。このため、放射性物質に関しては、食品を容器に入れたり、又は包装したりすること(パッケージング)より前の製造、加工の内容で実際の製造、加工の日を判断し、この日が平成24年3月31日以前の食品は経過措置対象となります。

49

平成24年3月31日までに製造された乾燥しいたけや茶など、暫定規制値には適合していないが新基準値には適合している食品について、食品衛生法第54条に基づく廃棄処分等の行政処分対応、回収指導等の行政指導等の措置をとる必要があるのでしょうか。

御指摘の食品について、平成24年3月15日付け食安発0315第4号「食品中の放射性セシウムの試験法について」及び同日付食安基発0315第7号「食品中の放射性物質の試験法の取扱いについて」に基づき検査を行い、新基準値に適合していることが確認された場合には、食品衛生法第54条に基づく廃棄処分等の行政処分対応、回収指示等の行政指導等の措置をとる必要はありません。

50

チマキに用いる笹の葉などは実際には摂取されませんが、食品として放射能の基準値が適用となるのでしょうか。

チマキ、柏餅等に使用されている笹、柏等の葉は当該食品を構成する一部分であり、その食品と密接不可分の関係にあるので、食品として取り扱われています。しかしながら、食品を包んでいる笹等の葉は摂取されない一方で、喫食する餅等には、緑茶などと同様に、笹等の葉から含有成分が浸出されている可能性があります。そこで、笹等の葉と密接に接触し、含有成分が浸出された内容物としての餅等に対して、一般食品の基準値が適用されます。このため、チマキに笹の葉を用いる際などには、加工後の餅等が一般食品の基準値を超えることがないよう管理してください。なお、粉末状の笹茶など、直接摂取される葉については、粉末の状態で一般食品の基準値が適用されます。

その他のQ&A

 

質問

回答

1

原材料が基準値に適合している食品を用いて、最終食品が基準値を超過した場合は、誰に責任があるのでしょうか。

御質問の場合は、最終食品を製造、販売する事業者に、基準値に適合している食品を製造、販売する責任がかかります。

2

基準値を超過した食品を流通させた事業者に対しては、どのような処分があり得るのでしょうか。

新しい基準値は、食品衛生法第11条第1項に基づく食品の成分規格として定められるものであり、これに違反した場合は、厚生労働大臣又は都道府県知事は、必要に応じ、改善指導、当該食品の廃棄命令(食品衛生法第54条)や、当該営業者の営業許可の取消し(同第55条)を行うことができるほか、悪質な事例については告発が行われ、罰則として、2年以下の懲役又は200万円以下の罰金(同第72条)が適用される場合があります。

3

基準値を超過する食品を混合し、放射性物質を希釈することで基準を満たすことは認められるのでしょうか。

新しい基準値は、食品衛生法第11条第1項に基づく食品の成分規格として定めるものであり、これに適合しない食品を製造、輸入、加工、使用、調理、保存、販売することはできません。したがって、新基準値を超過する食品を原料として使用することも禁止されます。

4

食品添加物における放射性物質の基準値はどのように考えればよいでしょうか。

新しい基準値については、食品一般の成分規格として定めるものであり、食品添加物については対象となりません。ただし、食品添加物が使用された食品に対しては放射性物質の基準が適用となり、基準値を超過した食品を製造、輸入、加工、使用、調理、保存、販売することはできません。

5

家庭菜園で作った野菜など、自己消費する食品についても新基準値は適用されるのでしょうか。

家庭菜園で作った野菜を自己消費する場合など、販売の用に供することを目的としない食品については、規制の対象にはなりません。

6

工業用など、食用以外に使用されるものの扱いはどうなるのでしょうか。

工業用原料など食用以外の目的で使用されるものは、食品衛生法では規制していません。

7

新しい基準値は、今後、見直しが予定されているのでしょうか。

新しい基準値は、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた平成24年4月以降の長期的な状況に対応するものであり、現在の状況に大きな変化がなければ、見直しの予定はありません。

8

たばこには食品の基準値が適用されるのでしょうか。

たばこは食品ではないので、食品衛生法に基づく規制の対象にはなりません。

(別紙)

○お茶の放射性物質の検査に係る留意事項について

(平成24年4月18日)

(24生産第271号)

(東北農政局生産部長・北陸農政局生産部長・関東農政局生産部長・東海農政局生産部長・近畿農政局生産部長・中国四国農政局生産部長・九州農政局生産部長あて生産局農産部地域作物課長通知)

平成24年産のお茶の放射性物質の検査については、各都県において放射性物質の検査計画を策定し、まもなく実施する段階となっている。

こうした中で、農林水産省が、「食品中の放射性物質の試験法について」(平成24年3月15日厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知)に示された飲用に供するお茶の浸出条件を変えて、別添のとおり荒茶からの浸出試験を行ったところ、荒茶から十分な浸出を得るための条件が明らかになった。

このため、検査に当たっては、以下の条件に留意して荒茶からの浸出を行うよう、貴職から貴局管内の各都府県に通知されたい。

1.熱水が90℃であることを温度計で確認した後、浸出を行うこと。

(理由)60℃の熱水で浸出した浸出液の放射性セシウム濃度は、90℃の熱水で浸出した浸出液と比べ、統計的に有意に低く、茶葉からの放射性セシウムの浸出効率の温度依存性が強いことが明らかになったため。

2.浸出時に茶葉が熱水中で広がるよう、ガラス棒等で大きく5回程度攪拌すること。

(理由)攪拌を行って浸出した浸出液の放射性セシウム濃度は、攪拌を行わないで浸出した浸出液と比べ、統計的に有意に高く、茶葉からの浸出効率を上げるためには攪拌が主要な因子であることが明らかになったため。

(別添)

お茶の放射性物質の検査における変動要因

農林水産省において、放射性セシウムを含有する荒茶を使用し、「食品中の放射性物質の試験法について」(平成24年3月15日厚生労働省医薬食品局食品安全部長通知。以下「試験法通知」という。)に示された浸出条件(荒茶又は製茶10g以上を30倍量の重量の熱水(90℃)で60秒間浸出し、40メッシュ相当のふるい等でろ過)を基本として、異なる条件で浸出した浸出液の放射性セシウム濃度を測定し、浸出条件の違いが浸出液の放射性セシウム濃度に及ぼす影響について調査を行ったところ、以下の結果が得られた。

(参考) 調査の実施概要

①使用した茶葉 平成23年産の荒茶

②調査年月日 平成24年3月19~23日

③協力機関 (財)日本食品分析センター

1 浸出に用いる熱水の温度の違いによる影響

60℃の熱水で浸出したところ、浸出液の放射性セシウム濃度は、同一の茶葉を用いて90℃の熱水で同一時間浸出した場合の約60%であり、統計的に有意に低かった。

熱水の温度

浸出液の総放射性Cs濃度(Bq/kg)

相対濃度

反復1

反復2

反復3

平均値

90℃

5.1

4.7

5.9

5.2

100

60℃

4.0

3.4

2.5

3.3

63

1) 使用した茶葉の放射性セシウム濃度 270Bq/kg

2) 熱水の温度以外の条件は、厚生労働省から示された浸出条件による。

3) *は熱水温度90℃に対し有意に低い(α=0.05でt検定を実施)。

2 浸出時の攪拌の有無による影響

試験法通知では、浸出時の攪拌は求めていないが、攪拌を行いながら浸出したところ、浸出液の放射性セシウム濃度は、同一の茶葉を用いて同一の湯温・浸出時間の条件で攪拌せずに浸出した場合の約130%であり、統計的に有意に高かった。

攪拌の有無

浸出液の総放射性Cs濃度(Bq/kg)

相対濃度

反復1

反復2

反復3

反復4

平均値

攪拌なし

4.3

5.8

5.2

5.1

5.1

100

攪拌あり

6.7

6.8

5.9

6.5

127

1) 使用した茶葉の放射性セシウム濃度 293Bq/kg

2) 攪拌の有無以外の条件は、厚生労働省から示された浸出条件による。

3) 攪拌は、スターラーを用いて行った。

4) *は「攪拌なし」の場合に対し有意に高い(α=0.05でt検定を実施)。

3 その他

(1) 浸出液を室温下で長時間放置した場合の影響を調べたところ、24時間後、48時間後、72時間後の放射性セシウム濃度には、それぞれ浸出直後と比べて有意な差は見られなかった。

(2) 浸出時間を長くした場合の影響を調べたところ、120秒間浸出した浸出液の放射性セシウム濃度には、60秒間浸出した場合と比べて有意な差は見られなかった。