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○病院・診療所等における向精神薬取扱いの手引の改訂について

(平成24年2月15日)

(薬食監麻発0215第1号)

(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課長通知)

病院・診療所等における向精神薬の取扱いについては、「病院・診療所等における向精神薬取扱いの手引について」(平成23年9月1日付け薬食監麻発0901第1号本職通知)により取り扱われているところであるが、今般、別添のとおり、「病院・診療所における向精神薬取扱いの手引」等を改訂したので、関係者への周知方ご配慮願いたい。

なお、改訂内容については、下記のとおりである。

また、「病院・診療所等における向精神薬取扱いの手引について」(平成23年9月1日付け薬食監麻発0901第1号本職通知)は廃止する。

1.病院、診療所又は飼育動物診療施設の開設者等が向精神薬の譲渡し(譲受け)ができる場合に、患者の試験検査のために必要な向精神薬を譲り渡す場合を記載。

2.事故の届出に関し、ODフィルム剤が錠剤にあたることについて注釈を記載。

3.向精神薬一覧(平成24年1月現在)を末尾に記載。

病院・診療所における向精神薬取扱いの手引

平成24年2月

厚生労働省医薬食品局

監視指導・麻薬対策課

[病院・診療所における向精神薬取扱いの手引]

第1 分類

向精神薬は、その乱用の危険性と治療上の有用性により、第1種向精神薬、第2種向精神薬、第3種向精神薬の3種類に分類されています。第1種向精神薬にはメチルフェニデートなど、第2種向精神薬にはフルニトラゼパム、ペンタゾシンなど、第3種向精神薬にはトリアゾラム、ブロチゾラムなどが指定されています。

第2 譲受け(麻薬及び向精神薬取締法(以下「法」という。)第50条の16・麻薬及び向精神薬取締法施行規則(以下「施行規則」という。)第36条)

(1) 向精神薬は、向精神薬輸入業者、向精神薬製造製剤業者、向精神薬卸売業者(注)から譲り受けることができます。

(注) 薬局開設者及び医薬品の卸売販売業の許可を受けた者は、都道府県知事に別段の申出をしない限り、向精神薬卸売業者の免許を受けた者とみなされます(法第50条の26)。

(2) (1)の他、次の場合も向精神薬を譲り受けることができます。

① 同一法人の他の病院・診療所から譲り受ける場合

② 患者に交付された向精神薬の返却を受ける場合

③ 臨床試験に用いる治験薬を、登録を受けた向精神薬試験研究施設から譲り受ける場合

④ 病院、診療所の開設者から当該病院、診療所に勤務する職員のための福祉事業として設置されている病院、診療所の開設者が譲り受ける場合

⑤ 病院、診療所に勤務する職員のための福祉事業として設置されている病院、診療所の開設者から当該職員が勤務する病院、診療所の開設者が譲り受ける場合

⑥ 向精神薬取扱者が向精神薬取扱者でなくなった場合に、当該向精神薬取扱者からその所有する向精神薬を50日以内に譲り受ける場合

⑦ 災害時に地方公共団体の長から譲り受ける場合

第3 譲渡し(法第50条の16・施行規則第36条)

向精神薬は、次の場合以外には譲り渡すことはできません。

① 患者に施用のために交付する場合

② 向精神薬輸入業者、向精神薬製造製剤業者、向精神薬卸売業者に返品する場合

③ 同一法人の他の病院・診療所に渡す場合

④ 治験薬を向精神薬試験研究施設(又はその施設と同一法人の向精神薬卸売業者)に戻す場合

⑤ 病院、診療所の開設者が当該病院、診療所に勤務する職員のための福祉事業として設置されている病院、診療所の開設者に譲り渡す場合

⑥ 病院、診療所に勤務する職員のための福祉事業として設置されている病院、診療所の開設者が、当該職員の勤務する病院、診療所の開設者に譲り渡す場合

⑦ 患者の試験検査のために必要な向精神薬を向精神薬試験研究施設に譲り渡す場合

第4 保管(法第50条の21・施行規則第40条)

(1) 譲り受けた向精神薬は、次により保管しなければなりません。

① 病院・診療所の施設内に保管すること。

② 保管する場所は、医療従事者が実地に盗難の防止に必要な注意をしている場合以外は、かぎをかけた設備内で行うこと。

〔例〕

a) 調剤室や薬品倉庫に保管する場合で、夜間、休日で保管場所を注意する者がいない場合は、その出入口にかぎをかけること。

日中、医療従事者が必要な注意をしている場合以外は、出入口にかぎをかけること。

b) ロッカーや引き出しに入れて保管する場合も、夜間、休日で必要な注意をする者がいない場合には、同様に、ロッカーや引き出しあるいはその部屋の出入口のいずれかにかぎをかけること。

c) 病棟の看護師詰め所に保管する場合で、常時、看護師等が必要な注意をしている場合以外は、向精神薬を保管するロッカーや引き出しに鍵をかけること。

(2) ペンタゾシン、ブプレノルフィン等の向精神薬注射剤については、特に乱用・盗難のおそれが高いので保管管理を厳重にし、不正使用や盗難防止に一層留意してください。

第5 廃棄(法第50条の21)

(1) 向精神薬の廃棄について、許可や届出の必要はありませんが、第1種向精神薬及び第2種向精神薬を廃棄したときは記録が必要です。(第7 記録の項参照。)

(2) 廃棄は、焼却、酸、アルカリによる分解、希釈、他の薬剤との混合等、向精神薬の回収が困難な方法により行ってください。

第6 事故(法第50条の22・施行規則第41条)

病院・診療所で所有する向精神薬について、下記の数量以上の滅失、盗取、所在不明その他の事故が生じたときは、すみやかにその向精神薬の品名、数量その他事故の状況を明らかにするために必要な事項を「向精神薬事故届」により都道府県知事に届け出てください。

* 下記以下の量であっても、盗取・詐取等の場合には、都道府県知事に届け出ると共に警察署にも届け出てください。

末、散剤、顆粒剤

100グラム(包)

錠剤、カプセル剤、坐剤

120個

注射剤

10アンプル(バイアル)

内用液剤

10容器

経皮吸収型製剤

10枚

* ODフィルム剤は「錠剤」にあたります。

第7 記録(法第50条の23第2項及び第4項)

第1種向精神薬又は第2種向精神薬を譲り受け、譲り渡し、又は廃棄したときは、次の事項を記録し、この記録を最終記載の日から2年間保存しなければなりません。

① 向精神薬の品名(販売名)・数量

② 譲り受け、譲り渡し、又は廃棄した年月日

③ 譲受け又は譲渡しの相手方の営業所等の名称・所在地

(注)

a) 患者への向精神薬の交付、施用、患者に交付された向精神薬の返却、返却を受けた向精神薬の廃棄については、記録の必要はありません(施行規則第42条)。

b) 同一法人の病院・診療所との間で譲受け又は譲渡しがあった場合も、記録する必要があります。

c) 向精神薬が記載された伝票の保存をもって記録に代えることができますが、向精神薬が記載されていない伝票とは別に綴ってください。

d) 第3種向精神薬については、記録義務はありませんが、譲受けについて記録し、定期的に在庫確認をすることが望ましいです。

第8 立入検査(法第50条の38)

(1) 立入検査は、向精神薬の取締り上必要があるときに行われます。犯罪捜査の目的で行われるものではありません。

(2) 立入検査を行う職員(麻薬取締官又は麻薬取締員その他の職員)は、身分を示す証票を携帯していますので、必ず提示を求めて確認してください。

(3) 立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をした場合には処罰されることがあります(法第72条第11号)。

第9 その他

1) 輸入、輸出(法第50条の8及び第50条の11・施行規則第27条及び第30条)

(1) 向精神薬を輸入又は輸出することはできません。

(2) 患者は、自己の疾病の治療の目的で向精神薬を携帯して入国又は出国することができます。

ただし、施行規則別表第一に定められている量を超える量の向精神薬を携帯して出入国する場合には、これらの向精神薬を携帯して輸入、輸出することが、自己の疾病の治療のため特に必要であることを証する書類の所持(例えば、「処方箋の写し」「患者の氏名及び住所並びに携帯を必要とする向精神薬の品名及び数量を記載した医師の証明書」)が必要です。

なお、渡航先においては日本と異なる法規制を行っている場合があります。当該国への向精神薬の携帯輸入若しくは当該国からの携帯輸出の可否等不明な点がありましたら、各国の在日大使館等にお問い合わせ頂き、事前に許可等が必要な場合には、その許可等取得の手続きについても併せて問い合わせ、トラブル等の発生のないようご留意してください。

2) 製造、製剤、小分け(法第50条の15・施行規則第35条)

(1) 試験検査に用いるため製剤する場合のほか、向精神薬を製造し、製剤し、又は小分けすることはできません。

(2) 調剤(予製を含む。)については、製剤することに該当しません(法第2条第29号)。

3) 容器の記載(法第50条の19)

向精神薬卸売業者等から譲り受ける向精神薬の外箱等には、「((向))」の記号等が表示されます。

なお、治験薬の場合は、「((向))」の記号等の表示が省略されていることがあります。

4) 承認条件

(1) メチルフェニデート製剤「リタリン((R))錠/散」「コンサータ((R))錠」の処方・施用にあたっては、同製剤の承認条件に基づき、投薬する医師、医療機関、薬局が限定されるとともに、薬局における調剤の際には、その確認の上で調剤がなされることとされており、第三者委員会による流通管理が行われておりますので、注意が必要です。

(2) ブプレノルフィン経皮吸収型製剤の慢性疼痛患者への処方・施用にあたっては、同製剤の承認条件に基づき、薬剤師は処方医が製造販売業者の提供する講習を修了した医師であることを確認する必要がありますので、注意が必要です。

5) その他

向精神薬に指定されていない習慣性医薬品についても、向精神薬と同様に管理することが望ましいです。

【参考】向精神薬一覧(平成24年1月現在)

1 物質名一覧表

 

物質名

薬理作用

 

第1種

ジペプロール

鎮咳

 

セコバルビタール

中枢抑制

フェネチリン

中枢興奮

 

フェンメトラジン

中枢興奮

 

メクロカロン

中枢抑制

 

メタカロン

中枢抑制

 

メチルフェニデート

中枢興奮

モダフィニル

中枢興奮

第2種

アモバルビタール

中枢抑制

カチン

中枢興奮

 

グルテチミド

中枢抑制

 

シクロバルビタール

中枢抑制

 

ブタルビタール

中枢抑制

 

ブプレノルフィン

鎮痛

フルニトラゼパム

中枢抑制

ペンタゾシン

鎮痛

ペントバルビタール

中枢抑制

第3種

アミノレクス

中枢興奮

 

アルプラゾラム

中枢抑制

アロバルビタール

中枢抑制

アンフェプラモン

中枢興奮

 

エスクロルビノール

中枢抑制

 

エスタゾラム

中枢抑制

エチナメート

中枢抑制

 

エチランフェタミン

中枢興奮

 

オキサゼパム

中枢抑制

 

オキサゾラム

中枢抑制

カマゼパム

中枢抑制

 

クアゼパム

中枢抑制

クロキサゾラム

中枢抑制

クロチアゼパム

中枢抑制

クロナゼパム

抗てんかん

クロバザム

抗てんかん

クロラゼプ酸

中枢抑制

クロルジアゼポキシド

中枢抑制

ケタゾラム

中枢抑制

 

ジアゼパム

中枢抑制

セクブタバルビタール

中枢抑制

 

ゾルピデム

中枢抑制

テトラゼパム

中枢抑制

 

テマゼパム

中枢抑制

 

デロラゼパム

中枢抑制

 

トリアゾラム

中枢抑制

ニトラゼパム

中枢抑制

ニメタゼパム

中枢抑制

ノルダゼパム

中枢抑制

 

ハラゼパム

中枢抑制

 

バルビタール

中枢抑制

ハロキサゾラム

中枢抑制

ピナゼパム

中枢抑制

 

ビニルビタール

中枢抑制

 

ピプラドロール

中枢興奮

 

ピロバレロン

中枢興奮

 

フェノバルビタール

中枢抑制

フェンカンファミン

中枢興奮

 

フェンジメトラジン

中枢興奮

 

フェンテルミン

中枢興奮

 

フェンプロポレクス

中枢興奮

 

ブトバルビタール

中枢抑制

 

プラゼパム

中枢抑制

フルジアゼパム

中枢抑制

フルラゼパム

中枢抑制

ブロチゾラム

中枢抑制

プロピルヘキセドリン

中枢興奮

 

ブロマゼパム

中枢抑制

ペモリン

中枢興奮

ベンツフェタミン

中枢興奮

 

マジンドール

食欲抑制

ミダゾラム

中枢抑制

メソカルブ

中枢興奮

 

メダゼパム

中枢抑制

メチプリロン

中枢抑制

 

メチルフェノバルビタール

中枢抑制

 

メフェノレクス

中枢興奮

 

メプロバメート

中枢抑制

 

レフェタミン

鎮痛

 

ロフラゼプ酸エチル

中枢抑制

ロプラゾラム

中枢抑制

 

ロラゼパム

中枢抑制

ロルメタゼパム

中枢抑制