添付一覧
○労災診療費算定基準の一部改定に伴う運用上の留意事項について
(平成24年3月30日)
(基労補発0330第2号)
(都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局労災補償部補償課長通知)
労災診療費算定基準の一部改定については、平成24年3月30日付け基発0330第20号(以下「局長通達」という。)により指示されたが、この運用に当たっては下記の事項に留意の上、その取扱いに遺漏なきを期されたい。
記
1 再診料(局長通達の記の3関係)
局長通達の記の3に追加されたアは、これまでの取扱いを改めて示したものであること。
また、追加されたイは、今般の診療報酬の算定方法(平成20年3月5日厚生労働省告示第59号)の改正(以下「診療報酬の改正」という。)により、同一保険医療機関において、同一日に他の傷病について、別の診療科を再診として受診した場合は、2つ目の診療科に限り、所定の点数を算定できるようになったことから、労災保険においても、同一の医療機関において、同一日に複数の診療科を再診として受診した場合、2つ目の診療科に限り、670円を算定できることとしたものであること。
2 再就労療養指導管理料(局長通達の記の4関係)
(1) 精神疾患は、療養上必要な指導事項及び就労上必要な指導事項が多岐にわたることから、精神疾患を主たる傷病とする場合とその他の疾患の場合に区分した上で、点数を見直し、精神障害を主たる傷病とする場合については560点に引き上げたものであること。
(2) これまで労災診療費算定基準の別紙様式として指導管理箋が示されていたが、今回の見直しを契機に、新たに精神障害を主たる傷病とする場合の様式を作成するとともに、これまでの指導管理箋の様式を見直し、別紙様式1から4のとおりとされたものであること。
別紙様式1は、精神障害を主たる傷病とするもの(患者用)、別紙様式2は、精神障害を主たる傷病とするもの(産業医用)、別紙様式3は、精神障害を主たる傷病としないもの(患者用)、別紙様式4は、精神障害を主たる傷病としないもの(産業医用)であり、今後は別紙様式1から4又はこれに準じた文書を作成し、その内容を傷病労働者に説明の上、交付するとともに、その写しを診療録に添付し明確にしておく必要があること。
3 リハビリテーションの継続理由の記載等の省略
改正前は、①標準的算定日数を超えて疾患別リハビリテーションを継続して行う場合は、診療費請求内訳書の摘要欄に標準的算定日数を超えて行うべき医学的所見等を記載すること、②労災リハビリテーション評価計画書を診療費請求内訳書に添付して提出した場合には、診療費請求内訳書の摘要欄に標準的算定日数を超えて行うべき医学的所見等を記載する必要はないことと取り扱ってきた。
改正後は、健保点数表の疾患別リハビリテーション料の各規定の注4(運動器リハビリテーションにおいては注5)に示す範囲内でリハビリテーションを行う場合(標準的算定日数を超えて疾患別リハビリテーションを1月13単位以内で行う場合)には、特段、診療費請求内訳書の摘要欄に標準的算定日数を超えて行うべき医学的所見等を記載する必要はないこととする。
なお、労災保険では、標準的算定日数を超え、さらに疾患別リハビリテーションを1月13単位を超えて行うことができるが、この場合には、従前のとおり、上記①又は②の対処が必要となるものであること。
4 リハビリテーションの初期加算(局長通達の記の5関係)
診療報酬の改正により、疾患別リハビリテーションについて、早期リハビリテーション加算に加えて、発症等から14日に限り初期加算(1単位につき45点)を算定できるようになったことから、当該初期加算を追加したものであること。
5 石綿疾患労災請求指導料(局長通達の記の6関係)
(1) 石綿関連疾患の診断及び労災請求の促進を図るため、石綿関連疾患の診断を行った上で、当該傷病労働者に対する問診を実施し、業務による石綿ばく露が疑われる場合に労災請求の勧奨を行い、実際に労災請求された場合には、新たに当該指導料を算定できるようにしたものであること。
(2) 次の①から④の事項については、診療録に記載し明確にしておく必要があること。
① 石綿関連疾患の診断を行ったこと
② 患者に行った問診内容(概要)
③ 業務による石綿ばく露が疑われた理由
④ 労災請求の勧奨を行ったこと
(3) 療養の給付請求書取扱料は、別途算定できるものであること。
6 リハビリテーション情報提供加算(局長通達の記の6関係)
(1) 早期職場復帰に向けて、リハビリテーションが、転院後においても、早期にかつ計画的に行われることを促進するため、健保点数表の診療情報提供料(250点)及び退院後の治療計画、検査結果その他の必要な情報を添付した場合の加算(200点)とは別に、医師又は医師の指揮管理のもと理学療法士若しくは作業療法士が作成した労災リハビリテーション実施計画書(転院までの実施結果を付記したもの又は添付したものに限る。以下同じ。)を傷病労働者の同意を得て転院の際に添付した場合には、新たに当該加算を算定できるようにしたものであること。
(2) 労災リハビリテーション実施計画書は、労災診療費算定基準の別紙様式5又はこれに準じた文書により作成することとし、
① 傷病労働者の「これまでの仕事内容」、「これまでの通勤方法」、「復職希望」等を踏まえた「職場復帰に向けた目標」
② リハビリテーションの項目として、職場復帰に向けた目標を踏まえた業務内容・通勤方法等を考慮した内容(キーボードの打鍵やバスへの乗車等)を盛り込む必要があること。
(3) 労災リハビリテーション実施計画書を添付した場合には、その写しを診療録に添付し明確にしておく必要があること。
7 術中透視装置使用加算(局長通達の記の6関係)
(1) 術中透視装置を使用した場合には、小切開での手術が可能となり、傷病労働者の身体への負担が低減されるため、早期離床、早期リハビリテーションが可能で、早期職場復帰に効果があることから、新たに当該加算を算定できるようにしたものであること。
(2) 術中透視装置を使用したことについては、診療録に記載し明確にしておく必要があること。
(3) 本使用加算は、労災診療費算定基準の「四肢の傷病に係る処置等の加算」の対象にはならないこと。
8 頸椎固定用シーネ、鎖骨固定帯及び膝・足関節の創部固定帯(局長通達の記の6関係)
(1) 頸椎固定用シーネ(いわゆるポリネック)、鎖骨固定帯(いわゆるクラビクルバンド)及び膝・足関節の創部固定帯は、筋力・体力の低下防止が期待でき、傷病の程度によっては有効で早期職場復帰が図られるため、労災保険において算定できるようにしたものであること。
(2) 医師の診察の結果、頸椎固定用シーネ、鎖骨固定帯及び膝・足関節の創部固定帯の使用が必要と判断した旨を診療録に記載し明確にしておく必要があること。