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○「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」について

(平成24年3月23日)

(薬食審査発0323第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

医薬品の製造販売承認に際して添付すべき非臨床における安全性試験の資料に関し、バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価については、「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価について」(平成12年2月22日付け医薬審第326号厚生省医薬安全局審査管理課長通知。以下「課長通知」という。)の別添「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」(以下「旧ガイドライン」という。)により取り扱ってきたところですが、今般、日米EU医薬品規制調和国際会議(以下「ICH」という。)における合意に基づき、新たに「バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価」(以下「新ガイドライン」という。)を別添のとおり定めましたので、下記事項を御了知の上、貴管内関係者に対し周知方御配慮願います。

なお、本通知の適用に伴い課長通知は廃止します。

1.背景

優れた医薬品の国際的な研究開発の促進及び患者への迅速な提供を図るため、承認審査資料の国際的な調和を図る必要性が指摘されている。このような要請に応えるため、ICHにおける合意に基づき、近年の科学の進歩及び経験を踏まえて、新ガイドラインが定められた。

2.新ガイドラインの要点

(1) 新ガイドラインは、旧ガイドラインの内容を第1部とし、今般、ICHにおいて合意された内容を第2部(補遺)としたこと。

(2) 第1部については、現時点において標準的に使用される用語等を踏まえ、記載整備を行ったこと。

(3) 第2部については、動物実験の3R(使用動物数の削減・動物の苦痛軽減・代替法の利用)の原則に従って、第1部にある動物種の選択、試験デザイン、免疫原性、生殖発生毒性及びがん原性評価について補足する指針を示したこと。

(4) 第1部と第2部で記載内容が異なる場合は、後に示された第2部の指針が優先されること。

3.今後の取扱い

この通知は平成24年3月23日より適用し、本通知に基づいて実施された試験による資料を、医薬品の製造販売承認申請に際し添付すべき資料とすることができる。

[別添]

バイオテクノロジー応用医薬品の非臨床における安全性評価

目次

第1部:

1.緒言

1.1 背景

1.2 目的

1.3 適用範囲

2.被験物質の規格

3.非臨床安全性試験

3.1 一般原則

3.2 生物学的活性/薬力学

3.3 動物種/モデルの選択

3.4 動物数/性別

3.5 用法/用量の設定

3.6 免疫原性

4.個別留意事項

4.1 安全性薬理試験

4.2 曝露評価

4.2.1 薬物動態・トキシコキネティクス

4.2.2 試験法

4.2.3 代謝

4.3 単回投与毒性試験

4.4 反復投与毒性試験

4.5 免疫毒性試験

4.6 生殖発生毒性試験

4.7 遺伝毒性試験

4.8 がん原性試験

4.9 局所刺激性試験

5.注釈

第2部:補遺

1.緒言

1.1 補遺の目的

1.2 補遺の背景

1.3 補遺の適用範囲

2.動物種の選択

2.1 一般原則

2.2 1種類又は2種類の動物種

2.3 相同タンパク質の使用

3.試験デザイン

3.1 用量設定及び薬物動態/薬力学的原則の適用

3.2 試験期間

3.3 回復性

3.4 早期探索的臨床試験

4.免疫原性

5.生殖発生毒性

5.1 概要

5.2 受胎能

5.3 胚・胎児発生(EFD)並びに出生前及び出生後の発生(PPND)

5.4 試験の実施時期

6.がん原性

7.注釈

8.参考文献

第1部:

1.緒言

1.1 背景

バイオテクノロジー応用医薬品(以下「バイオ医薬品」という。)は1980年代初期に初めて開発され、1980年代後期には最初のバイオ医薬品が承認された。バイオ医薬品の安全性に関する評価については、各極の規制当局からガイドライン及び留意点(ポイント・ツー・コンシダー)に関する文書が公表されている。規制当局から入手可能なこれらの文書は、新しいバイオ医薬品を開発する上での有益な基礎知識を与えるであろう。

バイオ医薬品が申請されるにつれて、多くの経験が蓄積されてきた。本ガイドラインは、これまでに蓄積された経験の厳密な精査に基づき作成され、科学的に受け入れ可能なバイオ医薬品の非臨床安全性試験計画を立案するための一般的な原則を提供することを目的としている。

1.2 目的

バイオ医薬品の承認に関する基準は日、米及びEUとも一般に類似している。臨床開発及び製造承認のために必要な非臨床安全性評価については、各極とも柔軟性があり、場合に即し、科学に基づいた研究方法を採用している。急速に発展しているこの分野においては、各極とも共通の理解を持ち、継続的な意見交換を行う必要がある。

非臨床における安全性評価の主な目的は、1)ヒトに適用する際の安全な初回投与量とその後の増量計画を設定すること;2)毒性の標的となる恐れのある臓器を特定し、その毒性が可逆的なものであるかの検討を行うこと;3)臨床でのモニタリングを実施する際の安全性の評価項目を見出すことである。本ガイドラインで示される原則に従うことにより、バイオ医薬品の開発に必要な非臨床安全性試験成績の質及び整合性の向上を図ることを目指すものである。

1.3 適用範囲

本ガイドラインはバイオ医薬品の非臨床安全性評価において推奨される基本的な枠組みを示すことを主眼としている。本ガイドラインは細菌、酵母、昆虫、植物及び哺乳動物細胞を含む種々の発現系を用いて、特性解析がなされた細胞に由来する医薬品に適用される。これらのバイオ医薬品は、in vivoの診断、治療又は予防に使用されることが目的とされうる。有効成分としてタンパク質及びペプチド、それらの誘導体及びこれらを構成成分とする製品が含まれる。これらは、培養細胞から抽出されるか、トランスジェニック植物やトランスジェニック動物による産生を含む組換えDNA技術を応用して製造される。例えば、サイトカイン、プラスミノーゲンアクチベーター、組換え血漿因子、増殖因子、融合タンパク質、酵素、受容体、ホルモン及びモノクローナル抗体等が掲げられるが、これらに限るものではない。

本ガイドラインに示される原則は、組換えDNA由来のタンパク質ワクチン、化学合成ペプチド、血漿由来製剤、ヒト組織から抽出した内在性のタンパク質及びオリゴヌクレオチド製剤にも適用されうる。

本ガイドラインは抗生物質、アレルゲンエキス、ヘパリン、ビタミン、細胞性血液成分、従来の細菌若しくはウイルスワクチン、DNAワクチン又は細胞治療及び遺伝子治療には適用されない。

2.被験物質の規格

不純物や混入物質の存在により、安全性に関する問題が生じる可能性がある。不純物や混入物を定性的に特定する非臨床試験計画を設定するより、それらを除去する精製過程をおく方が望ましい。すべての場合において、非臨床試験計画を適切に立案するためには、バイオ医薬品の特性が十分に解析されている必要がある。

バイオ医薬品には、細菌、酵母、昆虫、植物及び哺乳動物細胞由来の宿主細胞成分の混入に起因するリスクが伴う可能性がある。このような宿主細胞成分の混入によりアレルギー反応やその他の免疫病理学的反応が惹起される可能性がある。核酸の混入に起因する有害作用は理論上ありうることではあり、宿主のゲノムに組み込まれる可能性もある。昆虫、植物及び哺乳動物細胞、又はトランスジェニック植物及びトランスジェニック動物由来の医薬品の場合にはさらにウイルス感染の危険性もある。

一般的に、最終的な薬理試験及び毒性試験に用いる検体は、臨床試験で最初に使用することが予定されているものと同等でなければならない。しかし、開発の過程において製品の品質及び収量を向上させるために製造工程に変更を加えることが通常行われることは認識されている。実験動物で得られた知見をヒトに外挿する際には、そのような変更が大きな影響を与えるのかを十分に考慮しなければならない。

新規若しくは改良された製造工程を用いた場合又は製品若しくは製剤に重大な変更を加えた場合には、開発期間中の被験物質の同等性を示さなければならない。同等性は、生化学的及び生物学的特性(確認試験、純度、安定性及び力価)に基づいて評価することができる。追加試験(即ち、薬物動態試験、薬力学試験及び安全性試験)が必要となる場合もある。その場合には、用いる試験方法の科学的根拠について明らかにされなければならない。

3.非臨床安全性試験

3.1 一般原則

非臨床安全性試験の目的は、臨床試験実施前のみならず臨床開発の全段階を通じて、医薬品の薬理作用及び毒性作用を明らかにすることである。In vitro及びin vivo試験のいずれをも実施することで、これらの特性が明らかとなる。臨床的に広く使用されている医薬品と構造的及び薬理学的に同等であるバイオ医薬品の場合、毒性試験を簡略化してもよいことがある。

非臨床安全性試験においては、以下の点について考慮しなければならない。

1)適切な動物種の選択、2)齢、3)生理的状態、4)投与量、投与経路、投与方法等を含めた投与計画、5)使用条件下での被験物質の安定性

毒性試験は、「医薬品の安全性試験の実施に関する基準(以下「GLP」という。)」に適合して実施されることが求められている。しかし、バイオ医薬品で必要とされることの多い特殊な試験系の中には、完全にはGLP適合で実施することができないものがある。このような場合には、GLPに適合していない部分を明確にし、安全性評価全体に対する重要性について評価しなければならない。GLPに完全には適合していない試験でも、得られるデータが臨床試験の実施や製造承認申請のために用いてはならないことを必ずしも意味しない場合がある。

バイオ医薬品ではその特徴的かつ多様な構造並びに種特異性、免疫原性及び予想外の多形質発現活性の生物学的性質のため、医薬品の従来の毒性試験法が適切ではない場合がある。

3.2 生物学的活性/薬力学

その製品のどの作用が臨床活性と関連しているか明らかにするためのin vitro定量法により、生物学的活性を評価することができる。樹立細胞系又は初代培養細胞を使用することは、細胞の表現型や増殖に及ぼす直接的な効果について検討するために有用である。多くのバイオ医薬品には種特異性があるため、毒性試験においては適切な動物種を選択することが重要である。In vivo活性についてある特定の性質を予測したり、ヒトを含む複数の動物種のバイオ医薬品に対する相対的な感受性を定量的に評価したりするために、哺乳動物由来の培養細胞系を利用することもできる。このような試験は、例えば受容体占有率、受容体との親和性又は薬理作用を明らかにしたり、in vivoの薬理試験や毒性試験をさらに進めるために適切な動物種を選択するために計画されることがある。これらのin vitro及びin vivoの試験結果をあわせて評価することは、得られた知見をヒトに外挿する上で有用である。作用機序の解明などの薬理活性を評価するためのin vivo試験は、臨床試験でその製品が利用される根拠を示す目的でしばしば用いられる。

モノクローナル抗体に関しては、その抗原特異性、補体結合性及び標的組織以外のヒト組織に対する意図されない反応性及び細胞毒性などを含めて、その抗体の免疫学的特性について詳細に検討されなければならない。このような交差反応性試験は一連のヒト組織を用いた適切な免疫組織化学的方法によって実施されなければならない。

3.3 動物種/モデルの選択

多くのバイオ医薬品では、種・組織特異性を伴う生物活性のために、汎用される動物種(例えば、ラット、イヌ)を使用した標準的毒性試験はしばしば意味をなさない。安全性評価は、適切な動物種が用いられるよう計画されるべきである。適切な動物種は、その動物種に受容体又はエピトープ(モノクローナル抗体の場合)が発現しており、被験物質が薬理学的活性を示すような動物種である。いくつかの手法(例えば、免疫化学的試験、機能試験)により、適切な動物種を決めることができる。受容体及びエピトープの分布を知ることができれば、in vivoで毒性を示す可能性に関する有力な知見を得ることができる。

モノクローナル抗体の試験のための適切な動物種は、意図するエピトープを発現し、ヒト組織の場合と類似した組織交差反応性を示すような動物種である。このような動物種を用いることで、エピトープへの結合や意図しない組織交差反応性によって引き起こされる毒性の評価を最も効果的に行うことができる。意図するエピトープを発現していない動物種であっても、意図しない組織交差反応性がヒトとほぼ同等であることが示されるのであれば、いくつかの毒性評価に用いる余地は残されている。

安全性評価は、通常2種類の適切な動物種を使用するように計画される必要がある。しかし、正当な理由が示されていれば、1種類の適切な動物のみで十分である場合がある(例えば、適切な動物種が1種類しか確認されていない場合やバイオ医薬品の生物学的特性が十分に解明されている場合)。さらに、短期試験で毒性を解析するのに2種類の動物種が必要である場合でも、引き続き行われる長期試験では1種類の動物種のみで試験を行う妥当性を示すことが可能である場合もある(例えば、短期試験において、2種類の動物種が同様の毒性のプロファイルを示した場合)。

適切でない動物種を用いた毒性試験では誤った結論が導かれることがあるため、推奨できない。適切な動物種が存在しない場合、ヒト型受容体を発現させたトランスジェニック動物あるいはその動物にとっての相同タンパク質等を用いることも検討すべきである。当該医薬品とそのヒト型受容体の相互作用がヒトで期待される相互作用と同様な生理学的な反応を引き起こす場合、ヒト型受容体を発現したトランスジェニック動物モデルを使用して得られた情報は最も有効なものとなる。相同タンパク質を用いることで有益な情報が得られる場合もあるが、相同タンパク質と臨床上用いられる予定の製品間で、製造工程、不純物及び混入物質の程度、薬物動態並びに厳密な意味での薬理作用機序が異なっている可能性があることに注意すべきである。トランスジェニック動物モデル及び相同タンパク質のいずれも用いることができない場合に、重要な機能に関する項目(例えば、心血管系及び呼吸器系等)の評価を含めた1種類の動物種を用いた限定的な毒性試験(例えば、14日間以内の反復投与毒性試験)によりいくつかの側面について毒性評価を行うことは、慎重を期す必要がある。

近年、ヒト疾患と類似していると考えられる実験動物モデルの開発がめざましい進歩を遂げている。これらの動物モデルには、誘発性及び自然発症性病態モデル、遺伝子ノックアウトモデル並びにトランスジェニック動物が含まれる。これらのモデルは、製品の薬理作用、薬物動態及び用量設定を決定する際にさらなる知見をもたらすばかりでなく、安全性(例えば、病態の進行に悪影響を及ぼすことの評価)を評価する上で有益であろう。病態動物モデルで実施した試験が、正常な動物による毒性試験の代わりに受け入れ可能なものとして用いられる場合もありうる(第1部、注1)。その際には、このような病態動物モデルを用いて安全性を評価する科学的な妥当性が明確にされなければならない。

3.4 動物数/性別

各投与量毎に使用される動物数は、毒性の検出能力に直接影響を及ぼす。例数が少ない場合、毒性の重軽症度とは無関係に発現頻度のみが観察されることとなるため、毒性事象の観察を誤ることにつながる。しばしば、ヒト以外の霊長類を用いた試験の場合に起きるように、例数に起因するこうした限界は、観察の頻度を増やしたり観察期間を延長したりすることで部分的には補うことができる。一般的には雌雄両方を用いるべきであるが、一方を省略する場合には、妥当性を示さなければならない。

3.5 用法/用量の設定

投与経路及び投与回数は、臨床適用で予定される投与方法に可能な限り近い形にするべきである。使用される動物種における医薬品の薬物動態及び生物学的利用率並びに実験動物に安全かつ人道的に投与しうる投与用量について考慮するべきである。例えば、有効成分の消失速度が速い場合及び溶解性が低い場合、これを補うために、実験動物では投与回数を臨床試験で予定される投与計画に比べて増やすこともありうる。このような場合には、臨床での投与用量に対する実験動物での相対的な投与量について明示しなければならない。また、投与量、濃度、剤形及び投与部位の影響も考慮しなければならない。投与方法や動物の種による大きさ、又は生理学的理由による限界のために生物学的利用率に限界があり、投与経路を変更しなければならないような場合には、臨床で予定されている投与経路以外の経路で投与することも受け入れられうる。

投与量は、毒性用量及び無毒性用量(NOAEL)を含み、用量―反応関係に関する情報が得られるように設定しなければならない。毒性がほとんどないか、全くないある種の医薬品では、明確な最大用量を求めることができないことがある。このような場合は、その用量設定及び計画されているヒトへの投与回数についての根拠について、科学的な妥当性が求められる。高用量の設定のためには、予想される薬理作用・生理作用、適切な試験材料の使用及び意図される臨床での適応について考慮しなければならない。選択された動物の細胞に対する医薬品の親和性やその細胞に対する力価がヒト細胞よりも低い場合には、さらに高用量で試験することも重要である。十分な安全域を求めるために必要とされる、ヒトへの投与回数は、バイオ医薬品の分類とその臨床適応によって異なる。

3.6 免疫原性

ヒトへ適用されるバイオ医薬品の多くは、動物で免疫原性を示す。そのため、反復投与毒性試験を行う際には、これらの試験の解釈に役立てるために、この種の医薬品の投与に伴い産生された抗体を測定しなければならない。抗体反応の特性(例えば、力価、応答した動物数、中和又は非中和)を明らかにし、また、その発現は、薬理学的又は毒性学的変化との関連性について検討しなければならない。特に、データを解釈する際には、抗体の産生が薬物動態/薬動力学的パラメーター、副作用の発現率・重篤度、補体の活性化又は新しい毒性作用の発現にどう影響するかについても考慮すべきである。また、免疫複合体の形成や沈着に関連して起こりうる病理学的変化の評価についても注意を払わなければならない。

大部分の実験動物で免疫応答によってバイオ医薬品の薬理作用又は毒性作用が中和されない限り、抗体が検出されることだけをもって、非臨床安全性試験を早い段階で中止したり、試験期間を変更したりしてはならない。ほとんどの場合、バイオ医薬品に対する免疫応答は、ヒトの場合と同様に変動しやすい。このような問題が安全性試験のデータの正当な解釈を妨げるものでない以上、重要な所見を抗体反応に起因するものとしてはならない。

動物で抗体の産生が誘導されたということは、ヒトにおける抗体産生の可能性を予測するものではない。ヒトではヒト型化されたタンパク質に対しても血清抗体が産生されることがあり、またしばしば抗体が存在しても治療効果が持続する。ヒトでは遺伝子組換えタンパク質に対して重篤なアナフィラキシー反応が起こることは稀である。これらの観点から、モルモットのアナフィラキシー試験では、一般的にタンパク質製剤では陽性の結果が得られるものではあるが、ヒトでも同様の反応が起こると予測することはできない。したがって、このようなアナフィラキシー試験は、これらタンパク質製剤を画一的に評価する目的では、ほとんど価値がないと考えられる。

4.個別留意事項

4.1 安全性薬理試験

適切な動物モデルを用いて有害な薬理活性が認められるかどうかを検討することは重要であり、また、必要な場合には、毒性試験又は臨床試験においてその活性をモニターすることを特別に組み込むことも重要である。安全性薬理試験は毒性評価の機能的な指標となる。これらの指標は、独立した試験若しくは毒性試験に組み込まれた形で検討される。安全性薬理試験の目的は、主要な生理的機能(例えば、循環器系、呼吸器系、腎臓系、中枢神経系)に及ぼす機能的な影響を明らかにすることである。この検討には、単離した臓器やその他のin vitroの試験系も含まれる。このような試験のすべては、ヒトでの臨床使用及び適応に関して十分に考慮されるべき特定の臓器毒性について、作用機序に基づいた説明ができるようにするためのものである。

4.2 曝露評価

4.2.1 薬物動態・トキシコキネティクス

バイオ医薬品に関する薬物動態試験に一律のガイドラインを作成することは困難である。適切な動物種における単回及び反復投与時の薬物動態試験、トキシコキネティックス及び組織分布試験は有益である一方、物質収支を評価するための画一的な試験からはあまり有益な情報は得られない。動物の種差に起因する薬物動態の差は、動物試験による予測や毒性試験における用量―反応関係の評価に大きく影響することがある。免疫系が関与したクリアランス機構により薬物動態の特性が変化すると、薬物反応速度論的特性及び毒性データの解釈に影響を及ぼすことがある。医薬品の中には、本来的に、薬物動態に相関して薬力学的作用の発現が顕著に遅れたり(例えば、サイトカイン)、又は血漿中濃度に相関して薬力学的作用が持続したりするものがあるであろう。

薬物動態試験には可能な限り、毒性試験及び臨床上使用される製剤を用い、臨床試験で想定される投与経路で実施するべきである。吸収パターンは、剤形、濃度、投与部位又は投与用量により影響を受けることがある。できる限り、毒性試験期間中に全身性曝露について検討しておくべきである。

放射性標識したタンパク質を使用する場合は、その放射性標識体が当該タンパク質の非標識体と、活性及び生物学的性質が同等に保持されていることを示すことが重要である。標識タンパク質を用いた際に、臓器中の放射活性濃度及びオートラジオグラフィーのデータの解釈は、in vivoでの代謝が速いことや放射標識結合が不安定なことから困難なこともある。また、特定のアミノ酸残基を置換した放射性トレーサーを用いた試験結果を解釈する際には、このアミノ酸が薬物と無関係のタンパク質やペプチドに再利用され取り込まれることがあるため、注意を要する。

曝露量及び投与量に基づく安全域を予測するために、臨床試験に先だって、適切な動物モデルを用いた試験を実施し、吸収、血中濃度及びクリアランスに関する情報がある程度得られていなければならない。

4.2.2 試験法

1 種類又は複数の分析方法を採用するかどうかはケースバイケースで対応すべきであるが、科学的な根拠がなければならない。通常1種類のバリデートされた方法で十分であることが多い。例えば、放射性同位体標識したタンパク質を投与した後にTCA沈殿物の放射能を測定することによって十分な情報が得られることがあるが、1種類でも、被験物質に特異的な分析方法を用いる方が望ましい。理想的には、動物とヒトで同一の試験方法を用いるべきである。血漿中の結合タンパク質又は血漿/血清中の抗体が測定能力に及ぼしうる影響を明らかにしておくべきである。

4.2.3 代謝

バイオ医薬品の期待される代謝は、小さなペプチド及び各アミノ酸への分解である。したがって、その代謝経路は一般によく分かっている。一般の医薬品で実施される従来の生体内変化を調べる試験は必要ない。

生物学的マトリックス(例えば、血漿、血清、脳脊髄液)におけるバイオ医薬品の挙動及び結合タンパク質が及ぼしうる影響について理解することは、薬力学的作用を知る上で重要である。

4.3 単回投与毒性試験

単回投与毒性試験からは、用量と全身又は局所毒性との関連性を明らかにする有益なデータが得られる可能性がある。これらのデータは反復投与毒性試験での投与量設定に利用できる。用量―反応関係の情報は、薬理試験又は動物モデルでの効力試験の一部としての、単回投与毒性試験により収集されることもある。

これらの試験の中に安全性薬理のパラメータを設定することを考慮する必要がある。

4.4 反復投与毒性試験

反復投与毒性試験に使用する動物種を選択する際の考慮すべき点については、第1部、3.3節を参照。投与経路及び投与方法(例えば、連日投与か間欠投与)は、予定されている臨床での適応又は投与量を反映すべきである。可能であれば、これらの試験にトキシコキネティクスを組み込むべきである。

薬理作用及び毒性作用の可逆性又は増悪作用の可能性の有無、さらに遅発毒性の可能性の有無などを明らかにするため、通常、試験計画の中に回復期間を設けなければならない。持続性の薬理/毒性作用をもたらすバイオ医薬品の場合には、回復観察群の動物に可逆的な回復が認められるまで観察しなければならない。反復投与毒性試験の試験期間は、予定されている臨床での投与期間及び適応に基づいて設定されなければならない。一般に、動物への投与期間はほとんどのバイオ医薬品の場合、1~3ヵ月とされている。短期使用(例えば、7日以内)及び急性の致死的疾患に対する適応が検討されているバイオ医薬品の場合は、承認を得ることのみならず臨床試験を裏付けるために、2週間までの反復投与試験を実施することが適当と一般には考えられてきている。これに対し、慢性疾患に対する適応が検討されているバイオ医薬品の場合には、製造承認を得るために6ヵ月未満又はそれ以上の試験が実施される場合もあるが、一般的には6ヵ月の試験期間が適当と考えられてきている。臨床で長期使用を意図するバイオ医薬品の場合は、長期毒性試験の期間について科学的妥当性を明確にしておかなければならない。

4.5 免疫毒性試験

免疫毒性学的評価には、免疫原性の可能性に関する評価も含まれる(第1部、3.6節)。多くのバイオ医薬品は免疫系の亢進又は抑制を意図しているため、体液性免疫のみならず細胞性免疫にも影響を与えることがある。注射部位での炎症反応は、刺激反応が起こっていることを示唆することがある。しかしながら、単純な注射による外傷又は溶解液により誘発された特異的毒性作用が注射部位での毒性変化となることがあることを認識しておくことは重要である。さらに、標的細胞上の表面抗原の発現が変化する場合、このことは自己免疫反応を引き起こす可能性を示唆している。免疫毒性学的試験の計画には、このような問題を解明するための作用機序試験に先立ち、スクリーニング試験を必要とする。しかしながら、一般に行われている階層別試験方法又は標準的な一連の検査方法はバイオ医薬品の場合には推奨されない。

4.6 生殖発生毒性試験

生殖発生毒性試験が必要であるかどうかは、そのバイオ医薬品の臨床での適応及び予想される対象疾患患者群により判断される(第1部、注2)。個別試験のデザイン及び投与計画は、種特異性、免疫原性、生物学的活性及び長い消失半減期に関連する事項に基づいて修正されうる。例えば、ある種の持続性の免疫作用を有するモノクローナル抗体については、新生児の免疫機能を調べるように修正された試験デザインのもとで、発育に及ぼす免疫毒性の可能性を評価しうる。

4.7 遺伝毒性試験

従来の医薬品について通常実施されてきた遺伝毒性試験の範囲と種類は、バイオ医薬品に対しては適切なものでなく必要とされない。また、大量のペプチド又はタンパク質を投与した場合、解釈不可能な結果が起こる可能性もある。もとより、このような成分がDNAや他の染色体成分に直接相互作用するとは考えにくい(第1部、注3)。

遺伝毒性について懸念のあるバイオ医薬品(例えば、複合タンパク製剤内に有機性の結合分子が存在する場合)では、新しく開発された方法なども含めて、実施可能かつ適切な試験系で試験を行なわなければならない。製造過程での混入物の遺伝毒性を評価するためには、標準的な遺伝毒性試験の実施は適切ではないと考えられる。しかし、そのような目的のためにこの試験を実施する場合には、その妥当性を明らかにすべきである。

4.8 がん原性試験

バイオ医薬品においては、標準的ながん原性試験は一般的に不適当である。しかし、バイオ医薬品の臨床での投与期間、患者群、その生物学的活性(例えば、増殖因子、免疫抑制剤等)によっては個別にがん原性の評価を行う必要がありうる。更に、がん原性に対する懸念がある場合は、リスク評価のために種々の試験方法を検討することとなる。

形質転換細胞の増殖や、増腫瘍性を誘導するクローン性増殖を保持又は誘発することが懸念されるバイオ医薬品については、対象となる患者群に対応した種々のヒト悪性腫瘍細胞及び正常細胞での受容体の発現に関して評価する必要がある。これらのバイオ医薬品については、受容体を発現する正常細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を促進させる能力についても明らかにしなければならない。In vitroの結果から発がん性の疑われる場合は、適切な動物モデルを用いた試験により更に検討が必要となろう。長期反復投与毒性試験において細胞増殖の感度指標を加えることにより有益な情報が得られるだろう。

バイオ医薬品がげっ歯類に対して生物学的活性を有し、かつ免疫原性がなく、さらに他の試験においてがん原性評価を行うのに充分な情報が得られなかった場合には、1種類のげっ歯類でがん原性試験を行うことを考慮すべきである。用量の選択は慎重に行なわなければならない。適切な用量を設定するには、薬物動態及び薬力学的評価項目を組み合わせ、対応する受容体の特性及び予定されているヒトでの曝露量を勘案するのが最も科学的な方法である。用量設定の理論的根拠については明らかにされるべきである。

4.9 局所刺激性試験

局所刺激性について検討しなければならない。市販される剤形での試験が必要である。しかし、妥当性があれば、類似した剤形を使用した試験でもよい場合もある。また、医薬品の有害作用の可能性については、単回又は反復投与毒性試験に組み込んで評価できる場合もあり、この場合、必ずしも独立した局所刺激性試験を実施する必要はない。

5.注釈

注1:病態動物モデルの使用は、毒性評価項目の明確化、臨床適応の選択及び適切な剤形、投与経路及び投与方法の決定において有益である。これらの病態動物モデルに関しては、試験結果を評価する際の参考として利用できる背景データが不足していることが多いということを留意しておかなければならない。このため、試験計画を最適化するために、同時に対照群やバックグラウンドのデータを収集することが重要である。

注2:適切な動物種がヒトを除く霊長類のみである場合には、ある特定の分類の化合物(例えば、インターフェロン)では生殖発生毒性作用に関する多くの公表された情報が存在する場合がある。このような場合には、同様の作用が、その新しい、しかし類似した分子で引き起こされる可能性が高いことを示すような作用機序試験があれば、通常の生殖発生毒性試験の必要性はなくなるだろう。いずれの場合でも、生殖発生毒性に影響を及ぼす可能性の評価について、科学的根拠を明らかにすべきである。

注3:ある種のバイオ医薬品では、自然発生の突然変異細胞が蓄積(例えば、選択的な増殖優位性が促進されることを介して)し、その結果、がん原性が生じることが懸念される。標準的な遺伝毒性試験はこのような条件を検出するようにはデザインされていない。この問題に取り組むために既存のものに代わるin vitro又はin vivoモデルが開発され、検討される必要があるだろう。

第2部:補遺

第2部は、第1部と併せて読まれるべきである。一般的に、補遺はガイドラインを補足するものであるが、その内容が第1部と異なる場合は、後に示された第2部の指針が優先される。

1.緒言

1.1 補遺の目的

第2部の目的は、第1部にある動物種の選択、試験デザイン、免疫原性、生殖発生毒性及びがん原性評価に関する記載を補足し、明確化とアップデートを行うことである。そのため、ICH S6ガイドライン発出以降の科学の進歩及び経験を第2部に反映させた。第2部は国際的に合意が得られたものであり、バイオ医薬品の非臨床安全性評価における推奨事項の明確化、ひいては各極間での不調和の軽減に役立つものである。

第2部は、臨床試験の適時実施や、3R(使用動物数の削減・動物の苦痛軽減・代替法の利用)の原則に従い動物及び他の医薬品開発資源の使用を削減し、新規医薬品の安全かつ倫理的な開発及びその利用を推進するものである。なお、第2部には触れられていないが、安全性評価のために適切なin vitro代替法を利用することも検討されるべきであり、これらの方法は、全てのICH規制当局に認められれば、現在の標準試験法の代わりとして利用可能である。

1.2 補遺の背景

第2部の推奨事項は、様々な臨床開発段階における安全性を担保するために必要な非臨床安全性試験について、日米EUで調和を図るものである。第2部の内容は、バイオ医薬品の安全性評価について合意されたものである。

1.3 補遺の適用範囲

第2部は、第1種、1.3節の適用範囲を変更するものではない。進行がんで治療方法の選択肢が限られた患者の治療を目的とするバイオ医薬品については、抗悪性腫瘍薬の非臨床評価に関するガイドライン(ICH S9ガイドライン)を参照されたい。

2.動物種の選択

2.1 一般原則

適切な動物種の選択に当たっては、様々な要因を考慮する必要がある。まず、動物種間における標的分子の配列相同性を検索することから始め、in vitro試験によって、動物種間の相対的な標的結合親和性、受容体/リガンド結合占有率及び薬物動態に関連したデータを質的・量的に比較することが適切と考えられる。

また、生物活性の評価も推奨される。生物活性は、種特異的な細胞を用いたin vitro試験及び/又はin vivo薬理試験、あるいは毒性試験により測定可能である。既知の生物学的反応や薬力学(PD)マーカーの変化も適切な動物種の選択を裏付ける指標になる。

予定される用法・用量での標的結合親和性や生物活性における種差を考慮することは、バイオ医薬品により惹起される有害作用が、選択した動物種において検出できることを確認する上で有用である。非臨床試験に用いられる動物種において、通常では標的分子の発現がほとんど認められない場合(例えば、炎症性サイトカイン、腫瘍抗原)は、細胞を用いた標的結合親和性や生物活性の結果から、動物種を選択することも可能である。

動物種の選択において、動物組織を用いた組織交差反応性(TCR)による評価の意義は限定的である(第2部、注1)。ただし、上記のアプローチによって薬理学的に適切な動物種が選択できないなどの場合には、標的結合が予想される組織での組織結合性をヒトと動物種で比較することが、動物種選択の一助になることもある。

いかなる動物種の相同な配列を有する標的分子(オーソログ)にもバイオ医薬品が相互作用せず、適切な動物種が同定できない場合には、第1部に記載の通り、臨床使用が予定されている候補バイオ医薬品(以下「臨床候補品」という。)に相同性を示すタンパク質(以下「相同タンパク質」という。)やトランスジェニックモデルの利用が考えられる。

外来性分子(即ち、細菌、ウイルスなど)を標的とするモノクローナル抗体や抗体様タンパク質については、申請者が正当と考える1種の動物種を用いた短期の安全性試験(第1部、3.3節参照)を実施することが考えられる。ただし、生殖発生毒性試験など他の毒性試験を追加実施することは適切ではない。あるいは、薬効薬理試験において病態動物モデルを用いる際に安全性評価項目を含めることで、標的分子に関連する潜在的なリスクについての情報が得られる場合もある。非臨床安全性評価が実施できない場合は、臨床試験を実施するにあたり、適切なリスク軽減の方策を講じるべきである。

新規の毒素又は毒物を組み込んだ抗体―薬物/毒素複合体(ADC)の場合、動物種の選択は非複合抗体に着目して上記の一般原則に従うべきである(第2部、注2)。

2.2 1種類又は2種類の動物種

臨床候補品が、げっ歯類及び非げっ歯類の2種類の動物種に薬理作用を示す場合は、両動物種を用いた短期(1ヵ月以内)の一般毒性試験を実施する。当該試験で2種類の動物種が同様の毒性所見を示した場合、又はバイオ医薬品の作用機序から毒性所見を説明できる場合は、より長期の一般毒性試験では通常1種類の動物種で十分と考えられる。この場合、非げっ歯類を使用する科学的根拠がなければ、げっ歯類を使用すべきである。2種類の非げっ歯類を用いた一般毒性試験の実施は適切ではない。

臨床候補品が1種類の動物種のみに薬理作用を示す場合は、すべての一般毒性試験において当該動物種1種のみを使用することが適切である。この場合、第二の動物種として相同タンパク質を使用した毒性試験を実施してもリスク評価上の意義は低く、推奨されない。

2.3 相同タンパク質の使用

相同タンパク質の使用は、第1部、3.3節に示された代替法の一つである。相同タンパク質を用いた試験は、有害性の検出及び過剰な薬理作用による有害作用の確認には役立つが、通常、量的なリスク評価には適さない。従って、試験デザイン及び用量設定(例えば、薬理作用が最大となる用量)に科学的根拠があれば、有害性を確認するために、対照群及び投与群の2群を用いて安全性試験を実施することも可能である。

3.試験デザイン

3.1 用量設定及び薬物動態/薬力学的原則の適用

ほとんどのバイオ医薬品による毒性は、目的とする作用機序に関連している。このため、比較的高用量の投与では、明らかに過剰な薬理作用に起因する有害作用が惹起される場合がある。

投与量の設定に当たっては、用量反応関係の特性を考慮して、用量設定の理論的根拠を示す必要がある。高用量の設定においては、薬物動態/薬力学的(PK―PD)アプローチ(例えば、単純な曝露反応関係又はより複雑なモデリング及びシミュレーションによるアプローチ)を利用して、1)非臨床試験に用いる動物種において意図する薬理作用が最大となる用量、及び2)臨床での最大曝露量の10倍程度の曝露が得られる用量を明らかにする。これらの2用量のうち低い用量を選択する根拠(例えば、投与可能な最大用量)がない限り、高い用量を非臨床安全性試験の高用量群として設定すべきである。

In vivo又はex vivoでのPD評価項目が利用できない場合は、PKデータ及び入手可能なin vitroでの結合能及び/又は薬理学的データに基づいて高用量を選択することが可能である。その場合、曝露マージンが推定される最大臨床曝露量を上回るよう、非臨床試験に用いる動物種とヒトとの間における標的結合親和性及びin vitro薬理活性の種差を考慮して、補正する必要がある。例えば、標的結合親和性及び/又はin vitroでの効力に大きな相対差がある場合は、より高い用量を毒性試験で用いることが適切であろう。このようなアプローチにより設定された用量において毒性が示されない場合、臨床用量に比べてさらに高い用量で毒性試験を追加実施しても、新たに有用な情報は得られないと考えられる。

3.2 試験期間

慢性疾患に対する適応が検討されているバイオ医薬品の場合でも、第2部、3.1節の原則に従って高用量を設定するのであれば、げっ歯類又は非げっ歯類を用いた反復投与毒性試験の投与期間は6ヵ月で十分と考えられる。さらに長期の反復投与毒性試験を実施しても、概して、臨床開発計画に影響を及ぼすほどの有益な情報は得られない。

進行がんで治療方法の選択肢が限られた患者の治療を目的とするバイオ医薬品の長期使用については、ICH S9ガイドラインに毒性試験の期間に関する原則が記載されている。

3.3 回復性

臨床において有害作用の懸念がある薬理学的及び毒性学的影響が、臨床的に意義のある曝露量で認められた場合は、回復性を評価しなければならない。その場合は、観察された影響の可逆性について一般的な解釈を検討したり、あるいは申請者が適切と考える少なくとも1試験1用量において休薬期間を設けた回復性試験を実施することで評価できる。休薬期間の目的は観察された影響の可逆性を検討することであり、遅発毒性を評価することではない。また、回復性試験では、完全に回復するまで観察する必要はない。免疫原性の評価だけのために、休薬期間を設定する必要はない。

3.4 早期探索的臨床試験

ICH M3(R2)ガイドラインに記載されている早期探索的臨床試験のための柔軟なアプローチは、バイオ医薬品についても適用可能である。ただし、これらのアプローチについては規制当局と協議し、合意を得ておくことが推奨される。

4.免疫原性

免疫原性の評価は、試験結果の解釈及びその後の試験デザインの設定に有用である。動物試験におけるヒト又はヒト化タンパク質の免疫原性の評価は、ヒトでの免疫原性を予測するものではない。

非臨床試験において、1) PD活性の変化、2) PDマーカーが利用できない場合での予期せぬ曝露量の変化、又は3) 免疫介在性反応(免疫複合体病、脈管炎、アナフィラキシーなど)の所見が認められた場合は、抗薬物抗体(ADA)を測定すべきである。しかし、剖検前にADA測定の要否を予測することは困難であるため、試験結果の解釈に必要となった場合に備え、あらかじめ試験期間中に適切な検体を採取しておくことが有用である。ADAが検出された場合には、試験結果の解釈に与える影響を評価する必要がある(第1部、3.6節、第2段落参照)。

In vivo毒性試験において、ADAが検出され、かつ薬理作用の維持を実証するPDマーカーがない場合には、ADAの中和活性を解析する必要がある。ADAの中和活性については、ex vivoでの生物活性試験やPK―PD測定法を適切に組み合わせた間接的評価、又は特異的中和抗体試験による直接的な評価が可能である。

5.生殖発生毒性

5.1 概要

生殖発生毒性試験は、原則としてICH S5(R2)ガイドラインに従って実施しなければならないが、個別の試験デザイン及び投与スケジュールは、種特異性、バイオ医薬品の特性及び作用機序、免疫原性、及び/又は薬物動態、並びに胚・胎児への曝露に基づいて改変することが可能である。

一般的に、生殖発生毒性の評価は臨床候補品を用いて適切な動物種で実施することが望ましい。生殖発生毒性の評価は、薬理学的に適切な動物種を用いて実施すべきである。臨床候補品がげっ歯類及びウサギにおいて薬理作用を示す場合は、両動物種を胚・胎児発生(EFD)試験に使用すべきである。ただし、どちらか一方の動物種で胚・胎児致死作用又は催奇形性が確認された場合には、他の種での試験は不要である。

ヒト以外の霊長類(NHP)のみが適切な動物種である場合は、NHPのみで発生毒性試験を行うべきである。ただし、このような場合でも科学的根拠が示されるのであれば、NHPに代わる代替モデルを用いた評価も可能である。

臨床候補品の安全性評価をする上で適切な動物種が存在しない場合は、代替として使用する動物モデルに関する十分な特性情報(例えば、バックグラウンドデータ)があることを確認した上で、ヒトでの標的分子を発現するトランスジェニック動物、又は対応する標的分子(オーソログ)を発現する動物種を用いた相同タンパク質での評価も考えられる(第1部、注1)。一般的に、細菌やウイルスなどの外来性分子に対するバイオ医薬品については、生殖発生毒性試験を実施する必要はない(第2部、2.1節参照)。

受胎能や胎児への有害作用を示唆する十分な科学的根拠(例えば、作用機序、遺伝子改変動物の表現型、クラスエフェクト)から、リスクコミュニケーションに必要な生殖発生に関する十分な情報が得られる場合には、必ずしも追加の非臨床試験は必要でない。

5.2 受胎能

マウス及びラットが薬理学的に適切な動物種である場合には、これらげっ歯類のいずれか一方を用いて受胎能を評価することが可能である(ICH S5(R2)ガイドライン参照)。ICH S5(R2)ガイドラインに記載された試験デザインは、薬理学的に適切であれば他の動物種にも適用可能であり、当該バイオ医薬品の特性及び免疫原性などを勘案して、試験デザインを適宜変更する必要がある。

NHPを用いた交配試験は実際的ではない。しかし、NHPが唯一の適切な動物種である場合、雌雄の受胎能への影響は、性成熟に達したNHPを用いた3ヵ月以上の反復投与毒性試験において、生殖器官(器官重量及び病理組織学的検査)の評価により判断することが可能である。薬理作用又は既知の知見から、特段の懸念がある場合は、反復投与毒性試験において、月経周期、精子数、精子形態/運動能及び雌雄の性ホルモン等の検査を実施することも可能である。

なお、薬理作用により受胎/着床への影響に特段の懸念があり、かつNHPのみが適切な動物種である場合は、受胎/着床への影響を評価する試験方法として、相同タンパク質又はトランスジェニック動物の利用が考えられる。ただし、げっ歯類を用いた受胎能試験を実施するためだけに、相同タンパク質又はトランスジェニックモデルを作製することは推奨されない。非臨床試験に関する情報がない場合は、臨床試験の管理手順、インフォームドコンセント、並びに適切な注意喚起によって患者に対するリスク軽減の方策を講ずるべきである。

5.3 胚・胎児発生(EFD)並びに出生前及び出生後の発生(PPND)

生殖発生毒性試験のデザイン及び結果の解釈に当たっては、バイオ医薬品における胎盤通過性の種差を考慮すべきである(第2部、注3)。

NHPのみに薬理作用を示すバイオ医薬品については、臨床での使用目的や予測される薬理作用に応じて、いくつかの試験デザインが考えられる。作用機序による胚・胎児発生への有害作用又は流産が懸念される場合には、EFD試験及び/又はPPND試験、あるいは申請者によって正当性が示される試験デザインを用いることができる。ただし、これらの試験を個別に実施するのではなく、妊娠20日から分娩時までを投与期間とするNHPに対してデザインされた単一試験(enhanced PPND study; ePPND試験)を実施することも考えられる。

ePPND試験では帝王切開は不要であり、妊娠への影響は自然分娩時に評価するべきである。この試験では、出生児の生存、外表異常、骨格異常(例えば、X線検査)を評価し、剖検時には出生児の内臓検査を実施すべきである。なお、妊娠中の超音波検査は妊娠維持の確認には有用であるが、胎児奇形の検出には適さない。また、概して分娩後の母動物への投与は哺育に影響を及ぼす懸念があることから推奨されない。出生児においても、薬理作用に関連する評価項目を設定可能である。出生後の観察期間は、バイオ医薬品の作用機序を考慮して設定される評価項目により決定される(第2部、注4)。

NHPを用いた生殖発生毒性試験は、有害性の同定のみに有用である。各群の動物数は、適切な試験結果の解釈を行うために十分な例数を確保すべきである(第2部、注5)。

使用するNHPの種類によっては、試験デザインの妥当性を示さなければならない。NHPを用いた生殖発生毒性試験は、有害性を同定するための試験であることから、用量設定に科学的根拠があれば、対照群及び投与群の2群を用いて試験を実施することが可能である。適切な例としては、可溶性標的分子に結合するモノクローナル抗体において、臨床用量で標的結合の飽和を意図する場合が挙げられる。この場合、選択した動物種でも標的結合の飽和が示され、臨床適用量における曝露量の10倍までの曝露が認められる場合には、対照群と投与群の2群による試験を実施することで、胚・胎児発生への有害性が十分評価できる。

5.4 試験の実施時期

胚・胎児発生への影響に関する情報が得られる前に、妊娠可能な女性を臨床試験に組み入れる場合には、極めて有効性の高い受胎調節方法を使用するなど、適切な臨床でのリスク管理が必要である(ICH M3)(R2)ガイドライン参照)。

NHPのみに薬理作用を示すバイオ医薬品について、妊娠を回避する十分な予防措置が講じられている場合には(ICH M3)(R2)ガイドライン、11.3節、第2段落参照)、EFD試験又はePPND試験を第Ⅲ相試験期間中に実施し、製造販売承認申請時に最終報告書を提出することで差し支えない。臨床試験において、申請者が妊娠を回避するための十分な予防措置を講じることができない場合は、第Ⅲ相試験の開始までにEFD試験の最終報告書又はePPND試験の中間報告書(第2部、注6)のいずれかを提出しなければならない。バイオ医薬品がNHPのみに薬理作用を示し、当該作用機序による胚・胎児発生への重大な影響が懸念される場合は、NHPを用いた生殖発生毒性試験を実施せずに、胚・胎児発生に対する懸念を添付文書に反映し、妊娠可能な女性への投与は避けなければならない。

げっ歯類又はウサギが適切な動物種である場合、生殖発生毒性試験の実施時期はICH M3(R2)ガイドラインに従うべきである。

進行がんで治療方法の選択肢が限られた患者の治療を目的とするバイオ医薬品については、ICH S9ガイドラインを参照のこと。

6.がん原性

バイオ医薬品におけるがん原性評価の必要性は、対象となる患者集団及び臨床における投薬期間に基づいて決定されるべきである(ICH S1Aガイドライン参照)。がん原性評価が必要と判断された場合、申請者はがん原性の有無を評価する方策を講じなければならない。

この方策とは、様々な情報源から得られる適切なデータの検討を含む、科学的な重要度に基づくアプローチである。情報源には、公表データ(例えば、トランスジェニック動物、ノックアウト動物、病態モデル動物、又はヒトの遺伝性疾患に関する情報)、クラスエフェクトに関する情報、標的分子の生物学的特性及び作用機序に関する詳細な情報、in vitroデータ、長期毒性試験成績並びに臨床成績などが含まれる。これらの入手可能な情報から、がん原性の懸念が十分に評価可能で、新たな非臨床試験を実施せずとも臨床でのリスクを推定できる場合もある。

バイオ医薬品の中には、作用機序に基づいてがん原性が懸念されるものがある(例えば、免疫抑制剤、成長因子)。上述のアプローチにより、がん原性の懸念が裏付けられる場合は、げっ歯類を用いたがん原性試験を実施する必要はなく、添付文書などへの反映や臨床でリスク管理を行うことが現状での対処法と考えられる。一方、上述のアプローチにより、がん原性の懸念が裏付けられない場合には、申請者は作用機序に基づくがん原性の懸念を軽減するために、追加の非臨床試験を提案してもよい(第1部、4.8節参照)。

がん原性に関連した薬剤特性及び作用機序が十分に解明されていない場合は、広範な評価(例えば、がん原性の懸念に関連した標的分子の生物学的特性の解明、毒性試験における追加評価項目の設定)を実施することが適切と考えられる。こうした広範な評価により、がん原性の懸念が示唆されない場合は、新たな非臨床試験を実施することは推奨されない。一方、広範な評価により、がん原性に関する懸念が示唆される場合は、添付文書などで注意喚起しなければならないが、申請者は当該懸念を軽減するために、追加の非臨床試験を提案してもよい。

がん原性の評価結果は、添付文書などへの反映、臨床でのモニタリング、製造販売後調査、又はこれらを組み合わせたアプローチに使用されるだけでなく、リスクコミュニケーション及びリスク管理計画にも用いられる。

臨床候補品のがん原性評価において、相同タンパク質を用いたげっ歯類のがん原性試験(又は短期がん原性試験)を実施する意義は概して限定的である。

新たな戦略や試験方法が開発されれば、それらを代替法とすることも考えられる。

7.注釈

注1:TCR試験とは、免疫組織化学(IHC)染色法を用いたin vitro組織結合試験であり、モノクローナル抗体及び抗体様タンパク質と組織中での抗原決定基との結合状態の特性を明らかにするものである。同様の目的で、IHC法の代わりに他の方法を使用することも可能である。

ヒト組織パネルを用いたTCR試験は、ヒト初回投与試験における安全性を担保する評価方法として推奨される。しかし、臨床候補品がIHC法に適さず、TCR試験での評価が技術的に不可能な場合もある。

TCR試験により、標的分子の分布に関する有用な情報や、予期せぬ結合に関する情報が得られることもある。組織結合自体はin vivoでの生物活性を示すものではない。また、TCR試験において、in vivoでは通常抗体が到達できない領域(例えば、細胞質)に結合が認められても、概してその生物学的意義は低い。これらの試験成績は、薬効薬理試験及び安全性試験全体を踏まえて評価されるべきである。

ヒト組織パネルで予期せぬ結合が認められた場合、動物での当該組織を用いたTCR試験を実施することで、毒性試験成績との関連性を示す情報が得られることもある。しかしながら、TCR試験を動物組織パネルを用いて網羅的に実施することは推奨されない。

二重特異性抗体では、ヒト組織パネルを用いたTCR試験において、個々の標的結合性親和性を検討する必要はない。

ヒト組織パネルを用いて臨床候補品のTCR試験が実施されている場合、相同タンパク質でのTCR試験の実施意義は低く、推奨されない。

TCR試験では、品質特性に重大な影響を及ぼす軽微な変化を検知することはできないことから、製造工程を変更する際には、TCR試験により被験物質の同等性を評価することは推奨されない。

注2:ADCの安全性評価に2種類の動物種を用いる場合は、少なくとも1種類の動物種を用いてADCの短期試験に毒素単体群を設けるか、新たに毒素単体を用いた短期試験を実施すべきである。この際は、毒素がげっ歯類で活性を示さない場合を除き、げっ歯類を使用することが望ましい。もし薬理学的に適切な動物種が1種類しか同定できない場合には、ADCを用いた試験は当該動物種を用いて実施すべきである。新規毒物については、新規化学物質と同様に動物種を選択する必要がある。ただし、進行がんで治療方法の選択肢が限られた患者の治療を目的とするバイオ医薬品の場合は、ICH S9ガイドラインに従う。十分な科学的情報が得られている既知の毒素又は毒物については、単体での評価は必要ない。動物とヒトにおけるADCの安定性を比較するデータは提示されるべきである。

注3:試験結果の解釈においては、妊娠中の胚・胎児への曝露プロファイルの種特異性を考慮しなければならない。高分子量のタンパク質(>5,000D)は、単純拡散では胎盤を通過しない。分子量が150,000D程度であるモノクローナル抗体については、新生児型Fc受容体(FcRn)を介した輸送機構により胎児での曝露量が決定されるが、その機構には種差がある。

NHP及びヒトでのIgGの胎盤通過性は、器官形成期には低いが、妊娠第2三半期の初期から増加し、妊娠第3三半期の後期に最大となる(5)。従って、NHPの場合、妊娠初期から妊娠50日まで投薬する標準的な胚・胎児試験を実施しても、母動物への影響を介した胚・胎児発生への間接的影響は評価できるが、器官形成期における胚・胎児への直接的影響の評価する上での有用な情報は得られないと考えられる。さらに、IgGは初乳に移行するものの、以降の授乳期には乳汁中に移行しないため、NHPでは分娩後の母動物への投薬は概して適切ではない。

NHPやヒトと異なり、げっ歯類では、FcRnを介した輸送機構によりIgGが卵黄嚢を通過するために、妊娠中の胎児は比較的早い時期からIgGに曝露される。また、げっ歯類の出生児はNHPやヒトの新生児ほど発達しない段階で出生することから、ラットやマウスの場合には、出生児がヒトの新生児と同等の発達段階に達する少なくとも生後9日までは、乳汁を介して出生児に曝露させるように、授乳期間中にも母動物に投薬しなければならない。

注4:出生後早期の機能試験(例えば、成長及び行動)には、最低1ヵ月の観察期間が必要である。

通常、一般毒性試験において免疫系(又は免疫機能)に有害作用が認められる場合は、ePPND試験において出生児の免疫機能検査が必要である。イムノフェノタイピングを実施する場合には、生後28日前後での評価も可能である。免疫機能を評価するための出生後の観察期間は、実施する検査に応じて3~6ヵ月とすることが可能である。

神経行動学的評価は臨床学的な行動観察に限定することが可能である。試験装置を用いた学習試験は訓練期間を要し、出生後の観察期間が少なくとも9ヵ月に及ぶため推奨されない。

注5:カニクイザルを用いたePPND試験における各群の動物数を決定する方法は、Jarvisらにより報告されている(6)。ePPND試験における各群の動物数は、出生後の発達を評価し、さらに追加の検査(例えば、免疫機能検査)が必要となる場合を考慮すると、生後7日に各群6~8例の出生児が得られるよう設定すべきである。

通常、ePPND試験では妊娠動物を数週間から数ヵ月にわたって徐々に試験へ組み入れる。試験実施中に投薬の影響として胚・胎児の死亡が確認された場合には、その段階で妊娠動物の追加組み入れを中止し、試験デザインの変更(例えば、帝王切開の実施)を考慮すべきである。

溶媒対照群に用いた母動物は再利用することが推奨される。

バイオ医薬品の作用機序から、胚・胎児発生や流産に影響を及ぼす懸念がある場合は、より少数の動物を用いた生殖発生毒性試験を実施することで、懸念される有害性を確認することが可能である。

注6:NHPを用いたePPND試験の中間報告書に含めるべき評価項目:

― 母動物のデータ:生存率、一般状態、体重、可能な場合には妊娠期間中の曝露量や何らかのPD評価項目。

― 妊娠に関するデータ:試験開始時の妊娠動物数、器官形成期末期(妊娠50日)及び妊娠100日における妊娠状況、流産の発現率及び発現時期。出生児体重の実測値が得られるため、中間報告書では、超音波検査で得られる胎児の体長に関するデータは必須ではない。

― 出生児に関するデータ:生存児数、死産児数、出生時体重、生後7日の生存率及び体重、外表異常検査(外観が正常範囲内であることの確認)、可能な場合には出生児の曝露量や何らかのPD評価項目。

8.参考文献

1.「医薬品の生殖発生毒性試験に係るガイドラインの改定について」(平成9年4月14日付け薬審第316号厚生省薬務局審査課長通知)及び「医薬品の生殖発生毒性試験についてのガイドライン改正について」(平成12年12月27日付け医薬審第1834号厚生省医薬安全局審査管理課長通知)

2.「医薬品におけるがん原性試験の必要性に関するガイダンスについて」(平成9年4月14日付け薬審第315号厚生省薬務局審査課長通知)及び「医薬品のがん原性試験に関するガイドラインの改正について」(平成20年11月27日付け薬食審査発第1127001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

3.「医薬品の臨床試験及び製造販売承認申請のための非臨床安全性試験の実施についてのガイダンスについて」(平成22年2月19日付け薬食審査発0219第4号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

4.「抗悪性腫瘍薬の非臨床評価に関するガイドラインについて」(平成22年6月4日付け薬食審査発0604第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)

5.Pentsuk N, van der Laan JW. An interspecies comparison of placental antibody transfer: new insights into developmental toxicity testing of monoclonal antibodies. Birth Defects Research (Part B) 2009; 86: 328-344.

6.Jarvis P, Srivastav S, Vogelwedde E, Stewart J, Mitchard T, Weinbauer G. The Cynomolgous monkey as a model for developmental toxicity studies: variability of pregnancy losses, statistical power estimates, and group size considerations. Birth Defects Research (Part B), 2010,89: 175-187.