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○児童虐待・DV事例における児童手当関係事務処理について

(平成24年3月31日)

(雇児発0331第4号)

(都道府県知事あて厚生労働省雇用均等・児童家庭局長通知)

児童手当法の一部を改正する法律(平成24年法律第24号)が本日公布され、平成24年4月1日より施行されることに伴い、児童虐待・DV事例における児童手当法(昭和46年法律第73号。以下「法」といいます。)に基づく児童手当関係事務処理について、下記のとおり運用指針を定めましたので通知します。

本通知の運用並びに児童相談所等児童虐待関係機関、婦人相談所等DV関係機関及び管内市町村(特別区を含む。以下同じ。)への周知について特段のご配慮をお願いします。

また、本通知は、公務員に対する児童手当等(児童手当及び法附則第2条第1項の給付をいう。以下同じ。)の支給事務にも関わるため、国家公務員に関しては当方より所属庁宛に別途通知を行うものですが、地方公務員に関しては、所属の公務員に対する児童手当等の支給事務を担当する部署にも周知が図られるよう、よろしくお取りはからい願います。

なお、本通知は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4に規定する技術的な助言に当たるものです。

第一 児童虐待等が認められる事例

1 職権による支給事由消滅処理を行うべき事例

「市町村における児童手当関係事務処理について」(平成24年3月31日雇児発0331第3号本職通知。以下「ガイドライン」という。)第22条においては、公簿等によって児童手当等の支給事由が消滅したものと確認したときは、職権により児童手当等の支給事由消滅の処理をすることとしている。

児童虐待等が認められる事例に関しては、個々の事例により状況が様々であることから、児童相談所等との連携の下、慎重に判断する必要があるが、当該児童の父母又はこれに代わり当該児童を監護すべき者(以下「保護者」という。)が児童を虐待し、著しくその監護を怠り、その他保護者に監護させることが不適当と認められる場合には、監護要件を満たさないと判断できるものとして、職権による上記処理を行うこと。

具体的には、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第33条の7等に基づき、親権者のいずれの者についても親権喪失又は親権停止の審判の請求が行われ、同審判がなされている場合が考えられること。

2 事務処理の流れ

以下のとおり、都道府県及び市町村において連携を取って事務処理を進めること。

(1) 都道府県(政令指定都市及び児童相談所設置市にあっては当該市。以下同じ。)においては、

① 上記1に該当する事例が発生した際には、随時、速やかに別紙様式1により、保護者の居住する市町村に通知すること。

② 下記(2)の①により市町村より報告を受けた場合には、別紙様式1により、保護者の勤務する所属庁に通知し、市町村に準じて下記(2)により処理を行うよう依頼すること。

(2) 市町村においては、

① 上記(1)①の通知を受けた市町村において、自らが支給を行っていない場合(保護者が公務員である場合)には、当該保護者の所属庁の確認に努め、別紙様式1の備考欄に所属庁の名称を記載したものを送付することにより、都道府県に対して報告すること。

② 都道府県から通知された者について、支給事由消滅処理を行った場合には、その旨を、別紙様式1の備考欄に支給事由消滅処理年月日を記載したものを送付することにより、当該都道府県に対して報告すること。

③ 支給事由消滅処理を行った後に、当該保護者が他市町村へ転出したことを把握した場合には、当該転出先市町村へ、②により都道府県に送付した別紙様式1の写しを送付し、連絡を行うこと。

第二 配偶者からの暴力を訴えている事例

1 職権による支給事由消滅処理を行うべき事例

配偶者からの暴力を訴えている事例についても、個々の事例により状況が様々であることから、配偶者暴力相談支援センター等との連携の下、慎重に判断する必要があるが、以下のイからハのいずれかに該当する場合は、配偶者から暴力を受けたと訴えている者(以下「申請者」という。)の配偶者(以下「配偶者」という。)は支給要件に該当しないものと判断できること。

イ 現に申請者が専属的に児童の監護を行っており、かつ生計同一である場合

ロ 現に児童手当等を受給している配偶者の監護が一切ない場合でなくとも、児童の生計を維持する程度の高い者が申請者であると認められる場合

ハ 申請者と配偶者が住民票の住所を異にしており、住民票上、児童と同一世帯に属している申請者と配偶者が生計を同じくしない場合

上記のような場合には、配偶者に対して、ガイドライン第22条に基づき、職権による児童手当等の支給事由消滅の処理を行うとともに、申請者に対して、児童手当等の申請の援助・審査等を行うこと。

イ及びロについては、こうした処理を行うべき具体的事例として、以下のような場合で、かつ、申請者が現に児童を監護し、配偶者に比して生計を維持する程度が高い場合が想定されること。

(1) 次の①から③に掲げる場合で、配偶者からの暴力を理由として申請者及びその児童が、国民健康保険法上、配偶者と別の世帯に属し、国民健康保険に加入していること、又は健康保険法、船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法の規定による配偶者の被扶養者となっていないこと。

① 配偶者に対し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)第10条に基づく保護命令(同条第1項第1号に基づく接近禁止命令又は同項第2号に基づく退去命令)が出されている場合

② 「配偶者からの暴力被害者の取扱い等に関する証明書の発行について」(平成20年5月9日雇児福発第0509001号)に基づき、婦人相談所等による「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」が発行されている場合

③ 住民基本台帳事務処理要領(昭和42年自治振第150号自治省行政局長等から各都道府県知事あて通知)に基づき、被害者より、配偶者等からの住民基本台帳の閲覧等の制限に係る申し出を受け、当該支援措置の対象となっている場合

(2) (1)に掲げる場合のほか、例えば、申請者と児童が母子生活支援施設に入所しており、配偶者と児童との間に生活の一体性がないと認められる場合など、配偶者が、監護又は生計要件を満たさないと客観的事実に基づき判断できる場合

2 事務処理の流れ

以下のとおり、都道府県及び市町村において連携を取って事務処理を進めること。なお、申請者の新住所地の市町村が、配偶者の住所地の市町村と同一都道府県内にある場合は、以下の(2)及び(6)の通知は不要であること。

(1) 申請者の新住所地の市町村から都道府県への連絡

申請者より、児童手当等の支給に係る相談を受けた市町村は、当該者が、児童を監護し、かつ、生計を同じくしている等、受給資格を有する旨の確認を行った上で、上記1(1)又は(2)のいずれかに該当する旨を確認できる書類を、都道府県へ送付すること。この際、配偶者が公務員である場合は、その所属庁を併せて連絡すること。

なお、受給資格者の住所要件については、住民票により確認することとしているが、配偶者に住所を知られることで危害が加えられるおそれが強い場合等、住民票の移動ができないことにやむを得ない理由がある場合には、現実の住所地の市町村において認定請求書を受理して差し支えない。

(2) 申請者の新住所地の都道府県から配偶者の住所地の都道府県又は所属庁への連絡

申請者の新住所地の市町村より、(1)の連絡を受けた都道府県においては、配偶者の住所地の都道府県に対して、別紙様式2により通知すること。

なお、配偶者が公務員である場合は、当該所属庁に対し、別紙様式3により通知し、市町村に準じて下記(4)及び(5)により処理を行うよう依頼すること。

(3) 配偶者の住所地の都道府県から市町村への連絡

(2)の通知を受けた都道府県は、配偶者の住所地の市町村に対し、別紙様式3により、ガイドライン第22条に基づき、職権により当該配偶者に対する児童手当等の支給事由消滅の処理を行うよう、通知すること。

(4) 配偶者の住所地の市町村における職権による支給事由消滅処理

(3)の通知を受けた市町村においては、ガイドライン第22条に基づき、職権による児童手当等の支給事由消滅の処理を行うこと

(5) 配偶者の住所地の市町村から都道府県への報告

都道府県から通知された者について、支給事由消滅処理を行った場合には、その旨を、別紙様式3の備考欄に処理年月日を記載したものを送付することにより、当該都道府県に対して報告すること。

(6) 配偶者の住所地の都道府県から申請者の新住所地の都道府県への報告

(5)の報告を受けた都道府県は、別紙様式2の備考欄に支給事由消滅処理年月日を転記したものを送付することにより、申請者の新住所地の都道府県へ処理結果等を報告すること。

(7) 申請者の新住所地の都道府県から市町村への連絡

(6)の報告(申請者の新住所地の市町村が、配偶者の住所地の市町村と同一都道府県内にある場合は(5)の報告。配偶者が公務員の場合にあっては(5)に準じて行われる所属庁からの報告)を受けた都道府県は、送付を受けた別紙様式2(配偶者が公務員の場合にあっては別紙様式3)の写しを転送することにより、申請者の新住所地の市町村へ、配偶者の児童手当等の支給事由消滅処理を行った旨を連絡すること。

(8) 申請者の新住所地の市町村における児童手当等の支給開始

(7)により連絡を受けた市町村においては、申請者に対する児童手当等の支給を開始すること。

第三 関係機関との連携等

1 第一及び第二のような事例への対応に当たっては、市町村の児童手当関係事務担当だけでの対応は困難な場合が多いと考えられることから、各都道府県においても、市町村からの個別事例の取扱等について照会を受けた場合には、児童相談所、配偶者暴力相談支援センター等の関係機関との連携を図り、児童虐待防止対策担当や配偶者暴力防止対策担当等の協力も得ながら、市町村に対する助言、指導等の特段の御配慮をお願いする。特に、支給事由消滅を行った市町村において、支給事由消滅の対象となった保護者又は配偶者に説明を行う際には、保護者又は配偶者との関係で困難が予想されるところであり、当該保護者又は申請者の担当である児童相談所及び配偶者暴力相談支援センターにおいては、市町村から相談のあった際には、丁寧な対応をお願いしたい。

2 また、第一及び第二のような事例については、市町村や都道府県の区域を越えた対応が求められる場合も考えられることから、市町村による職権処理等の事務処理が円滑に進むよう、管内市町村間の調整や他の都道府県との調整等について、併せて特段の御配慮をお願いする。

第四 個人情報保護に関する考え方

上記の運用指針に従った事務処理を行う上では、虐待又は配偶者からの暴力に係る個人情報を、関係行政機関内で共有することとなる。

こうした取扱いについては、児童手当等の支給事務を適切に遂行する上で必要最小限度のものであり、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第8条第2項の利用又は提供の制限の規定の趣旨に照らし十分適切な範囲内と考えられるが、個人情報の内容にかんがみ、その取扱いには十分に留意すること。

第五 その他

平成24年4月1日以降に行う平成23年9月分までの子ども手当に係る児童虐待・DV事例に関する事務処理については、従前の例によること。

別紙様式1

別紙様式2

別紙様式3